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2014/10/11

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  • 晩節 密命・終の一刀

    ―巻之二十六―佐伯泰英/祥伝社文庫2011年12月20日初版。剣術大会が終わって後、話は一気に飛び、享保十六年(1731年)の秋から始まる。この間、登場人物の多くにいろいろな事があった。その中でも何と言っても清之助は、吉宗の覚え目出度く立家を許され、大目付にまで出世した。立派な千七百余坪の屋敷を拝領する三千百石直参旗本である。ここで最後のシナリオとして、大目付の立場から、東海道の巡察を命ぜられ、尾張領までやってくるのだが、惣三郎もまた火の粉を払いながら、火付けの元、尾張の安濃一族を殲滅するために尾張にやって来るのだった。惣三郎は武人として最後まで戦い続けた。いや、本当は静かに暮らしたかったが、尾張がそれを許さなかった。清之助も父の武人としてのその姿を見届け、納得したかのように見える。惣三郎は結局、誰の為でもなく...晩節密命・終の一刀

  • 覇者 密命・上覧剣術大試合

    ―巻之二十五―佐伯泰英/祥伝社文庫2011年6月20日初版。享保十一年(1726年)上覧の大試合である。まさかと思ったが、凄まじい登場人物群だ。ここまでキャラクターを考えて準備するとは、圧巻という外はない。それはさておき、江戸時代という平穏な時代において、自らの剣技に自信と誇りを持つために、武士がこの大試合に命を懸けて臨むという設定は、判るような気がする。作中に何度も出て来るように「武芸でメシは食えない」時代なのだ。その矜持を保つことの難しさがここにある。最後はやはり尾張代表の剣術家と清之助の対決だったか。それにしても、惣三郎が育てた佳次郎の最期は辛いものがある一方で、佳次郎と清之助が決勝で戦わずに済んで良かったのかもしれない。最期の惣三郎と清之助の立ち合いは、何とも言い難いものがある。イメージとして、いずれ息...覇者密命・上覧剣術大試合

  • 切羽 密命・潰し合い中山道

    ―巻之二十四―佐伯泰英/祥伝社文庫2010年12月20日初版。尾張の二人が仕掛けた牛中、馬中の争いを避けて、先へ進む惣三郎と佳次郎。十二兼の里、地蔵堂の前でお婆に助けられ、尾張の追手四人と対峙、二人を斃して馬を得た。更に鳥居峠で追手の小弦太以下七人を斃し、先を急いだ。降雪で道に迷い、危うく遭難するところを馬に助けられた。艱難辛苦、七転八倒、とにかく先を急ぐ二人だ。そして、どうにか江戸の尾張上屋敷に辿り着いた二人だが、敵陣の真只中、油断も隙も許されない。惣三郎は老獪を発揮して大会出場権をもぎ取り、待機する。菊屋敷の清之助にも付け狙う監視の目があり、謂れのない刃が突然降ってくる。それでも心を乱すことなく淡々と大会に備えていた。この時、「老いた剣術家の業」とか「剣の妄執に憑かれた愚か者」とか憶測は乱れ飛んでいたが、惣...切羽密命・潰し合い中山道

  • 密命 仇敵 決戦前夜

    ―巻之二十三―佐伯泰英/祥伝社文庫2017年5月20日初版。話は享保十一年(1726年)晩秋から始まる。惣三郎と佳次郎は、「出羽三山」を出たと思ったら何と長年戦ってきたはずの尾張の拠点、藩道場にやって来た。道場破りのようなものだ。惣三郎によれば、尾張から見て敵(清之助)の敵(惣三郎)は味方という屁理屈で説得し、ちゃっかり客分として道場で稽古をすることになるのである。そんな無茶な、と思うかもしれないが、そこは小説だ。何故尾張で、というのは長年の抗争で惣三郎に対する憎しみや恨みが渦巻いているからであって、単なる道場の稽古ではなく、そこは本気度が違う。惣三郎は、そのことが佳次郎にとって修行になると考えたのではないだろうか。江戸に出る途次、清之助は鹿島の米津道場を立て直そうと懸命になる。そもそも決して多い門弟を抱えてい...密命仇敵決戦前夜

  • 再生 密命・恐山地吹雪

    ―巻之二十二―佐伯泰英/祥伝社文庫2009年12月20日初版。いやいや、気仙沼の湊の戦いは、なかなか迫力満点のチャンバラでした。清之助さんは、相変わらずお強いですなあ。賽の河原における掟破りの婆さまとの闘いはアニメ的な妖術の世界だ。困った時の幻惑チャンバラである。もともとイタコの世界だからそれほど違和感はないが、かと言って現実的な訳でもない。このような話しは、体験者だけが納得できるものなのかもしれない。一方、惣三郎と佳次郎は出羽三山に分け入り、黙々と修行していた。一時は目標を失い、全てを投げ出したかに見えた佳次郎だったが、どうやら復活したらしい。しかし、惣三郎が最終的に何を目指しているのか、どうもわからん。「佳次郎の剣者としての死から生への再生」は成ったと思うが、それだけが目的ではないはず。清之助が勝つことで、...再生密命・恐山地吹雪

  • 相剋 密命・陸奥巴波

    ―巻之二十一―佐伯泰英/祥伝社文庫2009年6月20日初版。金杉一家の女たち三人は飛鳥山の菊屋敷に気晴らしに、清之助は羽前、陸前国境の笹谷峠、八丁平を旅していた。一方、惣三郎と佳次郎は突然江戸を出て鹿島に逗留していたと思ったら、いつの間にか仙台に。惣三郎の意図が読めないということもあるが、一体この話はどういう方向に持って行こうとしているのか、皆目予想がつかない。そんなことで、着々と「上覧大試合」の日が近づいて来るのであった。清之助の身辺には妙な連中も寄って来るが、それより周りの人々に助けられ、余裕の稽古三昧の日々が続く。モテるというか、運が良いというか、人柄というか、人徳というか。それに対して、惣三郎と佳次郎が暮らす日々は厳しい修行が続く。しのがふと思い出した平家物語の「盛者必衰の理」は、著者が隠し持っている、...相剋密命・陸奥巴波

  • 宣告 密命・雪中行

    ―巻之二十―佐伯泰英/祥伝社文庫2008年12月20日初版、2011年5月25日第7刷。享保十一年(1726年)が明けたところから話は始まる。清之助は春まで佐渡かと思ったが、運よく寄港した北前船に便乗して越後へ。途中で出会った姉弟を助けて、三国街道を行ったり来たり、なかなか忙しい。かつて鹿島の道場で出会った門人と出会い、秋山郷切明という山奥で修業することになった。更に尾瀬の山小屋でも相変わらずの修業三昧。惣三郎は上覧大試合の出場者掘り起こしのために、江戸の道場を訪ね歩く日々。そこで目に留めた新抜流の青年武士、何を思ったか即席に英才教育を施すことにしたようだ。惣三郎の武士に対する考え方からすると、いささか矛盾するようなことだが、そこにどんな思惑が隠されているのか、期待させる。解説で「時代小説だからこそ描ける現代性...宣告密命・雪中行

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