晩節 密命・終の一刀
―巻之二十六―佐伯泰英/祥伝社文庫2011年12月20日初版。剣術大会が終わって後、話は一気に飛び、享保十六年(1731年)の秋から始まる。この間、登場人物の多くにいろいろな事があった。その中でも何と言っても清之助は、吉宗の覚え目出度く立家を許され、大目付にまで出世した。立派な千七百余坪の屋敷を拝領する三千百石直参旗本である。ここで最後のシナリオとして、大目付の立場から、東海道の巡察を命ぜられ、尾張領までやってくるのだが、惣三郎もまた火の粉を払いながら、火付けの元、尾張の安濃一族を殲滅するために尾張にやって来るのだった。惣三郎は武人として最後まで戦い続けた。いや、本当は静かに暮らしたかったが、尾張がそれを許さなかった。清之助も父の武人としてのその姿を見届け、納得したかのように見える。惣三郎は結局、誰の為でもなく...晩節密命・終の一刀
2021/05/14 14:16