密命 弦月三十二人斬り
―巻之二―佐伯泰英/双葉文庫2007年6月20日初版。1716年(享保元年)の夏の終わりから話は始まる。「巻之一」から七年ほど過ぎており、金杉惣三郎は留守居役として広尾の相良藩下屋敷に居た。世は吉宗の時代である。江戸留守居役になっても、相変わらず周辺には風雲が湧き上がる。今回は吉宗の将軍職就位に絡んで、支援するものと阻むものの対立の中に、妙な連中が入り込む。「乗源寺」なる忍者の一団である。将軍職を継ぐような譜代大名には「御庭番」なる一団が組織されており、足元をすくわれないように、或いはライバルの動向をいち早く知る意味でも情報収集の要であったと思われる。幕府といえども「御庭番」や「隠密」を駆使して、体制維持に努めている。吉宗にはそんな話があるのか、単なる小説の中の架空の話なのか判らないが、周辺の世継ぎが次々死亡(...密命弦月三十二人斬り
2021/03/31 11:12