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敏洋 ’s 昭和の恋物語り https://blog.goo.ne.jp/toppy_0024

[水たまりの中の青空]小夜子という女性の一代記です。戦後の荒廃からのし上がった御手洗武蔵と結ばれて…

敏ちゃん
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岐阜市
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伊万里市
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2014/10/10

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  • 愛の横顔 ~地獄変~ (壱)法事:後

    「本日は、わたくしめの愛娘、妙子の法事でございます」キョロキョロと辺りを見回し、坂田かね三十三回忌法要の文字を見つけられると、満足そうに頷かれるのです。「三回忌、三回忌ですぞ。かくもにぎにぎしくお集まりいただいて、わたくし感極まる思いでございます」そこまでおっしゃられると、目頭をおさえられ声をひそめられました。「ご老人!たえこさんとか、言われましたか?ここは、坂田かねの法要の場ですが。なにか思い違いをなされているのではありませんかな?」大叔父の善三さんが、声を上げられました。みな一斉に、善三さんに視線を注ぎます。そして、大きく頷かれます。これでご老人が勘違いに気付かれることだろうと思いましたのですが、「だまらっしゃい!」と、一喝でございます。「わしの話を聞けぬと言う不らちな輩は、即刻この場を立ち去りませい...愛の横顔~地獄変~(壱)法事:後

  • 水たまりの中の青空 ~第三部~(四百十二)

    しかし懸念材料がある。いま五平には、わかという内縁関係の女がいる。ふらりと立ちよったいっぱい飲み屋の女で、転がりこんでからもうそろそろ一年になるという。近々籍を入れるつもりだときかされている。こまかく聞こうとすると口をにごすところをみると、なにやら過去において関わりのあった女らしい。「じつはな……」と、佐多支店長の申し出を五平につたえた。「えっ!」。絶句する五平に、追いうちをかけた。「すまん、五平。俺のいたらなさからこんな結末を迎えてしまった。俺はどうしても、富士商会をのこしたい。それは五平もおなじだと思う。そして武士に継がせたい。まだ生まれたての赤子だけれども、その将来に富士商会という財産をのこしてやりたい。武士に花をさかせてほしいんだ」切々とうったえる武蔵に、五平も否はない。それが当然だと思っている。...水たまりの中の青空~第三部~(四百十二)

  • ポエム 焦燥編 (てん・てん)

    「霊の世界は閉ざされてはいない。汝の官能が塞がり、汝の胸が死んでいるのだ」牧師のそんな言葉も、死刑囚には何の意味もなく、まして感動は与えない。否、安らぎを与えられるまでもなく、死刑囚の心は落ち着いていた。その落ちつきは、己以外の人間に対する軽蔑からくる、ある種の快感のようなものだった。「人生の紙くずを縮らして飾り立て、それでピカピカ光っている演説なんてものは、秋の枯葉の間をざわめく、湿っぽい風のように気持ちの悪いものだ」早くやめてくれと言わんばかりの死刑囚の顔には、牧師以上の何かが、神から授けられたようだ。或いは、死神のとり憑いた死刑囚への、最後の贈り物かもしれない。そして今、ついぞ今まで信じなかった神の存在を、死刑囚は意識せざるを得なかった。間もなく訪れる十時十分。執行時間は、すぐそこに足を運んでいた。...ポエム焦燥編(てん・てん)

  • 青春群像 ご め ん ね…… えそらごと(十五)

    「べつにそんなこと……」と、不機嫌に口を尖らせた。大きな音を立ててドアを閉めて車に乗りこむと、力まかせにギアを入れて発進させた。暖機運転はしっかりとしている筈なのに、今朝のエンジンは機嫌がわるい。ヨタヨタとした走りで少しもスピードが上がらない。不本意ながら、チョークを一杯にひいた。エンジンが急激に元気になり、スピードが乗った。ところがすこし走ってすぐにエンストしてしまった。駐車場から公道にでる直前だったことが不幸中のさいわいだった。平日ほどではないにしても、車の行き交いはあるのだ。いまも一台の車が通りすぎた。「なに、どうしたの?下手ねえ。もっとスムーズに運転してよ。点数、下がるわよ」眉間にしわを寄せて、貴子が注文をつける。(あんたの体重のせいだよ)と、こころの中で悪態を吐きながらも「はいはい、おことば通り...青春群像ごめんね……えそらごと(十五)

  • [ブルーの住人]第五章:[蒼い情愛]~はんたー~

    寝ぐるしい夜があけた朝、母が、おれの記憶から消えさっていた。そしてその日から、母にたいして怨嗟の念をだいていた。「親としての責務をはたせよ!」「ごめんね、ごめんね……」ときおりかかってくる詫びの電話。嗚咽とともにくり返される、詫びのことば。しかし日が経つにつれて、単なる雑音となった。なんの感慨もわかず、なんの感情も入ってこなくなった。そしてそれは、けっして自暴自棄のこころでは、ないはず筈だ。そう、思った。━━━━━━・━━━━━━(一)鼠その○刑囚は○への恐怖心がうすれるにつれ、生あるときを思いおこした。活きいきと生きた、そのときを思いおこした。己のつみを意識し、悔いた。しかしその悔いは事件にたいする悔いではなく、おのれの過去と未来への悔いだった。「○刑に処する」冷たく事務的なこのひと言は、○刑囚にはなん...[ブルーの住人]第五章:[蒼い情愛]~はんたー~

  • [宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり! (四十五)

    (舟島八)勝負は一瞬にして決まった。誰もが、己の目を疑った。血のりの渇かぬ木刀を持ったまま傲然と小次郎を見下ろすムサシに対して、「卑怯なり!ムサシ。約束の時刻を違えるとは、武士にあらざる行為なり」「卑怯なり!ムサシ。小次郎殿の口上途中においての、あの言動は」「不作法なり!真剣を望みしが、何ゆえにそのような棒きれなどを!」と、ムサシへの罵声が浴びせられた。定められた場に腰を下ろしたままに、声を枯らし続けた。誰一人として小次郎の元に駆け寄る武士はいなかった。仁王立ちするムサシの姿に、皆が気圧された。恐れをなした。「鬼神だ、あの者は…」誰かが小さく呟いた言葉が、武士たちの足を射すくめていた。そして城代家老沼田延元の言葉が、居並ぶ武士たちを納得させた。「ムサシなる者、兵法者なり。而して小次郎殿は、剣客よ。互いに、...[宮本武蔵異聞]我が名は、ムサシなり!(四十五)

  • 愛の横顔 ~地獄変~ (壱)法事:前

    (一)法事:前その日はいつになく穏やかな日和で、この法事の席に集まられたみなさんの表情も穏やかなものでした。まあそんな中で、喪主の松夫さんだけは硬い表情をされていましたけれども。談笑されている方々から、ときおり声を掛けられるのですが、軽く頷かれるだけでございました。ご心配なことでもあるのかと、わたしと大叔父の善三さんとで話をしていたのです。「お疲れのご様子ですね、松夫さんは」「なあに緊張しているんでだろう、松夫の嫁が居ないものだから。まったく情けない、まったく。なにもかも嫁まかせにしておるんじゃから」「はあ、そういうことですか。で、いつごろの退院となるのですか?」「一週間もすれば、と聞いておるけれども」そのときでございました。突然に見知らぬご老人が、座敷に上がってこられたのです。「ごめん」。ずかずかと、上...愛の横顔~地獄変~(壱)法事:前

  • 水たまりの中の青空 ~第三部~ (四百十一)

    武蔵の額に冷や汗が浮かんでいる。苦しげに顔をゆがめることもある。「ここまでにしますか。またあらためて伺いますよ」容態の変化に気づいた佐多は、おのれ因で悪化されては困るとばかりに申しでた。しかし武蔵は首をふり、「いや、もう大丈夫です」と精一杯の声をだした。「どうでしょうかな、五平で乗り切れますかな?」。核心を突いてきた。「えっ!……そうですなあ。正直のところ、五分五分といったところではないですかな。富士商会さんは、各社からねらわれている。すきあらば取って代わろうという会社は多いでしょう」「やはり……」。そう言うと目を閉じる武蔵だった。佐多は、五平では乗り切れない、と考えている。武蔵と一致した。武蔵のなかに、はやく会社に復帰せねば、と焦りのこころが生まれている。居ても立ってもいられぬ、はじめての経験だった。焦...水たまりの中の青空~第三部~(四百十一)

  • ポエム 焦燥編 (敬虔)

    俺はなんとかしてケイケンな気持ちになろうと務めたシュウキョウという観念の前でユルシを請おうとこころみた轟々とミズの流れおちる滝の下で修行者のマネゴトごとをしてみた白いユキの降りつもった山中で白装束いちまいでダイノジになってみたそしてそしてじりじりとヤケツク砂浜を素の足でハシリつづけてみたしかしそのスベテがむだだった理知的、論理的ニンゲンの俺には許されるコトのない許されるハズのないことだった(背景と解説)なんとも傲慢な若者でした。いま思うと、ある意味、唾棄すべき人間です。カタカナにしてしまうことで、己とは無縁な、いえそれらを超越した人間なのだと思い込んでいる――思いこもうとしている、まったく馬鹿な若者でした。彼女らに、次第に距離を置かれたとしても、自業自得というものでしょう。形の上では己を責めているようにし...ポエム焦燥編(敬虔)

  • 青春群像 ご め ん ね…… えそらごと(十四)

    朝食もそこそこに、約束の十時より一時間もはやく会社の駐車場についた。毎日つかっているからと、週末にはかならず洗車をしワックスがけもしている車から「はやいね」という声が彼に聞こえてきた。にが笑いを見せる彼で「二度ぬりすると色が沈みこんできれいですよ」とガソリンスタンドでアドバイスされたことを思いだし、もう一度ワックスがけをすることにした。その後エンジンオイルの確認をして、車内の掃除も念入りにした。すこし離れた場所からあらためて車をながめると、たしかにグレーの色が沈みこんだ状態になっている。思わず「渋いぜ」と口にする彼だった。空はあいかわらず、快晴だ。十時すこし前を、最新型の腕時計が指している。彼の自慢の腕時計だ。どうせ買うならやはり良いものをと、セイコー社の高級品を購入した。「どうだい」と見せびらかす彼にた...青春群像ごめんね……えそらごと(十四)

  • [ブルーの住人]第四章:蒼い友情 ~まーだー~

    (二十三)lastどういうことだ?病院をまちがえた?確かに、kashiwara総合病院のはずだ。親切な運転手さんが探しだしてくれたんだ。思いだした!手紙にそうあった。そうだった、手紙だ。手紙を見せれば良かったのに、失念していた。この内ポケットに入れて…、ない!ここにもない!そうだった。鞄の中だ、落とさないようにと入れ替えたんだ」「……ない!おかしいぞ、忘れてきたのか?新一くん、ヒンヒシフン…ヒミ、ヒラナヒカ…?(シンイチクン…キミ、シラナイカ…?)」「……」ソンナカオヲシナイデクレヨ。コエガ、コエガ、コワレテルナンテ……ウケツケノアナタ……ソンナカオヲシナイデ……ヨ……[ブルーの住人]第四章:蒼い友情~まーだー~

  • [宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり! (四十四)

    (舟島七)―ヒューン!―小次郎の長剣は空を切った。それは、風の如くに軽やかだった。何の手応えもなく、空を切った。小次郎は違和感を感じた。何物かが、いや小次郎には分かっていた。藩主忠興より拝領の金糸で刺繍された陣羽織の袖が、小次郎の動きに僅かのずれをもたらせた。―ブォーン!―ムサシの木刀は、小次郎の長剣に遅れて振り下ろされた。小次郎の脳天に、真正天から振り下ろされた。小次郎の剣の鋭さに比べムサシの木刀には重さがあり、明らかに一撃必殺を意図していた。それが小次郎の体の一部にさえ触れさえすれば、撲殺できると踏んでの一撃であることは明白であった。正に戦国時代における、肉弾戦であった。様式美などは、微塵もなかった。小次郎の剣捌きとは異質のものであった。小次郎が追い求めた『能』に通ずる様式美とは、相容れないものであっ...[宮本武蔵異聞]我が名は、ムサシなり!(四十四)

  • 水たまりの中の青空 ~第三部~ (四百十)

    「このことは他言無用でお願いしたい」。再度、念を押す。これは相当なことだと身構える佐多に対して、時折ゼーゼーと息を切らしながら、それでも眼光するどく「これからのことを加藤専務にまかせよう、と思うんです」と告げた。順当な人事だとは思える。富士商会の序列からいって、専務がその任にあたるのは、至極当然なことだった。しかし、と佐多には思えた。加藤は社長としての器ではない。やはり所詮は番頭だ、そう思えた。〝わたしなら……〟。かくれていた野心が芽を出してきた。株式会社という組織の体をとってはいるが、やはり富士商会は、御手洗武蔵という個人の店だった。取引先のほとんどが、富士商会に対して好感をいだいているはずがない。取引条件の厳しさは群を抜いている。しかしそれに甘んじるだけの魅力が、富士商会いや武蔵にはある。どっしりとし...水たまりの中の青空~第三部~(四百十)

  • ポエム ~焦燥編~ (もがいて……)

    恋に終わりがくる渚に陽がしずみ闇の訪れのこえ━stopthemusic!悲しみの森のなかひとり思い出とあそび影と語りあう━stoptheguitter!色のない夕焼けずてが色あせていく去りゆく足おと━stopthedrams!空に赤い雲鳥がふた羽飛び夜の訪れ━stopthebase!わたし、信じていたわたしあなた、裏切ったあなたすべてに、終わりがくる━stopthewords!(背景と解説)妄想です、これは。勝手に、思い込んでいただけのことですわ。相手が離れていくのではないかと、不安な思いが渦巻いているときです。ちょっとした仕草-わたしが相手を見たときに相手がよそ見をしていたとか、バニラのアイスが食べたい私なのにチョコが良いと言う相手-そんなことで、クヨクヨイジイジしたりして。そのくせ、一人でいても寂しさ...ポエム~焦燥編~(もがいて……)

  • 青春群像 ご め ん ね…… えそらごと(十三)

    日曜日、天気はカラリと晴れ渡った。いつもなら昼ちかくまで白河夜舟のくせに、すこし開けておいたカーテンの隙間からさし込んだ太陽のひかりで、平日よりもはやい七時に目がさめた。足下のかべに貼ってあるカレンダー写真のおおきな鉄砲百合がニッコリと微笑みかけている。「良かったね、楽しんでね」と呼びかけられた気がして、浮き浮きとした気分でベッドから飛びおきた。考えてみれば、昨夜は、いつもの土曜日とはまったくちがう時間で動いた。終業時間の五時半になっても、グズグズとロッカー前をはなれない。「どうした?」。先輩社員に声をかけられても「はあ、ちょっと」とはっきりしない。岩田がいつものようにすこし遅めに帰ってきて、「あれ?なに、待っててくれたの?」と嬉しそうに話しかけてくる。「いや、別に。……そうだった。あれ、どうした?いいや...青春群像ごめんね……えそらごと(十三)

  • [ブルーの住人]第四章:蒼い友情 ~まーだー~

    (二十二)押し問答「申しわけありません。もういちど、名前をお聞かせください」「minakoさんです」「苗字は、なんと言いますでしょうか?」「最近、ひと月も経っていない最近に勤めはじめたはずです」押し問答をくりかえして、たぶん十分は経ったと思う。受付の女性もうんざり顔だが、ぼくだってうんざりだ。どう説明しても理解してくれない。ぼくに多少の非があることは分かる。うかつだった、確かに。おたがい名前を呼びあう仲だったので、苗字をきいていなかった。「ご実家の電話番号を…」と言われても、いつもminakoの方から連絡が来ていたから…。「何科勤務なのか、わかりますか?それと以前の勤め先病院名は、分かりますか?」立てつづけに質問される。それも意地悪な質問ばかりだ。ぼくの知らないことばかりを問い詰めてくる。どんな顔立ちかど...[ブルーの住人]第四章:蒼い友情~まーだー~

  • [宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり! (四十三)

    (舟島六)街の辻々で交わされているムサシ像だが、どこまでが真実の話なのか、実のところ誰も知らなかった。「あのムサシってのは、人間じゃねえんだってよ。なんでも、唐天竺から追い出された、羅刹天だって話だ」「とにかく、すごいのなんの。吉岡兄弟といい、幼い又七郎といい。まるで阿修羅だそうだ。二本の刀を自由自在に振り回して、バッタバッタと斬りまくったそうな」「それにしても、むごいことじゃないのさ。まだ年端もいかない子どもまでもねえ」目をぎょろつかせた男たちが噂をし、幼子を抱いた女が涙を流す。「そういや、あのムサシってお方は、米や麦の飯は喰わずに鳥やけものをくらうそうじゃねえか。草や木の根っこもかじっているそうな。まったく、恐ろしいこった」「とに角大男だってさ。まゆ毛が赤くって、目は青いそうだよ。鼻なんか上唇にくっつ...[宮本武蔵異聞]我が名は、ムサシなり!(四十三)

  • 水たまりの中の青空 ~第三部~ (四百九)

    そこまで思いがいたったときに、「すみませんなあ、佐多支店長。まだ起きませんか?」と、五平が入ってきた。「またつぎの機会に、ということで……」。ソファから腰を上げて、中折帽を手に取った。どうしたものかと考えあぐねる五平だったが、意を決して「じつは……」と佐多を押しとどめた。「本来なら御手洗の口からお願いしなければならんのですが……」。ことばが続かない。じれる佐多の表情をみて、「これは他言無用でお願いしたいのですが、」と言いつつ、またことばが止まった。「なにか余ほどのことですかな?わたしも銀行員の端くれです。お客さまの秘密は、ぜったいに外にはもらしません。どうぞ心配なさらずにお話しください」「どうした、五平。自分の口からは言いにくいのか」弱々しいけれども明瞭な声が後ろから聞こえた。酸素マスクを外した武蔵が、声...水たまりの中の青空~第三部~(四百九)

  • ポエム ~焦燥編~ (いらだち)

    群れを離れた一匹狼のいらだち鉄工所の騒音から逃れ無音室の中に入り込んだ男のいらだち街頭の喧騒音から逃れ地下のバーに逃げ込んだ男のいらだちコンサートの狂騒から逃れトイレの中に隠れ込んだ男のいらだちとどのつまりが鉄工所に街頭にコンサートにそれぞれが戻っていった(背景と解説)当時のことを思い出そうとするのですが、当時の日記を読み返そうとしてみるのですがなんの記述もないんですわ。ぽっかりと、空白なんです。中途半端な状態なんですが、どうもここまで書いてみたものの、どうにもつづかなかったようで……。こらえ性がないといいますか、淡泊とでもいいましょうか。すぐに土俵を割っちゃうんですよね。時間がとれたら――って、いまはリタイア生活なんだから時間はあるんですけどね。前にもお話したと思いますが、あの頃の自分がわからなくて……...ポエム~焦燥編~(いらだち)

  • 青春群像 ご め ん ね…… えそらごと(十二)

    突然のことになんと返事をしていいのかわからず、ただドギマギして口ごもってしまった。「じゃあ、あす十時に会社の駐車場ね。そういうことで、キマリ!」一方的に取り仕切られて終わった。自分の行動を他人に仕切られることを極端にきらう彼だが、今回はちがった。自分の決断ではなくても腹が立たない。すでに頭の中では、あしたの走るコースを色々と思いめぐらせていた。真理子という娘は、一週間ほど前にはいって定時制高校にかよっている。定時よりも早い五時に退社し、自転車をか駆ってつうがくしている。入社初日に自転車の都合がつかず、手のあいていた彼が車で送ることになった。むっつりとした表情を見せながらの、十分間ほどのデートになった。真理子は「すみません」とすこしかすれた声を出し、申し訳なさそうな顔つきを見せた。彼はといえば「仕事の内だか...青春群像ごめんね……えそらごと(十二)

  • [ブルーの住人]第四章:蒼い友情 ~まーだー~

    (二十一)大っきい病院だね?病院の住所がわからないわたしは、奮発してタクシーに乗りこんだ。とても親切な運転手さんで、少ない情報しか持ち合わせていないわたしに、最大限の協力をしてくれた。無線機をつかって、ほかの運転手さんに呼びかけてくれたりもした。「kashiwara市の病院だね?大っきい病院だね?市民病院ではないんだね。となると、あそこだな。公立病院じゃないわけよね。kashiwara総合病院というのがあるんですよ、民間だけれども。了解!すぐですから、ほんの2、3分で着きますから」「お客さん、地元の人じゃないね」「観光かい?きょうは」「ここには……なんかあったっけ?」「ああ、そういえば、神社があるねえ」「お正月には、すごい人だよ」「そうそう、ずいぶん古いところでさ」「ことしは、なん年だっけ?」「うん。こと...[ブルーの住人]第四章:蒼い友情~まーだー~

  • [宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり! (四十二)

    (舟島五)「約束の刻限に遅れるとは、何ごとぞお!」愛用する長剣を右手に持ち、鞘を投げ捨てて、小次郎は走り寄った。波打ち際を走り続けるばかりのムサシは、その場に止まって決しようとする気配をまるで見せない。小次郎に罵声を浴びせながら、ただただ走る。次第に小次郎の体力が奪われていく、胆力が失われていく。野生児のムサシ、策士なり!「敗れたりい!小次郎。何ゆえに、納めるべき鞘を投げ捨てる。勝負を捨てたかあ!」突然の、思いもかけぬムサシの言葉に、激しく小次郎は動揺した。荒ぶるムサシの言葉に、翻弄された。三尺にも及ぶ長剣の鞘、邪魔になりこそすれ、打ち捨てても何の問題もない。しかし様式美にこだわりを持つ小次郎の心底に響いた。思えば、道場での立ち会いは礼に始まり礼に終わる。御前試合もまた、然り。御城内での御前試合に首を縦に...[宮本武蔵異聞]我が名は、ムサシなり!(四十二)

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