足もとに目をやりますと、なにやら蠢いております。トカゲのようなゴキブリのような、そんな気味の悪いものがわたしの足指やら、ええっ!手指の間やらをはいずり回っております。わたしの体を這っているのでございます。ナメクジのような、ウジ虫のような、……うわああぁ!お腹といわず、胸といわず、股間もでございました。お待ちください、それだけではないのです。じつは、おぞましいことに、口のなかからも出てくるのでございます。湧きでてくるのでございます。あ、あろうことか……。あ、ありえません。わたしの顔を持った、大便にたかる銀蝿が、口といわず鼻といわず、耳からも飛びだすのでございます。ああ、も、もうし訳ありません。もうこれ以上のことは、わたしには申し上げられません。失礼いたしました。ここでやめては、なんのことかおわかりにならない...愛の横顔~地獄変~(四)夢:後