愛の横顔 ~100万本のバラ~ (二十七)
“わたしはほんとうに、トップに立ちたいの?ただ幼いころにいだいた憧れの気持ちに酔っているだけじゃないの?わたしの居場所は、あの教室の、一講師にすぎないのでは?”“わたしはトップに立てるの?そして上り詰めたその座は、本当にわたし居場所なの?それにいつかは、いまのわたしのように、だれかに追い落とされるんじゃないの?”疑念が渦巻いてる。松下という男を信じていいのか。しかし「結婚」ということばすら口にした、愛人ではなく、妻として迎えると言ってくれた。激しい高揚感につつまれる。“そうよ!自分の居場所はトップなのよ!”そしてそれは、いま、目の前にいる松下によって与えられるものなのだ。意を決して、栄子が二人を前にした。「決めました、あたし。松下さん、お世話になります。あなたの妻にして下さい。そして、トップスターにしてく...愛の横顔~100万本のバラ~(二十七)
2024/01/31 08:00