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敏洋 ’s 昭和の恋物語り https://blog.goo.ne.jp/toppy_0024

[水たまりの中の青空]小夜子という女性の一代記です。戦後の荒廃からのし上がった御手洗武蔵と結ばれて…

敏ちゃん
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住所
岐阜市
出身
伊万里市
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2014/10/10

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  • 良いお年を!

    2022年も終わりとなりました。令和4年、どんな一年だったのか……。4年前の2019年(平成31年お正月)、念願の九州旅行でした。生まれ故郷の佐賀県伊万里市の変貌を、どうしても死ぬ前に見ておきたくて、ローンレーンジャー3号(ダイハツミラ・クラシック)でもって出かけました。行きは大阪南港からのフェリー・さんふらわあ号に乗り込み、新年に別府港到着でした。「初日の出を船上から」なんて意気込んでいたものの、フェリーでのことは思い出したくもないことばかりで、元旦には「とにかく逃げだそう」ばかがりに、日の出のことはまるで忘れちゃいました。で、翌年の2020年(令和2年お正月)に、土佐・桂浜からの初日の出参拝となったわけですけど。2021年(令和3年お正月)に、いま一度九州旅行(今度は、鹿児島から上陸して熊本・佐賀・福...良いお年を!

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(三百四)

    「いいかい、勝利。あの娘さんはだめだよ。小夜子奥さまには申し訳ないけれども、あの千勢ってむすめは卑しい。生まれがどうのと言っているじゃないよ。それを言ったら、我が家だって大したことはないんだから」キッと竹田を睨み付ける母親で、その意思は固いものだった。「そりゃね。料理もまあまあだろうし、気性もおとなしそうだ。でもね、顔に品がない。なにかしら、卑しさが感じられるんだよ。勝利には合わない。あたしだってね、ただ宗教に狂ってたわけじゃない。それなりの勉強もしたんだ。人相見なんか、自分で言うのもなんだけどね、大したものだと思ってるよ」「それにしちゃ、悪い奴だと分からなかったじゃないか。金を巻き上げるだけの、悪い宗教だったんだ。しまいには、得たいの知れない修験者なんてのも現れたし。加藤専務の力がなかったら、今ごろはど...水たまりの中の青空~第二部~(三百四)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(三百三)

    「母さん、分かったから。死んだ父さんに言われたんだよね。ありがとうって、言われたんだよね。笑い顔ひとつ見せなかった父さんが、言ってくれたんだよね。それが嬉しかったんだよね」「お母さんの時代はそれで良いわよ。でも、あたしは違うの。ねえ、小夜子さんもそうよね。違うのよね」小夜子に同意を求める勝子だが、実のところは何が母親の時代と違うのか分からないでいる。とにかく母親のように、夫に尽くすだけの人生はいやだと思っている。「ちがうことなんかあるもんですか!女はね、旦那さまのお世話をして、子どもを授かったらキチンと育て上げて、そして立派な人間として世間さまに送り出すものさ。それが妻としてのつとめなんだよ」背筋をピンと伸ばして、小夜子に正対して、さらにつづけた。「小夜子奥さま、あなたもですよ。それが女としての、妻として...水たまりの中の青空~第二部~(三百三)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(三百二)

    「そ、そんな!そんな風には、ちっとも見えませんでした。いつもにこやかにしてらして、お嬢さま然としてらして」「勝利!お前、どこを見てるのよ。それで商売人だなんて、よくいばってられるわね」母親からの愛情をたっぷりと受け止めて育った竹田には、とういてい理解のできぬ小夜子の話だった。叱りつけた勝子にしても、心底から理解したものではない。ただ小夜子の言葉を、そのままに受け止めたにすぎない。まだ幼かったころに、弟が母親に溺愛されることに腹を立て、つまらぬことで弟をおとしめた。「年があけたら学校にはいるのよ。なのにまだ、おねしょなんて!」そして母親のいないところで頬をつねったりもした。「ついてこないで!あたしはあんたの子守じゃないんだから!」ちょこまかと勝子にまとわりつくのは、同年代の子どもが周りにいないせいもあったが...水たまりの中の青空~第二部~(三百二)

  • 大雪に、ビックリビックリビックリ!!!

    朝。8:15ごろにトイレへ。昨日までの「おお、さむっ!」ということはなかったんですよね。もうひと眠り、とばかりにベッドへ。9:30ごろに、起床。いつものように、布団を片付けるためにカーテンを開けて、窓をオープン!ギョギョギョっ!&、ビックリビックリビックリ!!!おまけで、えっえっえっ!!!の三連発。20?30cm?とにかく、車はもちろん、地面にしっかりとゆきが居座ってる。しかも、細かくはあるんですが、そして少しではあるんですが、雲から雪が舞い降りているんです。「こりゃ、駐車場から車がでるか?」思わず口から出ましたよ。まあねえ、道路まで行ければ大丈夫だと思うんですけど。軽自動車が、なんとかかんとか走ってますから。路線バスは、楽勝さ!と言わんばかりに走ってましたわ。今日は、歯医者の予約日だし、処方薬をもらわな...大雪に、ビックリビックリビックリ!!!

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(三百一)

    「いいの、いいのよ、勝子さん。竹田だって、そんな風には思ってないはずだから。そうでしょ、竹田?見世物にするつもりじゃないんでしょ?」「もちろんです、もちろんです。そんな、、、」小夜子から差し伸べられた救いの手に飛びつく竹田だった。しかし勝子の怒りは収まらない。竹田の言葉をさえぎって、叱り付ける。「思っていようと思っていまいと、結果はそういうことになるのよ。勝利、あんた分かってるの!好奇の目で見られるのよ!会社のみんなに言っておきなさい。姉の勝子が怒っていたって。いいわね、承知しないわよ、そんなこと」中々に怒りの収まらぬ勝子で、その後もぶづぶつと一人憤慨しつづけた。「まあまあ、勝子。その辺にしておきなさい。勝利も、もう少し考えることね。考えが足りなかったわね、確かに。姉さんの言うことの方が、まともだよ。さあ...水たまりの中の青空~第二部~(三百一)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(三百)

    ひとつひとつのことばに、竹田の無念さがこもっている。三代つづく、老舗の一つに数えられている金物店ではあった。初代、二代目と順調に業績を伸ばす店ではあった。三代目にしても腰が低く働き者だと評判のたつ好人物ではあった。が、その好人物ゆえの、店の傾きだった。従業員たちに対して、厚遇をつづけたことが命とりになってしまった。取引先から「そこまで店の者を甘やかすのは、どうなんだろうね」と苦言を呈されることもままあった。結局は、たちの悪い業者にだまされて、金をつかまされた従業員の裏切りもかさなり、一気に資金繰りが悪化してしまった。そんな中ほとんどの業者が逃げにかかっている店に対して、売れ筋の製品を富士商会がまわした。「これで挽回できるだろうが、慎重にやんなさいよ」。武蔵のかけたことばに、「恩に着ます」と、深々と頭をさげ...水たまりの中の青空~第二部~(三百)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百九十九)

    「社長は何もおっしゃいません。よわったな、どうご説明したらいいか……。社員たちの気持ちなんです。なんというか、その……。そう!そうなんです、天下布武の旗印なんです。戦国の武将には、旗印がありますですね。たとえば、上杉謙信は『毘』の文字、武田信玄は『風林火山』といった具合の。太閤秀吉は、金のひょうたんとかですね。『うちの会社はこうだ!』という旗印を、みな欲しがっているんです。口の悪い業者間で、ハゲタカ富士商会と言われているんです。それが、みな、くやしいんです」「ハゲタカ?ハゲタカって、あの、死んだ動物の……」。眉間にしわを寄せて、聞き返した。たまりかねて、勝子が口をはさんだ。「勝利!いいかげんにしなさいよ!そんなの、やっかみでしょ!そんなことを、小夜子さんの耳に入れるなんて、どうかしてるわ」「いいえ。聞かせ...水たまりの中の青空~第二部~(二百九十九)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百九十八)

    「仕事に関しては、たしかに厳しいけどさ。でも、みんな、大好きなんだ。人情味にあふれてる社長で、どこまでもついて行くぞ!って感じなんだ。実は、社長が結婚されると聞いたときには、不満の声が上がったんだよ。社長に見合う女性は、そんじょそこらにはいない!って。それこそ、人気スターじゃなければ釣り合わないって。でも、小夜子奥さまを見たとたんに、みんな大喜びしました。小夜子奥さまなら許せるって。みんな、そう思ったんです」母親の不安げな顔に、満面の笑みを見せながら竹田が宣した。「あらあら、急にどうしたの。あたしを持ち上げても、なにも良いことはないわよ。なにも出ないわよ」「そんなことないのよ、小夜子さん。勝利は、ほんとに小夜子さんが好きみたいで。初お目見えの夜なんか、そりゃもう口から泡を飛ばす勢いで、熱弁をふるったんだか...水たまりの中の青空~第二部~(二百九十八)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百九十七)

    「なあに、それって。ほんとはあげるつもりなんかなかったんじゃないの」小夜子の笑顔を眩しそうに見ながら、「へへ。実はですね、加藤専務にお聞きしたのですが。一人だけ、いただけた人がいるとか。でも、女給さんじゃないんです。違いますよ、違います。女子社員でもないです。会社だと、さすがに壱萬円は出ませんけれども、報奨制度というのがあるんですが。製品の売り上げが上がったとか、配達先で喜ばれたとか、事務関係だと経費節約につながったとか。いろいろなんです。ただ社長が決めるんで、えこひいきだなんて文句もときどき出ますけど。まあ、女の子が多いもんですから、分からないわけでもないんですが」一気にしゃべるったところで、お茶でのどをうるおすと、「勝利は?」と勝子が口をはさんだ。「ぼく?ないよ、そんなの一度もないよ。そうだ!吉田がも...水たまりの中の青空~第二部~(二百九十七)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百九十六)

    起き上がるやいなや、仕切り始めた。竹田は、黙々と勝子の指示にしたがった。“勝子さんの前では、竹田も形なしね。会社じゃ敬われているのに。ま、竹田の機敏さは、勝子さんのおかげね。でも、覇気が感じられん!って言う武蔵だけど、なるほどよね”「さあさあ、奥地に合いますかどうですか。田舎料理でございますが、どうぞ召し上がってください。味はしっかりと染み込んでいるはずでございますけれど、味付けはお宅お宅で違いますから」大きな丼の中に、こげ茶色の芋やら人参やら白ねぎやらが、ごちゃごちゃと入っている。申しわけ程度にイカの足が所々に顔を出しているのは、ご愛嬌か。「小夜子さんは、料理屋さんでの食事が多いんでしょ?あたしも死ぬまでに一度ぐらいは、食べてみたいわ。勝利。あんたは、食べてるわよね。社長さんに連れて行ってもらってるんで...水たまりの中の青空~第二部~(二百九十六)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百九十五)

    「ねえ、勝子さん。疲れたでしょう?横になって。足をさすってあげる、ううん、さすらせて。ね、いいでしょう?」と、半ば強引に勝子を横にしてしまった。「いいわよ、そんなの。別に疲れてなんかいないし。でも、そう?そんなに言ってくださるのなら、ちょっとお願いしようかしら。でも、ほんとにちょっとでよろしいから」しつこく言う小夜子に違和感を感じつつも、体を横たえると思いもかけず疲れを感じた。“おかしいわ、なんともなかったのに。なんだか体がだるいわ。そうか、小夜子さんに会えてはしゃぎ過ぎたせいね。ああ、でも気持ち良い。ほんとね小夜子さんって上手だわ。お母さんもしてくれたけれど、小夜子さんが一番ね。なんだかこのまま眠ってしまいそうだわ”“やっぱり熱いわ、さっきより熱くなってる”「でもお元気になられて良かったわ。こうして自宅...水たまりの中の青空~第二部~(二百九十五)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百九十四)

    まるで、夢見る少女だった。“目がキラキラしてるわ”と、まぶしく思える小夜子だった。ほほにも赤みがさして、さながら少女漫画に登場してくるお嬢さま然としていた。片時も離れたくないと、握った手を離そうともしない勝子だが、小夜子には自分と会ったことでムリをしているのではないかと不安になってくる。“さっきより熱くなってる気がするわ”。“こんなことなら来るんじゃなかった”。“病院に確認してからの方がよかった”。そんな思いが小夜子にわいてくる。「お茶、持ってくるわね」と、いそいそと勝子が離れた隙に「竹田。ほんとのところは、どうなの?ほんとに快方に向かってらっしゃるの?」と、声をひそめて問いただした。「は?はい、もちろんですけど。どうしてですか?」怪訝そうな顔つきで小夜子の真意をはかりかねるといった風に、竹田が逆に問い返...水たまりの中の青空~第二部~(二百九十四)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百九十三)

    「勝子、勝利!小夜子さまを、ほら、ご案内して。そんな玄関でなにしてるの、失礼でしょ」中から、声がする。二階建ての家で、土かべが所々はげかかっていたりしている。玄関のガラス戸もガタガタと音を立てなければ開かない。「古い家でして」。申し訳なさそうに竹田が言う。「掃除は毎日してくれているのですけ……」と、付け足した。「なに言ってるの!」。奥から母親であるタキの声が飛んできた。「お金が取りもどせたんですよ、専務さんのご尽力で」と、五平に対する感謝の言葉口をついたところで、あわてて「母さん!社長の指示だと言ったろうが。社長のおかげだって」と、荒い声をかぶせた。「いいのよ、竹田。分かってるから。こういったことは、専務のお家芸でしょうから。お母さんにそんな言い方をだめでしょう!」と、語気鋭く言った。場の雰囲気を変えるべ...水たまりの中の青空~第二部~(二百九十三)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百九十二)

    「遠いのね」「もうすぐですから、はい。病院に近いものですから、どうしても引越すわけにいかなくて、母が通うにはどうしても近い所でないと」申し訳なさそうに、竹田の声が小さくなっていく。「なに言ってるの、そんなの当たり前でしょうに」。ぴしゃりと、小夜子の強い声が飛ぶ。「あ、あれ、姉です。姉が手をふってます」やっと現れた援軍を誇示するように、竹田の晴れ晴れとした声が車中に響いた。「そんな大きな声を出さなくても。お姉さん?あら、ほんとだわ。お姉さーん!お姉さーん!お姉さーん!」車の窓から身を乗りだすようにして、小夜子も手をふぬった。「小夜子奥さま、危ないですから。あまり乗り出さないでください。怪我をされては、社長に叱られますし」「小夜子さん、小夜子さん。あたしね、あたしね、こんなに元気になっちゃった。ほらね、ほらね...水たまりの中の青空~第二部~(二百九十二)

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