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  • 堤隆夫「凍土の森の中から」ほか

    堤隆夫「凍土の森の中から」ほか(朝日カルチャーセンター福岡、2024年06月17日)受講生の作品。凍土の森の中から堤隆夫歓びも悲しみも凍てついた凍土の森の中から不遜にも花ひらく曼珠沙華の実存よそはいつか視たアウシュビッツの殺人現場の象徴か「広場の孤独」の正午の紫外線の曳航か雨の降る奇妙に空気が熟した優しい日の夜疑似症の愛に悶えながら生あるものの死の必然に愕然と頭を垂れ刮目して待つ「本当の愛に出会うまでは死ねないよ本当の絶望に出会うまでは死ねないよ」ああなんというパンドラの箱のパラドックスか晩秋の氷雨に心が凍える時私は煩悩の日々に終止符を打つ「あるがままの自分でいいじゃないか自分でやったことは悔やむな」亡き母の口癖だったこの言葉が今日も私の心底で共鳴する夜風の咽び泣きと柿の葉の風鈴の小夜曲となって「本当」と...堤隆夫「凍土の森の中から」ほか

  • Estoy Loco por España(番外篇449)Obra, Calo Carratalá

    Obra,CaloCarrataláDoscuadros.¿Fueuncuadrodivididoendososeconvertiráenunoapartirdeahora?Estapreguntanotienesentido.PorqueloscuadrosdeCalolotienentodo.Enelpasadoviestepaisaje.Enelpresenteveoestepaisaje.Enelfuturoveréestepaisaje.Aquíhay"todo".Nosetratadeagua,tierraocielo.Aquíhay"todotiempo"o"tiempocompleto";pasado,presenteyfuturo,yexistecomouno."Tiempocomple...EstoyLocoporEspaña(番外篇449)Obra,CaloCarratalá

  • 谷川俊太郎『からだに従う』

    からだに従うベストエッセイ集(集英社文庫)谷川俊太郎集英社谷川俊太郎『からだに従う』(集英社文庫、2024年06月25日発行)谷川俊太郎『からだに従う』には「ベストエッセイ集」というサブタイトルがついている。谷川俊太郎のベトトエッセイなのか、ベストエッセイ集というシリーズの一冊なのか、よくわからないが、まあ、エッセイ集である。読み始めてすぐ、「文体が固い(若い)」と感じた。最初の「失恋とは恋を失うことではない」はいつ書かれたものか。次の「青年という獣」には(「新潮」1955年6月号)と初出が明記されている。やく70年前だから、まあ、文体が若くて当然なのだが、その文体の若さは、(当時の)詩の若さよりも、もっと若く感じられる。失恋のすべてを通じて確かなことは、僕らはどんな失恋をするにしろそれは恋を失うことでは...谷川俊太郎『からだに従う』

  • アレクサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」(★★★)

    アレクサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ置いてけぼりのホリディ」(★★★)(2024年06月24日、キノシネマ天神・スクリーン3)監督アレクサンダー・ペイン出演ポール・ジアマッティ、ダバイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサこの映画は100点満点で採点すると102点の映画である。100点ではもの足りず、プラスアルファをつけたくなる。やっていることはすべてわかる。どこにも「欠点」はない。完璧。完璧というだけではおさまらない。しかし、★は三個。100点を上回るのだけれど、手放しでは称賛できない。どういうことかというと。映画が始まってすぐ、あっと息を飲む。そして、たぶん2秒か3秒後に、この映画のすべてがわかる。映画の最初は会社のトレードマーク。くすんでいる。ぼやけている。ここで、あれっと思う。そして、...アレクサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ置いてけぼりのホリディ」(★★★)

  • Estoy Loco por España(番外篇448)Obra, Juancarlos Jimenez Sastre

    Obra,JuancarlosJimenezSastreSINTÍTULOESCULTURAENHIERROEstehierroesunárbolquecrecedíaadía,absorbiendonutrientesdelapiedraamedidaquelamuerde.Yeseárbolnosólocrece,sinoquellegaalcielo,susraícesagarranlaspiedrasynuncalassueltan,arrancandolaspiedrasdelatierrayelevándolashaciaelcielo.Estafantasíaesimposible.Sielhierro,comounárbol,tienesusraícesenlapiedra,nopuede...EstoyLocoporEspaña(番外篇448)Obra,JuancarlosJimenezSastre

  • Estoy Loco por España(番外篇447)Obra, Jesus Coyto Pablo

    Obra,JesusCoytoPablolaserie"LAZONAOSCURA"-¿Elnegroenestecuadroeranegrodesdeelprincipio?¿Oalprincipioelnegronoexistiaaqui,sinohabiauncolordiferente,ysevolviónegro?Queriapreguntaralcolornegrosisatisfaceeldeseodeuncolorquenoexisteaquí.-¿Oelnegroenestecuadroestátratandodeconvertirseenuncolordistintoalnegroyestáenprocesodedividirseenmuchoscolores?¿Elrojoquehay...EstoyLocoporEspaña(番外篇447)Obra,JesusCoytoPablo

  • こころは存在するか(37)

    和辻哲郎「尊皇思想とその伝統」のなかに、興味深い表現がある。記紀に書かれた神の異義について触れたものだが、記紀に登場する神は絶対者をノエーマ的に把捉した意味での神ではなく、ノエーシス的な絶対者が己れを現わしきたる通路としての神なのである。ノエマ=思考によってとらえられた対象、ノエシス=思考作用、思考する運動という「理解」でいいのかどうか、「絶対者」が「ノエシス」と結びつけられていることに私は引きつけられる。和辻は「思考する、その動き」そのものが「絶対」であり、「思考された対象(存在)」を「絶対」とは結びつけていない。生きているとき、もし「絶対」というものがあるとすれば、「思考する」という「運動」が絶対なのである。これは、もしかすると、和辻批判に対する和辻の反論とも言えるかもしれない。和辻の提出している「結...こころは存在するか(37)

  • 小津安二郎監督「小早川家の秋」「宗方姉妹」

    小津安二郎監督「小早川家の秋」「宗方姉妹」昔の役者は、みんなうまいなあ。リアリティーそのものに関して言えば、いまの役者の方がうまいのかもしれないが、味が違う。「小早川家の秋」のなかで、原節子が、「人間は品行は変えられても、品性は変えられない」というようなことを言うが、なんというか、昔の役者は「品性」を演じる。いまの役者は、「品性のなさ」をさらけ出すことを演技と思っているのかもしれない、とふいに思ったりした。その「品性」に関して言えば、たとえば「小早川家の秋」のなかで、原節子と司葉子が会話するとき、いっしょに腰を下ろしたり、立ち上がったりする。その呼吸が、ぴったりそろっている。同じスピード、同じリズムである。「動き」が肉体に染みついている。それが「品性」というものかもしれない。これは中村鴈治郎が浪花千栄子の...小津安二郎監督「小早川家の秋」「宗方姉妹」

  • 長島南子「追伸」

    長島南子「追伸」(「天国飲屋」5、2024年06月16日発行)長島南子「追伸」は「さっちゃん」にあてた手紙。「あの人は家を出て行きました/行方不明です」。それで、誰もいない部屋でご飯を食べていると食べ物をかみ砕く音だけが耳に響いてくるのです食べてからはもうすることがありせん耳のなかがじんじんしてきます大声でわめきたくなりますかたわらで猫がじっと見つめていますという、おばさんにしか書けない「絶対孤独」を描写することばのあと、人間と人間の、これまたおばさんにしか書けない「間柄」のなかをことばが動いていく。さっちゃん行方不明なのはわたしです家には行方不明が服を着て来客を待っています近くまで来たらお寄りくださいあれ行方不明はあの人でしたいいえわたしでしたいいえさっちゃんでしょかたわらで猫がじっとみつめています「間...長島南子「追伸」

  • 細田傳造「ジェローム・アレキサンダーに会ったらきいてみたい」

    細田傳造「ジェローム・アレキサンダーに会ったらきいてみたい」(「ウルトラ・バルズ」41、2024年05月25日発行)細田傳造「ジェローム・アレキサンダーに会ったらきいてみたい」の最後の部分。ジェローム・アレキサンダーに会ったらきいてみたい市立大学で二十年もジャック・ラカンを研究した男だきっと馬鹿にされるなかれを馬鹿にしている最後の最後の、この二行がいい。細田傳造そのものである。ひとはひとを馬鹿にする。理由は、はっきりしている。だから、その理由を私は書きたいとは思わない。そして、理由がはっきりしているからこそ、細田はいつでもひとを馬鹿にしている。しかし、それはジェローム・アレキサンダーが細田を馬鹿にするときとはまったく違っている。そういうことが実際にあるわけではないだろうが、ジェローム・アレキサンダーは細田...細田傳造「ジェローム・アレキサンダーに会ったらきいてみたい」

  • 橋本篤『あした天気になあれ』

    橋本篤『あした天気になあれ』(編集工房ノア、2024年06月12日発行)橋本篤『あした天気になあれ』の表題になっている作品は、「セツさんの呼吸がときどき止まるようになった」と、はじまる。危険な状態である。点滴を増やすのではなく、減らす。そうすると「呼吸は楽になり気分は穏やかになるのだ」という。そうした治療経過の後、詩は、こんなふうに終わる。セツさんの部屋の隅に分厚い一枚板の机があるそこで書にむかっているセツさんをよく見かけたかつては書道の先生で弟子もとっていたというそんないつもの机の上に誰が置いたのだろうハラリと一枚の書しっかりと明るくのびやかにあした天気になあれおだやかで明るい詩だ。セツさんが死んでしまったのか、まだ生きているのか、それは書かれていないが、死んだとしても、その死が明るく未来へ広がっている...橋本篤『あした天気になあれ』

  • 荒川洋治「裾野」ほか

    荒川洋治「裾野」ほか(朝日カルチャーセンター福岡、2024年06月04日)荒川洋治の作品と受講生の作品を読んだ。裾野荒川洋治少女たちは父親の顔をして先頭を歩いた十年もたつのに重心は高く山の雲がふくらむ軽い荷物には焼き菓子が紙に包まれて曲がり角のたびに宕々とものを落とす楽な気持ちをつづける詩もきれいな心にさしむかう歌もよく開墾された散文も邪魔になる人は人のそばを通りぬけるので先頭は見えない裾野からは努力であることしか見えないきょうも大きな岩が落ちていた「むずかしいことばはないのに、読むのにむずかしい。テーマは重いと思うが、焼き菓子などがでてきて、おもしろい」「主題がわからない。なぜ少女たちが父親の顔をして先頭を歩いたのか。戦後の厳しさを書いているのか」「三連目の『よく開墾された』からの二行が印象的で考えさせ...荒川洋治「裾野」ほか

  • Estoy Loco por España(番外篇446)Obra, Jose Miguel Palacio

    Obra,JoseMiguelPalacio"TiendaDieselelPaseodeGracia,Barcelona"óleosobrelienzo,130x195cms,2015¿Quéesarte?¿Oquésignificaver?Creoque"cortar"esunarte.Ocreoquenover,oenotraspalabras,verselectivamente,esarte.Asícomocuandounoamaaunapersona,yunoolvidaaotra,elarteeligeundeterminadoobjetoyundeterminadomomentoparaexpresarlo.Seolvidadetodolodemásysecentraenunacosa.Dea...EstoyLocoporEspaña(番外篇446)Obra,JoseMiguelPalacio

  • Estoy Loco por España(番外篇445)Obra, Joaquín Llorens

    Obra,JoaquínLlorens¿Lossietearcosseestánmoviendohaciauncírculo?¿Estásavanzandohaciaunesférico?¿Cuálesexactamentelaformadeseadaporellos?Enprimerlugar,¿sabensiquieraestossietearcosquéeselcírculosoelesférico?¿Sabencómomoverseparaformarelcírculooelesférico?Talvezlossietearcosnoconocensu"formacompleta".Lossueñosnosehacenrealidad.Lossietearcosquedaráncomoestán....EstoyLocoporEspaña(番外篇445)Obra,JoaquínLlorens

  • 「資源」ということば(読売新聞の「書き方」、あるいは「罠」)

    最近、読売新聞でつづけて「資源」ということばに出合った。いずれも「安保問題」に関してのアメリカ人の発言である。とても奇妙なつかい方をしている。ひとつは2024年6月6日の、欧州各国がインド太平洋で「安保を強化している」というもの。アジア安保会議に出席した米調査研究期間ジャーマン・マーシャル財団の中国専門家、ボニー・グレーザー。南シナ海、台湾海峡で欧州の艦艇が活動しているのは「(この地域の)安定維持に欧州が貢献する意志があるという中国へのシグナルになっている」と語った上で、こう言っている。もし米国がウクライナ支援や欧州の安全保障から手を引けば、欧州がインド太平洋に割ける資源は限られ、関与は薄まるだろう。もうひとつは、6月8日の記事。元国防次官補代理、エルブリッジ・コルビー。「中国の侵略今すぐ備えよ」という見...「資源」ということば(読売新聞の「書き方」、あるいは「罠」)

  • 細田傳造『杭』

    細田傳造『杭』(現代詩書下ろし一詩篇による詩集、懐紙シリーズ第十三集)(阿吽塾、2024年05月10日発行)何を書こうか。今から思うとあの日本人の親切が怪しいあの朝鮮の役人の怒りがわかるこの三行は、私には、やはり胸にこたえる。ほかにもいろいろあるが、この「正直」の前では、私のことばは何の意味もない。私は、そのことについて何の関係もしていないのだが。(そう言いたいのだが。)そこで、唐突に、こんなことを書いておく。私はときどき外国人に日本語を教えている。きょうの生徒はオーストラリアの外務貿易省で働いている女性だった。通訳の国家試験(オーストラリア)のようなものに優秀な成績で合格しているし、実際に、実務で何年間も通訳をした経験がある。いまさら「日本語を教えます」もないのだが。きょうは、欧州各国が、インド太平洋の...細田傳造『杭』

  • Estoy Loco por España(番外篇444)Obra, Alfredo Bikondoa

    Obra,AlfredoBikondoaPUERTAPALESTINA-2005-Óleos/lienzo-195x260cm.ColecciónCIRCAXX-PILARCITOLERMuseoPabloSerranodeZaragozaNopuedoencontrarlaspalabras.Laspalabrasnosemueven.Peroinclusoentoncespuedoescribir:"Nopuedoencontrarlaspalabras.Laspalabrasnosemueven".¡Quécontradicción!¿Esestounablasfemia?¿Peroaquiényaqué?¿APalestina,oamispropiaspalabras?¿Sonmispalabra...EstoyLocoporEspaña(番外篇444)Obra,AlfredoBikondoa

  • 最果タヒ『恋と誤解された夕焼け』

    恋と誤解された夕焼け最果タヒ新潮社最果タヒ『恋と誤解された夕焼け』(新潮社、2024年05月30日発行)最果タヒは21世紀の谷川俊太郎である、と私は思っている。私には、ふたりはとても似ている。もちろん違う部分もあるが、とても似ているところがある。まだ半分読んだだけだが(49ページまで読んだだけだが)、その最後に読んだ「パール色」という作品にこんな行がある。血の巡りは独立したまま、ぼくらは他人のままでいつまでもさみしく、それなのにとても近かった、ここから寺山修司を、あるいは飯島耕一を思い出すひともいるかもしれない。いや、「血の巡りは独立したまま、/ぼくらは他人のままで」ということばを通して、寺山を、飯島を思い出したのは私なのだけれど、その後の展開で、ああ、谷川俊太郎だなあと、改めて思ったのだ。「さみしく」で...最果タヒ『恋と誤解された夕焼け』

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