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油屋種吉
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2013/08/16

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  • 天網恢恢、疎にして漏らさず。

    ブロ友のみなさま。あしたから五月ですね。「新しい朝」そんなあしたがこの世にやってくる予感にかられました。ようやく、といった感じです。しかし相変わらず、自死する方が非常に多い。新しい朝って?どこがどうして?タイトルとどんなかかわりがあるの。そう訊ねられそうです。ラジオ体操の歌の文句の中にありましたよね、この言葉。テレビやラジオから流れてくるニュースを聞いていまして、今朝ほどふっとそんな想いがわいたのです。何をして、新しいと思うのか。それは、読者さまたちのお考えにおまかせしたいと思いますが……。インターネットでつながっている。そんな中で、こうやって、ひと言述べるのはとても気をつかいます。どなた様が読んでいらっしゃるかわからないから当然ですよね。ところで、お釈迦さまが亡くなられてのちどれくらいの歳月が過ぎ去った...天網恢恢、疎にして漏らさず。

  • 忘却。 補遺

    それからどれくらい経っただろう。冬の日は短く、間もなく、漆黒の闇が辺りを包みこもうとしていた。件のサイデリアの奥まった駐車場。その片隅に、何やらおもちゃの蛇のような細長いものが最寄りの街灯のもとでほの白く輝いていた。よく観ると、それは今はやりの精巧にできた恐竜のミニチュアに酷似していた。足が四つあるのが、気になる。しかし、もっと現実味のあるもので、首から尻尾にかけて、からだの表面に、あちこち赤っぽいペンキがまだらに付いていた。時折、ひくひくと動く。裂けた口から、何やら数珠状の黒っぽい玉がころがり出ている。米英では蛇はスネイク、トンボをドラゴンフライと呼ぶ。ふたつの目玉で、かっとにらまれれば、いかなつわものでも怖気づいてしまうだろう。その小さな蛇は自ら、渾身の力を尽くし、物影に自らの体を隠そうと試みたあげく...忘却。補遺

  • 忘却。 エピローグ

    「あんた、どうすんのよ。げっぷばかりして。あたし、ふたりでお茶するの、楽しみにしてたのよ」めったに言わない言葉を、思わず、口にしてしまい、かみさんがほほを染めた。「ううん、そうだなあ。お茶だけでいいのか」「食料いっぱい買い込んだけど、これは明日からの分でいいわ。今晩はどこかで食べたいわ」「ふうん、そうさなあ」おれは腹ぐあいを確かめるつもりで、ハンドルから左手を離した。のの字を書くように、腹の上で左手を動かす。「ちょっとだけ、大丈夫みたいだぞ。食後のデザートの用意もできてるし」「デザートって?」「いやなに……、なんでもない」「いやだわ。男のくせに、一度言いだしたことをひっこめるなんて」安上がりでいいわとかみさんが言うので、ふたりしてサイデリアのドアを通る。(先ずはドリアドリア、コインみっつで食べられる……)...忘却。エピローグ

  • 喉もと過ぎれば……。

    こんにちは。ブロ友のみなさま。いかがお過ごしでしょうか。わたしは、このところ、あまり元気がありません。なぜかといえば、詐欺メールに、見事なまでにひっかかってしまったからです。どうやって、彼は、わたしのクレカの詳細を知るのでしょう。どうしたら、わたしのいのちの次に大切なものを抜き取ることができるのでしょう。彼なりに必死に考えたのでしょう。敵は手ごわい。クレカについての知識を、充分に認識しています。異変は三月の半ばにありました。PCの画面に、明らかに、詐欺だとわかるくらいの画像が現れました。わたしは直ちに鹿沼ケーブルに電話。「この画像を削除するにはどうしたらいいでしょう」「では、こうしてください」この判断は正しかった。即座に、正確な処理のしかたを教えていただき、事なきを得ました。問題はこのあとでした。発信元が...喉もと過ぎれば……。

  • 忘却。 (4)

    かみさんの小言は、スーパーの玄関を出る際にもつづいた。(また始まったか。まったくいつまで続くのだろう)おれは思わず、あらぬ方を見つめた。その瞬間、ふっと何かが、おれの視界を横切った。年輩の女の人らしかった。割烹着を草色の着物の上に重ねていた。横顔がどこかで見たことが……と思ったら、もうこの世にいないはずのおれのお袋に似ていた。(おれを心配して、お袋は、自分の若いときの姿で出て来てくれたのだろうか、あれは白昼夢だったんだ。そうに違いない)おれはしばらくしてから、そう思った。かみさんの小言は、まるでしとしとと降ってはやみ、降ってはやみする、菜種ツユのようだった。ぶつぶつと小声で言っている。そのぶんエネルギーの消耗が小さい。だから、ねちねち、ねちねちと長引いてしまうように思われた。おれが少しでも、その小言に対し...忘却。(4)

  • 忘却。 (3)

    久しぶりに、二人してドライブ。若い頃なら子育てがあったりで、協力関係を保つのは当然である。しかし、双方とも古希を過ぎた身では、なかなか共通の話題が見当たらない。ともすると、互いに別々の行動に走ってしまうが、まあそれも良しとするのが夫婦が穏便にやっていく秘訣らしい。スーパーマーケットでのショッピングひとつするのにも、ツウと言えばカーというわけにはいかならなかった。互いにプラスとマイナス。近寄れば、パッと火花が散りそうな雰囲気になってしまう。こんな場合、男のほうが常に引く。しかし、こころの中でわだかまっているものをいつまでもそのままにしておくのは体にわるい。「あああ、いいい、ううう、ええお」おれは、少し離れて歩くかみさんの耳に入らない程度にうつむき加減でつぶやく。そんな調子で、ひと通り、かみさんの欲しいものを...忘却。(3)

  • 忘却。 (2)

    二階の部屋。外向きの窓は二枚のガラス戸になっている。けっこうな重量感があり、開け閉めするのに両手を使わざるをえないほどである。いちばん外側に雨戸があり、次に網戸がひかえている。三番目がガラス戸。その内側に障子戸が外からの陽光をさえぎっている。階下のかみさんの動向が気になるが、自らの身体の不調のほうが問題で、ちょっと横になってれば、いつもの身体にもどるだろうとたかをくくり、右向きで身体を、くの字型に保つ姿勢をとった。そのうち両のまぶたに鳩がとまったらしく、この頃とみに、てっぺんあたりが薄くなった頭を、上下にこくりこくりと振りだした。「あんた、寝てたんだね。道理で静かだと思ったわ」耳もとで、かみさんがそうささやくのを聞くまで、おれは夢の世界にどっぷりつかっていた。「うん……、ああ、まあ、そうみたい」ようやく、...忘却。(2)

  • 忘却。 (1)

    「あんたあ、どうしたのよ。寝てるのお。いい加減に下りて来てよ。用があるのよお」かすかに、かみさんの声がした。彼女はきっと、声を張り上げているに違いない。それがきわめて小さく聞こえるのは、おれのせいだろう。おれがいまだに目が覚めず、うつらうつらしているからに違いない。しかし、それにしても、何かが変だった。生来、せっかちの性分。いつもなら、彼女の声を耳にしただけで、胸の辺りがどきどきざわざわしだす。おかしなことに、今回はそうはならない。至って平静である。どっしりと構えている。しかしながら、頭のどこかで、以前のくせを憶えているのだろう。だんだんにもともとの性分の芽が出始めると、そわそわしだした。(早く返事しなけりゃだめだ。そうでないとまたまた彼女の機嫌を損ねてしまう)それっと、ベッドの上で起き上がろうとしたが、...忘却。(1)

  • 忘却。

    シュバッ。不意にスマホが音を立てた。誰かがメールを寄こしたらしい。しかし、ラインのトーク印が朱色に染着信の形跡がない。それじゃメッセージだろうと思い、アプリをタップし中身を調べた。あった。発信者の苗字がおかだとある。「おれだよ、おれ。どう、元気?」言葉に親しみがこもっている。おかだ、おかだ、おかだ……。こころの中でそう言ってみるが、その苗字についての記憶の糸が、容易に見つからない。(ああ、とうとう、おれも……)急降下していくエレベーターに乗っているような気がして、意識が遠のく。やっと自分らしくなり、ああでもないこうでもないと、返信をためらっているうちに、ふたたびメッセージが届いた。「ほら、高校時代のおかだだぜ。わかんないのか。かわいそうにその歳でな」ぼけ老人にされてしまった。そんなひどいことを言うんじゃ、...忘却。

  • 口にするものは……。

    こんにちは。ブロ友のみなさま。ようやく桜の花がひらいたと思ったら、夏日になるのですもの。驚きますよね。そして、次の日は気温が急降下。夕方になって、タンスにしまった服をもう一度身につける始末です。57年前のT大入学式。桜が満開でしたが、灰色の空から、白いものがふわりふわり。たちまちにして、ピンクの花びらが視界から消えてなくなりました。(えらいところに来たもんや。まあしゃあない。地元も阿波も受け入れてくれなかったんだから。ああ、もっと性根入れて勉強しとけば良かった)わたしの身体は、肌をさす空気の中で、ぶるぶる震えていました。甲州の郡内地方の冬。やっぱり、富士山のふもとは寒いのだなあと、手袋をはめない両手に、白い息を吹きかけました。ある冬の夜、銭湯に向かいました。行きはよいよい、帰りはこわい。風呂上がりで濡れた...口にするものは……。

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