ポケット一杯のラブ。 エピローグ
今でこそはYは平気で女の子に、声をかけられるけれど、もともとはすごいひっこみ思案だった。M子と出逢い、胸の奥から、なにやらあったかいものがわき上がってくるようになってから、ちょっぴり自分を信じられるようになってきた。共にやった郵便局の社会学習はせっかくの良い機会だったし、M子とはあれきりで終わりにしたくないと思う。ある日、自転車で家に帰る途中、M子を見かけた。幸いなことに、あたりに人影がない。自転車を降りて、声をかけた。ほんの五、六歩あるくだけの距離がとても長く感じられた。「ねえ、M子、いっしょに帰らない。定期テストも近いし、いっしょに勉強しない」ふいにわきから女の子の声がかかった。M子がふり向き、Yを見てあらっという顔をした。すぐに、プッとふきだす笑いを、鼻のあたりに浮かべてから、M子の友の方に向きなお...ポケット一杯のラブ。エピローグ
2024/03/30 12:22