それからどれくらい経っただろう。冬の日は短く、間もなく、漆黒の闇が辺りを包みこもうとしていた。件のサイデリアの奥まった駐車場。その片隅に、何やらおもちゃの蛇のような細長いものが最寄りの街灯のもとでほの白く輝いていた。よく観ると、それは今はやりの精巧にできた恐竜のミニチュアに酷似していた。足が四つあるのが、気になる。しかし、もっと現実味のあるもので、首から尻尾にかけて、からだの表面に、あちこち赤っぽいペンキがまだらに付いていた。時折、ひくひくと動く。裂けた口から、何やら数珠状の黒っぽい玉がころがり出ている。米英では蛇はスネイク、トンボをドラゴンフライと呼ぶ。ふたつの目玉で、かっとにらまれれば、いかなつわものでも怖気づいてしまうだろう。その小さな蛇は自ら、渾身の力を尽くし、物影に自らの体を隠そうと試みたあげく...忘却。補遺