佳き家に住みて難波の油虫バスの中では挨拶が続く。和田部長が話し、井上常務が話し、藤原部長が話す。近畿日本ツーリストの添乗員の小畠君が話し、大賀さんが話し、ようやくバスガイドに回って来る。ガイドさん「運転手は前田、そして3日間、皆様の旅のお供をさせていただきます私はガイドの本間〇子と申します。よろしくお願いお申し上げます」「パチパチパチ」バスは町中を走っていく。「曽根崎」の文字が見える。<酔ってあな...
路地奥の中国訛り春を呼ぶ関帝廟を目印に「ビャンビャン麺」の店に辿り着いた。いつもは写真右の店に声を掛けて斜向かいの建物の2階のカラオケ屋に入るのだが、今日は食事である。左の店に人が入って行った。見ると「ビャンビャン麺」のポスターがどちらの店にも貼られている。女性「ド~ゾ、ドッチノ、ミセモ、オナジ」左の店の奥からカタコト日本語で声を掛けられた。私「どっちでもいい?」妻「私はどっちでも」左の店に入った...
竜天に登り花道より消ゆる観終わって外に出たのが5時過ぎである。私「いやぁ、面白かったなぁ(笑)」妻「それは良かったね(笑)」私「原作通りというのも良かったよ。最後に河童が出てきたところだけは原作と違っていたけど、アングラ劇場だと思えば許せるかな(笑)」妻「原作ではどうなっているの?」私「暴風雨の桟橋で伝馬船が流されないか様子を見に行った時に5、6人に襲われるんだ。玉井組の若い衆もいたはずだけど暴風雨...
組の名を入れし春燈出入りかなほぼ原作通りである。細かいところも正確に原作を踏まえている。<分かるかなぁ……>原作を読んでいない人がほとんどのはずである。何度も読んで、前日にも読み返して来た私だから分かるようなシーンもある。<どうだろうか……>隣の妻を見る。暗闇の中だが、薄っすらと横顔が見える。<えっ!>何と寝ているではないか!<まさか……>本当に面白く見ていたが周りの人たちはどうなのだろう。少なくとも妻...
春塵に塗れゴンゾを稼業とす舳先の奥からネクタイ姿の男が大声を出しながら飛び出してきた。男性「本日はよ~こそ、お出でくださいましたぁ!」<ん?何だ、何だ?……>小説には全く登場しない人物である。男性「ここは北九州、若松港。明治36年の活気溢れるゴンゾたちの仕事場です。ゴンゾと言っても今の人たちには分かるはずがない。ちょっと説明させていただきますと、筑豊炭鉱で掘り出された石炭がこの若松港に運ばれてきて大き...
春服が探す己の桟敷席私「2時の開演か。何時に出る?」妻「1時15分から入れるよ。舞台上に屋台が出ているんだって」私「舞台?何の舞台?」妻「小物や食べ物の店みたいだよ」私「へぇ~」12時50分の電車に乗り、1時半にKAATに到着した。<ん?ここは昔来たことがあったな……何だっけなぁ?>思い出せない。中に入るとお釈迦様の形をした「ねぶた」が飾られていた。中華街で行なわれている「春節」の関連なのかも知れない。会場の3階...
春興や字画を誇る𰻞𰻞麺工場長と「花と龍」の話をした1週間後の土曜日の新聞に「花と龍」の記事が載っていた。<えええっ、話をしたばっかしじゃん!>関内にある神奈川芸術劇場(KAAT)でこの「花と龍」の舞台公演があるという。私「ミミミミ、これ、見に行こう!」妻「ナニ?」私「花と龍」妻「ええっ……」私「2週間しかやってない」妻「面白くなさそう……」私「面白くないかもしれないけど、絶対に見たい」妻「しょうがないなぁ……...
仕事着と言ひ春服に迎へらる婿殿から連絡が入った。勤める会社でロッカーを買い替えるという。普通にどこからでも買えば良さそうなものだが、特注的要素もあるので相談に乗ってほしいという。営業と工場長と3人で出掛けて話を聞いて来た。当社で作って納めることになった。婿殿の働く姿をその時初めて見た。帰りの車の中での会話である。工場長「お婿さん、いい男でしたね」私「うん、いい男だよ」工場長「社長の長女の旦那さんで...
賑はひや酔へばものみな朧なり終盤に近付いた。後ろの席に日本濾水器工業の橋本会長、社長親子がいる。私「さっきお見掛けしたので手を振ったら素通りされました(笑)」会長「あっそ(笑)」私「とうとう忘れられたのかと心配になりました(笑)」会長「もう細かいところに目が行かなくなって来たんだよ(笑)」私「ハハハハ」会長「それにしても後期高齢者もいいところだよ。健保組合もいつまでボクに役員をやらしておくんだろう...
春めくや罪なき嘘のありぬべし秋山社長(写真)はしばらくブログを眺めていた。秋山社長「これは凄いですね。毎日更新ですか?」私「そう」秋山社長「このブログの名前『ひこばえ』ってどういう意味ですか?」私「木の切り株があるだろう。その横から若い芽が生えて来る。その若い芽のことを『ひこばえ』という」秋山社長「へぇ~」私「長く続けるにはコツがある」秋山社長「何ですか?」私「ウソは付かない(笑)」秋山社長「ハハ...
春の夜のジヤズの音色やすこし酔ふ演奏が始まった(写真)。最初の曲が高橋真梨子の「別れの朝」である。私の左には秋山社長が座っている。私「あれっ、日本の歌じゃん(笑)」秋山社長「そうですね」私「しかもオレがいつも歌ってる曲だよ」秋山社長「そうなんですか」私「オレの方が上手い」秋山社長「えっ、それは……(笑)」私「いや、ホント。オレの方が全然上手い」秋山社長「ハハハハ」私「だけど、知らない歌を聞かされるよ...
足腰も口も達者で春や立つ会長の挨拶に続き、横浜南税務署長の挨拶、副所長の乾杯の音頭と続いた。ビールが配られ、料理が始まった。前菜、パン、スープと続き、ビールの他にもワインや水割りなどが配られていく。新井先生「いつもならこの時間、もう布団に入ってるよ」私「えっ、まだ7時じゃないですか(笑)」新井先生「やることがある訳じゃないから、寝るに越したことはない(笑)」私「じゃ、朝は早いですね」新井先生「4時に...
おぼろ夜や数へて百にまだ遠き2月7日(金)横浜駅西口のベイシェラトンホテルで横浜南優申会の新春交歓会が行われた。昨年は美空ひばりの曲を歌った「有希乃路央さん」を迎えてのパーティだったが、今年は「水岡のぶゆきグループのジャズライブ」だという。<ジャズと言われてもなァ……>会場に到着すると時間前だというのにすでに知った顔が何人も到着していた。A社長「おっ、相変わらず元気そうだね(笑)」私「ま、何とかやって...
父が娘に詫びて許され風光る今日2月16日(日)は長女の何回目かの誕生日である。以前は必ずプレゼントなどを買ってお祝いをしたものだが、遠く離れて住むようになって、孫たちのことも忙しくなり、いつの間にかそのまま過ぎてしまうようになってしまった。生まれて来てくれた時の感動や可愛く育っていく過程のことなどを懐かしく思い出しながら一言お祝いの言葉を書いておこう。小学校何年生の頃だっただろうか、家に帰ると学校で...
佐保姫を待つビル街の人通り福澤アナの講演が終りすぐに懇親会となった。こんなにいたのかと驚くほど人がいた。知った顔ももちろんいたが、知らない顔が多い。その中にK社長がいた。K社長「珍しいな(笑)」私「世の中がどれだけ変わったか見に来ました(笑)」私より1才上である。一緒にクルーザーを買ったことがある。K社長「日向さんはあんまり変わらないなぁ」私「そうでもないですよ。年だけは確実に取っています。体調はいい...
滑舌を鍛へ寒声ビラ配り福澤氏「コミュニケーションとはそもそも何でしょうか?話すことと聞くこと。総論でいうとコミュニケーションとはキャッチボールなんです。皆さん、キャッチボールをしたことあると思いますが、何に気を付けてボールを投げるでしょうか。それは相手が取りやすいところに投げる、取りやすいスピードで投げる。いきなり剛速球で投げる人はいないと思います。いきなりアンダースローで投げる人はいないと思いま...
壇上や冬の終わりを告げる人会長挨拶に続き、横浜銀行の支店長の挨拶があり、その後すぐに講演会へと移った。司会者が福澤彰氏のプロフィールを読み上げて「では早速お迎え致しましょう。盛大な拍手でお迎えください」と声を掛けた。後方のドアからの入場である。「ジャスト! ミ~~~~ト!」あまりの大音量に驚かされた。マイクを持って大声で入場してきた。それまで静かだった会場内がそのたった一声に雰囲気を変えた。会場内...
黒書院六兵衛一人春を待つ3階に受付が出来ていた。横浜銀行の行員がズラッと並んでいる。知った顔の担当者が名札を渡してくれた。会費の支払いを済ませクロークに荷物を預けるように案内された。課長「まだ30分ありますので、中でお座りになってお待ちください」5~6名が座っていた。知った顔はいない。前から3列目の席に座った。水を飲みながら目の前に置かれた割り箸を見ていた(写真)。<ここで何か食べるのだろうか……>肩を叩...
旧正の飾りの前を足早に昨年11月末、横浜銀行から「新年講演会のお知らせ」が届いた。1月28日(金)、横浜コンチネンタルホテルで行なうとある。<ん?場所が変わったな……>もう出席しなくなってから随分となる。<どうして出なくなったんだっけなぁ……>以前は必ず出席していたものである。知った顔の中で楽しく一杯飲んで帰って来たのだが、どういう訳か出るのを止めてしまった。自分で決めたことだがどうして止めたのか理由が思...
年豆の数ほど文句言ひもして懇親会が終わって、コーヒーを飲んで帰ることにした。会の長老格も何人か付いてきた。総勢10名ほどである。私の向かいに78才の長老が座った。私の横にその長老のお弟子さん75才が座った。その前に菅野先生74才である。私「それにしても会員数が減っているじゃないですか。10年前に比べて6割ですよ」配布資料の中に10年前との比較が出ていた。78才「それが問題なんだよなぁ。それぞれの会の勢いも以前ほ...
褒められて伸びる七十路春近し総会は4月に行なわれる「第70回記念書展」の話を中心に進められた。聞いていると評議員以上の人が大きな作品を書いてくる書展だという。先生に言われて半切の作品を提出したが、もしかして半切は私だけなのかも知れない。女性「いいのよ。最初なんだから」私「まぁ、そうだけど、オレだけ半切じゃ逆に目立っちゃうなぁ(笑)」女性「目立った方がいいのよ。これからの人なんだから(笑)」総会が終わ...
七十路の期待の星となる寒夜インターネットで「竹青社」と検索すると「第70回記念 竹青社書展」と出る。「開催期間 2025年4月16日~2025年4月20日書道団体「竹青社」評議員以上の会員による書作品の展覧会。今回は70回記念の展覧会となり、2×8尺作品、3×8尺作品を中心とした大型作品群となっています。料金 無料場所 横浜市民ギャラリー」この竹青社の評議員に選ばれたという。私「何ですか、評議員って?また高い会費を取られ...
進むべき道は蒼茫初硯12月22日(日)2時、その年最後の研究会である。8人の生徒が集まった。生徒と言ってもベテランばかり。私からすると先輩格ばかりである。しかしベテランだからと言って必ずしも上手い訳ではない。先生が書いたお手本を見ながら書くのは上手くても自分で考えて書くとなると話は違うようで、書道歴何十年と言う人が案外粗末な作品を書いて来るのである。今回は「鐘を尋ねて蒼茫に入る」である(写真)。一人ずつ...
舟を編む人ゐて毛糸編む人も翌日届いた。私「おお、これこれ(笑)」妻「これが欲しかったの?」私「これがあれば上手く書けるという訳じゃないけど、ないとどう書いていいのかも分からないんだから隷書を書く時の必需品だよ(笑)」まずは宿題となっている漢詩を書き出して隷書の字体を調べていく。私「鐘を尋ねて蒼茫に入る、かぁ……」妻「蒼茫?」私「深い山の形容とある。見渡す限り、青々としているさま。まさにこれから隷書を...
みな上手くなりたし吉書大きめに先生から「隷書になっていない」と言われた日のことは以前書いた(令和6年11月26日、ひこばえ「息白し」)。その日、ベテランのおばちゃんに書いた先生のお手本が貼り出された。隷書である。あまりにも大きかったので、写真を撮るのに横ではなく縦で撮ってしまった(写真)。<なるほどなぁ、芸術性が高いなぁ……>自分の書いたものとの違いに圧倒されていた。私「先生!先生がこのお手本を書くに当...
湯上りの歳徳神に面ひとつ写真を撮った後、出世稲荷に向かった。長い階段を上って出店の前を通ってお参りをするのである。階段の終わりの辺りから列が出来ていた。私「何だって、こんなに並んでいるんだろ?」瀬谷さん「世知辛い世の中ですからねぇ。お参りしたいんでしょ」私「あれっ、みんな並んでるよ」私と瀬谷さん以外が並び始めた(写真)。私「オレはいいよ」瀬谷さん「私もいいです」私「じゃ、下に降りて待ってようよ」瀬...
御不動の前なる我等初詣ママさん「早く上がりな。いつ来るか電話がないから、席を空けておくのが大変だったんだから」いきなり文句を言われる。いつもは工場長がいるので車が出た時にママに電話を入れて、何時頃に着くと知らせているのである。その工場長がインフルで来ていない。すなわち電話を入れていないのである。私「駐車場が一杯でいつもと違う場所に停めてきた。ここのすぐ近くだったから、まだお参りをしていない」ママさ...
注がれたるまでを覚えし屠蘇の酒3連休の初日である。成田山の駐車場は混んでいた。私「いつも停めるところじゃないんだ?」川上君「渋滞していました。辿り着くのに相当掛かります。別の駐車場にします」私「ああ、のり武の近くの駐車場だな」しかし、その駐車場も混んでいた。しかも入り口が反対車線の一歩通行である。長蛇の列が出来ていた。私「こりゃ、ムリだな」川上君「少し走ってみます」ちょうどその時、民間の駐車場から...
ならぬ堪忍するが堪忍年男車は順調に進んで東京都内を過ぎて千葉県に入った。1時間ほどして市川君がトイレに行きたいと言い始めた。川崎君「ムリムリムリ、ここでは停められない(笑)」川上君「次のパーキングエリアで停めます」川崎君「社長、早くこのワイン飲んでください。瓶を空けないと市川君が小便をする場所がありません(笑)」私「飲める訳ないだろ!大体な、小便というものはな、心因性だ。気持ちの問題なんだ。家が近...
「ブログリーダー」を活用して、日向亮司さんをフォローしませんか?
佳き家に住みて難波の油虫バスの中では挨拶が続く。和田部長が話し、井上常務が話し、藤原部長が話す。近畿日本ツーリストの添乗員の小畠君が話し、大賀さんが話し、ようやくバスガイドに回って来る。ガイドさん「運転手は前田、そして3日間、皆様の旅のお供をさせていただきます私はガイドの本間〇子と申します。よろしくお願いお申し上げます」「パチパチパチ」バスは町中を走っていく。「曽根崎」の文字が見える。<酔ってあな...
厚切りの牛タン弁当暑気払ひ新幹線に乗り込んでまずは朝食である。集合前に買っておいた「厚切り焙り牛タン弁当」を食べることにした。私「大阪に行くのに仙台の牛タンというのも何なんだけどな(笑)」妻「別にいいじゃないの(笑)」私「美味いんだからどうしても選んでしまうんだよなぁ(笑)」妻「味がいいのかもね」私「チコちゃんでやっていたな。牛タンが仙台名物になったのは……」妻「何だっけ?」私「店のオヤジが『仙台名...
食ひ倒れたき大阪へ夏の旅7月9日(水)、いよいよ出発である。朝、家を出る時である。私「いやに重いなぁ。これ、何が入ってるの?」妻「お茶だよ」私「お茶!随分と重いな。何本、入ってるの?」妻「4本だよ」私「えええっ、4本?これを大阪まで持って行くの?」妻「大阪万博を軽く考えちゃダメだよ。滞在時間が4時間だよ。どこへ行っても汗だくだよ」私「お茶ぐらいは自販機で買えばいいと思うけどなぁ……」妻「普通のお茶はすぐ...
暑を制すためのあれこれ旅鞄大阪万博の置かれた背景を頭に入れて、本屋で万博の本を一冊買って家に帰った。妻「自分の荷物は自分で用意してよね。何でも人任せにするのは良くないよ」私「うん、分かってる」妻「分かってると言いながら、何にも用意していないじゃん」私「大丈夫だよ。万博のガイドブックはさっき買ってきた」妻「ガイドブック?要らないでしょ、そんなものは……」私「いや、折角行くのに何にも調べないで行くという...
ただ耐へるための大阪油照りいよいよ「かながわ信用金庫」主催の旅行が近付いてきた。初日は大阪万博の見学である。期待に胸躍るというような雰囲気はない。おそらく期待外れに終わるだろう。雑誌「PRESIDENT」の中に大前研一氏のコラムがあった。「万博は大失敗!大阪が失政続きの根本原因とは」という題名で辛口コメントが書かれていた。その1「時代遅れの万博を強行した裏事情」1~2時間は当たり前の待ち時間、内容に比べて料金...
汗拭ふ手や金髪の将棋指しその日の5番目の対戦のことを書いておきたい。相手は富田さんという金髪の女性である。金髪といっても外人という訳ではない。日本人である。富田さん「よろしくお願いします」私「おお、今日初めての女性だよ。緊張するなぁ(笑)」富田さん「緊張をしているのは私の方です。よろしくお願いします(笑)」私「もう3人と対戦してるの?」富田さん「はい、少し早く来ました。全員に負けています(笑)」私「...
夏負けもせず勝つための将棋指し飯尾君はまずまずの実力だった。私の右四間飛車に対して居飛車で挑んで来た。終盤、お互いに相手の王将を攻め立てる展開になった。守りの手薄なところを攻められて1手詰みとされている私が「王手王手」と繋いで相手の王将を追い掛けている。あと一枚、何か駒があればという所まで追い込んだが負けてしまった。私「いやぁ、勝てると思ったんだけどなぁ」飯尾君「ホントに負けると思いました」私「3一...
勝ち負けに涼み将棋の熱かりき7月5日(土)、3回目となる将棋道場である。30分前に着いたので向かいにあるファミレスに入って時間調整をした。10時ちょうどに入った。1階のエレベーター前で男の子と一緒になった。またまた中学生である。私「もう何度も来てるの?」男の子「はい」私「じゃ、今日、対戦するかも知れないな」男の子「……」私「この間、中学1年生とやって負けたから、今日は全勝を目指しているんで、そこんとこ、よろ...
樟脳舟つつと洗面器を回る習字の練習をした後、筆の洗浄や余った墨は流し台の排水口に流す。妻は流し台ではなく洗面台の方の排水口にしてくれと言うが、どうしても洗面台の方には抵抗がある。それは真っ白なFRPなので墨が付くと確実に色が付いてしまう。水で流せば落ちるのだが、それならば同じことで流し台の方がいいような気がする。ステンレスに墨が付いてもあまり気にならない。第一、洗面台の方は口が小さい。筆を洗うにも墨...
元巨人フアンなりナイターの灯を愛す土曜日の朝9時過ぎだった。BSテレビで森田健作司会のインタビュー番組をやっていた。ゲストは元ジャイアンツの槙原寛己である。お互いどうでもいいような昔話をして終わった。番組のラストに森田健作が剣道着に身を包み、砂浜を走るシーンを流していた。もちろん「オレは男だ!」の50年後バージョンである。<あの走り方はないなぁ……>年を取った小林弘二君の足の上がらない走法には流石にガッ...
「海よその愛よ」甚平唸りけり這う這うの体で家に辿り着いた。12時10分だった。妻「どうだったの?」私「人生最後の釣りを終えたよ」妻「えええっ、どういうこと?」私「もう二度と釣りはやらない」妻「へぇ~」私「海より山の方がいいよ」妻「ええっ……」私「船の上から富士山が見えたけど、やっぱり動かないものの方がいいよ」妻「もう年なんだから、何事もほどほどにね」私「釣った魚は食べたい」妻「ええっ、調理するの、私?」...
鱚舟に酔ふて齢を知りにけり終了10分前になった。船長「あと10分で終了します。本日の釣った数を聞きに行きますので数えておいて下さい」サービス役の男性が前の方から聞いて回っている。22番の連れの女性が何匹と答えたのかは聞いていない。何か冗談らしいことを言って笑っていた。男性「○○さん、何匹?」22番「20匹」男性「えっ、もっとあるでしょう」22番「いやいや、20だよ」私のところに来た。男性「はい、何匹ですか?」私「...
船床に夢の手枕夏痩せるようやく2匹目が来たところで気分が悪くなったような気がした。下を向いてアオイソメを付けている時に「ん?」と思った。<釣れないと気分も悪くなるかぁ……>お茶を飲んで誤魔化した。コンビニで買って来た缶ビールなど飲む余裕はなかった。3匹目のシロギスは大きかった。当たりもしっかりしていたし、引きも強烈だった。釣り上げて針を外そうとしたが飲まれていた。面倒なので思い切り引っ張った。アオイソ...
鱚釣りの女子供に負けてをり隣の26番の若いのにも来た。<次はオレかな>と思った。しばらくして「竿を上げて下さい。場所を替えます」と船長の声がしてすぐに動き始めた。金沢工業団地の岸壁の横を走って行く。知っている建物が見えてくる。「横浜テクノタワーホテル」が一番高い。22階建てなので一際目立つ。いつも18階の「鉄板焼きレストラン」にお客を連れて行くので東京湾や房総半島を見ているが、逆から見るというのもいいも...
瀬戸洲崎野島乙舳鱚の船LTアジの船が出て行って、すぐさまシロギスの船が入って来て横付けされた。男性「番号の大きい人が後ろです。26番の人が一番後ろ!足元に気を付けて乗って下さい」私は24番である。偶数と奇数で右舷左舷に分かれているようである。クーラーボックスとリュックサックを持って辿り着くと若い男性が最後尾の26番に座っていた。私「隣です。よろしくお願いします(笑)」男性「あっ、お願いします」私「今日は風...
芋洗ふごとき桟橋梅雨晴間「荒川屋」の2階に戻った。さっきは誰もいなかった場所に何人ものお客が席を占めていた。アベックもいれば、子供連れもいる。入り切れない人が顔を出しては下に降りて行く。7時前になって男性が上がって来て「アジの人はいませんか?」と声を掛けている。シロギスの前にアジの船が出るようである。<ああ、LTアジだな?>スマホで検索してみた。「LT(ライトタックル)アジ」と出た。「軽い釣り道具」とい...
琵琶島を浮かべ政子の夏の海橋の欄干には「せとはし」と書かれていた。上から見下ろすと「荒川屋」の船2隻と「弁天屋」の船2隻が横付けされていた。その向こうにこの4隻が出航するのを待つようにして別の4隻が係留されている。桟橋側の船に「LTアジ」と看板が出ている。<LTって何だろう?>店の人だと思うが、竿を用意したりして忙しそうに働いていた。瀬戸神社の方に行ってみることにした。国道16号線を左に曲がるとすぐに白壁が...
日焼止め塗りし手乗船名簿書く店に戻った。私「早過ぎたなぁ(笑)」女性「そんなことないですよ。まずは乗船名簿をお願いします」カウンターの横にテーブルがあって、そこで記入した。女性「ありがとうございます。え~と、竿とかはどうなさいますか?」私「必要なものは全部貸してください。クーラーボックスを持って来ただけだから」女性「はい、分かりました。これは船に乗る時に係に出してください。竿の引換券です」広告の裏...
風少し出て釣宿の夏暖簾出船は7時半である。しかし店の人は「6時には来てくれ」と言っていた。「遅くても6時半には来てくれないと駐車場がなくなる」とも言っていた。船宿のオープンは5時半と書かれていた。家から15分ほどなので5時15分に家を出た。外に出ると風が吹いていた。<オオッ、風があるじゃん……>波の高さまでは調べて来なかったが、「天気晴朗なれど波高し」かも知れないと思った。5時半ちょうどに「荒川屋」に到着した...
突堤に立ちてちぬ釣り動かざる釣りに夢中になったのは平成元年、35歳の頃である。会社で昼休みの時間に黒鯛釣りの話が出て盛り上がっていた。私「お前たちよ、黒鯛のことならオレに任せてくれよ(笑)」社員「ええ!日向さん、釣りやるの?」私「やったことあるどころの騒ぎじゃないよ。あの引きの強さは魚釣りの醍醐味だよ(笑)」一度もやったことのない釣りを大袈裟に話して盛り上がった。言った手前、一度くらいはやってみよう...
山雀のじんじと鳴きて佳き日なり司会「それでは宴もたけなわではございますが、お時間も迫ってまいりましたのでこの辺りで中締めとさせていただきます。中締めのご挨拶は〇〇株式会社社長でいらっしゃいます落合様にお願いしてございます。落合様、壇上の方へお願いいたします」落合さんが立ち上がった。まずは平松会長の元へ進んで軽く挨拶を済ませ、それからゆっくりと壇上へと上がった。司会者からは落合さんの略歴などが紹介さ...
舞ふほどに行きつ戻りつ夏の蝶落合さんとは懇親会場での席が離れた。私「えっ、どうしたんだろ?いつも同じ席に座るのに……」落合さん「いやぁ、また締めの挨拶を頼まれているんですよ(笑)」私「おお、そうかぁ。そりゃまた大役だなぁ(笑)」この頃、いつも締めをやらされている落合さんである。懇親会が始まった。冒頭、小泉進次郎代議士からのお祝いの電報が読み上げられた。続いて横須賀市長の祝辞である。「平松さんと私は……...
常盤木の落葉の先に墓地はあり見事に箝口令が敷かれて一切の情報が洩れることなく6月28日(金)の総代会を迎えた。落合さんとは隣同士の席に座った。私「さぁ、いよいよだね(笑)」落合さん「高瀬理事長だって」私「えっ、ホント!」落合さん「さっき、入口で○○から聞いた」私「へぇ~、それじゃ落合さんの予想通りになったじゃん」落合さん「まぁ、そうだけど、全然情報が入らなかったのにはさすがに驚かされましたよ(笑)」私...
出走を待ちてしばらく冷し馬5月22日(水)の横浜のホテルでのことである。かながわ信用金庫の集まりがあり、理事長が登壇して話をした。理事長「え~、私の理事長としての挨拶もこれが最後になるかと思います」<ええええっ!!!>話を聞いていた全員がこの一言に驚きの声を上げた。<どういうこと?理事長を辞めるってこと?><全国信用金庫協会の会長に就任するので、兼務はムリということか……><じゃ、次の理事長は誰になる...
要注意リストに入りて夏負けす私「ただいま~」妻「あら、早速ジムに行って来たの?どうだった?」私「出禁になりそうだよ」妻「えっ、どうしたの?」事情を説明した。妻「何をやってるかなぁ。しょうがない人だなぁ」私「9時に社員から電話が来るから謝るよ」妻「そうね。何があったとしても怒鳴っちゃダメだよ。カスハラだよ」私「反省してます」妻「昨日、説明の時に駐車料金の割引についても説明していたよ。だけど貴方は聞い...
嗚呼馬鹿なことして目下夏断中月曜日の「めざまし占い」のヤギ座は12位の最下位だった。「トラブルに巻き込まれる恐れあり」──気を付けようと思った。一日を終えて「あれっ、何もなかったな」と安心していた。会社を早めに上がって初めてのスポーツジムへと向かった。前日に説明を受けているので全て「勝手知ったる」の気楽さである。受付で会員証を呈示した。私「昨日入会しました日向と申します。よろしくお願いします(笑)」女...
気分良し筋肉快調汗をかく日曜日の11時である。筋トレのコーナーに人はいない。ガラガラである。男性トレーナーが1名付き添ってくれて機械の使い方などを説明してくれるという。体重、血圧などを計測してから始まった。男性「今までどちらかでやられてたんですか?」私「磯子スポーツセンター」男性「ああ、じゃ、マシンの使い方は一通り」私「自分の使う機械はね。だけど使ったことのない機械もあるから追々教えてもらいますよ」...
特典はなし六月に入会す日曜日に床屋から帰って来ると妻がプララに行こうという。妻「どうするの?入るの?入らないの?」私「そうだなぁ……」妻「見せてもらえばいいでしょ」私「そうだなぁ……」妻「電話してみな。掛けるよ」私「ええっ!」妻のスマホで掛けている。呼出音がする。渡された。私「もしもし、日向と申します。入会しようかと考えている者なんですけど」男性「はい、ありがとうございます」私「これから行って中を見せ...
待たされもして時の日のジム通ひスポーツセンターに行くと使いたい機械のボードに自分の番号を記入して予約することになっている。誰も使っていなければそのまま使えるし、使っていても1回最大20分なので少し待てば順番が回って来る。いつもは4つある機械のどれか1つは空いていてすぐにダンベルを持って始められるのだが、この頃は2人3人と予約の人数が多くなって来ている。私「何だか知らないけど、この頃混んでるね」インストラ...
聖母月見えざるものに導かれ旅を終えて3週間ほどした土曜日に娘たちが集まった。父の日だという。私「おお、忘れないでいてくれたかぁ。この日がそのまま過ぎてしまったら育て方について反省をしなければならなかったところだったよ(笑)」娘「いつもありがと。トレーニングウェアを買ってきたよ。頑張ってるんでしょ(笑)」私「頑張るも何も、これをやるために生きてるんだよ。長生きするためのトレーニングからトレーニングす...
守るべき祖国震へる仏桑花あとは帰るだけである。ホテルを出てバスは「玉取崎展望台」に向かった。比嘉さん「ここは私が一番好きな展望台です。海も空も石垣島の山々も一望出来ます。今日は生憎の雨ですが、それでもやはり見ていただきたいと思います。少し山を登りますが、是非上がってみてください」雨に煙って見晴らしは良くなかったが、比嘉さんの言う絶景スポットであることだけは分かった。折り畳み傘が壊れ、朝の散歩同様に...
八重山の勇者称へし伊集の花歩き始めてすぐに雨が落ちてきた。闇に続く道なので雨は気にならなかったが、次第に本降りになっていった。ホテルの前の直線の道が大きな通りにぶつかった辺りで空が明るくなってきたが、止みそうにない雨であることが分かった。濡れてもいいTシャツ姿なので気にはならなかったが、目的地の在処が思ったより遠いのには驚いていた。歩けど歩けど道は続いた。うっすらと見えて来た中で道端にヤギがいたの...
八重山の明易しとて明けやらずホテルに着いた。「OKINAWA KARIYUSHI RESORT EXES ISHIGAKI」という名前である。風呂に入ってしばらくしてロビーに出て行った。売店で飲み物などを買って、フロントに聞きに行った。私「明日、朝早く出掛けたいんですけど、タクシーは呼んでもらえるの?」男性「はい、大丈夫です。何時頃でしょか?」私「5時頃かな」男性「ええっ、5時ですか。それは無理です。タクシー会社もやってないと思いま...
食べずとも可なり泡盛さへあれば時間通りに戻って竹富島行きフェリーに乗り込んだ。所要時間15分である。バスに乗って古民家集落まで行き、20分ほど掛けてその中を歩いてみるというものだった。比嘉さんが先頭になって歩き、ゾロゾロ後ろを付いていく。いろいろと説明していたが、聞いているやらいないやら。バスに戻ってきた。その中に「安里屋クヤマ誕生の家」があったと聞いたのはバスに乗り込んでからのことである。私「えええ...
尖閣の碑や梅雨雲に影はなし川平湾を出て最初に向かったのが石垣焼の窯元である。パンフレットに「窯元見学」とあったので、てっきり「登り窯」とかを見るのかと思いきや、皿や壺の販売所だった。事前に比嘉さんが「桁を間違えないように」とアナウンスしていたので買うこともなかったが、確かに1桁多い価格設定だった。美智子上皇后が立ち寄った際にここでペンダントを購入されたそうで首から下げた写真が飾られてあったが、なぜ...
ソフトクリーム溶ければ落つるバスの床船を降りて昼食会場に向かった。例のごとくパートナーと向かい合って座ってくださいという。端の席に座ると最後に現れたのが佐渡の親子である。我々の隣の席に座った。娘「ハハハ、また一緒ですね(笑)」私「3度目の正直!」娘「よろしくお願いします(笑)」私「またオリオンビールの生ですね。今日はホタルを見る必要がない(笑)」男性「ははは(笑)」私「こちらに生1つ。そしてここには...
海亀が海の青さに染まりけり「川平湾」に到着した。旅の栞には「グラスボードに20分乗船」となっている。バスを降りるとカンカン照りである。雲はあるものの日射しが強い。小旗を持つ比嘉さんに続いてゾロゾロと歩いて行く。きれいな浜に出た。<おお!ここか……>写真でよく見る場所である。パンフレットには次のように書かれている。「南の島の絶景。七色に輝く神秘のブルー。ソーダブルー、エメラルドグリーン、コバルコブルー、...
金色の像への道を道をしへ旅3日目は早々と朝食を済ませて8時にバスに乗り込んでホテルを出発した。西表島とお別れである。1時間走って港に着いてフェリーに乗って石垣港に渡った。桟橋に降りると具志堅用高の銅像が立っていた(写真)。<いやに小さいな。どうしてバンザイしてるのかなぁ?なんでこの色にしたんだろう?>金色に塗ってあるところが韓国の慰安婦少女像を思わせて趣味の悪さを感じさせる。<まぁ、一枚撮っておくか…...
天井で守宮見てゐる茶番劇佐渡の親子は早々に帰っていった。後はゆっくり飲むだけである。群馬県の金古さんのところには何度も通った。空いた皿を片付けに時々ウェイトレスがやってくる。声を掛けた。私「地元の人?」女性「いえ、違います」私「どこ?」女性「北海道です」私「えっ、北海道!オレも北海道。北海道のどこ?」女性「札幌です」私「おお、大都会じゃないですか(笑)」女性「北海道のどちらですか?」私「北海道出身...
ここで会ふ同郷の人古酒に酔ふ2日目の夕食である。バイキング会場に入ると受付で部屋番号を聞かれて「日向様ですね。お待ちしておりました」と言われ、席に案内された。私「おおおお!」娘「ああああ!」昼食時に隣だった佐渡の親子である。私「繋がってるなぁ(笑)」娘「ホントに。よろしくお願いします(笑)」私「あれっ、オヤジさん、飲んでないじゃないですか!」男性「これから出掛けるもんで」私「えっ、どこへ?」娘「イ...