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asaさんの新着記事

1件〜30件

  • 大きな政治から小さな政治へ…~三酔人風流奇譚

    大きな政治から小さな政治へ…~三酔人風流奇譚   奇妙な真空状態 松太郎 7年8カ月続いた安倍晋三政権が閉幕、菅義偉政権が誕生して10日たつ。この政治状況をどう見るか。 竹次郎 菅首相は国会で施政方針演説もしていないし全体像が見えない。評価のしようがない。そんな中で次々と新しい施策を打ち出し、やってる感は出している。 梅三郎 「やってる感」は安倍政権の得意技で、そこは継承しているようだ。 松 安倍政権は「美しい国へ」をキャッチフレーズに戦後レジームからの脱却を唱えて危険なナショナリズムのにおいを振りまき、それが逆風にもなり順風にもなった。いまのところ菅政権は無味無臭で、そこは違う。 竹 各メディアの世論調査をみると、菅政権は軒並み支持率が60%を超している。中には70%を超すものもある。それに比べて不支持率が低い。 梅 ..

  • スターリンの闇に挑んだ記者~映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」

    スターリンの闇に挑んだ記者~ 映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」    1930年代初め、世界恐慌の中で飢餓が各国を襲った。しかし唯一、経済的に快進撃を続ける国があった。革命後、数次の5か年計画を推進したソ連である。なぜなのか。ヒトラーとのインタビューに成功した英国のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)が疑問を解くためモスクワに向かった。スターリンに真相を聞くのが目的だった。    革命後、スターリンは生産力向上のため工業化を強引に進めた。足りない労働力は地方から吸い上げ、農地を国有化し、農業集団化を進めた。この影響を正面から受けたのがウクライナだった。穀物の収穫量は激減したが、政府の調達量は変わらなかった。この結果、多くの餓死者が出た。しかしスターリンは事実をひた隠しにしたため、どれだけの死者が出たかいまだに確定していな..

  • 半世紀前の行動が問われる~映画「ジョーンの秘密」

    半世紀前の行動が問われる ~映画「ジョーンの秘密」    先日観た「オフィシャル・シークレット」は、一言でいえばスパイ活動は目的が正しければ是認されるのか、という問題提起であった。最終的に検察側の判断によってスパイ活動を行った英政府機関の女性は無罪放免された。この「ジョーンの秘密」も、スパイ活動の是非を問う作品である。その活動は第二次大戦中にまでさかのぼる。  2000年、英国内で一人の老女(おそらく80代)が国家反逆罪で逮捕された。MI5が挙げた容疑は1940年代初めのスパイ行為だった。流出情報は原爆開発に関してだった。数日前に死去した外務事務次官の遺品から、彼とその女性がKGBに関係していた証拠が出てきたためだった。  実話ベースという。そこで当時の英国を取り巻く核情勢をざっと俯瞰する。1939年にドイツのポーランド侵攻で始まった第二次大戦中、英..

  • 日本でこのストーリーは可能か~映画「オフィシャル・シークレット」

    日本でこのストーリーは可能か~ 映画「オフィシャル・シークレット」    2001年の9・11米同時多発テロに対してブッシュJr米大統領は「テロとの戦い」を宣言、アフガン、イラクに侵攻した。イラクに対しては無差別大量破壊兵器を極秘に開発、所有しているとしたが、国際機関の調査でも痕跡は認められなかった。大義なき戦争に最も寄り添ったのがブレア英政権だった。独断的な参戦に対して独立検証委員会(チルコット委員会)が2009年に立ち上げられ、2016年に260万語に及ぶ報告書を作成し「イラク戦争への参戦は不可避ではなく、法的にも不備があった」と結論づけた。ブレア元首相ら150人から聞き取り調査を行い、2012年にA4判4枚の概要を公表しただけの日本の外務省とは大きく違っていた。  このときの英国の「検証」は今でも高く評価されている。そして並んで取り上げられるのが日本の..

  • 末期症状だが、代わる政党がない。トホホ…~三酔人風流奇譚

    末期症状だが、代わる政党がない。トホホ…~三酔人風流奇譚   安倍政治の功罪 松太郎 安倍晋三政権が幕を閉じる。それにしても7年8カ月、長かった。 竹次郎 メディアは政権の功罪をめぐってかまびすしい。 梅三郎 功の部分ってあるのか。罪の部分ばかり頭に浮かぶが…。 松 安保法制(戦争法)やそれにつながる特定秘密保護法をどう評価するかだ。これを政権の「レガシー」だという人もいる。 梅 安保法制は将来、日本が戦争に首を突っ込んだときに間違いなく歴史的起点として語られる。あくまでも「負のレガシー」だ。 竹 政権の総括として外せないのは、森友学園や加計学園をめぐる疑惑、桜を見る会での支援者優遇(買収)疑惑。ひとくくりでいえば権力の私物化の問題だ。あったのかなかったのか、いまだに不透明だ。そして財務省近畿財務局職員の自死。彼は公文書..

  • 何が戦争に駆り立てたか~濫読日記

    何が戦争に駆り立てたか~濫読日記   「天皇と軍隊の近代史」(加藤陽子著)    「あとがき」の冒頭、こうある。 ――四〇〇ページ近い本書の「あとがき」までたどりついてくれた読者には、感謝の言葉しかない(357P)。    やや長めの「総論」と、さまざまな要請に応じて寄せた文章とで計9章を構成。うち最後の1章を除いてほぼ論文仕立てである。文章構成の流れより緻密さを優先させたフシがあり、おせじにも読みやすいとはいいがたい。著者の書いている通り、よくここまで「たどりついた」というのが実感である。  この難解さはどこからくるのだろうか。著者はそのことをめぐって、総論でこう書いている。    ――(天皇と軍隊の緊張関係は多くの研究が描いてきた。一方で、両者の非合理なまでの強固な関係が形成されえた背景についても十分..

  • 今のアメリカにはないもの~映画「幸せへのまわり道

    今のアメリカにはないもの~映画「幸せへのまわり道    エスクァイア誌の記者ロイド・ボーゲル(マシュー・リス)は華々しいキャリアをひっさげ、妻と生まれたばかりの子と暮らしていた。しかし、彼には家庭内の悩みがあった。幼いころ家を出ていった父へのわだかまりである。先日も姉の結婚式で、久々に顔を合わせた父とトラブルを起こしたばかり。そんな折り、ある子供番組の司会者フレッド・ロジャース(トム・ハンクス)のインタビューを依頼された…。こうして、ロイドとフレッドの交流が始まる。  編集部からは「シンプルなインタビュー記事でいい」といわれていたが、ロイドはフレッドの人間性にただならぬものを感じていた。そこで、簡単な記事にはせず、フレッドの人間性に迫る記事に仕立てることに心を砕いた。記事はエスクワイア誌の巻頭を飾った。  一方のフレッドも、ロイドが心のうちに抱える何か..

  • 2020-08-26

    大林監督の遺言~映画「海辺の映画館 キネマの玉手箱」    大岡昇平の戦場小説「野火」を塚本晋也監督が映像化、公開した際、尾道の映画館まで見にいった。上映後に塚本監督と大林宜彦監督の対談が組まれていたからだ。戦無派の塚本監督は多くのシーンを、想像を交えて撮ったと話した。これに大林監督は、自分たちが戦争体験者としてもっと戦争のことを語らねば、と応じていた。話しぶりに戦争を知るものの義務感、といったものがにじんでいた。今から5年前の夏だった。  大林監督の「海辺の映画館 キネマの玉手箱」を観た。この4月、82歳で亡くなった監督にとって遺作となる。    尾道の映画館が閉館することになった。最後の上映会。街の人々が集まった。その中に馬場毬男(厚木拓郎)ら3人の若者がいた。彼らはなぜか、フィルムの内と外を自由に移動する。映画では戊辰戦争、西南戦争、日中..

  • 殺人犯の異常心理と刑事の執念~映画「暗数殺人」

    殺人犯の異常心理と刑事の執念~映画「暗数殺人」    ここでいう「暗数」とは、捜査機関が覚知した犯罪件数と実際の犯罪件数の差を指している。つまり、当局が察知していない犯罪の件数のこと。韓国映画「暗数殺人」は釜山で起きた実際の事件をベースにつくられたという。  麻薬捜査をしていたキム・ヒョンミン(キム・ユンソク)は偶然、カン・テオ(チュ・ジフン)の逮捕現場に居合わせた。その後、カン・テオに呼び出されたキム・ヒョンミンは衝撃の告白を受ける。直接の逮捕容疑である恋人殺害だけでなく、7人を殺したというのだ。供述はいかにも真実らしかった。しかし、証拠は何もない。  あらためてテオの供述に基づき恋人殺害の現場を捜査したヒョンミンは、犯行を裏付ける証拠を発見。それは同時に、テオ逮捕のためにそろえられた捜査陣の証拠を否定するもので、判決は求刑を5年下回る懲役15年とな..

  • ヒトラー偶像化への皮肉~映画「お名前はアドルフ?」

    ヒトラー偶像化への皮肉~映画「お名前はアドルフ?」    ドイツ人にとって我が子に「アドルフ」と名付けることはタブーだという話はどこかで読んだことがある。ヒトラーはドイツにとって重大な負の遺産なのだ。ナチスドイツの宣伝工作を研究する佐藤卓己は、こう書いている。  ――ヒトラーを絶対悪の象徴とすることで、逆にヒトラーは現実政治を測る物差しになった。キリスト教世界においては、絶対善である神からの距離によって人間の行為は価値づけられてきた。19世紀にニーチェが宣言した「神の死」、つまり絶対善が消滅した後、あらゆる価値の参照点に立つのは絶対悪である。悪魔化されたヒトラーは、現代社会における絶対悪として人間的価値の審判者となったのである。(「流言のメディア史」から)  その「アドルフ」を我が子に付けようとする試みが小市民生活に巻き起こすさざ波を描いたのが「お名前..

  • 全体主義国家がもたらしたもの~濫読日記

    全体主義国家がもたらしたもの~濫読日記   「シベリア抑留 スターリン独裁下、『収容所群島』」の実像」(富田武著)    「シベリア抑留」と聞いて頭に浮かぶのは石原吉郎、香月泰男。最近では小熊英二の「生きて帰ってきた男」。このうち石原は詩作によって、香月は絵画によってその体験の内的な意味を深めた。小熊の「生きて…」は、社会学者による実父からの聞き書きという、かなり特殊なシチュエーションの中で生み出されたが、いずれにしても、あるのは庶民による過酷な体験(の伝承)であった。  富田武の「シベリア抑留」は、これらとはかなり違っている。何がどう違うか。  スターリン体制下の強制労働の成り立ちから始める。つまり、シベリア抑留という三重苦の体験の源流を探るところから始める。そこから独ソ戦でのドイツ側捕虜の扱いに視点を移す。石原や香月、小熊がミクロの..

  • 「戦場を描かない」監督の戦争体験~濫読日記

    「戦場を描かない」監督の戦争体験~濫読日記   「小津安二郎と戦争」(田中真澄著)    小津安二郎の一連の作品には、戦争を正面から描いたものがない。例外があるとすれば「風の中の牝鶏」(1948)ぐらいか。夫の復員を待つ妻が息子の病の治療費を捻出するため一度だけ売春をする。帰ってきた夫に打ち明けると、夫は妻を2階の階段から突き落とす…。しかし、作品としての評価は今一つで、この後、小津は「晩春」(1949)「麦秋」(1951)、そして「東京物語」(1953)へと向かう。さらに、評価の分かれる作品として「東京暮色」(1957)がある。  これらの作品に「戦場」は出てこないが、戦争の影らしきものはいくつか見える。嫁ぎ先へ向かう紀子(原節子)は麦の穂が揺れるなかを行く。この「麦秋」のラストシーンに中国戦線で逝った多くの兵士の魂をみる批評は多い。例えば「..

  • 17歳少年の荒涼たる風景~映画「MOTHER マザー」

    17歳少年の荒涼たる風景~映画「MOTHER マザー」    離婚し、一人息子周平(郡司翔、奥平大兼)と暮らす三隅秋子(長澤まさみ)はパチンコ三昧。そこへダメ男の遼(阿部サダヲ)が転がり込んできた。収入はなくDVを振るう遼はしかし、秋子が妊娠したと知り出ていく。新しく生まれた子と3人で露頭生活に転落した秋子は周平にすがる。周平はある建築会社で働くが、パチンコ生活が切れない秋子に無心され、ついに事務所のカネに手を付ける。最低限の教育さえ受けられず、落ちていく二人の子。秋子はついに、カネ目当ての祖父母殺しを思いつき周平に命じる…。  最低限の社会ルールも守れず、子供たちに必要最小限の環境さえ与えられない秋子は、どこをどうとっても共感、あるいは評価すべき人間性を持ち合わせていないように見える。しかし、100%ダメな人間であれば、掘り下げて一本の映画にする理由も必要も..

  • あの48本は戦後史の中で何だったか~濫読日記

    あの48本は戦後史の中で何だったか~濫読日記   「『男はつらいよ』を旅する」(川本三郎著)    BSの民放チャンネルで週1回、「男はつらいよ」シリーズを放映している。可能な限り観ている。昨年、この時間帯は「釣りバカ日誌」シリーズだった。関係者には申し訳ないが、少しも面白くなかった。もはや古いのである。しかし「男はつらいよ」シリーズは見入ってしまう。製作年からすれば、こちらが古いはずなのに。なぜだろうと考えてみたが、いい答えが思い浮かばなかった。  映画評論家で文芸評論家でもある川本三郎の「『男はつらいよ』を旅する」を読んで、おぼろげながらその答えが見つかったように思う。「釣りバカ」は西田敏行演じるサラリーマン「浜ちゃん」が主人公。窓際とはいえ、まぎれもなく現代を生きる物語である。現代を描けば、時間とともに古くなる。人々の関心も過ぎていく。し..

  • ついに「私戦」を戦うランボー~映画「ランボー ラスト・ブラッド」

    ついに「私戦」を戦うランボー ~映画「ランボー ラスト・ブラッド」    タイトルからすると「ランボー」シリーズ最終作らしい。観ておかねばと思い出かけたのだが、果たしてその価値があったか。  「ランボー」第1作(1982年、原題は「First Blood」)は記憶に残る。ベトナム帰還兵が小さな町にかつての戦友を尋ねるが、保安官らから冷たい扱いを受ける。ついに耐えかね山岳地帯へ逃げ込んだランボー(シルベスター・スタローン)は元グリーンベレーのスキルを活かし、州兵1000人を相手に孤独な戦いを挑む…。  若い肉体のスタローンが見せるぎりぎりのアクション、PTSDに悩む帰還兵を演じる際のナイーブな表情。単なるアクション映画ではない、社会派の深みを感じさせた。しかし、第2作(「怒りの脱出」)、第3作(「怒りのアフガン」)に至って、ランボー対悪役(ヒール)と構..

  • 「ニューレフト」を詳細に分析~濫読日記

    「ニューレフト」を詳細に分析~濫読日記   「戦後『社会科学』の思想 丸山眞男から新保守主義まで」(森政稔著)    タイトルに「社会科学」という言葉が使われている。我々が若いころ、社会科学とはマルクス主義とほぼ同義であった。資本論を研究するサークルは「社研=社会科学研究サークル」と呼ばれていたと記憶する。冒頭、著者は、一時期使われた狭義のそれではなく、個別の社会領域を超えた、社会にヴィジョンを与えるような知的営み、と広義にとらえると再定義、この本の出発点としている。  そのうえで著者は「戦後」という時代を大きく4章に分ける。①「『戦後』からの出発」は、丸山眞男のファシズム批判とマルクス主義との関係②「大衆社会の到来」は、60年安保闘争以降に訪れた大衆社会をめぐる思想の紹介。取り上げたのはE・フロムやD・リースマン、A・ハレント、日本では松下圭..

  • 光が強ければ影も濃い~映画「ルース・エドガー」

    光が強ければ影も濃い ~映画「ルース・エドガー」    いかにもアメリカ人らしい名を持つルース(ケルヴィン・ハリソンJr)はしかし、白人の両親と違う肌の色を持つ。戦禍のアフリカ・エリトリアで生まれ7歳の時、移民としてエドガー一家に引き取られた。養母エイミー(ナオミ・ワッツ)、養父ピーター(ティム・ロス)の支えもあり心的障害を克服、模範的な高校生に育ったかに見えた。弁論大会で毎回優秀な成績を収め、陸上部ではキャプテンを任されるなどすべての面で優等生で、バラク・オバマの再来と期待する声も聞かれ始めた。  そんな彼をめぐって一つの事件が起きた。アフリカ系の歴史教師ハリエット・ウィルソン(オクタビア・スペンサー)から求められたリポートで、アルジェリア独立戦争を率いた革命思想家フランツ・ファノンの言葉を引用、暴力を肯定したのだ。一方で、同級生への性的暴行の疑惑が持ち上..

  • 自省的に描いた葛藤と喜び~映画「ペイン・アンド・グローリー」

    自省的に描いた葛藤と喜び~ 映画「ペイン・アンド・グローリー」    かつて世界的な名声を博した映画監督サルバドール(アントニオ・バンデラス)は脊髄の痛みに悩まされ、映画を撮る気力を失っていた。そんなある日、32年前の作品の上映会が催されることになった。この作品で演技をめぐってケンカ別れしたアルベルト(アシエル・エチェアンディア)も顔を見せるという。  結局、上映会はキャンセルした二人だったが、サルバドールが、最近書いた独白録のようなものを彼に見せると、作品化したいという。モノローグとして舞台化された公演の客席では、一人の男性が涙ぐんで見つめていた。サルバドールがかつて一緒に暮らしていたフェデリコ(レオナルド・スバラーリャ)だった…。  生きる気力さえ失っていた日常にふと、過去へと向かう水路のようなものが通じる。こうしてサルバドールはバレンシアでの甘..

  • 人類と疫病を考える~濫読日記

    人類と疫病を考える~濫読日記    コロナ禍が去らない。私自身、映画館通いは再開したものの、その他の外出は依然不便なままである。そんな日々の中、疫病と人類を考える何冊かの本を読了した。以下、その印象をまとめた。    ダニエル・デフォーの「ペスト」。「ロビンソン・クルーソー」で知られる作家である。1665年、悪疫(ペスト)に襲われたロンドン市内の様子を臨場感あふれる筆致で再現した。  予兆は前年秋にオランダであった。これがロンドンに飛び火したのはその年12月。冬の寒さでしばらく鳴りを潜めたが、2月になるとあっという間に市内を席巻した。その時の不気味な様子を、デフォーは当時発行されていた死亡週報に基づいて描いた。  デフォーは1660年(一説には61年)にロンドンに生まれ、1731年に没した。ペストが市内に蔓延したころはわずか5歳に過ぎな..

  • 貧しい民衆の怒りを正面から描く~映画「レ・ミゼラブル」

    貧しい民衆の怒りを正面から描く~映画「レ・ミゼラブル」    もちろん、ヴィクトル・ユゴーの原作の映画化ではない。ユゴーとの関連は舞台が「あゝ無情」と同じであることと、エンドロールで触れられた箴言だけである。  パリ郊外モンフェルメイユに警官ステファン(ダミアン・ボナール)が配属になった。街は移民や失業者であふれていた。かつてのパリの面影はなく、貧窮する人々の怒りが充満していた。そんな犯罪多発地帯を巡回するうち、事件が起きた。  サーカス団からライオンの子が盗まれたのだ。ステファンらは必死の思いでライオンの所在を突き止めた。その過程で少年たちの思わぬ抵抗にあい、主犯格のイッサの顔面を至近からゴム銃で撃ってしまった。しかも一部始終は、ほかの少年のドローンで撮影されていた…。  ライオンの子の捜索過程で明らかになる、イスラム社会でのライオンの位置、..

  • 安倍晋三は裸の王様~三酔人風流奇譚

    安倍晋三は裸の王様~三酔人風流奇譚   安倍動画の「気持ち悪さ」 松太郎 ネットで奇妙な動画を見てしまった。星野源の歌に合わせて、安倍晋三首相が犬を抱いて紅茶を飲んでいる。見てはいけないものを見てしまった、という嫌な気分だった。 竹次郎 僕も見た。「うちで踊ろう」というコラボ動画を星野が流しているというので検索したらあたってしまった。 梅三郎 僕は見ていないが、今の話でだいたい想像がつく。 松 ずいぶん反応があったようだ。もちろん、ほとんどが批判的だった。 竹 逆に言うと、この動画で「いいね」を押す人たちってどういう人たちなんだろう。菅義偉官房長官によると、多くの人が「いいね」を押したようだが。 梅 ちょっと、想像がつかない。 松 動画で抱いた違和感とはなんだろうか。 竹 一言でいえば、星野が自分の表現の..

  • アンダークラスの登場~濫読日記

    アンダークラスの登場~濫読日記   「<格差>と<階級>の戦後史」(橋本健二著)    韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が好評だった。ストーリーは荒唐無稽だが、人心をとらえたのは社会が「上級」「下級」という二つの階級に分かれている、という視点だった。言い換えれば、いま世界の多くの人間がこのような階級分化を実感しているのではないか、ということだった。むろん日本も例外ではない。    格差や階級のギャップが広がっている、と言われ始めて久しい。焼跡ヤミ市と華族階級の没落に始まった戦後社会は、高度経済成長を経てバブル崩壊を経験し、漂流と喪失の平成時代をくぐってきた。庶民の意識は一億総中流から正規・非正規へ、そして下層市民を生み出す中で変わってきた。どう変わってきたか。背景にある社会構造も変化したのだろうか。  「<格差>と<階級>の..

  • 2020-04-06

    良心的兵役拒否者を描く~映画「名もなき生涯」    主義のためでも思想のためでもなく、ましてや国家のためでもなく戦争に反対した、いわゆる良心的兵役拒否者を描いた作品である。美しくも淡々とした日常。拘束された後の重ぐるしさ。それらが3時間近く展開される。起伏やメリハリに欠ける、といった不満は出てくるかもしれないが、一方で重厚さと正統派のつくりは一見の価値ありといえる。  1939年のオーストリアの山あいの村ザンクト・ラーデグントに住むフランツ・イエガーシュテッター(アウグスト・ディール)は、妻ファニー(ヴァレリー・バフナー)と3人の娘とともに平穏に暮らしていた。しかしその前年、オーストリアはナチスドイツに併合され、戦争の足音は確実にこの村にも迫ってきていた。  40年にエンス基地に招集され軍事訓練を受けたフランツは、キリスト教の教えに従い罪のない人間を殺..

  • 病原菌には文明を滅ぼす力がある~三酔人風流奇譚

    病原菌には文明を滅ぼす力がある~三酔人風流奇譚   松太郎 4月も間近。毎年この頃にはプロ野球が始まり、Jリーグもたけなわで心躍るが、今年はシーズン開幕の見通しさえ立たない。 竹次郎 最新の数字で全世界の感染者64万人、死者数3万人超。これからアフリカ、中東がどうなるか。コロナウイルスよ、宇宙のどこかへ行ってくれ、という気分だ。世の中全体、盛り上がらない。 梅三郎 今回のコロナウイルスがもたらしたものは何か。地球上の最強の生物として君臨した人類が築き上げた文明がいとも簡単に崩壊しかねない、ということだった。 松 確かに。ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」には、スペインがなぜあれほど簡単にインカ帝国を滅ぼしたか、という考察があるが、要因としてタイトルにもある「病原菌」の存在が大きいとしている。ユーラシア大陸の家畜からヒトに移った10種類ほ..

  • 難解だが刺激的な一冊~濫読日記

    難解だが刺激的な一冊~濫読日記   「敗者の身ぶり ポスト占領期の日本映画」(中村秀之著)    GHQ占領直後の日本映画と日本社会を、精緻な分析で追究した。戦後史の中でこの50年代は、著者の言葉を使えば「奇妙に不鮮明な時代」といえる。映画論であるこの書では、具体的には1949~56年を対象とし、根拠としては、日米合作で業界内組織としてスタートした映倫が第三者機関に衣替えするまでの時期とした。  タイトルは「敗者の身ぶり」。「敗者」はむろん、敗戦国日本の国民を指す。難解なのは「身ぶり」である。映画の持つ「昼」と「夜」の概念が背景にある。「昼」とはこれまでに文字化されたり、概念として確立されたりしている部分だが、「夜」はいまだ「闇」として宙づりになっている部分である。そこを言語化するのが狙いらしい。著者の言葉でいえば以下のようになる。  ..

  • 言語が力だった時代~映画「三島由紀夫vs.東大全共闘 50年目の真実」

    言語が力だった時代~ 映画「三島由紀夫vs.東大全共闘 50年目の真実」    1969年5月13日、東大駒場である討論会が開かれた。保守系知識人としての地位を確立した作家・三島由紀夫(三島自身は「知識人」と呼ばれたくないだろうが)と、この年1月に安田講堂攻防戦があったばかりの東大全共闘約1000人。記録映像がTBSで見つかり、豊島圭介監督のもと、当時の取材者や時代の空気を知る知識人らのインタビューを交え、再編集して公開された。三島はこの1年半後に自衛隊市ヶ谷で隊員に蹶起を呼びかけ、受け入れられず割腹自殺した。豊島は1971年生まれで、三島の死後に生まれた世代である。  サブタイトルに「50年目の真実」とある。「真実」とは何か映像で判然とはしなかったが、それはひとまず置く。ただ、映像は50年後、つまり今の視点で編集されたものであることは頭の隅に置きたい。何が..

  • 最後にどんでん返しが待つ~映画「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」

    最後にどんでん返しが待つ~ 映画「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」    出版社が人気作家をホテルに缶詰めにして書かせる、という話は時々ある。しかし、数か国語に訳すため翻訳家をどこかの地下室に缶詰めにし、一斉発売まで極秘状態を保つというのはあるのか。ネットで探すと「ダ・ヴィンチ・コード」の原作者ダン・ブラウンが書いた最新作で同じようなことが行われたという。     ◇  ミステリー3部作「デダリュス」の完結編「死にたくなかった男」がついに脱稿した。版権を得た出版社の社長エリック・アングストローム(ランベール・ウィルソン)は売れ行きを見込んで9か国語に翻訳、一斉発売を計画した。事前に内容が漏れることを恐れ、9人の翻訳家は地下室に隔離された。地下室といってもそこはプールもあり、快適な生活が保障されていた。  新作の内容を知るのは翻訳家とアング..

  • 社会システムの脆弱性あらわに~三酔人風流奇譚

    社会システムの脆弱性あらわに~三酔人風流奇譚   「新型コロナウイルス」で見えたもの   松太郎 今年に入って新型コロナウイルス感染騒動が地球を覆っている。 竹次郎 中国・武漢を発生源とし、中国全土で7万人の感染者を出したかと思えば、あっという間に日本、韓国、ヨーロッパへと飛び火した。 梅三郎 よく分からないのは、北朝鮮が「感染者ゼロ」としていることだ。表向きはともかく中国と人的交流があるのは間違いなく、それで感染者ゼロはありうるのか。感染者は強制隔離しているとか、処刑しているという極端な見方まで出ている。 松 まあ、感染者はいるが北朝鮮当局がひた隠しにしていると見るのが妥当だろう。ロシアも、感染者が2ケタ前半というのはちょっと信じられない。2つの国とも、表向きは強面だが政治システムとしては脆弱だ。だから隠さなければならないので..

  • リアルな終末の風景に何を感じるか~濫読日記

    リアルな終末の風景に何を感じるか~濫読日記   「極北」(マーセル・セロー著)    不思議な作品である。サバイバルもしくは冒険小説と思い読み始めたら、途中からがらりと印象が変わった。出てくるのはリアルな終末の風景である。つまり、近未来もしくはディストピア小説であった。  舞台はシベリア。レナ河という地名が出てくるのでその付近らしい。米国の、貧困にあえぐ人たち約7万人が3波にわたる入植計画でこの地に移り住んだ。多くはクエート教徒らしい。国家としてのロシアはとうに崩壊している。5つの都市が建設されたが、現地の住民らによって襲撃され、滅亡した。そのうちの一つの都市エヴァンジェリンでただ一人生き残ったメイクピース・ハットフィールドが主人公である。  世界でただ一人生き残ったら何を想い何をするか、というのは哲学的命題として語られるが、ここでも、..

  • 間違いなく三池ワールド~映画「初恋」

    間違いなく三池ワールド~映画「初恋」    ボクシングと暴力と淡い恋。そんな三つの味で出来上がっている。  幼いころに捨てられ、親の顔さえ知らない葛城レオ(窪田正孝)は、ある試合で不覚のパンチを受けリングに沈む。不吉な予感がした彼は病院を訪れ、脳腫瘍と診断された。「俺の人生も終わり」と絶望感に打ちひしがれ新宿の街をさまよう眼に、逃げる女と追う男が飛び込んできた。「助けて」の声にとっさに反応、男に一発を食らわせた。  男はマル暴担当の悪徳デカ大伴(大森南朋)で、女は暴力団に売られ、薬物中毒に悩むモニカ(小西桜子)だった。大伴のポケットから警察手帳を発見したレオはモニカとともに逃げる。二人の長い夜が始まった。  発端は暴力団の一員・加瀬(染谷将太)が大伴に覚せい剤の横取りをたくらんだことだった。加瀬は、暴力団と一体になっていた大伴に計画を持ち掛け、..

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