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2005/05/05

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  • 国旗

      僕は手に、半分に切った日本の国旗と、同じく半分に切った韓国の国旗を持っていた。  ビルの屋上にいた。地上にはたくさんの人がいて、僕を見上げている。  僕はポールに、半分に切った日本の国旗を掲げた。  すると警官がやってきて、僕を逮捕した。 「所持品を見せろ」と警官は言った。半分に切った韓国の国旗を僕は見せた。 「これがいけなかったんですか?」 「もう半分はどこにあるん...

  • 子犬

      そこはどこなのか。深夜なのに明るい。太陽が出ている。太陽は白い。正気を取り戻したゴッホは何を描いたらいいのかわからない。しばらくの間僕と一緒に悩む。  僕の家があって、いつもよく行くスーパーがある。この間ショパンと行った食堂がある。食堂のおばちゃんとは顔見知りだ。しかし今日はいない。  この時間には必ずいるはずの常連客の姿もない。マスコット的な存在である黒猫もいない。代わりに子犬が寝...

  • ホール&オーツ

      ホール&オーツの曲でどれがベストかという話題になった。誰かの狭い部屋だった。座るところがなくて、僕は壁にもたれたままみんなの議論を聞いていた。  ラジオからは、ノンストップで昔の懐かしい音楽が流れた。なのにどうしてだろう、ホール&オーツの曲は1曲も流れなかった。「CDを聴こう」と僕は言った。ホール&オーツのベストアルバムがあるだろう。でも探したけどなかった。   ...

  • ホームレスの男

      下半身を露出したホームレスの男が僕に箒を差し出した。早口の英語で何か言った。まったく聞き取れなかった。  オーケーだよ。僕はその箒で道を掃除した。  そうしろと言ったんだろ?   僕が掃き集めたゴミの中に、銀色に光る紙切れがあった。ホームレスの男はそれを宝くじだと言う。 「QRコードを読み取ってアクセスしてみろ、当たりくじかも知れんぞ」  そのとおりだった。当選金84億ド...

  • アキラ

      明達(明達と書いてアキラと読ませる)は僕たちの前で不正に入手した茶を飲んだ。「味は変わらないんだろ?」と僕たちは言う。「そうだね」と明達は答える。「何も変わらないよ」 「でもまぁ、決まりは決まりだから」。そう言って僕たちは、明達を通報した。 「早く逃げなよ。逃げないと‥‥」  だが、いつまでたっても警官はやってこない。   ...

  • 3枚の切符

      ジャケットを脱いだけどまだ暑くて、結局僕は上半身裸になった。地下鉄の駅に電車が来た。ドアが開いた。ドアじゃないところも開いて、僕はそっちから乗り込んだ。  車内も暑かったが、女性の目が気になって、僕は上着を来た。手に持っていたはずのシャツはどこかでなくしてしまった。素肌に直接着たウールのジャケットは、汗でだめになってしまうだろう。  切符を3枚、地下鉄の路線図と一緒に持っていた。1枚...

  • 縁日

      縁日に皿を買った。友達が買えというのだ。縁日というのはそういうものだと。皿の縁は緑色だった。その友達は日本語があまりできない。きっと縁と緑を間違えたのだ。   ...

  • ゴールキーパー

      日本は2回戦で負けたが、決勝まで行くと思って買っていたチケットで次の試合も見た。知らない国同士の対戦だった。応援している観客はみんな外国人だった。観客席で悪目立ちしている自分を感じた。  何でこんなところにいるんだ? 観客の1人が僕に言った。みんなが待ってます。場内のアナウンスも僕を呼んだ。僕は選手なのだ。ゴールキーパーなのだ。チームは1点差で負けていて、これ以上の失点は許されなかった。...

  • 自首

      クレジットカードは紙製で、ポケットに入れておいたらすぐに折れ曲がってしまった。失敗したなと思った。でも僕のカードじゃない。店で拾ったものだ。不正に使ってやろうと思っていたものだ。  外に出て、道を歩いていたら小さなブタ箱があった。フタは開いていて、ブタはいなかった。それで僕がその中に入れると思った。ブタの代わりに。でも入らなかった。明日入ろうと思った。明日でいいだろう。   ...

  • 天使の羽根

      友達が「合格」した。僕はそれを讃える歌を歌った。パーティーだった。讃歌をみんなで歌い合った。天使の羽根を象ったケーキが出された。友達は一口だけ食べて言った。「本物じゃないか! 本物の天使の羽根だ!」そして僕に残りを食べていいと言った。   ...

  • 木の板

      君がバッハの「平均律」の最初のプレリュードを弾くのにかかった時間は、20秒に満たない。1音も抜かさず、どうやって弾いたんだろう。僕は席を立って、ピアノの側まで行った。  そこで見た、君が長い木の板を手に持っているのを。君は板で鍵盤を押しつけた。そして鍵盤から離した。その間10秒。フーガの演奏は終っていた。また新しい板が用意される。   ...

  • 蜃気楼

      バスに乗ろうとして停留所まで歩く。すると停留所は蜃気楼のように遠ざかっていく。歩いても歩いても辿り着けない。結局僕たちは駅まできてしまう。(電車に乗ればよかったのさ。)  駅には大勢の人がいる。全員が同じ列車に乗る。全員がかなり太っている。僕たちは乗れるだろうかと思う。乗れなかったら抗議しよう、と君は言う。僕を相手に抗議の予行演習をする。すでに抗議する気でいるのだ。    ...

  • シロクマ

      あてがわれたホテルの部屋には浴室しかなかった。バスタブにはすでに湯が張ってあった。そうやってフロに浸かったまま過ごしていると時間の感覚が失われた。記憶も溶けてしまったようだ。「そろそろ出発です、支度して下さい」、と言われても服をどこに脱いだのかわからなくなってしまった。  バスタブから出て大きな鏡の前に立った。いつの間にか体中に白い毛が生えているのを見た。まるでシロクマの着ぐるみを着てい...

  • 踊る車

      モーツァルトの巨大な像がある広場に人だかりができていた。コマーシャルの撮影らしい。メガホンを手に女性が群衆に説明している。スーツを着て、サングラスをかけて、英語で。 「ここに車がやってくる。車はダンスする」 (モーツァルトの像はよく見るとロボットだ。目は赤い。)    石の段の上に乗って、そのダンスを眺めることに。前にいた金髪の少女が、こちらを振り返った。僕の顔を見上げて、は...

  • 幼稚園の北

      バスの停留所は僕が昔通っていた幼稚園のそばにあった。「あの辺はよく知ってるんだ」と僕は思った。  いちおう地図で確認した。幼稚園の北側は未開発地区、地図は見たことのない記号で埋め尽くされている。  南は都市の中心部だ。  南からやってきたバス。北へ向う、と見せかけてUターンする。北には行けないのだ。  僕はかまわずバスに乗り北にカメラを向ける。  すると窓にさっきの記号が...

  • 黒いシーツ

      私は黒いシーツをかぶる。 「シーツ?」  演技をするときには、ブラック・シーツを頭からかぶる。そうすることで、本当の演技力は鍛えられるのだ。  そう語る演技王が何を演じているのか、僕にはさっぱりわからない。  シーツのせいだ。   ...

  • 動物の着ぐるみ

      コンビニで女性のファッション誌を見てみると、モデルは僕たちだった。僕たちは女の顔をして、女物の服を着て、男と腕を組み、大きく口を開けて笑っていた。僕たちはその雑誌を買った。   コンサートに行くと、ステージで歌っていたのは僕たちだった。僕たちは動物の着ぐるみを着ていた。どうしてそんなものを着て歌っているの、と訊いた。  これはリハーサルなんです、と僕たちは答えた。  本番では何...

  • オウムの唇

      メイク動画の生配信をしている最中に唇のある鸚鵡は逃げ出した。すぐに追いかけたが遅かった。唇のある鸚鵡は僕が本当は男であることを見抜いていて、それを日本中に暴露した。   僕の顔はまだ唇がノーメイクだった。その唇を僕が女のように震わせると、それが最後の配信になった。僕のアカウントは大炎上して閉鎖された。   ...

  • サイ

      動物園に行くとサイの檻の前に立て看板があった。「サイに質問をしないでください」と書かれている。 「サイが質問に答えられなかった場合、危険です。わからないことがあると、サイは体当たりしてきます」  角で突かれた人間のイラストが添えてある。   ...

  • ゴルフ

      蝶がゴルフクラブを持って飛んでいた。ゴルフをやっているのだ。地面には小さなボールがあった。蝶はひらひらとその上に飛来して、何度かスイングを試みるのだが、風に煽られてうまくいかない。ギャラリーが「あぁ」というため息をもらす。   ...

  • 躊躇

      待っていたエレベーターの扉が開くと、その向こうには1台の自動車があった。運転手は乗ってなかった。人の乗るスペースはほとんどなかったが、僕の隣で待っていた人は躊躇なく乗り込んだ。  なので僕もそのあとにつづいた。意外と乗れた。乗ろうと思えば、車の屋根の上にも乗れるではないか。   ...

  • 融合

      顔中にピアスをした店員が僕に親し気に挨拶した。本当に知り合いだったのかも知れないがわからない。そこは洋服を売っている店だったが店内には書籍もあった。僕はそれを見て時間を潰すことにした。  コーネリアスの小山田圭吾の書いた小説が置いてあった。舞台は19世紀のニューヨークで、ある夏の暑い日、留置所にぶちこまれていた酔っ払いや、犯罪者たちが、物理的に「融合」してしまうという話だ。   ...

  • 蹴飛ばす

      どうやってかホテルの部屋に入り込んだ2人の若い女が、僕の帰りを待っていた。遅かったのね、と言う。ずいぶんと散らかってるわこの部屋。  僕は最初申し訳ない気持ちで掃除を始め、自分で飲むために買ってきたジュースを彼女たちにあげるが、そのうちに腹が立ってきて、机や椅子を蹴飛ばす。昨日からこの女たちはいた。椅子の背にかけてあった女物の下着が落ちる。   ...

  • 保育園

      隣の保育園の人が、うちに来て、毎日うるさくないですか、と訊いた。  僕は隣が保育園だということも知らなかった。 「えっ、保育園なんてありましたっけ?」 「子供の姿なんて見たこともないし、声を聞いたことも‥‥」  ならいいんですけど、そう言ってその女の人は帰った。  気になって僕はその人の後をつけた。   ...

  • テレビ

      実家のテーブルの上の日に焼けた封筒の中身は旧紙幣だった。1/3を取って残りは妹たちに残した。妹たちはもう帰ってこないかも知れない。わかってる。思い直してもう1/3を取った。それでも全部は取れなかった。  居間にテレビがあった。梱包されたままの状態で埃をかぶっている。僕はそれを車に積み込んだ。もしかしたら売れるかも知れなかった。   ...

  • 二次元の線

      広間の床には何本かの直線が引いてあって、それは完全な二次元の線だったので僕らの目には見えなかったが、どこからかあらわれた子供たちがその線上を駆けていき、そしてまたどこかに消えていくのを見ると、存るということだけは信じていい気もして、1人子供たちの後を追うのだ。   ...

  • 無風状態

      アイドルグループのメンバーの1人は、グループのマネージャーと結婚していた。それは秘密ではなかった。プロフィールにも記載されていた。なのに誰もそのことを知らなかった。メンバー以外で知っているのは僕だけだった。  メンバーの別の1人が、今日のステージで、結婚を報告した。大騒ぎになるだろう、と思った。しかし無風だった。  というかやはり‥‥  結婚を発表したコが、バックステージで、僕の...

  • 誕生日

      雷が鳴った。振動で窓ガラスが外れてしまった。外に出てそれを嵌め直していると、小学生の女の子が来た。 「誕生日おめでとうのプレゼントあげる」 「ありがとう」 「今から塾だから。あとでまた来る」  でれでれ。    部屋に戻ると、ベッドでホームレスが寝ていた。 「やれやれ。オレが昨日までここに住んでたんだ」   ...

  • 昨日パリで

      曲名は、Auf dem wasser zu singen ドイツ語。  それを目にして、君は「この曲、コンサートで1回だけ弾いたことがある」  鼻歌で Auf dem wasser zu singen を歌い始め‥‥ 「パリだった」 「昨日のことみたいに話すのね」 「昨日まで雨が降ってた。パリは‥‥」  僕だけが韓国語で話している。君は笑った。その笑い声は何語でもない...

  • 上官

      命令通り、逮捕したドイツ人の母娘を、フランスまで連行した。銃で脅した。ところがパリに着くと、僕の上官は、ひどく取り乱した。すぐに釈放しろと言うのだ。  僕は母娘を、駅まで引っ張っていき、そこで手錠を外した。「もう帰っていいよ」とぶっきらぼうに言って、金を渡した。その金で彼女たちが、ドイツまでの切符を買い、列車に乗るのを見て、踵を返した。  すると空から、爆弾の雨が降ってきて、いくつか...

  • 美術手帖

      娘たちが僕の部屋に来て『デザインの現場』や『美術手帖(BT)』のバックナンバーを見ている。 「貸してほしい」と言われたら貸すつもりだし 「ちょうだい」と言われたらあげるつもりだ(もちろん)。  でも誰も何も言わない。  よだれを垂らさんばかりに夢中になって眺めている。    娘たちが大嫌いなはずの雷が外で激しく鳴っている。  ドアの影に隠れて誰かがメンソールの煙草...

  • 保湿クリーム

      革靴に人間用の保湿クリームを塗った。すると革靴は人間になった。履いていく靴がなくなった。 「責任を取りましょうか」と保湿クリームは言った。    次の瞬間僕はバスに乗っていた(裸足だった)。  そのまた次の瞬間僕は旅館にいた。 「さぁ着きましたよ」と保湿クリームは言った。  どこに? 「一緒に大浴場に行きましょう」と保湿クリームは言った。  いいよ、と僕は答え...

  • 反語

      森には危険がいっぱいだと言われて来た。とくに動物が危険だと言われて警戒していた。そんな僕の前に1匹の鹿があらわれた。鹿は喋った 「私の何が危険だというの?」  僕を誘惑した    美しい鹿に導かれて僕は歩き出した。森の奥へ奥へと進んだ。鹿は僕の心を読んで言った 「そんなに帰りたいの?」  反語的表現はもうやめてくれ 「私の、何がいけないというの?」   ...

  • 凍った肉

      寝る前に冷凍の肉を渡された。それを抱えて寝室へ行くと、ベッドの中で君も凍った肉を抱えていた。どうすればいいのかわからなかった。   ...

  • 台風

      21日までソウル。一旦帰国して、また25日にソウル。しかし予報を見てみると、台風が来ている。25日に列島を直撃する。 「帰国するのやめれば?」と韓国の友達は言った。  21〜25日まで何をして過ごそう。ただの夢。   ...

  • バッグにお湯

      旅の宿で布のバッグにお湯を溜めた。久しぶりに風呂に浸かりたかった。僕はカバンの風呂に入った。  蛇口から出てくる水がお湯になるまで時間がかかった。(一方で湯が冷めるのは早かった。)  カバンにはタオルや着替えのシャツが入れてあった。全部濡れてしまった。一旦外に出すのを忘れてた。  蛇口は洗濯バサミだった。ハサミを閉じたり開いたりすると水が出た。水が跳ね返って部屋に干していた洗濯物...

  • 曖昧な夢

      すごく曖昧な夢。  どこかにいたな。  何かをしていた。 「何かって何?」   思い出せない。 「1人でしてたの?」    いや、誰かいた。その誰かは、僕のしていたことをしなかった。僕がし終えるのを待っていたんだと思う。  僕がそれを終えることはなかったけど、時間が来たか何かで、僕たちはその場を去った。  それでまたどこかに行って、僕はさっきまでしていたこ...

  • ハンドル

      君の中にいる、10歳の少女が、表面に出てきて、僕のキスを拒んだ。 「私、まだ10歳よ」  毎晩。  家の前に停めた車の中で、ハンドルを握る僕は、君の帰りを待った。     最初に愛をほしがる、僕の口の中、そこに苦い味が広がった。  夏。  蛾が、口の中に飛び込んできたのだ。   ...

  • 脚光

      暗がりの中でスポットライトが僕に当てられたが、何をすべきなのかわからなかった。  台本があっただろうか? 覚えていない。僕は何もせず立っていた。  ステージには他にもいたのだが、光は僕にだけ当てられたので、誰もいないように見えた。  僕が突っ立っている間、彼らは何かをしていた。  けれど彼らにしてもそれを「し終える」ということは決してなく、状況はいつまでも変化しなかった。 ...

  • ジャクソン5

      どれだけ歩いても先頭車両に辿り着けない。長い列車だ。  前に行けば行くほど、乗客の年齢は若くなる。  彼らは兄弟姉妹だった。ジャクソン5みたいに可愛らしい子供たち。 「君たちが、突原さんのところの‥‥?」  だが子供たちは否定も肯定もしない。 「写真を撮ってくるように言われているんだよ」 「誰に?」いちばん年嵩の少年が訊いた。 「だから、トツハラさんにさ」  ...

  • てんとう虫

      僕はおでこから愛を吐き出した。そこら中が愛でいっぱいになった。愛はピンク色のハートではなく、てんとう虫の姿をしていて、僕は草間弥生の絵の中にいるようだった。  ‥‥夢か。 「よくがんばったね」。僕よりも若い医者が、僕に向って言った。そして、僕のおでこの皮膚を縫い始めた。  手術が、終ったらしい。僕の肌より暗い、茶色の糸で、僕の額の傷は縫合された。   「2、3日で、糸は消...

  • おばあちゃんの家

      そこは畑の中の一軒家だ。バスに乗って田舎の、君のおばあちゃんの家に行った。家に人間は誰もいなかった。その代わりに動物がたくさんいた。君と僕を迎えるために、兎を始めとする動物たちが全員家の前に出てきた。  兎が飛び跳ねて、歓迎の意を示した。僕たちも返礼のジャンプをした。ぴょんぴょんと家の屋根よりも高く飛び上がって、嬉しさを表現した。   ...

  • ラーメン

     「ラーメンは不治の病だ」とその人は言った。  あぁ昨日のドラマでそんなセリフがあったな。 「違う」と医者は答えた。覚えてるままのクサいセリフを言ったよ。「ラーメンは治せる。一緒に頑張ろう」 「気休めはよせよ。オレはもう治らない。一生ラーメンとつき合っていくしかないんだ」   ...

  • 助手

      手術は概ね終った。皮膚を縫合するのは助手に任された。麻酔から覚めた僕は、その様子を見ている。  僕の皮膚に、靴紐のような紐がついていた。それを固く結んで、手術は終わり。   ...

  • 三輪車

      タイムマシンは、三輪車のよう。君を後ろに乗せ、重いペダルを踏んだ。ふっと、重力を感じなくなった。そうすると、過去だった。  もう、漕がなくてもよかった。三輪車は、自動で滑るように進んだ。君のおばあちゃんが子供のころ住んでいた、田舎の家だ。  畑の中の、一軒家。庭で鶏や、兎を飼っている。  兎たちが僕を見て、嬉しそうに飛び跳ねた。君も、真似して飛んだ。ぴょんぴょん。家の屋根より高く...

  • 監視カメラ

      君が夜中に帰ってくる。歯も磨かずベッドに潜り込む。2人で眠るには狭いベッドに。  僕はもう起きることにした。ここは2人で暮らすには狭い部屋だ。  部屋にはたくさんのモニターがあり、1人で眠る人たちが映し出されている。  見張ってるわけじゃないのだが、スイッチはオフにできない。  天井の監視カメラで僕も見張られていると思い込んでいる。実際はどうなんだろう。    誰かが...

  • 美術館

      美術館の、広大な展示スペースに、たった1枚の絵が飾られています。何時間歩いても、歩いても、絵の近くに辿り着けない。気づくともう、閉館の時刻です。諦めて僕は、帰ろうとする。だが出口は、遥か後方です。出られなくなった僕は、翌日の来訪者の見る、遠い絵の中に閉じられてしまう。   ...

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