ジャン・イベール《 物語 (Histoires) 》とその背後にある人生

ジャン・イベール《 物語 (Histoires) 》とその背後にある人生

ふと、何の前触れもなく浮かぶ情景があります。金の亀を使う女。小さな白いロバ。水晶の籠。ジャン・イベールの《物語(Histoires)》は、そんなイメージの断片を音に変えた、短くて美しい10曲の小品です。 “Histoires”はフランス語で「物語(stories)」や「小話(anecdotes)」を意味する言葉。つまりこの曲集は、「音の短編集」として捉えることができるのです。今回はその中でも、第4曲《おてんば娘》を通して、その魅力を紐解いていきます。 1. 作曲家イベールってどんな人? ジャン・イベール(Jacques Ibert, 1890–1962)は、ユーモアと色彩に

2025/04/16 21:44