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  • Match!|既婚者マッチングアプリ#6

    美咲は思わず、ICHIにハートを押してしまった。 すると画面に「Match!」と表示され、「マッチングしました。お相手へメッセージが送れます」と書いてあった。そして、「メッセージする」を押すか「閉じる」を押すか悩んだ末に、「メッセージする」を押して、「こんばんは」──その一言だけを入力して、美咲はそっと送信ボタンを押した。 それだけの短いメッセージを送った後、美咲はすぐに画面を閉じた。 送っておきながら、既読がつくのが怖かった。 返事が来ないかもしれないし、 来たとしても、うまく返せる自信がなかった。 けれど、数時間後。 息子の「ただいま」の声に目を覚ましたとき、トークのところに「1

  • ひとりの人間|既婚者マッチングアプリ#5

    自己紹介文をまずは書いてみようと思った。なんて書いたらいいんだろう。美咲は悩みながらも、 「自分のことを“ひとりの人間”として見てくれる誰かが、どこかにいてくれたら──そう願っています」と書き込んだ。基本や詳細はとりあえず書くのを止めた。 相手からの画面に数名の男性プロフィールをもう一度見てみた。 素敵な景色の写真に目が留まり、開いてみた。 ICHI 53歳 男性 東京都 「家庭も仕事も守ってきましたが、ふと立ち止まってみたら、 自分のことを“ちゃんと見てくれる人”がいないことに気づきました。 誰かと心から話せる時間を、大切にしたいと思っています。」 自己紹介の文面をみて、美咲は

  • 相手から|既婚者マッチングアプリ#4

    ふと、ため息をひとつこぼして、美咲はスマホを置いた。 けれど、数秒後にはまた拾い上げていた。 「今の私に、誰かと話す資格なんてあるんだろうか」 そう思う一方で、 「誰かと、ちゃんと話してみたい」という声が、心のどこかで鳴り止まなかった。 今日はここまでにしよう。そう思ってそれ以上先には進まなかった。 翌日、気を取り直して、カドルを開いた。 マイページには「お相手とのトーク機能を利用するには年齢確認が必要です」と注意が出ていた。まだ、始まっていないようだ。「相手から」の手のマークのところには丸が表示されている。私は恐る恐る押してみた。写真がずらりと表示された。絞り込むの数字が表示

  • ニックネーム|既婚者マッチングアプリ#3

    基本情報として、ニックネーム、性別、生年月日、居住地の入力画面が出てきた。 「ニックネーム…」と美咲は呟いた。なんて入力しよう。自分とわからないようなでも、呼びやすいのがいいなとニックネームを「SAKI」として「次へ」とボタンを押した。 美咲の美を取っただけなんて単純かしら?でも、呼びやすいし、ありふれてるからわからないかなと思ったのだった。 次はメイン写真の登録らしい。画像を選ぶとあった。顔写真でなくても大丈夫なようなので、とりあえず大好きなお花の写真を選んだ。そして「決定する」を押した。 どうやらこれで初期登録が完了したようだった。「プロフィール編集へ」というボタンがあったが、閉じ

  • 日常に特別を|既婚者マッチングアプリ#2

    「Cuddle ─ カドルで日常に特別を。」 インストール不要。WEBサービスなので使いたい時にだけアクセス。 本人確認必須。メッセージの利用には公的証明書の提出が必須など、安心して使えそうな取り組みが書かれていた。 本人確認が必須なら、変な人はいないかな?と思った。 また、24時間監視で悪質なユーザーがいないかをチェック、悪質なユーザーの制限、個人情報の管理もうたっていた。 写真も限定公開らしい。まだこの時点では写真についてはよくわからないけれど、限定なら安心かな?と思った。 美咲は気がつくと「いますぐ無料登録する」のボタンを押していた。 登録画面が出てくる。アカウントの作成らしい

  • Cuddle|美咲の場合#1

    リビングの電気を落とすと、家の中にしんとした空気が流れた。 夫のいびきが寝室の奥から微かに聞こえる。 高校生の息子は塾でまだ帰宅しておらず、娘は自室に閉じこもったまま。 美咲は、ひとりでソファに座っていた。 温かさを失ったマグカップを両手で包んだまま、ただぼんやりとしている。 テレビもスマホの通知音も、今の彼女にはうるさすぎた。 それでも、手は自然とスマホへ伸びていた。 検索履歴を開くと、数日前の言葉が目に残っている。 「40代 主婦 恋愛 始め方」 スクロールする中で、ひとつだけ、広告のように目を引くものがあった。 「大人の出会い探しー」 「既婚者マッチングアプリ「カドル(

  • 彼に私は会いたかった|マッチングアプリ#11

    こんなにもペースが違うものなんだな。と驚いた。会いませんか?に、どう返信していいかわからなかった。プロフィールしか手がかりはない。写真もない。返信に会えませんと返したら、そこで終わってしまうのだろうか?初めての事で、しばらく考え込んでしまった。もう一人の男性に相談してみる?なんて事まで浮かんでしまった。でも、会いたいと言われのですがどう思いますか?なんて、メッセージをしている男性に言うのは失礼だろう。そう思うとなんて返すのが正解?ぜひ、会いましょう。と返したところで、会うなんて怖い。でも、遅かれ早かれやっぱりメッセージをやり取りするという事は、そういう事でもあるのかもしれない。どうせな

  • 会いませんか?|マッチングアプリ#10

    激しいメッセージのやり取りではないし、ほんの一言、二言だけれども、メッセージのやり取りをした。すぐに会いたいというわけでもなかったし、顔も本当の名前も知らない誰かと、メッセージをする感覚に慣れないながらも、自分のペースでやり取りができた。仕事をしている人でもあるので、そんなに頻繁にメッセージがくるわけでもなかった。そんなペースも私にはあっていた。 時々、写真も送ってくれるようになった。美味しそうな食べのもの写真やお花の写真を送ってくれる。そんな彼に少しずつ癒されていった。時々、メッセージがこない日もある。どうしたのかな?と思う日もあった。でも、聞くような関係でも踏み込む勇気もなかった

  • 初めまして|マッチングアプリ#9

    登録してから一週間が経った。特にときめくような人はいない。展開もない。もう、やめようなか。そんな風にも思っていた。やめるぐらいなら、一人だけ会ってみよう。もう経験だ。運を天に任せて、男性とメッセージを始めることに私はした。「神様」そんな風に思いながら、メッセージをくれた男性に勇気を出して「初めまして」と送った。 「メッセージありがとうございます。嬉しいです。」丁寧に返信がその日のうちに返ってきた。喜んでもらえて良かった。そう思って、メッセージを読んだ。そんなに長い文章なわけでもなく、会おうと言ってきてるわけでもなく、ここから先、何を返していいのだろう? そんな風にも思った。戸惑って、

  • 出会うまでに何十人 マッチングアプリ#8

    職場でご飯を食べていると 珍しく若い子が話しかけてきた。 どうしたのかな?と思って話を聞いていると マッチングアプリでいい人と出会ったということだった。 私は思わず前のめりになって その子の馴れ初め、メッセージのやり取りを聞いてしまった。 「もー、いい人に出会うまでに何十人って会いましたよ。メッセージなんてその倍です。大変でしたけど、今の彼に巡り会うためだったんだ!って思うと良かったなって今なら思えます!」と鼻息を荒くして語ってくれた。 私は心の中でそんなにたくさんの人とメッセージもできなければ会うなんて事も難しいかもしれない。そんな事を少しだけ話を聞きながら思ってしまった。 「結

  • 恋愛のブランク マッチングアプリ#7

    男性が若い子が好きみたいなものに 嫌悪感を抱いていたのに 自分も同じなことにこの歳になって笑ってしまう。 せっかくだから若い子とと思いつつも勇気はまだなかった。 47歳はなしにした。 その後もプロフィールを時間があれば眺めていた。 でも、ピンとくる人もいなく時間が過ぎた。 やっぱり、そうそう、上手くいくものでもないのかな。 そんな気持ちにさえなった。 自分にいいねをくれる人のプロフィールもみた。 でも、ピンとこない。 長く恋愛をしてこなかったせいなんだろうか? もうやっぱり今更、恋愛とか恋とか無理なんだろうか。 ネットなんてやったことないし やっぱり、知らない人に恋をするなんて無

  • 50代に壁 マッチングアプリ#6

    もしも知人に見られたら? もしも、夫が見たら? そんな不安もあったので花の写真を登録した。 写真がプロフィールが飛び出してきた。 どうやるのかわからなかった。 どうすればいいのかわからなかった。 とりあえず、出てきた人のプロフィールを読んでみた。 写真はぼかしが入っているのではっきりとはわからない。 自分もぼかして載せるのもいいなと思いながら読んでいた。 47歳の男性。年下か。相手にしてもらえるかな? そんな不安もある。3つ下だけど40代と50代に壁がある気がした。 自分も60代と見たら少しだけ考えてしまいそうな気もした。 結局、実際に会えば年齢なんて関係がないのだろうけれど 写

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