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  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 咳をして死のかうばしさわが身より 山上樹実雄  「かうばしさ」こんがりこげたような、よいにおいである。とある。多くの人は火葬で死を終える。が、それは死んで後のことである、生きている間に咳によってこうばしさを感じることが果たしてあるだ

  • 80『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog梅若菜まりこの宿のとろろ汁 芭蕉  歳時記によると梅は春で若菜が新年、とろろ汁が秋ということになる。もっともとろろ汁は芭蕉の頃は季語と認められていなかったらしい。ともあれ新春気分満杯でうきうきする上に大好物のとろろ汁で止められては参る

  • 14 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

     Ryo Daimonji Blog 今朝も亦焚火に耶蘇の話かな 虚子  外仕事の衆が朝のミーティングがわりに火を焚きしばし話を交わすことはよくするところだ。どこからが仕事なのかわからないような話なのだが、確かに気の流れがあって大将が仕切っている。そんな話にここんとこ

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 女人咳きわれ咳つれてゆかりなし 下村槐太 講演会やコンサート会場で開演前に人につられるように咳が続くことがある。状況はわからないがこの句、女人の咳につられて咳をした自分を詠んでいる。しかもその女人とは縁もゆかりもないのだ。声を交わ

  • 79『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 大津絵の筆のはじめは何仏 芭蕉 この句は、元禄三年(1690年)大津で乙州宅にて。『俳諧勧進帳』路通編(元禄4年・1691年刊)所載。大津絵をググッてみるが仏様の絵より鬼の楽しい絵が多かった。中に鬼の絵がティーシャツにプリントされたものがあった

  • 13. 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 闇汁の杓子を逃げしものや何 虚子  闇汁は何かで聞いたことがある、電気を消して鍋のものをわからなくして一度箸にかけた物は口に入れなければならない。ふんどしやカエルなどオエーとなるようなものを持ち寄り食べる遊びとか。もちろん肉野菜と

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog せきをしてもひとり 尾崎放哉  京都府須知高校で口語自由律俳句サークル「みずぐるま」に入いっていたことがある。有季定型句も自由律俳句もよく知らぬまま俳句に親しんでいった。尾崎放哉はシンガー尾崎豊の少年性と通じるものを感じる。みずぐる

  • 78『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 比良みかみ雪指しわたせ鷺の橋 芭蕉  この句は、元禄三年(1690年)大津で乙州宅にて。初出は『翁草』里圃編(元禄8年・1695年刊)芭蕉一周忌追善集。 上五の比良みかみは比良山と三上山のことで、山を二つ続けることは珍しいということだ。鷺の橋は

  • 12 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog我を迎ふ舊山河雪を装へり 虚子  後書きに大正三年一月松山に帰省とある。故郷の山をありがたいと言ったのは石川啄木であるが虚子はこの句で故郷の山河が自分を雪で装って迎えてくれるとあたかも丁重に人に対するように詠んでいる。しかもただの山

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blogしづかなるいちにちなりし障子かな 長谷川素逝  最近では障子はサッシに代わり一般ではあまり使われなくなっているのかもしれない。我が家ではそれなりに使っているがこの句のような落ち着きがあるかは疑問だ。つまりこれといった困りごともないが

  • 77『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog薦を着て誰人います花の春 芭蕉 花たけなわの春の日に薦を着て、しょぼくれて座している人は誰でしょうか。私です。と解してみた。はたして、花の昼は「華やかな新春」新年のことであった。「薦をかぶってどなたがいらっしゃるのでしょうか」と解説が

  • 11 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blogその日その日死ぬる此身と蒲團かな 虚子  大正2年虚子39歳の時の作品とある。「ホトトギス」200号となり虚子盛んなりし頃である。この頃に病を負っていたかは、勉強不足でよくわからないが、朝日文庫の略年表で見る限りそんな気配はない。人間は誰

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 金屏風何んとすばやくたたむこと 飯島晴子  会場撤収の作業の瞬間を捉えられた。イベントというのは会場を仕舞うまでが勝負。設営と異なり係は一点に集中し、動く「はやく」。あの優雅に会場を気品で演出した金屏風が、たたまれる瞬間にこの句でも

  • 76『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog76  少将のあまの咄や滋賀の雪 芭蕉 大津に弟子の智月を訪ねてこの一句。この「少将のあま」とは鎌倉初期の女性歌人、藻壁門院少将のことであるらしい。「雪の降る滋賀で藻壁門院少将の咄など智月さんとしたことだよ。」ほどの句意のようだ。 下五の

  • ⑩定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 死神を蹶る力無き蒲團かな 虚子  冬場防寒のため蒲團や毛布を重ねることはよくするところだ、それが重く寝苦しくなることも然りである。作者、それ以上に懊悩することもあり眠られぬ床となったようだ。えいくそ!布団を蹴り飛ばして起きてみた。頼

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 重き書は手近に置いて冬籠 佐藤紅緑  「重き書」重量で言うなら僕の書では大のつく歳時記、それに美術の歴史書も重い。内容の重さで言うのなら生きてきた時期による。まさかこの句、いずれにしても持ち運びの労の故に手近に置いてゆっくり籠ろうと

  • 75『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 長嘯の墓もめぐるかはち敲 芭蕉  句の意味だけをつなぐと、空也念仏衆よ歌人、木下長嘯子の墓にも巡るのですか。と言うことになるのだろうか。 ネットによると、空也僧が空也上人の命日の 旧暦11月13日から大晦日までの48日間、鉦を鳴らしたり、竹

  • 74『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog  初雪やいつ大仏の柱立 芭蕉.  大仏が建立されるということで世間はとても喧しいのだが、住宅で言うところの棟上に当たるのだろうか、大仏の柱立てはいつになるのか、もう初雪も降ったと言うのに気が気ではない。と解釈してみたのだが。大仏殿は

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 牡蠣啜るするりと舌を嘗めにくる 坊城俊樹  ずばり生牡蠣を食べたときの食感が詠まれた。「海のミルク」とも言われるほどに滑らかな食感をするりと舌を嘗めにくるとは、なんともセクシーな表現ではないか。私は、昔の養殖法を聞いてから牡蠣が苦手

  • ⑨定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog  霜降れば霜を楯とす法の城 虚子 法の城、私は仏法で固められた気高い寺院と解した。その寺に霜が降り、かかっている様を霜が楯のように守っているのだと詠まれたものと解する。自然の霜が守ると言えば、なんとも堅牢な美しさではないか。

  • 73『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog  初時雨猿も小蓑を欲しげなり 芭蕉  猿の一風景が写されている。猿という人に似た動物はいつもキョロキョロと辺りを伺い物欲しげにしているものである。季語初時雨が初冬の寒々とした季節を捉えており、なおさらこの猿の表情をありありと伝えるの

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 魴鮄に紺青の夢ありにけり 大嶽青児  魴鮄という魚いわゆる流線型の美しい魚とは言えない。深海魚とは言わないにせよ相当深いところにいて胸鰭が二つあって捕食のために歩く魚と評されている。この魚に夢があると言われれば何やら応援したくなる、

  • ⑧定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog   三世の佛皆座にあれば寒からず 虚子  三世の佛とは、前世、現世、来世とおわすべき佛、すなわち仏教で言えば釈迦牟尼仏とでも言えば良いのだろうか。その時代に尊師が皆それぞれの座にあれば、つまり衆常の護持する寺にあれば、世が寒にあろう

  • 72『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む(再発行)

    Ryo Daimonji Blog    丈六にかげろふ高し石の上 芭蕉  「丈六」とは仏身の一丈六尺の大きさを言ったらしいが、その仏像が結跏趺坐されているところから、「あぐら」のことを「じょろく」その座り方を「じょろくをかく」と言ったりするようだ。してみるとこの句は

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog   鰰に映りてゐたる炎かな 石田勝彦  居酒屋などで酒のあてに鰰を頼むと目の前で焼いてくれたりする。それを眺めながらまずはちびり、日本酒をひやでコップ飲みする。炎の勢いが過ぎ、おいおい燃えているではないか、百も承知の兄さんが頃合いを

  • ⑦ 定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog 垣間見る好色者に草芳しき 虚子 垣間見る、物の隙間からこっそりと覗き見ることなのだそうだが、好色者の草を見るとは陰毛を見ると言うことで、しかもそれが香ばしく結構である。と言うことなのか。とまれ辞書に従い直訳してみたが、ググってもヒッ

  • 71『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む(再発行)

    Ryo Daimonji Blog    春立てまだ九日の野山哉 芭蕉  この句の九日が正月一月の九日であることに大方の異論はないようだ。それにしても正月の日の経つ感覚は不思議だ。今日も実際三日なのだが今年は日が経つのが遅く感じられて仕方がない。それが五日を過ぎると急

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog  冬の波冬の波止場に来て返す 加藤郁乎 「冬の」のリフレイン、冬の波が冬の波止場に来るのは当たり前ではないのか。波止場と一口にいってもその用途によって幅が広い。まずは漁港、客船ターミナル、それにコンテナ埠頭など。この句は活気あふれ

  • ⑥定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog   座を挙げて戀ほのめくや歌かるた 虚子  晴れ着に身を包んだ男女が知り合いのお宅の奥座敷に会することとなった。気分は既に新年会、お節の昼食会もひと段落、お茶の後みんなでかるたをすることとなった。年末の句会あたりで二人の間を飛び交って

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