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  • 71『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    )Ryo Daimonji Blog春立てまだ九日の野山哉 芭蕉 この句の九日が正月一月の九日であることに大方の異論はないようだ。それにしても正月の日の経つ感覚は不思議だ。今日も実際三日なのだが今年は日が経つのが遅く感じられて仕方がない。それが五日を過ぎると急に早く過ぎ

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog   小鳥死に枯野よく透く籠のこる 飴山 實 鳥であれ犬であれ飼っていたペットが死に、その籠や小屋が残っているのを見るのはとても辛いことだ。その寂しさ、空虚さを「枯野よく透く」と選ばれた言葉に、暗くもなく重くもない小鳥の死の認識がある

  • ⑤定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog耳とほき浮世の事や冬籠 虚子  歳をとって耳の遠くなった自分にとって世俗の損得や人のことなんぞはどうでもいいことだ。この調子で冬籠と決め込もう。耳が遠くなると言う高齢の特徴を活かして冬籠と決め込む余裕のことを俳句にされた。季語がややつき

  • 70『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Daimonji Blog 歩行ならば杖つき坂を落馬哉 芭蕉  杖をつかわないと行けないほどの坂である。世に杖つき坂とも言われている。そこを馬で行こうものなら落馬するのは必定、それほどに厳しい坂である。歩行で行って落馬すると言うのはおかしいが、自分の落馬にまつわる思

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 冬ざれやものを言ひしは籠の鳥 高橋淡路女  あたり一面が冬の寒さの景色になった。そんな中、籠の鳥がしきりに同じ言葉を繰り返す。おうむか九官鳥かそういった鳥だ。籠の鳥との下五であるが、通常籠の鳥は不自由の象徴として用いられる。身辺不自

  • ④定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog  柴漬に見るもかなしき小魚かな 虚子 俳句の勉強が一生もんだと言うことは誰よりも知っているつもりだった。「柴漬」僕の持っている「角川俳句大歳時記」にも「講談社新日本大歳時記」にもな・い。その後ネットで「ふしづけ」と読むのであり、各々

  • 69 『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Daimonji Blog    いざさらば雪見にころぶ所迄 芭蕉  なんとも楽しい俳句である。親しい友と興じた後で、名残惜しいがさあお別れだ、雪見を兼ねて見送るとしましょう。ただし雪に足を取られてころぶところまでとしましょうね。いざ。

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog  この枯れに胸の火放ちなば燃えむ 稲垣きくの 草や木が枯れ果てたこの冬の野や山に私の胸の内に燃える火を放てば燃えるに違いない。「業火」と言う言葉が浮かんだ。作者は何にこれほどの火を燃やしているのか。恋焦がれる火ならば浅ましくはある

  • ③定本 高浜虚子全集 第一巻『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog  蒲団かたぐ人も乗せたり渡舟 虚子  日本中の大きな川には渡し舟があって多くは舟で、あるものは人が担いだりして渡したものであろう。この句は渡し舟を詠んでいる。しかもこの舟は蒲団を肩に担ぐひとを乗せたらしい。今で言う引っ越しで家財一式を

  • 68『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog    磨きなほす鏡も清し雪の花 芭蕉  鏡に己が姿を写ししばし見入るということは、単に着衣をチェックするということにとどまらず誰しもするところであろう。時に鏡の曇りや汚れといったことには特に気になるところである。朝から始めた鏡磨きで

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog  冬木の枝しだいに細し終に無し 正木浩一  先日この稿で自然、動物、植物の内に上がってくるが名句の句材として「木」は難しいとやったところだ。この句も誰しもが見る冬木の枝を丁寧に詠まれた。「しだいに」「終に」と副詞と「細し」「無し」の

  • ②定本 高浜虚子全集 第一巻 『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog   大根の花紫野大徳寺 虚子  京都市北区紫野の大徳寺。懐かしい、大学浪人時代に友人がこの辺りに下宿していて時折ほっつき歩いた。端正な壁に沿って路地があり寺にたどり着いた記憶がある。この句、上五を庶民的な大根に委ね突如中七で花紫野と

  • 67『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 鷹一つ見付てうれしいらご崎 芭蕉 いらご崎は鷹を観察する趣味の方々も集まるところがあるほどに 鷹にまつわる名所のようだ。芭蕉が特に喜んだポイントは敬愛する西行の「巣鷹渡る伊良湖が崎を疑ひてなほ木に帰る山帰りかな」。と言う歌と杜国との

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog 大空の風を裂きゐる冬木あり 篠原鳳作  名句の句材として「木」は難しい。自然、動物、植物の内に上がってくるが、木に意思があるわけのものではない、従って風を切り裂いて存在しているわけではなく、この句はあくまで作者の受け止めである。この

  • 定本 高浜虚子全集 第一巻 『五百句』より

    Ryo Daimonji Blog   春雨の衣桁に重し戀衣 虚子  春雨の日に昨日のことを思い出している。ガラーンとした和室に昨日の着物が掛けられていてずっしりと重い。何と言うこともないのだが、今ひとつ気が晴れないのだ、気が晴れぬと言うより気が虚ろなのである。あれか

  • 66『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog    星崎の闇を見よとや啼千鳥 芭蕉 星のきれいな星崎にあって、星を見ようとしないでその深い闇をこそ見てください。そうすればきっと美しい星が見えてきますよ、と千鳥が啼いて教えています。つまり、星は闇があればこそ美しく見えるもので、本

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog   一九三六と 覚えしこの日ニ・二六 奈良文夫 この句の名句の所以は、歴史の勉強で誰しもやった語呂合わせ、例えば今流行りの鎌倉。良い国作ろう鎌倉幕府、とかあれあれ。覚えると言う勉強の基本の普遍性、懐かしさ? それとも語呂合わせのヒドク

  • 65『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog   君火をたけよきもの見せむ雪まるげ 芭蕉  あたりは寒い雪の日で、弟子の誰かと心やすい話となった。そこで翁が君は火を焚いてください。そうすれば私は、良いものを見せてあげましょう、雪だるまです。と言う。などと文字面をなぞってみるが

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog    次の田に畦の影ある冬田かな 倉田絋文 田んぼには一枚一枚が広々としたものもあれば、裾から上まで段をなす棚田などさまざまな形態がある。この句はどちらかといえば後の方で隣り合った田の景色を詠んだもののようである。見る向きによってで

  • 64『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog    此梅に牛も初音と鳴きつべし 芭蕉 長い冬が去ってこの梅も咲き始めた。この時とばかりに、牛も鶯の初音のように鳴いてよいと、当然、適当の意を強調して是認する(私の文法書の通り)。鈍重な牛の鳴き声を可愛い鶯の初音に見立てたところにエス

  • 『名句の所以』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog われは粗製濫造世代ふゆひばり 高野ムツオ  産めよ増やせよ、と言われた時代があったことは知っている。確か戦争中ではなかったか。その煽りを受け戦後ベビーブームとなったのではなかったか。作者の世代のことはよく知らないのだが、おそらくその

  • 63『芭蕉の風景』(著:小澤實)を読む

    Ryo Daimonji Blog   盃の下ゆく菊や朽木盆  芭蕉  難しい、まず「盆の下ゆく菊」である。盃に酒を飲む部屋の窓下に小さな流れがあって、そこに菊が流れていった。盃は古びた盆の上にあって、なんともしみじみすることだなあ。と、一応の解釈にしてみた。このまま

  • 2012年(平成24年) 冬 大文字良 第一句集『乾杯』より

    Ryo Daimonji Blog   猪鍋食ふ味噌は濃くせよ熱くせよ 

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