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日々の栞 https://plutocharon.hatenablog.com

本、映画、について気ままに書くブログ。理系の元書店員。村上春樹や純文学などの小説について考察や感想を書いていきます。

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2022/04/14

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  • 古本まつりの神保町をふらふらしてみた

    春といえば何だろうか? 桜?お花見?ヤマザキ春のパン祭り? いや、「神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり」だろう。 ということで、古本まつりが開催されるということで神保町に行ってきた。 関西の古本まつりといえば京都の下鴨神社の夏の古本まつりだろうか。学生の時は毎年行ったものだ。働き始めてから関東に来たので、ことあるごとに神保町には来ているのだが、古本まつりに行くのは二回目ぐらいである。 店の前の道にも本が並べられる様子は「古本まつりなんだな」ということを実感させてくれる。 神保町といえば古本が有名かもしれないが、新刊書店も負けていない。岩波書店を専門的に扱った「神保町ブックセンター」…

  • 100分de名著で村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』が取り上げられる件について

    もうすぐ4月になるのだが、今年の4月は村上春樹ファンにとって嬉しい月になるかもしれない。 『街とその不確かな壁』の文庫化や、『神の子どもたちはみな踊る』のドラマ化など、村上春樹関連のイベントが目白押しだからだ。 そしてこの記事で紹介したいのは、100分de名著で『ねじまき鳥クロニクル』の特集される件についてだ。 100分de名著で『ねじまき鳥クロニクル』の特集 『ねじまき鳥クロニクル』とは? 100分de名著で『ねじまき鳥クロニクル』の特集 NHK 100分 de 名著 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』 2025年 4月 [雑誌] (NHKテキスト) NHK出版 Amazon 4月の「100分…

  • 4月は村上春樹関連のイベントが目白押しな件について

    暑くなったり寒くなったりと目まぐるしく天候が変化する今日この頃ですが、なんともうすぐ4月になってしまう。もう今年の四分の1が終わってしまったのだなと思うとなんともいえない気持ちだが… そんな4月だが、村上春樹ファンには嬉しい月になるかもしれない。 『街とその不確かな壁』の文庫化や、100分de名著で『ねじまき鳥クロニクル』の特集、『神の子どもたちはみな踊る』のドラマ化など、村上春樹関連のイベントが目白押しだからだ。 この記事では4月にある村上春樹関連のイベントを紹介したい。 100分de名著で『ねじまき鳥クロニクル』の特集 『街とその不確かな壁』の文庫化 『神の子どもたちはみな踊る』がドラマ化…

  • 青崎有吾の『地雷グリコ』はいつ文庫化されるのか?

    『このミステリーがすごい!』など国内の四大ミステリランキングの1位を独占し、数多くの文学賞を受賞した話題作が『地雷グリコ』だ。『LIAR GAME』のような頭脳戦が繰り広げられる小説だ。 この記事では『地雷グリコ』がいつ文庫化されるのか考察しようと思う。 『地雷グリコ』ってどんな作品? いつ文庫化されるのか? 『地雷グリコ』ってどんな作品? 地雷グリコ (角川書店単行本) 作者:青崎 有吾 KADOKAWA Amazon 射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷…

  • 宮島未奈の『成瀬は天下を取りに行く』はいつ文庫化されるのか?

    本屋大賞を受賞し、個性豊かな登場人物たちが話題を集めた『成瀬は天下を取りにいく』。 2023年に単行本として発売された作品なので、そろそろ文庫化が期待される。 この記事では『成瀬は天下を取りにいく』がいつ文庫化されるのか考察しようと思う。 『成瀬は天下を取りにいく』ってどんな作品? いつ文庫化されるのか? 『成瀬は天下を取りにいく』ってどんな作品? 成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ 作者:宮島未奈 新潮社 Amazon 宮島未奈の『成瀬は天下を取りにいく』は、滋賀県大津市を舞台にした青春小説である。第20回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞した「あ…

  • 凪良ゆうの『汝、星のごとく』はいつ文庫化されるのか?

    本屋大賞を受賞し、話題を集めたのが『汝、星のごとく』という作品だ。 2022年に単行本として発売された作品なので、そろそろ文庫化が期待される。 この記事では『汝、星のごとく』の文庫化時期について考察しようと思う。 『汝、星のごとく』ってどんな作品? いつ文庫化されるのか? 『汝、星のごとく』ってどんな作品? 汝、星のごとく 作者:凪良ゆう 講談社 Amazon 凪良ゆうの『汝、星のごとく』は、瀬戸内の美しい島を舞台に、高校生の暁海と櫂の心の成長を描いた感動的な恋愛物語である。二人はそれぞれ家庭の問題を抱え、孤独と欠落を感じながら惹かれ合う。物語は、彼らの純粋な恋愛が成長と共に直面する困難やすれ…

  • 宮島未奈の『成瀬は天下を取りに行く』はいつ文庫化されるのか?

    本屋大賞を受賞し、個性豊かな登場人物たちが話題を集めた『成瀬は天下を取りにいく』。 2023年に単行本として発売された作品なので、そろそろ文庫化が期待される。 この記事では『成瀬は天下を取りにいく』の文庫化時期について考察しようと思う。 『成瀬は天下を取りにいく』ってどんな作品? いつ文庫化されるのか? 『成瀬は天下を取りにいく』ってどんな作品? 成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ 作者:宮島未奈 新潮社 Amazon 宮島未奈の『成瀬は天下を取りにいく』は、滋賀県大津市を舞台にした青春小説である。第20回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞した「あり…

  • 村上春樹の『街とその不確かな壁』はいつ文庫化するのか?

    村上春樹の最新刊といえば『街とその不確かな街』だ。 2023年4月13日に発売されたこともあり、そろそろ文庫化するのではと思う。 この記事では『街とその不確かな街』はいつ文庫化するのかについて考察してみた。 『街とその不確かな壁』とは? いつ文庫化するのか? 『街とその不確かな壁』とは? 街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 『街とその不確かな壁』は村上春樹の最新長編だ。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と同様に、壁で囲まれた不思議な街が舞台の小説である。 『街とその不確かな壁』は「街と、その不確かな壁」のリメイクだ。「街と、その不確かな壁」は、単行本や文庫本、…

  • 2024年版本格ミステリ・ベスト10のランキング入り作品を紹介!

    毎年恒例のミステリーランキング、「2024年版本格ミステリ・ベスト10」が発表された。 今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。 この記事では「2024年版本格ミステリ・ベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。 「本格ミステリ・ベスト10」とは? 2024年版本格ミステリ・ベスト10 1位:エレファントヘッド / 白井 智之 2位: 可燃物 / 米澤 穂信 3位:あなたが誰かを殺した / 東野 圭吾 4位:午後のチャイムが鳴るまでは / 阿津川 辰海 5位:或るスペイン岬の謎 / 柄刀 一 6位:化石少女と七つの冒険 / 麻耶 雄嵩 7位:十…

  • 2023年版週刊文春ミステリーベスト10の作品を紹介!

    毎年恒例のミステリーランキング、「週刊文春ミステリーベスト10」が発表された。 今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。 この記事では「週刊文春ミステリーベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。 「週刊文春ミステリーベスト10」とは? 2023年版「週刊文春ミステリーベスト10」の作品を紹介 1位: 可燃物 / 米澤 穂信 2位:あなたが誰かを殺した / 東野 圭吾 3位:鵼の碑 / 京極 夏彦 4位:エレファントヘッド / 白井 智之 5位:アリアドネの声 / 井上 真偽 6位:十戒 / 夕木 春央 7位:存在のすべてを / 塩田 武士 8…

  • このミステリーがすごい!2023年版のランキング上位10作品を紹介!

    毎年恒例のミステリーランキング、「このミステリーがすごい!2023年版」が発表された。 今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。 この記事では「このミステリーがすごい!2023年版国内ベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。 「このミステリーがすごい!」とは? このミステリーがすごい!2023年版国内ベスト10 1位 爆弾 / 呉 勝浩 2位 名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件 / 白井 智之 3位 捜査線上の夕映え / 有栖川 有栖 4位 方舟 / 夕木 春央 5位 プリンシパル / 長浦 京 6位 爆発物処理班の遭遇したスピン / 佐藤 …

  • 村上春樹原作のドラマ『地震のあとで』がNHKで放送される件について

    村上春樹の短編集『神の子どもたちはみな踊る』を原作とするドラマ『地震のあとで』がNHKで放送されるみたいだ。 今回ドラマ化されるのは、「UFOが釧路に降りる」、「アイロンのある風景」、「神の子どもたちはみな踊る」、「かえるくん、東京を救う」の4作品だ。「かえるくん、東京を救う」に関しては、「続かえるくん、東京を救う」になっているのだが。 この記事では村上春樹原作のドラマ『地震のあとで』について詳しく書きたい。 『神の子どもたちはみな踊る』とは? 村上春樹原作のドラマ『地震のあとで』 UFOが釧路に降りる アイロンのある風景 神の子どもたちはみな踊る 続・かえるくん、東京を救う 『地震のあとで』…

  • 阿津川辰海の館四重奏シリーズって何?

    近年、ミステリー界で注目を集めている若手作家が阿津川辰海だ。 緻密な論理と大胆なトリックで読者を魅了する阿津川辰海の作品の中でも、特に人気が高いのが「館四重奏」シリーズと呼ばれる極限状況における館ミステリだ。 そんな阿津川辰海の館四重奏シリーズについてこの記事では解説したい。 阿津川辰海ってどんな作家? 館四重奏シリーズとは? 紅蓮館の殺人 蒼海館の殺人 黄土館の殺人 まとめ 阿津川辰海ってどんな作家? 名探偵は嘘をつかない (光文社文庫) 作者:阿津川 辰海 光文社 Amazon 阿津川辰海は、2017年に新人発掘プロジェクト「KAPPA-TWO」で作家デビューした。古典ミステリーへの深い造…

  • 2025年本屋大賞ノミネート作品を紹介する!

    本屋大賞とは? 2025年本屋大賞にノミネートされた作品 アルプス席の母 / 早見和真 カフネ / 阿部 暁子 禁忌の子 / 山口 未桜 恋とか愛とかやさしさなら / 一穂 ミチ 小説 / 野崎 まど 死んだ山田と教室 / 金子 玲介 spring. / 恩田 陸 生殖記 / 朝井 リョウ 成瀬は信じた道をいく / 宮島 未奈 人魚が逃げた / 青山 美智子 まとめ 本屋大賞とは? 成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ 作者:宮島未奈 新潮社 Amazon 本屋大賞は、書店員が「いちばん売りたい本」「いちばん読んでほしい本」を投票によって決める文学賞だ。書店員が「面白い!」と心底思った本を…

  • BUMPの「青の朔日」のタイアップ先はの劇場版名探偵コナン説を提唱したい

    Iris (通常盤) アーティスト:BUMP OF CHICKEN トイズファクトリー Amazon 私は大のBUMPファンで、昨年開催されたSpheryRendezvousというライブにも足を運んだ。 このライブはBUMP OF CHICKENの最新アルバム『Iris』の楽曲を中心としたツアーだ。 このアルバムには「青の朔日」という名曲があるのだが、何かのタイアップ作品であるらしい。この事実は結構前に公表されたのだが、今だに「青の朔日」のタイアップ先は明かされていない。 BUMPファンの間でもいろんな予想が上がっていて、これまで色々な候補が上がってきたのだが、今だにタイアップ先が発表されてい…

  • このミステリーがすごい!2024年版のランキング上位10作品を紹介!

    毎年恒例のミステリーランキング、「このミステリーがすごい!2024年版」が発表された。 今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。 この記事では「このミステリーがすごい!2024年版国内ベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。 「このミステリーがすごい!」とは? このミステリーがすごい!2024年版国内ベスト10 1位: 可燃物 / 米澤 穂信 2位:鵼の碑 / 京極 夏彦 3位:あなたが誰かを殺した / 東野 圭吾 4位:エレファントヘッド / 白井 智之 5位:アリアドネの声 / 井上 真偽 6位:木挽町のあだ討ち / 永井 紗耶子 7位:…

  • ミステリが読みたい!2025年版のランキング上位10作品を紹介!

    毎年恒例のミステリーランキング、「ミステリが読みたい!」の2025年版が発表された。 今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。 この記事では2025年版の「ミステリが読みたい!」に入ったミステリ小説を紹介したい。 「ミステリが読みたい!」とは? ミステリが読みたい!2025年版国内ベスト10 1位:地雷グリコ / 青崎 有吾 2位:冬期限定ボンボンショコラ事件 / 米澤 穂信 3位:ぼくは化け物きみは怪物 / 白井 智之 4位:檜垣澤家の炎上 / 永嶋 恵美 5位:少女には向かない完全犯罪 / 方丈 貴恵 6位:伯爵と三つの棺 / 潮谷 験 7位:…

  • 2025年版本格ミステリ・ベスト10のランキング入り作品を紹介!

    毎年恒例のミステリーランキング、「本格ミステリ・ベスト10」が発表された。 今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。 この記事では2025年版の「本格ミステリ・ベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。 「本格ミステリ・ベスト10」とは? 2025年本格ミステリ・ベスト10ランクイン作品 1位:地雷グリコ / 青崎 有吾 2位:ぼくは化け物きみは怪物 / 白井 智之 3位:六色の蛹 / 櫻田 智也 4位:伯爵と三つの棺 / 潮谷 験 5位:永劫館超連続殺人事件 / 有栖川 有栖 6位:サロメの断頭台 / 夕木 春央 7位:少女には向かない完全犯…

  • 2024年版週刊文春ミステリーベスト10の作品を紹介!

    毎年恒例のミステリーランキング、「週刊文春ミステリーベスト10」が発表された。 今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。 この記事では「週刊文春ミステリーベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。 「週刊文春ミステリーベスト10」とは? 2024年版「週刊文春ミステリーベスト10」の作品を紹介 1位:地雷グリコ / 青崎 有吾 2位:冬期限定ボンボンショコラ事件 / 米澤 穂信 3位:禁忌の子 / 山口 未桜 4位:檜垣澤家の炎上 / 永嶋 恵美 5位:法廷占拠 爆弾 2 / 呉勝 浩 6位:ぼくは化け物きみは怪物 / 白井 智之 7位:明智恭…

  • このミステリーがすごい!2025年版のランキング上位10作品を紹介!

    毎年恒例のミステリーランキング、「このミステリーがすごい!2025年版」が発表された。 今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。 この記事では「このミステリーがすごい!2025年版国内ベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。 「このミステリーがすごい!」とは? このミステリーがすごい!2025年版国内ベスト10 1位:地雷グリコ / 青崎 有吾 2位:冬期限定ボンボンショコラ事件 / 米澤 穂信 3位:檜垣澤家の炎上 / 永嶋 恵美 4位:少女には向かない完全犯罪 / 方丈 貴恵 5位:伯爵と三つの棺 / 潮谷 験 6位:日本扇の謎 / 有栖…

  • 斬新さが魅力⁈川端康成らの新感覚派を解説する

    新感覚派は、大正末期から昭和初期にかけて日本文学に登場した文学流派である。 1924年に創刊された同人誌『文藝時代』を母体として、横光利一や川端康成などの新進作家が集まり、自然主義的リアリズムに反発し、感覚的表現を重視した。 新感覚派は、主観的な感覚を基にした新しい現実を創造し、従来の文体を超える独自の表現方法を追求した。新感覚派は、モダニズム文学やダダイスムの影響を受け、文学の形式そのものの改革を目指したことが特徴である。 この記事では新感覚派について解説する。 新感覚派とは 新感覚派の特徴 代表的な作家と作品 横光利一 川端康成 堀辰雄 まとめ 新感覚派とは 疾走! 日本尖端文學撰集 ――…

  • 真実はいつも一つじゃない?多重解決ミステリのおすすめ13選

    本格ミステリで流行していたジャンルがある。それが多重解決ミステリだ。 現在特殊設定ミステリが流行っていると思うが、それ以前に本格ミステリではやっていたのが多重解決ミステリだ。 この記事では多重解決ミステリの概要と、おすすめの多重解決ミステリについて紹介したい。 多重解決ミステリとは 毒入りチョコレート事件 / アントニー・バークリー ギリシャ棺の謎 / エラリー・クイーン 虚無への供物 / 中井 英夫 愚者のエンドロール / 米澤 穂信 インシテミル / 米澤 穂信 丸太町ルヴォワール / 円居 挽 異次元の館の殺人 / 芦辺 拓 ミステリー・アリーナ / 深水 黎一郎 その可能性はすでに考え…

  • ミステリの新ジャンル!特殊設定ミステリ小説のおすすめ13選

    最近注目を集めているミステリ小説のジャンルといえば、「特殊設定ミステリ」だろう。 特殊設定ミステリとは現実世界とは異なる特殊なルールを設定し、その設定のもとで論理を展開させて謎を解くタイプのミステリ作品だ。 『屍人荘の殺人』や『medium 霊媒探偵城塚翡翠』など特殊設定ミステリの話題作が次々と発表されて、ちょっとしたブームになっている。 この記事では、最近話題になっている特殊設定ミステリ小説について紹介したい。 特殊設定ミステリとは? 生きる屍の死 / 山口 雅也 七回死んだ男 / 西澤 保彦 人格移転の殺人 / 西澤 保彦 リピート/ 乾 くるみ 折れた竜骨 / 米澤 穂信 Another…

  • 「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」のアートブックが発売される件について

    「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」。1981年に発表されたこの村上春樹の短編小説は、運命的な出会い、そしてすれ違う恋の切なさを鮮やかに描き出し、多くの読者の心を捉えてきました。 もしかしたら、この物語の世界観をさらに深く味わえるアートブックが存在するのでは、と期待している方もいるかもしれません。今回は、そんな「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」のアートブックについて、詳しく探ってみました。 アートブックの出版状況調査の結果、「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」を題材としたアートブックは、現在出版さ…

  • ビートジェネレーションって知ってる?

    1950年代のアメリカ。第二次世界大戦後の好景気に沸き、物質的な豊かさを享受する一方で、精神的な空虚感に苛まれる若者たちがいた。彼らは、既存の社会や価値観に反発し、自由を求めて彷徨い、新たな表現方法を模索した。彼らを「ビート・ジェネレーション」と呼ぶ。 ビート・ジェネレーションは、文学運動であると同時に、社会現象でもあった。彼らは、既存の文学の枠にとらわれず、自らの体験や感情をありのままに表現した。ドラッグ、セックス、東洋思想といった、それまでのタブーとされてきたテーマにも果敢に挑戦し、若者たちの心を掴んだ。 この記事では、ビート・ジェネレーションの定義、背景、特徴、代表的な作家とその作品、影…

  • クリストファー・ノーランの最新作『オデュッセイア』についてまとめてみた

    クリストファー・ノーラン監督は、『ダークナイト』3部作、『インセプション』、『インターステラー』など、数々の話題作を世に送り出してきた映画監督である。 常に斬新なアイデアと緻密な構成で観客を魅了し、世界中の映画ファンから高い評価を得ている。そんなノーランの最新作は、2026年7月17日に世界同時公開予定の『オデュッセイア(原題)』だ。今回は、この最新作に関する情報を、現時点で入手可能な範囲でまとめてみた。 最新作『オデュッセイア』の概要 あらすじ キャスト 期待される見どころ まとめ 最新作『オデュッセイア』の概要 www.cnn.co.jp タイトル:『オデュッセイア(原題:The Odys…

  • 文学的遊戯の追求!「ウリポ」って知ってる?

    20世紀半ばのフランス文学界に彗星のごとく現れた文学グループ「ウリポ」。数学的思考と文学的創造性を融合させた彼らの試みは、多くの文学愛好家を魅了するのみならず、現代文学の流れに大きな影響を与えた。ウリポのメンバーの多くは、あらゆる学問をパロディ化した「パタフィジック」を標榜する、コレージュ・ド・パタフィジックの会員でもあった。 この記事では、ウリポの概要、代表的な作家とその作品、そして現代文学への影響について考察していく。

  • 自らの内側から文学の可能性を探った「内向の世代」とはどんな作家たち?

    文学史では時代性や特徴ゆえにグループとして名前を与えられたものがいくつかある。 「白樺派」もそうだし、「第三の新人」というものもある。 この記事では、古井由吉、黒井千次、後藤明生、坂上弘、小川国夫、高井有一、阿部昭などの内向の世代について紹介したい。 彼らの作品は、現代社会における人間の孤独や不安、アイデンティティの喪失といった問題を鋭く捉え、多くの読者に共感を呼んでいる。 「内向の世代」とは 「内向の世代」の特徴 「内向の世代」の代表的な作家と作品 古井由吉 後藤明生 黒井千次 「内向の世代」の文学作品に対する批評や解釈 「内向の世代」の文学作品が社会に与えた影響 「内向の世代」とは 「内向…

  • 理想を追求した?志賀直哉らの「白樺派」を解説する

    白樺派は、1910年(明治43年)創刊の文学同人誌『白樺』を中心にして起こった文芸思潮の一つであり、その理念や作風を共有していたと考えられる作家達のことである。 雑誌「白樺」に依拠して、キリスト教、トルストイ主義、メーテルランク、ホイットマン、ブレイクなどの影響を受けつつ、人道主義、理想主義、自我・生命の肯定などを旗印に掲げた文学者たちが白樺派に名を連ねる。 この記事では白樺派について解説したい。 白樺派とは? 白樺派の主要な作家と作品 武者小路実篤 志賀直哉 有島武郎 白樺派の特徴 人間性への関心 理想主義 自然主義の影響 白樺派とは? 白樺派とトルストイ: 武者小路実篤・有島武郎・志賀直哉…

  • 第172回芥川龍之介賞の受賞作『DTOPIA』と『ゲーテはすべてを言った』について紹介する

    第172回芥川賞の受賞作が発表された。 受賞作は安堂ホセ「DTOPIA」と鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」の二作品だ。 ノミネート作品は下記の五作品だった。 安堂ホセ「DTOPIA」(文藝秋季号) 鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」(小説トリッパー秋季号) 竹中優子「ダンス」(新潮11月号) 永方佑樹「字滑り」(文學界10月号) 乗代雄介「二十四五」(群像12月号) ノミネートされた5名のうち、鈴木結生、竹中優子、永方佑樹は初めて候補に選ばれ、安堂ホセは3回目、乗代雄介は5回目のノミネートとなる。 芥川賞をざっくり簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番有…

  • 佐世保に行ったので佐藤正午の聖地を巡礼してみた

    最近というわけではないのだが、長崎旅行してきた。 メインは大浦天主堂やハウステンボスだったのだが、せっかく長崎に行くので敬愛する作家・佐藤正午の聖地巡礼をしたいということで、佐世保に行ってきた。 鳩の撃退法 上 (小学館文庫) 作者:佐藤正午 小学館 Amazon 知らない人のために説明しておくと、佐藤正午は『永遠の1/2』や『鳩の撃退法』、『月の満ち欠け』などの作品で知られる作家だ。文体や小説の構成が素晴らしく、唯一無二の小説を書いている。特に『鳩の撃退法』は、メタフィクション的な仕掛けがある大傑作で是非多くの人に読んでもらいたいと思う。『月の満ち欠け』で直木賞を受賞し、映画化もされたので知…

  • 次に実写化される館シリーズは?Huluで映像化される『〇〇館の殺人』を予想してみた

    www.youtube.com 綾辻行人の館シリーズは、中村青司が設計した館を舞台に繰り広げられる密室殺人や複雑なトリックが魅力のミステリ小説シリーズだ。1987年の「十角館の殺人」を皮切りに、多くの読者を魅了し続けてきた。 特にシリーズ一作目の『十角館の殺人』は、どんでん返しの名作として有名であり、そのトリックの性質ゆえ「映像化不可能」と言われていた。映像化不可能の名作といわれた『十角館の殺人』だが、2024年3月にHuluにて実写ドラマ化された。当時は「どうやって映像化するんだ」と思っていたが、実際に見てみるとかなりの力技で実写化していた。 これで館シリーズの実写化は終わりかなと思っていた…

  • 『世界でいちばん透きとおった物語2』が出版される件について

    皆さんは本は紙で読む派だろうか?それとも電子書籍派だろうか? 自分は紙で読む派なのだが、最近では電子書籍派の人もかなり増えてきているんじゃないだろうかと思う。どっちでもいいんじゃないと思う人が多そうだが、中には「電子書籍化絶対不可能」と言われる小説がある。 「電子書籍化絶対不可能」や「紙の本でしかできない体験」と話題になったミステリが『世界でいちばん透きとおった物語』だ。 世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2) 作者:杉井 光 新潮社 Amazon 「電子書籍化絶対不可能」という口コミが広がりメディアでも話題を集め、2023年のベストセラーになったミステリ小説だ。実際に紙の…

  • 今年の振り返り

    皆さん、こんにちは。 なおひとです。 今年は仕事が忙しく、ブログからも、読書からも遠ざかってしまった一年でした… 来年こそは読書とブログを充実させたい! 特に純文学、ミステリ、村上春樹あたりにフォーカスしてブログを更新して行きたいなと思う。 久しぶりのまとまった休みなので読書しまくってます。 それでは良いお年を!

  • ミステリ小説のフェアプレー精神!ノックスの十戒とは?

    推理小説の世界には、読者への挑戦状ともいえる独特の構造が存在します。 作家は、読者に謎を解くための手がかりをすべて提示し、読者はその情報をもとに探偵と推理を競い合う、いわばゲームのようなものです。このゲームを成立させるための暗黙の了解、それが推理小説におけるルールです。その代表的なものが「ノックスの十戒」と「ヴァン・ダインの二十則」です。 今回は、ロナルド・ノックスが提唱した「ノックスの十戒」に焦点を当て、その内容と影響、そして現代における意義について詳しく解説していきます。 ノックスの十戒とは?「ノックスの十戒」は、イギリスの推理作家ロナルド・ノックスが1928年に、ヘンリー・ハリントンと共…

  • 後期クイーン問題とは何か?

    後期クイーン問題。ミステリ好きであれば一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、その内容を正確に理解している人はどれほどいるでしょうか? アメリカの推理作家エラリー・クイーンの後期作品群には、緻密な論理構築と大胆なプロット展開の中に、ある種の「限界」が示唆されていました。そこから生まれた後期クイーン問題は、ミステリにおける論理的思考の可能性と限界を問う重要な概念です。 本稿では、後期クイーン問題の定義、歴史的背景、そして現代ミステリにおける役割について解説していきます。さらに、後期クイーン問題を題材としたミステリ作品も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 後期クイーン問題の定義 後期…

  • 第172回芥川龍之介賞の候補作を紹介する

    第172回芥川賞の候補作が発表された。候補作は下記の五作品だ。 安堂ホセ「DTOPIA」(文藝秋季号) 鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」(小説トリッパー秋季号) 竹中優子「ダンス」(新潮11月号) 永方佑樹「字滑り」(文學界10月号) 乗代雄介「二十四五」(群像12月号) ノミネートされた5名のうち、鈴木結生、竹中優子、永方佑樹は初めて候補に選ばれ、安堂ホセは3回目、乗代雄介は5回目のノミネートとなる。 芥川賞をざっくり簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番有名な賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・…

  • 館シリーズ完結作『双子館の殺人』はどんな内容?

    長きにわたりミステリーファンを魅了してきた綾辻行人の「館」シリーズだが、まもなく完結する。館シリーズは全十作品の予定であり、次の作品で10作品目となる。シリーズ最終作のタイトルは『双子館の殺人』だ。現在、メフィストで連載中だ。 この記事では館シリーズ最終作の『双子館の殺人』について詳細を紹介したい。 綾辻行人の「館シリーズ」とは? 十角館の殺人 水車館の殺人 迷路館の殺人 人形館の殺人 時計館の殺人 黒猫館の殺人 びっくり館の殺人 奇面館の殺人 シリーズ最終作『双子館の殺人』とは? 綾辻行人の「館シリーズ」とは? 十角館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫) 作者:綾辻行人 講談…

  • ノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガンってどんな作家?

    2024年のノーベル文学賞の発表があり、受賞者は韓国の作家ハン・ガン(Han Kang)だと発表された。韓国として初のノーベル文学賞受賞であり、アジア人女性として初のノーベル文学賞受賞でもある。

  • 村上春樹?多和田葉子?ブックメーカーを参考にして2024年ノーベル文学賞を予想してみた

    また今年もノーベル賞発表の季節になった。 「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というニュースを見かけるのは年々減っているのではと感じる。毎年の恒例行事なので、ブックメーカーのオッズ等を参照して今年のノーベル文学賞を予想したいと思う。 街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 昨年の村上春樹は、村上春樹が新作長編『街とその不確かな壁』を出版するなど、活動的な一年だった。ヨーロッパで最も権威がある賞の1つと言われている、スペインのアストゥリアス王女賞の文学賞を受賞するという快挙も達成している。 今年もブックメーカー(賭け屋)において村上春樹の人気がどうなのか確認してみた。 …

  • 第171回芥川龍之介賞の候補作を紹介する

    第171回芥川賞の候補作が発表された。候補作は下記の五作品だ。 朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)尾崎世界観「転の声」(文學界6月号 )坂崎かおる「海岸通り」(文學界2月号)向坂くじら「いなくなくならなくならないで」(文藝夏季号)松永K三蔵「バリ山行」(群像3月号) ノミネートされた5名のうち、朝比奈秋、坂崎かおる、向坂くじら、松永K三蔵は初めて候補に選ばれ、尾崎世界観は2回目のノミネートとなっている。 芥川賞をざっくり簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番有名な賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界…

  • 第37回三島由紀夫賞候補作品の紹介と受賞作予想

    今年も三大純文学新人賞の1つ、三島由紀夫賞の季節がやってきた。 芥川龍之介賞に比べると知名度が大きく下がる三島由紀夫賞だけれども、受賞作の前衛性は芥川賞を超えると思っている。これまでに三島由紀夫賞は舞城王太郎や佐藤友哉、中原昌也など芥川賞では評価されにくい尖った才能を見出してきた。個人的に一番好きな純文学新人賞だ。 今回の候補作が公開されたが、芥川賞と違って独自色が強いなって思う。 候補は下記通り。 ・久栖博季「ウミガメを砕く」 ・小砂川チト「猿の戴冠式」 ・鈴木涼美「YUKARI」 ・大田ステファニー歓人「みどりいせき」 ・間宮改衣「ここはすべての夜明けまえ」 今回の三島由紀夫賞ではデビュー…

  • 久しぶりの投稿、ブログ再開

    みなさんお久しぶりです。なおひとです。 仕事が忙しく、バタバタしておりブログが更新できていない時期が続いておりました… 少し仕事が落ち着いてきたので投稿を再開して行きたいと思います。 最近は忙しくて、なかなか小説が読めない日々が続いている。 なんか『花束みたいな恋をした』の麦みたいな感じを想像してもらったら分かりやすいかもしれない。 そんなバタバタの日々を過ごしておりますが、大好きな佐藤正午先生の新刊『冬に子供が生まれる』をちびちびと読んで過ごしているのが今日この頃かな。 ブログの書き方も忘れつつあるが、ぼちぼちと再開したいと思います。 今更ですが、今年もよろしくお願いいたします。 冬に子供が…

  • 朝比奈秋「あなたの燃える左手で」と九段理江「しをかくうま」が第45回野間文芸新人賞を受賞した件について

    三大純文学新人賞の一つである第45回野間文芸新人賞の受賞作が発表された。 受賞作は、朝比奈秋「あなたの燃える左手で」と九段理江「しをかくうま」の2作だ。 特に朝比奈秋は今回の受賞で新人賞三冠にリーチとなった。 この記事では第45回野間文芸新人賞の受賞作について」紹介したい。

  • 没入感がすごい!物語世界に浸れるイマーシブな小説8選

    最近、イマーシブというキーワードがエンタメを賑わせている。 イマーシブ(immersive)とは、没入感を意味する言葉で日本でも流行りつつある。 現実にいながら物語や芸術の世界に入り込むイマーシブエンタメが大流行中である。 日本だと、印象派やポスト印象派の絵画に入り込む体験ができる「イマーシブミュージアム」やイマーシブシアターなどがある。かわりどころだと、話題になった「友達がやってるカフェ」もある種のイマーシブ体験かもしれない。他にも「Syn : 身体感覚の新たな地平」などがある。また、没入型エンタメ施設として「イマーシブ・フォート東京」がお台場にオープンするという話もある。 エンタメではイマ…

  • ノーベル文学賞を受賞したヨン・フォッセの日本語で読める作品は?

    ヨン・フォッセ(Jon Fosse)というノルウェーの劇作家が2023年のノーベル文学賞を受賞した。 日本では知名度がないかもしれないが、ヨン・フォッセはノルウェーを代表する劇作家で、グローバルに大きな関心を集めている。ヨン・フォッセは、イプセンに続き最も頻繁に上演されるノルウェー人劇作家である。ミニマリズムを特徴とする演劇で国際的に高く評価されている。 「イプセンの再来」や「21世紀のベケット」と呼ばれ、2023年のノーベル文学賞を受賞した。 この記事では、ヨーロッパ現代演劇を代表するヨン・フォッセの日本語で読める小説を紹介したいと思う。 ヨン・フォッセ (Jon Fosse)ってどんな作家…

  • 圧倒的レンガ!鈍器すぎる分厚い小説15選(文庫編)

    鈍器本という言葉をご存知だろうか?凶器として使えそうなぐらい分厚い本は鈍器本と言われている。ハードカバーの本に分厚い本が多いイメージがあるかもしれないが、文庫本にも分厚い本がある。 この記事では、特に文庫本の中で特に分厚い小説を集めてみた。特に、京極夏彦などの小説が多いが、超重量級文庫を紹介する。 魍魎の匣 / 京極 夏彦 虚実妖怪百物語 序破急 / 京極 夏彦 絡新婦の理 / 京極 夏彦 匣の中の失落 / 竹本 健治 白夜行 / 東野 圭吾 幻夜 / 東野 圭吾 5 / 佐藤 正午 有限と微小のパン / 森 博嗣 細雪 / 谷崎 潤一郎 夜光虫 / 馳 星周 アポトス / 島田 荘司 哲学者…

  • 川端康成が中国で流行っている件について

    雪国(新潮文庫) 作者:川端康成 新潮社 Amazon 「国境のトンネル」でお馴染みの作家といえば川端康成だ。 日本で初めてノーベル文学賞を受賞した作家であり、代表作の『雪国』や『伊豆の踊り子』は非常に有名だ。 川端康成だが、今中国でブームになっているらしい。数多くの川端康成の作品が中国語に翻訳されている。特に『雪国』は、20以上の中国語訳バージョンがあるようだ。最近ニュースでも、中国で川端康成の作品が流行しているというのを見かけるようになった。 この記事では、中国で川端康成が流行っている理由について書こうと思う。 中国で広がる「川端康成ブーム」 なぜ川端康成がブームになっているのか? 理由①…

  • 『秒速5センチメートル』が好きな人におすすめの恋愛小説

    www.youtube.com 新海誠の最高傑作は何かという問いがあったら、僕は間違いなく『秒速5センチメートル』をあげる。 『秒速5センチメートル』は、美しすぎる初恋の呪いに囚われてしまった男性を、圧倒的な映像美で描いた名作アニメーション映画だ。新海誠監督の代表作の一つだ。 過去の感傷に陶酔している姿を、叙情的な映像と内省的なモノローグで極限まで美しく描いた作品であり、エモーショナルな内容は多くの人を惹きつけている。特に、過去の恋愛に名前をつけて保存する系男子が多いと思うが。 この記事では、『秒速5センチメートル』が好きな人におすすめしたい恋愛小説を紹介したい。どの作品も忘れられない恋愛を描…

  • 知る人ぞ知る?オーストラリアを代表する作家ジェラルド・マーネインを紹介する

    ジェラルド・マーネイン(Gerald Murnane)という小説家を知っているだろうか? ジェラルド・マーネインはオーストラリアの小説家で、知る人ぞ知る作家だ。世界的に有名な作家ではないが、一部でカルト的な人気を得ている。 最近では、ノーベル文学賞も受賞するのでは言われており、ブックメーカーのノーベル文学賞受賞者の予想として名前が上がることが多い。 日本では知名度はないと思うが、オーストラリアを代表するジェラルド・マーネインを紹介したいと思う。

  • 中国のカフカ!?現代中国文学を代表する作家・残雪について紹介する

    残雪 (Can Xue)という作家を知っているだろうか? 中国を代表する現代作家で、非常に独創的な作風が特徴だ。その独創的な作風から、カフカやピンチョンと並び称される作家である。 日本では知名度は低いかも知れないが、現代中国文学を代表する残雪を紹介したいと思う。 残雪(Can Xue)ってどんな作家? 残雪の作品を紹介する 黄泥街 蒼老たる浮雲 カッコウが鳴くあの一瞬 突囲表演 最後の恋人 (adsbygoogle = window.adsbygoogle []).push({}); 残雪(Can Xue)ってどんな作家? 残雪(Can Xue)は中国を代表する現代作家だ。 名前の読み方…

  • ノルウェーを代表する現代劇作家ヨン・フォッセについて紹介する

    ヨン・フォッセ(Jon Fosse)という劇作家を知っているだろうか? ノルウェーを代表する劇作家で、グローバルに大きな関心を集めている。ヨン・フォッセは、イプセンに続き最も頻繁に上演されるノルウェー人劇作家である。ミニマリズムを特徴とする演劇で国際的に高く評価されている。 「イプセンの再来」や「二一世紀のベケット」と呼ばれ、ノーベル文学賞も受賞するのでは言われている。 日本では知名度はないと思うが、ヨーロッパ現代演劇を代表するヨン・フォッセを紹介したいと思う。 ヨン・フォッセ (Jon Fosse)ってどんな作家? ヨン・フォッセの作品を紹介する だれか、来る (Someone Is Goi…

  • 村上春樹の人気は?ブックメーカーを参考にして2023年ノーベル文学賞を予想してみた

    もうそろそろ「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というニュースを見かける季節になると思うので、一足先にブックメーカーを参照して今年のノーベル文学賞を予想したいと思う。 「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というのはもはや秋の風物詩だ。 街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 特に今年は、村上春樹が新作長編『街とその不確かな壁』を出版するなど、活動的な一年だった(まだ今年は終わっていないが)。また、ヨーロッパで最も権威がある賞の1つと言われている、スペインのアストゥリアス王女賞の文学賞を受賞するという快挙を達成している。 もうこれは、今年もマスメディアで「村上春…

  • まさに裏技!絶版本を探す方法

    本好きあるあるだと思うけど、読みたい本が絶版になっているってよくあることだと思う。本屋でバイトしていた経験から言うと、十年前に出版された本でも結構絶版になっていた。読みたいだけなら図書館で借りればいいけれど、手元に置いておきたい本や棚に並べたい本なら買うしかない。けれど、絶版本をどうやったら手に入れることができるのか?新刊本と古本とに分けて、僕がやっている方法を説明しようと思う。 新刊で手に入れたい場合 1.ジュンク堂をフル活用 2.個性派書店を攻める 3.個人経営の書店を攻める 4.復刊ドットコムでリクエスト 古本で手に入れる場合 1.ブックオフに行く 2.古本まつりに行く (adsbygo…

  • 読まないと!伊坂幸太郎の隠れた名作小説4選

    鮮やかな伏線回収、魅力的なキャラクター、ウィットに富んだ文章で人気を集めているのが伊坂幸太郎だ。 巧みすぎる伏線回収には毎回驚かせられる。時系列がバラバラであったりと小説の構成が凝っていて、どんでん返しなどが仕掛けられたミステリ小説が多い。 伊坂幸太郎の魅力のひとつが、ウィットに富んだ文体だ。登場人物たちのウィットに富んだセリフが伏線にもなっていて、伊坂幸太郎おそるべしとしか言いようがない。特に「陽気なギャング」シリーズは伊坂作品の中でも会話のユーモアが多くてオススメだ。登場人物たちの洒脱でユーモアに溢れた会話が心地よすぎて、何度も読んでしまう。 伊坂幸太郎といえば、『重力ピエロ』や『ゴールデ…

  • 映像化不可能と言われていたが映画化されたミステリ小説まとめ

    ミステリ小説の中にはトリックの性質がゆえに映像化できないと言われてるものがいくつかある。映像化してしまうとトリックがばれてしまうからだ。だが、趣向をこらすことによって映像化不可能と言われていたけれど、映画化に成功した作品もある。この記事では、映像化不可能と言われていたけど、映画化されたミステリ小説を紹介したい。 ハサミ男 / 殊能 将之 イニシエーション・ラブ / 乾 くるみ アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂 幸太郎 ある閉ざされた雪の山荘で / 東野 圭吾 ハサミ男 / 殊能 将之 ハサミ男 (講談社文庫) 作者:殊能将之 講談社 Amazon 美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き…

  • 読まないと!村上春樹の隠れた名作8選

    村上春樹といえば日本を代表する現代作家だ。村上春樹作品は日本だけでなく世界中で読まれており、多くの人を惹きつけている。 村上春樹の名作といえば『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』などがあるだろう。 それ以外にも、村上春樹作品には面白い作品がある。この記事では村上春樹の隠れた名作を紹介したい。 ダンス・ダンス・ダンス 国境の南、太陽の西 スプートニクの恋人 神の子どもたちはみな踊る 図書館奇譚 遠い太鼓 夜のくもざる 夢で会いましょう ダンス・ダンス・ダンス ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫) 作者:村上 春樹 講談社 Amazon 『羊をめぐる…

  • 『逆転美人』の両肩読みの仕掛けとは?

    最近、紙ならではのトリックが仕掛けられたミステリ小説が話題を集めている。 一つ例を挙げてみると、杉井光の『世界でいちばん透きとおった物語』などがあるだろう。 この小説は、紙ならでは仕掛けが話題になり、ベストセラーとなった。 この他にも藤崎翔の『逆転美人』も紙ならではの仕掛けが施されていると話題になった。 この記事では、『逆転美人』に仕掛けられた「両肩読みの仕掛け」を解説したい。 下記には『逆転美人』のネタバレが含まれるので、未読の人は注意してほしい。 『逆転美人』とは 『逆転美人』の本当の著者は? 「両肩読みの仕掛け」とは? (adsbygoogle = window.adsbygoogle …

  • 東野圭吾『仮面山荘殺人事件』が映画化される件について

    prtimes.jp 東野圭吾の小説は数多く映画化されているけれど、中には意外とまだ映像化されていないのだなと思うものがいくつかある。 その一つが『仮面山荘殺人事件』だ。 『仮面山荘殺人事件』は東野圭吾のどんでん返しの名作としてあげられる作品である。『ある閉ざされた雪の山荘で』と並んで、東野圭吾のどんでん返しの名作だ。『ある閉ざされた雪の山荘で』の方は映像化できないのだが、『仮面山荘殺人事件』の方は映像化できるタイプのどんでん返し小説だ。 今回、『仮面山荘殺人事件』が2023年に舞台化されるようだ。これにはかなり驚いた。 この記事では、舞台化される『仮面山荘殺人事件』について紹介したいと思う。…

  • 電子書籍化できない?紙媒体ならではの仕掛けが施された小説7選

    皆さんは本を読むときは紙派だろうか?それとも電子書籍派だろうか? 最近ならオーディオブック派もあるかもしれない。 最近は利便性ゆえに電子書籍を愛用している人が増えてきているかもしれないが、紙の本には電子書籍にはない魅力がある。ページをめくる感覚、質感や匂い、本棚に並べて眺められるという点などなど。 今回は紙の本の魅力を伝えるために、紙媒体ならではの仕掛けが施された小説を紹介したい。電子書籍化ができない小説や、紙媒体の方が良い小説を紹介する。 今回紹介する小説の魅力は実際に紙媒体で読まないとわからないので、ぜひ紙の本で読んでみてほしい。

  • 『世界でいちばん透きとおった物語』の献辞に書かれているA先生は誰のことか

    prtimes.jp 最近、電子書籍化不可能ということで話題になっている小説がある。 その作品が、杉井光の『世界でいちばん透きとおった物語』だ。この小説には、紙ならでは仕掛けが施されている。この仕掛けを電子書籍化することは不可能だろう。 この本の献辞では、A先生について言及されている。このA先生って誰のことと思っている人が多いと思う。 この記事では著者の杉井光が衝撃を受けたA先生が誰なのかについて書きたいと思う。 『世界でいちばん透きとおった物語』とは? 献辞に書かれているA先生は誰のことか? 泡坂妻夫の代表作品 しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術 / 泡坂 妻夫 生者と死者 酩探偵ヨ…

  • 一番売れているのは?東野圭吾の売上・発行部数ランキング

    東野圭吾は、ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズでお馴染みの大人気ミステリー作家だ。知らない人は恐らくいないだろう。 東野圭吾は、ガリレオシリーズの『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞している。ガリレオシリーズは福山雅治主演でドラマ化され、かなり話題になった。他に有名な作品を列挙してみると『白夜行』とか『秘密』がある。映画化もよくされていて、『真夏の方程式』や『ラプラスの悪魔』が公開されている。 そんな大人気作家・東野圭吾だが、著作の国内累計発行部数が1億部を突破した。国内累計発行部数は2023年時点で1億77,380部である。 また、東野圭吾作品の人気は国内にとどまらず、海外でも幅広く翻訳されて…

  • 東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』が映画化される件について

    happinet-phantom.com 東野圭吾の小説は数多く映画化されているけれど、中には「この小説は絶対映像化できないだろう」と思うものがいくつかある。 その一つが『ある閉ざされた雪の山荘で』だ。『ある閉ざされた雪の山荘で』は東野圭吾のどんでん返しの名作としてあげられる作品である。この作品は映像化できないだろうと思っていたのだが、なんと2024年に映画化されるようだ。これにはかなり驚いた。 主演は、重岡大毅(ジャニーズWEST)だそう。隠遁して読書生活している私にとってはどんな俳優なのかはわからない。きっと有名な人なのだろう。 この記事では、映像化される『ある閉ざされた雪の山荘で』につい…

  • 名曲とミステリ!音楽や音楽家が題材になったミステリ小説まとめ

    クラシックやジャズ、Jポップなどの音楽が作中に登場する小説はたくさんある。 その中でも名曲や音楽家が重要な役割を握っているミステリを紹介したい。 ミステリだけではなく、ドビュッシーやラフマニノフといった有名な音楽家についての知識が学べるミステリだ。ぜひ音楽を聴きながら読んでほしい。 シューマンの指 / 奥泉 光 さよなら、ドビュッシー / 中山 七里 おやすみラフマニノフ / 中山 七里 モーツァルトは子守唄を歌わない / 森 雅裕 シューマンの指 / 奥泉 光 シューマンの指 (講談社文庫) 作者:奥泉光 講談社 Amazon 音大のピアノ科を目指していた私は、後輩の天才ピアニスト永嶺修人が…

  • 人生の交差路!空港や飛行機が舞台のおすすめ小説

    小説の舞台として空港が魅力的に感じるのは私だけだろうか? 新天地へのスタート地点やたくさんの人が行き交う空港や飛行機は小説の舞台としてうってつけだと思っている。 この記事では、空港や飛行機を舞台にした小説を紹介したい。 空港にて / 村上 龍 あの空の下で / 吉田 修一 空港時光 / 温 又柔 あぽやん / 新野 剛志 空港にて / 村上 龍 空港にて (村上龍電子本製作所) 作者:村上 龍 村上龍電子本製作所 Amazon コンビニ、居酒屋、公園、カラオケルーム――どこにでもある場所でおきた8つの希望の物語。クリスマスイブの夜、新宿を1人で歩きながら「いつかモロッコへ行こう」と言った男性の…

  • ドキドキが止まらない?恋愛ミステリ小説6選を紹介

    小説にはいろんなジャンルがある。 例を挙げてみると、ミステリやSF、ファンタジー、純文学、恋愛小説、歴史といったところか。中にはいくつものジャンルを横断した小説もある。 この記事では恋愛小説とミステリを組み合わせた恋愛ミステリ小説を紹介したい。 イニシエーション・ラブ / 乾 くるみ セカンド・ラブ / 乾 くるみ パラレルワールド・ラブストーリー / 東野 圭吾 真夜中の五分前 / 本多 孝好 完全恋愛 / 牧 薩次 葉桜の季節に君を想うということ / 歌野 晶午 (adsbygoogle = window.adsbygoogle []).push({}); イニシエーション・ラブ /…

  • 第169回芥川龍之介賞の受賞作を予想する

    第169回芥川賞の候補作が発表された。候補作は下記の五作品だ。 石田夏穂「我が手の太陽」(群像5月号)市川沙央「ハンチバック」(文學界5月号)児玉雨子「##NAME##(ネーム)」(文藝夏季号)千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)乗代雄介「それは誠」(文學界6月号) ノミネートされた5名のうち、市川沙央、児玉雨子が初の候補入りだ。石田夏穂は2度目、千葉雅也は3度目、乗代雄介は4度目のノミメートとなっている。 芥川賞をざっくり簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番有名な賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新…

  • クリストファー・ノーラン監督の新作『オッペンハイマー』についてまとめてみた

    www.youtube.com クリストファー・ノーラン監督が新作映画『オッペンハイマー』が今年公開される。キリアン・マーフィー主演で、原爆の父として知られるロバート・オッペンハイマーを描いた映画だ。 公開が待ちきれないので、現状分かっている映画情報やロバート・オッペンハイマーについてまとめている。 第二次世界大戦における原子爆弾の開発・製造計画、「マンハッタン計画」を主導した人物ロバート・オッペンハイマーを描く本作では、原爆の開発から、後に彼が核兵器の国際管理の必要性を訴え、水素爆弾への抗議活動を行うに至るまでの変化を映像化する。 クリストファー・ノーラン監督の新作はオッペンハイマーについて…

  • 驚きの連続!?どんでん返しが凄いミステリまとめ

    ミステリの醍醐味の1つと言えるどんでん返し。 今まで見ていた世界がひっくり返る感覚は面白いものだ。ミステリにはどんでん返しが秀逸なことで有名な作品が数多くある。そんなどんでん返しがすごいミステリを紹介したい。

  • 第169回芥川龍之介賞の候補作を紹介する

    第169回芥川賞の候補作が発表された。候補作は下記の五作品だ。 石田夏穂「我が手の太陽」(群像5月号)市川沙央「ハンチバック」(文學界5月号)児玉雨子「##NAME##(ネーム)」(文藝夏季号)千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)乗代雄介「それは誠」(文學界6月号) ノミネートされた5名のうち、市川沙央、児玉雨子が初の候補入りだ。石田夏穂は2度目、千葉雅也は3度目、乗代雄介は4度目のモニメートとなっている。 芥川賞をざっくり簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番有名な賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新…

  • 梅雨に読みたい!雨がタイトルに入るおすすめ小説5選

    梅雨の時期になり、ジトジトとした雨の日が続くようになってきた。こんな日には家でゆっくり本を読むのがいいだろう。 雨が降るのを眺めながら読書に耽るのは趣があっていいかもしれない。この記事では、梅雨時に読みたい、タイトルに雨が入ったな小説を紹介したい。

  • 名前をつけて保存?忘れられない恋愛を描いた恋愛小説まとめ

    男女間での恋愛に対するスタンスの違いを示す表現として、男性は『名前を付けて保存』、女性は『上書き保存』という言葉がある。 一般論として、女性よりも男性の方が過去の恋愛を引きずりがちなのではないだろうか。 男性にとって忘れられない過去の女性というのは重要な存在で、中には過去の記憶に絡め取られて動けなくなってしまう人もいる。切実な問題なのだ。 あるいは、女性でも忘れられない男性がいるという人もいるかもしれない。 この記事では、恋愛を名前をつけて保存する系男子あるいは女子(少数派かもしれないが)に向けて、忘れられない恋愛を描いた恋愛小説を紹介していく。

  • 村上春樹がアストゥリアス皇太子賞の文学部門賞を受賞した件について

    www.jiji.com 村上春樹がアストゥリアス皇太子賞の文学部門を受賞したというめでたいニュースが入ってきた。スペインの文学賞・アストゥリアス皇太子賞は、ヨーロッパで最も権威がある賞の1つで、日本人作家が文学部門で受賞したのは初めてのようだ。 この記事では、村上春樹が受賞したアストゥリアス皇太子賞について書きたい。

  • 第169回芥川龍之介賞の候補作を予想する

    六月になったということで、もうすぐ芥川賞の候補作が発表される。恒例行事にはなってきたが、芥川賞の候補作を予想してみた。上半期で印象に残った小説や推したい小説を中心に挙げている。 芥川賞をざっくり簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番有名な賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・「群像」・「すばる」・「文藝」の五大文芸誌に掲載された作品が候補の対象となる。候補の作品となる小説の長さは中編程度が多い。 結論から言うと、千葉雅也「エレクトリック」、朝比奈秋「あなたの燃える手で」、永井みみ「ジョニ黒」、乗代雄介「…

  • 『街とその不確かな壁』の理解を深めるためにおすすめの村上春樹作品5選

    街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が発売された。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶりということもあり、発売当初は大きな注目を集めた。 発売から時間が経ったので、読んだ人も多いのではないだろうか。この記事では、『街とその不確かな壁』の理解を深めるためにおすすめの村上春樹作品を紹介したい。『街とその不確かな壁』に内容が近い村上春樹作品がいくつかあるので、読解の参考になるのではないかと思う。

  • 文學界6月号が豪華すぎる件について

    文學界2023年6月号(創作 乗代雄介「それは誠」 九段理江「しをかくうま」 文藝春秋 Amazon いつもの恒例行事として5大文芸誌の内容を見ていたのだが、文學界の6月号のラインナップがとても豪華だったので紹介したい。 注目したいのは、乗代雄介「それは誠」、九段理江「しをかくうま」だ。 乗代雄介と九段理江ともに芥川賞候補になっている注目の若手作家だ。 乗代雄介は「旅する練習」や「本物の読書家」といった作品を出版している。 今回文学界で発表した「それは誠」は下記の内容であるようだ。 地方の高校生・佐田は修学旅行で訪れた東京で同級生とある冒険に挑む。青春のきらめきを描く、著者の集大成 高校生たち…

  • 90分deシネマ / 90分で観れる雰囲気がおしゃれな映画

    映画はストーリーに入り込むことで、驚きや楽しみ、ワクワク、ドキドキ、などの色んな感情を体験できる優れたエンターテイメントだ。だが、時間に追われる現代社会では2〜3時間の映画を見ている余裕がないという人も多いだろう。なので大体90分程度で観れる映画をテーマに合わせて紹介していきたいと思う。今回はセンスが抜群のおしゃれな映画を紹介したい。

  • コミカルなウディ・アレン流サスペンス / 『タロットカード殺人事件』 ウディ・アレン

    『マッチポイント』を観た後に鑑賞したので、こちらもシリアスなサスペンスかと思いきや、シニカルなユーモアに溢れたいつものウディ・アレン作品だった。まさにコミカルなウディ・アレン流サスペンス。主演女優は『マッチポイント』に引き続き、スカーレット・ヨハンソン。スカーレット・ヨハンソンは『マッチポイント』・『タロットカード殺人事件』・『それでも恋するバルセロナ』と立て続けにウディ・アレン作品に登場している。スカーレット・ヨハンソンはこの頃のウディ・アレンにとって新たなミューズだったのかもしれない。ここ最近では『マジック・イン・ムーンライト』・『教授のおかしな妄想殺人』でエマ・ストーンが起用されている。…

  • 90分deシネマ / 90分で観れるモノクロ映画

    映画はストーリーに入り込むことで、驚きや楽しみ、ワクワク、ドキドキ、などの色んな感情を体験できる優れたエンターテイメントだ。だが、時間に追われる現代社会では2〜3時間の映画を見ている余裕がないという人も多いだろう。なので大体90分程度で観れる映画をテーマに合わせて紹介していきたいと思う。今回はセンスが抜群のモノクロ映画を紹介したい。 コーヒー&シガレッツ(97分) コーヒーをめぐる冒険(85分) フランシス・ハ(86分) 勝手にしやがれ(95分) 5時から7時までのクレオ (90分) 去年マリエンバードで(94分)

  • 村上春樹『街とその不確かな壁』の感想を徒然なるままに書く

    村上春樹の最新作『街とその不確かな壁』を読み終えた。早く読みたい気持ちとじっくりと味わいたい気持ちがせめぎ合う中での読書だった。 村上春樹の最新長編を発売直後にリアルタイムで読むのは、何気に初めてかもしれない。『騎士団長殺し』の時は数週間遅れて読んだように記憶している。リアルタイムで読むことである種のお祭り気分を味わえた。出版不況といわれて久しい中、数多くの小説で発売日をカウントダウンして楽しめる作家というのは村上春樹ぐらいしかい。たまには、こういう祭り(フェト)があってもいいのかもしれない。 話を元に戻そう。読了し終わったばかりで、とっ散らかっている部分があるが、『街とその不確かな壁』につい…

  • 案外知らない!?東野圭吾の隠れた名作ミステリ3選

    東野圭吾は、ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズでお馴染みの大人気ミステリー作家だ。知らない人は恐らくいない。 東野圭吾は、ガリレオシリーズの『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞している。『容疑者Xの献身』は本当に傑作だ。他に有名な作品を列挙してみると『白夜行』とか『秘密』がある。映画化もよくされていて、『真夏の方程式』や『ラプラスの悪魔』が公開されている。 そんな大人気作家・東野圭吾だが、世間的にはマイナーだけど面白い小説を紹介していこうと思う。本格ミステリが好きな人に特におすすめしたい。 仮面山荘殺人事件 ある閉ざされた雪の山荘で 名探偵の掟 仮面山荘殺人事件 仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)…

  • 夫婦の危機をどう乗り越える?セックスレスが題材になった小説まとめ

    セックスレスは、夫婦やカップルにとって重大な問題だろう。体のコミュニケーションがなくなってしまったら、二人の関係も冷え込んでしまう。セックスレスの問題を抱えながら、日々を悶々と過ごしている人は多いと思う。 だが、非常にセンシティブな問題故に相談しにくいという問題があるように思う。そんな時はセックスレスをテーマにした小説を読めば、解決の糸口を見つけることができるのではと思う。 セックスレスの苦しさや、夫婦の問題を乗り越えようとする姿を描いた小説を紹介したい。 奥様はクレイジーフルーツ / 柚木 麻子 奥様はクレイジーフルーツ (文春文庫) 作者:麻子, 柚木 文藝春秋 Amazon 結婚して三年…

  • 村上春樹の世界観をオーディブルで味わう!Audibleで聴ける村上春樹作品まとめ

    村上春樹作品が待望のAudible化!『1Q84』、『ねじまき鳥クロニクル』、『騎士団長殺し』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺のカフカ』、『螢・納屋を焼く・その他の短編』、『東京奇譚集』、『神の子どもたちはみな踊る』、『職業としての小説家』、『辺境・近境』の10作品が配信予定だ。

  • 村上春樹の幻の小説「街と、その不確かな壁」を読む方法

    街とその不確かな壁 作者:村上 春樹 新潮社 Amazon その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。待ちきれない人も多いのではないだろうか。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶりだ。長編だと、2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる。 『街とその不確かな壁』の発売を受けて注目を集めている村上春樹の中編小説…

  • ミステリ界の一発屋!?一作だけの幻のミステリ作家まとめ

    一時的にのみ活躍を見せた歌手や芸人を一発屋と読んだりする。一発屋というと芸人のイメージが強いかもしれない。 だが、ミステリ作家にも一発屋はいる。インパクトのあるトリックでデビューしたものの、その後の作品が続かない作家のことだ。 この記事では、デビュー作で爪痕を残したものの次回が出ていない作家を紹介する。 『消失!』 / 中西 智明 消失! (講談社文庫) 作者:中西 智明,菊地 信義,辰巳 四郎,Yoshi 講談社 Amazon 高塔市―赤毛の人々が数多く住む奇妙な街で、その事件は起こった。美しい赤毛の持ち主ばかりを次々に殺害し、忽然と「消失!」する黒ずくめの男の謎。痕跡ゼロ、関連性ゼロの完全…

  • 意外すぎる!?芥川賞を受賞していない有名作家まとめ

    芥川賞といえば純文学の登竜門的な賞だ。 純文学で優れた新人に与えられる賞で、安部公房や大江健三郎、中村文則、平野啓一郎、川上未映子、綿矢りさ、阿部和重など数多くの有名作家が受賞してきた。 実力のある作家に賞を与えて世に送り出してきた芥川賞だが、一部の作家は正当に評価できていなかったという声もある。実力はあるが、意外にも芥川賞を受賞していない作家もいるのだ。 かつて選考委員だった池澤夏樹は、「かつて芥川賞は村上春樹、吉本ばなな、高橋源一郎、島田雅彦に賞を出せなかった。」というコメントを残している。 そんな実力があるが芥川賞を受賞してない有名作家を紹介したい。 芥川賞とはどんな文学賞? 芥川賞を受…

  • 社会現象にも!話題になった芥川賞受賞作品まとめ

    芥川賞といえば純文学の登竜門的な賞だ。 純文学で優れた新人に与えられる賞で、安部公房や大江健三郎、中村文則、平野啓一郎、川上未映子、綿矢りさ、阿部和重など数多くの有名作家が受賞してきた。 芥川賞は文学賞の中でも特に有名なこともあり、受賞作がベストセラーになったり、社会現象になったことも数多くあった。 歴代の芥川賞受賞作品の中でも、特に話題になった受賞作品について紹介したい。 芥川賞とはどんな文学賞? 社会現象にもなり、話題になった芥川賞受賞作品の紹介 太陽の季節 / 石原 慎太郎 されどわれらが日々 / 柴田 翔 赤頭巾ちゃん気をつけて / 庄司 薫 限りなく透明に近いブルー / 村上 龍 僕…

  • 『街とその不確かな壁』が待ちきれない人におすすめの村上春樹作品5選

    街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。待ちきれない人も多いのではないだろうか。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶりだ。長編だと、2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる。 『街とその不確かな壁』は、1200枚の書き下ろし新作長編小説であるようで、今から読むのが楽しみである。Twitterなどでは、村上春樹新作長編のニュースで祭り状態になっていた。 刊行が待ちきれない人のために、『街とその不確かな壁』に向けておすすめの村上春樹作品を五つ紹介…

  • 村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』を予想する試み

    www.nikkei.com 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる書下ろし長編である。 街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 『街とその不確かな壁』は、1200枚の書き下ろし新作長編小説であるようだ。 村上春樹ファンのあいだでも話題になったのだが、村上春樹の幻の作品「街と、その不確かな壁」とタイトルがほとんど同じなのだ。新作長編の題名は、読点が一つ抜かれたものである。この点からも内容を予想できそうである。 また、新しい試みとして村上作品の長編では初めて刊行と同日に電子書…

  • 村上春樹の新刊が発売!『村上春樹新作長編(仮)』が楽しみすぎる件について

    www.nikkei.com 読書界隈をざわつかせるビックニュースが入ってきた。村上春樹の新作長編小説が2023年4月13日(木)に刊行されることが決定したのだ。新潮社から発表されたこのニュースは本好きに衝撃を与えた。 村上春樹新作長編(仮) 作者:村上 春樹 新潮社 Amazon 『村上春樹新作長編(仮)』は、1200枚の書き下ろし新作長編小説であるようだ。2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる書下ろし長編である。タイトルや物語のテーマはまだ公表されていない。やれやれ。 また、新しい試みとして村上作品の長編では初めて刊行と同日に電子書籍も配信するようだ。 今から読むのが楽し…

  • 翻訳家としての村上春樹!ハルキが翻訳した海外小説まとめ

    村上春樹といえば『ノルウェイの森』や『ねじまき鳥クロニクル』、『1Q84』などの小説で知られている日本を代表する小説家だ。 それだけでなく海外小説の翻訳も手掛けており、海外文学の紹介や翻訳を手がけるといった一面も持っている。村上春樹が手掛けた翻訳は、『ティファニーで朝食を』といった名作が多い。そこで、村上春樹が翻訳を手掛けた名作小説をまとめてみた。 グレート・ギャツビー / スコット・フィッツジェラルド 最後の大君 / スコット・フィッツジェラルド キャッチャー・イン・ザ・ライ / J.D.サリンジャー 心は孤独な狩人 / カーソン・マッカラーズ 結婚式のメンバー / カーソン・マッカラーズ …

  • 失った恋を取り戻そうとした男 /『グレート・ギャツビー』 スコット・フィッツジェラルド

    豪奢な邸宅に住み、絢爛たる栄華に生きる謎の男ギャツビー。彼の胸にはかつて一途に愛情を捧げ、失った恋人ディジーへの異常な執念が育まれていた……。第一次世界大戦後のニューヨーク郊外を舞台に、狂おしいまでにひたむきな情熱に駆られた男の悲劇的な生涯を描き、何度も映画化された20世紀文学最大の問題作。滅びゆくものの美しさと、青春の憂愁を華やかに謳いあげる世界文学の最高峰。 女を二文字重ねて女々しいと書くけれど、本当に女々しいのは男の方ではないかと思う。 恋の思い出を、男は名前を付けて保存、女は上書き保存とよく言うが、かなり的を得ている。back numberの曲の歌詞のように、古今東西女々しい男はとこと…

  • 意外すぎる!?芥川賞を受賞していない有名作家まとめ

    芥川賞といえば純文学の登竜門的な賞だ。 純文学で優れた新人に与えられる賞で、安部公房や大江健三郎、中村文則、平野啓一郎、川上未映子、綿矢りさ、阿部和重など数多くの有名作家が受賞してきた。 実力のある作家に賞を与えて世に送り出してきた芥川賞だが、一部の作家は正当に評価できていなかったという声もある。実力はあるが、意外にも芥川賞を受賞していない作家もいるのだ。そんな実力があるが芥川賞を受賞してない有名作家を紹介したい。 芥川賞とはどんな文学賞? 芥川賞を受賞していない作家 太宰 治 中島敦 三島由紀夫 津島佑子 村上春樹 高橋源一郎 島田雅彦 山田詠美 吉本ばなな 松浦理英子 星野智幸 舞城王太郎…

  • 小説家の視点で名作古典作品を読みなおす / 『小説の読み書き』 佐藤 正午

    佐藤正午が名作古典を読みなおす 小説を読むことは、小説を書くことに繋がる。小説を読む中で、読者はそれぞれの解釈を行い、そのつど新たな解釈が生まれてくる。文字通り、読者の数だけ解釈がある。 この『小説の読み書き』では、佐藤正午の目線から名作古典を読みなおし、小説家視点からの小説の書き方を考えていく。読みなおす小説は夏目漱石『こころ』や川端康成『雪国』、太宰治『人間失格』、谷崎潤一郎『痴人の愛』といった有名どころの小説から、横光利一『機械』や永井荷風『つゆのあとさき』といった有名ではないが文学好きなら知っているマイナーな小説までと様々だ。それぞれの小説の文体を中心に読み解いていく。 永井荷風『つゆ…

  • バルセロナでの情熱的な恋愛模様 / 『それでも恋するバルセロナ』 ウディ・アレン

    『マッチポイント』・『タロットカード殺人事件』につづいてスカーレット・ヨハンソンを主役に据えたウディ・アレン監督の恋愛映画。一筋縄では行かない大人の恋愛模様を描いた恋愛映画。人生のほろ苦さや現実を突きつけてくる、ウディ・アレン監督らしい映画だ。舞台はスペインで、観ているとスペイン観光をした気分にもなれる。ここ最近、ウディ・アレン監督はイギリスやスペイン、フランスと映画を撮る場所が映画によって違うな。 いろいろややこしい大人の恋愛模様 この映画を簡単に要約すると、ひとりのスペイン人男性・アントニオを四人の女が奪い合うという話だ。こう書いてみると、昼ドラの30倍ぐらいドロドロした映画に思えるが、実…

  • 人生は同じところを回り続ける観覧車 / 『女と男の観覧車』 ウディ・アレン

    同じところを回り続ける観覧車 映画『女と男の観覧車』本国オリジナル予告編(日本語字幕) ウディ・アレンの映画を観ていると、何故か観覧車を思い浮かべることがある。 ストーリーの中で、主人公の人生に劇的な出来事が起こるけれど、最終的には収まるところに収まって、結局のところ元通りになっている。そのストーリーは、素晴らしい景色が見える場所に運んでくれるが、元の場所に戻ってくる観覧車のよう。人生は簡単に変わらないという諦念を示しているのかもしれない。ウディ・アレンの最新作『女と男の観覧車』は、タイトルに観覧車とあるように、どこにもたどり着くことのできない男女とその人生の行き詰まりを描いた映画だ。軽妙なジ…

  • ともにW受賞!第168回芥川賞・直木賞の受賞作が決定!

    第168回芥川賞・直木賞の受賞作が1/19に決定した。 芥川賞は井戸川射子の「この世の喜びよ」(群像7月号)と佐藤厚志の「荒地の家族」(新潮12月号)のW受賞に決まった。 直木賞は小川哲の「地図と拳」と千早茜の「しろがねの葉」に決まった。こちらもW受賞だ。 各受賞作の詳細について紹介したい。 第168回芥川賞の受賞作の紹介 第168回芥川賞候補作は、安堂ホセ『ジャクソンひとり』、井戸川射子『この世の喜びよ』、グレゴリー・ケズナジャット『開墾地』、佐藤厚志『荒地の家族』、鈴木涼美『グレイスレス』の5作品だ。 5人中4人が初のノミネートで、フレッシュな顔ぶれがそろう。複数回候補になっているのは、鈴…

  • セックスレスが題材になった小説まとめ

    奥様はクレイジーフルーツ / 柚木 麻子 奥様はクレイジーフルーツ (文春文庫) 作者:麻子, 柚木 文藝春秋 Amazon 結婚して三年ほどの三十歳の主婦、初美。編集者の夫とは仲が良く、優しい彼に不満はないが、夜の営みが間遠に。欲求不満で同級生の男と浮気をしそうになったり、義弟に妄想、浪人生を誘惑、果ては乳房を触診する女医にまで発情する始末。夫婦はエロさから遠ざかる? 幸せとセックスレスの両立は難しい? よるのふくらみ / 窪 美澄 よるのふくらみ(新潮文庫) 作者:窪美澄 新潮社 Amazon 同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと、圭祐、裕太の兄弟。圭祐と同棲しているみひろは、長い間セ…

  • 売れない劇作家の不器用な恋 / 『劇場』 又吉 直樹

    売れない劇作家の青春と焦燥と挫折 高校卒業後、大阪から上京し劇団を旗揚げした永田と、大学生の沙希。それぞれ夢を抱いてやってきた東京で出会った。公演は酷評の嵐で劇団員にも見放され、ままならない日々を送る永田にとって、自分の才能を一心に信じてくれる、沙希の笑顔だけが救いだった──。理想と現実の狭間でもがきながら、かけがえのない誰かを思う、不器用な恋の物語。芥川賞『火花』より先に着手した著者の小説的原点。 歴代の芥川賞受賞作の中でも、『火花』は一番話題性があったと思う。その当時僕は書店で働いていて、又吉フィーバーを実感していた。売れないことで有名な文芸誌でさえ、「火花」が載った文學界の在庫は無くなっ…

  • 感傷家であると同時に小説家 / 『女について』 佐藤正午

    彼女はぼくと同じ18歳だった。初めての女性だった。好きかと尋ねられて頷いた―家族以外の女性についた初めての嘘。嘘を重ねるために他の女性を拾い、途切れ途切れに続いた彼女との関係も、ぼくが街を出ることで終止符が打たれた―。そして長い時を経て、ぼくは再び彼女と出逢った。(「糸切歯」)青春のやるせなさ、ほろ苦さを瑞々しい感性で描く秀作集。 面白さと一般的な知名度が相関していない作家といえば佐藤正午だと思う。実際、かなりの小説好きなら佐藤正午の作品の素晴らしさを知っている人が多いが、ライトな小説読者層には知名度がないように思う。 佐藤正午はジャンプから読み始めたのだけれど、すぐに佐藤正午の魅力に取り憑か…

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