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日々の栞 https://plutocharon.hatenablog.com

本、映画、について気ままに書くブログ。理系の元書店員。村上春樹や純文学などの小説について考察や感想を書いていきます。

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2022/04/14

1件〜100件

  • 超上級者向け!現代文のおすすめ参考書4選

    現代文が得意あるいは現代文を強みにしたいという人に向けておすすめの現代文参考書を紹介したい。 『ライジング現代文ー最高レベルの学力養成』 ライジング現代文―最高レベルの学力養成 作者:内野 博之 桐原書店 Amazon タイトルに「最高レベルの学力養成」とあるが、タイトルに嘘偽りはない。 受験生向けの参考書の中でこの本が一番レベルが高かったと思う。残念ながら絶版になっているようだ。Amazonではあり得ないぐらい価格が高騰していて笑ってしまった。やっぱり名著として評価されているんだなとしみじみ思った。 『教養としての大学受験国語』 教養としての大学受験国語 (ちくま新書) 作者:石原 千秋 筑…

  • 華やかなセレブの裏側は? / 『セレブリティ』 ウディ・アレン

    www.youtube.com 作家志望の芸能記者リーは、なんとかセレブリティの仲間入りをしようと、女優、モデル、人気俳優に近づくが、ことごとく振り回される。その彼と離婚した元妻ロビンは、自分の生きかたをマイペースで貫き、いつのまにかセレブリティの仲間入りを果たす。 『セレブリティ』は、有名人の人間模様を皮肉たっぷりに描いたウディ・アレンのコメディ映画だ。モノクロがお洒落感を醸し出している。映画のポスターを見た感じ、主演がレオナルド・ディカプリオだと思っていたがそうではなかった。ディカプリオが実際に出ているのは20分ぐらいだろうか。まあ、ディカプリオの知名度を押し出して売り出そうとしたのだろう…

  • Audible(オーディブル)で聴ける芥川賞受賞作品をまとめてみた

    最近、聴く読書ことAudible(オーディブル)が話題になっている。聴くことができる本がどんどん増えており、ジャンルの幅広い。 Audible(オーディブル)で聴くことができる本の中から、芥川賞を受賞した作品をまとめてみた。オーディブルライフの参考になれば幸いだ。 Audible(オーディブル)って何? Audible (オーディブル)とは、「本を聴く」という新しい読書体験だ。スマホのアプリを使えば、いつでもどこでも耳で読書ができる。本は、プロのナレーターや俳優、女優によって読み上げられていて、通勤時間や家事の合間、お休み前など、日常のあらゆる時間に読書を取り入れることができる。 Audibl…

  • パリは移動祝祭日 / 『ミッドナイト・イン・パリ』 ウディ・アレン

    www.youtube.com 『ミッドナイト・イン・パリ』は、ヘミングウェイのエッセイ『移動祝祭日』で描かれている1920年代のパリを舞台にしたロマンチックファンタジーだ。ウディ・アレン監督の作品の中でもベスト3に入るんじゃないかなと思う。 あらすじは、主人公が黄金時代のパリにタイムスリップしてしまうという話だ。作家志望の主人公・ギルは1920年代のパリにタイムスリップしてしまい、色んな芸術家と交流するようになる。ヘミングウェイはもちろん、フィッツジェラルドやピカソ、マン・レイ、ダリなどが登場する。 1920年代のパリにタイムスリップしたギルはそこでアドリアナに恋をするのだが... この映画…

  • 前進しないサメは死んでしまう / 『アニー・ホール』 ウディ・アレン

    Annie Hall Official Trailer #1 - Woody Allen Movie (1977) HD - YouTube ウディ・アレン監督作品の代表作といえば、『アニー・ホール』だ。ちなみに、この『アニー・ホール』は1977年アカデミー賞の主要4部門を受賞している。 数々のおしゃれな恋愛映画を作ってきたウディ・アレンだが、その原点は『アニー・ホール』にあると思う。 『アニー・ホール』は、ニューヨークを舞台に、都会に生きる男女の恋と別れをユーモラスに綴ったラブ・ストーリーだ。ウディ演じるコメディアン・アルビーは、知り合った美女アニーと意気投合して同棲生活を始める。最初はうま…

  • 第167回芥川龍之介賞の候補作を紹介する!

    第167回芥川賞の候補作が発表された。有力視されていた作品が候補になったり、意外な作品が候補になっていた。芥川賞の候補予想は難しい。 候補作は、小砂川チト「家庭用安心坑夫」(群像 6月号)、鈴木涼美「ギフテッド」(文學界 6月号)、高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」(群像 1月号)、年森瑛「N/A」(文學界 5月号)、山下紘加「あくてえ」(文藝 夏号)の5作品だ。 芥川賞を簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番知名度がある賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・「群像」・「すばる」・「文藝」の…

  • ウディ・アレン監督はどのようにして生まれた? / 『映画と恋とウディ・アレン』

    『アニー・ホール』や『ミッドナイト・イン・パリ』など数々の名作を残してきたウディ・アレン監督。多作な映画監督として知られるウディは、アカデミー賞に何度もノミネートされ、今でも第一線で映画を撮り続けている。名作を生み出し続けてきた彼の映画作りはどのようなものなのだろう?ウディ・アレン監督の素顔や映画の舞台裏に迫ったのがこの『映画と恋とウディ・アレン』だ。

  • 本棚は自分の興味関心の「地層」 (あるいはチバニアンと孫氏の兵法)

    本棚は自分の興味関心の「地層」だと思う。 本棚に本が山ほど積み上がっているから地層に見えたのかというとそうではない。 そうでもないと言ったが、3割ぐらいはその理由もあるかもしれない。 じゃあ、残り7割の理由は何かというと、本棚の中身を見ているとその当時の自分の興味関心が本の束として確認できるからだ。その興味関心の傾向を示した本の束が地層のように思えたのだ。 地層というのは、粘土や砂、礫、火山灰などが、自然の力によって運搬され堆積されて出来たものだ。1つの層はある特定の組成で構成されている。また、化石などがあればその地層がいつ頃に形成されたのかが分かる。最近で有名な日本の地層といえば「チバニアン…

  • 村上春樹をオーディオブックで聞こう!Audible(オーディブル)で配信予定の村上作品を紹介!

    Amazonの「耳で聴く」読書、Audible(オーディブル)が、2022年1月から聴き放題に移行したのに伴い、村上春樹の作品が10作品オーディオブック化されるが決定した。 村上春樹作品は海外ではオーディオブック化されていたが、日本でオーディオブック化されるのはこれが初めてだ。 今後制作予定の10作品は、『1Q84』、『ねじまき鳥クロニクル』、『騎士団長殺し』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺のカフカ』、『螢・納屋を焼く・その他の短編』、『東京奇譚集』、『神の子どもたちはみな踊る』、『職業としての小説家』、『辺境・近境』の予定だ。 今回第一弾として7つの作品が配信される。…

  • 「映える」本棚を求めて (あるいは岩波書店とみすず書房の徳の高さについて)

    僕は本を買うとき、頭のどこかで「映える」本棚を意識しているように思う。 ここで言う「映える」本棚というのは、Instagramで沢山の「いいね」がもらえるお洒落な本棚のことではない。 逆にインスタ映えする本棚が見てみたい。蔦屋書店のような間接照明を活用した本棚だろうか。 脱線したが、僕が言う「映える」本棚というのは「中身が映える」本棚のことだ。 頭に?が浮かんでいる人が多いと思う。 僕が考える中身が映える本棚というのは、堅めの哲学書や学術書、古典作品が置かれている本棚を思い浮かべる。もしかしたら本好き界隈では、インスタ映えするのかもしれない。 やっぱり、本棚に『カラマーゾフの兄弟』や『アンナ・…

  • 春樹のススメ!初心者におすすめしたい村上春樹の短編小説集5選

    今や日本を代表する作家・村上春樹。その人気は日本にとどまらず、世界中で読まれている。洒脱な表現や比喩と、巧みなストーリーテリング、魅力的な謎解き要素などの魅力が詰まった村上春樹作品。これから村上春樹を読むという人のために、初心者におススメの小説を紹介!

  • ピース又吉の現代文学ブックガイド / 『第二図書係補佐』 又吉 直樹

    第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) 作者:又吉 直樹 幻冬舎 Amazon ピース又吉といえば、芸人で初めて芥川賞を受賞した作家だ。又吉直樹が芥川賞を受賞した時はちょうど本屋で働いていたのだけれど、『火花』の売り上げは本当に凄かった。在庫がなくて入荷まちのこともしばしばあった。 『火花』以外にも、小説でいえば『劇場』とかが面白い。小説以外にも又吉直樹はエッセイを書いている。 僕が特に好きなのは『第二図書係補佐』だ。作家だけではなく、読書家としても知られている又吉直樹が小説を紹介したブックガイドのような本だ。本の紹介とその本にまつわる又吉のエッセイが書かれていて、そのエッセイがすこぶる面白い…

  • 自分の人生に対する違和感 / 「一人称単数」 村上 春樹

    村上春樹の「一人称単数」という短編では、人生の可能性を絞り込んだ先に待ち受けていた一人称単数の世界が描かれている。「一人称単数」で描かれているのは自分の人生に対する違和感だ。

  • ウディ・アレン版「罪と罰」 / 『教授のおかしな妄想殺人』 ウディ・アレン

    Irrational Man www.youtube.com 教授のおかしな妄想殺人!?正直に言うと、初めてみたとき、おかしなタイトルだなと思った。原題はIrrational Manで、日本語にすると『不合理な人』といった感じになるだろうか。ウディ・アレンの映画には原題と違った邦題が付けられることが多い(『地球は女で回っている』、『タロットカード殺人事件』、『僕のニューヨークライフ』とか)。邦題も邦題で良いなと思うことも多いけど、このタイトルはイマイチかなと思う。 『マジックインムーンライト』に続いてエマ・ストーンがヒロインを演じている。『教授のおかしな妄想殺人』というタイトルからはあらすじを…

  • 人生はそんなもんさ / 『僕のニューヨークライフ』 ウディ・アレン

    ウディ・アレン といえばニューヨークだ。『マンハッタン』など、これまでにニューヨークを舞台にした映画を数多く撮ってきた。最新作の『レイニーディ・イン・ニューヨーク』もタイトル通り雨が薫るニューヨークを舞台にした映画だ。ウディ・アレンのニューヨークを舞台にした映画には数多くの名作があるが、『僕のニューヨークライフ』は肩の力を抜いて楽しめるちょっとHなロマンティックコメディだ。

  • 第167回芥川龍之介賞の候補作を予想する

    だんだん雨が降る日が多くなり、梅雨入りが近づいてきました。 梅雨といえばそう、芥川賞候補作が発表される季節ですね。 えっ、違うって?異論は認めません。芥川賞の季節です。 冗談はさておいて、もうすぐ芥川賞の候補作が発表されると言うことで、芥川賞の候補作を予想してみた。上半期で印象に残った小説や推したい小説を中心に予想した。 芥川賞を簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番知名度がある賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・「群像」・「すばる」・「文藝」の五大文芸誌に掲載された作品が候補の対象となる。候補の作品…

  • Audible (オーディブル)で聴く読書を初めてみた

    最近、聴く読書ってどうなんだろって思い始めた。きっかけは村上春樹原作の映画『ドライブ・マイ・カー』だ。『ワーニャ伯父さん』の朗読テープを車で聞くシーンがあって、耳で小説を聴いてみるのもいいのかもしれないなと思い始めたのだ。 というわけで、色々検索したところ「聴く読書」としてAudible (オーディブル)が有名だったので、試しに導入してみた。Audible (オーディブル)ってどうなんだろって思っている人の参考になればいいなと思う。

  • 幻想に取りつかれた大人たち / 『恋のロンドン狂騒曲』 ウディ・アレン

    軽いラブコメディと思いきや... www.youtube.com ウディ・アレン監督の映画といえば、ユーモアに富んだ会話と、「人生は無意味だ」といったシニカルな作風で知られている。 『恋のロンドン狂騒曲』は、ウディ・アレン映画の中でも人生の諦念に満ちた映画だ。ウディ・アレン初心者には勧めにくい激苦映画。観る前は『恋のロンドン狂騒曲』というタイトルからラブコメ的なものを想像したけれど、観てみるとなかなかシニカルな内容である。原題は『You Will Meet a Tall Dark Stranger』だ。Tall Dark Strangerというのは死神のことだろうか。『ミッドナイト・イン・パリ…

  • ドラマでも変わらないウディ・アレン / 『ウディ・アレンの6つの危ない話』 ウディ・アレン

    Crisis in Six Scenes - Official Trailer | Prime Video - YouTube ウディ・アレンのドラマがPrime Videoに公開されているので観てみた。タイトルは『Crisis in Six Scenes』、日本語だと『ウディ・アレンの6つの危ない話』 だ。 ウディ・アレンの映画といえば、上映時間が大体90分前後に収まる。このドラマは6つのストーリーで成り立っているので、トータル時間で二時間を超える。ドラマになるとどんな感じになるのかなと観てみたら、いつも通りのウディ・アレンであった。 ドラマの舞台は、ベトナム戦争への反対運動が盛んに行われ、…

  • 大切なものは失ったあとに気付く / 『ギター弾きの恋』 ウディ・アレン

    ドキュメント?フィクション?伝説のギタリストを描いた映画 「ギター弾きの恋」はウディ・アレンの映画の中でも変わった映画だ。ギターは上手いが性格に難があるギタリスト:エメット・レイをドキュメンタリータッチで描いた伝記映画という風になっている。 エメットにはジャンゴ・ラインハルトの次にギターが上手いという自負があった。そんなエメットは口がきけないハメットに出会い、一緒に過ごすことになる。惹かれあう二人だったが… エメットが不器用すぎて、ハメットとすれ違ってしまう。 この映画のテーマは「大切なものは失ってから気づく」というものだ。エメットが失ったものは何なのか?喪失感に満ちたラストシーンの切なさは胸…

  • 今日もビッグマックを食べた!読むとビッグマックが食べたくなる小説2選

    前を向きたい時、僕はビッグマックを食べる。 買った後読めずに積んでいた単行本が文庫化した時、ビッグマックを食べた。 本を買って帰ったら同じ本が本棚にあった時、ビッグマックを食べた。 雨に降られて鞄に入れていた文庫本がふにゃふにゃになってしまった時、ビッグマックを食べた。 僕にとってビッグマックは生活インフラの1つだと言っても過言である。さすがに過言だ。 そんなこんなで堺雅人が出演したマクドナルドのCMのパロディを書いてみた。なんでビッグマックについて書こうと思ったのかというと、マウドナルドに言ったらビッグマックのセールをやっていたからだ。もうそれはビッグマックを食べるしかない。 ビッグマックを…

  • もう一度18歳に戻りたい? / 「32歳のデイトリッパー」 村上 春樹

    皆さんは18歳に戻りたいだろうか? 僕としては、戻りたい気もするし、戻りたくない気もする。今の記憶を持って戻ったら、未熟な18歳の僕でももっとマシな立ち回りができたんだろうなと思う。 村上春樹の短編「32歳のデイトリッパー」では、18歳に戻りたいか?という質問が出てくる。 どんな短編小説かというと、32歳の「僕」と18歳のガールフレンドの話だ。「僕」は既婚者だし、ガールフレンドには複数のボーイフレンドがいる。やれやれ。 32歳と18歳という組み合わせがなんとも言えないリアリティを醸し出している。 これが17歳のガールフレンドだったら間違いなく捕まるし、男性の方も35歳ぐらいになってくると間違い…

  • 意外すぎる?村上春樹が芥川賞を受賞していないことについて

    現代日本文学を代表する作家・村上春樹。その人気は日本にとどまらず、世界中で広く読まれ愛されている。 それもあってか、ノーベル賞が発表される時期になると、「ノーベル文学賞最有力候補」ともてはやされている。まあ、ノーベル文学賞の候補は公表されていないので、本当に候補になっているのか分からないのだが。やれやれ。 ノーベル文学賞の受賞が近いと言われている村上春樹だが、実は芥川賞を受賞していない。

  • 不思議の国にGo To トラベル!架空の世界に誘われるファンタジー小説10選

    皆さんは最近旅行できていますか? 時期が時期なので、なかなか旅行に行けていない人も多いはず。 そんな時はファンタジー小説を読んで、異世界旅行気分を味わってみるのはどうでしょう? 現実世界とはかけ離れた架空の世界を冒険すれば、気分転換になるはず。 そんな、不思議の国にGo To トラベルできるようなファンタジー小説を10冊集めてみた。 『不思議の国のアリス』 / ルイス・キャロル 『はてしない物語』 / ミヒャエル・エンデ 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 / 村上 春樹 『図書館奇譚』 / 村上 春樹 『七夜物語』 / 川上 弘美 『旅のラゴス』 / 筒井 康隆 『ブランケット・…

  • 気になりすぎて夜しか眠れない!最近気になっている新刊をざっくり紹介する

    皆さん、夜はよく眠れているでしょうか? 僕は新刊本が気になりすぎて、夜しか眠れません。 8時間しか寝てません。辛い辛い。 そんな冗談はさておいて、最近気になっている新刊を紹介していこうと思う。 この記事を読んだら、あなたも気になりすぎて夜しか眠れなくなるはずだ。

  • 新海誠『すずめの戸締まり』の小説が8月に発売されることについて

    www.youtube.com 今年公開を楽しみにしている映画が、新海誠の最新作『すずめの戸締まり』だ。 最近では、特報動画が公開されていた。 前作の『天気の子』や『君の名は。』のように、『すずめの戸締まり』でも「災い」が物語の鍵になるようだ。これはセカイ系の話になりそうな予感。 新海誠監督は、『すずめの戸締まり』に関してこう語っている。 「あちこちで開け放しにし続けてしまった扉を、どのように閉めることが出来るのか。それをすずめに託し、戸締りをしながら日本列島を旅する物語を作っています。笑顔と昂ぶりを、観終えた後に残せるような映画にしたいのです」 「どのように閉めることができるのか」、この言葉…

  • 村上春樹がチノ・デルドゥカ世界文学賞を受賞した件について

    www.jiji.com 村上春樹がチノ・デルドゥカ世界文学賞を受賞したと言うおめでたいニュースが入ってきた。 イタリアの文化人の名前を冠した「チノ・デルドゥカ世界文学賞」は「現代のヒューマニズムのメッセージ」を表現する人に授与される賞のようだ。賞金は20万ユーロ(日本円で約2700万円)だ。これは、ノーベル文学賞に次いで高額らしい。 チノ・デルドゥカ世界文学賞って何? チノ・デルドゥカ世界文学賞とは、人道主義的貢献に対して与えられるフランスの文化賞だ。フランス語ではPrix mondial Cino Del Ducaと書き、チーノ・デル・ドゥーカ世界文学賞とも読むようだ。 ウィキペディアで歴…

  • 偶然の大地を彷徨う / 「彼女の町と、彼女の緬羊」 村上 春樹

    村上春樹の小説によく登場する動物といえば、やっぱり羊だと思う。 タイトルに羊と入る『羊をめぐる冒険』は村上春樹の代表作だ。『羊をめぐる冒険』に登場する羊男は有名なキャラクターで、『羊男のクリスマス』や『図書館奇譚』にも登場している。その他にも村上春樹の小説で羊が登場するものがある。 その小説が短編集『カンガルー日和』に収録されている「彼女の町と、彼女の緬羊」という小説だ。「彼女の町と、彼女の緬羊」の舞台は札幌だ。 札幌の街や羊といい、『羊をめぐる冒険』との繋がりを感じさせるし、『羊をめぐる冒険』の原型なのかなとも思う。 この小説のテーマは、人間が住む土地についてだ。 人は、人生のステージによっ…

  • 「どれくらい好き?」と聞かれたときの最適解を村上春樹から学ぼう

    いきなりだが、男子が女子に聞かれて困る質問ってなんだろうか? いきなり来るのはステーキだけにしてくれという人がいるかもしれないが、考えてみて欲しい。ありすぎて、絞りきれないという人もいるかもしれない。 男子が女子に聞かれて困る質問の個人的第1位は、「私のことどれくらい好き?」だ(当社調べ)。異論は認めない。ちなみに第2位は「私と仕事どっちが大事なの」だ。 「私のことどれくらい好き?」って聞かれたら答えに窮してしまうし、羽生結弦のトリプルアクセル並みに頭を回転させても最適解が見つからない。いったいこの場合の最適解は何なのだろう。やれやれ。 最悪のケースは、大喜利に走ってしまいIPPONグランプリ…

  • ゴダールの名作『気狂いピエロ』の原作が文庫化していた件について

    最近本屋でびっくりしたのは、ゴダールの『気狂いピエロ』の原作小説が文庫化されていたことだ。『気狂いピエロ』に原作があったのかってところにまず驚いた。 あとは『気狂いピエロ』の原作は今までに邦訳されたことがないというのにも驚いた。 www.youtube.com なんでこのタイミングで文庫化するのかなって思っていたけど、調べてみたらゴダールの代表作『気狂いピエロ』と『勝手にしやがれ』がリバイバル上映されているみたいだ。こちらも知らなかった。 学生の頃は、こういう情報は徹底的にリサーチしていたのだけれど、社会人になってからは時間の余裕がないこともあってかなかなか追いついていない。早くFIREして、…

  • 過去の輝きが喪失することの哀しさ / 「駄目になった王国」 村上 春樹

    小中学校の同級生にとてもサッカーが上手い子がいた。運動神経がとても良くて、走りも早い。ドリブルをすれば誰も止めることができなかった。おまけに顔がカッコよくて、女の子にとてもモテた。まさしく神童だった。 高校からは名のしれた強豪校に推薦で入学していたはずだ。あの頃の僕は、この子が将来サッカー選手になるだろうと思っていた。 しかし、同窓会で再開してみると、その同級生はサッカー選手ではなくフリーターになっていた。 高校の時もスタメンには入れなかったようだ。その時に僕はなんとも言えない物哀しさを感じた。僕の期待や理想をその同級生に投影していた分、落胆がすごかった。なんだか現実を見せられたかのようだ。 …

  • 隠れたミステリの傑作・『神のロジック 人間のロジック』が復刊された件について

    最近仕事が忙しくて本屋に行けていなかったのだが、久しぶりに行ってみると大発見があった。 それは、幻のどんでん返しの名作、西澤保彦の『神のロジック 次は誰の番ですか?』が復刊されていたのだ。昔の題名は『神のロジック 人間のマジック』だった。 このミステリは、すごく面白いのだけれど、知名度があまりなく、絶版になっていた本だ。 神のロジック 人間のマジック (文春文庫) 作者:西澤 保彦 文藝春秋 Amazon その本を読んだのは大学生の頃だ。ミステリ好きの友人に勧められて読んでみたのだが、あまりの衝撃に放心したものだ。 「天地がひっくり返るというのはこのことか」って思うほどインパクトがあった。 こ…

  • 物語は暗闇を照らす光 / 「夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について」 村上 春樹

    「夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について」は『夜のくもざる』に収録された村上春樹の超短編小説だ。いや、ショートショートと言った方がいいのかもしれない。 『夜のくもざる』は、村上春樹とイラストレーターの安西水丸がコラボレーションした本だ。村上春樹のショートショートと安西水丸のイラストが絶妙に絡み合っている。話は逸れるけど、村上春樹と他の人がコラボした本だと、安西水丸との『夜のくもざる』と糸井重里との『夢で会いましょう』が特にオススメだ。 今回なぜ「夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について」取り上げたかというと、このショートショートには村上春樹の物語観が説明されていると思ったからだ。…

  • 女性を失うということ /「女のいない男たち」村上 春樹

    「女のいない男たち」は村上春樹の短編集『女のいない男たち』に収録された短編小説である。『女のいない男たち』という短編集は、何かしらの理由で女を失ってしまった男たちを描いた、コンセプトアルバムのような作品だ。「女のいない男たち」という短編は、短編集のトリを飾る作品であり、この短編集を象徴する作品となっている。 この短編集に収録されている「ドライブ・マイ・カー」、「イエスタディ」、「独立器官」、「木野」では、様々な形で主人公が「女」を失っている。「シェエラザード」は少し毛色が違うが。 「女のいない男たち」でも、「エム(M)」という女の死を伝える電話から小説が始まる。 読んだ人には分かってもらえると…

  • ギリシャのアトス・トルコをめぐる冒険 / 『雨天炎天』 村上 春樹

    僕はエッセイはほとんど読まないし、海外の地も踏んだことがない。この御時世、海外旅行もなかなか行きづらいので、海外旅行についてのエッセイを読んで旅行気分に浸ってみた。その他にも、村上春樹の小説をほとんど読んでしまって、読んでいないのはエッセイぐらいだったという理由もあるけども。 この『雨天炎天』はギリシャ正教の聖地アトスとトルコを一周した旅行について綴られたエッセイだ。文体もいつも通りのハルキ節で、ユーモアある表現も楽しめた。 この一冊読んだだけでギリシャとトルコを旅行した気分。途中では、トラブル続きで船が来なかったり、知らず知らずのうちに政治的にひどくややこしい場所に来てしまったりと、旅に付き…

  • 本の増えるスピードが指数関数的!4月に買った本を雑に紹介していく

    最近、部屋の本が増えるスピードが指数関数的に速くなっている。 本棚からキャパシティという概念が失われて久しい。もう本棚のキャパシティを無視して本を買っている。 読書好きは、本棚ではないところに本を積み出したら一人前って誰かが言っていた気がする(言ってない)。 いつか本に圧迫されて死んでしまうのかもしれない。今の気持ちは、バイバインの効果で増える栗まんじゅうに怯えるのび太くんのようだ。 そんなわけで、4月も大量の本を買ってしまった。いつものことである。 上に写真を載せているけれども、これはほんの一部だ。まだまだ4月に買った本はたくさんある。普段はあんまりしないのだけれど、買ったほんの一部を紹介し…

  • 傷つくことができなかった男 / 「木野」 村上 春樹

    村上春樹の短編集『女のいない男たち』に収録されている小説の中で、僕が一番好きなのが「木野」だ。『女のいない男たち』の中でだけでなく、村上春樹の短編作品の中でもベスト10に入るくらい傑作だと思う。「木野」ってなかなか変わったタイトルだが。 「木野」は短編として完成度が高いのだけれど、長編小説の序章ではないかと思わせるところもある。「ねじまき鳥と火曜日の女たち」が「ねじまき鳥クロニクル」に繋がったように、「木野」も長編に化けそうな気がしてならない。 村上春樹の「木野」は短い中にも、猫や蛇などのメタファーが散りばめられていて、神話的な世界観が広がっている。象徴的なモチーフが散りばめられているから、な…

  • 第35回三島由紀夫賞候補作品の紹介と受賞作予想

    今年も三大純文学新人賞の1つ、三島由紀夫賞の季節がやってきました。 芥川龍之介賞に比べると知名度が大きく下がる三島由紀夫賞だけれども、受賞作の尖りっぷりは芥川賞を凌ぐと思っている。舞城王太郎や佐藤友哉、中原昌也など芥川賞では評価されにくい尖った才能を見出してきた。個人的に一番好きな純文学新人賞だ。 前回は乗代雄介の『旅する練習』が受賞という順当な結果だったが、今年はどうなるのか。受賞作が出揃ったので紹介してきたい。 今回の候補作も芥川賞と違って独自色が強いなって思う。 デビュー作で読売文学賞を受賞した『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』がまさか候補に上がるとは思っていなかった。 岡田利規の「ブ…

  • 新海誠へのオマージュに満ちた青春アンソロジー /『詩季折々』

    失いたくない思い出を抱えた若者たちの青春アンソロジー 『詩季織々』 予告篇 スタジオジブリを率いる宮崎駿監督は世界に大きな影響を与えてきた。今では宮崎駿監督に続いて、新しい才能がどんどん頭角を現している。その一人が新海誠だ。 美しい情景描写や詩的なモノローグで若者の繊細な心情を描く新海作品は、多くの人の支持を集めてきた。最近では『君の名は。』を大大大ヒットさせたのが記憶に新しい。 その新海誠の影響は日本だけにとどまらない。この『詩季折々』は、新海誠に影響を受けた中国のリ・ハオリン(李豪凌)監督がコミックス・ウェーブ・フィルムに熱烈なオファーを送り続けたことで実現した短編アンソロジー映画だ。『陽…

  • 新海誠の最新作『すずめの戸締まり』の特報が公開されていた件について

    www.youtube.com 気付かないうちに新海誠の最新作『すずめの戸締まり』の特報動画が公開されていた。 友達に言われなかったらしばらく気付いてなかっただろう。持つべきものは信頼できる友人である。感謝感謝。 さて、『君の名は。』と『天気の子』では自然災害に翻弄される人々を描いてきた新海誠だが、『すずめの戸締まり』でも「災い」が物語の鍵になるようだ。これはまた新海誠の十八番のセカイ系の話になりそうだ。 『すずめの戸締まり』というタイトルはずいぶん奇妙だけれど、災いの元となる「扉」を閉めていく旅をする少女・すずめの解放と成長を描く冒険物語になるようで納得した。災いの元というと「扉」はパンドラ…

  • 「青」が意味するのは何か? / 「青が消える(Losing Blue)」 村上 春樹

    村上春樹の中で短編集に収録されておらず、全集にしか収録されていない短編小説がある。それが「青が消える(Losing Blue)」だ。「青が消える」という短編は、タイトル通り「青」色が世界から消えていく様を描いた、ちょっとSF風味のある小説だ。例えば、青とオレンジのストライプのシャツから、青い海から、青色が消えていくといった感じだ。 この「青が消える」は全集にしか収録されていないレアな短編小説なのだが、国語の教科書に掲載されているようで、読んだことがある人は意外と多いのかもしれない。この小説における「青」が何を意味するのかを考えるのは、いかにも国語の授業でありそうな内容だ。 「青が消える(Los…

  • 村上春樹のチャンドラーへのオマージュ / 「サウスベイ・ストラット―ドゥービー・ブラザーズ「サウスベイ・ストラット」のためのBGM」 村上 春樹

    村上春樹の短編小説の中でも最も異色な小説は何かと言われれば何を思い浮かべるだろうか? ウイットに飛んだ「ファミリー・アフェア」と答える人がいるかもしれないし、村上春樹では珍しい家族の話を描いた「蜂蜜パイ」と答える人がいるかもしれない。僕はどうかというと、『カンガルー日和』に収録されている短編を答えに挙げるだろう。 それは、「サウスベイ・ストラット―ドゥービー・ブラザーズ「サウスベイ・ストラット」のためのBGM」という短編だ。タイトルが非常に長い。まるで『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』のようだ。ここから「サウスベイ・ストラット」と略して表記する。 「サウスベイ・ストラット」の何が異色か…

  • 独断と偏見しかない!村上春樹の長編小説ランキング

    皆さん、村上春樹を読んだことがあるだろうか? 僕は高校生ぐらいから村上春樹にハマって、村上春樹の長編小説は全部読んだ。 一通り全部読んだので村上春樹の長編ランキングを独断と偏見で作ってみようと思う。 村上春樹の長編小説をどれから読むかの参考になれば幸いだ。

  • 元書店員が紹介する!本屋でアルバイトって実際どうなのか?

    書店ガール (PHP文芸文庫) 作者:碧野 圭 PHP研究所 Amazon 本好きな人なら書店で働くということに憧れる人が多いだろう。 僕自身、某大型書店で3年ほどアルバイトをしていた元書店員だ。 本が好きで、大学生の時に書店でバイトをしていた。 実際に書店員をやってみての感想なのだが、やっぱり書店員は本好きにとって最高のアルバイトだと実感した。 大学生など、本屋でアルバイトを考えている人に向けて書店アルバイトの魅力について余すことなく紹介していこうと思う。 書店アルバイトのすゝめ!

  • 先見性がありすぎる!元自衛隊の異色作家・砂川文次の小説を紹介!

    砂川文次という作家をご存知だろうか? 「市街戦」でデビューした、元自衛官という異色の経歴を持つ作家だ。元自衛官とあってか、戦争や自衛隊、軍隊をモチーフにしたミリタリー小説が多く、リアリティある描写が魅力だ。文章の緻密さがすごく、戦争の場面では自分が戦場にいるかのようなリアリティがある。 ロシア軍が北海道に侵攻し自衛隊と衝突するという「小隊」では、さすが自衛隊出身と言うべきか、自衛隊での専門用語が飛び交い、自衛隊の描写のディティールがすごく細かくてリアルだ。実際の戦場にいるかのような臨場感が味わえる。 また、組織の不条理を描くなど、どこかカフカ的な作風も特徴だ。最近では、新型感染症をモチーフにし…

  • 『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞したことについて

    www.youtube.com 最近悲しいニュースが多いけど、喜ばしいニュースが入ってきた。映画賞を総ナメしていた濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞したのだ。本当にめでたい。これはかなりの快挙じゃなかろうか。アカデミー賞ではウィルスミスの一件が話題となっているが、『ドライブ・マイ・カー』のことをもっと話題にしてほしいなと思う。 女のいない男たち (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 知っている人も多いと思うが、『ドライブ・マイ・カー』は村上春樹の短編小説を元にした映画だ。「ドライブ・マイ・カー」と、「シェエラザード」、「木野」という3つの村…

  • あなたもきっと騙される?どんでん返しが凄いミステリを10冊紹介してみた

    ミステリの醍醐味の1つといえば、どんでん返しがあるんじゃないだろうか。今まで見ていた世界が文字通りひっくり返る感覚は面白いものだ。 「どんでん返し」で有名な名作は数多くある。その中から厳選して、オススメのどんでん返しミステリを10冊紹介したいと思う。

  • 日本の前衛文学の巨匠!安部公房のおすすめ小説5選

    安部公房という作家をご存知だろうか?日本を代表する作家の一人で、晩年はノーベル文学賞受賞間近とも言われた作家だ。 その作風は非常に前衛的・実験的で、文学の概念を更新するような作品を数多く残した。 日本で前衛文学というと安部公房の名前が一番に上がるのではないかと思うぐらい前衛文学の名作が多い。例えば、ダンボール箱を頭から被った男が登場する『箱男』は、見るものと見られるものの関係性を反転させる実験的な小説だ。また、男が砂の中に閉じ込められる様子を描いた『砂の女』は、日本文学の中でも最高傑作ではないかとの呼び声が高い。 また、名前を失った人間が壁になってしまう『壁』や、人間が棒になってしまう『棒にな…

  • めちゃくちゃ尖っている?!日本のおすすめ前衛文学をまとめてみた

    小説の面白さは、ストーリーや文章の面白さだけではなく、新しい表現技法を開拓するところにもある。特に純文学では、前衛文学や実験文学、ポストモダン文学と呼ばれる、今までになかったような表現方法で新しい小説世界を切り開く作品が多くある。 そんな小説の可能性を切り開いてきた日本の前衛文学を紹介したいと思う。日本文学の中でも、ポストモダン文学や前衛文学は数多くあるけれど、今回は主に2000年代に新人三賞を受賞したような若手作家の作品について紹介している。例を挙げると円城塔や青木淳悟、福永信あたりの作家の作品が中心だ。

  • 理解できる??難解すぎる芥川賞受賞作品を紹介

    芥川賞受賞作品って難しいっていうイメージがあるかもしれない。実際は『パークライフ』や『コンビニ人間』、『火花』のような読みやすくて分かりやすい小説もある。 一方で、難解な芥川賞受賞作品も確かに存在する。余程の文学好きじゃないと分からない前衛的・実験的な作品もある。 需要があるのかどうか分からないが、芥川賞受賞作品の中でも特に難解とされる受賞作品を紹介したい。 この記事は需要があるのだろうかと思わないでもないが、ニーズではなく、シーズということでこの記事を書きたい。

  • 映画『ドライブ・マイ・カー』をより理解するための3冊

    www.youtube.com 村上春樹の「ドライブ・マイ・カー」を原作にした濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が数多くの映画賞を受賞し、アカデミー賞にノミネートされるなど、最近話題を集めている。 舞台俳優・演出家の家福(かふく)が、妻の喪失と残した秘密に苦しみ、演劇の演出やドライバー・渡利みさきとの交流を通じて自己回復していく過程を描いた映画だ。 『ドライブ・マイ・カー』は、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、日本映画としては史上初となる脚本賞を受賞している。かの有名な三大映画祭のカンヌ映画祭である。また、ニューヨーク映画批評家協会賞の作品賞も受賞している。これはアジ…

  • 安部公房が好きな人におすすめの作家

    砂の女 (新潮文庫) 作者:公房, 安部 新潮社 Amazon 日本を代表する作家の一人、安部公房。前衛的・実験的すぎる作風で知られ、未来の残酷さを見抜いたSFなど数多くの作品を残した。極限状況における人間を描き、日本文学最高傑作とも称される『砂の女』、未来が本質的に残酷である事を描いた『第四間氷期』、段ボールを頭からかぶった人間が登場する実験的な問題作『箱男』など、名作が多い。 そんな独特な作風を持つ安部公房だが、安部公房が好きならこの作家も好きそうだなというのをまとめてみた。安部公房に通じる作風をもった作家を紹介したい。

  • 主人公はあなた!?世にも珍しい「二人称小説」のまとめ

    めちゃくちゃ好きな人以外は気にしないかもしれないが、小説の人称のメインは一人称と三人称だ。ざっくり言ってしまうと、一人称はある登場人物の目線で話が進行し、三人称では神の視点から小説が語られる。本当にざっくりだが。 だがしかし、小説の人称というのは一人称と三人称だけではない。二人称小説というのも存在するのだ。小説の可能性を追求する中で生まれた二人称小説はとても実験的な小説で、数も多くない。普通の小説じゃ物足りなくなってしまった「あなた」におすすめしたい。 世にも珍しい二人称小説を紹介していく。

  • 村上春樹が好きな人におすすめの小説10選

    村上春樹が好きな人というのは多いはずだ。中には村上春樹の小説を全て読み終わってしまったという人もいるかもしれない。僕もそうだったのだけれど、村上春樹の小説を全て読み終わってしまって、次にどんな小説を読んだらいいのかと思った時期があった。 村上春樹が好きな人が好きそうな小説って他にないのだろうかと探していた中で、他にも素晴らしい小説や作家に出会うことができた。 村上春樹好きならきっとこの小説も好きそうだなという小説を10個選んでみたので紹介したい。文体が似ているのもあれば、不思議な雰囲気が似ているもの、登場人物のキャラクターが似ている小説もある。ぜひ、この記事がきっかけで読書の幅を広げてみて欲し…

  • 「ブラックボックス」 砂川 文治

    砂川文次は「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞しデビュー。今までに、「戦場のレビヤタン」、「小隊」で2度芥川賞候補にノミネートされている。元自衛官とあってか、戦争や兵隊をモチーフにした小説が多い。「小隊」という小説は北海道に上陸したロシア軍が自衛隊と衝突する様を圧倒的なリアリティで描いた作品だ。また、組織の不条理を描くなど、カフカ的な作風も特徴だ。最近では、新型感染症をモチーフにした「臆病な都市」がコロナ禍を予見しているとして話題を集めていた。新型感染症にパニックを起こす人々を描き、役所という官僚的な組織の不条理を描いた力作だ。 今回候補になった「ブラックボックス」は、自転車便メッセンジャ…

  • 筋肉を追求した先にあるのは女性らしさ? /「我が友、スミス」 石田 夏穂

    石田夏穂は2021年「我が友、スミス」で第45回すばる文学賞佳作を受賞しデビュー。デビュー作で芥川賞にノミネートされた。すばる文学賞佳作から候補に選ばれたのは驚いた。もし、芥川賞を受賞すれば、初の快挙じゃないだろうか。 「我が友、スミス」は、ボディ・ビルの大会を目指し筋トレに励む女性・U野の姿を描き、ジェンダーの問題を描いた小説だ。筋トレを題材をした純文学という時点で珍しいのに、女性のボディ・ビルの大会を題材にしている小説はこれが初じゃないだろうか。恥ずかしながら、この小説を読むまで女性にもボディ・ビルの大会があることを知らなかった。そもそも僕は筋トレに1mmどころか1μmも興味がないのだが、…

  • 第166回芥川龍之介賞の受賞作を予想する

    芥川賞の受賞作がもうすぐ決まるということで、僕も芥川賞の候補作を全て読んで、予想してみた。季節になりました。候補作が発表されたので、簡単にまとめてみようと思う。 今回の候補作では、ジェンダーや非正規雇用、ジェネレーションZなどが題材になっていた。文学的な技巧の面では、語り方の工夫、作中作の導入、などがあった。 石田さんと九段さん、島口さんは2021年に新人賞を受賞し、今回初めて芥川賞候補に選ばれた。新人賞を受賞してから1年以内でありフレッシュな顔ぶれだ。 一方、砂川さんと乗代さんは2人とも3回目の芥川賞候補だ。特に乗代さんは今までに野間新人文学賞、三島由紀夫賞という文学賞を受賞しており、芥川賞…

  • 栄冠は誰の手に!?第166回芥川龍之介賞の候補作のまとめと紹介

    年が明けて1月になり、芥川賞の季節になりました。候補作が発表されたので、簡単にまとめてみようと思う。 石田さんと九段さん、島口さんは2021年に新人賞を受賞し、今回初めて芥川賞候補に選ばれた。新人賞を受賞してから1年以内でありフレッシュな顔ぶれだ。 一方、砂川さんと乗代さんは2人とも3回目の芥川賞候補だ。特に乗代さんは今までに野間新人文学賞、三島由紀夫賞という文学賞を受賞しており、芥川賞を受賞すれば男性初の新人文学賞「三冠」を達成することになる。 ちなみに、これまでに「三冠」を達成した作家は、笙野頼子、鹿島田真希、本谷有希子、村田沙耶香、今村夏子の5人であり、女性作家だけだ。 ではそれぞれの作…

  • クセがすごいんじゃ!賛否両論のクセがすごいミステリ小説10選

    皆さん、普通のミステリ小説に満足していますか? 普通に人が死んで探偵が解決するタイプのミステリもいいが、もっとクセが欲しくないだろうか? そんな皆さんに今回ご紹介したいのは、クセがすごいミステリだ。もしかしたら、某千鳥の某ノブさんが読んだら「クセがすごいんじゃ」っていうかも知れないようなミステリだ(言ってないです)。 ミステリの既成概念にとらわれないような、問題作のミステリ小説を紹介したい。 『ドグラ・マグラ』、『黒死館殺人事件』、『虚無への供物』、『匣の中の失楽』の四大奇書はプレミアム殿堂入りしているので除外しています。悪しからず。

  • そうだ、村上春樹を読もう!初心者にオススメの村上春樹の短編小説まとめ

    今や日本を代表する作家・村上春樹。その人気は日本にとどまらず、世界中で読まれている。洒脱な表現や比喩と、巧みなストーリーテリング、魅力的な謎解き要素などの魅力が詰まった村上春樹作品。これから村上春樹を読むという人のために、初心者におススメの小説を紹介!

  • 村上春樹の小説によく登場する渡辺昇って誰?

    村上春樹の小説には、複数の小説に登場するキャラクターがいる。有名なものをあげれば羊男がいるだろう。それ以外にも、名前がよく出てくるキャラクターがいる。それが渡辺昇だ。 パン屋再襲撃に収録される短編に登場する「渡辺昇」たち パン屋再襲撃 (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 『パン屋再襲撃』に収録されている短編に、「渡辺昇(ワタナベ・ノボル)」という人物が頻繁に登場するのだ。同じ名前であるだけで、同一人物(猫)ではないようだ。 「象の消滅」では、動物園から象と一緒にいなくなってしまった飼育員が渡辺昇だった。 『ねじまき鳥クロニクル』の原型でもある「ねじまき鳥と火曜日の女たち」では…

  • 第165回芥川龍之介賞の候補作まとめと受賞作の予想

    第165回芥川龍之介賞の候補作が発表された! 7月と言えばそう、芥川賞発表の季節ですね。 今回の候補作品は偶然か必然か東日本大震災をテーマにした作品が多くノミネートされている。様々な視点から震災を振り返った作品だ。 候補者を見てみると、今回初めて芥川賞にノミネートされたのが石沢麻衣、くどうれいん、高瀬隼子の三名。2回目のノミネートが千葉雅也、李琴峰の2名。候補者のうち4名が女性というのはなかなか珍しいのではないかと思う。 また、今回は芥川賞発表前に候補作がすべて単行本化されている。芥川賞発表前になると、候補作が載った文芸誌が入手しずらくなるので、今回は全部読み比べて受賞者予想もしやすいのでは。…

  • 小説の読解の参考に!文学の読み方が分かる文学読解本まとめ

    川端康成や大江健三郎のような文学作品だと読解が難しく内容がよく分からないという人は多いのではないだろうか。また、文学作品を色んな視点から読み解きたい、もっと深く読み解きたいという人も多いのだろうではないか。または、受験のために小説が読み解けるようになりたいという人もいるだろう。 学校での国語の授業では、小説の読み方というのを詳しくは教えてもらえない。僕自身、独学で勉強して小説の読み方を学んできた。独学で勉強した時に参考になった本を紹介したい。

  • 梅雨の季節・ノルウェイの森・雨の中の庭

    梅雨の季節になった。じめじめするのが嫌な季節だ。だけど、雨というのはなんだか風情がある。 ノルウェイの森 上 (講談社文庫) 作者:村上 春樹 講談社 Amazon 雨が印象的な小説というと、村上春樹『ノルウェイの森』が思い浮かぶ。あの小説には、暗くて重い雨雲が垂れ込めて、しっとりとした雨が降り続いているみたいなイメージがある。あの作品自体が暗く重たい雨雲に覆われているような印象がある。 冒頭のシーンや直子とのシーンなど、印象的なシーンには雨が降っているような印象がある。 『ノルウェイの森』の最初のタイトル案は『雨の中の庭』だったらしい。「雨の中の庭」というタイトルはドビュッシーの楽曲から来て…

  • 梅雨に読みたい!雨が印象的に描かれる小説まとめ

    梅雨の時は外に出かけにくく、家の中で過ごすことが多いだろう。そんな時は、雨が降るのを眺めながら読書に耽るのが趣があって素敵だと思う。梅雨時に読みたい、雨が印象的な小説を紹介したい。 『ノルウェイの森』 / 村上 春樹 ノルウェイの森 上 (講談社文庫) 作者:村上 春樹 講談社 Amazon 村上春樹の代表作『ノルウェイの森』は、雨のシーンが印象的な小説だ。重要なシーンではよく雨が降っていて、喪失感漂う内容と相まって『ノルウェイの森』という作品自体が暗く重たい雨雲に覆われているような印象がある。 『ノルウェイの森』は、ワタナベと直子、緑の関係を描いた恋愛小説だ。喪失と再生が重要なテーマの1つと…

  • 『死神の精度』と雨男のあれこれ

    死神の精度 (文春文庫) 作者:伊坂 幸太郎 文藝春秋 Amazon 伊坂幸太郎の『死神の精度』に出てくる死神は雨男だ。死神だから、雨男と言って良いものなのか。雨神とでも書いた方がいいのだろうか。それは置いといて、『死神の精度』を読んでいると、雨男について考えたくなる。なぜなら、僕自身も雨男だからだ。 雨宿りすると雨が止むが、外に出るとまた雨が降ってくるなんてことはしょっちゅうある。イベント事の幹事をすると天気が悪くなり、挙げ句の果てに「あいつを家から出すな」と言われる始末。外に出ると雪が降ってきたことも。雨男は雨だけじゃなく雪にも対応してるのか。 あまりにも雨に降られるので、「雨男・雨女って…

  • 世の中には森見登美彦派と万城目学派の二大派閥がある説

    森見登美彦と万城目学ってセットにして語られることが多い作家だなと思う。 2人とも京大出身で、京都にゆかりのある作家だ。 森見登美彦が好きな人は万城目学も好きそうな感じがする。けれど、強いていうならどちらかの方が好きみたいな派閥が存在するとも思う。そう、きのこの山派とたけのこの里派が存在するように。 なぜ2人は比較されることが多いのかというと、その理由は作風の近さにあると思う。 夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) 作者:森見 登美彦 KADOKAWA Amazon 森見登美彦は『夜は短し歩けよ乙女』や『四畳半神話大系』など京大生のコミカルな青春恋愛小説を書いている。 鴨川ホルモー 「鴨川ホルモー」…

  • 中原昌也のマスターピース / 『パートタイム・デスライフ』 中原 昌也

    『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』や『あらゆる場所に花束が…』に衝撃を受けてから、中原昌也をよく読むようになった。『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』の支離滅裂ながらもイメージを繋いでいく手法はバロウズの『裸のランチ』ようだったし、『あらゆる場所に花束が…』で見せたイメージを反復する手法はヌーヴォー・ロマンのアラン=ロブ・グリエを彷彿とさせた。日本の現代文学にはあまりいないようなタイプの作家ではないだろうか。独特な前衛的手法の虜になってしまった。『パートタイム・デスライフ』も、過去作に劣らず、あるいは最高傑作と言ってもいいくらいの小説だ。 『パートタイム・デスライフ』は中原昌也の集大成的な長…

  • どんでん返しの魔術師!乾くるみのおすすめ小説5選

    乾くるみは、どんでん返しを仕掛けたミステリが魅力的な作家だ。 本格ミステリのギミックを恋愛小説やSF小説に組み合わせた作風はなかなか珍しい。どんでん返しと恋愛小説を組み合わせた『イニシエーション・ラブ』は、芸能人がオススメしたこともありベストセラーになった。どんでん返しの名作として真っ先に挙げられる名作ミステリだ。 乾くるみといえば、タロットシリーズというシリーズがある。 タロットをモチーフにしたシリーズで、「天童太郎」という人物が共通して登場する。それぞれの小説はタロットカードがモチーフになっている。 名前だけ見ると、乾くるみは女性のように思うだろうが、実は男性だ。乾くるみが男性というのが最…

  • 人生のマジックアワー / 『明け方の若者たち』 カツセ マサヒコ

    ヘミングウェイはエッセイ『移動祝祭日』で、パリで過ごした青春の日々をこう語っている。 もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ 誰にとっても青春時代はかけがえのないもので、その後の人生についてまわる移動祝祭日のようなものだ。 そんな、振り返れば全てが美しく感じるような青春の日々を『明け方の若者たち』では「人生のマジックアワー」と読んでいる。それは誰にとっても美しいものだろう。 『明け方の若者たち』は、Webライター・文筆家カツセマサヒコの小説だ。カツセマサヒコは、エモーショナルなツイートで注目を集めている…

  • 謎が解決しない?謎解きを宙吊りにする謎解きミステリまとめ

    ミステリあるいは探偵小説では、謎が提示され探偵がそれを解決するという枠組みを持つ。大体の推理小説はこのような枠組みを持つことは納得してもらえると思う。謎がそのまま放置されたら気持ち悪いだろう。 だが、小説の中にはこの探偵小説の枠組みを崩し、謎が解かれずに宙吊りになる探偵小説がある。謎を宙吊りにする探偵小説という変わった枠組みは純文学、エンタメを問わず使われているのだ。謎を宙吊りにするミステリは、アラン・ロブ=グリエから始まり、安部公房、ポール・オースターと受け継がれている。 謎が謎を呼ぶ不思議な探偵小説について紹介したい。

  • 地方都市の若者の苦悩をポップに描く!山内マリコのおすすめ小説5選

    地方都市の閉塞感や空気感を描かせたら山内マリコの右に出るものはいないだろう。 昔は尖っていたけど歳を重ねて丸くなったマイルドヤンキーや、画一化された国道沿いの風景など山内マリコが描く地方都市の風景は、地方都市に住んだことがある人なら「分かる」と共感すること間違いなし。山内マリコ作品を読んでいて、寂れた商店街の描写があったときは地元のことを思い出してしまった。 山内マリコの十八番とも言えるのが、地方都市に住む女性の鬱屈を描くことだ。閉鎖的な地方で、ここでないどこかを夢見る女性の描写が本当に上手い。同じような経験がある人なら、小説が心にぶっ刺さり過ぎてダメージをくらうかもしれない。男性よりも女性か…

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