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きみの靴の中の砂 (サヨナラ —— 旧goo blog版) https://blog.goo.ne.jp/disinfectant1953

このサイトは "Creative Writing" の個人的なワークショップです。テキストは過去に遡り、随時補筆・改訂を行うため、いずれも『未定稿』です。

みなさんに感謝: アラン・ロブ=グリエ アルベール・カミュ 伊藤整 岩科小一郎 エリック・ホッファー 尾崎喜八 金子光晴 クロード・シモン ジャック・ケルアック 田村隆一 辻邦生 辻村伊助 永井荷風 久生十蘭 フィリップ・ソレルス 船知慧 ブルース・チャトウィン ポール・ヴァレリー ミシェル・ビュトール 森鷗外 森茉莉 吉田健一 ル・クレジオ ロラン・バルト

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2022/04/07

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  • プエルトリコにだって、雨くらい降るわよ

    (Op.20250331-2/Studio31,TOKYO)  「プエルトリコにだって、雨くらい降るわよ」  【GloriaEstefan&JoséFeliciano-TengoQueDecirteAlgo】  プエルトリコにだって、雨くらい降るわよ

  • 白いクーペのように見えたのは、崖下の岩場に砕けた波しぶきだろうか

    (Op.20250331/Studio31,TOKYO)  「『ソングライン』は、大分読み進んだ?」出来上がったパスタを皿に盛りつけながら、水口イチ子が聞く——昼の陽射しが南向きの窓から差し込むキッチンでのことだ。「原書だからなかなか速読を許してくれず、まだ最初から五分の一位のところかな」とぼく。さっき、キッチンに蜂が入ってきたとイチ子が騒いでいたが、その蜂も今はどこかへ行ってしまったようだ。「『ソングライン』の大命題『人は、なにゆえ旅に出るのか?』は、今のところ、まだ解明されていないらしい。でも、それが解ると旅は終わってしまうのかも知れない。ところで、そのスカート、似合ってるね」そう言ってぼくは、パスタを口に運び、オレンジを絞り込んだ赤ワインのグラスに手を伸ばす。「あら、嬉しいわ、アリガト」自分の皿にチ...白いクーペのように見えたのは、崖下の岩場に砕けた波しぶきだろうか

  • 今年最初の夏日

    (Op.20250330-5/Studio31,TOKYO)  今年最初の夏日。半袖・長袖の境目は摂氏二十五度だとか。桜も咲いて、次は海棠の開花が待ち遠しい。  今年最初の夏日

  • 生シラスは売り切れ

    (Op.20250330-4/Studio31,TOKYO)  江ノ島へイチ子さんとサイクリングがてらランチに出かけた。三月中は、まだ禁猟期間で、生シラスは売り切れ表示。ふたりで冷凍シラスの釜揚げ定食を食べた。  【LosRiosRockSchool-IGetAround】  生シラスは売り切れ

  • マージービートが聞こえる

    (Op.20250330-3/Studio31,TOKYO)夕方、キッチンにあるイチ子のオーディオから懐かしい歌が聞こえていた。食卓に着いて、「ザ・グッバイ、好きだったの?」と聞くと、「うん。大学生の頃ね。当時、日本じゃコレはコレで斬新なサウンドだったわよね」とイチ子。夕飯の後片付けが済んでからも、キッチンからは、日付が変わる頃まで、そのマージービートは聞こえていた。【TheGood-Bye-マージービートで抱きしめたい】 マージービートが聞こえる

  • 何もない山の中の田舎町を巨大観光地に変える魔法

    (Op.20250330-2/Studio31,TOKYO)  二月二十五日。この時期の、この河津桜の価値。何もない山の中の田舎町を巨大観光地に変える魔法。『綺麗に撮りたい』ならスペックの良いカメラを百万円以上払って買えば概ね誰でも達成できる。でも、その逆の『ただ綺麗には撮りたくない!』という変態思考者の場合となると、今度は、お金でなく頭を使わないと撮れない——さて、お金を使うか、頭を使うか?  何もない山の中の田舎町を巨大観光地に変える魔法

  • 海を歩いていけそうな気がしたとイチ子が言う

    (Op.20250330/Studio31,TOKYO)  朝。夏の初め——早くも積雲が発達している。引き潮のさ中の、そのさざ波の乱反射——向こうの岬まで、海を歩いていけそうな気がしたとイチ子が言う。  【LarryLee-Don'tTalk】 海を歩いていけそうな気がしたとイチ子が言う

  • 性格・体質によっては不向きな人もいる

    (Op.20250329-2/Studio31,TOKYO)  今朝届いた新刊に目を通す。出版の世界では、早くも5月号——G.Wの頃に読んでも不自由のない、季節感先取りの編集内容(当然・当たり前・常識)。故に、この業界は、性格・体質によっては不向きな人もいる。 性格・体質によっては不向きな人もいる

  • 恋もお花見も、春の嵐には御用心

    (Op.20250329/Studio31,TOKYO)春は、『新しい恋の季節?』——そんな俗説を今迄気にも留めたことはありませんでしたが、思い出してみるとここ数年、誰かとお花見に行くこともなく、この季節をひとりぼっちで過ごしていました。でも、実は口に出さないまま、新しい恋を待っていたのかもしれません。今週の日曜、東京は晴れて、お花見日和?——恋もお花見も、春の嵐には御用心。  【大瀧詠一-あの娘に御用心】  恋もお花見も、春の嵐には御用心

  • 春が藤棚の上で磊落な笑い声をあげていた休日の昼下がりのことだ

    (Op.20250329/Studio31,TOKYO)遠くで雲雀のさえずりが聞こえ、春が藤棚の上で磊落な笑い声をあげていた休日の昼下がりのことだ。時期的には少し早いと思えたが、水口イチ子が今年初めて半袖を着ている。ぼく達ふたりは、彼女の家の庭に賑やかにテーブルを運び出し、簡単なトーストや砂糖菓子の他、ナッツやジェリーを盛りつけた大皿を水色のテーブル・クロスの上に置く。ベルガモットで香りを添えた『グレイ伯爵』のアイス・ティーも辺りに薫っているに違いない。バターがほど良く染みて絶好の焼き色のイングリッシュ・マフィン——イチ子は、その欠片を二本の指で用心深く摘まんで口に押し込むと、氷のせいで水滴の汗をタップリかいた大きなグラスをつかみ、その『グレイ伯爵』を少しだけ静かに飲む。その液体が彼女の喉を通る時、かすか...春が藤棚の上で磊落な笑い声をあげていた休日の昼下がりのことだ

  • 浜辺の優先順位

    (Op.2025032-3/Studio31,TOKYO)  毎年七月二十日には、湘南は海開きする。ビーチハウスも営業を始める。ここからが外来の海水浴客にとってのハイ・シーズンで、八月が終わるまでは『地元』のマリン・スポーツをする者は、外来客に場所を譲る責任が生じる。浜辺での優先順位。一位、水産業者。二位、外来の海水浴客。三位、やっとマリン・スポーツをする者。結局、このシーズンにマリン・スポーツをする人は、なるべく海水浴客のいない、つまり、海水浴に不向きな海岸まで出張することを強いられる。  【StatusQuo-FunFunFun】  浜辺の優先順位

  • 都市の高層

    (Op.20250328-2/Studio31,TOKYO)  都市の高層——見下ろす街並みが、癒やしや慰めになるときだってある。  【jean-michelantolin-HelloGoodbye】 都市の高層

  • ある晴れた日の昼下がりのことだ

    (Op.20250328/Studio31,TOKYO)さて、沈んだような冬の陽射しの印象が漸くやわらいだ四月初旬——ある晴れた日の昼下がりのことだ。【TheLovin'Spoonful-YouDidn'tHaveToBeSoNice】  ある晴れた日の昼下がりのことだ

  • それぞれの季節の気持ちのいいいち日

    (Op.20250327-2/Studio31,TOKYO)いち日の最初の陽の光は『向ノ岡』のさらにその向こう、連光寺・旧農林省鳥獣実験場辺りの山並みを越え、この多摩川縁の街へ届く。*それぞれの季節の気持ちのいいいち日、もし散歩に出かけるなら陽射しの美しさから道筋を選びたい。春、陽気が溢れる四月の午前九時なら、旧多摩聖蹟記念館下の『大谷戸公園』。額に汗の滲む初夏、六月の午前十一時なら和田原の『昔道』——畑道の途中に『あっち小野路こっち三澤』という小さな石柱を見つけられる。そして盛夏、八月の午後一時なら、関戸坂下『原峰公園』の木陰が爽やかだ。しかし、きみとふたりで歩くなら、例大祭の後の秋十月、午後三時の東寺方『山神社』の杜を忘れるわけにはいかない。晩秋の夕暮れ、市立交通公園から眺めると、大栗川の上流、遥か宝...それぞれの季節の気持ちのいいいち日

  • 常に誤解を孕んでいることに気付いている

    (Op.20250327/Studio31,TOKYO)書き言葉——例えば手紙やメールのやり取り —— が、時折、ふたりを不安定な関係に導くことがある。きみの分析では、互いにGimmickでTrickyな文章を書くからだとか...。ぼく達はお互いに、使う言葉が常に誤解を孕んでいることに気付いている。【KathyMattea,AlisonKrauss&SuzyBoggusWithChetAtkins-TeachYourChildren】  常に誤解を孕んでいることに気付いている

  • 元町の杵屋でディスカウントされていた

    (Op.20250326-3/Studio31,TOKYO) 午後、夏の雨がひとしきり降って、それが日暮近くにあがると、風はいつもより早く陸風に変わった。そのせいで、雨で湿った大気は海へ押し出され、この日は、わりかし爽やかな夕暮れがやってきた。*キッチンでイチ子さんが、隣に住む、アルゼンチン人のコスタさんから頂いたというオイル・サーディンの缶詰を十個程見せながら、「こんなに沢山、どうしよう」と半ば困ったような顔をしている。「心配しなくてもサーディンの調理法は、いくらでもあるよ」とぼく。「今夜はとりあえず、これで前菜を作りましょ」とイチ子さん。「そうだね。カナッペにすれば、夕食も兼ねられるし...。久しぶりに白ワインを開けようか?」「そうと決まれば、話は早いわよ」彼女は、早くも缶詰の蓋を開けると中身を取り出...元町の杵屋でディスカウントされていた

  • 湘南ゴールド

    (Op.20250326-2/Studio31,TOKYO)  イチ子さんが知り合いの農家から、神奈川県が開発した蜜柑の新品種『湘南ゴールド』の間引いたやつをもらってきた。蜜柑とレモンのイイとこ取りのようで、今までに無い『味と薫り』。「庭木として一本欲しいわね」と果実系の木が好きなイチ子さんは言うが、どうせ面倒臭い果実の世話はぼくがすることになるのが慣例だから、余り気乗りはしない。放ったらかしておいても勝手に育つ木が好きだ。  【JU!iE-OrangeSea】  湘南ゴールド

  • もう随分早いうちから知っていた

    (Op.20250326/Studio31,TOKYO) 『BARランプ・シェード』の深夜の常連の間で、週に一、二度、午前零時近くに来る『彼女』の仕事が頻繁に噂話の種になっていた。しかし、それらのどれもが正解から遠いことを、ぼくは、もう随分早いうちから知っていた。  【MarianneFaithfull-It'sAlloverNowBabyBlue】 もう随分早いうちから知っていた

  • 村の緑地保護組合

    (Op.20250325/Studio31,TOKYO)その頃のぼくと水口イチ子の音楽趣味は、クラスの中では異端だった。当時、音楽を好きか嫌いかと言ったら、そりゃあティーンエイジャーなのだから大方の高校一年生なら好きだと答えただろう。さらに邦楽と洋楽のどちらが好きかと問えば、まだまだGSブームの名残で、邦楽好きが多かった時代、洋楽一辺倒はクラスでは精々二割ほど。そんな洋楽好きにしても、本当にそれが好きなのか嫌いなのかよくわからず、時流に乗ったサイケデリック・ミュージックをファッションのように聴いているに過ぎなかった。もちろんぼくとイチ子もその手の音楽が嫌いなわけではなかったが、せいぜいクラスで仲間はずれにならない程度に、それこそファッションとして聴いているようなものだった。その頃のぼく達の会話というと、音...村の緑地保護組合

  • それでも、在り来たりの普通の人にはなれる

    (Op.20250324-2/Studio31,TOKYO)  人は、新しい物事に手を染めるとき、自ら充分な試行錯誤もせず、他人の意見・通説だけで不本意な未来を選択・決定することがある。特に身内からの進言は、時代の変化を考慮しないものがほとんどで、昔の常識のまま意見するため、ほとんど時代錯誤。それでも、在り来たりの普通の人にはなれる。仕事上の失敗は、将来的に取り返しが付くことも多いが、人生の選択ミスの後悔は一生尾を引きがち。  【jean-michelantolin-Pennylane】 それでも、在り来たりの普通の人にはなれる

  • カナリア諸島から...

    (Op.20250324/Studio31,TOKYO) 水口イチ子からのメールによれば、カナリア諸島でも、州都サンタ・クルスなら日本食が食べられるという。『今日も、アフリカの風が熱い』と結んであった。 【PetulaClark-MyLove】 カナリア諸島から...

  • 東京国際空港・真冬の恋人達

    (Op.20250323-2/Studio31,TOKYO)  東京国際空港・真冬の恋人達。  【sina-drums-LikeaRollingStone】  東京国際空港・真冬の恋人達

  • サメ肌でソバカスだらけ

    (Op.20250323/Studio31,TOKYO)  栽培中に袋がけの手間は要らず、収穫期も長く、味は酸味と甘味のバランスが良く、ここまでは林檎として理想的な品種なのだが、開発された当初、農林省は品種登録を見合わせた。理由は、サメ肌でソバカスだらけで人目にさらすには美しくないということらしい。その後永らく、十把一絡げで青リンゴと呼ばれる時期が続く。中身は最高なのに、ルックス、ヴィジュアルで落とされるなど、芸能プロダクションのオーディションのようだ。この林檎、今は全国三位の生産量があり、海外でも生産されている——名は王林という。  サメ肌でソバカスだらけ

  • その目的は何か...

    (Op.20250322/Studio31,TOKYO)三月最後の週末の朝。昨夜、眠る前に、明日はゆっくり寝ていようとイチ子から言っておきながら、まだ眠っているぼくを揺り動かす『その目的は何か...』。*ベッドから出て、厚いカーテンを引く。途端に、二重になったその下のレースのカーテン越しに、淡い朝の光が部屋を満たす。チェストの上のFMラジオ。スイッチを入れると、古いポップスが聴こえてくる。*せがまれて焼いたパンケーキ。横浜で見つけてきた、カナダのクリアリーのメイプル・シロップをかける。ぼくにミルク・ティー、イチ子にはいつものカフェ・オーレを入れ、「さあ、起きよ!食べよう!」という今、まさか、イチ子は二度寝など始めてはいるまいな。【TheStonePoneys-DifferentDrum】  その目的は何か...

  • 不用意な返事はもってのほか

    (Op.20250321/Studio31,TOKYO)イチ子さんがオムスビを握る手付きは、ぼくの祖母のそれに似ている。それを明かすと、「へぇ、そうなんだぁ」と妙に感心した口調で答える。「で、どっちが美味しいの?」不用意な返事はもってのほか。「おばあさんのは、もう少しふんわり握っていたかもしれない」「だったら、あと三十年くらい待ってくれたら、アタシも手の力が抜けて、おんなじように握れるかも知れない」と言って小さく笑う。 不用意な返事はもってのほか

  • どうなってるの?

    (Op.20250320-3/Studio31,TOKYO)  どうなってるの?  【TheTributes-WhatGoesOn】  どうなってるの?

  • 『人並み』に付いて行くのは苦労のしどおし

    (Op.20250320-2/Studio31,TOKYO)イチ子さんのお母さんは神戸の料亭の娘だったから、自分の娘のしつけでも、料理についてだけは、なかなか厳しかったようだ。イチ子さんが高校に入ると、学校から帰って来て「あぁ、お腹が空いたぁ。何かなぁい?」と言ったところで、台所から『まかない』が自動的に出てくるわけでもなく、母親から自分で作るよう言いつけられたという。しかも、出来上がりを母親が試食して、余りにも上手にできあがっていないと作り直しをさせられもしたようだ。大人になってからのイチ子さんのその素人離れした腕前は、宴会料理ずれした老人世代などからは、もっと家庭的に作りなさいと意見されるほどだったという。例えば、そういう人達に少しの酒や砂糖を入れて炊いたご飯を食べてもらうと「これは大枚払って食べる料...『人並み』に付いて行くのは苦労のしどおし

  • トム・ウェイツと『小説家のメニュー』

    (Op.20250320/Studio31,TOKYO)  イチ子さんが短期の取材で日本にいない時の夕食は、冷凍した作り置きのものが多くなる——今夜の作り置きはミネストローネとクリームスピナッチ。ウインナー・シュニッツェルだけ簡単に作った。デザートは、去年の降誕祭の頃の、やはり冷凍しておいたドライ・ケーキ。他にはフォア・ロゼズをお湯割りで三杯。食卓の照明を落とし、トム・ウェイツの"JerseyGirl"あたりを聴きながらだと結構ゴージャスな晩餐になる。食後、開高健の『小説家のメニュー』を何頁か再読。あとは食器を洗い、バスタブにお湯を張って、今夜は終業。 【TomWaits-JerseyGirl】  トム・ウェイツと『小説家のメニュー』

  • イラストのプールで泳ぐ

    (Op.20250319-2/Studio31,TOKYO) 去年の夏、伊豆の山奥でホテルを経営している友人から案内が来た。たまには遊びに来ないかという誘い。メールにプールの写真が添付されていて、山の中でも泳げるぞというアピールのようだ。その日のうちに写真と共にSNSにポストしたら、画家ご本人からイイネ!を頂いた。画伯も『ナルホド似ている』と思われたのだろう。 イラストのプールで泳ぐ

  • 静かな午后

    (Op.20250319/Studio31,TOKYO)  WelcomeBAR.  静かな午后

  • 水口イチ子が高校生だった頃

    (Op.20250318-3/Studio31,TOKYO) 水口イチ子が高校生だった頃。水口イチ子が高校生だった頃

  • 必然的に風の通り道にも変化は起きる

    (Op.20250318-2/Studio31,TOKYO)  家が建て込んでくれば、必然的に風の通り道にも変化は起きる。弓ヶ浜から六百メートルほど離れたこの路地は、昔は随分砂っぽく、簡易舗装の道端には海風に運ばれた砂が帯を敷いたように溜まっていたものだ。昨今は砂の飛散も減り、かつては、どの家の海側の境界に植えられていた防砂林代わりの生け垣は、新築・改築されるたびに姿を消し、都会化していく。  【FabioRodrigues-MyCherieAmour】  必然的に風の通り道にも変化は起きる

  • 電気炊飯器とは何か

    (Op.20250318/Studio31,TOKYO) 旅行作家水口イチ子が常用するノートブックは、開くとA3サイズ。その大判ノートの隅に時々飲物を置くらしく、その滴る水滴で頁が濡れ、乾くとノートの角が波を打った。今、そのノートがキッチンのテーブルに置かれていて、表紙に印刷された紙片が貼り付けてある。標語のような扱いのものだろうか。それは...*電気炊飯器とは何か。小学低学年生だって説明できるに違いない——少なくとも、非日常的な、例えばブラックホールについて説明しろと言ってるわけじゃない。しかし、日常的に身の回りに空気のように存在するものの説明を求められたとき、人は、言葉に詰まることが少なからずある。そのひとつが『小説』である。果たして小説とは何か。それは文字によって為され、時代設定を変えても成立するも...電気炊飯器とは何か

  • ノース・ショアに限ったことではない

    (Op.20250317-3/Studio31,TOKYO)  ハワイのノース・ショアに限ったことではないが、観光目的の一般客がサーフィンで遊ぶのは、地元ショップのロゴ入りボードでも借りない限り、なかなか難しい。そのワケは、それぞれのスポットには地元サーファー達の縄張りがあり、なかなか波に乗るタイミングを与えてもらえないからだと水口イチ子は言う。では、マイ・ボードの場合はどうするのか。あらかじめ、ロコの友達をつくるか、あるいは、ビーチのリーダーに冷えたビールを箱で差し入れするという手もあるらしい。つまり、どんな場所でも、地元に——挨拶なし——というわけにはいかないってことだ。【B.J.Thomas-Don'tWorryBaby】 ノース・ショアに限ったことではない

  • 『日当たり良好』は良いことばかりではない

    (Op.20250317-2/Studio31,TOKYO)  ドクダミやタケ、ナンテンが、敷地内にはびこると駆除に手こずるのは有名な話。ラクをしようと除草剤を使っても、永続的な効果は期待できない。結局、地道に対処するのが早道なのがわかる。何年か前にイチ子さんが庭のドクダミをどうにかしてくれというので、いろいろ努力をしてみたが『ヤツらはしぶとい』という噂を確認したに過ぎなかった。去年の春は、腹をくくって対処した。外出のたびに、畳半畳ほどの面積を基準に、植木ばさみを使い、根に刺激を与えないよう、一本一本生え際から静かに断ち切った。今のところ結果は良好。ついでに周りの木立も剪定し、日当たりを良くした。だが、そのせいなのか、毎年、側で咲いていたスイセンの一群が、何故か芽を伸ばさなくなった。さてはスイセンにとって...『日当たり良好』は良いことばかりではない

  • 段々思い出してきた

    (Op.20250317/Studio31,TOKYO)  ユニフランス・フィルム駐日代表部の古い月報(1970年3月第110号)を書庫で見つけた。この年は大阪万博のあった年で、同会場で、4月1日から10日まで国際映画祭が催されている。当時すでに映画を外貨獲得の重要な輸出品と位置付けていたフランスは、同国映画製作者連盟会長J・ダンシジェールを団長に、二十有余名という、堂々たる代表団を日本に送っている。代表団名簿にフランソワ・トリュフォー、ルネ・クレマン、ジャンヌ・モロー、ミシェル・ピッコリの名が見える。そうそう、段々思い出してきたぞ。 【KateRusby-TheVillageGreenPreservationSociety】  段々思い出してきた

  • 深夜が好きだ

    (Op.20250316-3/Studio31,TOKYO)午前三時を回って、判で押したように朝刊が配達される。*深夜が好きだ。  【TheBeachBoys-IShouldHaveKnownBetter】  深夜が好きだ

  • ついつい噛みしめないわけにはいかなかった

    (Op.20250316-2/Studio31,TOKYO)朝のコーヒーショップ。トレーにエル・アメリカンとチーズトースト。*ひと口残ったパンの耳、しかも角。食べ残しのようでもあるが、一番美味しいところを無意識のうちにとっておいたようでもある。二秒ほど眺めてから口に運ぶ。人生の黄昏のような味で、ついつい噛みしめないわけにはいかなかった。ついつい噛みしめないわけにはいかなかった

  • 三姉妹

    (Op.20250316/Studio31,TOKYO)  初めて見せてもらった、きみの三姉妹の写真。それで、きみの足はどれ?  三姉妹

  • 2014年2月15日(土曜日)

    (Op.20250315-3/Studio31,TOKYO)  2014年2月15日(土曜日)。午後6時。くるぶしが埋まるかどうかの積雪。6時間後、ふくらはぎが埋まるほどになるとは想像していなかった。  2014年2月15日(土曜日)

  • たんぽぽのお酒

    (Op.20250315-2/Studio31,TOKYO)世界中どこにでも、季節の到来を告げる植物がある。とりわけ口に入るものに、人はこだわる。フランスでは『タンポポのサラダ』が食卓にのぼると春を感じると聞いたことがある。明治期、日本には北海道に洋種のタンポポの種が輸入された記録がある。切り拓いた原野に堆肥代わりに用いられた他、いざというときにサラダや御浸しにして救荒食にも充てたようだ。今日の日本では、ホームレスのオジサン達が食に困って鋪道のタンポポを食べているという話は聞かないので、こんな時代でも、食料には、日本は、まだ余裕がありそうだ。ところで、レイ・ブラッドベリの著作に、有名な『たんぽぽのお酒』があるが、てっきり創作上のものだと思っていたら、どうやら本当にあるらしい。イーストを使って発酵させるので...たんぽぽのお酒

  • ANA

    (Op.20250315/Studio31,TOKYO)  現在、日本の航空会社で一番利用客が多いANA。身内にJALの社員がいるが、空の移動となると自然とANAになってしまうのは、何故か!?  ANA

  • 明けても暮れても制作に励む

    (Op.20250314-3/Studio31,TOKYO) 大学でのぼくの指導教授は東大仏文科で辻邦生と同窓で、その頃の思い出話によく出てきたのが、『辻は、とにかく書くことが好きで、明けても暮れても書いていた』という話。明けても暮れても書いていることは、作家になろうという人にとっては当たり前の話で、当時、学科での面識はなかったが、林真理子が、やはり明けても暮れても書いていると同窓女子の間ではもっぱらの噂だった。学科は違うが同じ大学の先輩で写真家の沢渡朔と同級の篠山紀信の話では、写真が好きで写真学科に入ってきたのだろうに、明けても暮れても写真を撮っている『見るからに写真好きなのは僕たち二人だけだった』と沢渡は後にインタヴューで明かしている。*昔より少なくなったとは言え、将来、作家を夢見る若者は、とにかく『...明けても暮れても制作に励む

  • 春を見つけに行く山旅の一日

    (Op.20250314-2/Studio31,TOKYO)東京市街が桜の頃を迎えると、奥多摩や道志山塊の山道ではタラの芽が旬を迎える。この時期の山歩きは足下に注意を集中せざるを得ない初心者を別にして、年季の入ったハイカーは、目の高さより少し上辺りに注意を払う。それによりタラの芽が目に入る。手慣れてくなると、その日の夕飯の膳に家族の分も含めて、香り高い、春の天ぷらが用意できる。ところで、人が好むものを野の鳥が好まないわけがなく、タラの木や山椒の木の幹に薔薇のような鋭い棘があるのは、野鳥が実をついばむときに幹に止まりづらくさせるという種の防衛本能が働いているのが想像できる。人は知恵のある分、タラの芽の棘などものともせず採取するが、先に道を行ったハイカーにより既に採取された痕跡を見ると、そのハイカーの知識のな...春を見つけに行く山旅の一日

  • 16時42分

    (Op.20250314/Studio31,TOKYO)見上げれば、三月半ばの陽は、今、救世軍本営ビルディングの端を掠めようという刹那。そうして、そこから、そのまた先の西の地平へ落ちて行こうというのだ。【KarlaBonoffwithLindaRonstadt-TellMeWhy】 16時42分

  • それは旋律のようにボクの頭を離れない

    (Op.20250313-3/Studio31,TOKYO)  トルーマン・カポーティ原作、オードリー・ヘプバーン主演の映画『ティファニーで朝食を/BreakfastatTiffany's(1961)』がDVDになって大分経つ今も地道に売れ続けているようだ。疑いもなく、若いオードリー・ヘプバーンの可愛らしさのお陰である。脚本に関しては、原作の文学的なテイストを見直し、娯楽作品一点張りに脚色したのが却って好結果につながったようだ。初めて原作を読んだのは、高校生の時、ニューヨークの出版社ランダムハウスのハード・カバーだった。カポーティという作家の文体の特徴は、もちろん訳本では解らないが、一語一語適切な言葉を選び抜き、リズムと韻律が計算し尽くされている点である。*  I'dbeenlivinginthehous...それは旋律のようにボクの頭を離れない

  • 岸田衿子

    (Op.20250313-2/Studio31,TOKYO) 詩心を表現する手段、つまり、国語を操るセンスの話を別にすれば、詩とは、詩人の『見方』『感じ方』の圧縮された表明に他ならない。詩人岸田衿子が発表した作品のほとんどは子供目線のものだが、ぼくが時折読み返す彼女の作品は、それらとは視点が異なる次の一編。 うまれたままの瞳で闇の中の星をかぞえたいなら丸木舟に乗ってモーレアを旅立つこと娘はまだ髪の間に花をさして佇んでいるだろうゴーギャンはまだノアノアを書いているだろうもし夢をまもりたかったら永遠に孵(かえ)らないあの鳥の卵をぬすむこと片目の海賊をさがすこと鳥はまだ夕映えのなかに暮れのこっているだろうそのままで六十年百年と過ぎてゆくのだろう 題名が不案内な上、どの詩集所収の作品かも不明。わかっているのは、こ...岸田衿子

  • その『長い模索の旅』は終わらない

    (Op.20250313/Studio31,TOKYO)  時折、ウットリするような絵画や短文や音楽に出会うことがある。誰もがみんな同じように、そう感じるわけではないだろうが、この情緒的な感情のマッチングって、いったい何を根源に発生するんだろう。過去に為された教育?、経験?、環境か?作家も鑑賞者もまた、その『長い模索の旅』は終わらない。  【りんちゃん-心を開いて】 その『長い模索の旅』は終わらない

  • 平方根のある微積分

    (Op.20250312-4/Studio31,TOKYO)  野戦に出たわけでもないのに、今夜、ウィスキーを注いだのは、このアルミニュームのカップ。*明日のToDoを整理していた。自分でメモしておきながら不明な一行——初めは三日前の夕方にきみと話題にした『平方根のある微積分』の数式についてのメモかと思ったけれど、顎に手を当ててしばらく考えたら、昨日、母に買い物を頼まれたヘアダイの規格を書いたメモだった。今週は後半も忙しい。パーティーがふたつ。『週末が上映期限の映画』を二本観なくてはならない、きみと。【GilbertO'Sullivan-Why,OhWhy,OhWhy】  平方根のある微積分

  • 東京神奈川地域に於いて都会(アーバン・シティ)とは

    (Op.20250312-3/Studio31,TOKYO)  駅前に『タワーレコード』と『ファッションセンターしまむら』がある立地は、果たして都会なのか田舎なのかと、かつて問題提起したら、それは仲間内で完全に無視された。さて、今回新たな提起は、東京神奈川地域に於いて都会——アーバン・シティ——とは、家を出て、20分以内(交通手段は問わない)に『崎陽軒のシウマイ弁当』が入手できる、という仮説はどうか。  【MollyTuttle-Octopus’sGarden】 東京神奈川地域に於いて都会(アーバン・シティ)とは

  • 神田美土代町交差点、北東の角

    (Op.20250312-2/Studio31,TOKYO)  ぼくが高校生の頃、神田美土代町交差点の北東の角に尾張屋という『きしめん』専門店があった。売り切れると時間に関わらず早仕舞いするので、あまり悠長に構えて出かけて行くわけにはいかなかった。出汁は結構濃い(江戸でいう信州系の)辛汁で——神田周辺の老舗蕎麦屋の出汁作りの流儀を踏襲したものとばかり思い込んでいたが——いつだったか、名古屋に行った折り、あの『きしめん屋の味』を思い出しながら本場ものと食べ比べてみた。すると、本場も立派な辛汁で驚いた。どちらかと言うと江戸の別流派である甘汁が好きなぼくは、永年の疑問は解けたものの、ちょっぴり寂しい思いがした。***美土代町の交差点を挟んだお茶の水寄りに、当時、マーチン・ギターの代理店だったカワセ楽器(1970...神田美土代町交差点、北東の角

  • 見上げる空

    (Op.20250312/Studio31,TOKYO)  1975年。季節は真夏。週末、午後一時。場所は、炎天下の後楽園球場内野スタンド。日本ハムファイターズ対近鉄バファローズ戦。ダブルヘッダ第一試合。近鉄バファローズのスターティング・オーダー。一番センター平野、二番ショート石渡、三番ファースト小川、四番レフト栗橋、五番ライト佐々木、六番サード羽田、七番キャッチャー梨田、八番セカンド西村、九番指名打者吹石、ピッチャー柳田。見上げる空が、ヒジョーにマブシイ。「しっかし、あっついなぁー!」  見上げる空

  • あなたに釘付け

    (Op.20250311-2/Studio31,TOKYO)  “StuckOnYou”——『あなたに釘付け』とでも訳せば正解か。ノーラン・シスターズとしては、非常にめずらしい六人編成でのテレビ出演である。レコーディングを除き、末っ子のコーリーンは義務教育を終えるまでグループの活動には加わっていないので、このVの収録時は、ちょうど小学校の定期休暇中だったのかも知れない。“StuckOnYou”は、1974年発売のこのグループ二枚目のシングル(日本未発売)。この曲とカップリングされた”ButIDo”では、この後、メンバーの中で一番の人気者となる末娘がリードを取っている。因みに、イギリスの音楽業界紙『メロディーメーカー』が『ノーランズ、日本で第一位』と"ダンシング・シスター(I'mintheMoodforDa...あなたに釘付け

  • パリでもローマでも

    (Op.20250311/Studio31,TOKYO)  パリでもローマでもアメリカ人観光客が多い表通りなら不自由なく通じる英語も、たった一本裏道に入ると、そこはもう、その国の言葉しか通じない街。そんな場所に、本来のその国らしい文化があります。例えば午後二時、ローマの裏通りにある食堂では、近くの商店主らしき初老の男性が一人、遅い昼食を始めています。野菜サラダをたっぷり盛ったボウルを前に、丸い大きなパンをむしりつつ、溢れんばかりにビア・ジョッキに注がれた赤ワインを飲みます。サラダを食べ終わる頃、次に運ばれてきたのがトマトソース色した山盛りのスパゲッティ。これも豪快に平らげ、途中、ジョッキのワインをおかわり。それでお仕舞いかと思ったら、その後、ステーキまで運ばれてくる始末。さすがに古代ローマ民族伝来の食欲で...パリでもローマでも

  • それは言わない約束

    (Op.20250310-2/Studio31,TOKYO)  青山通りに面した硝子張りのテラスで紅茶を飲ませる専門店があって、場所柄変わった客層が集まる時間帯があった。早朝六時、開店直後の席に腰を据える客の多くが、疲れ切って近くのスタジオからやっとの思いで這い出してきた徹夜明けのクリエーターやアーチスト達である。テレビ番組の制作会社に勤める『大学の先輩の女性』と『番組の構成が仕事のぼく』が比較的よく顔を合わすのも、およそ、そういった時間帯だった。ふたりでいつものヒマラヤ・チャイを注文すると、大学の同じ部活にいた頃に「いつかみんなでヒマラヤをトレッキングしようね」と言っていたことなどを思い出して、「これじゃ、飲物だけヒマラヤだね」と時々大笑いするのだった。*「最近、本業以外の創作の方は、どう?」と彼女に結...それは言わない約束

  • 無名のまま、この世に生まれて

    (Op.20250310/Studio31,TOKYO)  作家は皆、無名のまま、この世に生まれて来る。なのに、一夜にして名を成す者がいれば、その才能を見出されることなく、一生無名で終わる者もいる。詰まるところ、作家が念頭に常に置いておくべき第一義は、功名心にはやることなどでは毛頭なく、『人よりいくらか気の利いた想像力』と『自ら地道に磨き上げた技術』とで『少しでも質の高い作品の制作を目ざす』という、まさにこの一点に過ぎない。  少しでも質の高い作品の制作を目ざす

  • マンデリン

    (Op.20250309-3/Studio31,TOKYO)「アタシはマンデリンが好きよ」『浅煎りの珈琲豆の色』のように日焼けした給仕の村娘にそうささやかれて以来、島に滞在中、ぼくは好んでマンデリンを飲んだ。それは、遙か昔、インドネシアの、とある小島の秋の、鄙びたホテルのカフェでのことであった。【TheOvertones-Can'tTakeMyEyesOffOfYou】 マンデリン

  • 空気や万有引力

    (Op.20250309-2/Studio31,TOKYO)  親の有難味を小学生に理解しろというのは無理な話で、大人になる年頃までは、なかなか理解できない。*人は、空気や万有引力の有難味を知らないまま亡くなってしまう。  空気や万有引力

  • 青春の延長戦

    (Op.20250309/Studio31,TOKYO)  歌手・安田南(やすだ・みなみ)がどんな人だったかは知らない。マスコミへの露出も少なく、誰の目にもとまるほど馴染みのある人ではなかった。もし、藤田敏八監督作品『赤い鳥逃げた?』の主題歌を歌わなかったら、関わることなど絶対になかったファンも多いに違いない。さて、その安田南は2009年に亡くなってしまったけれど、この歌声を聞くたびに、自分が未だ『青春の延長戦』を戦っているのに気付く。*聞こえるのは、南・三十歳の歌声。【安田南-赤い鳥逃げた?】青春の延長戦

  • 新しい! 今までにない!

    (Op.20250308-4/Studio31,TOKYO)  「そんな近くからレフを当てたら、頭の上に太陽があるみたいだろー!」と普通なら怒鳴られるところだが、このクルーでは問題にならない。「新しい!今までにない!」と称えられさえする。 【そこに鳴る-銀河鉄道999】 新しい!今までにない!

  • 昨日の雨のいち日

    (Op.20250308-3/Studio31,TOKYO)  暖かい夜だ。南風が吹いているのだろう。『熱い紅茶を飲んで、フルーツを少し食べて、筆が二、三行進めば多少の嫌な気分は消え失せる』なんてエリック・ホッファーが日記に書いていたのを思い出したから、昨日の雨のいち日は家にこもって、そんな生活を模倣していた。もっとも、ぼくが、二、三行書けそうな気がしてきたのは、夜も深まってからのことだから、昼間の書けず仕舞いのモヤモヤした気分は、大分尾を引いていたことになる。*明日は『パタゴニア』を読もう——この頃になると、毎年そう思わせる一冊ではあるのだが...。  【伊豆田洋之-ALGO】  昨日の雨のいち日

  • 親指でシャッターを押せれば良いだけのことなのだが...

    (Op.20250308-2/Studio31,TOKYO)  来月、JAPANAIRの羽田機体整備工場に入れることになった。然程、興味があるわけではないが、見物する機会は『生涯、恐らくたった一回きり』という条件を課せられたら、それを断る理由はない。久し振りに片手で撮影できる機材を選択しようと思う。元々ファインダーは覗かない主義だから、親指でシャッターを押せれば良いだけのことなのだが...。  <ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_cid=11138716"><imgsrc="https://blogparts.blogmura.com/parts_image/user/pv11138716.gif"alt="PVアクセスランキングにほんブログ村...親指でシャッターを押せれば良いだけのことなのだが...

  • 大きくふたつの系統に分けられる

    (Op.20250308/Studio31,TOKYO)  写真の撮影スタイルは、根幹において、大きくふたつの系統に分けられる。わかり易く言えば、商業写真の常識を逸脱することなく撮影するか否か。更に言うなら、クライアントに気に入られるよう、『美しく・綺麗な写真撮影を目的とする』か否か。  【JohnnyRivers-MountainOfLove】  大きくふたつの系統に分けられる

  • なにを待ちわびていたのか...

    (Op.20250307-2/Studio31,TOKYO)赤道近く、メキシコ湾流に洗われる小島のリゾートホテル。プールサイドのバーが、やっとクローズした深夜、泊まり客のささやくような話し声は、いつの間にか遠のいた。今は、闇の向こうのリーフに砕ける波の音が、遠く近く聞こえているだけ。熱帯の夜を照らしていたカクテルライトも間もなく消える時間。*さて、今日いち日、わたしは、なにを待ちわびていたのか...。  なにを待ちわびていたのか...

  • おはよう。今朝のご機嫌は?

    (Op.20250307/Studio31,TOKYO) おはよう。今朝のご機嫌は?【RickDerringer-HangOnSloopy】 おはよう。今朝のご機嫌は?

  • なんだ、このアラーキーみたいなコピーは!?

    (op.20250306-3/Studio31,TOKYO) 『桃の節句』の祝宴。イチ子さんが、雛あられ、二個くれた。(なんだ、このアラーキーみたいなコピーは!?) 【ChetBaker-ButNotForMe】 なんだ、このアラーキーみたいなコピーは!?

  • 身だしなみに無頓着になってやしないか心配になる

    (op.20250306-2/Studio31,TOKYO)  ぼくも水口イチ子もフォーマルな服装をすることがほとんどなくなって、もう大分経つ。正装は、たまの冠婚葬祭が精々。そんなこんなで、身だしなみに無頓着になってやしないか心配になるが、イチ子さんに言わせると、「身だしなみの前に、服のサイズが合うかどうかの方が大きな問題じゃない?」とか。それは正論で、ここ何年かは体重計にすら乗ったことがない。 身だしなみに無頓着になってやしないか心配になる

  • 何がどう写っていたんだろう

    (op.20250306/Studio31,TOKYO)  二十一世紀になったばかりの頃の湘南の海。今はもう無くなってしまったけれど、きみのその『写ルンです』で写した写真には、何がどう写っていたんだろう。*サンタンローションのココナッツ・オイルの匂いが思い出される。  何がどう写っていたんだろう

  • 楽しいことだけ搔き集めて

    (op.20250305-3/Studio31,TOKYO)  楽しいことだけ搔き集めて思い出にできたらいい。  【TheSwingingBlueJeans-GoodGollyMissMolly】 楽しいことだけ搔き集めて

  • アルチュール・ランボー最後の船旅

    (op.20250305-2/Studio31,TOKYO)それは『アルチュール・ランボー最後の船旅』をたどるものだった。アフリカの熱く乾いた季節風が吹く、イエメンの古都アデンの旧市街にある旅行代理店で、マルセイユまで船旅をしたいと言うと、受け付けたイスラム服にニカーブをかぶった女性に、本当に船で行きたいのかと念を押された。最初は意味がわからなかったのだが、どうやらぼくが頭に描いていたような手頃な貨客船は随分昔に廃止されてしまっていて、今は金満家の旅行者相手の、山のように大きなクルーズ船に取って代わられているのだという。「どうしても安い船賃でと言うなら、港に『アラビア-アフリカ海運』と大きなサインボードを掲げたビルがあるから、そこの事務所で乗せてもらえる便があるかどうか聞いてみるといいわよ」と教えてくれた...アルチュール・ランボー最後の船旅

  • ひっそり生きる

    (op.20250305/Studio31,TOKYO)  英語に“Keep[誰かの]alowprofile”という言い回しがある。『目立たないように』とか『低姿勢で』などの日本語訳が与えられる。世界中、どの国の言葉にもある表現なんだろうか。いったい、『ひっそり生きる』って、どういう生き方なんだろう。  【TheSpencerDavisGroup-GimmeSomeLovin'】 ひっそり生きる

  • さっきまで聞き慣れない言葉の歌が聞こえていた

    (op.20250304-3/Studio31,TOKYO)  この国には公用語の他に地域ごとの言葉がある。当初、その地域ごとの言葉というのを、それぞれ方言の一種かと思っていたが、実は独立した別言語だという。と言うことは、この国の人達は、インドネシア語の他に、ジャワ語、スンダ語、マドゥラ語、ミナンカバウ語等が話せるということか。確かに、場面によって、バイリンガルのような話し方をしている人がいる。*島の、民宿に毛の生えたような小さなホテルの帳場から——恐らくラジオだろう——さっきまで聞き慣れない言葉の歌が聞こえていた。  さっきまで聞き慣れない言葉の歌が聞こえていた

  • 半袖やノースリーブに腕を通すのは...

    (op.20250304-2/Studio31,TOKYO)  マリン・スポーツでもする人でない限り、やはり摂氏25度を超えないと半袖やノースリーブに腕を通すのは肌寒いはず。五月初旬になれば、季節は初夏で半袖が似合ってくる。それから梅雨入りまでのひと月が、一年で一番過ごしやすい——九月にも似た時期があるが、これから夏に向かうのと冬に向かうのとでは気分の晴れやかさが違う。昨日の午后、水口イチ子は、降る雪を窓から見ながら、「ゴールデン・ウィークが待ち遠しい」と気の早いことを言っていた。  【LisaOno-BeyondTheReef】 半袖やノースリーブに腕を通すのは...

  • つまり、文学は、感情・感覚を自由に、そして直接・直感的に扱い得ない芸術であることがわかる

    (op.20250304/Studio31,TOKYO)  写真や絵画などのヴィジュアルな芸術と異なり、文学は、例えば空の碧さを表現するとき、読者の想像力に参加してもらわない限り、成就出来ない。つまり、後者は、感情・感覚を自由に、そして直接・直感的に扱い得ない芸術であることがわかる。入門者に対し、門戸の広さが異なるとも言い替えられる。絵画の才能は幼児でも芽生えるが、文学のそれは、更に数年待たなければならない。  【JohnRenbourn-SouthWind】 つまり、文学は、感情・感覚を自由に、そして直接・直感的に扱い得ない芸術であることがわかる

  • ひたすらウットリするような

    (op.20250303-3/Studio31,TOKYO)  かつて撮影されたこのポラロイド写真に相応しい、ひたすらウットリするようなフレーズが降りてこないかと、今日は、もう随分長いこと机の前に座っている。  【RogerNichols&TheSmallCircleofFriends-LoveSoFine】 ひたすらウットリするような

  • エピグラフ

    (op.20250303-2/Studio31,TOKYO)『しばらくご無沙汰でしたが、お変わりありませんか』で始まる、きみからの二年ぶりのメールの冒頭には、エピグラフとして、ボードレールの『旅』の一節が掲げられていた。【RitaCoolidge-We'reAllAlone】 エピグラフ

  • 雨に降られて坂道を下って行く気分になる

    (op.20250303/Studio31,TOKYO)  こんな日は、雨に降られて坂道を下って行く気分になる。  雨に降られて坂道を下って行く気分になる

  • 撤退戦を戦う

    (op.20250302-3/Studio31,TOKYO)十代もしくは二十代で小説を書こうと試みたことのある人なら、『文学賞に入選する作品』というものが、作家の特殊・特別な経験の先に成立していることがわかる。それに気付かない人ももちろんいるが、自分にはそれが整っていないことを理解すると、ほとんどの人は創作からの撤退を決める。もう少し頑張ってみたいというなら無理には止めないが、なるべく早い段階で自信をつかまない限り、経験上、他の生き甲斐を見つけた方が楽しい人生があると思う。往生際が悪く、転戦にも失敗するとなると、その後はほぼ一生、撤退戦を戦うことになる。まあ、仕舞いにはそれも楽しくなってはくるのだが...。<ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_c...撤退戦を戦う

  • それっきり、そこへ行くことはなかった

    (op.20250302-2/Studio31,TOKYO)  それっきり、そこへ行くことはなかった。  それっきり、そこへ行くことはなかった

  • キャリアが長いと、ハードルが上がっていく

    (op.20250302/Studio31,TOKYO)  「プロの仕事っていうのは、期待されてる以上の事をしないといけないのよ」とイチ子さん。「キャリアが長いと、ハードルが上がっていくのは仕方ないことね」とも。  【Nasu:VeranoenAndalucía】  キャリアが長いと、ハードルが上がっていく

  • ペーパーナイフ

    (op.20250301-3/Studio31,TOKYO) レイモン・ラディゲの小説『肉体の悪魔』に、年上の人妻からペーパーナイフをプレゼントされる話がある。「私からの手紙を開封するときにだけ使ってね」と手紙が添えられていた。そんなドラマチックなエピソードからは程遠いが、ぼくの手元にも、水口イチ子が取材先のアフリカのどこぞの国から送ってくれた木製のペーパーナイフがある(握りの部分にしゃがみ込んだヒヒだかオラウータンだかゴリラだかが彫られている)。*そのペーパーナイフは、メキシコ南部からペルーにかけて自生するバルサ材から削り出したような軽さで使い勝手はいいが、バルサよりも遙かに堅くて強度がある。正しい原材名は、ふたりとも未だに知らない。 【IAN&SYLVIA-FourStrongWinds】  ペーパーナイフ

  • キッチン・ピエロ

    (op.20250301-2/Studio31,TOKYO)地下鉄新宿御苑前、区立図書館の斜向かいに『キッチン・ピエロ』はあった。仕込みの都合なのか、定時開店ではなく、客に問われれば、ただ昼前頃と答えるだけだった。午後の休憩はなく、そのまま喫茶室になったり、夕方には早々と御酒を嗜む近所の隠居衆が集った。客が切れれば二十時頃に、軒に下がった赤地に白抜き文字の電光看板の灯りは落ちたが、客がいれば十時頃まで料理を出した。マスターの澤口さんもコックのセイさんも——この共に還暦近いふたりが従業員のすべてである——誰が見ても曰く有り気なふたりに見えた。特にセイさんは、強烈な訛りでもあるのか、声を発することはなく、マスターの言うことにただ静かにうなずく程度で、声を聞いたことのある人は、殆どいないということだった。メニュ...キッチン・ピエロ

  • ああ、ハイ・ヌーン

    (op.20250301/Studio31,TOKYO)ホノルルから海を隔て、東南東におよそ200km —— ここラナイ・アイランドの昔は、ただただパイナップルが薫るだけの島だったとか...。ああ、ハイ・ヌーン。【CrystalGayle-Don'tItMakeMyBrownEyesBlue】ああ、ハイ・ヌーン

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