彼と私とボランティア
高校で知り合った親友は、正義感が強く、常に弱きものの味方だった。特にボランティアに熱心で、大学は違ったのに何かというと私を熱心に誘った。ためらう私を強引に日本点字図書館の点訳講座に参加させた。私は講座をようやく卒業したのだが、あまりにも地味な作業で、最初の一冊の本の点訳途中で挫折した。なんで、ポツポツと点を打っていく機械でも出来そうな作業を、美徳であるかのごとく、じっと我慢して人がやらなければいけないのか疑問を持ってしまった。彼は、私には特に言わなかったが、その後も点訳を続けていた。グローブが足りないという茨城の小学校の新聞記事を読んで、いやがる私を連れて、グローブやお菓子を買い、わざわざ小学校まで行って渡したこともあった。私と違って努力家で優秀な彼は東大に合格したが、何事にも真面目な彼は党活動を始めた。...彼と私とボランティア
2024/05/23 05:00