淡い涙は滴り落ちて ペットボトルの中に吸い込まれていった 白く周りに壁を築き 膝を抱えて蹲っていたのに小窓の向こうには黒い人影が 目も口も歪めて嘲笑っているんだ 幾つもの人差し指が僕を指し 生きる不治の病を擦(なす)り付けようとする頭を塞ぐ その膜の中に世界は出来る心臓の奥にきらきら輝く石を一つね これを守るためだけに今日も僕は 彩り豊かな玩具(おもちゃ)を拒みつづけて 錻力(ブリキ)で跳ね返すことさえ厭わなかったこんな僕をどうか保ちつづけて
今日も この地獄のような場所 幸せを見つけるために息をする 右手に血溜まりが赤黒く 左手には凍るような鉄の板空は澱んで まるで美しい沼のよう その下 蠢く死人の群れが、 みな最前列からこっちを視ている 私は目を逸らし 只中を駆け抜けた 溺れる予感に呼吸が詰まって倒れるとしたら植物となって地を這いたい 固いコンクリートの下から世界を包み 燃えるこの世を見ていたい 躰を全て冷やしたいまあ今日も この生き地獄の中 幸せを求めるために夢をみる 頭上に惨めさの滝が 足下(そっか)にはめくるめく奈落の穴が 私は落ちていこうとした
人間の精神では處理し切れないほどの 美々しさ 鬱くしさに觸れて仕舞ひました。 心が外に飛び出したがつてゐるのです、 此のカラダを亡き者としてまでも。アノ人の容態…… 其の蠱惑。隔絕されたガラス・ケースに藏(しま)はれた飴を 抱きたくて抱きたくて踠いてゐる私には 腐肉を慕ふハイヱナたちの樣が、 マタタビに戀ふる貓の狂態の樣が 其の仕組みが 手に取るやうに理解(わか)ります。『死』に焦がれるのに近いでせうか? それとも、『生きてゐたい』 あの氣持ちでせうか?結句 何方(どちら)でも構ひませぬ……。誘(いざな)ふやうな傷痕や、 莓が如き血潮は 何處か現世(うつしよ)ならぬ塲所から 響いてくる音色のや…
網目になった頭蓋骨の隙間に 刃を突き立てたい 煮詰まってどす黒く停滞する思考に 空気を入れるため下を見ても上を見ても 虫酸ばかり走る 灰色のココロが吐瀉物に塗れて 黄色くなっていくなぁ 内臓を躰から抜いてよ 気分が惡いから 嘔きたくても吐けない 汚物だけ溜まっていく或る日肥溜めに嘴を突っ込むスズメを見た それ以来瞼に焼き付いて消えない 或る日肥溜めに嘴を突っ込むスズメを見た それ以来瞼に焼き付いて消えない口を覆うだけ
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