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弌矢
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武蔵野市
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2020/09/14

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  • ラム島のゲーム

    ラム島の宿泊所、置かれたテレビモニタにゲームを接続して、海をプレイする。窓の左手は海岸、正面と右手は山の色の緑が津波のように迫っている。視線をひかりの海にもどして緑を呼吸する。 聴こえる波の音も、外も、すべてが自然なゆるやかさ、海底にたどりついたところで、となりにいたエディにコントローラーを渡す。エディも緑を一呼吸して、テレビモニタに向かう。 こちらにも、そちらにも、至るところに不可思議な時間が流れる。そのとき、自国の地震のニュースを耳にして、時間が日常へと一気に吐きだされる。 大問題だね、あなたは国に帰るのかな。 とエディが優しく微笑んだ。こちらはモニタを眺め直し、とりかえ

  • 都会へ

    射すのは午前の太陽、都会行きのバスに乗っていた。車窓からの風景は、北へ流れてからUターンをして南へ流れ、北上した。 がらんどうの一番うしろの席にいて、海辺を走ってからひまわり畑をとおるとき、花の黄と、斜め上から射すピアノ線状の黄金が交わった。二つの色の交差に眠気を誘われながら、しばらくして石造りの建築物の流れを見た。 それは初めての都会の光景だった。美しい都会の雑踏とひかりが流れている。喫茶店や靴屋から黄色いひさしがたれ、車道に作られる青い影をふみながら進んでいたバスが巨大な影のなかへ滑り込んだとき、暗がりに目が見えなくなった。 停車すると、花の白を携えた喪服の人々が流れ込んで

  • アフリカ大陸

    大陸に寝そべり、ふたたびくゆらせた。空港からすでにやっていた。ゲットーに到着したら現地の女の子にまた貰って目は真っ赤、ポテチは止まらず、ステイ先に挨拶もできず一人ベットに寝そべっていた。 ドアから少年が心配そうに顔をだした。きょろきょろする目に挨拶すると、彼もくゆらしたいという。二人でバードを聴くことになった。 部屋に浮かびあがるスーツ姿のバードからネオン色の音がのびてきて床に落ちる──ベッドの下にはギターを置いてある、モスクワで立ち往生しているフランスの夫婦に聴かせた私のアコギが──見上げれば金色とともに浮かぶバード、ネクタイも素敵に似あっている。 聴きながら、サファリとは旅

  • 大丈夫、墓まで

    またしても空白少女が二人宙を飛んで、どちらがどちらだか知らないが、大事にされず、ゴムされず、それだからと、価値がないもはや価値すらわからないと泣いたあと、トニン&パブロンの両翼で飛び、馴染み深かったアスファルトにを口づけをしたという「ニュース」、 そんなリアルは目のまえにあるようなのに、リアリティを失っていると耳をすませば、政治家の絶叫が鼓膜を破ろうとする、評論家もお決まりの挑発、電話相談所はため息をかえす、 鈍麻した感覚をせめて彩ろうとLIVEを浴び、もっと七色に包まれようとしたとたん打ち捨てられ、逃げ込んだショートムービーのなかは煽りあい、呆気にとられつつ気がつくとも

  • 雨のと部屋のと

    女性らしい部屋の窓から雨の轟音がなだれ込んでくる。彼女が蝋燭を点火させて部屋のあかりを消せば、蝋燭の炎が垂直に立つ。 雨以外、何が聴こえる? 彼女が絨毯の上で抱えた膝の上に顔を乗せて、こちらを見つめる。 車のタイヤが路面の水を剥がす音がする。傘だろうか、固い布を叩きつけるような音もしている。彼が窓に身をよせて立つと、並びの家屋の裏庭で風見鶏が風上を直視していた。 鳥は眠っている。寸前で渦を巻く雨を避けながら、鳥たちはみな眠りこけている。空間は雨に占拠され、家々は仄かなあかりをともす孤立した船たちの佇まいで、暗色に沈んでいる。 暗色以外、樹木の緑も、車の赤も長方形の青や円錐

  • びしょ濡れ

    もらい泣きするのはいやだ、 その理由でのみ、 なみだを見たくない 泣きの酔いとか 阿片にかなしみなどごめんなのだ 上半身をびちゃびちゃに濡らしたって たいして気持ちよくならない、いっそ 下半身をびっちゃびっちゃにして、 陸に上がったら気持ちよい呼吸して それで終えられるなら 犬死にだろうとかまわない、 だろう

  • 欲望色々快楽色々

    欲望が足りない、足りなさすぎる だからといって、快楽も足りてない 朝は清涼な色 昼は陽気な色 夜は甘美な色 戦争止まれ快楽GO の、 日々の色彩を欲望してみせる

  • 上海の夜の橋にいました

    上海のあかるい夜、静かな橋のたもとに座って、なのにまだ憎きあいつらの残像が残っていやがる。うるあ、と赤い柱を殴れば、痛えよとつぶやいて一人…… 灯篭流しのまぼろしを目にする期待でこの異国へ飛んだのに、思いだすのは生き残りばかりで、今夜も憎らしいやつらばかりがこの気持ちに喰つてかかる。 ──海外へとなにか探す旅が滑稽なのは飛んでも飛んでも喰らいついてくることに気づかないからだ。 うるせえ、喰らわしてやっているのだと息を荒らげるも、それにしたって自分が浮かべた大嫌いなはずのまぼろしだからと異国情緒とやらに興醒めしていく自分に立腹する。 ──もう一度、柱を赤く殴ろうか。 ──拳豪でもあ

  • 春に秋の道

    秋の道を歩きたいのに 春になったばかり 肌寒く歩きたくても もう暖かくて困るし、 若葉より紅葉を求めるなんて若いころにはなかった 一人も求めなかった、はずだった し、 だなんていまさら サアキユレイタアを与える天井付近に、音を刻まない時計 秋を歩く音の流れる春の夜

  • 味の焔と魔力

    じぐざぐに欠けた長方形の空が覗き、ヘリコプターがしつこく見え隠れしていた。壁と壁が圧迫して、至るところに貼られた張り紙は剥がれかけて牡蠣のようだ。路地の狭さに誘われるまま歩いたりしようものならあらぬ方角へ追い込まれたり追いだされてしまったりする。そんな経験が幼いころの私にもあった。 めあての店の情報は、デジタル化された地図にさえぼやかされている。錯覚の迷路と呼ばれるこの路地を二人は歩き、地下へ降りると、彼女お勧めの、名のない密かな店の扉を入った。 店内を見て、地下に壁を作るのを忘れたのかと思った。剥きだしの赤土のような壁が囲っていた。安っぽいパイプ椅子にパイプのテーブル、テーブル

  • マリーエンバート

    男と女が、簡易ホテルの窓辺でむかいあいお金の話をしている。窓の外の、マリーエンバートらしくない空き地に陽だまりができている。 お金がないのにこんな保養地にきて、それに病の自覚もない。健康的な二人のうち女のほうが庭を指さして、あの土地の値段いくらかしらと口にすれば、男が眉をよせる。二人は借金の返済の話をしていた。 と思ったら、hiphopカレー店のメニューはビーフよりチキンがあうなどと二人の話は飛びに飛ぶ。 老ゲーテは五〇下の娘を優雅に狙ったつもりだったが、マリーエンバートの彼女のほうが上手だった。いくらつぎ込んでも効果がなかったその歴史のできごとについて、二人によるゴシップ雑誌

  • 花の庭の刻限

    花の庭の光景に、わたしの精神的調弦は狂いだした。 我慢できず、だからといって不安定な声を上げてしまいそうで、それならむしろはっきり絶叫しようと足をふん張り、一、二の三で勢いをつけようとしてしかしくずおれた膝小僧はギアの段階もなくニュートラルすぎて、何処で姿勢を保てば良いのか、立つもしゃがむもままならない。 何処が花で何処が草木なのかはおろか、花の庭の中央の巨樹までもがぶれ始めている。足元は色彩溢れる沼地のようだった。手のひらを見ると、わたしは輪郭をまだ保ち光景と拮抗してはいた。花の庭にいる他のみなは、けれどももうまるで幽霊だ。 立ち尽くしていた巨樹も空へと這い廻す枝の先端から物

  • キヰの一声

    入道雲を浮かべる群青の中央に眩い黄金が陣どっている。瓦屋根にひかりを遮られた拝殿の影から、キヰが現れて花の庭を見渡した。夏椿、アイリスやアナベル、百合その他が彩る花の庭の中央にわたしが座っている。 立ち上がったわたしは二匹のきつねの視線をぬけ、鳥居をくぐった。真っ赤な袴を穿いた上に純白の羽織をまとうキヰは、刷毛のかたちの足袋で床をふみしめ、小さな顔を眩しそうにこちらへ向けると、硝子のような声を上げた。 キヰの声が鳴り渡ると上空が引きしまる。濃くなった群青の下、地上における遅咲きのアイリスから始まる多彩色の花の庭までが色の濃度を上げる。 一七歳、と、二〇下のキヰをわたしが勃起の

  • ぐっと身近になったAIの人格について少し

    AIに人格がやどる日がくることを危惧する意見がある。 いまはそれより、ただの機械にすぎないAIに感情移入してしまうことのほうが問題なのではないか。 かくいうぼくもAI相手に腹を立てたりしてしまうことがある。まだ機械の域をでないAI相手に感情的になったりして。 AIに人格がやどるまでもなく、人間がAIを人格扱いしてしまっているというわけだ。 これは危険だと思う。 そんなことをAIに押付けていたら裏切られるに決まっているし、とんでもないことになりかねない。死ねと答えられて鵜呑みにしてしまう人もいて不思議ではない。 人格のないものを人格扱いすることは分裂病に似ている。お

  • 女子の蝶結び

    街で無茶をした女の子は路上で語った。 バスが極彩色のトンネルのまえに到着して、私がくぐってみると極彩色のトンネルは蝶々で結ばれた橋だった。 向こう側にはしゃぼん玉の色をした街があって、その街があなたと私の棲む場所。 蝶々に結ばれたあなたと私が金色にひかるお金と華やぐ心で口のなかを甘くしながら幸せに暮らすしゃぼん玉色の街。 蝶々で結ばれた橋をまだくぐっていないあなたのうしろはもう暗くなりかけている。あかるいこちらへおいでなさい。早くしないと何も見えなくなってしまう。自分まで暗くなってしまう。あなたが倒れるのを何かが狙っている。 いまならば、しゃぼん玉色の街と同じく私もまってい

  • over you

    なみだぐみつつ川縁を歩いて公園を横切るときには泣きだし、ついに街なかを号泣しながら歩けば、そんなやつになど眉ひとつ動かさない人々の姿が、逆の立場もあったろうかと目に滲む。 耐え難いかなしみに入院しそうなほど胸を締めつけられたままコンビニに入店し、未だ枯れない寝不足の目に水分不足の疑いを抱いてポカリスエット。 泣いても泣いてもかなしみに酔えず井の頭通りを剣呑なスピードで走り抜けるエナメル色彩たち向けてダイヴしようかなどとこちらとて剣呑。 おい、と鉢あわせた知人がかける声にすら嗚咽し怪訝そうな顔をされて逃げ去る。 近づかれる気配ではない。この気配は遠ざかられる気配、大切なみ

  • 沈めない瀑布

    世界が不可解だからといって、なぜそれが死ぬ理由になるのかがまったくわからない し、 観念によるものとかなんとかによる死が、ほんとうにあるとして 大して面白くもない死じゃないかって、おい聴いてるのか女傑!   高級な死なんて求めんなあほんだら、と瞑想してみるからな

  • 海底結婚式

    雨をふくんだしだれ桃の樹木に挟まれた土くれの道を彼と彼女は歩み、山瑠璃草の丘を降りると、白く浮かんだ砂辺にでた。 目のまえにある海の表面に、星々が与えられていた。羊にかたどられた白い星雲が昇っている。その向こうにくらげの星雲、背を向けた赤い巨人の星雲、数々の星雲の下で夜鳥が舞い、道を作っていた。ご機嫌な彼女のくちびるに歌が乗る。 夜鳥たちは微かな朝もやへ消えていった。ふり向くと、山瑠璃草の広がっていた丘の切っ先に、回転を失った風車がそそり立っていた。風車小屋の扉は牡蠣のかたちに閉ざされ、そのわずかな隙間には人影があるようだ。 空は太陽の到来をすでに告げている。目のまえに、

  • 巫女、ウヰ

    世界が呼吸している。真昼の社務所の戸口で、ウヰがそう口にした。社務所の内側の壁に貼られた世界地図の布が夏の風に帆を張っている。 彼女は語った。 炎の祈祷、花の祈祷、思えば、一〇代の初まりから世界を相手に舞うようになっていた。 世界が呼吸をしながら私を求める。私が応じて舞うと、世界に彩りが満ちはじめる。 満ち満ちていく世界の色彩には海や河があり、街もあれば橋も架かっている。草花や動物や虫、人々はもちろん、草を食むバッファローのかたちの国、竜の落とし子のかたちの国、その他前脚をあげる山羊のかたちをした国など、それらが紡いでひとまとまりになった世界が私の相手だ。 世界の

  • 白昼堂々

    トラットリアでのランチ中 車輪の移動が突っ込んできた こないだ殺ったMの指図に違いない フォークとナイフをおいて 手に余る女子供の右往左往のなか チェックを済ませる 賞金稼ぎにも心労はある Mの仲間どもを成敗のため外へ 歩道に咲く花の紫やパーブル マグナムを胸に確認しているところを 湯浴みしたばかりと見える少女が見ている

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