「たった2年でFIRE卒業をした男性が語る、早期退職で見失った3つのもの」という興味深い記事をみつけたので、紹介の上、僕の考えを述べたい。https://www.businessinsider.jp/post-269525まずは序文から。FIRE(経済的自立、早期退職)もいいことばかりではない。少なくとも、37歳で引退したトニー(本人の希望で名字は伏せる)にとっては、いいことばかりではなかった。トニーはソフトウェア開発者として高収入を得ながら支出を切...
僕らはみんな「ウソばかりついていて」かつ「自分では真実と思いこんでいる」
昨日までは分離脳および海馬損傷患者での実験を例示し、僕ら人間が常日頃からいかに嘘ばかりついているかを説明した。しかし中には、「分離脳や海馬損傷というのはそもそも一般の脳とは異なる特殊な話では?」と訝しく思っている人もいることだろう。というわけで、今日は脳障害がない一般人での実験を紹介する。まずはこの本から。リンクp102~買い物客に四つのパンティーストッキングを見くらべてもらい、もっともいいものを一...
記憶障害患者に本人は覚えていない出来事について尋ねると、どんな返事が返ってくるだろうか?
――作話――人間がいかに理由をでっち上げ、かつ自分でそれに気づかないでいるか、という話の続き。今日は海馬という脳の部位が損傷を受けた人での実験について下記書籍から紹介する。リンクp170~「海馬」という脳部位がある。海馬という脳部位が損傷を受けた患者さんを見ると、興味深いことがいくつかわかる。海馬は記憶をつくる場所だ。だから海馬が作動しないと記憶が形成されない。でも、それ以外の脳機能は正常だ。(中略)さ...
昨日、僕はFIRE生活からたった2年で仕事に戻った人物が挙げた3つの撤退理由を、「作話だろう」と半ば断じた。https://fire-earlyretire.com/blog-entry-1154.html読者の中には反感を覚えた人もいるのではなかろうか?確かに記事を通してしか知らない人物の、ひょっとしたら真摯かもしれない発言を、僕が詳細を把握しないまま「作話」と推測するのは妙に聞こえるかもしれない。しかし僕は特に彼の発言に限って不信に感じているわけ...
子供には、自分が好きなことを仕事にしてほしい ~ 学歴偏重社会における子育てについて思うこと
子供同士が幼稚園で仲が良かったことから、家族ぐるみでお付き合いをするようになったご家族がいる。ご主人のSさんは弁護士。子煩悩で、教育熱心だ。以前一緒に飲んだ時、Sさんが子供の将来について言った。「自分が好きなことを仕事にしてくれればいい。私からの意見はそれだけです」僕も完全に同意する。学歴ももちろん大切だが、それはやりたい仕事に有利にするための手段であって目的ではない。なのに日本では一番大事な根っこ...
マサイ族の遊牧民は先進国の大富豪と同じくらい幸せだって知ってた?
ちょっと古い本だが、橘玲著「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法(幻冬舎文化)」を紹介したい。リンク橘氏の著書は以前も紹介しているが、この本もなかなか興味深い。一部を引用してみる。p249-250“ある調査によれば、人生の満足度を7点満点とすると、アメリカのビジネス誌「フォーブス」に載った大富豪たちの満足度の平均は5.8だった。彼らは資本主義社会の頂点に立つ成功者で、豪邸やプライベートジェットなど、望むも...
あがり症の人は「不安の内容を書き出すだけでパフォーマンスが上がる」と聞いて実験してみた。
池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」を紹介してきたが、今日が最終回。リンクタイトルは「あがり症の人は不安を書き出すこと」。あがり症の人にとって朗報となる研究が、2011年1月の『サイエンス』誌に掲載されました。シカゴ大学のベイロック博士の論文です。(中略)ベイロック博士は、「高等学校の生徒106名に対して、期末試験でこの事実を確認しました。テスト直前に10分の時間を与え、次の試験科目のどの部分がど...
イメージトレーニングはスポーツだけでなくダイエットにも効果的って知ってました?
昨日に引き続き、池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」からの紹介。リンク今日は「イメージトレーニングはダイエットにも効果的!?」から。イメージトレーニングは、スポーツのみならず、ダイエットにも効果があるらしいというから驚きです。2010年12月の『サイエンス』誌に掲載されたカーネギーメロン大学のモアウェッジ博士の研究です。あたかも食べたかのようにイメージするだけで、食べたいという欲求が減るといいま...
依存性の強い嗜好は自己管理能力を促進するのに役立つ? ならアルコールは? そしてデジタル・デバイスはどうだろう??
今日紹介するのは池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」。相変わらず池谷氏の著書にはハズレがなく、この本も興味深く読ませていただいた。リンクそこで何回かにわけて僕が個人的に勉強になった部分を紹介する。今日は「ゲームの中毒性が自己管理能力を促進する!?」から。TVゲームやSNSなどのデジタル技術は脳にとって悪影響でしょうか。ゲームで遊ぶことで認知能力が高まるとするデータもあり、専門家の間でも統一...
生活に満足し感謝して活きているとしたら本当にその人は幸福なのである
昨日に続きメジャーリーガー大谷翔平の愛読書でもある、中村天風の著書「運命を拓く(講談社文庫)」の紹介。リンク今日は僕が好きな個所を少し長めに引用する。p235~三年四年経った人が私にお礼をいうとき、この人は、本当に私のいうことを聞いていたな、と私が思うようなお礼をいう人は、まあ十人に一人いるか、どうかである。たいていの人は、「(前略)尊いことを教えていただいたお陰で、この頃は、弱かった体も、すっかり...
中村天風(敬称略)という人物がいる。以下は中村天風財団HPより。https://www.tempukai.or.jp/know/footprint中村天風(なかむらてんぷう)明治9(1876)年生まれ。日露戦争の軍事探偵として満蒙で活躍。帰国後、当時不治の病であった肺結核を発病し、心身ともに弱くなったことから人生を深く考え、人生の真理を求めて欧米を遍歴する。一流の哲学者、宗教家を訪ねるが望む答えを得られず、失意のなか帰国を決意。その帰路、奇遇にも...
様々な地域で最後通牒ゲームをやってみたら驚きの結果がーブループリント3
引き続きニコラス・クリスタキス著、ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(NewsPicksパブリッシング)から興味深く感じたエピソードを紹介する。最終日の今日は下巻から。よく思考実験でも使われる「最後通牒ゲーム」なるものがある。2人1組でのゲームなのだが、まずはルールを引用で説明したい。このゲームは、思いがけない授かりもの(たとえば10ドル)がプレーヤー1(提案者)にあたえられるところから始ま...
一夫多妻や一妻多夫なんてもんじゃない。世界の様々な男女の形態を紹介する~ブループリント2
昨日の予告通り、ニコラス・クリスタキス著、ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(NewsPicksパブリッシング)から興味深く感じたエピソードを紹介する。今日は上巻から。アマゾン川流域などでは、子供には複数の父親がいると信じられている地域が多く点在するそうだ。分割できる父性を信じている文化では、子づくりにおける女性の役割はたいてい否定され、女性は「容れ物」にすぎないとみなされている。一部の...
ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史を読んで
今日はビル・ゲイツ氏ら絶賛の話題作、ニコラス・クリスタキス著、ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(NewsPicksパブリッシング)を紹介する。まずはAmazonから。経済格差、人種、国家間対立…。今ほど「分断」が強調される時代はない。だがちょっと待ってほしい。こうした分断はなぜ起こるのだろう?それは進化の過程で、私たちが「仲間」を愛し、尊重する能力を身につけたからだ。この能力こそが、世界の命運...
ダライ・ラマ14世 “他の人々に幸せになってもらいたければ、思いやりを実行に移すこと。自分が幸せになりたければ……
今日は、ダライ・ラマ14世の言葉。“他の人々に幸せになってもらいたければ、思いやりを実行に移すこと。自分が幸せになりたければ、思いやりを実行に移すこと。“無粋と知った上でわかりやすくすれば、「思いやりの行動は相手だけでなく自分をも幸せにする」ということ。実はインド独立の父、マハトマ・ガンディーも、「報いを求めない奉仕はひとを幸福にするだけでなく、わたしたち自身をも幸福にする」と同じような言葉を残してい...
手を動かすとき、「動かしたい」と思うのと脳が動かす準備を始めるのはどっちが先?
一昨日から紹介しているのが池谷裕二著「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)」。昨日は「心地よさ」や「快適さ」の度合いでしかなく、究極的には「好きか嫌いか」の問題に帰着するとの一節を紹介した。たとえば、「君の態度は間違っている」と自信満々に怒る人がいるが、「君の態度は嫌いだ」と言い換えても意味は変わらないことになる。今日紹介するテーマも僕らが自分自身に...
昨日から紹介しているのが池谷裕二著「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)」。今日はシマウマについての問題。p273キャンパスに描くシマウマのシマ模様について聞きました。どちらの答えが多いでしょう。① 白地に黒シマ模様② 黒地に白シマ模様今日も本書へのリンクの下に正答を掲載する。リンク答え ① 白地に黒シマ模様自分の世界こそ自分のすべてです。いや、厳密に言えば、...
今の友達の中で「10年前からの友達」と「10年先も親しいであろう友達」とではどちらが多い?
池谷裕二氏による名著「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)」を今日から数回にわたり紹介する。とはいえ僕の本音は、「僕のブログで抜粋を読んでいる暇があったら、さっさと本を買って読んでほしい」というところ。そのくらいお薦めだ。p156地上より永遠に友達の顔を思い浮かべてみてください。何人思い浮かびましたか。そこで二つの質問をします。質問A―その友達のうち10年...
FIRE生活での資金繰りにおいて、今月、我が家に明るいニュースがあった。「プルデンシャル米国ドル建リタイアメント・インカム」という、ドル建ての年金の受給が開始されたのだ。そもそも加入したのはいまから20年も前の2005年。当時、アメリカの長期金利が今同様に5%近くあったため、この保険も利率4.5%と非常に高いレベルで設定されていた。加入時の為替は1ドル105円。今とは逆に、為替は上がり下がりを繰り返しながらも、じり...
昨日書いた通り、このGWはベトナムのリゾート、ニャチャンにあるヴィンパールに滞在した。ベトナムについて一番痛烈に感じたのは、やはりまだまだ遅れているということ。宿泊は一応は五つ星ホテル(ヴィンパール リゾート & スパ ニャチャン ベイ)だったのだが、到着してすぐ、僕と妻の部屋の冷房の機器が悪いことに気づいた。そこで部屋の電話からトラブル時に指定された番号に連絡を試みるも、何度ダイヤルしても返答がない。し...
ニャチャンってどこよ? と首を捻りながらもとりあえずツアー申し込みをクリック!
昨日書いた通り、ゴールデンウィークの後半に家族でベトナムに行ってきた。そもそも次男がこの春から高校に進学したため、学校での日程がどのように組み込まれるのか見当がつかず、ゴールデンウィークには何も予定を入れられないでいたのだが、入学後に配られた工程表を見る限り、連休は丸々空いている様子。ならば旅行にでも行きたいね、という話になり、ネットでチェックしたのだが、4月中旬では時すでに遅く、めぼしい宿はすで...
去年の春、家族で沖縄旅行に行った顛末を昨春に記した。僕にとって人生初のパッケージツアーだった。その時の記事から引用する。https://fire-earlyretire.com/blog-entry-1108.htmlパッケージツアーなるものを自分で利用したことは、今までに一度もない。若い頃はいわゆる「バックパッカー」で、いろいろな国をゆっくり、低予算で回るのが好きだったから、パッケージツアーのようなお仕着せのやり方を馬鹿にしているところがあっ...
嫌悪感が出たらその理由を考えると、自分に対する理解がちょっと深まる。
いとうせいこう氏と精神科医・星野概念氏との対談、“ラブという薬” という楽しい本のご紹介。リンク特に興味深かったのが星野氏によるふたつの発言。人の話を聞くことについて。“p43今、聞いていて思ったんですけど、やっぱり傾聴するってこと自体が、「YESの姿勢」っていうか、相手を論破しようとしていないんですよね。でも、今ってなんとなく論破しないとカッコつかない感じになってきてるんじゃないですか。ツイッターとか...
10数年前、ラジオCMのコピーコンテストに投稿するのにはまったことがある。開業医として一番忙しい時期だったので、小説を読んだり、まとまった文章を書いたりする時間がとれず、短いのならいけるかな、と安直な気持ちで挑戦したのが発端。ビギナーズラックで地方の賞をとり、「お、副業でコピーライターでもするか」とほくそ笑んだのも束の間、その後挑戦した有名な公募では入選さえはたせず、そう簡単なものではないと肩を落とす...
今日の記事で紹介するのは小池龍之介「考えない練習」。言わずと知れた名著であり、以前も紹介したことがあるはずだが、読み返していたら他の部分に共感したため、今回、再度紹介したい(僕は気に入った本は何度も読み返すことが多い)。リンクp166~コラム 休む/遊ぶ/逃避するこの三つは、仏道的にはだいたい同じようなものと申せるかもしれません。人は充実している時には、あまり休みたいとか逃避したいとは思いません。欲や...
10代の一瞬は、ほかのどんな1年より長く、苛烈なまでに短いのだから
アーリーリタイアしてから以前より新聞を丁寧に読むようになった。もちろん時間に余裕があるのが大きいが、収入があまりない今、支払った購読料の元を取らねばというさもしい気持があるのも否定できない。現役時代は読まずにとばしていた人生相談も、自分が回答者だったらなんてアドバイスするだろう、などと考えながら読むとこれがけっこう楽しい。読売新聞では(たまにしか登場しないが)作家のいしいしんじ氏が回答がとりわけす...
自己がないことを確認することによって初めて自己がみえてくる?? ~ なぜいま、仏教なのか4
ロバート・ライト「なぜ今、仏教なのか(早川書房)」。原題は過激で、「Why Buddhism Is True」。なぜ仏教は真実なのか、というものだ。今日が最終回で、前回触れた自我についてのまとめとなる。まずは下記引用をご覧頂きたい。p128“重要なポイントが2つある。1.これは「自我」が「選択する」ことで生じる心理状態ではない。心理状態は感覚が引き金になって導かれる。「自我」はたてまえとして感覚にアクセスできることになっ...
人間の心は専門化された機能単位から成り立ち、行動を決定づけるのはそれらの相互作用にすぎない⁉ ~ なぜいま、仏教なのか3
一昨日から紹介しているのは、ロバート・ライト「なぜ今、仏教なのか(早川書房)」。原題は過激で、「Why Buddhism Is True」。なぜ仏教は真実なのか、というものだ。昨日から「無我」についての部分を引用していて、今日は予告通り「モジュール」に触れる。個人的には「ウヒョーッ!」となるほど興味深い。p110“心理学、とくに進化心理学の分野で一般的になりつつある答えは、心が「モジュール」的な構造をしているというものだ...
僕たちは自然選択によって食やセックスを求めるよう設計されている ~ なぜいま、仏教なのか1
今回、紹介するのは、ロバート・ライト著「なぜ今、仏教なのか(早川書房)」。原題は過激で、「Why Buddhism Is True」。すなわち、なぜ仏教は真実なのか? となる。著者は僧侶ではなく、さらには仏教徒ですらないアメリカ人科学ジャーナリスト。科学的データを中心に議論を展開していく。この本が滅法おもしろい。最初は図書館で借りたのだが、朱線を引きまくらずにはいられない誘惑にかられ、すぐさまアマゾンで購入した。アマ...
生涯の大半を労働に捧げるなんて、ごく最近のトレンドにすぎない!
今日のテーマは、労働の歴史。そもそも人間は、いつから「生涯の大半を労働に捧げる」ことが普通だとされるようになったのか?実はそれほど昔の話ではなく、産業革命以来であると考えられてる。古代ギリシャ人にとって働くことは卑俗なことであり、自由時間を得るために仕方なくやっているだけで、そこに何ら意味を見出したりはしなかったそうだ。現に哲学者・アリストテレスは、「賃金が支払われる仕事はすべて、精神を奪い、弱め...
自著「4週間で幸せになる方法―Twenty-eight tips to create joyful life」では、幸せに生きるための行動術や思考法を、幸福学、医学、心理学、哲学、伝統仏教といった幅広い分野から選び出し、その中から特に重要で、比較的簡単に実行できる28のアイディアを紹介している。リンク毎日ひとつずつ課題をこなしていけば、4週間後には今よりずっと幸せになっている……はずだ。今日はお気に入り記事のひとつを抜粋して紹介したい。【我...
お金が多ければ多いほど幸せではないらしい、というのは自著「幸せの確率」でも当ブログでも繰り返し書いて来たとおり。数々の知見が積み上がってきている。ではお金は幸せの役に立たないのかといえば、もちろんそんなことはない。今日は内山流「お金で有効に幸福度を上げる方法」を紹介する。まず強調しておきたいのは物に対してお金を使っても、幸福度が上がるのは短期間で、すぐに元に戻ってしまうこと。気に入った服や車を買っ...
友人や今までに僕の本を買ってくれた人から、「3冊目は出さないんですか?」と時折聞かれる。期待して頂けるのはうれしいが、残念ながら今の所その予定はない。理由は簡単で、本としてまとめたいような分量を伴う主張がないから。言いたいことなら山ほどあるが、それはこの無料ブログで十分だ。ありがたいことに毎日多くの方に読んで頂いている。本にするメリットはひとつのテーマについてしっかりと掘り下げられることで、それは...
あなたが今50歳以下なら100歳まで生きる公算が高いらしい。どうする?
少し古い本だが、世界的ベストセラー「ライフシフト(東洋経済新報社)」を取り上げる。ちなみにこの本からきた「人生100年時代」という言葉は、その年の流行語大賞にノミネートされた。現在まで人類の平均寿命は伸び続けてきており、データ上はそれが頭打ちになる兆しはない(つまり、伸び率の鈍化がみられない)。このまま寿命が伸び続けるとすると、現在50歳未満で先進国に住む人は、100歳くらいまで生きる公算が高くなるのだそ...
幸せになるのに社会変革を待ってなどいられない ~ 「格差は心を壊す」を読んで
今日紹介するのは「格差は心を壊す 比較という呪縛」。リンクまずはプロローグから引用。“所得格差が大きな社会では人々が健康を害しがちである。平均寿命が短くなる一方で、幼児死亡、精神疾患、違法な薬物使用、肥満などの比率が高まる傾向がある。不平等はさらに社会問題を悪化させる。たとえば不平等が高まれば(殺人率の比較から分かるように)暴力犯罪が増え、刑務所への収監率が上昇する。住民の間では不信感が強まり、地...
働きすぎたことを「死ぬ間際に」後悔する人も多いって、知ってました?
今日はオーストラリアで緩和ケアに長く携わってきた看護師、ブロニー・ウェアによって書かれた「死ぬ瞬間の5つの後悔」(新潮社)が題材。リンク緩和ケアの仕事をしていれば、当然、多くの死にゆく人と接点、交流をもつことになる。著者が仕事から得た経験によると、後悔トップ5の内容は、「自分に正直な人生を生きればよかった」「働きすぎなければよかった」「思い切って自分の気持ちを伝えればよかった」「友人と連絡を取り続...
この結婚は損? 得? なんて考えてると、それこそ人生損しちゃうかもよ!
4年前にツイッターを始めたら、様々な価値観に触れるようになった。驚くべき発言も多く、自分がいかに保守的な人間か思い知らされたりもする。たとえば結婚。藤沢数希著「損する結婚 儲かる離婚」(新潮新書)の影響もあって、通常の結婚に二の足を踏む高所得者(多くは男性医師)が大いことに気づいた。リンクこの本は僕も読んだことがあって、「婚姻費用(コンピ)」という言葉を初めて知った。これは収入が多い方が相手に自分と...
アーリーリタイアして、途中で資金が枯渇したらどうしよう?~今日は計画的偶発性理論を紹介する。
途中で資金が枯渇したらどうしよう?アーリーリタイアを検討している人なら、誰でも一度は抱える不安だろう。そんな人のために、今日は計画的偶発性理論を紹介する。これは、20世紀末、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱されたもので、個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定されるとした上で、その偶然を利用して自分のキャリアをより良いものにしていこう、という考え方だ。従来...
「感応度逓減性」を知らないと、せっかくの節約が吹っ飛んじゃうよ
今日はアーリーリタイアのための節約術を新たに紹介する。5000円でスニーカーを買おうとした時、200メートル先の店で同じものが1000円安く、4000千円で売られているという情報を耳にしたら多くの人がそれなら安い方の店で買おうと考える。ではこれが200万円の車で、違う店ではそれが1000円安い、1999000千円で売られていたとしたら?おそらくほとんどの人は気にもとめないだろう。ものごとをシンプルにして理解しやすくするために...
自著「4週間で幸せになる方法―Twenty-eight tips to create joyful life」では、幸せに生きるための行動術や思考法を、幸福学、医学、心理学、哲学、伝統仏教といった幅広い分野から選び出し、その中から特に重要で、比較的簡単に実行できる28のアイディアを紹介している。リンク毎日ひとつずつ課題をこなしていけば、4週間後には今よりずっと幸せになっている……はずだ。今日はお気に入り記事のひとつを抜粋して紹介したい。【人...
多くの研究によるとバカはかなり高い頻度で自己評価を一定レベルに維持するテクニックを駆使するという。。。
ジャン=フランソワ・マルミオン編「バカの研究」(亜紀書房)をとても楽しく読んだ。例えばこんなところ。“多くの研究によると、バカはかなり高い頻度で自己評価を一定レベルに維持するテクニックを駆使するという。<偽の合意効果>〔他人は自分と同じように考えるとみなす認知バイアス〕に関する研究結果によると、わたしたちは、自分と同じ悪習を持つ人間の数を誇張する傾向があるらしい。だから、バカに一時停止違反を指摘す...
このコスパの良さはある意味問題?―「お釈迦さま以外はみんなバカ」を読んで
なんともコスパのいい本をみつけたのでご紹介。高橋源一郎著「お釈迦さま以外はみんなバカ」(インターナショナル新書)。稀代の目利き高橋源一郎が、自分が面白いと思った本の面白いところを紹介していくという、どう考えても面白くしかなりようのない本だ。例えば「ドクター・オジーに訊け!」(シンコーミュージック・エンタテイメント)の紹介。リンクブラック・サバスのフロントマンで酒、クスリ、女遊びと三拍子そろったオジ...
自己実現のためにはアーリーリタイアが ”ほぼ必須” なのかもしれない
「自己実現」という言葉は、皆さんも聞き覚えがあると思う。自分探しをして、自分のやりたいことをみつけ、それを実現させるような意味に使われる。では「自我実現」はどうだろう? こちらの方は、あまり馴染みがないかもしれない。実はこれらの言葉は、スイスの心理学者ユングが最初につくったものだ。自己実現は、自分が通常考える自分(自我)を超えて、無意識の自分をも含めて自己と捉え、それを開花させること、つまり自分で...
今の若者は結婚するにも車を買うにも「年収600万円はないと」と考えているらしい。
今日はSMBCが定期的に行っている意識調査「20代の金銭感覚についての意識調査」について書く。file:///C:/Users/uchiyama/Downloads/d39964-17-fa2b37eb324805f5ed4391be5fbd6731%20(1).pdf「半数以上がが●●しようと思えるシリーズ」では、・ 20代の半数以上が結婚しようと思えるのは「年収600万円」・ 20代の半数以上が自家用車を購入しようと思えるのは「年収600万円」とのこと。結婚と自家用車が600万円と同額であった。ちなみ...
数年前、H会長という地元経済界の重鎮に講演を頼まれた時の話。会場はとあるホテルの宴会場。集まったのは地元の人間なら誰もが知る有名な企業の経営者ばかりだ。講演に先駆け、事情通の友人からは、「ロータリーやJCの活動では飽き足らない、選りすぐりの人材が集まるすごい会だよ」とか、「なんせ大物ばかりだから、値踏みされているような気分になるかも」と脅されていた。しかし自分がそのような理由で緊張することはないだろ...
最近、やや金遣いが荒い。自分でも理由はわかっている。インフレだ。去年の物価上昇率は3%。ただし、一般的な買い物の範疇にある商品群での上昇率はもっと高く、実感としてのインフレは数字以上らしい。僕自身はほとんど買い物をしないので、それを体感することはほとんどないのだが、貯蓄に目を向けて計算すれば目減りのほどがはっきりと見えてくる。銀行預金の金利は若干上がったとはいえ限りなくゼロに近いから、実質金利は大...
幸福の要素を箇条書きにしてみました!~“世界の学者が語る幸福”続き。
“世界の学者が語る幸福”(西村書店)について、続き。リンク今日は僕にとって個人的にいいなと思った知見を、箇条書きにして紹介する。()内は内山のコメント。・一方、悪い形の「中毒性の」幸福もある――アルコールと薬物、成功と地位への固執、くだらない娯楽、そして孤独な社会生活に浸るような幸福である。(気をつけよっ 笑)・結局のところ、私の幸福は私自身と私自身の考え方次第なのである。その他のことは全て、二の次な...
いつか人生を終える日がやってくるという事実から、僕らは目を逸らしてはならい
よく取り上げられる名言なので、知っている人も多いとは思うが・・・。アップルの創始者、故・スティーブ・ジョブズは毎朝、鏡に映る自分にこう問いかけたそうだ。「もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか?」と。そして「違う」という答えが何日も続くようなら、それは生き方を見直すサインだと捉えていた。僕自身、現役時代、医師としての仕事に誇りもやりがいも感じていたが、それでも年を追...
愛する人が殺害されたとき、僕らは犯人を憎まずにいられるだろうか?
今日紹介するのは今枝由郎著「ブッダが説いた幸せな生き方」。リンクとあるエピソードに感銘を受けたので記したい。p221~ブッダのメッセージを自らの行動で示したフランス人がいます。彼は仏教徒ではありませんが、いかなる宗教的観点から見ても、これが人としての崇高な行動であることは誰もが認めるものです。2015年11月13日にパリで起こったイスラム教過激派組織による同時多発テロで、妻を失ったアントワーヌ・レリスさんは...
今日は昨日の記事の続きで、サピエンス全史(河出書房新社)、下巻からの抜粋。農業革命で人類が農耕・牧畜の手法を習得したとき、周囲の環境を整える、集団としての能力は増大したが、多くの人間にとって、個人としての運命はより苛酷になった。農民は、種類の面でも栄養の面でも劣る食料でなんとか生き延びていくために、狩猟採集民以上に働かなければならなかったし、病気になったり、搾取されたりする危険も格別に増した。同じ...
昨日の記事の中で、サピエンス全史(河出書房新社)に触れた。ずいぶん前のベストセラーであり今さらという感じもするが、いまだ古びた感はまったくないので、一部を引用の上、自分の考えを述べたい。今回は、主に上巻からの抜粋。狩猟採集民は、地域ごと、季節ごとに大きく異なる暮らしをしていたが、後の農民や牧夫、肉体労働者、事務員よりも、全体として快適で実りの多い生活様式を享受していたようだ。狩猟採集民が未来を考慮...
豪・メルボルン大学の研究機関で、年齢が40歳以上である6000人以上の男女を対象にして、週に何時間働くと認識能力に影響が出るのかを測定したところ、男性にとって最適な労働時間は週25〜30 時間、女性の場合は週22〜27時間ということがわかったそうだ。これ以上になると認識能力の働きに悪影響を与える可能性があるとのこと。https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2737742そして、これは自著 “幸せの確率~あなた...
少し前にREITは買いの好機では? との記事を書いた。https://fire-earlyretire.com/blog-entry-1421.html以下は2月26日の大和アセットマネジメントによるレターから。(REITはこの後3月中旬に上昇するも下旬~4月上旬に下落したため、紹介されている数値はあまり変わっていない)。ポイントは、• J-REIT市場は2020年12月以来の水準まで下落• J-REITが保有する不動産の賃貸市況は良好。配当は成長続く• 高い利回りと資産価値からみ...
子供たちの春休みが終わった。一番上は大学2年生で上京しており、下に高校1年生、中学2年生の3人の息子がいる。リタイアした身なので一般の方々ほど月日の流れが早いわけではないが、それでも子供たちとべったり過ごせる時間はあと何年も残されていないわけで、1日1日は実に貴重。もちろんこの春休みもたっぷり遊ばせてもらった。家族全体として一番の思い出になったのは、長男の帰省に合わせて訪れたリゾートホテル。株式市場が順...
幸福のあり方は年とともに変わり、だんだんとお金がかからなくなる!(はず)
今日は幸福について、加齢の観点から述べてみる。年を重ねると共に、若い頃とは幸せの感覚が変わってきたと感じることはないだろうか? ペンシルバニア大学のビジネススクールであるウォートンスクールの研究で、若い頃は特別な経験からより大きな幸せを感じる傾向があるが、年をとるとともに、何ということもない普通の経験が幸せにつながるようになることがわかっている。そのような変化が起きる原因は、人生において、あとどの...
「死とは何か」という大問題には早めに(そして真摯に)向き合っておいたほうがいいかもよ
今日紹介するのはシェリー・ケーガン著「死とは何か―イェール大学で23年連続の人気講義(文響社)」。リンクまずはアマゾンでの書籍紹介。○死とは何か○人は、死ぬとどうなるのか○死への「正しい接し方」――本当に、恐れたり、絶望したりすべきものなのか○なぜ歳をとるごとに、「死への恐怖」は高まっていく...
現役時代に楽しみにしていた趣味を実際思う存分やってみると3日で飽きてしまうってホント?
千田琢哉著「超一流のマインドフルネス」(徳間書店)の紹介。リンク瞑想に興味があり、日課にしているため手に取ったのだが、残念ながら内容は僕が知りたかった分野ではなく、著者自身の哲学という趣だった。相当な自信家らしく、次から次へと上から目線で持論を展開してくる。「確かに」と思えるものから、「はなはだ疑問」と言わざるをえないものまで様々だったが、盛りだくさんの内容で楽しく読むことができた。そんな中、目に...
今後、日本では貧富の差が拡大する可能性大 ~ ぬるま湯時代の終焉を予想する
新年度ということで予測記事でも書いてみようと思い立ったのだが、明るい内容になる気がまったくしない。とはいえ僕なりの切り口で日本の近未来を予想してみる。まずは円安(昨日の記事でも触れているので、もし興味があれば)。短期的には米利下げ、日本利上げにより多少の円高局面もあるだろうが、中期的に円安トレンドは続く可能性が高い。これだけ円安になると通常輸出産業が盛り上がり、貿易収支が黒字化するのだが、日本の20...
ただでさえ割安なREITが需給で下押し。これはもう買わない手はないね。
REITについての続き。前回は、そもそもREITを投資対象として考えていなかったこと、しかし投資口座内のキャッシュ比率が高すぎ、安全運転のつもりが逆にインフレに対し脆弱な内容になってしまっていたため、半ば消去法でREITに注目することになったという経緯を説明した。僕の目に入ったのは、大和アセットマネジメントによるレターだ。ポイントは、• J-REIT市場は2020年12月以来の水準まで下落• J-REITが保有する不動産の賃貸市況...
自著「幸せの確率―あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」でREIT(不動産投資信託)についてこのように書いている。最後に私が株式以外の資産運用方法を評価しない理由について簡単に触れておきます。不動産投資はインフレに強く、ある程度の利回りが見込めるため、運用手段として大いに魅力的ではありますが、割安な物件を選ぶにはかなりの選択眼が必要ですし、海千山千の業界ですからおいしい物件はなかなか自分のところ...
プレジデントオンラインの記事「ジョブズもザッカーバーグも! イマドキ富裕層たちが毎日同じシャツを着る理由」。少し前のものだがなかなかおもしろい。以下、2か所を引用。昨今の若い富裕層の多くはファッションにはあまり興味がないし、重きを置きません。普段の服装は、どこでも手に入るカジュアルスタイルで、見た目は一般人と区別がつかないほどです。特に男性の場合、ユニクロが大好きです。飲み会などでも「ほぼユニクロで...
早死してでもワンランク上の収入や地位を求めたい? 江戸時代に長寿だった職業とは……
久々に妹尾河童著「少年H」を読み返した。太平洋戦争を当時少年だったHくんの目を通して描いた自伝的少年で、子供たちに読め読めと勧めていたのだが、誰も手を取らず置きっぱなしになっていたので自分が手に取ったら、やはり無茶苦茶おもしろい。皆さんにも読んでほしいし、特に中学生くらいのお子さんがいるようなぜひ勧めて頂きたい名作だ。リンク今日の記事は本編ではなく、井上ひさししによる後書きから引用したい。古代ギリシ...
アーリーリタイアをすると子供に悪い影響があるのでは? というコメントをいただいた。 ……考えたこともなかった。
以前こんなコメントを頂いたことがある。Title 働かないオヤジが一日中家にいるということ思春期の子供から見ると、帰宅後毎日オヤジが家に居るというのは、かなりのストレスではないでしょうか。しかも、オヤジの悠々自適な過ごし方を見ているのだから、時間管理の大切さなど学習出来るはずがありません。アーリーリタイアのメリットは色々あると思いますが、一緒に暮らす子供に与える悪影響もかなりあるのではないでしょうか。そ...
眠れない夜、どうしてますか? 元医師である僕のお勧めは、ずばりヨガです!
不眠症の対処法は、「眠れないことを気にしない」の一言につきる、という文を読んだ記憶がある。言いたいことはわからないでもないが、そんな無茶な、というのが最初の感想だった。次の日も忙しいことを考えればしっかり睡眠をとっておきたいから、寝つけなかったり夜中に目が覚めてしまえばどうしても気持ちがあせってしまう。僕の場合、酒を嗜むのもあって寝つきはいいのだが、夜中に目が覚めてしまうことがある。もう一度眠れそ...
欧米式の相手を全肯定するような返答って、やっぱりどこか違うよな
今日紹介するのは2010年発行の小池龍之介著「考えない練習(小学館)」。言わずと知れたベストセラーなので紹介するのに今更感もあるが、僕自身はこの本を年に1回くらい読み返していて、そのたびに新しい気づきがある。本の内容については、アマゾンの紹介欄より。「イライラ」「不安」は、練習で直せる。考えすぎて、悩みがつきない私たちに必要なものは、もっと「五感」を大切にする生活。それは決して難しいことではなく、ちょ...
50歳でアーリーリタイアする方法は、手取り収入の22%を運用に回すこと。
今日はずばり、50歳でアーリーリタイアするための具体的な方法を紹介したい。人は20歳から働き始め、100歳で死ぬと仮定する。運用は世界株分散投資で行い、インフレ率+年利5パーセントを複利で得られるものと期待(歴史的には大体このくらいとされている)。貯めた端からどんどん運用を開始し、リタイア後の資産の取り崩しも運用を続けながら行う。昇給、インフレ、退職金、運用益に対する税金、さらに教育資金や住宅購入などのラ...
僕は合格発表なるものを見に行ったことが人生で一度もない。遡ること40年前。高校受験の結果は午後1時から高校正面玄関で発表だったと記憶しているが、僕は郊外に住んでいたので自転車で飛ばしても片道30分くらいかかった。発表を見てすぐ帰るとなると往復で1時間自転車をこぐことになり、それはちょっときついなあ、と思っていたところ(自家用車で来ないよう通知でもあったのだろうか、親に車で送ってもらうという発想はなかった...
地位財と非地位財。これがわかるとアーリーリタイアしたくなる!?
今回は経済学者、ロバート・フランクによって提唱された、「人間のもっているものを地位財・非地位財の2つに分けて考える」というやり方を紹介する。地位財とは「周りとの比較により満足を得るもの」と定義され、資産や社会的地位の他に、家、車、高級な服といった所有物を指す。それに対し、非地位財は「他人との比較とは関係なく幸せが得られるもの」のことで、健康、自主性、自由、愛情などを意味し、物質的なものは含まない。...
「結婚はするべきか?」と相談されるとき、僕が話す3つのこと ~ 幸福学と37パーセント理論
平成以降、生涯未婚率はかなりの勢いで上昇してきている。価値観が多様化するのと同時に便利な世の中になり、ひとり身でも不自由を感じなくなったことが大きいのだと思う。結婚しない人が増えれば、そのことによる肩身の狭さもさらに減少する。となるとこの傾向は令和を通じて続くのでは? という気がしている。若い人から結婚するべきかどうか相談をうけることがある。そういうとき、僕が話すポイントは3つ。最初のふたつは、統...
アーリーリタイア達成のためにはある程度の節制も必要だ。今日は家計の中で一番支出が多いとされている食費に切り込みたい。とはいえ「スーパーでいかに安く買うか」というようなノウハウはネット上にいくらでも記事があるので、ここでは書かない。僕からの提言は、「食事って本当に1日3回もいる?」というものだ。僕が大好きな作家、故・中島らもの話。彼がまだ若くて貧乏だったころ、少し離れたところにある役所のランチが安いこ...
やっぱり大切なのはお金より対人関係、と納得させられる数々のデータを紹介
「幸福の測定―ウェルビーイングを理解する」の今日が最終回。今日は「幸福と人とのつながり」について紹介したい。p85~(略しながら引用)人とのつながりについて、幸福研究では家族、友人、隣人、そして同僚とのつながりが幸福度に対してプラスの影響を及ぼすことが指摘されてきています。興味深いことに、所得とのつながりを幸福度の観点で比較する際に、それを金銭価値で表現した研究があります。たとえばイギリスでの研究で...
収入も資産も一定水準で幸福度は頭打ちになるのに、人生の評価は上がり続けるって矛盾だよね
幸福とお金の関係をアップデート。昨日から「幸福の測定―ウェルビーイングを理解する」を紹介している。リンクまずは日本人にとってのお金と幸福度。お金と幸福度の関係については、海外でのデータを見せられてもピンとこないことがあるので、実際に日本で行われたデータというのはありがたい。まずは保有資産。額が増えるほど幸福度が上がる傾向はあるが、1億円から1億5000万円あたりで頭打ちで、1億5000万円以上だと少し下がって...
モノ消費による幸福を持続させるには、愛情を注ぐ対象にし続けること
幸福とお金の関係をアップデート。「幸福の測定―ウェルビーイングを理解する」のご紹介。リンクまずは6pから一部を略した上で引用。幸福を高めるためには結局、何が重要なのでしょうか。ノーベル経済学賞を受賞している心理学者ダニエル・カーネルマンは彼の研究を振り返るインタビューで「幸福を高めるために我々は何ができるのか」という質問に対して回答しています。そこで彼は3つの要素を挙げています。1つ目は「時間の使い方...
お金はいずれどうでもよくなり、時間や交流が大切になってくる~「本当の大人」になるための心理学
今日は「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟 (集英社新書)の紹介。著者は諸富祥疲彦さんという心理療法家。1963年生まれだから、僕より5歳年上ということになる。リンク共感するところが多いなと思いながら読み進めたのだが、それもそのはず、ユングやマズローからの引用が多い。僕の考え方もそれらの偉人たちから大きな影響をうけているので、この本の著者と似た思想になって当然ということになる。以下はA...
リタイアしたと周囲に告げると、わりとよくうけるのが「一日家にいると、奥さんが嫌がらない?」という質問だ。妻の方も同様に「ご主人がずっといると大変でしょう」と同情されることが多いそうなので、男女を問わず、「夫婦は適度に距離を置いた方が、妻にとっては快適なはず」と思っている人が多いことがうかがえる。確かに一日の大半を別々に過ごす生活を続けた後、急に一日中一緒にいることになれば、いくら惚れ合って結婚した...
毎年春休みにグアムに行っていたから、この季節になると体がウズウズしてくる
ああ、リゾートに行きたいよう!ということでまずは6年前の旧ブログ記事をプレイバック。***************************************【海、プールでとことん遊ぼう! もちろん昼からビール! でも食費はとことんケチるよ!】家族でグアムに行ってきた。子供たちの春休みを利用するのは、消去法による。冬休みは子供たちが所属している海洋クラブのスキー合宿があるし、第一、年末年始にか...
自分のために物を買えない僕が、最後にした晴れがましい買い物と言えば……
僕の貧乏性な性格と関連して、先日読み返した山口瞳のエッセイが興味深かったので引用する。山口瞳「男性自身」傑作選(新潮文庫)から。昭和60年頃に書かれたものだ。1600円のグローブは、おそらく中級品だろう。それでも私は非常に贅沢な買い物をしたように思った。ちょっと晴れがましいような気持ちになった。店から外へ出て、戦後になって初めて自分のグローブを買ったことに気づいた。(中略)自分の稼いだ金で自分のグローブ...
肌色という色名は自文化中心主義であり、それがすべての肌の色を表現しているという思い違いにつながる……だろうか?
昨日の記事では「バンドエイド」が色の異なる5種類の絆創膏を公表した事例から、肌色論争について書いた。その後、そういえば随分前に、肌色に関するエッセイを読んだことがあったなと思い出した。本棚を探したら、あった。高島俊男著「お言葉ですが・・・」(文春文庫)の60ページ。1995年と記されているから、今からちょうど四半世紀前に書かれたことになる。当時、肌色の名称は人種差別につながらないかという疑問の声が教育現...
自著「4週間で幸せになる方法―Twenty-eight tips to create joyful life」では、幸せに生きるための行動術や思考法を、幸福学、医学、心理学、哲学、伝統仏教といった幅広い分野から選び出し、その中から特に重要で、比較的簡単に実行できる28のアイディアを紹介している。リンク毎日ひとつずつ課題をこなしていけば、4週間後には今よりずっと幸せになっている……はずだ。今日はお気に入り記事のひとつを抜粋して紹介したい。**...
アーリーリタイア達成に必要なのは「自らの欲望」に目を向けること。
この記事を読んでいる人の中には、「もう少しのんびり生きたいとは思うけど、アーリーリタイアというのも極端な選択だなあ」と感じている人も多いだろう。僕がこのような「普通ではない」道を選んだのは、数々の知見に背を押されてのことで、そのひとつが仏教。僕が好きな伝統仏教は宗教とはされているものの、むしろ哲学的な側面が強いから、宗教嫌いの人も身構えずに読んでほしい。仏教ではずばり「人生は苦である」と説いている...
FIREに関しては相変わらず的外れな論評が目につくなあ―メタ思考のご紹介3
今日は澤円著「メタ思考―『頭のいい人』の思考法を身につける(大和書房)」のご紹介、最終回。リンクFIREについての言及があったので紹介する。p90~少し前に、若い人を中心にアーリーリタイアメント、いわゆる「FIRE(Financial Independent, Retire Early)」が話題になり、そのときブロガーのちきりんさんが、音声プラットフォームの「Viocy」で配信されていました。彼女が聞いたところによると、アーリーリタイアメントをした...
仕事をしている自分を自分の人生とイコールにする必要はない!―メタ思考のご紹介2
昨日に引き続き、澤円著「メタ思考―『頭のいい人』の思考法を身につける(大和書房)」のご紹介。リンク今日はこの本の「序章」から気に入った文章を、それぞれ短く紹介したい。p16ひとつの会社の中でポジションや評価にこだわることは、人生にとって極めて小さい話だと思います。p17あるひとつのルールの中で勝ったからといって、それがそのまま人生の勝利につながるわけではない。この自明のことが、こと会社や仕事となると、...
澤円著「メタ思考―『頭のいい人』の思考法を身につける(大和書房)」のご紹介。リンク僕自身は今後何かビジネスを始める予定もなく、FIREし半ば世捨て人のような日々を送っているので、何もいまさらこの手の本を読む必要もなさそうなものだが、なんとなく気になって手に取ってみた。まずは「まえがき」から。p2会社では「若手」の立場でも、広い社会から見たら自分で判断して行動する一人前の経験を有していることもあります。会...
キリストは親切な変わり者!?~「この世に宗教は存在しない」より
白鳥春彦著、「この世に「宗教」は存在しない (ベスト新書)」を紹介する。リンクちなみに僕は伝統仏教のファンだ。仏教はそもそも釈尊が瞑想の上たどりついた哲学で、それが中国経由で伝わるとともに宗教としての色合いを強めていったという経緯がある。だから日本で一般的な大乗仏教は「宗教」と呼んで差し支えないものとは思うが、伝統仏教(昔は小乗仏教と呼ばれた)については宗教と呼ぶべきか議論のあるところで、ここまでは...
古代ローマの哲人、セネカもアーリーリタイアを勧めていたとは!
今日紹介するのは前田速夫著「老年の読書(新潮選書)」。リンク1995年から2003年まで文芸誌「新潮」編集長を務めた前田速夫氏が、老いについての良書を厳選して紹介するという一冊。個人的には、ローマの哲人セネカの言葉に感銘を受けたので、抜粋して引用したい。われわれの享ける生が短いのではなく、われわれ自身が生を短くするのであり、われわれは生に欠乏しているのではなく、生を蕩尽する、それが真相なのだ。多くの人間が...
投資においてリスク・リターン率を上げる一番簡単な方法は徹底した分散だ
アーリーリタイアを果たすためには、ある程度のお金が必要なのは間違いがない。まずは自著 “幸せの確率~あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ” で勧めている投資法について触れる。一言でいえば、現代ポートフォリオ理論にもとづいた世界株分散投資だ。「そんなの常識だろう?」という人は、ごめんなさい。でもこの本を書いた7年前には今ほど知られてはいなかったのだ(もちろんオルカンなんて略語もなかった)。とりあ...
昨日の記事で「ラウド・バジェティング(loud budgeting)」について書いた。まだ正式といえる日本語での呼称はなく、「うるさい節約」、「節約アピール」あるいはちょっとお堅く「声高な予算管理」などと訳されているようだ。ついでというのもなんだが、今日は自著「幸せの確率―あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」から、僕が実践し、かつお勧めしている節約術の一例を紹介したい。ブランドの服を着ることによって、他...
今年の流行! ラウド・バジェティング(loud budgeting)って知ってますか?
まずは記事を紹介。2024年、新たなトレンドが動き始めている。「loud budgeting」だ。すでにTikTokにおいて、「#loudbudgeting」は1000万回以上の再生回数を記録しており、今後も急速に広まっていくことが予想される。なんでも、「自分の貯蓄目標を周りに共有し、お金の節約について声を上げる」ことを促していく考え方なのだそう。どうやら今年は浪費の衝動を真っ向から否定し、冷静なお金の使い方がはじまる年になるかもしれない...
【我が家お薦めのお手軽料理本】 ベスト3 ~ おいしくて簡単な本を厳選しました!
当ブログで紹介している料理がおいしそうだとお褒めの言葉をいただくことが多い。レシピを紹介してほしいとの声もある。しかしほとんどの人は見当がついていると思うが、作っているのは僕ではなく妻だ。僕も学生時代にはレストランやバーの厨房でバイトをしたので、多少は料理の心得もあるのだが、結婚してからは完全に遠ざかっている。そこでできる範囲でリクエストにお答えしようと、妻にお薦めの料理本を訊いてみた。以下、ラン...
自著「4週間で幸せになる方法―Twenty-eight tips to create joyful life」では、幸せに生きるための行動術や思考法を、幸福学、医学、心理学、哲学、伝統仏教といった幅広い分野から選び出し、その中から特に重要で、比較的簡単に実行できる28のアイディアを紹介している。リンク毎日ひとつずつ課題をこなしていけば、4週間後には今よりずっと幸せになっている……はずだ。今日はお気に入り記事のひとつを抜粋して紹介したい。**...
「もっと日本株をもっておけばよかった!」と後悔している人はいませんか?
年初から日本株、特に日経平均株価の上昇が著しい。新NISAの影響かと思いきや、実は日本人の投資先はオールカントリーやS&Pが中心で、日本株は売り越し。買っているのは主に外国人らしい。オールカントリーだとアメリカ株が63%で日本株は6%に過ぎない。アメリカ株も上がってはいるのだが、円安分の上乗せを含めても日本株ほどの勢いはないので、「こんなことなら日経平均連動型投資信託も買っておけばよかった!」と後悔してい...
“幸せの確率 ~ あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ” について解説する
今日は自著 ”幸せの確率” について解説する。一言でいえば、「アーリーリタイアについて」の本であり、僕の知る限りでは、日本で最初に出版されたアーリーリタイア本だ。「アーリーリタイアなんて、一部の金持ちか成功者に限った話だろう?」と思う人もいるかもしれないが、断じて違う。「あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ」というサブタイトルを入れたのは、その点を強調するため。この本ではアーリーリタイアするた...
株で損するなんてありえない! ~株式で「確実」に利益を出す方法について持説を述べる
僕はリタイアした医師だ。専業トレーダーでもなければ、経済学者でもない。だから、その程度の話として聞いてほしい。多くの人が株で損失を出すという。残念に感じるのと同時に、実は不思議にも思っている。ほんの少しの知識さえあれば、株で損などするわけがないと僕は考えているからだ。特にアーリーリタイアした人やその希望者には、堅実な投資が求められるはずだから、素人考えなのは百も承知の上で自分の考えを書いてみる。ま...
いやはや痛烈! 無明とは生存本能のことであったか! ~「ごまかさない仏教(新潮社)」
昨日のテーマ、「悟り」に関連してもうひと記事佐々木閑、宮崎哲弥両氏による著書 「ごまかさない仏教(新潮社)」を紹介する。リンクまずは宮崎氏による「はじめに」から、少し長めに引用する。ユヴァル・ノア・ハラリによる世界的ベストセラー『サピエンス全史』には、仏教に関する興味深い記述がみえる。「心はたとえ何を経験しようとも、渇愛をもってそれに応じ、渇愛はつねに不満を伴うというのがゴータマの悟りだった。心は...
格差が広がると中間所得層がレジャーにお金を回せなくなる理由~幸せとお金の経済学3
ロバート・H・フランク著、「幸せとお金の経済学」(フォレスト出版)から。今回が最終回。リンク前回書いたように経済格差が広がると、人が非地位財にお金を回しにくくなるという。なぜか?まず富裕層がより豊かになり、より豪華な家を建てるようになる。そうするとそれより少し下の層は、それに近い家を建てるようになる。より大きな邸宅が近くにあれば、「さほど仰々しいと感じない家の大きさ」の基準が変わる人がでてくるとい...
人は他人より広い家に住みたがるが他人より長い休暇を欲するわけではない~幸せとお金の経済学2
ロバート・H・フランク著、「幸せとお金の経済学」(フォレスト出版)の続き。リンク前回のおさらいで、「地位財」と「非地位財」について説明する。地位財は「主に周囲との比較により満足を得るもの」で、資産、家、車、社会的地位などが該当する。非地位財は、「他人との比較とは関係なく幸せが得られるもの」で、具体的には健康、自主性、社会への帰属意識、良質な環境、自由、愛情など、個人の安心・安全な生活のために重要と...
金森氏の(昔の)エッセイから、幸せな生き方を再チェックしてみよう
金森重樹という人がいる。行政書士・不動産投資顧問で東大法学部卒。25歳の時に1億2000万円の借金を負うが、マーケティングの技術を活用して35歳で借金を完済。その後、行政書士として脱サラし、不動産、建設、ホテルチェーン、医療法人、福祉事業などグループ年商100億円の企業グループのオーナーとなる、という派手な経歴の持ち主だ。PRESIDENT Online に連載をもっており、最近はダイエットに関する記事が多いのだが、以前はお...
【画像あり】 松本人志さんの「遺書」には「『無理やりやられた』では笑いの邪魔になる。記者会見する気になった」と記されていた!
年末に「週刊文春」がお笑いコンビ「ダウンタウン」松本人志(敬称略)についての「性的行為強要疑惑」を報じ、マスコミは大変な騒ぎになっている。記事で女性は、下のように語っている(原文ママ)。「私は『ホント、すみません、すみません』と必死に拒否しながらも『一度射精させれば襲われなくなるかもしれない』と防御策を考えました。何度も抵抗した後、右手だけで応えるようにしていたんですけど、しゃがみ込んだ途端に口に...
ヘミングウェイ “善とは何か。後味の良いことだ。悪とは何か。後味の悪いことだ。“
今日はアメリカの小説家、ヘミングウェイ(1899年 - 1961年)の名言を紹介する。“善とは何か。後味(あとあじ)の良いことだ。悪とは何か。後味の悪いことだ。“善悪と言われると、そもそもその言葉をどう定義するかによって大きく判断が異なるため、是非を分析するのは難しいが、これを幸福の観点から考えれば、後味は非常に重要であることがわかっている。行動経済学者、ダニエル・カーネルマンは学生を被検者にして次のような実験...
「ブログリーダー」を活用して、内山直さんをフォローしませんか?
「たった2年でFIRE卒業をした男性が語る、早期退職で見失った3つのもの」という興味深い記事をみつけたので、紹介の上、僕の考えを述べたい。https://www.businessinsider.jp/post-269525まずは序文から。FIRE(経済的自立、早期退職)もいいことばかりではない。少なくとも、37歳で引退したトニー(本人の希望で名字は伏せる)にとっては、いいことばかりではなかった。トニーはソフトウェア開発者として高収入を得ながら支出を切...
「4週間で幸せになる方法」という本を出しているのもあり、本ブログでは幸福に関する名言を紹介している。皆さんは読むことによって幸せになるだけではなく、ちょっとした雑学も身につくことになる。もし気に入ったものがあったら、何かの折に友人にも披露して、ぜひ周囲も幸せにしてあげてほしい。リンク今日は、ユダヤのことわざ。他人を幸福にするのは香水をふりかけるようなものだ。 ふりかけるとき自分にも数滴はかかる。この...
今日は、G・W・カーチスによる言葉。ちなみに僕はこの人について、この言葉の他には何も知らないし、ネットで探しても情報はない。以前紹介したダンデミス同様、名言界隈(?)のみで有名という人が実はポツポツいるらしい。なんとも不思議な話だ。https://fire-earlyretire.com/blog-entry-223.htmlしかもカーチス氏の場合はその名言もしょぼい。“幸福はまず何より健康のなかにある。”いかにもありがちな健康第一説だが、せっかく...
池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」を紹介してきたが、今日が最終回。リンクタイトルは「あがり症の人は不安を書き出すこと」。あがり症の人にとって朗報となる研究が、2011年1月の『サイエンス』誌に掲載されました。シカゴ大学のベイロック博士の論文です。(中略)ベイロック博士は、高等学校の生徒106名に対して、期末試験でこの事実を確認しました。テスト直前に10分の時間を与え、次の試験科目のどの部分がどう...
昨日に引き続き、池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」からの紹介。リンク今日は「イメージトレーニングはダイエットにも効果的!?」から。イメージトレーニングは、スポーツのみならず、ダイエットにも効果があるらしいというから驚きです。2010年12月の『サイエンス』誌に掲載されたカーネギーメロン大学のモアウェッジ博士の研究です。あたかも食べたかのようにイメージするだけで、食べたいという欲求が減るといいま...
今日紹介するのは池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」。相変わらず池谷氏の著書にはハズレがなく、この本も興味深く読ませていただいた。リンクそこで何回かにわけて僕が個人的に勉強になった部分を紹介する。今日は「ゲームの中毒性が自己管理能力を促進する!?」から。TVゲームやSNSなどのデジタル技術は脳にとって悪影響でしょうか。ゲームで遊ぶことで認知能力が高まるとするデータもあり、専門家の間でも統一...
今回で最終回、「世界幸福度ランキング上位13カ国を旅してわかったこと」(集英社インターナショナル)から。著者であるドイツ人女性、マイケが幸福度調査で上位に来る国々を訪れ、経済的には豊かであるにも関わらず幸福度が低いドイツ人が、なにを学ぶべきかを探っていくという内容なのだが、これに対するAmazonでのカスタマーレビューが興味深かった。半分近くが星5つなのだが、低評価のレビューもちらほら。その中でも星1つをつ...
前回に引き続き、「世界幸福度ランキング上位13カ国を旅してわかったこと」(集英社インターナショナル)から。著者であるドイツ人女性、マイケが幸福度調査で上位に来る国々を訪れ、経済的には豊かであるにも関わらず幸福度が低いドイツ人が、なにを学ぶべきかを探っていくという内容だ。僕は以前から幸福学やポジティブ心理学に興味があって、多くの知見に納得してきたのだが、どうにも腑に落ちないデータもいくつかある。その代...
今日から数回にわたり「世界幸福度ランキング上位13カ国を旅してわかったこと」のご紹介(集英社インターナショナル)。著者であるドイツ人女性、マイケが幸福度調査で上位に来る国々を訪れ、経済的には豊かであるにも関わらず幸福度が低いドイツ人が、なにを学ぶべきかを探っていくというもの。発想と行動力に興味を抱いて手にとったところ、なかなかおもしろい内容だった。ちなみに幸福度調査トップのコスタリカでは、平均で8.5...
自著「幸せの確率―あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ(セルバ出版)」から、余暇の過ごし方、お金、そして幸せについて書いている部分を抜粋する。遊びへの出費が減らせずに困っているひとには、ぜひ読んでほしい一文だ。“「お仕着せのレジャーはほどほどに ~自由な余暇を創造しよう」いつの間にか、ちょっとした休みを利用して、他県にまで足を伸ばすのが当たり前のような風潮ができてきましたが、そこまで余暇をア...
少し前のベストセラーではあるが、今日引用して紹介するのは「ライフシフト(東洋経済新報社)」。この本からきた「人生100年時代」という言葉は、その年の流行語大賞候補に挙げられている。現在まで人類の平均寿命は伸び続けてきており、データ上はそれが頭打ちになる兆しはない(つまり、伸び率の鈍化がみられない)。このまま寿命が伸び続けるとすると、現在50歳未満で先進国に住む人は100歳くらいまで生きる公算が高くなるのだ...
今日は文豪、トルストイ(1828年 - 1910年)のあの名言。“幸福な家庭の顔はお互い似かよっているが、 不幸な家庭の顔はどれもこれも違っている。”有名なものなので知っている人が多いことと思う。幸せの本質を見事に表した名言で、なるほどと唸らされる。でも冷静に考えると、ちょっと不思議な点も出てくる。「不幸な家庭の顔が違っている」これに関しては異論はないだろう。貧乏だから不幸。金持ちだけど病気がちだから不幸。健康...
池谷裕二監修「勉強脳の作り方」(日本図書センター)。大体知っている内容ではあったが、知見が濃厚に詰まっていて役に立った。備忘録として個人的に重要と考えた個所をまとめておく(自分用というより、主に子供たちの学習用)。・ストレスによって脳の機能は低下し、記憶力や学習能力が落ちる。・平均的なペースは40分勉強したら5~10分休憩(自分にあったタイミングで)。・休憩時間にはなにもしないこと(ゲームはもちろん、...
前回、より多くの幸福を感じるためには増やすのではなく、今現在「ゼロ」のことを始めたり、新たに獲得したりすることが大切だと書いた。今回はどのような活動や趣味が喜びに繋がりやすいのかについて、データを元に書いてみたい。幸福学における研究により、能動的な趣味の方が受動的なものよりも幸福度を上げることがわかっている。例えばテレビを見る、映画を見る、買い物をするといった娯楽は受動的趣味にあたり、あまり幸福度...
前回の記事では自由時間を有意義に過ごすための実践的なテクニックを書いた。今日はそれを補足する。幸福度を高めるためには今あるものを増やすより、ないものを得ることの方が重要であることが研究によりわかっている。例えば僕ら夫婦でいえば、長男が生まれてから三男が幼稚園に入るまでの10年近くの間、夫婦で外食をする機会はほとんどなかった。常に最低1人はまだ幼稚園にも行かない、幼い子供が家にいるわけだから、夫婦で出...
アーリー/セミリタイアブログをみていると、リタイアしたら時間を持て余して困る、あるいは、そうなるんじゃないだろうかと不安だ、という文章が散見される。それについて何回かに分けて私見を述べたい。僕は「人生」とは「時間」だと思っている。時間がなくなるときが、死、すなわち、人生の終わりだからだ。なので時間を持て余すなどと聞くと、その人の生きて行く意義ってなんだろうと首を傾げたくなってしまう(失礼)。子供の...
今日は3大幸福論のひとつを著したフランスの哲学者、アラン(1868年 - 1951年)は、による言葉。“幸福だから笑うわけではない。 むしろ、笑うから幸福なのだと言いたい。”まったくその通りだと思う。このところ、セロトニンという言葉をよく耳にするようになった。これは神経伝達物質と呼ばれるものの1種で、腸や血液中の他、一部は脳内に存在し、頭をすっきりさせたり、心のバランスを整えポジティブで安定した状態に保ったりす...
FIREとは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字をとった言葉で、経済的自立と早期退職を意味します。FIREを目指す人は、投資や節約で資産を増やし、4%ルールを守って運用することで、毎年生活費の4%に相当する不労所得を得られる状態を目指します。この状態になれば、フルタイムの仕事に就かなくても生活費を賄うことができ、早期退職が可能になります。FIREは近年注目を集めているライフスタイルの一つですが、メリッ...
今日は作詞家、音楽プロデューサー、秋元康(1958-)の言葉。“自分の幸せが定義付けできない人は、何も手に入らない。大事なのは、自分にとって何が幸せなのか、どうすればドキドキできるのかを、しっかり理解しておくことです。”本当に、そうだろうか?僕はちょっと懐疑的だ。たとえば、ある人がギャンブルこそが自分の幸せと信じているとする。それが一番ドキドキする、と。であればどんどんギャンブルをしなさい、とは普通はな...
今日のテーマは、労働の歴史。そもそも人間は、いつから「生涯の大半を労働に捧げる」ことが普通だとされるようになったのか?実はそれほど昔の話ではなく、産業革命以来であると考えられてる。古代ギリシャ人にとって働くことは卑俗なことであり、自由時間を得るために仕方なくやっているだけで、そこに何ら意味を見出したりはしなかったそうだ。現に哲学者・アリストテレスは、「賃金が支払われる仕事はすべて、精神を奪い、弱め...
昨日までは分離脳および海馬損傷患者での実験を例示し、僕ら人間が常日頃からいかに嘘ばかりついているかを説明した。しかし中には、「分離脳や海馬損傷というのはそもそも一般の脳とは異なる特殊な話では?」と訝しく思っている人もいることだろう。というわけで、今日は脳障害がない一般人での実験を紹介する。まずはこの本から。リンクp102~買い物客に四つのパンティーストッキングを見くらべてもらい、もっともいいものを一...
――作話――人間がいかに理由をでっち上げ、かつ自分でそれに気づかないでいるか、という話の続き。今日は海馬という脳の部位が損傷を受けた人での実験について下記書籍から紹介する。リンクp170~「海馬」という脳部位がある。海馬という脳部位が損傷を受けた患者さんを見ると、興味深いことがいくつかわかる。海馬は記憶をつくる場所だ。だから海馬が作動しないと記憶が形成されない。でも、それ以外の脳機能は正常だ。(中略)さ...
昨日、僕はFIRE生活からたった2年で仕事に戻った人物が挙げた3つの撤退理由を、「作話だろう」と半ば断じた。https://fire-earlyretire.com/blog-entry-1154.html読者の中には反感を覚えた人もいるのではなかろうか?確かに記事を通してしか知らない人物の、ひょっとしたら真摯かもしれない発言を、僕が詳細を把握しないまま「作話」と推測するのは妙に聞こえるかもしれない。しかし僕は特に彼の発言に限って不信に感じているわけ...
子供同士が幼稚園で仲が良かったことから、家族ぐるみでお付き合いをするようになったご家族がいる。ご主人のSさんは弁護士。子煩悩で、教育熱心だ。以前一緒に飲んだ時、Sさんが子供の将来について言った。「自分が好きなことを仕事にしてくれればいい。私からの意見はそれだけです」僕も完全に同意する。学歴ももちろん大切だが、それはやりたい仕事に有利にするための手段であって目的ではない。なのに日本では一番大事な根っこ...
ちょっと古い本だが、橘玲著「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法(幻冬舎文化)」を紹介したい。リンク橘氏の著書は以前も紹介しているが、この本もなかなか興味深い。一部を引用してみる。p249-250“ある調査によれば、人生の満足度を7点満点とすると、アメリカのビジネス誌「フォーブス」に載った大富豪たちの満足度の平均は5.8だった。彼らは資本主義社会の頂点に立つ成功者で、豪邸やプライベートジェットなど、望むも...
池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」を紹介してきたが、今日が最終回。リンクタイトルは「あがり症の人は不安を書き出すこと」。あがり症の人にとって朗報となる研究が、2011年1月の『サイエンス』誌に掲載されました。シカゴ大学のベイロック博士の論文です。(中略)ベイロック博士は、「高等学校の生徒106名に対して、期末試験でこの事実を確認しました。テスト直前に10分の時間を与え、次の試験科目のどの部分がど...
昨日に引き続き、池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」からの紹介。リンク今日は「イメージトレーニングはダイエットにも効果的!?」から。イメージトレーニングは、スポーツのみならず、ダイエットにも効果があるらしいというから驚きです。2010年12月の『サイエンス』誌に掲載されたカーネギーメロン大学のモアウェッジ博士の研究です。あたかも食べたかのようにイメージするだけで、食べたいという欲求が減るといいま...
今日紹介するのは池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」。相変わらず池谷氏の著書にはハズレがなく、この本も興味深く読ませていただいた。リンクそこで何回かにわけて僕が個人的に勉強になった部分を紹介する。今日は「ゲームの中毒性が自己管理能力を促進する!?」から。TVゲームやSNSなどのデジタル技術は脳にとって悪影響でしょうか。ゲームで遊ぶことで認知能力が高まるとするデータもあり、専門家の間でも統一...
昨日に続きメジャーリーガー大谷翔平の愛読書でもある、中村天風の著書「運命を拓く(講談社文庫)」の紹介。リンク今日は僕が好きな個所を少し長めに引用する。p235~三年四年経った人が私にお礼をいうとき、この人は、本当に私のいうことを聞いていたな、と私が思うようなお礼をいう人は、まあ十人に一人いるか、どうかである。たいていの人は、「(前略)尊いことを教えていただいたお陰で、この頃は、弱かった体も、すっかり...
中村天風(敬称略)という人物がいる。以下は中村天風財団HPより。https://www.tempukai.or.jp/know/footprint中村天風(なかむらてんぷう)明治9(1876)年生まれ。日露戦争の軍事探偵として満蒙で活躍。帰国後、当時不治の病であった肺結核を発病し、心身ともに弱くなったことから人生を深く考え、人生の真理を求めて欧米を遍歴する。一流の哲学者、宗教家を訪ねるが望む答えを得られず、失意のなか帰国を決意。その帰路、奇遇にも...
引き続きニコラス・クリスタキス著、ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(NewsPicksパブリッシング)から興味深く感じたエピソードを紹介する。最終日の今日は下巻から。よく思考実験でも使われる「最後通牒ゲーム」なるものがある。2人1組でのゲームなのだが、まずはルールを引用で説明したい。このゲームは、思いがけない授かりもの(たとえば10ドル)がプレーヤー1(提案者)にあたえられるところから始ま...
昨日の予告通り、ニコラス・クリスタキス著、ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(NewsPicksパブリッシング)から興味深く感じたエピソードを紹介する。今日は上巻から。アマゾン川流域などでは、子供には複数の父親がいると信じられている地域が多く点在するそうだ。分割できる父性を信じている文化では、子づくりにおける女性の役割はたいてい否定され、女性は「容れ物」にすぎないとみなされている。一部の...
今日はビル・ゲイツ氏ら絶賛の話題作、ニコラス・クリスタキス著、ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(NewsPicksパブリッシング)を紹介する。まずはAmazonから。経済格差、人種、国家間対立…。今ほど「分断」が強調される時代はない。だがちょっと待ってほしい。こうした分断はなぜ起こるのだろう?それは進化の過程で、私たちが「仲間」を愛し、尊重する能力を身につけたからだ。この能力こそが、世界の命運...
今日は、ダライ・ラマ14世の言葉。“他の人々に幸せになってもらいたければ、思いやりを実行に移すこと。自分が幸せになりたければ、思いやりを実行に移すこと。“無粋と知った上でわかりやすくすれば、「思いやりの行動は相手だけでなく自分をも幸せにする」ということ。実はインド独立の父、マハトマ・ガンディーも、「報いを求めない奉仕はひとを幸福にするだけでなく、わたしたち自身をも幸福にする」と同じような言葉を残してい...
一昨日から紹介しているのが池谷裕二著「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)」。昨日は「心地よさ」や「快適さ」の度合いでしかなく、究極的には「好きか嫌いか」の問題に帰着するとの一節を紹介した。たとえば、「君の態度は間違っている」と自信満々に怒る人がいるが、「君の態度は嫌いだ」と言い換えても意味は変わらないことになる。今日紹介するテーマも僕らが自分自身に...
昨日から紹介しているのが池谷裕二著「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)」。今日はシマウマについての問題。p273キャンパスに描くシマウマのシマ模様について聞きました。どちらの答えが多いでしょう。① 白地に黒シマ模様② 黒地に白シマ模様今日も本書へのリンクの下に正答を掲載する。リンク答え ① 白地に黒シマ模様自分の世界こそ自分のすべてです。いや、厳密に言えば、...
池谷裕二氏による名著「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)」を今日から数回にわたり紹介する。とはいえ僕の本音は、「僕のブログで抜粋を読んでいる暇があったら、さっさと本を買って読んでほしい」というところ。そのくらいお薦めだ。p156地上より永遠に友達の顔を思い浮かべてみてください。何人思い浮かびましたか。そこで二つの質問をします。質問A―その友達のうち10年...
FIRE生活での資金繰りにおいて、今月、我が家に明るいニュースがあった。「プルデンシャル米国ドル建リタイアメント・インカム」という、ドル建ての年金の受給が開始されたのだ。そもそも加入したのはいまから20年も前の2005年。当時、アメリカの長期金利が今同様に5%近くあったため、この保険も利率4.5%と非常に高いレベルで設定されていた。加入時の為替は1ドル105円。今とは逆に、為替は上がり下がりを繰り返しながらも、じり...
昨日書いた通り、このGWはベトナムのリゾート、ニャチャンにあるヴィンパールに滞在した。ベトナムについて一番痛烈に感じたのは、やはりまだまだ遅れているということ。宿泊は一応は五つ星ホテル(ヴィンパール リゾート & スパ ニャチャン ベイ)だったのだが、到着してすぐ、僕と妻の部屋の冷房の機器が悪いことに気づいた。そこで部屋の電話からトラブル時に指定された番号に連絡を試みるも、何度ダイヤルしても返答がない。し...
昨日書いた通り、ゴールデンウィークの後半に家族でベトナムに行ってきた。そもそも次男がこの春から高校に進学したため、学校での日程がどのように組み込まれるのか見当がつかず、ゴールデンウィークには何も予定を入れられないでいたのだが、入学後に配られた工程表を見る限り、連休は丸々空いている様子。ならば旅行にでも行きたいね、という話になり、ネットでチェックしたのだが、4月中旬では時すでに遅く、めぼしい宿はすで...