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  • 予感

    * 雲澱む雨の予感のなかにさえ慄いてゐる三輪車たち さよならといえば口まで苦くなる彼方のひとの呼び声はなし カリンバを弾く指もて愛撫するわが身のうちのきみの左手 ゆうづきの充ちる水桶ゆれながらわれを誘う午後の失意よ 手鏡を失う真夏・地下鉄の3番出口写したまんま 夏帽よさらばひとりが立ちあがるうすくれないの片隅のなか 黄泉あらばぼくのなまえを送りたいいまさらにただすべてを忘れ 陽のごとくぼくを苛むきみならば愛してやろう憎んでやろう 血と砂の交わりばかり戦場が頭蓋蝕む真昼の余韻 * 〇歌論のためのノート 抵抗文化としての短歌(1)/清原悠の『抵抗の文化を育む教育はいかに可能か?』に≪スベトラーナ・…

  • 夏の間奏曲

    * モリッシーのごと花束をふりまわせ夏盛りぬときの庵に 待つひともなくて広場に佇める地上のひとよわれも寂しい 蝶服記ひとり観るなり眼病のおもいでなどはわれになかれど ものもらいおもいにふける金色のゆうぐれなどはここにはあらじ いちじつの終わり来たれり天使らの顔が見えない光りつよくて 森閑のなかを歩めり 普遍とはぼくのうちなる羅針盤かな 恋路なき生活つづく水差しのなかに金魚のまぼろしを見つ ふかみどりつづくよすがよ晴天の二宮神社きょうも存りたり かげろうもほどけてしまう晩夏には一輪挿しがよく似合うなり 水と水出会うところで波白むレイ・カーヴァーの詩集をひらく やがてみな夜のほどろにたどり着く熾き…

  • 逆噴水

    * 指で以て詩を確かめる未明にてレモンピールを浮かべたそらよ 夢のなかに愛しきものはありはせず河の流れが頭を伝う 荒れ地にて花を植えたり詩語などつつしみながら丘を下れり 待っている 果樹園にただ燈火が点るゆうべをおもい焦がれて 草萌ゆる夏の光りのただなかに忘れられいし石碑の供物 もはやひとに与えるべきものあらず石蹴りながら夜を望みぬ 観覧車まわりながらにめぐりゐてわがおもいでを掻き乱す夜 恙なき式日ありぬ少女らが舞を踊ったひざかりの土地 夏の貨車やがて停まりぬ遠くにてガラスの荊いま解かるる 逆噴水眺めながらに滅亡す友人たちのゐない世界で 時が死ぬ暁知らず故知らず心のなかのきみが見えない めぐり…

  • cabaret london

    www.youtube.com * 毀れやすき殻のうちにて閉じこもる卵男のような少年 箒すら刑具おもわす蒼穹≪あおぞら≫に逆立つ藁の幾本を抜く 幻蝕のさなかの夜をおもいだすたとえば青いライトのなかで 街かたむきつつあり寝台のうえにおかれた上着が落ちる 菊よりも苦き涙よ零れ落ちやがてやさしい抜歯の時間 義務らしさつづくばかりか雷鳴を聴きながらひとり詩を書く真夏 葡萄咲く他人の庭よからみつく蔦をわしづかみにすれば夜 夏盛る空気人形一体が陽に焼かれつつおれを視るなり 萌ゆる草木彼方よりわれをいざなう声などなくて 詩に淫すこともなかれば八月の縊死の牡犬駈け廻るなり ソフトボールする少女≪おとめ≫らがい…

  • 戦車現る

    * 雷鳴のとどく場所まで駈けてゆく光りのなかの愉しい家族 駅じゅうにおなじ女が立ちふさぐ地上に愛のなきことに啼き 友だちがいるならいずれわが骨を拾わすといいてひとりの夏 隠さないで──きみのうちなるぼくがいう驟雨ののちの光りのなかで 夏またぎ 自転車通る一筋の車輪の跡が光るゆうぐれ 戦車現る ときの巌を覗き見る少年ひとり眠れぬ夜に 夏期講習報せる通知受け取って女学生らが去りし回廊 抜ける青とどめく青よ青だけの世界あらしめ夏のまぼろし 逆回転するおもいでばかり逆子らがときの地平に躓くばかり なおのこときみが愛しい夜も昼も呪いのように呟くなまえ いつかのようにきみを呼ばいて眠れない夜の頭蓋を照らす…

  • 樹皮濡れて

    * 夜なべてほむらをかこむきみのためくべる夏の樹燃え落ちるまで すべての朝のためにできるのはきみのため息燃やすことのみ やがてまたぼくが終わろうとする夜に蝉のぬけがら一切を拒む なが夢のさなかに存ってわが咎をおもいだしたりさよなら人類 青嵐去って一輪挿すだけの花壜がひとつ行く不明だ 蒼穹に拒まれてなおいじましいおもいをさせる遠いかのひと 水太り葡萄畑のあたりまで汗を流しに歩む虹鱒 油虫殺すひとときやさしさが手のひらのなか炸裂したり 土を踏む素足のままで踊りたい舞台もあらず劇は建ち来る アーモンド砕いてひとり室に坐すことほぎならぬ味を噛み締め 爆発と祈りのなかを通い来ぬわれら時代の抵抗≪アングラ…

  • 八月のレパートリィ 

    * 声ばかり此処にはありておきざりの敗馬眠れる夜のれいめい なおさらにきみをおもえばゆうぐれのおわりのいちごくちにつづめて 公園の見張り塔にて子供らの兵士たちかな銃声もなく たそがれに凋む風船・いくつかの断章ばかり果てて転がる アキレスの戦いばかり男らの肉が緊まれる午後の潮騒 月の夜の仕事がしたい 野辺をゆき棺のかどに釘打つような けものすら去りぬゆうべの昏さにてきみのいばりがいまでも臭う 冷えた汗も正しく拭うわがために残されてゐる干し草ばかり 在りし日のきみのおもざし菜の花のなかにまぎらわしめよ月 呼び声があればいいねと問いかけるきみの不在がひびく欄干 ──と、おもえてならず夏の根の枯れてい…

  • 夏の嵐

    www.youtube.com * 夏の嵐 かぜにまぎれて去るひとかげを追っていまだ正体もなく たれゆえに叫ばんか夏草の枯るるところまで歩めるわれは 浴槽が充ちる早さで夜が凪ぐ嵐のあとの傍白を聴け なにもかもが淡いよ夏のかげろうの辻をひとりで帰る足許 醒めかけた夢が頭蓋をゆらす昼 鍋に刻んだ鶏肉入れる かたわらにだれがなくとも歩むのみ夏の鏡に揺れる祝祭 なにげなくかの女のなまえくりかす口の運動ですらなくとも 免罪符なかれば奔れ かぜのなか埋もれるだろう陽のひかりまで 満潮のときよ潮を流れ来る魂しいらしきものなどあらず いずれまた夢で逢おうか弟よきみの非在をしばし悲しむ so I knew, く…

  • 友だち

    洗いざらしの世界のなかで、リーバイ・パタの詩画集をひらく 女のいない男がしてやれるのはたったそれだけのこと コインランドリーが不法占拠されてしまう夢を ついさっきまで見ていたんだよ もしきみが電話をかけてくるならば、 ほんの少し孤独を信じられる ほんの少し痴性を信じられる おれに与えられたものに唾を嘔いて おれに与えられなかったものに焦がれて ついさっき犬の便器に花をちらした やがてその花が城に成長するまでにじっと どれだけの戦があり、歴史が書き換えられるかをきみと一緒に眺めたい もしもおれがまだきみの友人で、きみにとってなにかであるのなら 午後の時計がベルを鳴らす きみの知らない場所で、きみ…

  • a missing person's pressカタログ

    ampp-001 38wの紙片 ×絶版ampp-002 for MISSING/The magazine Vol.01 ×絶版ampp-003 38wの紙片[second edition] ampp-004 終夜営業|Open 24 hours |発送受付ampp-005 kaze-bungaku / mitzho nakata 5 demo tracksampp-007 世界の果ての駅舎 詩群2014-2016ampp-008 ぼくの雑記帖 未収録作品輯ampp-009 no title (無題) / Photographs by Mitzho Nakata ; 2002-2019ampp-…

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