試合開始はいつも午前3時だった 父にアメリカ産の安ウォトカを奪われたそのとき 無職のおれはやつを罵りながら 追いまわし 眼鏡をしたつらの左側をぶん撲った おれの拳で眼鏡が毀れ おれの拳は眼鏡の縁で切れ、血がシャーツに滴り、 おれはまた親父を罵った 返せ! 酒を返せ! おれの人生を返せ! おまえが勝手に棄てたおれの絵を、おれの本を、おれのギターを! 凋れた草のような母たちが、姉と妹たちがやって来て、 アル中のおれをぢっと眺めてる おれはかの女らにも叫ぶ おまえらはおれを助けなかったと おれが親父になにをされようがやらされようが助けなかった! だれがおまえらの冷房機を、室外機をと叫んだ おれは姉に…