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  • sleeping in fear

    ★ 歌誌はなかなか完成しない 来る予定の原稿がまだ来ない 正直、不安だ きょうはなにもやってない 今月は工賃で¥16,000以上も入った ¥6800ほど電気代で逝ってしまった あとCD2作、 ルルーズの『ルル』、 坂本慎太郎『まともがわからない』初回盤、 あとは味覇、 業務スーパーで燕麦や乾燥わかめ、刻み玉葱、ゴーヤー、鰯、卵を買った なかなか体重が減らない もうずっと75㎏に戻らない 脂質の取り過ぎかも知れない 朝に茹で卵、昼に燕麦、夕に蕎麦 去年、75㎏まで落とせたのはいったいなんだったのか いまだにわからない──たぶん禁酒のせいか あしたはどうなるだろう 最近、ちっともやる気が起きない …

  • 小説のあいまに

    名も知らない少女に 秋も深まりをみせている。いまだ蚊の残党をみることもあるが、いなくなってきていることはたしかだった。鈴虫がようやく現れ、おもてにかすかな歌を供す。わたしはそれに耳を傾けてみた――こんなふうにたまにはきれいな書きかたをしてみる。わたしはきれいなこころのもち主ではない。穢らわしい、うすよごれたもののひとりに数えられる。あるひとによくいわれたものだ、あんたは酒でだめになった、下品になったと。しかしそれはちがう。誤解だ。公園で寝たり、イエローハットのごみ置き場で寝たり、呑まず喰わずで飯場をめざすようなことが、ものすごくみじめでくだらないことが、多すぎたためだ。それにどうもわたしは幼児…

  • オイルサーディンによって書かれた詩論

    * 窓からそとを見る。どうしてあんなところに大型トラックが停まっているのかとおもう。これぞ詩だ。いまさらいうべきことなんかない。わたしが詩というものを書いてきて、もはや15年になる。年数はどうだっていい。どうして詩などという、おそらくこの世でもっともあやふやでいかがわしいものなんぞに身を窶してきたのか。まったくもっておぞましいばかりだ。あいもかわらず、『ユリイカ』や『現代詩手帖』には採用されない。かつていちどだけ『詩と思想』に載ったことはあるが、どうにも時数の規定に合う詩が書けない。もはやスタイルはできあがってしまい、あとはそれをぶち毀すほか、できることはないと来る。わたしには行き場がないんだ…

  • インターネットと詩人たち

    いわば情報社会における人間相互間のスパイである。 寺山修司/地平線の起源について(『ぼくが戦争に行くとき』1969) 小雨の多い頃日、わたしは自身を哀れんでいる。あまりにもそこの浅い、この27年の妄執と悪夢。なにもできないうちにすべてがすりきれてしまって、もはや身うごきのとれないところまで来ている。あとすこしで30になるというのにまともなからだもあたまもなく、職までもないときている。そのうえ、この土地――神戸市中央区にはだれも知り合いすらいない。もっとも故郷である北区にだってつながりのある人物はほとんどない。 わたしが正常だったためしはいちどもないが、日雇い、飯場、病院、どや、救貧院、野宿、避…

  • からっぽの札入れとからっぽのお喋り

    * 雑役仕事と金が尽きて、もうしばらくになる。おかしなもので足りないときほどしたくなるものだ。創作や自涜、どちらも空想と実感を一致させてゆくという点でよく似ている。台所には甘味料、香辛料、油、肉などなし。あるのはしなびた野菜のいくつかと、わずかな麺類。そしてとうとうあいてしまった靴の孔――そこへ公園のベンチがこちらに近寄ってくる。 おかしなものであまっているときはこういった苦痛について、おそろしく鈍感で、まえにも遭った、経験済みの苦痛をまたしてもやらかしてしまう。反復また反復、おそらく精神医学じゃあ、とっくに名札のついた動きなのだろうが、こちらとしてはどうにもならない。それを知ったところで日雇…

  • you gonna take me to haven

    ★ 創作表現講座というものを開くことになった。 べつにおれが偉くなったわけじゃない。 相手から頼まれてそうなった。 おれに教えられることなんかあるのかとおもいながら、 それも今月分の受講料は頂いてしまったし、 来週からは本格的に教えねばならない。 しかしおれが教えられるのはおれのルートであって、 相手の最適解ではないということだ。 階段の踏み板を踏み外すような詩論を相手に押しつけていいものか戸惑う。 おれはいったいなにをやってるのか。 おれの恥辱と宿業の果てにある詩学、 まぎれもない詩心でやり抜いた人生たち、 それらを伝えるには、けっきょくおれの本を読んでもらうしかない。 おれの詩論を読んでも…

  • 光りになれない。

    夢の時間も砂嵐のなかに消えてしまうだろう そんなテレビジョンの懐いでのなかで 光りになれなかったひとたちと 一緒の場所で出遭ったのは 真昼の淡い幻想だった いまだほんものの喜びが見えない劇場の舞台で、 おれはなんだか酔っ払ったように手紙を書いていた 始まりも終わりもわからないクラインの壺のような手紙を きみに宛てて書いていたはずだったんだよ 索漠とした心に夏の光りが眩しい おれたちは光り、そのものになりたいと願う この祈り、そしてひらかれたままの瞳 アリゾナの沙漠地帯で取り残されたテレビがひとり放送を始める時間から ゆっくりと立ちあがってしまったリャマを撃ち殺すという作劇 鉛筆いっぽんでおれた…

  • 映画『PERFECT DAYS』──あるいは安全なる賭け

    www.youtube.com www.youtube.com ヴィム・ヴェンダース監督はあるインタビューのなかで、本作の主人公・平山を僧侶に喩えている。宗教世界の求道者としての人間と、世俗世界での労働者を混同した件の表現には違和感しかなかった。インタビューそのものは作品の理解を助けてくれるという意味でよかったとおもうし、主人公の公衆便所清掃人・平山がどういった過去を経験して現在に至るのかが明瞭になっており、読む意味は多いにある。しかし、監督が話せば話すほどに、映画とのへだたりを感じずにはおられない点ではよくなかったとも感じる。

  • わが長篇小説に寄せる詩篇

    裏庭日記 われわれという辞がいやで、つねに単数形で生きてきた なにを語るにもひとつに限定してからでなければ安心できない おれたちや、ぼくらといった主語を憎み、空中爆破したくなる おれは決しておれたちじゃないし、 おれは決してぼくにならない あらゆる咎、そのどれともちがう声音で、 おれは喋ってきたし、裏庭を見ながら、 父の暴虐に耐えて来た かの女たちはもはやどこにもいない スタンドにも学校にも、あの長い修学旅行にさえも 終わってしまった時代、その光景を映写しては頭脳に水が湧く 閃きのなかでもどらないまぼろしを追いかけようと足搔くおれ 友だちなんかいなかった、仲間なんかじゃなかった多くのひと 夢の…

  • 金魚

    真夜中じゅうずっと悲しいニュースや情勢に耳をかたむける おれの辞書にだれかが書き加えた永遠のせいで、 眠ることもできないから 雨が降りやんだ、その沈黙を だれかがやぶって来るのを期待しながら やはりだれも来ないのだという予感 愛のないまなざしをみずからにむける、おれのよすが 金魚は鉢のなかを一回転する、 かの女は素晴らしい おれもかの女のようにぐるぐると泳ぎつづけていられたらとおもう 終わってしまった寸劇のように儚く、幼い賭けだった人生 最後のページを彩るはずのヒロインはいない 夢想のなかで、 出会った数々の酔狂人ども 偶然と渾名された少女がスカートをゆらす場面 破壊された駅で迷子になった大人…

  • surely

    だれのものでもない両手で だれかを傷つける 呼び鈴がおれの耳に 爆発している やり過ごすことのできない咎に身をふるわせて やはりだれも おれを諒解しないというところで 合点する 他人の顔に鉈を下ろして、 それでもだれに気づかれないままで終わる きょうことはぜんぶ忘れる、だれかがいったように忘れる それでも、おれはおれを赦せないでいるんだ ラジオがいうんだ、──あの世は天国だって、 おれはおもうんだ、 それを地獄の住人たちに伝えてやれよって 雨のなかで待たされている多くのひとたちに伝えてやれるんだって それがお好みの事実ならねってさ でもおれもまた通り過ぎるんだ、退場役のエキストラのひとりだって…

  • put on airs in isolation

    今後の予定と方針 * 燃えあがる水が黄金色に染まってゆく。おれはおれでないもののために武装してその前線に送り込まれた。さて、今年で40だ。腹を括って生きなきゃならない。女は欲しいと繰り言をするけれど、同居はしたくないな。たまに逢ってじっくりつき合いたい。ほかの男がいてもいい、ただおれのまえではおれの女でいてくれればいい。セックスには期待していない。とにかくかっこいい美人で、ショートカットで、ファッションセンスがあればいい。ごくたまに競泳水着かウォーターポロを着用してくれれば大満足だ。あとはおれの作品に理解があるだけでいい。 1年かけて作品を売り込む、宣伝すること。そのために献本リストをつくった…

  • 憐れなるもの

    brianmchenry.bigcartel.com あるいは「おれはイアン・カーティスのものまねに過ぎない」。 深夜、たったひとりでイアン・カーティスのものまねを踊っていたら、 朝になって苦情の電話が管理会社からかかりやがった バリトンで吼えながら、「残虐行為博覧会」はまずかったんだ せめて「死せる魂」にするべきだった イアンを身ぶり、手ぶりするのは危ないことだ もっと突っ込んでいってしまえばキ印だった おれはきれいに、きれいに死にたい 淫欲時代を懐かしみながら、 最後の盃を慈しむ そんな光景をおもいながら、それでも死ねないでいる スコットランド・ヤードに追跡されるという妄執とともに 21世…

  • Psyco killer

    www.youtube.com www.youtube.com www.youtube.com nme-jp.com 米機の空爆で焼き尽くされた東京が敗戦後、立派な大都会に蘇生したのと同様、ガザ地区も一度は根こそぎ破壊するのは仕方がなく、むしろ巨悪を払うのに必須のプロセスだと嘯くイスラエルのツィピ・ホトベリ駐英大使。虐殺のため東京空襲と復興を引き合いに出すな、と言いたいhttps://t.co/si52hiwjFR pic.twitter.com/QQKpgy5wB3 — ロバート キャンベル (@rcampbelltokyo) 2024年1月13日 リナ・サワヤマのNME最新記事、トーキング…

  • 週明け

    シルヴィア・プラスの遺体写真を眺めながら昼餉を片づけていた ガス・オーブンに突っ込まれたかの女の上半身、 死の直前に最高のユーモアを発揮したという、 モリッシーの言葉を懐いだす おれにとっての『ベル・ジャー』はいまだ いまだ見えないままで 遙か未来にあるだろう、展望だろうと希望だろうと、 そんなものなんかハナから信じちゃいないおれだって、 少なくともじぶんの死を観察し、批評するぐらいの場所と時間が欲しい だっておれ自身がおれの最高の観客だから 汽笛の聞える丘でドアを施錠する 意味論のながい道を逆走してここまでたどり着いた だれかがおれを見守ってくれていればいいとおもいながら そんな幻想を永久運…

  • 赤い柄の鋏(2005)

    はずんだ綿パンの臀が木の向こうに沈んでいく 赤い柄の鋏をもって姉は花狩り 嵐の翌日に万物はゆるみきって ところどころ溶けている 濡れているものはどれもこれもイヤラシイ 妹たちは犬の散歩に頑としていこうとしない そのいっぽうで遭難者たちは 夕までにみな帰る 濡れていたものは乾き 狸は庭から引き揚げ 鳥は廃ダムの巣にもどって ただひとり狡猾なおれが昇りたての月をもぎ取っていく 鋏をもって姉は目下、行方不明

  • おれの徒然〈10〉「ギター買った。」篇

    ★ 先日、nagiのkuroというギターを買った。新品で¥43,000ほどだ。以前ギターはLAGで新品だったら¥25,000だった。今回は少々奮発した。そしてその後遺症か、いささか酒に呑まれてしまった。というわけで今月はもう文なし。こいつを弾きまくって、積年のまちがった弾き方を卒業したい。前回が木目にグロス加工というわけで、今回は黒にマット加工。なかなかに味のあるボディだ。 アコギ NAGI GUITARS kuro アコースティックギター初心者 フォークギター入門【White Guitars】【宅配便】価格: 43890 円楽天で詳細を見る ★ きのう、入手してからはじめてTIARA ⅱで撮…

  • 速度狂(2003)

    www.youtube.com 詩に感傷も美しさももういらない そんなものはおやじやおふくろにぬりたくって 臑を齧るときに使えばいい ねぐらでダサい文学青年きどりよ、土台 きみはことばを定規で測れても 感情をことばになんかできまいよ 感情そのものが足りないのだ いついつまでもひとの評価を気にしつづけて なにも書けなく なるといい なにわナンバーの乗用車 急に停まるな 夜のふたり乗りは危険だよ おれがうしろから見えているからな 歩いて くる 短すぎるスカートの高校生、三人 うしろからそっとスカート捲りがしたくなった パンテイの人気商品調査ってやつがしたくなった でもスカート捲りなんてもう ふるく…

  • 不眠(2009)

    ふけてゆく夜 のうちがわ おれという犬のくそ のような叡智にはかならず 休息の欲しいときがある しかしろくでもないものが宿った左の手 をもちいていくら電話の古く黄ばんだ 回転式ダイアルをまわしても 通じた回線をむこうにおれの欲しい眠り について註文がとられても その配送係はいっこうに魂しいの戸口に現れない かれらはこのおれを灯のもとにゐかためて なんの良心をも動かさないばかりか もとよりそれをもっていない なんと あたまの いかれたひとたちだろうか 煙のようにみせておれのいらだちが 室のなかに充ち けっきょくはまた 通話の路次へひかえす ひきかえさねばならない それでも聴こえてくるのは 半音高…

  • 水を呑む男(2007)

    www.youtube.com 曇ったガラスに朝がさす。その男は目を細め、コップの底に光りを見る。上半身は裸、黒いズボンをはき、カンバスの中央に立つ。かれの前には小さなテーブルがあって、視点はややその下を向く。細いラインが部屋を蔽い、太いかげがかれの姿をもちあげる。壁の絵はさかさまに飾られ、意味を半分失っていた。黄のラインが室内を走り、青のラインはかれを走る。窓には白と灰が混ざり、その向こうにシグナルが覗く。一九二〇年代の古い鉄路が通つているのだ。ぼくは目を閉じて耳を澄ます。色の向こうから呼吸音が聞えてきた。これはかれの自画像であり、告白としてぼくに話し掛ける。かれにとって絵はそれの手段に過ぎ…

  • sometime I feel like a blind man

    作業所から電話 きょうは工賃明細と捺印で、 あとは在宅、 でも、そのまえに心療内科がある 朝餉を済ましたとき、 また電話、 師匠からだった 送った見本版の詩集から、 好いという作品をあげた、 『暗がりで手を洗う』、『たとえば夢が』、『ムンクの星月夜』、 『夏のよるべ』、『天使たちの戯れ』、『点景』、 『feeiln' bad bluse』、『He Said』、『裏庭日記』、 『見世物小屋の私生児たち』、 『音楽をください』、 『夜の雷光』という詩集の題名はなしになった そして序文の件はなしになった 花島大輔氏に書いてもらえといわれた 最低でも¥30,000の原稿料でと。 おれの作品について「化…

  • 海(2006)

    www.youtube.com 午前0時も半ばを過ぎて ヨット・ハーバーの周りには 黒い潮風と引き揚げられた古ボートが眠っている 白くぼやりと浮かぶのは 疲れ切って萎えた帆 その白さに小指ほどの言葉を当てはめながら歩く ただ来てしまったから歩く なにひとつ意向を持たず歩く 陰が歩行者を支え 時折突き崩し 数え切れない羞恥にきつく胸を捩らせる あれはいったいだれだろうか 酒に酔ってふらついている男は 灯台の裏手にふかく沈んでいく 帰れないのだ 夜風が足につつかかる たったいま午前一時を過ぎ 港のまえには黒い車が停まっている 朝を待って眠る また酒を呑んでしまったのだ 海のもっとも黒い部位 あそこ…

  • 動物園(2006)

    www.youtube.com www.youtube.com (見る) だれもかれのなまえを知らないし だれも知ろうとしない 見られ 覘かれ 触られ 汚され 洗浄され 閉じ込められ 少しだけ解き放たれる かれ (見ている) 動物園のなかをくまなく かれを覘き 触り 笑い 汚し 追い込んで ひっぱって 少しだけ閉じ込められるひと 見られたものはたちまちにきずを得て 見るものは昏い愉しみとわだかまりをいつまでも曳きずるだろう (見る) おまえのなまえも知らずに 金属の名札をだれも読もうとしない ぼくはどこから来たのか 見るために来て いつのまにか見られている 視線を移すことなんか幾らだってできる…

  • 空域(2005)

    おそらく大勢の詩人たちが宙に浮いているというのに ぼくには飛ぶ空がない 時代から取り残された残り火として ただ未明のかすかを照らしているだけだ おもいだしてみればいい きみが廃墟の配電盤をあけたとき たくさんんお雀蜂がきみになにをいったかを ぼくらは棄てられた貯水タンクのうえで ひそやかな暗号を交わしたはずだ 記憶はどれだって遠いものだ 裏切るものをつくるためにぼくらの幼年期は過ぎて あとに残るのはたくさんの狐火 生野高原の森のなかでぼくが放った多くの言葉は果たして石となり 草の実にかわる 数多い葉っぱのなかで 雨に濡れながら息絶えている 共有するものはなにもない ただ孤立だけは歳月をかけて …

  • I'm just feeling fade away, now

    ★ 「握り金玉(ぎんたま)」という俗語を識った なにもせずにぶらぶらしている、という意味らしい おれも最近ずっと金玉を握ってる 映画が観られない 未読の本が溜まってる 性慾も湧かない いつもいつも過去のことで頭がおっぱい だらしなくタッピングを繰り返し、 ギターの練習も、 音感のトレーニングもしてない あした、工賃が入る 前月はよく働いた、 というのはデタラメで、 ただただ在宅作業で、 しょうもない文章をタイピングしてただけだ ああ、来月には新しいアコギを買いたい またもLAGにするか、nagiのkuroにするかだ 予算はたった¥40,000である 冷たくなった指で、未来を算える その単位はい…

  • 放浪のはじめ(2005)

    孤独が夜更けてひとり歩きだした 叱られていき場のない少年のように 十五のころに帰ったように 看板のなかの 派手なべべを着た娘の その胸に手をあててみたり 雨に溶けだした聖母像の肩や頬に 顔をすり寄せてみたりして 孤独にいっそう磨きをかける 触れられるのはとまっているものだけ 美しく見えるのはとまっているものだけだ 動けないもののために美があり いき場のないもののために美があり 触れさせる孤独がある しかし触れたってなにもないのだけれど なにもないのことがなおさらに愛しく なにもないところに放浪ははじまる

  • 物語と社会福祉制度〈1〉

    * あまり物語に無粋な突っ込みを入れたくはないのだが、あまりにも社会構造を無視した作品を見かけるので、考えを述べたいとおもう。エセ批評家風評定なのはごくごく承知している。まあ、大したものじゃないから話半分で読んで欲しい。 * ○ドラマ『家なき子』の場合 * 主人公すずの母親洋子が心臓病で入院中というところから話は始まっている。さわりのほうで、手術費用に500万かかるというのだが、検索したところ、心臓病の手術でいちばん高額なのは、人工弁置換術(2弁)で500万~550万円とのこと。ただしこの金額は全額自己負担だった場合である。国民健康保険である程度押さえることができる。ボンベイという血液について…

  • リチャード氏の埋葬に関する余興(2013)

    リチャード氏は 24時間営業の 駐車場に 掘られた 穴のなかで からだを埋められてた レスターでのことさ その穴は 忘れられてしまったけれども、 つい先日掘り起こされた かれは至って正常だが ヘンリーやボズワーズと戦った1485年 味方の裏切りによって、 戦死したためにひどい人間不信に陥ってしまってたんだ かれのからだはやがて丸裸にされ かれの支持者たちに かれの存在を報せるよう曝され かれはいささか不機嫌だったらしい そしてお次はグレイフライヤーズにある、 修道院に埋められた ということなんだ ことのはじまりはこうだった ジョー・アップルビーという骨学者がはじめに頭蓋骨を見つけた 頭の傷をみ…

  • A Dream Are What You Wake Up From

    かろうじて20代だったころ 赤十字病院にいた なじみとなったアルコール性の膵臓炎 好きだった女の子をおもいだしながら やがて来るだろう 使者たちに願ったもの けれどかれらは来なかった 天は鳥の羽根 あるいは猫の唇 退院してすぐにかの女の手がかりを探した それくらいどうしても会いたかった 幸いにも見つかって 託けを送った けれどかの女はあまりに冷たく あっけなく返事を返して来なくなった またわるい酒に呑まれて かの女が沈黙した1年ものあいだ かつてのいじめっ子たちに罵声を浴びせてまわった きみはいった ぼくがひとを傷つけたと けれどきみはかれらがぼくにやった仕打ちを知ろうともしなかった あれから…

  • something must breaking

    www.youtube.com * きょうはじぶんの演奏を動画に撮った iPhoneを買ってからしばらく経ったものの、 そういった挑戦をいままでしてなかった きのうの演奏で手応えを感じたので、 いくつか動画を撮ってSNSに投稿した ライブハウスにも送信しようとおもったものの、やめた いま段階ではライブをやる価値はない あとはルーパーとアナログディレイを買う必要がある さすがにvolcaシリーズを三つも持ってそとにはいけない モジュラーとエフェクターだけで完結できるようにすることだ * 詩集の見本を森先生に送った それから詩を三つ書いた できるだけソリッドで禁欲的な詩集をつくりたい いくつかの野…

  • 乾涸らびた道に南半球をめざす蟻たちの行進がつづく いずれの運命、あるいは私的な詩を全うするべく立ち上がった足 われわれがわれわれでないと気づかされる、ささいな情景たち 一人称を見失いかけたおれを慰めるかのような象形たち いったいどれほどの代償を以て、この道を歩むのか おれにはいまだ払う術が見えたらない 謀略に充ちたデヴィッド・バーンの眼差し dance と fuck に溢れたショービズの世界 憧れはさもしく、望みは卑しいとおもわされる祝祭 やがて零れだした果肉を受け止める皿がないという理由で 配給米を拒絶された女たちの初夏よ ああ、きっとこんな妄想もたやすく記述されてしまうんだ おれがおれのな…

  • おれの徒然〈09〉「途中覚醒」篇

    * それにつけても途中覚醒である。いつも0時くらいに眠るのだが、それが4時ぐらいで眼が醒めてしまうのだ。こいつにはだいぶ困った。ただでさえ、眠剤がないと眠れないのに、薬を嚥んでも起きてしまうのだから。というわけで途中覚醒について検索すると、どうも漢方がいいらしいので近所の内科へいった。そしてだされたのがこれだ。 * サルバトーレ・マーラの時計を買い直した。2代目である。以前のものには風防ガラスに罅が入ってしまったし、動かなくなってしまった。しかも風防ガラスを交換するだけで¥7,700はかかるのだ。それじゃあ、新品を買ったほうがいいとおもって買った。定価は、¥25,000だが、楽天市場では¥10…

  • 夏の世界

    現在を過去のように話す男たちが 路上で種子を蒔いている 真昼の儀式めいた 時間を 過ぎ去っていく詩業 うずくのは唇 うめくのは棺 あらゆる鍵穴と符合する夏の神経痛 七月よ、おれは産まれた おまえの腕にだれかたおれがいま、 為すべき判断を下すとき たった一台の三輪車が主語にまでなったかのような快感を憶えている いつだったか、なくした人形を探しに公園を訪れたとき 終わりのない焦りのなかでささやかな悪意に眼醒めてしまった おれはじぶんがなにかわからないものに憑かれ、 そしてさ迷ったんだ たったいま時の明滅するバーガーキングで かじりついたアボガド・ワッパーが 店内で爆発炎上する、 うつくしい場面 い…

  • 映画『シン・仮面ライダー』への疑問符

    www.youtube.com * 去年の春に公開された映画で、観にいったときはわるい部分ばかり見えて、正直ストーリーに頭が入らなかった。ところがAmazonプライムで観て、なかなか話の筋はいいなとおもった。しかし改めて映像表現としての疑問、世界設定の疑問がどうしても湧いて来たので、ポイントを並べつつ、語りたいとおもう。 それにつけても口惜しいのは日本に於けるデジタル撮影の絵作りである。不自然に明るく、平面的で、奥行きがないのだ。これをいったいだれが解決するのだろうか、いまだに洋画との差は歴然で、やはり人種によって見え方がちがうのだなとおもう。デジタルはたしかにきれいではある。しかし物語には合…

  • おれの徒然〈08〉

    * カメラが届いた。TIARA Ⅱである。傷と凹みが残念なのだが、いまのところ手に入るのはこれだけだ。まあ、¥5,0000あればもっと状態のいいものに出会えるのはわかってるが、どうしようもない。そんな金が入る予定もないし、フィルムだって高い。しかたない。 * きのう、はっぴいえんど『風街ろまん』LPが届いた。去年、予約したのだが、生憎second pressになってしまった。Amazonの特典でメガジャケがつくのだが、こいつの役割がよくわからない。ポスターにするには小さいし、飾るには半端だ。これではっぴいえんどは3枚そろった。あとシングル『12月の雨の日』を買うだけだ。 * きょうは夕方から映…

  • 音楽をください

    ロビー・クリーガーのように、ピーター・ブロデリックのようにギターが弾きたい ときには折坂悠太のように吼えたい、三上寛のように私小説でありたい ことごとく滅びたはずのぼくを呼ぶ音楽たちをいまも愛おしくおもう 堀内幹のよう懐いだされても、宮本浩次のように忘れられもかまわない ぼくがぼくの文体を得るのはいつも他者の声からだった ヘロー、ヘロー、涙が抒情であったときに帰りたい ぼくのなかでじれるジョイ・ディヴィジョンや、トム・ウェイツがいまでもなごる この海岸、そして浸透する大人たち 谷口健、そして吉村秀樹へと至る道をどう生きていいものかいぶかった 松崎ナオよ、あなたの裏声はこのバックスペースには届い…

  • 社会的弱者を道具に自己正当化はできない。

    * はてなブログのプラットフォームに変更が加えられ、投稿についたブックマークが見やすくなった。ぜんぶで52ある。そのなかでもぶっちぎりなのは'17年に書いた『夏の諍い──山下晴代氏とのいざこざ』だった。なぜか? 4人もがブックマークしている。 mitzho84.hatenablog.com この投稿は7月に起こったfacebook上での、氏とのやりとりを軸に語ったもので、ことの発端、両者の発言を掲載し、続篇『愛と人道の裏側で──ぞく・山下晴代に寄せて』に繋げている。 mitzho84.hatenablog.com 氏のネットでの言動を見るにどうにもかの女のなかには完全無欠の弱者というものが存在…

  • おれの徒然〈07〉「追憶」篇

    * 12月、1月と無駄遣いで終わってしまった。金が入ったのにろくな買いものもできずに終わった。楽器屋に駆け込んでLAGをもういっぽん買えばよかったとおもう。買ったものはLP1枚、安売りの時計、レコード入れぐらいなもので、あとは酒に消えてしまった。7万はかなりデカい。デカチンである。だのにおれはオークションやメリカリでカメラを買うことにばかりこだわって失敗した。 というわけできょうはカメラを買った。fujifilmのTIARA Ⅱである。備品・完全動作品ということで¥34,000もした。しかも28年くらいまえのフィルム・カメラだ。どうかしてる。このカメラは'97年撮影の映画『ラブ&ポップ』で主人…

  • ロックンロール

    www.youtube.com だれかがいったようにロックンロールにも自殺にも合わない時代だ 失うには速すぎた、撰ぶには遅すぎる、そんな時間が過ぎる 莨をやめるように生きるのをやめられない どうしたものか、そんな時代を生きて、 わたしはすっかり怖じ気づいた 愛がなんでるかをわたしは知らない きみも愛をなんであるかは知らない きみがずっと知ったふうな口をつづけるのが不愉快だ なぜって?──そうわたしはいつも疎外者だったし、 アンプ・スピーカーの具合はずっとわるいままだったし、 きみのいう希望にはずっと脅かされて来たからだ 南半球の歴史──焼け落ちる莨の速度がわたしに迫って来る 詩文を造形しながら…

  • クール誕生

    for O ことばのなかではどこだってゆける──19歳のぼくはそうおもっていた するとこの世界はどの現在をたどっているのか──40まぢかのおれはおもう 乾いた助辞と接続詞をやりながら、わたしはやってきた 迷いと索漠のなかで準急列車が梅田にむかっている わたしは入り江を求めてさ迷う釣り人みたいに この畦にたどり着いたんだ きみはいまどこにいる? きみはなにを撰ぶ? 風上に立った老人たちが石蹴り遊びをつづけるように、 きみも縁日の世界へと旅立ってしまうのだろうか やめておくといいい、 あそこにはもう航海日誌が残されただけだ 星のコスプレをした退屈人たちが立ち上がる沖で、 いまいちどわたしたちは叫ぼ…

  • Culliner Wharf in Heaven

    for U 悪夢を謳う儀式をやめられないでいるトラッカーとともに ぼくはモー・タッカーのドラミングを聴いている どうしたものか、かの女が左利きにおもえてしまう さっき尋問のようにつづく高速道路を抜けようとして、 誕生日を失った子供らとともにサービスエリアを抜けたのは午後の真実 ささやかなやさしさでぼくにことづけをする幽霊たちと、 おなじような顔をして、きみが窓に立つ その一瞬、その挙動 見逃したはずの科白でぼくを責める眦、 いつかは──とぼくがいう きみを愛せるかも知れないと 小学校で見つけたきみの滑稽なざま きみがぼくを嫌悪する百の理由のなかで 見失ったはずのけものたちが とにかく臭いんだ …

  • ぼくの電話

    ずっとのあいだ、 ぼくの電話は沈黙している 当然だれからも声がかからない だれかがぼくを知っているはずのなに 親しいひとすらもぼくにはない 羽のような塊りが浮遊する午後の窓 電球を数える子供の声がどこからかしている それでもぼくの電話は黙っている ぼくはきみの好きなものがすきだとおもう でも、きみはぼくの好みを憎みつづける 階段のない裏庭で、過去にたどり着くという遊び その真ん中に誘動円木をしつらえろ ぼくが此処まで来て だれもいないとしても ぼくにも方法と愛が必要だとおもう 迫り来る壁のなかで着飾った声で だれかが受話器を投げる、投げる 池の鯉のように口をあけた姿をしてなおもぼくの罪を数える…

  • Culliner Wharf in Heaven

    www.youtube.com www.youtube.com for m 悪夢を謳う儀式をやめられないでいるトラッカーとともに ぼくはモー・タッカーのドラミングを聴いている どうしたものか、かの女が左利きにおもえてしまう さっき尋問のようにつづく高速道路を抜けようとして、 誕生日を失った子供らとともにサービスエリアを抜けたのは午後の真実 ささやかなやさしさでぼくにことづけをする幽霊たちと、 おなじような顔をして、きみが窓に立つ その一瞬、その挙動 見逃したはずの科白でぼくを責める眦(まなじり)、 いつかは──とぼくがいう きみを愛せるかも知れないと 小学校で見つけたきみの滑稽なざま きみがぼ…

  • 夜の中心地

    * ふるい納屋にしつらえられた祈祷台からひとりの女がジャンプする 1920年代の、イギリス製で、オーク材 スパークしたあらゆる過去が、 ひめられたものを悉く暴露する だれかが扉を叩く だれかがそれに答える 長い祝日のなかで冬の花だけが 夏の予感のなかでみずみずしい声を放つ。 * 星の在処をおれは探していた 暗い御堂のなかを進み、 3番めの室に入る そのとき、すれちがった男が木曜日だと識ったからか、 おれの全身をまさぐる季節と、 おれのあたらしい靴で、 おおきな手をふって、あたらしい顔を手に入れる。 * すべてがそれらしいふるまいで去ってゆく おれの知らない隣人からその隣人へと手渡す花や 過去か…

  • He Said

    存らしめよ、かれはいった ばかな、そんなばかな、 たわごとはたくさんだっておれは応えた 芝生のうえを通過する鈍行列車や、 ハイカーたちのあいだを縫って、 交通網はさびしい だれがだれを裁くのか おれが鯖を捌くのか ひらかれた天戸のなかで ふるえてる女神をいままさに 犯そうとする、いっぴきの副詞 助動詞と共同正犯をやらかした修飾詞が、 おもい灰語のなかで澱む いまさらかの女をおもってもなにも帰って来ないという軛のなかで、 おれが乾涸らびるのをどうか、見届けていて、 存らしめよ、そうかれはいった 氷上を滑るキャデラックのように 流線形の未来を甘受するのに溺れ果て、 やがて消えていく対象におもいを馳…

  • 見世物小屋の私生児たち

    www.youtube.com 産まれてからずっと、 わたしは逃げつづけてきた 幾度もいくども素足で階段を上った あたりまえのことができず、 踊れない腰つきで、 ステップを踏む いくつもの咎を塩素で洗い流し、 見世物小屋の私生児たちを見限った そのつもりできょうまで過ごしてしまった だけどわたしの属性はあくまで銀河であって路上ではない ビタミンの欠乏した躰でまぎれもない電波を受信する 麦の芽を解す春の雨のようにレインコートが降りしきる町で、 たったいまインタビュアの突きつけた質問を 地獄まで蹴り飛ばす わたしになにもいうな わたしになにも訊くな わたしはなにも知らない わたしにはなにもできない…

  • おれの徒然〈06〉

    01/12 1時、床に就く。夜中、左足の痛みがひどい。散歩のせいか。やはり靴が合ってない。朝、激痛で眼醒める。まだ8時まえ。おれは歩くことさえできないのか。テキスト入力のレスポンスが遅い。9時に医者、きたむら内科にいくことにして朝餉の支度。喰う。そして内科へ。けっきょくまた心療内科で坐薬をだしてもらうようにいわれる。小さな坐薬を処方されて帰る。2本同時に使う。午まで眠る。痛風と燕麦について調べる。毎日喰うのはよくないということだった。鶏胸肉もよくない。牛乳とヨーグルトと魚にするべきか。判断がつかない。プロテイン、MIKAパンとチーズと冷凍野菜にでもするか。 どうにも入力と、方向キーのレスポンス…

  • おれの徒然〈05〉「成人式」篇

    www.youtube.com 01/07──予感篇 ★ 1時に床に就く。音楽が一瞬聞えた。だれかが室にいるのかも知れない。だれもいない。たまたま廊下を歩いたやつのスマホから流れたものかも知れないが、ドアの音はなかった。鍵が開いてた。ようやく寝つこうとしたとき、電話が鳴る。おれはでなかった。そのとき、蛇のような生きものが蒲団に這入ってきた。慌てて起きる。なにもない。また眠ろうとする。電話の音。なにかが素早く這入ってきた。軟体動物のようにおれの躰にしがみつく。一瞬熱くなって光った。蒲団を捲る。なにもない。アルコールに起因する幻覚や幻聴かも知れない。 夢/古いレコードについて男たちと話してる。列車…

  • H氏への書簡〈02〉

    www.youtube.com ★ いやはや、信じがたいほどに混迷した年末年始を迎えました。いろいろと失敗を繰り返し、いまはようやくblogを更新したところです。正直、タイピングが覚束ない。またしても酒にやられています。本はいろいろと入手したものの、内容が入って来ないです。減らすつもりだった体重も増えてしまった。なんだか、輪郭のない不安にやられています。4年も使っている腕時計が故障しました。原因不明です。いまはメーカー修理にだす予算もないです。飛べない豚のような気分。それでも、せめて墜落する場所だけは撰びたいという欲望。 今年でもう40になるので、じぶんを変化させなくてはとおもっています。悪習…

  • PERFECT DAYS

    www.youtube.com www.youtube.com ★ ようやく酔いが醒めた きょうで6日か 年末年始は前後不覚だった とにかくひどい浪費 ¥10,000以上も酒に使った 4日なって映画『PERFECT DAYS』を観た ヴェンダースは『だれのせいでもない』以来だった 少しの冒険も赦さない、 ヒューマニズム過剰な作劇で、 エンディングを飾る役所広司のアップは滑稽にさえおもえた 気づくと時計の調子おかしい、どうやらメーカーで修理するしかない でも、そんなときに限って金はなかったりする 諦めて残金を酒に注いだ おれはまったくどうかしている 不安な気分 ペナルティキックを受けたゴールキー…

  • songbird dead in the water

    www.youtube.com ★ 25日に工賃が入った まえよりも多い¥9,836だった 師匠に作品を送り、友人に本を送った ジュンク堂でジョン・ファンテの『塵に訊け』新訳を求めたものの在庫なし 帰ってAmazonで注文した で、残った金は酒に消えてしまった まったくどうかしている 酒を呑むと生活バランスが崩れてしまう 変に気が大きくなるし、 じぶんの未来を見失ってしまう きのう知人女性から送金の申し出 きょうメールを受け取った、 送金に電話番号が要るという、 もしかしするとかの女は東欧某国に一時帰国しているのかも知れない だって送金に電話番号が要るなんて聞いたことがない どうしたものかうつ…

  • It's Christmas In Heaven

    www.youtube.com ★ おお、聖なるかな ひとびとよ 飢えた路上に立つ未来のおれよ この夜の果てに旅立とうとするものらよ けつでも喰らえ なにもかもがうそ なにもかもがでたらめ おれはサンタクロースなんざ信じたことがない 幼稚園の催し 隣の山口公民館で モノクロ・アニメの上映会 仮装した男を哀れげに見たおれ 性と聖を掛け合わせた惨めな動物たち そして羽をもがれ、地に伏したるわが同類たち 〈肉体はない、だがまだ死んでいるわけではない〉とつぶやく幽霊たち そのなかでもっともふさわしい死を撰びだして「幸福」と名づけたい リズム・パターンに合わせてウォークマンを踏み潰す儀式 あらゆる孔に符…

  • おれの徒然〈04〉「屁みたいな人生だ」篇

    soundcloud.com きょうは県民会館のイベントで弾き語りした。曲は『野焼き』で、前説で2年まえに死んでしまった詩人・田中修子氏への追悼であると宣った。冥府へと逝ったかの女が喜ぶかどうかは怪しい。大変に怪しい。存外ながら緊張して、手がガチガチになってしまった。帰ってネット浸り。『5chまとめのまとめ』で、 blog.livedoor.jp という投稿を見た。そして『適職診断VCAP』というものを知ったのでやってみた。 結果はこちら↓ vcap.vone.co.jp 人生を楽しく生きる知恵と方法を心得ている人物です。非常に幸せなタイプです。環境に関係なく楽しみを見出だし、悲哀の中に喜びを…

  • 幸福な朝食、退屈な夕食(仮題)

    soundcloud.com きょうは録音トラブル。シンセの音をライン録音しつつ、ヘッドホンでモニターするつもりが、ケーブルの断線でだめになった。買って1年のオーディオテクニカがだめになった。しかたなく、きょうは一曲だけミックスして終わりだ。 きのう、長篇詩の試みとして以下の詩を書いたものの、やっつけ感がひどい。肉体的な詩とはほど遠い出来映え。これではいけない。題名は斉藤和義の曲から取り急ぎで引用した。ほかにも『朝食と夕食』とか、『スロウ』、『drive』、『at the drive-in』、『サービスエリアにて』など、いくつかおもいついたが合わなかった。というわけで題名すらもやっつけ。実りの…

  • おれの徒然〈03〉&句篇『氷の山』

    ★ 1時過ぎて薬を嚥む。20分、床に就く。夢/ドラマの音楽にかかわることになったものの、ロケ地に到着できない。途中、くるりの岸田・佐藤両氏に遭う。かれらと話す。ホテルでは両替が出来ないといい、岸田氏が¥3,000貸してくれた。感激する。佐藤氏がタワレコのbounds紙上でおれのことを読んだという。──10時まえに起きる。 いったいなにがほんとうだったのかと、戸惑うときがある。木曜日、なにもかもが不在のひと日。宛てのない欲望を天日にかけるひと日。冬凪を走る車。hotel QUEENの跡地で集合住宅の建設が始まっている。そのさき動物病院跡地で基礎工事が始まっている。掘り起こした石をトラックに積むと…

  • 映画音楽20選

    お題「映画音楽が好き」 ★ 小さい頃から映画音楽が好きである。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに始まって主に洋画の音楽を愛聴してきた。ここではジャンル問わず、並べみた。 ★ 『バッファロー'66』(Buffalo '66) 音楽:ヴィンセント・ギャロ www.youtube.com www.youtube.com Buffalo 66 アーティスト:Ost Amazon BUFFALO 66 アーティスト:サントラ,ビンセント・ギャロ,イエス,ビンセント・ギャロ・Sr.,キング・クリムゾン,スタン・ゲッツ メルダック Amazon 『パリ、テキサス』(Paris,Texas) 音楽:…

  • 鮪が赤い

    * みささぎにかかる光りかおれたちの過去などまるでなかったみたい きみのゐる場所がわからずアンテナの不安ばかりがつのるゆうぐれ 青騎士のようだとおもう枯れ木すら戦へむかう馬のようだね かのときもおもいでならんゆうづきのかなたにわかれあるのみと識る 黒天使 うたをかぞえるつかのまの永遠なれどただ愛しくて ゆめ終わる ときを悼みてカスクール・サンドを喰らう駐車場にて ぼくがまだ若いよすがを抱きしめる 終演までのくらがりのなか いまだ知らないきみをつづる詩も赦されて生牡蠣を洗う夜 うそがまだやさしい真昼 緊縛のバニーガールをひとり眺める 死地はるか遠くにかすむ花もなし見棄つるほどの若き晩年 歌碑を読…

  • the beggar's boogie proclamation!!!

    広告募集中 ★ 1967年に〈我慢するのはもう飽きた。すべて思い通りにやってみようと思う〉と、寺山修司は書いている、〈それが地獄めぐりの始まりでしかないとしても〉と。おれもそう考えている、──というのもお行儀よく文章を書き綴ったところで、なにも得るものがないからだ。’17年から始まったこのblogも6年を過ぎようとしている。これからはもっと自分本位でもいいのではないかとおもっている。いままでの罪や咎、あらゆる悪徳を貪って来た過去を肯定し、やり直そうじゃないかとおもう。もはや都合のよい隣人としてのおれは終わった。他人の湿った微情を期待する犬のような時間も終わりだ。地獄のように君臨する家父長主義の…

  • おれの徒然〈02〉

    《監房のなかで、かの女はじぶんの罪について考えることもしなかった。ただこの世界との違和感を消し去ってくれるような迷妄を求めていた。ほかの拘留者たちと話もせず、ただただ迷妄の扉がひらくのを心待ちにしていた。格子窓の外はまだ午である。夢を見るのは早いというのにかの女の閉じられた眼は人生など死に際の夢に過ぎないと確信していたのである。》 旧いノートを漁っていると、たびたび小説のような文章に差し掛かる。物語にならないうちに終わってしまった断片がある。おれはじぶんが味わって来たさまざまな虚無をおもいかえす。そしてタイムラインに唾を垂れる。ああ、もうすっかり、終わってしまったんだ。青春とか、可能性とか、欲…

  • in missing feeelings

    ★ だれかユカコを知るひとはいないだろうか と、おもう かつてユカコというなまえの子が好きだった かの女のみじかい髪、そして少年性や、 透き通った声がおれを高ぶらせた かの女は12のときの初恋だった そして幾年もの悪夢だった 15になってかの女とおれはおなじクラスになった でも、おれは登校拒否をしていて、 かの女と会うことはなかった あの頃は、対人恐怖と醜形恐怖に悩まされていて、 実家では父の暴力と過干渉ぶりにいつもいつも、 脅かされていたものだ おれは救いがたい臆病者だった 修学旅行にもいけず、 心のなかに閉じこもった 夜をさ迷い、 幹線道路を抜け、 未明のコインランドリーや、 公衆電話で朝…

  • おれの徒然〈01〉

    www.youtube.com おれはどうにも詩の朗読というものが苦手で、そのうち片桐ユズル氏が西宮でやってるアレキサンダー・メソッドでも受けようとおもってる。片桐氏はオーラル派の詩人で、VA『ほんやら洞の詩人たち』というLPにも参加してる。それでもやはり気が乗らないので、AI学習でじぶんの声を使って、テキスト読み上げで、朗読音源をつくろうとおもった。いろいろサイトを見たのだが、どれも高価で手が出ない。というわけで、「OnSay.ai」のβ版でじぶんの声を録音した。ところが現時点でテキストの読み上げには対応してない。β版とはそういうことか。なんの役にも立たない。肝心の技術やプラットフォームはま…

  • how to writing daydreaming

    ★ 小説を書くという動機を失って以来、 物語が読めなくなった 生まれてこの方、 純粋な娯楽として本を読んだことがない いつもいつも分析し、技法を盗みだすために本を読んで来たせいか、 どうにもただ愉しむということがわからない おれが読書に熱心だったのはせいぜい長篇を書いているあいだまでで、 あとはほとんど本の死蔵だった 研究対象として満足のいく本をただ集めていただけだったようにおもう そしていまはや研究にも興味がない おれは世にでるために書き殴ったけど、 おれは一歩もそとの世界へでられなかった 真昼の球体のなかでやけっぱちの白昼夢をならべたて、 そして口を噤む たったそれだけの現象学が 古いアパ…

  • 小説『裏庭日記/孤独のわけまえ』のための手引き

    表紙 この小説では3歳から34歳までの自身と、アメリカの架空事件を描いている。製本の代金が高いのは、それだけ原価がかかってしまったということだ。最近、Kindle版に不具合があり、それが修正不能というわけで販売停止した。もしだれかが一太郎からKindleデータをつくるための、わかりやすい手段を教えてくれたらいいのにとおもう。せっかくKindleが売れても返金しなきゃならない悔しさよ。今回は小説のために参考にした本、そして書きながら聴いた音楽をご紹介しよう。 *種本 サム・シェパード『モーテル・クロニクルズ』から作品構成を借用。 チャールズ・ブコウスキー『ポスト・オフィス』、『勝手に生きろ!』、…

  • H氏への書簡

    www.youtube.com わたしの場合は家庭内暴力を起こしてしまったので家族には絶縁されてます。その分、親の介護とか考えなくともいいようになっているので気楽はありますが、中年になって来るといろいろと淋しいものを感じてしまう。これまでじぶんが身近な関係ですら、破壊対象や消費対象としてしか扱って来なかったことを悔いています。いまさら取り戻しようもない信頼や繋がりのことで悩むこともしばしばです。 最近は映画全然ダメですね。集中力がつづかない。短い動画をyoutubeで済ますばかりになってしまった。物語は避けて、ハウツーやノンフィクションを観るだけですね。今月は鈴木清順の『大正浪漫3部作』のリバ…

  • Alcoholic never end

    www.youtube.com ★ きょうでようやく素面になった 17時から9時18分まで眠った なんどかずれた感覚 ネットの知り合いから電子書籍の不具合を報告される 試しに原稿を見ると、むちゃくちゃ 画像と数字だけしかない 13ページしまない とにかく用事があったから 朝餉を喰ってでかける 市内の作業所でのイベントのために ギターを担いでゆく 10時半に元町へ 2回弾き語る 最初は空腹で、 2度めはとちりまくった 帰る どうにか電子書籍をちゃんとだしたいとおもって、 調べに調べる、験しに験す どれもでたらめ EPUBもKindleもエラーで出力されない wordも験したが、そもそもおれのPC…

  • drink afternoon

    www.youtube.com www.youtube.com いったん呑みだすと、 なかなか止まらないので 困る 朝酒をやった 朝寝した 15時に起きた ブラックニッカを買った 19時まで眠った カネコアヤノのDVDを観た どうしたものか おれは禁酒の誓いをやぶって 金を減らした もはやじぶんの現在地もわからない あと¥2014でやりきるしかない 13日にはイベントのリハで、 ギター抱えて作業所だ ギターはガット 最近、鶏皮を喰うのをやめた 体重が少し落ちた こんなこともある まあ、きょうはハズレの日だってことだ それで赦してもらいたい おれは酒で参ってる 15日には検診 きょうは手のひらを…

  • I am not a drinker

    www.youtube.com www.youtube.com きのうの夜から、 禁酒の誓いをやぶってる きょうは2本呑んだ 京都から詩人の西村玄考が来た かれもおれも無口で、 気まずい時間だったようだ 互いに写真をやってて、 おれはかれの参加する個展のために 4つの写真を提供した きのう届いた、 校正刷りの見本本をかれにもらって頂いた それに歌誌『帆』2冊と、CDーRも渡した そんなところ おれはいまEarly Timesを呑んでる ソーダ割りでだ あしたから素面にもどるために 今月は無駄遣いが多かった LP1枚、 CD2枚、 DVDを1枚、 Blu-rayを1枚、 そんな感じだった あと¥…

  • the gost writers inside me

    www.youtube.com 夜ぴって、 むかしの日記を整理していた 2010年のノートに手をつけたところでやめる かつてはC罫のcampus noteに細かい字でびっしりと日記を書いてた いまはそんなことできないし、正直読み返すのも一苦労だ 服薬 2時過ぎて床に就く 10時まえに起きる 朝餉 ひきつづきノートの入力 ぜんぶをタイプするつもりはない 簡潔にその日その日にあったこと、やったこと、おもったことを書く 余計な随想だったり、考察なんかはカットすることにした でなけりゃ、百年はかかってしまう 午までやる 昼餉 そして午睡 15時まで寝る その途中に届いた製本を開封する 短篇集『旅路は美…

  • the boys color's lust

    www.youtube.com 詩を書こうしたけどだめで、 けっきょく0時半過ぎて床に就く 二度寝して10時まえに起きる 朝餉の支度 できてから少し眠る 11時まえにLP『雨 / モップス'72』が届く 開封 LPがジャケットに収納されてなかった 開けてみる 帯が裏半分だけ残ってる LPには発売日と見本品という文字 収納して棚に飾った 飯を喰う また寝る 一番下の妹となにやら話す夢だった 夢のなかではかの女はまだ小学生だった 現実には今月で28だ 暑くなって眼が醒める 私誌『東京荒野』が届いてる 原稿料¥3,000とともに それを口座に入れることにして、 カネコアヤノの武道館Blu-rayを買…

  • I'm standing nowhere

    www.youtube.com 寝苦しい夜だった 明け方、眼を醒ましたが二度寝 11時15分に起きる 朝餉の支度 メールを見る 「駿河屋」からも「ジスボーイ」からも連絡なし まだこの時間だ 13時を過ぎたら問い合わせの電話をするか 飯を喰う 15時まで眠った 「ジスボーイ」から返事があった 振込先を知らされる さっそくLPの代金を振り込もうとするもSMSの受信と来やがる 携帯電話は充電切れだった なんとかSMSを受け取り、パスワードカードの数字を入力 完了 「駿河屋」のほうに電話を入れたものの、 自動音声で発送まで8日かかるとのこと 映画は終わってしまったけど、外出 新しい靴をおろした 踵の頑…

  • Smok on the willow

    www.youtube.com 12時過ぎて起きる 「駿河屋」からも連絡なし きのう注文確定まえに引き落としがあった 問い合わせたいが尻込み 不安だ。 きょうは火曜日で、 レコード屋から連絡はないし、 特に期待できるものはなにもない 朝餉の支度 鶏皮を棄てた 今後は脂質制限をする もったいないが我慢だ 喰い終わって14時 『ノーライフキング』のパンフレットを読む チロリンについて言及も記述もない 次に『子供のためのソルフェージュ』を見る これをどうやってギターに生かすのかは件の動画を観ないとわからない 17時過ぎまで眠った 飯を喰おうとしたものの、蚜が入っててやめた 棄てる 蕎麦でも喰おうとで…

  • alaive in the ash!

    www.youtube.com いったん4時に起きるものの、二度寝。 電話で起こされる。 でると切れた。 また寝る。 また電話、でるとハルエネ電気だった まえにも断ったはずだった 担当者不在ということにする また寝る 呼び鈴 映画『ノーライフ・キング』のパンフが届く PCを見る 11時半 レコード屋からのメールはないし、 しかも月火は休みだった どうして土日のあいだに返事を寄越さないのか 訝る 映画『夏の庭』のサントラが欲しかったのをおもいだす まえにブックマークしてたところは品切れだった 駿河屋で注文 飯を喰ってたら呼び鈴 置き配にしたはずのAmazonの配達 開封する 財布はサイズが大きす…

  • Sunday Blues Without A Girl

    www.youtube.com なにもないことが休息日の取り柄なのか。きのう来られなかった知人が来週の土曜日に伺うという。昼になって注文していたポルノVHSが届く。デビットカードが使えず、しかたなく金を下ろして払った。最近のポルノはまったく興味が湧かない。むしろ古いのを掘ってる。ただDVDにも配信にもないものは困る。P.C Sportとかユースプランニングのポルノが好きだったが、あれも配信にはない。どうしたものやら。映画だって『ノーライフ・キング』や『ユーリ』、そして『汝殺すなかれ』ほか、石堂夏央主演作はない。買ってデジタル化、どうしようもなく金がかかる。 なんだか救いがたい阿呆になって気分で…

  • Have I ever talked to you?

    きのう連絡があって、 ふるい知人と会うことになった 観るつもりだった映画をよして、 時間を確保した 室の掃除もして、 余計なものを片づけた 机にも台所にも便所にも問題なし 夕方というわけで 夕方まで待っていた Oasisを聴きながら本を読んでいた するとDMで、「来られない」という かれは財布をなくしたようだった 失望感のなかで無難な返事 書き送って息をついた これならきのう断って映画を観たほうがよかった 鈴木清順の『夢二』、 それから海鮮丼を喰う。 きのうはとにかく兵糧の買いだしと、 日用品の注文、 それから趣味のものや、 ポルノを買った ひさしぶりに人間らしい会話ができるとおもっていたらこ…

  • I remander nothing [I was loseing to past]

    写真のストックがあまりない。 近頃、小便がちかくなってしまった ガスもやたらに溜まって来る そして性慾が湧かない 過去への郷愁が薄れて来た わが晩年にとってこれはいい兆しだ きょうで12月になる おれはあいかわらず見放されていて、 どこの、だれにも用がない そんな暮らしのなかで 少しでも救いが欲しいとおもいながら、 古語辞典のページを捲る おもいは儚い そして透明になった茎がおれに降りかかる 兵糧を買いためて、 収納する 町田康の『ムルロアの収納』という歌を口遊み、 長い昼が終わったあと、 おれはジュンク堂で取り置きの本を受け取った 寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』の復刻版だ オリジナルは¥…

  • the fear feeling of middle age [so exit]

    きのうからきょうに及ぶ膨大な挫折 そしてよりどころない中年の危機 恐怖とともにステップを踏み、 そして転落するなにかが おれのなかで走る きょうも在宅作業をやり終えた このところはずっと楽器の録音で、 来月には市内の作業所が集まってイヴェントをやる おれはガットギターで弾き語りだ、 きのうもきょうも『野焼き』という曲に悩まされる ピッキングは不安定、そして声も不安定だった それでもようやくミキシングをやって、 きょうで霜月も終わり 長い夢のなかで、なにかが弾け飛んだ それがじぶんの顔だったかも知れずにずっとさ迷いつづける この技法の終着点を教えてくれ たったいま子供たちが泣きわめく、 いやいや…

  • and dreaming again(in a motion pictuer sound track)

    こんなにも寂寞な冬の日、 きのうはblogの閲覧数が53もあった、 いったいなにがあったのかと訝る きょうは18で、 なにが注目されたのか、 それはわからない おお、淑やかな獣たち おれの内奥を喰い荒らして、 涼しい顔で去ってしまうまでに どれだけの経験があったのかを 公衆電話から伝えろ 右に尖塔、 左には風見鶏、 そそり立った男が、 ゆっくりと落下する夢 連続を失った映画が、 おれのなかで夢を見る ひととひとが抱き合い、 そしていなくなる 遠ざかる景色のなかで 琺瑯の鍋がガンボを煮詰め、 おれは慄く おれは戦慄く 小さな駅がまるで大きな主語のように 都市郊外に建設され、 まるで辞を失ったかの…

  • 長篇小説『裏庭日記/孤独のわけまえ』について

    最初で最後の長篇小説、『裏庭日記/孤独のわけまえ』を刊行しました。自伝小説と、犯罪小説、そして詩が混在するという形式を採りました。二部構成で、前者が『裏庭日記』、後者が『孤独のわけまえ』となっています。以下のリンクより全文立ち読み可能です。 www.seichoku.com この小説は3歳時の最古の記憶から、’18年の2月までを書いています。わたしという人間がどういった過程で、現在のじぶんになったのかを描いています。育成歴、犯罪歴、病歴、職歴と、じぶんの人生の私家版をつくったということです。特に初恋への執着、親との歪んだ関係性、社会との不適合さなどを明らかにしています。 そのいっぽうでアメリカ…

  • 夜でなく、夢でもない。/中田満帆掌篇小説集

    わたしがいままでに書いた掌篇小説をあつめて本をつくった。作風は短篇とはちがい、散文詩で培った自動筆記的な手法を多く取り入れている。現実と冥府とを繋ぐパイプのようなものになっていればいいとおもっている。特に冒頭の『夢のなかの同窓会』、最後の表題作が気に入っている。文藝誌『東京荒野』でも順次掲載予定なので、そちらもチェックして欲しい。最初で、最後の掌篇集を愉しんでもらいたい。 www.seichoku.com 収録作= 夢のなかの同窓会──6 カスタマー・サービス──16 鴨歩きの正しいステップ──22 悪魔の私娼──30 アルパカを逃がせ──38 ペーパーナイフの冒険──44 砂漠963──53…

  • Don't after midnight

    このごろずっと、午前2時過ぎに眠って、次の日の15時あたりに起きてる。きょうは16時18分だった。なんてこった、楽器に触れる時間もない。時間の空費。そして時間があっても、手淫さえやる気にはなれない。冬がちかづくと、どうにもやる気が削がれる。岸田繁がどっかで「上達するには1日6~8時間必要」といってた。でも、おれにはなにもできそうにない。ものごとに集中できないし、どうにも投げ出してしまう。最近は、セックスについて考えなくなった。性行為、そして愛されることについて諦めがついてしまった。マスを掻くのも怠いと来る。ここまで来るとなにもかもが真っ暗だ。エロスに充ちた空想なんか、もう数年してない。金がない…

  • 旅路は美しく、旅人は善良だというのに

    収録作 旅路は美しく、旅人は善良だというのに *9 れもんの若い木々 *36 愛についてのみじかく、そして淡いなにか *53 ディック・フランシスを読んだことがない *58 家出娘 *69 ひと殺し *71 からっぽの札入れとからっぽのお喋り *80 インターネットと詩人たち *85 小説のあいまに *89 おもしろおかしく生きて死にたい *95 みずから書き、みずから滅びるってこと。(Reprise)*112 オイルサーディンによって書かれた詩論 *135 パンケーキの墓 *141 エセ詩学の半ダース・パック *155 それはまるで毛布のなかの両手みたいで *181 光りに焼かれつづける、う…

  • ガリバートンネルの閉鎖

    歌誌『帆(han)』は、けっきょく三浦氏の復帰と、3号の延期ということで片がついた。まあ、現時点で原稿が埋まっていないということもあるし、それでいいだろうとおもってだ。12月までにいったい、どれほど紙面が埋まってくれるのかはわからないが、ともかく少しは前進だ。 ところで三宮駅まえのガリバートンネルがとうとう閉鎖されたと、「神戸ジャーナル」の投稿で知った。写真を撮っておいてよかった。次の『帆』のジャケットにしようかとおもっている。 kobe-journal.com それにしてもフィルムの値段が高騰している。いつも使っているロモグラフィのISO800は、¥4,000未満から¥8,000以上になって…

  • 索漠とした気分、寂滅たる時間。

    先月末にはじめてひとまえでmodularを演奏した。作業所でだ。ファンクションキーを押し忘れたので自動演奏がうなくいかなかったが、なんとかやり終えた。きのうから作業所に復帰。はじめてライン録音でVolcaシリーズを録音した。なかなかのできだったとおもう。しかし、Volca2台の同時録音にオーディオインターフェイスが対応してないらしく、別録りしてミックスした。 www.youtube.com soundcloud.com 今月は初っぱなから買いもので、ほんとど使ってしまった。活動のほうはRCAケーブル、ギターシールド、写真の現像、そして恵送用の本の発注に遣い、趣味のほうではLP2枚(はっぴいえん…

  • 星蝕詠嘆集/Eclipse Arioso【Second Edition】販売開始

    '19年にだした処女歌集を再編集し、123ページに凝縮してリリースしました。よろしくお願いします。 www.seichoku.com 跋文より この歌集のオリジナルをだしてから、それを苦々しくおもっていた。あまりに自作について甘く、厳しさがないことをだ。今回、改訂版をだすにあたって40ページちかく削った。いまのわたしにとってほんとうに必要な、ほんとうに読んで欲しい歌に限定した。懐古趣味的な歌、イメージがあきらかでない歌、自己主張のような歌などを省いた。この本がどういった評価を受けるかはともかく、あれから4年経ってより自覚的に詠むようになったわたしが撰んだのが今作である。いくつか語法的なまちがい…

  • これからの方針

    ○文藝⇒短歌への一本化⇒文藝活動そのものからの離脱 小説はみな終わらせ、リリースしたので次は詩を終わらせる。いま詩集を書き下ろしているのだが、それを来年には完成させて第5詩集『夜の雷光』としてリリース予定。 短歌は来年、書き下ろしで第2歌集と、未刊行歌集、そして全歌集をだして休止する。歌誌『帆』については現在、制作中の第3号の進捗状況によっては、これも休止する。いずれにせよ、文藝活動そのものを休止するために活動するつもりだ。 ○音楽 今年はまだ一回しかライブをやっていない。いまは電子音楽をやるべく機材の蒐集と、モジュラーの練習をしている。しかし、KORG volca2台を使ってライブや録音をや…

  • 黒犬の眼球

    慈悲とつれあって深夜のスーパーを歩いた あるいは慈愛とつれだって萩の花をばらまいて歩いた おれたちにとっての幸運が猫のしっぽであったような、 あるいは取り残された者たちの最後のワルツであったような、 そんな心持ちで郊外を歩いたんだ まだうら若いきみの心臓にはどうやらとどかないようだが いったいどれほど距離をおれたちは歩いたのだろうか 慈悲はいう──おまえに救いがないと 慈愛はいう──おまえに愛はないと ひるがえったマントに黒犬の眼球を光らせて、 おれたちのまえをいまきみが通り過ぎてゆくんだ。

  • ブコウスキーの朗読を聴く

    for an album "Radio Bukowski" by Guilherme Lucas え? なんだって? おれは──英語がわからない。 ね、──そうだっていったろ? 聞えるか? なら水をくれ、 水でいい、 ふつうの水でいい、 炭酸水でも、 天然水でもない、 水道水に氷だ 氷はなくたっていい だから、 水でいいって、 早くしてくれ 水だよ つづり? そうか、 ならw/a/t/e/r だ え? 英語わからない ビールはいらない ほかの客とはおなじじゃない 金はだす 水をだして くれよ。 だっておれは詩──人なんだよ。 それであんたは何──人なんだ? くそっ、なんて熱い水なんだ! hot…

  • 天使たちの戯れ

    どうしたものか、現実がむきだしにされた食卓で、 顔の見えない相手と朝食を摂っている 現実はどうもおもすぎる おれは虚構の度合いをもっと深めたい だってそれがおれ自身の生き方だからだ もっと深いところまでうそでありつづけたい ふと手にとった短篇小説を窓のむこうに落とした けっきょくおれにできるのは手放すか増やしつづけること きのう拾った猫はもういない この場が好かなかったみたいで 取り残された毛布はまだ温かいという事実 なにもかもためらいのなかでしか機能しない事実 人語を忘れてけものになりたい 過去を殺して生き直したい あるいはそういった願いすらも抹殺するなにかを おれは探してさ迷っているのか …

  • なまえ (overwriting)

    あたらしい夢のなかで眼醒めることができたなら もうきみのことを懐いださなくともいられるかも知れない でも、ひとのない13番地に立つたびにきみを懐いだす いままで読んで来た悪党たちのなまえを算えるたび じぶんのなまえがわからないくなる どうしたものかきみとは まともに話すこともできなかった それまでの経験がまるでうそでしかなかったかのようにきみに牙を剥き、 そしてそれまであったほんのわずかな望みさえ手放してしまったんだから もはやもどり道のないところできみのなまえに疼きつづける、 きみのことばに疼きつづける、 きみがきみだけがほんとうの疵痕 あとはほんの失敗、ささやかな失態 なにも失ってなどいな…

  • 窓をあける

    羽根を忘れて取りにもどったのは11時半で、 きみのいない室から、やはりきみのいない室へ移動した きみのいない台所で、きみの指紋のないコーヒーを淹れた 少しばかり息を吐き、そしてじぶんがひとりぼっちだという事実 赦されないことをしてしまった幾年もの時間 こんな日にかぎって身動きがとれない おれの射程のなかにはもうきみがいない だのにこうしてぶざまにきみをおもいつづける、おれをきみは笑ってくれるだろうか なにもかもが見えなくなった室で、病に魘されたじぶんを見つめる こいつには希望も展望もない、ただただ老いてしまうことに恐怖しながら、 おなじステップのなかで腐ってしまうだけなんだ もう終わりだ、終わ…

  • 鰯の顔

    * 日干しする鰯の顔にぎらついたわれが映った両の眼の真昼 それは否 これも否かな ひとびとが遠く離れる夜中の気分 立ち昇る狼煙のごとく葬儀屋の建物がまた軒を閉じゐる 人間の家が心のなかになくきみのことばに滅ぶ祝祭 色が迸る 輪郭を突き破っては光りを信ず 声残る 星の残りを数えたる明けぞら見つむふたりの人間 手袋の片方失くす夜の駅 われが時代の喪失にとり 悲しみの家のなかにて人間のサイズが変わる きょうは2インチ ここでまた逢いましょうといえぬまま20年後の食卓に就く 灰色の唇ばかり人間を失いながら立つ道すがら 愛も死も厭いてオーデン詩集閉づまたも失う人間の道 肉体の居心地わるき秋の昼また一篇の…

  • 歌集『星蝕詠嘆集』改訂版

    www.seichoku.com '19年にだした歌集を再編集して、出し直した。40ページ消すって好い歌だけを残した。この歌集がどうなるのかはわからないが、非常によくできたとおもってる。前回のように『角川短歌』に紹介してもらいたいものだ。

  • バロウズの余白

    www.youtube.com * バロウズの酔夢のうちに横たわるおれの余生のカットアップは 塒なく地上をわれの巣と見做す老夫もあらじ秋の地平よ かぎりなくヤヘクの夢を見るときのアジア革命ひとり眺むる 呼ぶ声もなくて寝床に眼を醒ますヘロイン切れの酔い覚めの寂しさ わがうちのinterzoneひらかるる女房殺しのオカマの祝祭 わがうちの猫がひらめく暗黒に両の眼がまだ光りたたえつ 刈り人のいない時間よ死を孕む帽子のなかの自画像ひとつ 救抜の旅に憑かれて立ち止まる知覚の扉此処にはあらず 死に際の夢かも知れぬわが生のハーフボトルにしがみつく夜 放射性物語読む夜よいまはだれにも会うべきじゃない beat…

  • かの女たちにはわからない

    * 秋声のうちにおのれを閉じ込めてつぎのよるべの夜を占う 道を失う ひとの姿をした夜を突き飛ばしてまた朝が来る なぜだろう どうしてだろう わからない蟻の巣穴に零す砂糖よ みながみなわれを蔑して去ってゆくこの方程式の解とはなんぞ 旅を夢想する儚さよただわが両手に林檎がひとつ あいまいな嘘ばかりなり駅名をひとつ飛び越すわれの贖罪 鶏卵の高騰 われは斜に見て商店過ぎぬ月曜の朝 友に会う口実あらず夏の日の最後の一夜夢を過ぎ去る 天板がひらく真昼か子供用ピアノのなかに眠る子猫よ たとえばぼくの心臓のなかにもうひとつのぼくがあったとしたらどうか 兵士たるわれが頭蓋の内奥の戦場にひとり立ち尽くすなり 看病…

  • 倉庫街のタンゴ(2016)

    ベルが耳をつん裂くようにけたたましく十秒ほど鳴って、止まる。 サミュエル・ベケット『しあわせな日々』 * 照明器具 入出庫作業 在庫整理 ピッキング 派遣からの正社員登用アリ──求人広告 * かれにとっていまいましい月曜日の、早い時間というのにもかかわらず、子供が誘拐された。仕事にでられず、さんざあたりを走りまわって、いやな汗をうんとかきながら気も狂いそうになる。だれだってそうなるに決まってる。そうでないというやつがいるのなら、かれはそいつのつらにくそのまじったクリームパイを投げてやるだろう。週明けには入荷量が限度を超える。しかも一月だ。手いっぱいというところ、さんざ時間というやつに追いまわさ…

  • feelin' bad blues

    www.youtube.com 田園のなかでブリッジミュートを鳴らしつづけていた男がふいにうごきをとめ、 河べに立ちながら永遠ともおもえる時のなかで鳥を眺めている かれが悲しみの澱みたいにおれには見える それはこの10年ものあいだ眠っていたおれのなかの慈愛みたいなものなのか ともかくおれは早めに切りあげて河をあがった 石を探すにはこの河べはよろしくない だれか水切りをする音、 そして最後の暗殺 どれをとってもなにを見ても変わらないおれのなかの澱 その澱を鎮めてくれるひとをおれは求めつづける この静寂、そして感傷 惨めったらしいこのおれを救抜するひとを おれはいまも求めている 杭がいっぽん河床へ…

  • 花とゆめコミックス

    * 泣きそうな顔で見つめる 西陽にはきみの知らない情景がある 汗の染むシャツの襟ぐり 指でもてなぞるたえまない陽の光りのなかで きのうとはちがうひとだね きみがまた変身してる九月の終わり 涙顔するはきのうのきみのはず いてもたってもいられぬ孤独 探す指あってひとりの夜長にてキーを叩いて祈るさみしさ 彼方には夕陽落ちる 電柱のかげにかくれたものたちもゐて 救いなんかなかったなんてつぶやいたもうじき朝のときを憾みぬ 炎天の残る九月よみながみなおなじ答えをくりかえす昼 愛するとうそを吐いたね 幾年もかけてわかった鍵の在処よ 季がめぐる 星がめぐって夜たちのうらがわいつもだあれもいない 透き通った葉っ…

  • 夏のよるべ

    かつて昭和記念公園でわたしは森忠明と歩いていた 夏のあじけない夜でしかなかった わたしは師匠と話しながら 東京都市の暑さのなかで これからの人生についてみじかい詩句をひねりだそうとしていた 先生はいった、──"帰らぬといえぬわが身の母捨記"って季語はないけど秋だよな わたしのつたない俳句、そして情景の見えない夜のなかで わたしはわたしであることの非情さにやられていた 公園を歩き終えると終夜営業のファミレスで、 わたしたちは話をつづけた ──いい本、読んでるじゃないか。 ──おれもむかし読んだよ。 わたしはウィルソンの『アウトサイダー』と、 ヘッセの『荒野のおおかみ』を持っていた そしてかれから…

  • ぼくらが幽霊になるまでに

    捧げられたものと与えるものの区別がつかないままで、 ぼくは語って、きみは答えた、のはぜんぶがぜんぶ正解じゃないから なにものともつかない悪夢を乗せて亡霊がインターステイツを走る あかときのまぼろしみたいなかたちでもって説明書を読むとき、 セメダインがぼくの足下で泥酔していることに気づかざるを得ないのはきっと、 きっときみのせなかにある自爆ボタンに魅せられたからだった だのにきみはぼくを裏切ったばかりか、 形式を破壊した 『殺しを呼ぶ卵』──そんな映画が上映された町で、 ホドロスキーのまねをする演出家たち だからぼくは虐殺したんだ、夢のなかの親や姉を 答えのないからだを求めてしごく茎はまだ熱いか…

  • ラージサイズのペプシ

    * くちびるの薄き女が立ちあがる空港行きのライナーのまえ 夏終わる金魚の群れの死するまで鰭濁るまで語る悲歌なし もしぼくがぼくでないならそれでよし住民票の写しを貰う 悲しみが澱むまでには乗るだろう17系統のバスはまだ来ず ひぐらしも聞えて来ないゆうぐれの最初の合図きみ送らず 遠からずぼくが不在になる席にきみが坐ればそれでよしかな 空転すタイヤ啼きおりトラックのうしろ姿がむなしい夕べ 敵を愛す心もあらずいつわりの手ばかりうごく月曜の夜 よすがなどなくてひとつの花を折るてごころもない九月のおれ よこがおのするどき真夏終えて来てひとり慰む第二芸術 弔いの花はなかりき棺さえ枯れた地面に置かれ朽ちたり …

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