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  • 歌集『星蝕詠嘆集』改訂版

    www.seichoku.com '19年にだした歌集を再編集して、出し直した。40ページ消すって好い歌だけを残した。この歌集がどうなるのかはわからないが、非常によくできたとおもってる。前回のように『角川短歌』に紹介してもらいたいものだ。

  • バロウズの余白

    www.youtube.com * バロウズの酔夢のうちに横たわるおれの余生のカットアップは 塒なく地上をわれの巣と見做す老夫もあらじ秋の地平よ かぎりなくヤヘクの夢を見るときのアジア革命ひとり眺むる 呼ぶ声もなくて寝床に眼を醒ますヘロイン切れの酔い覚めの寂しさ わがうちのinterzoneひらかるる女房殺しのオカマの祝祭 わがうちの猫がひらめく暗黒に両の眼がまだ光りたたえつ 刈り人のいない時間よ死を孕む帽子のなかの自画像ひとつ 救抜の旅に憑かれて立ち止まる知覚の扉此処にはあらず 死に際の夢かも知れぬわが生のハーフボトルにしがみつく夜 放射性物語読む夜よいまはだれにも会うべきじゃない beat…

  • かの女たちにはわからない

    * 秋声のうちにおのれを閉じ込めてつぎのよるべの夜を占う 道を失う ひとの姿をした夜を突き飛ばしてまた朝が来る なぜだろう どうしてだろう わからない蟻の巣穴に零す砂糖よ みながみなわれを蔑して去ってゆくこの方程式の解とはなんぞ 旅を夢想する儚さよただわが両手に林檎がひとつ あいまいな嘘ばかりなり駅名をひとつ飛び越すわれの贖罪 鶏卵の高騰 われは斜に見て商店過ぎぬ月曜の朝 友に会う口実あらず夏の日の最後の一夜夢を過ぎ去る 天板がひらく真昼か子供用ピアノのなかに眠る子猫よ たとえばぼくの心臓のなかにもうひとつのぼくがあったとしたらどうか 兵士たるわれが頭蓋の内奥の戦場にひとり立ち尽くすなり 看病…

  • 倉庫街のタンゴ(2016)

    ベルが耳をつん裂くようにけたたましく十秒ほど鳴って、止まる。 サミュエル・ベケット『しあわせな日々』 * 照明器具 入出庫作業 在庫整理 ピッキング 派遣からの正社員登用アリ──求人広告 * かれにとっていまいましい月曜日の、早い時間というのにもかかわらず、子供が誘拐された。仕事にでられず、さんざあたりを走りまわって、いやな汗をうんとかきながら気も狂いそうになる。だれだってそうなるに決まってる。そうでないというやつがいるのなら、かれはそいつのつらにくそのまじったクリームパイを投げてやるだろう。週明けには入荷量が限度を超える。しかも一月だ。手いっぱいというところ、さんざ時間というやつに追いまわさ…

  • feelin' bad blues

    www.youtube.com 田園のなかでブリッジミュートを鳴らしつづけていた男がふいにうごきをとめ、 河べに立ちながら永遠ともおもえる時のなかで鳥を眺めている かれが悲しみの澱みたいにおれには見える それはこの10年ものあいだ眠っていたおれのなかの慈愛みたいなものなのか ともかくおれは早めに切りあげて河をあがった 石を探すにはこの河べはよろしくない だれか水切りをする音、 そして最後の暗殺 どれをとってもなにを見ても変わらないおれのなかの澱 その澱を鎮めてくれるひとをおれは求めつづける この静寂、そして感傷 惨めったらしいこのおれを救抜するひとを おれはいまも求めている 杭がいっぽん河床へ…

  • 花とゆめコミックス

    * 泣きそうな顔で見つめる 西陽にはきみの知らない情景がある 汗の染むシャツの襟ぐり 指でもてなぞるたえまない陽の光りのなかで きのうとはちがうひとだね きみがまた変身してる九月の終わり 涙顔するはきのうのきみのはず いてもたってもいられぬ孤独 探す指あってひとりの夜長にてキーを叩いて祈るさみしさ 彼方には夕陽落ちる 電柱のかげにかくれたものたちもゐて 救いなんかなかったなんてつぶやいたもうじき朝のときを憾みぬ 炎天の残る九月よみながみなおなじ答えをくりかえす昼 愛するとうそを吐いたね 幾年もかけてわかった鍵の在処よ 季がめぐる 星がめぐって夜たちのうらがわいつもだあれもいない 透き通った葉っ…

  • 夏のよるべ

    かつて昭和記念公園でわたしは森忠明と歩いていた 夏のあじけない夜でしかなかった わたしは師匠と話しながら 東京都市の暑さのなかで これからの人生についてみじかい詩句をひねりだそうとしていた 先生はいった、──"帰らぬといえぬわが身の母捨記"って季語はないけど秋だよな わたしのつたない俳句、そして情景の見えない夜のなかで わたしはわたしであることの非情さにやられていた 公園を歩き終えると終夜営業のファミレスで、 わたしたちは話をつづけた ──いい本、読んでるじゃないか。 ──おれもむかし読んだよ。 わたしはウィルソンの『アウトサイダー』と、 ヘッセの『荒野のおおかみ』を持っていた そしてかれから…

  • ぼくらが幽霊になるまでに

    捧げられたものと与えるものの区別がつかないままで、 ぼくは語って、きみは答えた、のはぜんぶがぜんぶ正解じゃないから なにものともつかない悪夢を乗せて亡霊がインターステイツを走る あかときのまぼろしみたいなかたちでもって説明書を読むとき、 セメダインがぼくの足下で泥酔していることに気づかざるを得ないのはきっと、 きっときみのせなかにある自爆ボタンに魅せられたからだった だのにきみはぼくを裏切ったばかりか、 形式を破壊した 『殺しを呼ぶ卵』──そんな映画が上映された町で、 ホドロスキーのまねをする演出家たち だからぼくは虐殺したんだ、夢のなかの親や姉を 答えのないからだを求めてしごく茎はまだ熱いか…

  • ラージサイズのペプシ

    * くちびるの薄き女が立ちあがる空港行きのライナーのまえ 夏終わる金魚の群れの死するまで鰭濁るまで語る悲歌なし もしぼくがぼくでないならそれでよし住民票の写しを貰う 悲しみが澱むまでには乗るだろう17系統のバスはまだ来ず ひぐらしも聞えて来ないゆうぐれの最初の合図きみ送らず 遠からずぼくが不在になる席にきみが坐ればそれでよしかな 空転すタイヤ啼きおりトラックのうしろ姿がむなしい夕べ 敵を愛す心もあらずいつわりの手ばかりうごく月曜の夜 よすがなどなくてひとつの花を折るてごころもない九月のおれ よこがおのするどき真夏終えて来てひとり慰む第二芸術 弔いの花はなかりき棺さえ枯れた地面に置かれ朽ちたり …

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