オモイカネの自伝 35 コノハナサクヤヒメさまがお命を懸けて天の御子だと証明した三人の皇子。ホデリ、ホスセリ、ホオリと名付けられました。 次男のホスセリさまは残念ながら、病がもとで早逝いたしました。しかし長男のホデリさまと三男のホオリさまはすくすくと成長していきました。 そしてわたくし、オモイカネも日向の、ある豪族の娘を嫁として迎え入れました。そしてほどなく男の子の兄弟が産まれました。長男がウワハル、次男をシタハルと申します。 ウワハルもシタハルも、ニニギさまの御子たちと兄弟のように仲良く、元気に育っていきました。 そして二人の我が子が成長した時、ニニギさまから東国の開拓を命じられました。 ウ…
オモイカネの自伝 34 コノハナサクヤヒメさまは仮宮の外に飛び出したかと思うと、そこにあった小屋に閉じこもってしまいました。 わたくしとニニギさまが急ぎ追いかけていくと、コノハナサクヤヒメさまは小屋の戸を内側から土で塗り固めていました。これでは中に入ることも、外に出ることもできません。 「コノハナサクヤ!わたしがわるかった!出てきてくれ!!」 ニニギさまは小屋の外から呼びかけますが、返答はありません。そのうち・・・ パチパチパチ・・・ 異様な音が聞こえてきました・・・小屋が燃えています! コノハナサクヤヒメさまが内側から火を放ったのです!! 「火を消すんだ!早く!!」 わたくしは配下の神に命…
オモイカネの自伝 33 ニニギさまがお后としてコノハナサクヤヒメさまを迎え入れた翌日、ニニギさまは巡幸先の仮宮から高千穂宮にお戻りになられました。 お后のコノハナサクヤヒメさまは仮宮に残したままでした。何分急なことだったので、旅の準備も何もできていません。 ニニギさまはお妃さまに 「近いうちに迎えに来る。待っていてくれ」 と言って、高千穂宮に戻られました。 さて、それから数か月の後。 ニニギさまはコノハナサクヤヒメさまを高千穂宮にお迎えするために、再び仮宮へ出向かれました。 ニニギさまは仮宮に入られました。わたくしは別室に控えていたコノハナサクヤヒメさまをお迎えに行きました。そしてニニギさまの…
オモイカネの自伝 32 その翌日、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメがニニギさまのもとに輿入れする日です。 その日、わたくしはニニギさまのそばから離れておりました。 付近の豪族の会合によばれ、ニニギさまの名代として赴いていたのです。その夜は豪族たちの宴席に招かれ、ニニギさまの滞在する仮宮に戻ったのは翌朝のことでございました。 仮宮に戻りますと・・・ そこにいたのはニニギさまとコノハナサクヤヒメさまだけ。 イワナガヒメさまの姿が見当たりません。どうしたのでしょうか・・・ 「ニニギさま、イワナガヒメさまはどうされたのですか?」 わたくしがニニギさまに訪ねると、思いもよらぬ答えが返ってきました。 「あ…
オモイカネの自伝 31 ニニギさまが高天原から日向に降臨して数か月。 このころになると、ニニギさまの日本統治も板についてきており、日々政務にいそしんでおられました。ご多忙の中にも充実された毎日を送られているご様子でありました。 そんなある日、ニニギさまは巡幸に出掛けることになりました。わたくしもニニギさまのお伴をしていくことになりました。 巡幸先の村々では、民の歓迎を受けつつ、様々な陳情をお受けになられました。民の声に一つ一つ丁寧に耳を傾けるお姿は、慈愛溢れる統治者の雰囲気があふれ出ておられました。 その巡幸先でのことです。ニニギさまはお忍びで、わたくしだけを連れて仮宮からお出かけになられてい…
オモイカネの自伝 30 サルタビコを伊勢まで送り届けたウズメが戻ってきました。 「ウズメ、ご苦労だった」 ニニギさまが仰せになります。 ニニギさまのおそばに控えていたわたくしは 「ウズメ、道中、変わったことは無かったか?」 と声をかけました。 すると、ウズメは 「はい、サルタビコ殿を伊勢にお送りした、帰り道のことでございますが・・・」 と、旅の途中の出来事を語り始めました。 ウズメは海に出て、海の魚を大小問わず、ことごとくすべて集めたそうです。そして魚たちに向かって 「高天原から天の御子が高千穂に降臨された。お前ら、天の御子にお仕えするか?」 と、問うたそうです。 魚たちは口々に「お仕えいたし…
オモイカネの自伝 29 ニニギさまは、高千穂の宮で日本の統治に乗り出しました。 そうこうしているうち、ニニギさまをくしふる嶽まで導いてきたサルタビコが故郷に帰ることになりました。サルタビコの故郷は伊勢の国だそうです。 ニニギさまはウズメを呼び出してお命じになりました。 「ウズメ、サルタビコを伊勢まで護って送り届けてくれ。この任にはサルタビコの正体を明らかにしたそなたが適任だ。引き受けてくれるな」 「はい、承知仕りました。間違いなくサルタビコ殿を伊勢までお送り申し上げます。」 「うむ。頼むぞ。それからサルタビコの名は、そなたが受け継ぐがよい」 「かしこまりました。サルタビコの名に恥じぬよう、精進…
オモイカネの自伝 28 サルタビコを先導に、ニニギさまの一行は高天原を発ちました。八重にたなびく雲をかき分け、天浮橋(あめのうきはし)をつたって地上の日本に向かっていきます。 途中、天の浮橋で立ち止まりました。 後ろを振り返ると、雲にかすんではるかな先に、高天原がかすんでいます。 前を見ると、これも雲にかすんではるかな先に、高千穂の青々とした木々に覆われた峰々がかすんでいます。 ニニギさまは、まっすぐ立って、これから行く先の、高千穂のくしふる嶽を見つめています。 ふいにニニギさまが仰せになりました。 「オモイカネ、ありがとう」 「は?なんでございましょう」 「サルタビコと対峙した時、わたしはお…
オモイカネの自伝 27 地上から昇って来た神に、ウズメは大笑いしながら向き合います。地上から昇ってきたその神は、ウズメの裸の姿、大笑いに圧倒されています。 その神が、おずおずと口を開きました。 「・・・そなた・・・一体、どうしたのだ・・・」 ウズメがその神に向かって放ちます。 「アマテラス大御神の御子が今から向かう道に立ちふさがっている、お前は誰だ!!」 さすが男勝りのウズメ、その神の異様な姿を目の前にしても、まったく物怖じしません。 その神が答えました 「わたしの名はサルタビコ。アマテラス大御神の御子が今、降臨されると聞いて、道案内のために昇ってきたのだ」 その短い会話から、ウズメはサルタビ…
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