「アルジャーノンに花束を」(ダニエル・キイス、ハヤカワ文庫)を読むと、否応なくわたしたちは、人の幸福とは何かを問われ、欠陥だらけのこの社会の現実を直視することを強いられます。そして苦悩する主人公の姿に、胸を熱くする読者も少なくないと思います。 1966年に発表されたこの作品は、SF小説の名作であり、もはや古典と言えそう。久しぶりに再読しましたが、何度読んでも魅力は色褪せていませんでした。 SFといえば舞台が宇宙だったり、未来や過去の世界だったりが多い。壮大な荒唐無稽をリアルに描いて読者を引き込むのですが、「アルジャーノンに花束を」に限っては、作品が発表された当時のアメリカが舞台がです。 知的障…