今更敢えて鹿爪らしく言うまでもない事実だが、人間は死後、神になり得る。 遺された者、弔う者らが死者を神座へ押し上げる。 大変な作業だ、人手は多ければ多いほどいい。 徳川家康が大権現に、 豊臣秀吉が大明神に、 菅原道真が天神様に、 それぞれ祭りあげられたように、生前現世で大なる功を成し遂げた、──英雄性を発揮すればするほどに、その霊魂が神性を帯びる見込みは高くなる。 (上野東照宮にて撮影) 孫文もまた、神になった。 彼亡き後の広州を──国民党の膝元を──三日も歩けば得心のゆくことである。劇場、学校、商店と、人の出入りの盛んな場所には必ず彼の肖像画が掲げられ、大抵の場合それは青天白日旗と遺訓と連れ…