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森野照葉
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2018/09/24

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  • なにもなくてもしあわせ~2021年11月4日 スタジオフォー 四の日寄席~

    幸福なる生活は、心の平和において成り立つ。 キケロ Ask too much 晴れているのに涼しい秋の日の朝が、私はたまらなく愛しい。夏と違って、晴れていれば晴れているだけ暑いというわけではなく、晴れていても、場合によってはジャケットを一枚羽織らなければ寒いという秋の、そのなんとも言えない切なさが、私はたまらなく愛しい。 たまたま4日に休みを取った。特に何かを考えていたわけではなかった。ただなんとなく休みたいと思って休んだら、それが4日だった。4日を迎えてふいに、「ああ、そういえば四の日寄席があるな」と思い、普段なかなか行く機会が無いので行ってみようと思い立ち、スタジオフォーを訪れた。 季節は…

  • 走る君の背中にそっと羽をあげよう

    その苦しみを代わることは出来なくても君の手をとって導くくらいは出来るかな アントレプレナー凄い人がいる。何が凄いかと言われても、「会って話を聞いてみてくれ。そうすれば、その凄さが分かる」としか言いようの無い人がいる。その人は、名前をMAOという。今、起業を目指して一所懸命に行動している。「人の人生に介入して、その人がより良く人生を過ごせるようにしたい」彼女の言葉を聞いたとき、僕は心の底から驚いた。彼女の眼は、本気だった。彼女の言葉も、何もかもが本気だった。僕と彼女がどう知り合ったかということは、些細なことである。そんなことよりも、彼女は一度大きな挫折を味わった人だった。それでも、前に進むことを…

  • 待てば甘露の日和あり~2021年5月15日 古今亭文菊独演会~

    過去のことなど考えない。重要なのは永遠につづく現在。それのみだ Waiting is the hardest part of life今が永遠に続くと信じているから、私は惰性で生きてしまうのだろうか。 来る日も来る日も、無駄に飯を食べて惰眠を貪って時間を無為に過ごす。 それが嫌になって、旅に出れば気分も紛れて新しい思い出が積み重なっていく。 思い出。それ自体はちっぽけな言葉だが、拡がりは無限である。 たった一匙でも味わってしまえば、舌上に忘れられない感動を残す料理のように、 思い返す度に、「ああ、もう一度味わいたい」と切望して止まないもの。 それが、私の記憶の中に残る思い出の感覚だ。今は、誰も…

  • 窮鼠猫と戯れる~2021年2月27日 渋谷ユーロライブ Suspenders Guide~

    あらゆる勝負ごとは全て、追い込まれてからが面白い 最高 サス ペンダーズのライブを見ました。渋谷のユーロライブで。 とても面白かった。 もう一度、言わせてください。 とても面白かった。 旧ネタ2作と、新ネタ3作。どれもめちゃくちゃ面白かった。旧ネタは何度も繰り返し見たネタだったけど、何度見ても面白いネタだった。最高だった。とにかく、最高だった。 会場は愛に溢れていた。サスペンダーズの愛に。コロナの状況の中で、満席になるユーロライブの客席を僕は初めて見た。なんだか、自分のことのように嬉しかった。 [audio mp3="https://www.engeidaisuki.net/wp-conten…

  • Youtubeに上がってるサスペンダーズのネタ動画が面白いので全部レビューしてみた

    2014年10月12日『フォークソング部』 https://www.youtube.com/watch?v=5CNoXQn7-go&t=59s フォークソング部に入部した新人の古川さんと、フォークソング部に所属する依藤さんとのやり取りが行われるネタ。フォークソング部に入部した古川さんが、ことごとくフォークソングのジャンルとはかけ離れた音楽を嗜好していることが明かされ、正反対ともいえるジャンルの違いが面白いネタだ。体を張ったネタでもあり、「一体なぜ、古川さんはフォークソング部に入部したんだ!?」という疑問が生まれるものの、フォークソングという概念すら上塗りしかねない、徹底したデスメタル嗜好が面白…

  • 立つ腹を寝かせて眠れ~2021年2月14日 渋谷らくご14時回~

    ALL BRIGHT昨日の夜に大きな地震があった。それで、目が覚めた。すぐに家族のグループラインで、両親から「大丈夫?」のラインが来た。眠かったので、竹内力のパワー全開のスタンプで返した。弟だけ返事が来なかった。まさか死んではいるまい。朝になって「大丈夫だよ」と弟のライン。大丈夫だとは思っていたが、少しだけホッとするのはなぜだろう。目が覚めて、一通りの経済情報をチェック。Fleetをあげて、Spoonでキャストをあげて、服を着替えてジムに行った。背中を鍛えたくて、ずっと懸垂をやっていた。まるっきり生活が変わったと言えば変わった。使う先の無いお金は全て投資に使い、暇な時間は英語と金融の勉強。もっ…

  • フィボナッチしようよ

    METAL とにかく世間は、めまぐるしく変わる世間とやらは、家に帰れば石鹸で手を洗い、下手をすれば折檻なんてことにもなりかねない状況の中で、我慢の3連休の初日を迎えた。全く、どうしようもなく人と接触することが嫌になり、しつこい飲みの誘いも「会社から止められてるんで」と言って断る。或いは「親から外出するなって言われてるの」と断られる。あらゆることをシャットアウトして、ひたすらに自己研鑽に励むのだから、僕も周りからはつまらない奴だと思われていることであろう。 もちろん、外に出て遊びたいという気持ちはもちろんある。だが、海へ行くのに山登りの恰好で行くことが無いように、コロナ感染が叫ばれている最中、素…

  • The Boy with the thorn in his side

    Left and Right 右を見ても左を見ても、燃えてばかりで収拾がつかない。仕方がないので真ん中を歩いてみるのだが、右と左の熱さにうなされて、とても歩ける状況ではない。いっそ、心頭滅却すべしと心に決めて、潔く歩いてみようかと思うのだが、素足ではどうにも上手く前に進めず、「あちち」と言いながら、転がるように前に進むのが常である。 転がる石には苔が生えぬという。怖がる意志には虚仮が必要だろうか。とんと分からぬご時世の中を泳ぐにあたって、頼るべき藁はいずこにあるというのか。考えれば考えるほど八方ふさがりになるのだが、考えなければ、ふさがって行く思考の圧力に耐える力も衰えるであろうから、結局考え…

  • Don’t Stop Believin’

    Shine The Light 太陽が昇れば月が沈んで行くように、月が昇れば太陽が沈んで行くように、人生には幾度も光と闇が訪れる。陽光と月光を何度も浴びながら、我々は長大な時間を生きている。長い年月をかけて積もる雪も、夏になればすっかり溶けて透明な水になるように、或いは、春に勢い良く葉を宿した木々が、冬になればすっかり枯れてしまうように、月日はまるで行き場所を求めて歩み続ける旅人のように忙しなく、気がつけば色合いは変わり、一所に留まることがない。 毎朝、目を覚ます度に、自分の心が幸福を受け入れる準備を始める。まるで小さな器を作るように、ゆっくりと体を動かして、心を動かして、パソコンの前に立ち、…

  • うさぎの声に耳をすませて~2020年3月1日 ナツノカモ低温劇団『月の裏側』~

    しめこの兎 動物同士のアテレコをしたことがある。 北海道の旭川動物園に行ったときの話だ。 もちろん僕一人で、それも、ほんの気まぐれで。 まぁ、深くは尋ねないでおくれよ。 ちょうど、クジャク舎の前を通りかかったとき、そこでは美しい二羽のクジャクが互いに見つめ合って止まり木に止まっていた。あまりにも美しかったので写真に収めたのだが、今はどこにあるのか分からないので写真は無い。 思わず見とれてしまうほど、美しいハート型を思わせるような間合いで見つめ合うクジャクに、僕は心の中で言葉を当てていた。 それは、僕の願望であるとか、欲望であるとか、愛とは、愛し合うとは、愛するとは、とか、そういった類のものであ…

  • 夢の国でゆらゆらと~2020年1月13日 シブラクレビュー あとがき~

    経緯 今回のシブラクレビューがこちら http://eurolive.jp/shibuya-rakugo/preview-review/20200113-1/ ご承知の通り、全編にわたってディズニーランドのアトラクションで喩えたレビューになっております。 きっかけは、春蝶師匠の『死神』を見た時でした。「え、なにこれ、やばくない!?」というゾクゾクするような興奮が沸き起こったのです。というのも、前半二人、緑太さんと扇里師匠はガッツリ朴訥した染み渡るような古典だっただけに、春蝶師匠の狂気に満ちた死神を見て度肝を抜かれてしまったのです。 その瞬間に、今までは畳敷きの和室にいたのに、急にゴスロリチック…

  • あとがき~渋谷らくごレビュー 2019年12月15日~

    レモンエロウ 今回のシブラクレビューはこちら http://eurolive.jp/shibuya-rakugo/preview-review/20191215-2/ 6時間ほどの効果しか無い薬を飲み、ダルい体を押して臨んだ渋谷らくご。正直、気持ち的には「やべーな」くらいでした。 見ている時はそれほど苦痛でも無いし、四人の演者さんも凄い面白くて、こりゃ良い会に参加出来たなぁと思っていたのです。 で、玉川太福さんを見終え、インターバル中、物凄いぼんやりが襲ってきまして、薬の効果はまだ切れるには早かったんですが、物凄いぼんやりしちゃいまして。 そのぼんやりの中で、ぽーんっと、「浪曲って二人で一つだ…

  • 森野照葉 自己紹介

    出会いは億千万の 2017年4月某日。私は疲れ果てていた。急な辞令、急な転勤、急な引っ越し、急な職場。何もかもが急すぎて窮していた。 窮地の窮ちゃんだった。 アツアツのご飯に乗るどころか、アツアツの鉄板に乗せられて土下座する利根川幸雄だった。利根の川風が袂に入らず、全身を凍えさせ、そのまま利根川に流されてドザエモンになるかと思った。結局流されたのはプライドくらいのものだったが、とにかく私は疲れ果てていた。 そんな私がこの後、自分の人生を変える場所に辿り着くのだが、しばし待たれよ。 疲れ果てていて、転居先を見ずに決めてしまった。ノールックだった。ノールック投法で転居先に体がストライク、心はボール…

  • WLUCK LIVE Vol.2 感想

    そういう目で見よう 髪切りたくて 2000円 みんなが思う タイミング いーやっ! 好感が持てる だめだ トマト ビーフ 銀兵衛『検索履歴』 一聴しただけでは意味が良くわからない理論を、高らかに、大真面目に、訴えるように叫ぶことによって、圧倒的な説得力を持って観客を笑わせにかかる二人組、銀兵衛。グレイモヤで、衝撃の『イチゴのショートケーキ』で会場を揺らすほどの爆笑を起こした若手漫才コンビだ。漫才の形式として、他に見たことのない革新的なスタイル。 それが今の銀兵衛の持ち味だと私は考えている。 誰もが真似をしたくなるような、小松さんの熱弁と、恐らくは観客と同じように傍観しながら聞いているあゆむさん…

  • もっと幸福になれる

    怒っても殺せないときは、笑えば殺すことができる。 ニーチェ Weather Report 付き合うか付き合わないか、瀬戸際の男女のような天気だった。 降るか降らないか、女の方が決めかねているようだった。 相変わらず降られっぱなしの私は、傘も持たずに家を出て、電車に乗って下北沢を目指した。下なのに北なのはどうしてなのかザワザワする下北沢。 いっそ、下南か上北とかいう名前だったら心がざわつくこともないだろうに。下北沢と名付けた人物の顔が見てみたい。きっといやらしい顔をしているに決まっている。 丁度、なんでも金で解決してしまうような、エゴイストみたいに。 下北沢駅を降りて、一歩足を踏み出してみる。相…

  • なぜサスペンダーズの『知恵の輪』は素晴らしいコントなのか

    自分の値打ちを下げてはいけない。それが特に大切なポイントだ。さもないと君は終わりだ。もっとも生意気な人間に絶好のチャンスがある。 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 大丈夫、大丈夫になった。 サスペンダーズ 『知恵の輪』 https://www.youtube.com/watch?v=q5LuogRLogE 才能 類稀なる才能を持ちながらも、様々な要因によって、その才能を潰してしまう人がいる。或いは、磨けば光るような力を持っていながら、様々な要因によって、磨くことを止めてしまい、光る機会を失ってしまう人がいる。 サスペンダーズのコント、『知恵の輪』を見たとき、僕は面白さと同時に、才能を持…

  • ”こころ”の中で何度でも~2020年9月11日 渋谷らくご~

    閉じていく思い出の そのなかにいつも忘れたくない ささやきを聞くこなごなに砕かれた 鏡の上にも新しい景色が 映される 木村弓『いつも何度でも』 いつも何度でも 心躍る夢を見たい。そう歌ったのは木村弓さんである。 心躍る落語が見たい。そう思ったのは僕であり、あなたである。 遠い昔に感じていたことを、ふいに実感を伴って思い出す瞬間がある。 例えば、亡き祖父の墓前に立ったとき。 或いは、去っていった人々の写真を眺めたとき。 或いは、若かりし頃に訪れた場所に、年月を経て再び訪れたとき。 いつも何度でも、その瞬間に込み上げてる実感には熱がある。 ふつふつと、胸を焦がすような熱がある。 もう二度と会えない…

  • 僕らはみんな生きている~都内某所~

    自殺しようと思ったことが何度かある。 はっきりと数を言うことは出来ないが、確実に覚えている1回がある。 母の目の前で、包丁を握りしめ、自分の左腕を切り落とそうとした。 だが、振り上げた包丁を降ろすことができなかった。 それは、私の目の前にいた母が、包丁を振り下ろす瞬間、 絶対に身を挺して、私の左腕を庇うだろうということが、 幼いながらも、はっきりと脳内で『見えた』からだった。 母の覚悟の目を、見たせいだろうか。 物言わぬ母の、覚悟の目が、子を守ろうとする目が、今でも忘れられない。 今思えば、なんで自殺しようと思ったのか分からない。 だが、私は大声で泣き叫びながら、包丁を振り上げていた。 結局、…

  • 令和狐狼拿流行記~2020年4月5日~

    https://www.engeidaisuki.net/?p=842

  • After-Vision

    想像は容易く別世界へと我々を誘ってくれる。 だが、想像できない者はどうであろうか。 この世に想像できない者などいるのだろうか。 想像する力は誰にでもあるが、その力を 十分に発揮できない者と、 間違った方向に発揮する者とがいるようであるが、 詰まる所、想像とは、想像した者だけが 想像した方向に進むことができるという 不思議な道しるべであるのかも知れない。 想像を終えるとき、我々は元の位置には戻らず、 どうやら、別の位置に座標を置くようである。 MORINO TELL HER つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=838

  • 『底知れなさ』をたのしもう~2020年3月13日 渋谷らくご 20時回~

    漠然とした不安は、立ち止まらないことで払拭される。 羽生善治 シブトク・シブラク 風が吹けば桶屋が儲かるみたいに、コロナが流行れば演芸が廃れるなんてことはありえない。僕はそう思っているし、それは紛れもない事実だ。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/engei/wp-admin/post.php?post=834&action=edit

  • 古今亭文菊a.k.a自由が丘の貴公子~2020年2月29日 自由が丘PLUS南口店 独演会~

    身分相応と、 身分不相応という言葉を知ると、 人として一気に上に行ける。 ブッダ 身分 自らの地位や資格は、自分では決めることができない。ある集団や組織の中に属していると、否が応でも身分というものをわきまえなければならず、それには耐えられるものと耐えられないものがあって困る。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=827

  • あなたと冒険したくて~2020年2月28日 神田連雀亭 新作冒険倶楽部~

    うまくいくか いかないか わからないから 開発するんだよ トヨタ自動車工業 中村健也 大輪 失敗でも成功でもない状態とはどんな状態であるかと問われれば、それは挑戦した者が「失敗でも成功でもない」と固く信じている状態であると言おう。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=824

  • 水のこころを誰に語らむ~2020年2月22日 古今亭文菊独演会 良助会~

    流れも清き多摩川の 水にあらひて生れたる 伊藤長七『 東京都立小石川中等教育学校の校歌』 誇り つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=821

  • 我は忘却の深溝に~2020年2月16日 シブラクレビュー あとがき~

    忘れるにまかせるということが、 結局最も美しく思い出すということなんだ。 川端康成『散りぬるを』 忘我混沌の歓喜 今回のレビューはこちら http://eurolive.jp/shibuya-rakugo/preview-review/20200216-1/ 普段の暮らしにおいても、私は我を忘れるということがよくある。箪笥の抽斗の中に我を忘れ、慌てて抽斗の中を覗くとしなしなになった我を見つける。「ああ、よかった」と安堵するも、つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=818

  • 人は白き山を登りて~2020年2月15日 新宿末廣亭 神田伯山真打昇進襲名披露興行~

    神の田の直ぐ傍に 小さな池があるという その周りには松が生え 錦の鯉が泳ぐという 松から種子が落ちたとき、 そこから沸々 込み上げる 小さな熱が ありました 幾年月が過ぎて 隆起と沈降 繰り返し 僅かな噴火が 積み重なりて 一山生まれし その時に 山の頂 雪が降り 人はそれを 白き山と呼んだ まこと見事に美しく いつしか人は こう呼んだ 神の田の 伯山 人はその白き山を登りて 果たしてどんな 景色を見るか つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=814

  • 百年目の恥~2020年2月12日 横浜にぎわい座 古今亭文菊~

    未来のことは、誰にもわからない だからこそ、この再会が意味するように 無限の可能性があるんだ シュタインズゲート 岡部倫太郎 不撓不屈 生きていれば信じられないほど恥をかく。一度や二度ならまだしも、幾度も恥をかいては至らない自分を修正する。或いは、修正せずに肯定して生きて行く。或いは、自らを否定して生を絶つ。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=812

  • 軽さと鋭さの風を吹かせて~2020年2月11日 浅草演芸ホール 春風亭朝枝~

    君の行く道は 果てしなく遠い だのになぜ 君は行くのか そんなにしてまで ザ・ブロード・サイド・フォー『若者たち』 ポイント・オブ・ノー・リターン 一廉の人物になろうと決意し、奮い立った心に突き動かされて数十年。歳を重ねる毎に達成できた目標と出来なかった目標とが増え、次こそはと改めること数度、未だ一廉の人物どころか凡才愚才を突き通しながら今日に至る。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=809

  • 浪曲の灯火~2020年2月8日 浅草木馬亭 浪曲名人会~

    君が2年でやることを 10年かかる僕 ワタナベマモル『時速4kmの旅』 Return 二月に入って八日も経つのかと思うと時の進みの速さに驚くのだが、しんと冷えて刺すような空気を感じると、二月の冷たい横顔を見るような心持ちになって寒い。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=806

  • 進化の化身~2020年1月25日 新宿末廣亭 深夜寄席~

    Well my temperature’s risingAnd my feet left the floorCrazy people knocking,‘Cause they want some more.Let me in baby,I don’t know what you gotYou better take it easy.This place is hot. The Spancer Davis Group『Gimme some lovin'』 Don't Think, Do It! 「私は気持ちだけで生きてる」と言う人に会った。ちょっと羨ましいと思った。輝いてさえ見えた。その人の言葉…

  • 笑顔のために生きる~2020年1月24日 文菊寄席~

    私の信条は 『毎日を笑って過ごす』ことだ。 公園の茶トラ猫 「おぎゃあ」と生まれてから墓地に収まるまでの間に、一体どれだけの時間を幸福に過ごすことが出来るのかと考えてみれば、自分の心次第であるという結論に達するのだが、自分の心というものは始終落ち着きがなく、あちらこちらへ行って想像が付かないので、結局分からないままに過ごしている。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=799

  • その胸の奥底から沸き上がる愛を止めるな~2020年1月22日 文菊の時間~

    愛とは、ひとりの男なり女なりを大勢の中から選択して、そのほかの者を絶対に顧みないことです レフ・トルストイ ドンナニコンナニ 志賀直哉の短編に『イヅク川』という作品がある。簡単にネタバレをしてしまえば、それは「会いたい人に会いたい気持ちがあったけれど、忘れてしまった」という話で、『イヅク川』が一体どんな意味を持っているのか、人それぞれに考えが浮かび上がってくるであろう。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=796

  • 【Day 4】畔倉重四郎 連続読み~2020年1月 神田松之丞~

    その時は知らなかった チバユウスケ『人殺し』 第十三話 おふみ重四郎白洲の対決 テレビ番組の取材が入っているためか、昨夜の『重四郎召し捕り』をダイジェストで熱演。その後、白洲の場へと突き出された重四郎の様子が本物の悪人を感じさせる。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=787

  • 【Day 3】畔倉重四郎 連続読み~2020年1月 神田松之丞~

    青すぎる あの牧場に行くつもりだったけれど この列車は そこまでは着かないんだって チバユウスケ『人殺し』 Hide And Seek 目の前を飛ぶ鬱陶しい蚊を手で潰すことと、日常生活で自分の邪魔ばかりしてくる人間を殺すことに差はあるのだろうか。どちらも命を奪う行為であるのに、前者は罪に問われることなく、後者は法で裁かれることになる。 https://www.engeidaisuki.net/?p=784

  • 【Day 2】畔倉重四郎 連続読み~2020年1月 神田松之丞~

    明け方始発で この街を出て行くって チバユウスケ『人殺し』 サイコパス 自分の中に自分とは別の存在を作り上げる人間がいる。それはマトリョーシカのように、開けて行けば同じような形をした存在が現れ、どんどんと小さくなっていくというものではなく、むしろ、開けたらまるきり異なる存在が、どんどんと大きくなっていく感覚に近い。気がつけば、どちらが本物であるかという概念は消え失せ、全てが本物であるという結論に辿り着く。全てがマトリョーシカであることと同じように。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=781

  • 【Day 1】畔倉重四郎 連続読み~2020年1月 神田松之丞~

    二人は恋人 名前を知らない チバユウスケ『人殺し』 夢 人を殺す夢を見たことがある。一度や二度ではない。記憶しているだけで三度ある。いずれも完全犯罪で、親しい友人、名の知れぬ人物、気に入らぬ人物、一人を殺害する。はっきりと「俺は人を殺したのだ」という自覚があり、言いようの無い恐怖がやってくる。完全である筈の犯罪が暴かれ、露見し、警察に追われ、果ては死刑になるのではないかという恐怖に苛まれて目が覚める。そこで初めて「良かった。俺は人殺しじゃないんだ」と安堵するのだが、胸には逃げきったという達成感があるから不思議だ。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=…

  • 君の高座は10000ボルト~2020年1月12日 梶原いろは亭 桂紋四郎 『伊勢参宮神乃賑』に挑戦~

    君の高座は10000ボルト 地上に降りた最高の噺 ベーヤン 読者になら分かって頂けると思うのだが、客席にいて噺家の一言に痺れる瞬間がある。川平慈英ばりの『くうう~~』が飛び出すほど、痺れるような言葉を聞く瞬間があって、それが止められなくて落語を聞きに行ってしまうことが多々ある。 自分が電気クラゲかと勘違いするほど痺れる高座は、生涯忘れることは出来ないであろう。今回は、何よりも熱く、分厚く、大迫力の高座を見せてくれる、今、上方落語界では、この噺家の成長が最も望まれているのではないかと思うほどの逸材がいる。 それが、桂九ノ一さんである。 もう、この人が高座に上がると、私は一席が終わるまで川平慈英な…

  • なぜ東京の落語ファンは上方落語が大好きなのか~2020年1月6日 桂紋四郎 上方二つ目最前線~

    東も西も分け隔てなく 北も南も分け隔てなく 全ての演芸好きたちが ありとあらゆる場所にある 笑顔の集まる場所にある 素敵な芸に 出会えますように 上方落語が止まらない 2019年は初めて天満天神繁昌亭に行ったり、一心寺に行ったりと、『生の上方演芸お初イヤー』ではあったのだが、肝心の演目数はそれほど多くなかった。それでも、上方落語に息づく情熱の息吹、熱量の芽吹きとも呼ぶべき素晴らしい噺家さんに出会うことができ、改めて落語の素晴らしさ、幅広さ、多様性を感じた一年だった。 一度、上方落語に魅せられてしまうと、隣の芝生は青く見えるではないが、無性に上方落語が恋しくなってしまうのである。 つづきはこちら…

  • 大金の行く末~2019年1月5日 古今亭文菊独演会~

    そいはするりと きみにしにのたまおうものなら 断崖絶壁から荒れ狂う波に飛び込もうというような、悲壮感の溢れる悲劇のヒロインは街のどこにもおらず、まして、そんなヒロインに「待て!飛び込んじゃ駄目だ!」なんて言葉をかける男もいなければ、つくねを投げて、「おいら、流れ板の〇〇ってんだ」と出しゃばる者もいない。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=769

  • あらたまの心の奥の輝きの~2020年1月4日 スタジオフォー 四の日寄席~

    遠くにいけば、近くにあって 近くにいけば、遠くにあって 彷徨えば恋 留まれば愛 傷ついて恋 癒されて愛 芽吹くまで 年明けの忙しなさに紛れて、私は巣鴨の街を歩いた。どれほどの長さがあるのか分からないが、羽子板の絵とともに『巣鴨地蔵通商店街』と名付けられた看板があり、通りの始まりから人がどっと列を成して奥まで連なっている。 路上には露天商というのか、包丁やら古道具、着物の帯から硝子細工の工芸品など、種々様々なものが並べられており、群がる客を相手に店主が一人で相手をしている。バーゲンセールなどで婦人方が押し寄せ、我一番にと安い品物を手にしてレジに向かうがごとく、何か良い品物は無いかとごそごそと探し…

  • 冷蔵庫から三途の川まで、或いは混沌の童心~2020年1月3日 プーク人形劇場 新作落語 お正月寄席~

    ポケットのなかにはビスケットがひとつ ポケットをたたくとビスケットはふたつ まど・みちお『ふしぎなポケット』 狂気を孕む冷蔵庫 特に意味も無いのに冷蔵庫を開けてしまうことが多々ある。小腹が空いたときなど、ふとした弾みで冷蔵庫を開けてしまう。気分が良いと冷凍庫まで開けてしまって、買い物に出かけた覚えも無いのに中身を確認して、自分の望む食べ物が無いことを認め、ガックリと肩を落とすことが多々ある。 幼い頃、私は良く冷蔵庫を開ける少年だった。ピアスは開けなかったが、冷蔵庫は開けまくっていた。 https://www.engeidaisuki.net/?p=761

  • ゆるりふわりとパパン・パン~2019年1月2日 お江戸日本橋亭 講談初席~

    ザギンで見かけたアベックの 女はパイオツカイデーだったなリーマン今日もよそよそしい タイミング見計らってドロンあいみょん『ナウなヤングにバカウケするのは当たり前だのクラッ歌』 吾輩の辞書に『バタンキュー』という文字は無い ナウなヤングにバカウケのエンタメ、講談。漢字二文字の破壊力。チョベリグな二文字。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=755

  • 渋谷のラッパーはなぜ浪曲を聴きに行くのか~2020年1月1日 浅草木馬亭 初席~

    俺は浅草生まれ 浅草寺育ち 戦争行った奴らが友達 関東武士だ 韓国人じゃねぇ 神社よりもジンジャエールだぜ 唸るじいちゃん 鳴らすのはばあちゃん 聞こえて来るぜ 人生 浪花節 関東節だ くるぶしじゃねぇ 痛んでるのは体の節々 ぼちぼち木馬亭に入りな 癒されるんだぜ 浪曲だぜ Rock Youよりも 浪曲だぜ Yeah Check It Out! 韻を踏むより唸りたい チルアウトしたいから波に乗る。浪曲スタイルだ。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=750

  • いつも心に演芸を~2019年12月31日から2020年1月1日 連雀亭 年末カウントダウン興行~

    宝くじは買わない だって僕は お金なんかいらないんだ 忌野清志郎『宝くじは買わない』 寅の日 2019年12月31日は寅の日である。大安吉日で寅の日ときて、『お帰り、寅さん』がやっているとなれば、見に行かない道理などどこにもない。 今年で50周年を迎えた寅さん。それほど詳しいわけではないが、シリーズの幾つかの作品は見たことがある。 で、『お帰り、寅さん』を見た。 泣いた。これでもか、というくらいに泣いた。最後の場面など、目から滝でも流れるかのように熱い涙が零れた。 良かった。とんでもなく良かった。寅さんが物語の中で生きていたし、何よりも見る者の心の中に寅さんがいた。良かった。とんでもなく良かっ…

  • 実感のその先に咲く~2019年12月29日 浅草演芸ホール 円菊一門会~

    大きな夢を汚す人間には近づくな。たいしたことない人間ほど人の夢にケチをつけたがるものだ。真に偉大な人間は自分にも成功できると思わせてくれる。 マーク・トウェイン 実感のマント 生まれたばかりの赤ん坊が「人生は短い。だから後悔の無いように生きなければならない」と言うのと、死を前にした老齢な人物が『人生は短い。だから後悔の無いように生きなければならない』と言うのとでは、どちらの方がより信じる気になるだろうか。 そこらの一般人が『時間より金』と言うのと、大富豪が『時間より金』と言うのとでは、どちらの方がより信じる気になるだろうか。 誰の発言なのかということが言葉の価値を決める。権威ある人間の言葉と、…

  • 呼吸と鼓動~2019年12月28日 カモの観察会2019~

    どこで誰とどう出会うか。 誰にもわからないままに出会った。 出会ってしまったら、もう二度と 出会う前には戻れないことの幸福。 長い年月の果てに、死の淵に立って、 思い出すのは、楽しかった思い出であれ。 良き人との時間であれ。 良き体験であれ。 目から流れるのは、 良き涙であれ。 マグリット 某飲食店に入った。少し列になっていて、注文まで時間があった。ぼんやり並んでいると、私と似たような背格好の男性が働いており、同じく働いている年配の女性が男性に向かって激しく怒鳴っていた。 「あんただけが分かってても仕方が無いのよ!ちゃんと注文を繰り返しなさい!」 続きはこちら https://www.enge…

  • まっつぐだから曲がれない~2019年12月27日 鈴本演芸場 琴調六夜 千秋楽~

    あたしゃ生まれた頃からまっつぐ育ち 曲がったことが大嫌い。 免許だってS字クランクが合格できなくて いつまで経っても取れやしない。 馬鹿で結構。笑いたきゃ笑いやがれ。 あたしゃ天下に恥の無い まっつぐ生まれのまっつぐ育ちよ Straight To Hell アルファベットを辿るように、AからZまで街を旅してみたい。神様の辞書から言葉を引用して、世界の秘密を解いてみたい。地獄も天国も渡り歩いてみたい。やりたいことばかりが募って、結局できないまま、街を歩く一つの影。 つづきはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=731

  • どうして頭のいい人は寄席に行くのか~2019年12月26日 新宿末廣亭 夜の部19時~

    悩みは消えないマジックペンで 考え込んでも油性ペン 言葉が無い。言葉が無い。 怒りは煮え湯のぶくぶくで まき散らそうにも熱すぎる 言葉が無い。言葉が無い。 どうしようもない気持ちは どん詰まりの壁で 突き抜けようにもドリルが無い。 言葉が無い。言葉が無い。 言葉は一体どこにある。 そうだ、寄席にある もしもピアノがハジケタナラバ 昔、何かで『ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか』という題名の本を見たことがあって、つむじ曲がりだった大学生の時分に、「そうか、俺はビジネスエリートだったのか」と勘違いしたことがある。読むと自分の意志を固めそうだったので結局読まなかった。後に『 一流の人はなぜ落語を…

  • 金色のTraditional Storytelling~浅草木馬亭 木馬亭講談会 12月24日~

    自分は自分、相手は相手と線を引くことは健康な人間関係の基本 ど真ん中の人 誰にでも『ど真ん中の人』というのはいる。間違いなくいる。例えば、 続きはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=257

  • 屑屋の風情~なかの芸能小劇場 古今亭文菊独演会 2019年12月22日~

    どんな商売でも、一所懸命にやらなくちゃいけないよ 手を抜くことも必要だけれどもね。 ちょっとした幸運というものは、 一所懸命に頑張ってくると、ほんの僅かに 見えてくる。雲の隙間から射す 光みたいなもの 寒風にさらされながらも燃ゆる 自分には何の取り柄も無いのだと諦めて歩く街の寂しさは、 続きはこちら https://www.engeidaisuki.net/?p=252

  • 流れる場所を求めて流れる 鈴本演芸場 夜席 2019年12月20日

    世の中には『適材適所』という言葉もあれば、 『置かれた場所で咲きなさい』という言葉もある。 『全てはあるべき場所にある』という言葉もあれば、 『環境が変われば考え方が変わる』という言葉もある。 『どこへ行っても上手く行かない人』もいれば、 『どこへ行っても上手く行く人』もいる。 これらの違いは何か 病み上がり~Yummy I Got Lee~ 気休め程度のメディスンで、メランコリックがお手の物。ポイズン部ポイズン課のポイズン課長が、「言いたいことが言えちゃう こんな世の中じゃ ノーポイズン」と歌って即ポリスに連行。ポリ袋に詰められてポリバケツに放り込まれ、明後日には金魚の餌になる。 続きはこち…

  • 疒のメロディ

    All I want to do is get back to youConnection, I just can't make no connection.But all I want to do is to get back to you.Everything is going in the wrong direction.The doctor wants to give me more injections.Giving me shots for a thousand rare infectionsAnd I don't know if he'll let me go どうしたって俺は君…

  • 碁の互の誤の語の悟の児の後~2019年12月7日 古今亭文菊毎月独演会~

    あなたに出会った人がみな、 最高の気分になれるように、 親切と慈しみを込めて人に接しなさい。 あなたの愛が表情や眼差し、微笑み、 言葉にあらわれるようにするのです。 マザー・テレサの言葉 いつくしみふかき 何かが終わるということは、何かが終わるということだ。終わったら終わりである。行動しない限り、始まりは訪れないし、始まらないのだ。何かが始まるということは、何かが始まるということである。何かを始めたいのなら、まずは始めなければならず、始めたからには終わりがあるので、一度始めたら、終わるまでは終わらないのである。 当ブログも、始まったからには終わりに向かって書いてきた。無論、いつ終わるとも分から…

  • Laughy Radio Show 鯉たま~2019年12月2日 浅草演芸ホール 夜席~

    I heard you on the wireless back in fifty twoLying awake intent at tuning in on youIf I was young it didn't stop you coming through The Buggles 『Video Killed The Radio Star』 Just Listen ぼくが寄席であなたの落語をきいたのは、2017年の夏のことでした。 ひとりぼっちがさびしくて、夢中で寄席に飛び込んだものでした。 がらんっとした、風通しの良い客席でした。 ぼくはまだ寄席に通い始めたばかりで、なにもわからなかった…

  • SAN'IN IN THE SUN~2019年11月30日 神田連雀亭 第八回山陰合同勉強会~

    やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君 与謝野晶子『みだれ髪』 故郷は遠きにありて 年を重ねた男女の色気について、羨ましく思うことが多々ある。 一体どうやったら色気を身に纏い、怪しげで危うい紫色の、大人の色気を纏えるのか。藤圭子や夏木マリの色気は、どうやったら出せるのか。伊集院静や豊川悦司の色気はどうすれば出せるのか。自分の思う『色気』を、一生放つことが出来ないまま、私は死んでしまうのかと考えると、コンビニの棚に『色気』を置いてくれないかと思う。試供品でも良いから、『色気』が買える世の中になってくれたらと切に願う。 昔、スキー場だったかホテルだったか忘れたが、『食べるとモテモテ…

  • 無音の時に漂うものは~2019年11月29日 Gallery 美の舎 無音の時 西田あやめ~

    一切の藝術は無窮を趁ふの姿に他ならず 藝術は感情を主とす 世界最高の情趣を 顕現するにあり 『日本美術院綱領第一項』或いは岡倉天心の言葉 プロローグ いづかたより来て鳴らされた音か。 遠くにて鳴る鈴の音を聞く。わんおんわんおんと鳴る音が耳に届き、ひととせの音が『和音』となりて唐突に頭を揺らした。響き、輪廻、転生の後の、覚醒。 ハッとして目を覚ますと、窓外には触れれば罅割れるかの如き空がある。ふいに「あそこから落ちてきたのか」と予感めいたものを感じるが、即座に、『海』と声がする。 吾いづかたより生まれ、いづこへ辿りつくのか。 此岸に立ちながら、眼前に彼岸を捉えようとする。 たった一人で。 何も持…

  • You Get What You Give~2019年11月24日 すみっコぐらし~

    You've got a reason to liveCan't forget we only get what we give 君には生きる理由がある忘れちゃいけないよまずは差し出さなくちゃ何も与えられない New Radicals『You Get What You Give』 君の素敵な人生のすみっこ 新宿ピカデリーで映画『すみっコぐらし~とびだす絵本とひみつのコ』を見てきました。1時間ちょっとの映画なのですが、結論から言いますと、 大号泣! もうすぐ齢三十に差し掛かろうというロンリー・ボーイが、ぼろっぼろに瞼を濡らす感動の名作でした。笑いあり、涙あり、えっ?と驚く展開から、ラスト。そして…

  • 堪忍と進化~2019年11月24日 新宿末廣亭 夜の部 神田松鯉~

    世の中のことはなんでも我慢できるが 幸福な日の連続だけは我慢できない。 ゲーテ『格言と反省』 モテア・マーシー きょんスズを終えて、持て余した時間をどう潰せば良いのか。人は時間を持て余すと潰したくなる生き物であるらしい。顔に出来たにきびを潰したくなるみたいに(にきび出来たこと無いけど) 幸い、一人が好きだから時間の潰し方は心得ている。決まって喫茶店かファミレスに入ってのんびり食事をする。本も読む。音楽も聴く。気分が乗ると詩まで書く。「暇か暇かと問われてみれば、うるせいタコだと日間賀島」と、くだらない戯言も増える。 考えたり、ぼーっとするにはファミレスがうってつけで、意気揚々と入ったのだが、混雑…

  • 人生の採点者~2019年11月24日 きょんスズ30 14時回~

    起きあがって、窓からからだをのりだしてごらんよ。 いま、ほんとうに自由で、生きている時間がはじまるのだから。 夏の最初の朝だ。 Ray Bradbury『Dandelion Wine』 Pretender 気取っている人と気取らない人の違いは眉毛に出るのだそうだ。気取っている人の眉毛はダイナミックに、回数も多く、まるで生きている毛虫のように動く。反対に、気取らない人の眉毛は殆ど動かない。微動だにせず毛虫はじっとしているのだそうだ。 眉毛の曲線も異なる。気取っている人は、自らを実際よりも大きく見せたいという気持ちが働き、太く、横へ広がる。逆に、気取らない人は自分で大体の長さが分かっているため、細…

  • 転ばぬ先の杖すら捨てて~2019年11月23日 新宿末廣亭 深夜寄席~

    土砂降りの雨の中 今日もトラブル抱えて走り出してゆく その男はおれだ バカにつける薬はどこにもないんだ トータス松本『あーだこーだそーだ!』 不格好の輝き 食器洗浄機の中の皿かと思うほどびしょ濡れになって、僕は新宿末廣亭までやってきた。夜の部は人間国宝・神田松鯉先生が赤穂義士伝を語られている。松之丞さんは『山田真龍軒』をやられたようで、会場もさぞ盛り上がっただろうと思う。 大勢の注目を集め、数多の異名を持つ講談師が輝きを放つ一方で、日の目を見ることのない芸人も大勢いる。まして、数の多い芸の世界。たった一握りの噺家しかメディアに取り上げられない世界。 でもね、僕は知ってる。 たとえメディアに取り…

  • まちがってまちがって、正しさに当たる~2019年11月23日 うららか亭落語教室から深夜寄席~

    She knows there's no success like failure And that failure's no success at all 失敗のような成功はなく 失敗は成功じゃないことを知っている ボブ・ディラン『Love Minus Zero』 寒すぎる 大雨との出会い 世良公則の『燃えろいい女』どころの寒さではない。『萎えろダメ男』と世悪秘則が歌ってもおかしくない寒さである(わからないよね) 金曜日を終えて、燃え尽きたダメ男である私は、荒んだ男心を誰にも奪われることなく抱えていた。疲れ切っていた。連日連夜、毎晩のように処理しなければならぬ雑事に追われ、海に行かずして溺れ…

  • 何もわからないけれど~2019年11月20日 新宿末廣亭 夜の部~

    But there's one thing I knowThe blues they send to meet meWon't defeat me, it won't be longTill happinessSteps up to greet me でも一つだけ分かったことがある憂鬱なことに出会ったって俺は負けたりはしないんだ幸せが俺のもとにやってくるのも遠くない大きな幸せが俺を迎えてくれる Hal David『Raindrops Keep Fallin' On My Head』 誰にも奪えぬこの思い~They Can't Take That Away From Me~ ひどくつかれていた。…

  • 12月こそ、忙しくても寄席に行け!~2019年11月19日 森野的オススメ寄席情報~

    寄席なんて行かなくてもいい。 そんなことを思っている人のために、 この記事はある。 きっとあなたも名演に 12月が近づいている。ワクワクの、ドキドキの、12月が。大人は子供に帰り、子供は大人になる12月がやってくる。サンタクロースも寄席にいる。トナカイだって寄席にいる。目には見えないプレゼントが与えられるとき、体験という名のプライスレスが記憶に刻まれるとき、あなたの過去と今と未来は七色に輝く。 そんな12月が、いよいよやってくる。 あなたの握りしめている紙を、あなたはどんなものに変えたい? 宝くじを買って夢に賭けてもいい。何か好きな皿でも買って棚に収めてもいい。大好きな人に指輪を買ったり、自…

  • ずっとあなたを愛している~2019年11月17日 きょんスズ30 14時回~

    恋してるんだ。 ごめんね。 生きて、いたいんだ 高橋しん『最終兵器彼女』 二度目のきょんきょん すっかり季節は寒くなって、体調管理が難しくなった。少しでもバランスを崩せば、一気に熱を出して寝込んでしまいそうなくらいに、寒暖差が激しい。朝と昼では10℃くらい違うんじゃないかと思う(言い過ぎ?) 寒くなってくると、布団から出たくない。なるべく外出は避けたいと思う私だが、こと演芸に限っては反対である。家にいても暇だから外に出たい。誰かに会いたい。会って話がしたい。なんて、人の温度がある場所を求めてしまう。 だから、今日は下北沢に来た。というか、チケット取ってたので、来ることは決まっていた。 ぼんやり…

  • 上方落語のフルスロットル~2019年11月16日 桂米紫ひとり会~

    万有引力とは ひき合う孤独の力である 宇宙はひずんでいる それ故みんなはもとめ合う 谷川俊太郎『二十億光年の孤独』 感謝、感謝やでぇ ひょんなことから、TwitterでDMを頂き、桂米紫さんの会に参加することを決めた。教えてくれたのはPOBOXさんという方で、桂米紫さんを一押ししている方である。 私のようなどこの馬の骨とも豚の骨とも分からない若造(髭剃り忘れて無精)に、とても真摯に挨拶をしていただき、恐縮至極の気持ちだった。眼は優しく、声もやわらかく、とても真面目な雰囲気のお方のように見えた。落語が好きで、米紫さんや小満ん師匠や喬太郎師匠の会にも行かれ、東京の二ツ目(落語家の身分)が出演する連…

  • 熱燗のみのみ 流れ流されゆらゆらり シブラク レビューあとがき~2019年11月13日 20時回~

    ソフィー・アムンセンの家は、街の一番外れにあって、 庭の向こうには、もう大きなノルウェーの森が始まっている。 ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』 落語のカッコ良さ 渋谷らくご、今月のレビューはこちら http://eurolive.jp/shibuya-rakugo/preview-review/20191113-2/ 今回は、思いっきりリラックスして書きました。会を終えて、二時間くらいぼんやりしながら、三時間くらいダーッと書いたんですよ。書く前のぼんやり段階で、熱燗飲んで、五目麺をつまみながら、「うめぇなぁ、おい。うめぇぜぇ、おい」みたいなことを壁に向かって言ってました。壁と友達にな…

  • 死ぬこたぁねぇやな~2019年11月11日 新宿末廣亭 夜の部~

    余談ですけど 今日はちゃんとやります 江戸会話教室 生きろ! One Too Many 『会いたいか、会いたくないか、それが距離を決めるのよ』と書いたのは森博嗣先生で、私はずっとこの言葉に従って生きている。 今日はあの人に会いたい。今日はあの人の噺が聴きたい。気づけば走り出している。気づけば私は、私の足で、私の意志で、会いたい人に会いに行っている。それの何が悪いの?会いたい人に会って、ああ、素敵だなって思って、その気持ちを言葉にすることの何がいけないっていうの?全然、いけないことなんかじゃない。私には会いたい人の素敵な部分しか見えないから、素敵な部分を書きたいだけ。 誰かは言う。「あいつは良い…

  • いつまでも少年のままで~2019年11月10日 渋谷らくご 17時回~

    毎日を生きよ。 あなたの人生が始まった時のように。 ゲーテ 将棋 渋谷らくごの行われるユーロスペースへと続く道を歩いていると、『将棋の最善手』を選んでいる感覚に近いものを感じた。 坂を下ると、色んな姿の若者達が群れている。クラブがあったり、ライブハウスがあったり、欲望のビルがあったり、匂いのキツイ店があったり。そういう、色んな選択肢を省いて、最善の一手が『ユーロスペース』なんじゃないだろうか。僕が選択せずに候補にもあげなかった選択肢が、あちこちにある。でも、僕が選んだ一手は間違いなく、僕にとって『最善手』であるような気がしたのだ。 どうして急にそう思ったかは分からない。それでも、渋谷らくごへと…

  • 生きて生きて~2019年11月9日 古今亭文菊独演会 なかの芸能小劇場~

    はて、「てんしき」とな? 忘れてきちゃった いっそ殺してくれよ 七つの穴 中国の神話に不思議な話がある。宇宙の始めのまだ形の無い混沌に通ずる名を持つ渾沌に、形を与えようとしたがために渾沌が死んだというお話である。 南海の帝『儵(しゅく)』と北海の帝『忽(こつ)』は、中央の帝『渾沌(こんとん)』の領地へ赴き、手厚いもてなしを受けた。渾沌の恩に報いようと、儵と忽は話し合い、「どんな人間にも七つの穴がある。見たり、聞いたり、食べたり、呼吸をしたりする穴だが、渾沌にはそれが無い。ならば我々で与えてやろう」と決め、毎日一つずつ穴を開け、七日かけて渾沌に七つの穴を拵えた。ところが、七つの穴が開くと渾沌は死…

  • シブラクの未来、或いは男女の心の重畳~2019年11月8日 渋谷らくご 18時回~

    他の女の話はやめてっ! 二人で一つ 恋に師匠なし 私の友人で、中学生の頃に付き合い始め、そのまま成人して結婚した夫婦がいる。中学生の頃から美男美女のカップルとして有名で、男連中はみな「あいつがあの子と付き合ってるなら、諦めようぜ」と口にしていたし、女連中のほうも「あの子が彼と付き合ってるなら、手出しは無用ね」という感じで、昔からお似合いのカップルだった。 誰も知りたくないと思うので私のことは書かないが、当時、そんな二人の関係を私は羨望の眼差しで見ていた。清らかであり、穢れが無く、運命という言葉がふさわしいと思って見ていた。なぜなら、私の父も、母との出会いは運命のようなものだったから。 両親の出…

  • 上方の風に吹かれて浪に乗る~11月4日 神田連雀亭 桂紋四郎の上方落語・浪曲最前線~

    上方落語の仕掛け人!? 勢いで押す!! よぉ~ 上方の風と浪 桂華紋さんがNHK新人落語大賞を取った。2018年は桂三度さんが取り、2017年は三遊亭歌太郎さん、2016年は桂雀太さん、2015年は桂佐ん吉さんと、この五年間で上方落語家が4人も賞を受賞している。 私は落語初体験が桂枝雀師匠の『代書』ということもあって、上方落語には思い入れが強い。江戸の落語を聞くよりも先に上方落語に心酔した私にとって、落語の本場と言えば上方という思いがどうしても強いのだ。 特に桂米朝師匠や笑福亭松鶴師匠に代表されるような、上方の最高峰とも呼ぶべき流麗な語りの調べを聴いているだけで心が穏やかになる。枝雀師匠の落語…

  • NHK新人落語大賞を存分に楽しむ~ニーヌさん主催会 11月4日~

    おおー、すごーい カードゲーム『真打』 権太楼師匠、こええええ 華紋さん、おめでとう!!!!! 延期の縁 本来であれば、10月26日に放送されるはずだった『NHK新人落語大賞』。ところが、ラグビーの放送により延期となり、11月4日に放送されることとなった。 縁とは本当に不思議なもので、ニーヌさんが『NHK新人落語大賞』をみんなでライブビューイングする会を企画された。私も、スケジュールが空いており、行くことに決めた。 そして今日。そのライブビューイングが行われた。集まったのは総勢7人。貸スペースで行われた会は、とても、とても、とても楽しかった。どう言葉で表現して良いか分からないが、世の中の落語好…

  • 有益デストラクション&ファイヤー~黒門亭二部 11月3日~

    ピョコピョコ感 じんわり感 さらさら感 ぽつぽつ感 バリバリ感 目が覚めてOh No 自分に関する残念なニュースを見ると、テンションがダダ下がりして、ウルトラ怪獣ダダになることが、しばしばである。この前は私の書いたレビューの誤用コメントを見てダダに変身。今朝は唐突な別れを知りダダに変身。昨晩飲み過ぎて体がダルい自分に嫌気がさしてダダに変身。 鏡を見て「ダ・・ダ・・・」と呟きながら、ダダをこねることも出来ず、ただただ茫然とする。いっそ、ダダをこねて饅頭にして店を開き、木下優樹菜に脅されて、その脅迫文を出版社に売り込んだ金で幸せになれたらいいのに。 現実は、そんなに甘くない。事実が放った矢は確実に…

  • 我逢人~ザ・スズナリ きょんスズ30 11月2日 14時回~

    My Heart Is Filled With Gold 人と出会うことから全てが始まる どうして柳家喬太郎師匠を好きになったんだろう。きっかけは、大学生の頃、Youtubeで見た『夜の慣用句』だった。桂枝雀師匠を知り、枝雀師匠が亡くなられたという情報を目にしたとき、私は「じゃあ、生きている噺家で誰が一番面白いんだ?」と思い、インターネットで『落語 最高 一番』みたいな言葉を検索した。すると、広瀬和生氏の記事が出てきて、その時の1位が喬太郎師匠だった。 すぐにYoutubeに上がっている落語を聞いて、すぐにハマった。これは見に行かなければならないと思い、近くのホールでやっている会を探した。そこ…

  • 驚愕の新入生たちの大きな伸びしろ~10月30日 神田連雀亭 新作一年生~

    カシコマリマシター スイス!? オザサ部長 ずっと前から楽しみに 宇宙一楽しいイベントが告知された瞬間、私は度肝を抜かれた。その告知を見たのは9月7日。新作一年生と題された会で、噺家が三人、自分で作った落語をやるという。 一体誰が出るのかな、と思って見ると、 三遊亭遊かりさん 三遊亭吉馬さん 桂伸べえさん ん? 遊かりさん、吉馬さん、、、 ん? 伸べえさん? えっ 伸べえさんんんんん!!!!!???? 気が付くと、私は予約のメールを送っていた。桂伸べえさんが、新作を作ってやる。これを見逃すわけにはいかなかった。 今日まで、待ちに待った会である。 結論から言おう。 んんんん超おおおおおううううう…

  • 落語を見た!という~10月27日 鈴本演芸場 夜の部~

    働くって辛いな 濡れねずみ シロー 街頭演説 大谷翔平 おれは古典しか 大地! 今日はちゃんとやります ふわぁああ 杖 という Looking forward to the future 未来に楽しみを失うことなんてできない。食べる楽しみを永遠に失うことができないように。 どんな時でも、『これからが楽しみだ』と思う気持ちがあれば、レッドブルを飲まなくても背中に羽は生える。ローラースケートが無くてもパラダイス銀河は歌える。君と出会った奇跡が、この胸に溢れなくても、きっと今は自由に空を飛べる。 寄席という場所に入って、自分の座りたい席に座って、高座にあがった芸人を見ていると、座っているのに、飛んで…

  • 愛が金色~10月22日 新宿レフカダ 文菊の時間~

    あの、もりのさんですか? 「野ざらし?」 「いや、えっと、あの・・・」 よく書いてくださいね 行こうよ 最初に言っておく。噺家さんの懇親会には絶対に参加するべきであると。特に、自分の好きな噺家さんとなれば、尚更であると。 たとえ、緊張でガチガチになり、何を言うべきか焦ったとしても。 たとえ、緊張で言葉が出なくなり、過去の記憶をすぐに思い出せなかったとしても。 たとえ、言いたいことの10分の1も伝えられなかったとしても。 行こうよ、懇親会。行けるなら、行こうよ。 今はそんな心持ちである。 というわけで、文菊師匠の懇親会に行って、最高だった思い出のお話。 お休みの一日 偶然にも『即位礼正殿の儀』に…

  • 我が心の藪の装い~10月19日 古今亭文菊独演会~

    縦にこすると生魚 つっぱらかっちゃって 食べさせてやりてぇなぁ 藪野暮 茶道の場には『禅語』と呼ばれる先人の教えが掛け軸などに記され、壁に掲げられている。日々、茶道の世界に身を委ねていると、日毎に自分の心というものが、どういう状態であるかということが、如実に分かってくる。たとえ、昨日と同じような所作や振る舞いをしても、はっきりと今日の自分の所作や心構えや体調といったものが、まるで昨日とは違っていることに気が付く。 ふと掛け軸を見れば、そこには『日々是好日』とある。今日の自分が、今日の自分を受け入れて、あるがままに生きること。損得や優劣などに囚われることなく、ひたすらに自己と向き合った先にある好…

  • 記録用とあとがき(解説?)~辛抱する木に花が咲く 渋谷らくご 10月13日 14時回~

    きっと「なんとかなるさ」とあなたが 言ってくれたら 今日は素敵な 時間が過ごせるような気がする だから笑って進もう 短歌百倍式 何が一番伝えなくちゃいけないことなのか。あの会で四人が伝えたかったことって何か?って考えた時に、『辛抱する木に花が咲く』という言葉が浮かび、そこに向かって書き始めて、記事になりました。正直、色々紆余曲折あったので、興味のある方は、お読みいただければ、幸いです。 今回は、短歌の形式を制約にして記事を書きました。 http://eurolive.jp/shibuya-rakugo/preview-review/20191013-1/ 自らの文字数の増大を防ぐために、短歌の…

  • さよならに無い~10月11日 渋谷らくご 20時回~

    このへんを 言ってやるんだ きらいなたべもの まっつぐに Changing The Rain もしも一生のうち、他人と出会える数が決まっているとしたら、あなたはどんな人に会って、どんな時間を過ごしたいと思うだろうか。自分の人生の時間を考えると、会いたくない人と過ごす時間よりも、会いたい人と会っている時間の方が大切で尊い。今日もしも残り四人としか会うことができず、それ以降は誰とも会えないのだとしたら、あなたはどんな人と会いたいのだろうか。 私は渋谷らくごのロビーに溢れかえる人々の話声を聞きながら、そんなことを考えていた。地球史上最大級の台風がやってくると言われている12日の前日、渋谷らくごに来場…

  • 人生はデバッグできないプログラム(?)~10月6日 夜の部 ていおん!!!! ナツノカモ低温劇団~

    これはバグだよ、バグ。 Is your life a program? 自分の人生が神様にプログラミングされたアプリケーションだなんて考えたことがあるかい? 僕にはあるよ。ちょうど、プログラミング言語を学習していたときのことさ。 C言語とかアセンブリ言語とかあったけど、C++言語を学んだ時なんて、アルファベットのCが一人でプラプラ散歩でもしているのかなって思っちゃったけどね。 自分でプログラミングしたアプリケーションを実行すると、色々と問題が起こったりするんだけど、たとえば10秒に1回、犬の餌が放出される機械のプログラムを作ったとする。でも、ちょっとしたプログラムの書き間違いで、1秒に10回と…

  • 上野探訪、秋を間近に~9月28日 上野 不忍池界隈の散策から深夜寄席まで~

    今週のお題「○○の秋」 私にはこんな風に世界が見えた 見たくなったら 「もうすぐ、九月も終わりか」 スマートフォンを片手に、私はドラクエウォークのログインボーナスを受け取り、布団から這い出ると、空いている方の手で握力を鍛えるグリッパーを握った。 7月に入ってから、本格的に体を鍛えようと思い(本当はモテたいから)、食事制限、筋トレ、サウナと徹底して体を絞ったおかげで、この二か月で体脂肪率がグンッと下がり、腹筋がうっすら割れているのが見えるようになってきた。 毎年、私は9月ごろになると自らの肉体の『怠慢』を矯正するために体を鍛え始める。今年は少し早い。(ちょっと女性関係でショックがあった) 24歳…

  • 面影XYZ~9月18日 ナツノカモ 面影スケッチコメディVol.1~

    書かされている りんご どうして一人で どこへ行くかじゃない 過去と地続きの今 高校生のときにアルバイト仲間の女子高生がおり、きっかけは忘れたのだが、その子は「わたしの人生は高校から始まった」みたいなことを言った。 最初、私はその子の言葉の意味がわからなかったのだが、あとになって考えてみると、その子にとって高校までの人生は、何も始まっていなかったのだった。何を持って『始まった』とするかは人それぞれだが、その子は人生を楽しめるようになったこと、人に誇れる自分を確立したことを『始まった』と表現していた。ぼんやりの記憶であるが、その発言ののち、その子の過去を私は聞き、高校まではまったく人生を楽しめず…

  • ご報告と抱負も兼ねて 落語の加減乗除~9月14日 17時回 渋谷らくご~

    9月より、渋谷らくごにて記事を書かせていただくこととなりました。 森野照葉(もりの てるは)と申します。 とある素敵な女性に何から何までご助言を頂き、執筆者として選ばれることとなりました。 これまで支えてくださった、美人の皆様、野郎どもには感謝しても感謝しきれません。すべては私の実力と継続の結果であり、私に文才があり、私が持て余した才能の結果であり、私が誰よりも優れていたことの証左ですが(洒落です)、これに甘んじることなく、驕ることなく、より一層、落語を好きな方が増えることを望むとともに、落語好きな方に喜んで頂ける記事を書き続けていきたいとおもっております。 10月には、とある噺家さんの懇親会…

  • 心臓の鼓動(5)~9月17日 渋谷らくご 20時回 隅田川馬石 お富与三郎通し公演~

    生きててよかったぁ。 心音 人には恋をしたときだけに鳴る心臓の音がある。それは一生のうち、何度鳴るかはわからない。悲しいかな、多くの男女はその音が鳴ったことに気づかないまま恋に落ちる。 恋に落ちたあとで、互いの心音を近くに感じるとき、お互いがお互いのリズムを確かめ合うことの弾けるような快さと、温度を伴って押し寄せてくる波が肌を撫でる安堵感に、人は心臓の鼓動を高鳴らせる。だが、一度でも互いの心音がかけ離れてしまえば、指揮者を失った楽団の演奏のように、互いの心音はリズムを失い、不快と不安の波に飲み込まれ、やがて恋は音もなく消えていく。 だからこそ、恋に落ちた男女が互いに求め合うのは必然のことであろ…

  • 心臓の鼓動(4)~9月16日 渋谷らくご 14時回 隅田川馬石 お富与三郎通し公演~

    ウワバミよ! 時次郎の眼 ノーコンプライアンス 今日も迫真 なぜ若い女性は派手な食べ物を好むのか 渋谷のセンター街を歩くことにする。毎度、ユーロスペースに行くための『安全通路』を通ることに慣れきっている私は、たまにはごちゃごちゃしたところを通ってみたいと思い立ち、自ら『危険地帯』であるセンター街をふらふらと歩いた。 『ポテトモッツァレラハットグ』なる食べ物をムシャムシャと食す若者たちの姿を見つける。タピオカにしろ、ハットグにしろ、なぜあんなブツブツの気持ち悪いものを食すことができるのか、私にはまったくわからない。 タピオカミルクティーやハットグやらは見ただけで鳥肌が立つ。大体、私にとってハット…

  • 心臓の鼓動(3)~9月15日 渋谷らくご 14時回 隅田川馬石 お富与三郎通し公演~

    ぼっちゃん 冗談だよ~ 子連れ ママとマンマ 腕をあげたねぇ 焦がれ死ぬような男女の恋 祭囃子が鳴り響く道玄坂をとつとつと歩きながら、つるつると心は満ちて穏やかである。朝目がさめて悲しい知らせに胸を痛めども、なにせ根が起き上がり小法師、そう簡単に臥せって泣いているわけにも行かず、あらゆる意欲をかきあつめて服を着替え家を出て、ここまでやってきた。 粋な恋路のひとつやふたつ、男と女と生まれたからには、歩みたいと望んでしまうのが人の性か。恋に感けて疎かになる些事が火元ととなって全身を焦がす大事に至るまでは、まだ些かの時を要するようである。 何を因果に惹かれ合うのか。また、何を持って関係は丈夫になるの…

  • 心臓の鼓動(2)~9月14日 渋谷らくご 14時回 隅田川馬石 お富与三郎通し公演~

    親の心 子知らず 貸してたんだ 悪い奴です いやさ お富ぃ~ サクサクノーサボタージュ ユーロスペースに来ている。昨日の衝撃を引きずったまま、私はユーロスペース来ている。昨日見かけた人は殆どいない。誰が好き好んで貰うのかというポストカードの二枚目を、私は貰っている(失礼)。家の棚に馬石師匠が増える。次々に増殖する馬石師匠。浸食される棚。減っていくのは財布の中身だけである。 通し公演のうち一話でも聞いてしまったら、他を聞かないというのが私は耐えられない性分である。面白いと思ったら必ず頭から読むことにしている。どこを切り取っても楽しいことには間違いないのだが、やはり頭から読まねばスッキリしない。 …

  • 心臓の鼓動(1)~9月13日 渋谷らくご 20時回 隅田川馬石 お富与三郎通し公演~

    おあとはとはとは ごちそうさまでした お酒様 横櫛 神様のいたずら 「なぁ、これ何て読むの?」 ユーロライブの壁に貼られたシブラクのポスターを眺める青年二人。 金髪の男がツーブロックの男に向かってそう言った。 「くまたがわ、うまいしじゃね?」 「変な名前だな」 それは「すみだがわ、ばせき、だ!」と心の中で思いつつ、私はぼんやりと渋谷らくごのポスターを眺めていた。 9月13日~9月17日まで、隅田川馬石師匠がトリを取る五日間。落語に興味の無い人にとっては『くまたがわうまいし』が語る五日間である。 十代目金原亭馬生師匠から、五街道雲助師匠へと受け継がれ、そして隅田川馬石師匠へと、継承の系譜を辿る『…

  • ゆく川の流れの道理~ 9月13日 渋谷らくご 18時回~

    前座 嘘でもいいから ガミガミ親父 渋谷にいる若者達はみんな、パンケーキとタピオカミルクティーを求めている。渋谷に来ると、いつも私は、パンケーキを食べたそうにしていて、タピオカミルクティーを飲みたそうにしている若者達の顔を見ることになる。いつか糖尿病になるぞ、と心の中では思うのだが、それを口に出して言うことは無い。言ったところで、好きなものをやめることなど人には出来ない。なぜなら私は、落語を聞きたそうな顔をしていて、落語を求めている人間をたくさん知っているから。 反抗期を終えて、太閤記を読み、抵抗器を弄りながら感動しアンノウンな未来を見つめていた若いころの私とは、生きてきた次元が違う若者達が街…

  • 心のこもったヨイショの先にあるもの~9月8日 湯島天神 謝楽祭~

    落語好きなら一度はおいで 感謝 感謝の 謝楽祭 全てのことはメッセージ 楽しく笑って触れ合って 人と人との温かさ 嗚呼 今日という一日に 嬉しいあなたの心意気 『心を込めてヨイショ!』 開幕 まえがき 落語好きの皆様、祭り好きの皆様、お待たせ致しました。森野照葉でございます(妙に仰々しい)。私、この度、謝楽祭記事に関しては若干、いつもと方針を変え、謝楽祭に行けなかった皆様のために、また、謝楽祭に参加した皆様のために、どちらにも楽しんで頂ける記事を書いて行こうと思います。 というわけで、私の体験を追体験する形で、私の一日の行動を詳細に記すことと致しましょう。 目覚めの朝、湯島天神へ。 朝4時30…

  • ヨイショ!の謝楽祭~森野的 楽しみ方~

    http://rakugo-kyokai.jp/activity/sharakusai2019/ https://www.youtube.com/channel/UCV1eJRbmHNPu0T7gR0SnQSA 心をこめてヨイショ! 落語のお祭り! 突然ですが、あなたは落語がお好きですか。 このブログを読んでいるくらいですから、お好きですよね。 お好きに決まっていますよね。 好きじゃなかったら、そもそもこのブログを読んだりしませんよね。 来たる、2019年9月8日の日曜日、午前10時より、御徒町駅より徒歩8分、湯島天神の境内にて、『謝楽祭』という、一年に一度、落語協会が主催するお祭りがあります…

  • 心に出来た『こぶ』~8月29日 深川江戸資料館 笑福亭たま独演会~

    タテカワキッショー ボンヤ オヤカタシュー ベンケイー カンコー イメージと現実 Tickle Toe ふいに空き時間が出来たときは、まず落語会を探す。あまり事前に予定を立てて行動するということが少ないため、落語会は『当日ふらっと派』である。その時、その時で、自分の感覚に合った落語会に行きたいと思うし、その方がお得感もあるのである。もちろん、会によっては料金が500円アップするけれども、「今日はこの会に参加できる運命にあったのだな」と思うと、得した気分になるのである。 そんなこともあって、久しぶりに笑福亭たまさんの独演会に参加することが出来た。恐らく『遊雀式スペシャル』以来の深川江戸資料館では…

  • おしまいの無い永遠の旅路へ~8月24日 新宿末廣亭 深夜寄席~

    さーちゃーん!!! 「せいねんがっぴー」でお馴染み 死ぬんですぅ!ぼくはしぬんですう! ここからが面白いところ I'm praise man 人の悪いところを見つけるよりも、人の良いところを見つける。そして、それを多くの人に知ってもらう。私にとって、それがブログを書き続けるための大きな指針となっている。 思えば、160記事を越えて多くの記事を書いてきた。その全てが誰かを賞賛している。というか、賞賛しかしていない。今では、すっかり人の良い点しか見えなくなった。というか、良い点を見れば見ようとするほど、自分が幸福になっていくことに気づき、記事を書くことを止められなくなった。 一体なぜ、自分でもこん…

  • 神様も笑う~8月24日 第二十七回 亀戸寄席 桃月庵白酒 独演会~

    台風で流れた会 浮かれの屑より 浮足立つのに慣れている。足裏に地球と反発する磁石でもあるかのように。たとえ、暑い日の昼下がりであっても、「今日は涼しいね」と言ってしまうくらいに、何もかもが、浮いて、立っている。全身浮遊である。足はちゃんとある。体もちゃんとある。だが、どこか『浮いている』と感じるのである。水に浮かぶ豆腐のように。空気よりも比重が軽い、アンモニアである。アンモニアと同じ比重である。水があったらすぐ溶けている。無色だけど、刺激臭がある。ちょっと臭いくらいである。でも、臭いのは男として恥ずべきなので、ちゃんとデオドラントスプレーはする。男はデオドラントである。ディズニーランドより、デ…

  • 断ち切れぬ思いの縁、遠、煙~8月18日 鈴本演芸場 夏夜噺 夜席~

    お手紙書いても、いい? これは想像のストーリー 嘘だと思うかも知れないが、『初恋の嵐』という名前のバンドがいたことを、読者はご存知であろうか。三人組のロックバンドで、ギター・ボーカルの西山達郎さん、ベースの隅倉弘至さん、ドラムの鈴木正敏さんで構成されていた。 ちょっと前に、スピッツが『初恋の嵐』というバンドの、これも嘘みたいな曲名なのだが、『初恋に捧ぐ』という曲をカバーしている。メロディアスな曲で、ラジオでも何度かかかったことがある。以前、『SHIBA-HAMAラジオ』でも立川吉笑さんが原曲を紹介していることもあり、リスナーの方ならばご存知であろうと思う。 そんな信じられないバンド名の『初恋の…

  • 猛暑跳ねのけ飛ぶ燕~8月17日 黒門亭 一部~

    こんな暑い日は外に出ちゃダメ! こんがりフォックス 『暑』という漢字には、日(太陽)が物を煮るほどであるという様が表されている。確かに、外に一歩出てみればアスファルトで牛肉が焼けるほどの暑さである。そこかしこでBBQ大会である。裸足で歩き回ると足裏に網目状に焼き跡が残るやも知れない。ビールなんぞ飲めばすぐに酔って倒れるであろう。 そんな暑さから逃れられる筈もなく、仕方なしに肌だけは焼けぬようにと日焼け止めクリームを顔に塗るのだが、これが目に染みる。昔の人は一体どうやって暑さをしのいでいたというのか。日焼け止めクリームの代わりに樹液でも塗っていたんだろうか(昔の人を舐めすぎ)これほどの暑さには行…

  • 『けんこう』に生きる力~8月16日 人形町噺し問屋88 三遊亭兼好独演会~

    今日が退院後、最初の兼好師匠なんです。 よぉ~、よぉ~い 健やかに、康らかに、あなたの好きを兼ねて笑おう 遠い故郷 離れてみれば 故郷を離れ、再び東京の住まいに戻ったとき、私の胸の中には、いつもとは違う何かがあった。それは、私自身に嬉しいことがあり、それを両親、親戚の祖母、地元の友人が祝ってくれたからこそ、生まれたものであろう。 人に褒められることに慣れていない私にとって、なかなか人から祝われるというのは、特別な体験であった。褒められることに慣れていないくせに、自らの嬉しかった体験を人に話すという矛盾もあるが、考えてみれば、私は幼い頃から、どこか自分の体験を人に伝えたいという癖があったようであ…

  • ミスター・チルドレンの爆発~8月13日 プーク人形劇場 新作落語お盆寄席~

    もう大人だから、怒られないよ~ ミスマッチ・アダルト・チルドレンズ 彼女だったら付き合いづらいだろう、心変わりの多い天気のなか、私はプーク人形劇場へと向かっていた。電車の車内には、子供連れの家族や異国からの旅人が多い様子である。晴れたり降ったり曇ったり止んだり、どこかでは大雨が降っていても、どこかではカラッと晴れている、天気が読めなくて傘が欠かせぬ、そんな天気の心変わりに人々も惑わされているようだ。 しばし電車に揺られていると、私のすぐ近くにいた、胸元にサングラスをひっかけた男性が、窓の向こうを眺めながら「うそ、雨降ってんの!?」と言った。その男性の子供らしき少年が、「傘、あるじゃん」と言うの…

  • 毎日を笑って過ごす、日々の朝に~8月10日 古今亭文菊 独演会~

    お酒かい? ハチゴロウってんですよ 思い立ったら 爺臭い話になるが、私は僅かな睡眠時間でも体調がすこぶる良い体質である。大体、4~5時間ほど眠ると、バッチリ快調ということが、ここ2~3年の間で確立されており、毎朝大体4時半か5時に目が覚める。絶好調の時など、0時に寝て3時半に目が覚める。それで、特に体が重いとか、気持ちが怠いということが無いから不思議だ。 思えば、良く笑った日の翌朝などは特に睡眠時間が短い。誰か詳しい研究をしていないだろうか。自分でもなぜこれほどまでに短い睡眠時間で、体調も気持ちも快いのか見当が付かない。心当たりがあると言えば、日中でも短い睡眠を何度か繰り返しているから、それ…

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