僕らはみんな生きている~都内某所~

僕らはみんな生きている~都内某所~

自殺しようと思ったことが何度かある。 はっきりと数を言うことは出来ないが、確実に覚えている1回がある。 母の目の前で、包丁を握りしめ、自分の左腕を切り落とそうとした。 だが、振り上げた包丁を降ろすことができなかった。 それは、私の目の前にいた母が、包丁を振り下ろす瞬間、 絶対に身を挺して、私の左腕を庇うだろうということが、 幼いながらも、はっきりと脳内で『見えた』からだった。 母の覚悟の目を、見たせいだろうか。 物言わぬ母の、覚悟の目が、子を守ろうとする目が、今でも忘れられない。 今思えば、なんで自殺しようと思ったのか分からない。 だが、私は大声で泣き叫びながら、包丁を振り上げていた。 結局、…