chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
りおりお
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2017/11/17

arrow_drop_down
  • 62

    つくしは真木子の手を取ったまま道明寺家の車へ走る。車の手前まで来ると自然に後部ドアが開き、そこに飛び乗った。中にはF4が待っていた。「遅くなったかな?」「いや。 丁度良い時間だったんじゃね?」「あっ、紹介するね。 あたしの友達の遠藤真木子ちゃん。」「「「「よろしく。」」」」真木子は車を見た時から驚きすぎて声にならない。目の前にF4が揃っている。しかも車内という密室で同じ空気を吸っている。「よろしく」と...

  • 61

    翌日、類とつくしは小田原城付近の寺へ向かった。小田原城付近から順に東へしらみつぶしに探す作戦だ。そんな中、類がつくしに尋ねる。「そろそろクリスマスだけど予定ある?」「うん。 今年は伯父さん達と一緒に過ごすことにしてる。 日本ってクリスマス休暇が無いんだね。 アメリカでは中旬ごろから休みになるのに。あっ、でも年が明けたらすぐに仕事とか学校が始まるけどね。」「そうだな。 日本の場合は年末年始を中心にし...

  • 60

    12月になった。F4はラウンジでクリスマスパーティーについて話し合っていた。「なあ。 牧野も呼ぼうぜ。」もちろん皆、賛成だ。「俺ん家にするか?」司の言葉に三人は頷く。毎年、司の家で集まる。あきらの家はメルヘンな母と妹達で家中飾られクリスマス気分を味わえるが、四人は既にそう言う年頃ではない。「牧野さんなら、そう言う雰囲気の方が好きそうだけどな。」「だろうな。 だが俺達が寛がれねぇ。 当然、妹達もいるだ...

  • 59

    小田原城、SAMURAI館の観覧を終えた後、二人はゆっくり城内を歩く。綺麗に整備され歩きやすい。もちろん二人は手を繋いだままだ。「落ち着いた?」「なんとか。 それにしてもこんなに感情が揺さぶられるとは思わなかった。」「仕方ないよ。 楓弥様はその時の興奮や熱気を直接肌で感じていたんだから。」「ん。 歴史で戦国時代を学んだ時は、そんな事もあったんだという第三者目線だったけどな。」「そうだね。 あたしの場合、...

  • 58

    10月前世を告白してから初めての城巡りに類とつくしは小田原城を選んだ。この小田原攻めで楓弥は亡くなった。つくしは類に問う。「覚えてる?」「全く。」楓弥の記憶の中にあるであろう小田原城。だが目の前の城は類には全く覚えがない。「確か小田原攻めの後、改修されたんだよね?それに明治時代に廃城され周辺の建物も解体。 しかも関東大震災で石垣も崩落。昭和になって再建されたんだよね? つまり楓弥が見た城では無いとい...

  • 57

    つくしは祖父の話を聞き、なぜすぐに自分を引き取ってくれなかったのかよく分かった。そこに自分の意思が関わっていたとは思わなかったし、幼い自分はあんな父親でも頼りにしていたんだろう。「確かに暴力は受けなかったし食事も皆と同じ物を出されてた。ただ、、、あそこにあたしの居場所がなかっただけ。あたしという存在を無視されて、まるで存在しないような感じだった。会話もあたしだけを無視していたし、外出する時もあたし...

  • 56

    祖父の後悔を聞き、つくしは胸が熱くなる。祖父は父を信頼していたからこそ母との結婚を許したのは間違いない。だが、父はそれを完全に裏切る行為だ。そして会社のトップを欺けるほどに父は外面が良いんだろう。「お爺ちゃん。 お爺ちゃんは何も悪くない。お母さんはあんな父でも本当に愛していたんだと思う。父の裏の顔を知らずに純粋に愛していたんだと思うから。それはお母さんだけじゃなく会社の上司や周囲もそう思っていたは...

  • 55

    F4との楽しいランチが終わりを迎える頃、類はワザと小田原城とその周辺の寺について話始めた。それは他の三人には全く興味の無い話。その為、続きはつくしを送りながら話すことになった。「お前ら、ほんとに小田原城が好きだよなぁ。」「だって豊臣軍に白旗を上げた経緯を知りたいだろ?」「そんなもんか? それよりも本能寺の変で織田信長の遺体が見つからなかったという方が面白くねぇか?」「それは他の人も色々調べているだろ...

  • 54

    「教えてください。 あたしは愛人の子供なんですか?」つくしの真剣な表情にF4は驚く。それだけ苛めのような物は深刻で出生について悩んでいると分かった。類と司はその事実に怒りを覚えなかなか言葉が出ない。それを察し、総二郎が尋ねる。「今日も何か言われたのか?」つくしはもう隠す必要は無いと思っている。逆に区役所へ行く必要はなくなり感謝だ。「はい。 同じ学年に義妹の牧野愛子がいます。その愛子さんがあたしの事を...

  • 53

    つくしは周囲に気を付けて駐車場へ向かった。既にほとんどの人は下校しており、駐車場もかなり空いている。するとつくしの前に一台の車が静かに停まり窓が開けられた。そこには総二郎の顔がある。その車につくしは飛び乗った。「すみません。 遅くなりましたか?」「丁度良い時間だったんじゃねぇか?」中にはF4が勢ぞろいしている。司とは北海道以来だし、総二郎とは7月のお稽古以来、そしてあきらとはお稽古初日以来だ。「どこ...

  • 52

    F4は始業式をさぼりラウンジにいた。あきらはポケットに入れていた紙をテーブルの上に置く。「牧野さんの事、調べたぜ。」「どうだった?」類はテーブルの上の紙を手に取り、あきらの言葉に耳を傾ける。「牧野さんの母親は東条元会長の娘で会社は元会長の長男が社長に就いているし、その息子が後継者として今は専務の地位で仕事をしている。だから牧野さんが東条を継がなくても問題ねぇ。」三人は頷く。「牧野さんの父親は祖父の秘...

  • 51

    二学期が始まった。つくしは久しぶりの学校に早くもどんよりとした気持ちになった。「このネックレスをイタリアで買ったんですの。」「良くお似合いですわ。 私はこちらの指輪をフランスで買いましたの。」「まあ素敵。」教室に入ると同時に夏休みの話題になるのはどこの国も変わらないが、こうして品評会のようにアクセサリーを自慢するのは如何な物か?しかも校則で禁止されているのに皆堂々と身に着けている。そんなつくしに、...

  • 50

    8月末。司の家では久しぶりに四人が集まっていた。「久しぶりだなぁ。 総二郎は茶会か?」「あぁ。 父親の地方巡業に付き合わされた。」「あきらは?」「母親と妹達とカナダへ行っていたんだが凄く疲れた。」「まあ俺達と趣味が違うもんな。 類はフランスだろ? 静に会ったのか?」「あぁ。 会った。 というより母親が静を甲斐甲斐しく世話していたのには驚いた。」「へぇ。 まあ類の母親と静は元々仲が良いからなぁ。」「...

  • 49

    類はフランスから帰国して二日後に、つくしのマンションへ向かった。そして二人で都内の図書館へ向かう。その車内で、類はフランスで買ったお土産を渡す。「これ。 フランスのお土産。 クッキーだから。」「ありがとうございます。 クッキー好きです。 あっ、あたしからもお土産です。 コースターなんです。」二人は互いに交換する。「可愛い缶ですね。 クッキーを食べ終えたら小物入れにします。」「へぇ。 これは五稜郭?...

  • 48

    つくし達は東京へ戻る為に空港に来ていた。そこでつくしはお土産を買うために店を巡っていた。自宅で食べるお菓子はもちろんの事、自分用として綺麗なキャンドルを手に取る。そしてふと類と総二郎にもお土産を、、、と思う。「ねぇ道明寺さん。」「なんだ?」「道明寺さんは何をお土産に貰ったら嬉しい?」「俺か? 特にねぇなぁ。」「そっかぁ。 西門さんと類さんに何かお土産をと思ってるんだけど、キャンドルも要らないだろう...

  • 47

    レストランでは静はワイン、類はジュースを頼む。アルコールは18歳以上となったからだ。「真面目ね。 日本では隠れて飲んでいるでしょ?」「法律でそうなっているからね。」確かに親友達とはたまに飲んでいる。だがレストランなどの公の場では万が一のことがあれば親やレストラン側にも迷惑がかかる。司ではないがそれは避けたいし、それこそフランスへ来いと言われては堪らない。前菜が運ばれ食事を始める中、類は切り出した。「...

  • 46

    類はパーティー当日になり用意された服に袖を通す。濃紺のスーツに蝶ネクタイだが、あつらえたようにピッタリで驚く。静はシャンパンゴールド色のマーメイドタイプのイブニングドレスを着て来た。「まあ静ちゃん。 やっぱりその色と形が良く似合っているわ。」「ありがとうございます。」二人の話を聞く限り、どうやら二人で選んだ服のようだ。靴や鞄まで色を合わせ、少し大人っぽい雰囲気を醸し出している。「じゃあ今日は類君を...

  • 45

    つくしはジャガイモ揚げが目に止まった。そこは数十人が並んでいる。「あれ食べませんか?」「並んでるぞ?」「美味しいから並んでいるんですよ。 行きましょう。」「マジか? だったらこいつら押しのけて行こうぜ。」「ちょっ! 駄目です。 きちんと並ばないと。」「何でだよ! 俺は道明寺だぞ! 俺様を並ばせるつもりかよ。」「当たり前でしょう!」つくしは司が今にも最前列へ向かおうとするのを必死に止める。そしてその...

  • 44

    翌日、祖父達はゴルフへ向かい、つくしと司は洞爺湖へ向かった。ずっと車窓から景色を眺めているつくしに、司が問う。「あのよぉ。 類とは城や寺巡りをやってるのか?」「まだ一度しか行っていないんですが、これからも一緒に行くことになっています。」「へぇ。 あの類となぁ。 あいつと話が合う人間がいるとはなぁ。」司はどこか遠くを見ながら告げる。幼いころから類を見て来た司は、類自身が自分の傍に女性を近づけたのが信...

  • 43

    類は夕食の時間になりダイニングへ向かう。そこには両親と静の三人が既に席についていた。会話もほとんど母親と静が行い、父親と類は黙々と料理を口に運んでいた。そして窮屈な食事が終わりを迎える頃、母親が類に告げた。「類君。 静ちゃんを家まで送って行ってあげてね。」「俺が?」「えぇ。 時間も遅いし。」内心、舌打ちをした後、渋々静をマンションまで送る事する。母親の魂胆は二人っきりにさせたいという気持ちだろうが...

  • 42

    北海道新千歳空港に到着した祖父とつくしは、すぐに宿泊するホテルへ向かった。「凄く綺麗な景色だね。 東京と違って自然豊かだし。ホテルには温泉が引かれて露天風呂もあるんだよね?」「あぁ。 そんなに温泉が楽しみか?」「もちろん! 自然を見ながらお湯に浸かれるって良いよねぇ。ところで今回も西門のお爺ちゃんも来るの?」「一日遅れて来る事になっている。」「じゃあその時に次期家元のお茶は美味しいです。 お稽古も...

  • 41

    類はフランスへ向かう為、羽田空港に来ていた。そしてチラチラと周囲を窺う。すると名前を呼び手を振り回しながら近づいてくるつくしの姿を捉えた。「類さ~ん。 類さ~ん。」既に視線が合っているにも拘らず、大きな声で名前を呼び手を振り続ける行動がおかしくてならない。しかも前日に空港で落ち合う約束をしている。時間も場所も伝えているのだから、そこまで目立つ行動を取らなくても良い物なのだが、、、まあ確かに人が多い...

  • 40

    花沢邸の美味しい夕食を食べながら、二人は小田原攻めの話に終始する。それは使用人の目には勤勉なつくしとして映る。何よりそれに対して類も答えながら食事が進んでいる。今までこんなに夕食を召し上がったことがあるだろうか?というくらいだ。「だから小田原城は白旗をあげたけど、城主と一部の者だけが切腹しただけで済んだだろ?そこに楓弥の父親の名前は無いと言う事は生きていたはずなんだ。つまり、、父親に情があれば楓弥...

  • 39

    類は部屋に置いていた桜貝を手に取り応接室へ戻った。そしてそれをつくしの前に置く。「これがGWに俺が拾った桜貝。 海岸を歩いていたら見つけたんだ。色々な貝の欠片が落ちていたんだけど、これだけ綺麗な形で残ってたしピンク色が目についてさ。」「綺麗ですね。 あたしも同じです。」そう言いながらつくしは財布を取り出す。そして巾着袋の中から桜貝を取り出し、類の桜貝の横に置く。大きさも同じぐらいだ。「ちょっと見せて...

  • 38

    カタッ不意に扉の方から小さな音が聞こえ、二人は我に返る。それはもうすぐ唇が重なり合う寸前で、慌てて二人は体を反らせた。「ごめんっ。」「いえ。 私の方こそすみません。」急いで謝った後、二人はゆっくり扉の方を向く。そこは確かに閉まっていたのだが、二人は途中から自分の意識が飛んでいたと感じていた。すっかり楓弥と蒔乃の感情に支配され、目の前の姿もそれぞれの姿に変わって見えていた。だが、、、二人の心はホッと...

  • 37

    「その後、姫と初めての閨事が行われたことが城内に駆け巡った。それにより侍女や女中、家臣が嫉妬を覚え殺気立っていると聞いて急いで短刀を作らせた。もしかして嫉妬に狂った者が姫を襲うかもしれないと不安に思ったからだ。」つくしはなぜあの後短刀を渡されたのかという疑問が今解消された。確かにあの後、侍女から嫉妬のような視線を感じたのは事実だ。特にしずの嫉妬は酷かった。「短刀に牡丹を施したのは、姫の秘所がまるで...

  • 36

    二人の心は前世が支配していく。誤解が生じていると分かった時点から齟齬を解消させたくて仕方なかった。「蒔乃姫。 私は出会った時からずっと姫をお慕いしておりました。」「私も同じです。 楓弥様。」「初めてお会いしたのは姫のお城でした。あの時、一番端に座っている姫に一目で恋に落ちました。 私がまだ11歳の頃です。そこから無謀にも姫を妻にするために頑張ってきました。」「ありがとうございます。」つくしは頬を染...

  • 35

    「もしかして、、、牧野って蒔乃姫?」類がつくしを見ながらポツリと言葉を漏らす。つくしはその言葉に目を見開き類を見た。そして確認するように問う。「もしかして、、、楓弥様?」つくしの声色は夢の中で何回か聞いた蒔乃姫の声色だった。会話を交わしたのは数えるほどだが、体調の悪い蒔乃は声も小さく尋ねる様な声だった。類は思わずつくしを抱きしめる。何故だか分からないが体が自然に動いた。ずっと探していた物を見つけた...

  • 34

    類とつくしは、ゆっくりと見て回る。そして笠原家の墓がある寺では、一つ一つじっくり見る。だが楓弥の名前は見つけられなかった。丁度昼前だった事もあり、次の場所へ歩きながら近くのそば屋に入る。今日は小机城周辺の散策を予定している為、まだまだ歩く。外は暑いし定期的に水分補給をしているものの、そろそろ冷房の利いた部屋に入りたいと思っていたところだ。入ると同時に二人は同じ言葉が漏れる。「「涼しい、、、」」あま...

  • 33

    類とつくしは連絡先を交換した物の、お茶の稽古の時に纏めて話をすれば済む事と特に連絡を取らなかった。そしてお茶の稽古もきちんと行った。「牧野は茶道は初めてだと分かったが、畳の歩き方とか座り方とか本当に誰かに教わっていないのか?凄く綺麗なんだが?」「教わってはいないけどテレビとかで見た事があるからかな?」つくしは夢の中の蒔乃の仕草がそのまま行動として出ていると分かっているが、それを話すことは出来ず誤魔...

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、りおりおさんをフォローしませんか?

ハンドル名
りおりおさん
ブログタイトル
さくらいろ
フォロー
さくらいろ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用