桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
6日は朝イチから仕事で外出し、戻ってきたのはランチ後。それからは夕方の稽古に備え、自分の茶室で道具の手入れをしていると志乃さんがやって来た。どうしたのかと思えば、宗家に婆様から電話が入ってると・・・そして俺に代われと言っているらしい。そんな事は初めてだったから驚いて、すぐにその電話に出ると・・・・・・『総二郎?あなた、今は仕事中よね?』「はい、そうですけど・・・どうかしたのですか?」『悪いけど、自分の部屋に戻...
牧野が意識を取り戻したのは19時前で、もう外は薄暗くなっていた。せっかく夕日を見たいと言っていたのに間に合わなくて・・・でも、そんな事よりも牧野が無事だったことの方が嬉しかった。だからわんわん泣かれても、俺としてはホッとした気持ちの方が強く、背中に回した手を緩めることも出来なかった。そうしたらだんだん牧野も平常心になったらしく、俺の腕の中で変な顔してる。それに気付いたから手を離してやると、鼻を真っ赤...
4日の朝は大掃除をすることになった。それはまずお風呂からで、崇子さんにバレたら不味いと思ったから///そんなの気付くはずもないと思うんだけど、気不味くて仕方がなかった。だからバスタブは勿論、床も壁も、脱衣場も・・・何度も見直して変な部分がないかを確認。そして今度は自分の部屋で、「総二郎の残したもの」がないかをチェック。お布団を干して掃除機かけて、総二郎の残り香がないかを確認して・・・「・・・別に不自然じゃない...
口に何かを入れられた・・・でもそれを飲み込まないように口の中に留めてた。そのうちに鼻と口を大きな手で塞がれ、凄い力で押してくる・・・恐怖で逆に力が抜け、頭が真っ白になった時・・・「牧野!!」それは花沢さんの声・・・?急いで目を開けて横を見たら、息を切らした花沢さんが驚いた表情でそこに居て・・・助かったと思った私は呻き声しか出せなかったけど、必死に助けを求めた!そうしたら男達はまた何か言ってる・・・でもそんなのどうで...
<side伽耶・西門邸>総二郎様のお誕生日・・・その本人が居ない夕食はいつもより凄く静かだった。風邪気味の家元は自室で召し上がってるし、弟の考三郎さんは何処かに出掛けてる。そして仕事に出掛けた総二郎様からは何の連絡もなし・・・だから私と家元夫人の2人きりだった。次期家元の誕生日ならもっとイベント的な事があると思っていたのに、本当に辛気くさい家・・・正直言えば、こんな堅苦しい茶道宗家なんてイヤだったけど、お母様...
沢山の観光客が居るのに、私が連れ込まれたところはそんな人達が1人も見えない場所・・・さっきまで明るいビーチを歩いてたのに、今は薄暗いビルの間の壁に背中を当てた状態で立ってた。目の前の男の人がニヤリと笑って何か言ってるけど、そんなの聞き取れるはずもなく・・・ただ、すごくヤバい状況になってるってことだけは判った。お金目当てなのか・・・それだったら何も持って無いから、もしかしたら殴られるのかも。お金目当てじゃな...
本文中に微ではありますがR表現を含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので閲覧は自己責任でお願い致します。******************************つくしは俺が早く帰らないと不味いと思ってるようだが、俺としては時間なんてどうでもいい。会食があったと言えばそれまでだし、酔いが覚めるまで仮眠した・・・なんてことも言える。だから真夜中までこの家にいるつもりだ...
藤本さんと西門兄弟へのお土産を買うと、すぐにホテルに戻って荷物を置いた。その時、会社で朗報を待ってる藤本さんに電話することに・・・日本はちょうどお昼ぐらいで、花沢さんは執務室の様子も気になるみたいだったし。その電話はすぐに通話になり、藤本さんの『どうでしたか?』って焦った声に2人でクスクス笑った。「お疲れ、藤本」「藤本さん、お疲れさまです~~~!」『声が明るいですね・・・もしや、成功しましたか?』「うん...
気怠そうにつくしが身体を起こし、俺はその乱れた髪に手を伸ばした。そうしたら突然「もうっ///、総二郎の馬鹿!」と言われその手を払われた。明るいうちに手を出したからなのか、それともこの部屋だったからなのか・・・確かに婆様がいないとは言え、この家の中ってのはヤバかったかも。つくしが婆様に何か言われたらって考えても無理はないが・・・「まぁ、言わなきゃ判んねぇだろ?」「自分から言うわけないじゃん///!そ、そりゃ私も...
エメラルドを取り戻した・・・・・・それはすごく嬉しかったんだけど、今の私達はと言うと・・・2人でベッドの両サイドに背中合わせで座ってて、シーーーーーンとしていた。何故なら突然キスされた事に驚いた私と、気不味そうな花沢さんだから。しかも私は真っ赤になってるはずだから、それも見られたくなくて・・・と言うか、どうしていいのか判らなくて焦ってた。確かに10日前には結婚式でキスしたんだけど、それは「演技」だと思ってたか...
インターホンを押したら、すぐに開いた玄関の引き戸・・・そして飛び出してきたつくしを抱き留めたら、危うく後ろにひっくり返るところだった!そんな事も気にせず「会いたかった」なんて言うし、それだけでさっきの嫌な出来事も全部吹っ飛んで消えてしまった。それにしても、婆様が居るだろうに「こんな大胆なことして」と言うと・・・「えっ!婆様、居ないのか?」「うん。朝早くにね、ご実家に帰るって出て行っちゃったの。お兄さんの...
「すぐに終わりますんで、失礼します~~~っ!」「チョト、マテクダサイ!」私の事を掴まえようとするメイクさんを無視して中に入ると、楓さんの目がテン。今度は彼女の前に行き、メイクさんに聞こえないぐらいの小さな声でお願いをしてみた。「なんですか、あなた!」「今からパーティーですよね?本当にごめんなさい・・・実は私、昨日ここで同じようにウエディングパーティーをしたんです。でもそれが終わってから部屋を出たら、...
総二郎から電話があったのは夜遅く・・・もう崇子さんは寝てる時間だったから、小さな声で話した。そうしたら明日の午後からここに来るって・・・それを聞いて、少しホッとした。彼の誕生日をまるっと伽耶さんに奪われなくて良かったと思ったから。『泊まることは出来ねぇけど、遅くまではいられるから』「いいの?夕方に家族で食事会とか・・・」『そんなものねぇよ。まぁ、昼は宗家で食うけど、それもパーティーとかじゃなくて普通の飯。...
時間は12時30分になり、花沢さんがホテルの外でランチを買ってきてくれた。大通りのマーケットの中にテイクアウト専門店があって、そこの看板メニューであるロティサリーチキンやフラットブレッドピザ。それに日替わりランチのビーフシチューもあって、めっちゃ美味しそう♥「日本食のテイクアウトもあったよ」「そうなの?!」「うん。カリフォルニア産最高級コシヒカリ・牧田ゴールドを使ってるんだって」「・・・なんだか親近感...
翌日、横浜での講演会は難なく終了。付き添いの弟子が2人で控え室の片付けをしている間、俺は主催者への挨拶やら横浜支部の幹部との談笑・・・そんな面倒臭い事も総て終わらせて、控え室で服に着替えて車に向かった。その時運転していた弟子に告げた行き先は以前電話した骨董品屋だ。都内の茶道具店・骨董品屋などにはこういった仕事の後に立ち寄ることが多々あるため、それを言ったからって不審に思われることはなく、弟子はナビで...
6階の部屋をデイユース出来たのはいいけど、それはドレッシングルームとは少しだけ離れていた。と言っても3部屋隣なだけだから良しとして、その支払いを済ませると急いで牧野のところに戻ろうと・・・・・エレベーターに乗ろうとしたのをやめて、奥の方にある階段で6階まで上がることにした。万が一にもエレベーターのドアが開いた時に織田楓と鉢合わせしないように・・・日本人観光客も多いから、細心の注意を払って通路を歩いた。「・・...
次の日の昼過ぎ、予定よりも少し早めに私の荷物が北海道から届いた。小さなトラックだったから何とか玄関前まで入ってきて、そこに停めたら通路は塞がれるほど・・・だから急いで荷物を降ろしてもらい、奥の部屋へと運んでもらった。とは言え大きな家具も家電もないから、その作業もあっという間だった。崇子さんも「これだけ?」って驚いていたけど、元々北海道に持っていった荷物も少なかったと言うと苦笑い・・・「ベッドが良いなら買...
その仮眠室で話を終えたのが11時。メリアには謝礼を渡し、彼女は『パーティが始まる前、厨房に来たら私を呼んでね♪』と言って仕事に戻って行った。・・・まぁ、厨房に忍び込むと言ったのは嘘だし、メリアも仕事に入れば俺達の事は忘れてしまうだろうから気にしない。ここで牧野に今の話を伝えると、「とにかく現場を見てみないとね!」って気合いを入れていた。「今のうちにレストランに行ってみようか。そこからドレッシングルーム...
崇子さんが干してくれてたんだろうと思われるお布団・・・そんなフカフカの布団で寝たせいで、ついつい起きるのが遅くなってしまった。目が覚めたのは7時20分・・・・・驚いて飛び起き、服を着替えてキッチンに行ったら、もう既に朝ごはんが用意されていた。それを見て茫然・・・私はここに「お手伝いさん」として来たはずなのに、何もせずに作ってもらうなんて・・・勿論怒られたりはしないけど、それでもガックリ肩を落として平謝り・・・「本...
花沢さんの言う通り、暫くしたらさっきのおじさんが朝食を持って来てくれた。その時にも何度も謝ってて、彼はそれに完全無視・・・見てるこっちがヒヤヒヤする雰囲気だったけど、それよりも感動したのは・・・「すご~~~~~いっ!これがハワイの朝ごはん?♪」狭い部屋のテーブル、そこだけカラフルで超可愛いトレイが置かれて、私の気分は一気に爆上がり!エッグ・ベネディクトにアサイーボウルにパンケーキ♪エッグベネディクトっての...
つくしを婆様の家の近くの道路で降ろし、俺は真っ直ぐ裏門に向かった。そして親父に仕事の報告をしてから自分の茶室に戻り、そこで少しだけ片付けたら今日の仕事は終了。その時に志乃さんの姿が見えたからお袋の様子を聞くと、午後からは本邸をウロウロするぐらい回復していたそうだ。でも昼食も殆ど食べず、また夕方早くから東の棟あるお気に入りの部屋に閉じ籠もっているのだとか・・・しかも12月初めにある婦人会の観劇会も、自...
無事にハワイに到着したのは予定通りの9時。ファーストクラスだからすぐに降りることも出来て、入国手続きが済んだら急いでタクシーに乗り込んだ。向かったのは花沢系列のリゾートホテルで、そこまでは車で20分程度。まだ日本は午前4時過ぎだけど、一応藤本に到着を知らせるメールをしておいた。これから15時のパーティー開始までが勝負・・・ホテルに着いたらすぐに支度しなきゃ、と牧野と一緒に気合いを入れていた。そしてうちの...
ビジネスホテルをチェックアウトしたのは8時前。急いでマンションに戻り、引っ越し屋さんがくるのを待つ間、掃除やら退居の書類確認とかで大忙しだった。荷物は日用品、崇子さんちに持っていっても困らない小物、そして衣類が殆ど・・・あまりないと思ったけど大きな段ボール10個分にもなった。もう少し減らした方が良かったかもだけど、まだ使えそうなものは捨てられない。自分のお部屋をもらえるだろうから、そこで活用すればい...
シートベルト着用のサインが消灯して、最初に開始されるドリンクサービス。ファーストクラスの座席の前にあるテーブルが引き出され、そこにテーブルクロスが・・・まさか乗り物内でそんな事されると思わず驚いてると、そこに注文した飲み物が置かれた。ヒョイッと隣を見たら、花沢さんはすでにお洒落なグラスでワインを飲んでる・・・そして私の前には適当に選んだシャンパンが置かれたんだけど、それが美味しいのかって言われるとイマイ...
11月25日、今日は私の最後の出勤日。それからは有休消化して、12月15日が退職日・・・とうとうその日になったんだと、少し緊張しながら会社に向かった。もう外出することもなく、今日はみんなの雑用を引き受けていた。それに僅かな時間お世話になったロッカーと机の掃除、最終的な書類の確認・・・送別会を断わったため、この日の昼食時間に休憩室でお別れ会をしてもらった。当然そこに葛城さんはおらず、彼の名前も出て来なかっ...
30日の午後、秘書課長が牧野の忌引きを了解したと、藤本が報告してきた。そして藤本の親戚が経営してる地方の葬儀場で明後日に葬儀・・・それに総務部長、秘書課長の名前で弔電を打つことになったらしい。「それ、誰がやるの?」「私が教育係ですから、私が引き受けてきましたよ」「じゃあ電報は打たなくていいわけだね」「そうですね・・・でも念の為に勅使河原さんの葬儀の問い合わせがあったら対応してくれと頼んでますから」「・・・...
葛城さんが来なくなって数日間・・・私はあまり人と話さずに仕事をしていた。周りの人達は私は無関係だと判ってくれてるけど、それでも気不味い空気が流れてて・・・しかもあれから何度か調査機関の人が来たり、道警の人が来たりと社内がザワついていたから・・・葛城さんはマンションにも戻ってないらしく、帰宅するときに見上げても部屋の電気がついたことはなかった。私は来週にはここを出ていく・・・引っ越し業者も手配してるし、退居の書...
6月29日の夜・・・ハワイに行く前日の、最終打ち合わせを牧野のマンションで行っていた。その時に牧野が実質何時間ハワイにいるのかって言うから、簡単に時差から説明することに・・・。「日本とハワイの時差は19時間で、ハワイが日本より時間が遅れてるんだ。だから明日の夜に羽田を出ても、到着するのは同日の朝ってことになる」「えっ?そうなんだ・・・30日の夜に出て、30日の朝に着くの?」「そういう事ですね。で、私の調査...
東京に戻った翌日、西門はいつも通りの朝を迎えていた。伽耶もお袋も朝食には普通に加わっていたが、以前のような会話はなし・・・実に静かな時間が流れた。口切りの茶事も終り、今度は12月に行う「夜咄の茶事」の準備が始まる。夜咄の茶事は夕刻から客が寄合、炉辺にて茶を楽しむもので、露地では灯篭や露地行灯に火を灯し、客は手燭で足元を照らしながら腰掛に進み、迎付に亭主と正客は手燭の交換をする。席中での点前や拝見のと...
その週末の土曜日、6月~7月のハワイについて調べてみた。6月のハワイは平均気温は27.4℃。晴天の日が多くて日差しも強く、最高気温は30℃を超える。雨は少なくて、ビーチやハイキングなどのアクティビティがたっぷり楽しめるシーズン♪なるほどね~~♪日差しが強いので外出する際は日焼け止めや帽子などの紫外線対策は絶対。1年で最も日照時間が長くなって、気温は高いけど天候は安定。日本と違って湿度が低い&風があるから過...
「・・・・・・・・・んっ・・・ったぁ・・・・・・・・・あれ?」身体中が痛くて目が覚めた・・・。見慣れない部屋に、フワフワすぎる布団・・・ここ、何処だっけ?と考えながら少しだけ頭を上げたら、もう窓の向こうは白くて朝が近いんだと思った。それと同時に何故か重たい物が私の身体の上にある。なんだろうと思って顔を反対側に向けたら、そこにあったのは・・・・・・げっ!!総二郎?!それに驚いたけど声には出せず・・・しかもヤケに重たかったのは、私の背中...
パスポートを取るために必要な書類を集めることになった。しかも仕事中に、藤本さんの指示で「法務局に行く」みたいなよく判らない理由で、公共交通機関を使って区役所に・・・「え~~と、一般旅券発給申請書はダウンロードしてもらったからいいとして・・・戸籍謄本と住民票の写し、それと写真ね」戸籍謄本は本籍地の市区町村役場でしか取ることができない・・・私の本籍地は引っ越しする前の都内にあったから、今度はそこの役所に向かっ...
本文中にR表現を含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので閲覧は自己責任でお願いいたします。******************************まさか2回もあるなんて思ってなかったから身体も心も完全ダウン・・・それなのに目の前の悪魔は私を軽々と抱き上げてベッドから降りた。その時も当然素っ裸で超恥ずかしい///しかも暴れたら落ちそうだし、でも必死にしがみつこうにもこの...
花沢さんが黙ったまま・・・私は後部座席に座ってるから表情は覗えないんだけど、すごくショックを受けてるんだろうなと思うと・・・どう声を掛けていいのか判らなかった。て、言うか私のせいじゃないし、むしろ頑張ったんだけど。それでも取り返せなかったことで、悔しい思いは同じ。エメラルドに関しては振り出しに戻ったわけだし、実物が何処にあるのかから調べ直し・・・それをどうやったらいいのか思い付かなくて、車内の空気はものす...
本文中にR表現を含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので閲覧は自己責任でお願いいたします。******************************自分の下着がすげぇ濡れてることに気が付いたつくしが恥ずかしそうに顔を横に向けた。そして震える手で俺の動きを止めようとしたが、そんなのは全部無視・・・と言うか、止める力すら出せてないのが現状だった。ささやかな抵抗・・・それも無...
もうそろそろ来ると思った途端、鳴ったインターホン・・・ここに来るのは1人しかいないから、返事もせずに解錠し、覚悟決めて玄関に向かった。そうしたら数秒後に開いたドア・・・花沢さんがおかしく思ってるのは判ってるし、この状況に困惑してるんだと思う。そして完全にバレてるはず・・・今日の作戦が失敗に終わったこと。私のせいじゃないとは思うけど、もう謝る事しか出来なくて、不思議そうな顔を見せた彼に向かって・・・「ごめんなさ...
バスルームから出ると、総二郎はさっきと同じ位置に座ってスマホを触ってた。私はバスローブ姿や湿った髪を見せるのも恥ずかしかったけど・・・勇気を出して彼のところに戻り、「お先に・・・」とひと言。彼は妖しく笑った後で、スッと立ち上がると私の頬をサラッと触り・・・「すぐに戻って来るからワインでも飲んで待っとけ」「・・・///・・・うん」「飲みすぎるなよ?寝落ちとか許さねぇからな」「そんなに飲めないよ///」目を細めて笑い、そ...
「つくしちゃん、遅くね?」「・・・何かあったんでしょうか・・・・・・」「・・・・・・・・・・・・」俺達は既に着替えてロビーに出てたんだけど、牧野と加代が来ない。披露宴がないんだから着替えるだけなのに・・・しかもネックレスをすり替えたのなら、一目散に戻って来ると思ってた。だからすごく嫌な予感がして・・・まだ楽しそうな考三郎は少し離れた場所でカメラ機材の片付けをしてて、総二郎が帰るのを待ってる。藤本は1人出来てるから車はそれぞ...
ホテルに戻ったのは18時で、その頃にはすっかり暗くなってた。だから窓の下にはキラキラした夜景と、まだ降り続いてる雪・・・昼間は風に乗って素早く落ちていた雪も、今はまるでダンスをするみたいにフワフワとしていた。そして運ばれて来たのはフレンチのフルコース・・・やっぱりそうなるかと思ったけど、部屋で食べるから気が楽だった。勿論西門さんもマナーなんて五月蠅く言わないし、とにかく美味しく楽しく食べようって言ってく...
気持ちを切り替えなきゃ・・・・・今からが勝負だ!花沢家の皆さんを見送ったあと、花沢さんと私は目を合わせて力強く頷いて・・・でもやるのは私1人だから、彼はこのまま控え室に戻って着替えて終り。西門さんと藤本さんも私の前に来て、「頑張れよ!」「牧野さん、頼みましたよ」って・・・散々巫山戯たくせに、何言ってるんだか!!💢しかもその悪巫山戯のせいで時間がロスしたのに!!勿論花沢さんも西門さんに文句言ってたけど、この兄弟...
駅周辺を観光したあとで駐車場に戻ろうって話になったけど、今から行くのはあのホテルだ。と言う事は・・・・・・「あ、あのさ・・・・・・」「どうした?」「少し買い物したくて・・・」「一緒に行こうか?」「いや、1人がいいから西門さんは何処かで時間潰して///!!」「・・・・・・判った」そう言うと私1人でショッピングセンターに入り、そのままダッシュでとあるお店を探した。それは勿論・・・ランジェリーショップ。だってそんな事言われなかっ...
結婚証明書・・・じゃなくて、今日は婚姻届へ署名することになった。しかもテーブルのすぐ側には証人としての西門さんと藤本さん・・・すっごくニコニコして立ってて、超不気味だった。戸惑ってる私達に、スタッフさんが「どうぞ、署名なさって下さい」なんて言って、花沢さんがペンを持つと・・・西門さんが何かをボソボソッと囁いた。私には聞こえなかったんだけど、彼が「へ?」って聞き返して、また何かをボソボソと・・・一体どうしたんだ...
最上階にあるその部屋・・・そこは広くて豪華で、この前見た道明寺の部屋のように全面窓ガラスの絶景だった。しかも雪が降ってるから幻想的・・・・・・溜息しか出ない光景に、思わず立ち竦んだ。西門さんは動かない私の手を引いて部屋の真ん中に行き、握り締めてる鞄をその指から離してくれて・・・「今日はここで夜景見ながら食おうぜ」「・・・・・・う、うん・・・でも、私の部屋があるのに・・・・・・」「あのマンションじゃねぇのなら、それでも良かっ...
厳かな音楽が響く中、みんなに見守られながらウエディング・アイルを歩いて祭壇の前まで。その途中で何気に客席を見たら、知らない顔がわんさか・・・多分、この全員がうちの使用人だと思うんだけど、みんな装いがパーティー仕様だったり礼服だったりでサッパリわかんない。でもシェフのアランも来てたから、それだけは判った。「おめでとうございます~~♪」「素敵です~~、類様~~♪」「え~~?!黒髪って新鮮~~♥」なんてドキッ...
「ど、どうぞ・・・狭いし、片付けの最中だから散らかってるけど」牧野が照れ臭そうに言いながら入れてくれたその部屋・・・散らかっているというより、ただ単に物がなくて段ボールがいくつかあり、引っ越しの準備をしていると言った感じ。チラッと見たら天井の照明器に盗聴器がある・・・もう機能してねぇから問題ねぇけど、毎日あれを見ながら暮らしていたのだと思うと胸が痛んだ。それに相変わらず生活感に溢れた部屋。特に台所には沢山...
楓さんのメイクスペースは私の隣・・・その距離、約1.5メートル。私はもうヘアメイクを済ませていて、加代さんがティアラを着けてくれているところだった。それをチラッと見られて・・・「うわぁ、あの人のティアラ、綺麗♥」って・・・それを聞いて少しだけ横を見てニコッと笑った。秀子さんも一瞬私を見たけど、特別な反応はなし・・・やはり私の事は覚えてないみたいだった。今のこの部屋には全部で6人いて、私達が2人、楓さん達は4人・・・...
「500万も出して女を監視せた道明寺も、それが世間に知られたらスキャンダルだ。だからあんたの不正にも目を瞑って解放されたと思うし、返金要求なんてしないはずだが?」「・・・・・・・・・・・・・・・」「それとも、今度は別の理由でもあったのか?」「・・・・・・別にないが・・・向こうが中止を言い渡すまでが約束だからな」確かにそれは西田からも聞いたこと・・・だが、無駄とわかって監視するなんて意味不明だ。それに牧野に辛い思いをさせてま...
ホテルに着いたらすぐに受付に行き、それぞれの控え室に向かった。無理矢理割り込んだってこともあってすごく小さな部屋だったけど、親族なんて来ないし、花沢さんは着替えることが出来たらそれでいい。私の方は控え室に鞄を置いたら、すぐに花嫁の支度室に向かうことに・・・加代さんと2人で挙式用の大きな荷物抱えて、案内されたそこに行くと、まだ誰も来ていなかった。でも10時挙式の織田楓さんは8時ぐらいに来るはずだし、私...
西門さんのお財布を持って車を走らせたのはいいけれど・・・頭の中では2人のやり取りを想像して気が気じゃなかった。彼は相当怒ってるはずだし、葛城さんは罪を犯してるのは事実。それに最近の葛城さんは気が抜けてる感じだし、とても西門さんに言い返す力もないような気がするし・・・庇うつもりも許すつもりもないけれど、出勤出来ない程の怪我を負わせて西門さんが傷害罪で訴えられたらどうしようかと、そればかりが気になって・・・「...
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメだ、寝られないっ!!」スマホの目覚ましを掛けてるんだけど、それでも寝過ごしたらどうしようと思うと目が冴える。それにエメラルドのネックレスを取り返せなかったら・・・そんな事を考えてたら指先がウズウズして寝られない。とうとう明け方4時半になってしまい、もう起きてしまおうと思ってベッドから這い出た。そして珈琲を入れてリビングですり替えの練習・・・自分のおもちゃネックレスをテーブルに置い...
西門さんと手を繋いで車に向かう・・・今まで隣を歩くことは何度もあったけど、こうして繋ぐのは初めてでドキドキした。本当に、心臓が口から出そうなぐらい・・・。さっきは喧嘩腰の再会だったけど、そんな事ももう忘れてしまった。沢山あった不安も恐怖もなくなってく・・・私のドキドキが指を通して伝わりそうで、ちょっと怖かった。「マジ寒い・・・」「だからどうしてそんな薄いコートなのよ・・・北海道に来るつもりだったんでしょ?」「い...
土曜日になり、私達の結婚式・最終打ち合わせが行われた。当然偽名と変装で、今日も花沢さんは「総一郎さん」になり、私は「くるみ」。花沢さんは初めてだけど、私は3度目の偽名でこんがらがってた。だから名前を呼ばれても返事しない時があって、花沢さんが何度も私の脇腹や足を小突いたり蹴ったり・・・「牧野様、ドレスの手配は大丈夫でしたよね?花沢様、指輪もありますか?」「は、はい!なんとか間に合いました」「明日持って...
土曜日の朝、いつもより早くに目が覚めた。彼が来る時間は決まってるんだから急がなくてもいいんだけど、何故かソワソワして落ち着かない・・・御馳走も作りたいけど、西門さんの食べたいものを作ろうと思ってそれも後回し。洗濯をしようと思ったけど、この狭い部屋で洗濯物を見られなくなかったからやめて、取り敢えず掃除に専念した。その間も何度もスマホで時間を確認して、「まだ9時かぁ~」、「まだ9時半?」、「10時10分・...
「えっ?!佐藤さんと花沢さんが兄弟?!」「牧野さん、異母兄弟です。でもそんな事があるでしょうか・・・あの社長に限って」「・・・・・・独りっ子の俺が言うのもなんだけど、すごく仲がいいんだよね、うちの両親・・・」総二郎から衝撃の言葉を聞かされた翌日の昼・・・再び応接室で3人のランチタイムが始まり、そこで昨日の報告をした。結果、小早川朝子も佐藤の事を「毛利」と呼んでることと、ルビーは自分の物だと主張していることから、...
司と話して、西田と会って、牧野に報告して・・・・・・それから数日間が過ぎた。紅葉の茶会のあと3日間も部屋から出なかった伽耶と、俺と会おうとしなかったお袋。だがそんな事をいつまでも続けられず、漸く昨日から稽古を始めた。それは茶道だけじゃなく、華道や禅語、茶道具などの説明まで・・・今まで数ヶ月間、ほぼ外出して遊んでいただけに、今回は親父の監視の目がキツかったようだ。志乃さんから聞いた話だと、時々は俺じゃなく親...
次の日の夜、自宅で寛いでいたら総二郎がやって来た。早速情報屋が小早川朝子に接触し、その時の会話を録音したものを手に持って・・・何故かこの件に関しては動きが速く、西門流は暇なのかと思ってしまった。「まぁ、西門様、お久しぶりでございます~」「加代さん、元気そうだね♪」「はい、お陰さまで♥それと、今度の日曜日はお世話になるそうで~」「あぁ、類の結婚式ね?うん、俺、花沢総二郎になるんだってさ♪弟も来るからよろし...
「・・・これしかないのか・・・・・・こりゃすぐに終わるわね」夜になってから部屋の片付けをしてみたら、本当に荷物が少なくて驚いた。前の引っ越しでも殆ど処分したんだけど、今回は崇子さんの家に行くんだから最低限のものでいい・・・だからここでも手放す物の方が多い。「分厚い防寒着を買わなくて良かった~」と・・・そんな独り言を言いながら段ボールに詰めたのはぬいぐるみ達。これだけは捨てたくないから、あの家の隅っこにでも置かせ...
月曜日・・・いつも通りに出勤して、今日も頼まれた事務処理をする私。その横でこれまた静かに仕事をする佐藤さん・・・ちらっとその横顔を見たけど、やっぱり昨日ホテルで見たのはこの人だと確信。「・・・・・・ん?どうかした?牧野さん」「えっ///!いや、佐藤さん、鼻が高いなぁ~って思って!」「鼻?そんなの君だって・・・・・・あぁ、牧野さんのは可愛らしいんだね」「・・・・・・・・・・・・」それ、間接的に低いって言ってるよね?!どうせ唇の方が...
話の大半は聞けた・・・でも、牧野に恐怖を与えたヤツへの直接制裁はまだだ。それを聞いたら、中村は涼しい顔して「スタンガンを使ったのは私ではありませんから」と言いやがった。「牧野にストーキングしていたのはあんただろ?」「そうですが、あれは・・・地元のバイトですよ」「・・・バイト?」「そうです。私はNYで牧野さんと接しているので、声や体型でバレると思いましたので。適当に声を掛けたら乗って来た男にスタンガンを提供...
ドレスのコーナーから出てきたら花沢さんがいない・・・ふとロビーの方を見たらそこには沢山の人が右往左往してた。でもあの人はそんな中でも超目立つはず・・・そう思って眺めてたら、右側の窓際に居た。てか、スーツ姿の人の中で、普段着だから余計に目立つ!「一応、ご来店のカードにお名前を・・・」「あっ・・・彼を呼んできますので!」「はい♪では珈琲をご用意しますので、先程のテーブルにお越し下さいね」「は~~~い!」・・・なんて簡...
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桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
夏美さんが呆然としてる・・・・・・流石に自分でも不味いコトしたと思ってる。でも流れた玉子は拾えなかったし、真ん中の穴みたいなところ(ディスポーザー)にス~~~っと落ちていき・・・「どうしましょう、夏美さん・・・」「残った玉子は4個ですから、小さめのを作りましょうか💦」「ごめんなさい・・・」「大丈夫です!これも慣れですからね!」でも玉子をキレイに割ることは覚えたので、気を取り直して玉子4個を割った。そして夏美さんに...
翌日の紅葉の野点では、家元夫人のお茶席で祐子さんと一緒にお手伝いをした。まだまだ阿吽の呼吸とはいかないけど、とにかく自分の出来ることを頑張るしかない。2人とも家元夫人と色違いの着物で、それだけで周りの人達には意味が判ったようでザワザワしたけど・・・それでも笑顔を絶やさず、大失敗をしないことだけを願いながら。野点茶会が始まって2時間後にやってきた花沢類と美作さんは、何故か総二郎のお茶席じゃなくて家元夫...
「はぁ~~~~~!12時になったぁ!」「社食に行く?今日の日替わり、なんだったっけ?」「池上君、今日は13時30分には芝崎産業に行くから遅れるなよ~~」「はい、すぐに飯食ってきます!」「花沢課長、キリがいいところで食事にしませんか?」「・・・ん」・・・なんとか午前中の業務終了。俺も昼食に行こうと席を立った。他の社員のように社食に行ってもいいんだけど、俺の場合は周りにいる社員の方が気にするってことで、いつ...
1時間後・・・・・・クタクタになった私達は母屋に戻っていた。後援会の皆様への挨拶は道明寺達のおかげで滞りなく終わり、むしろ後半はこの人達によって私達の結婚が西門流にとってもこの上ない幸運だと言わんばかりに盛り上がってた。総二郎の親友なんだから特別顧問的な役割は続くのに、オマケに私の後ろ盾だなんて・・・家元ご夫妻も彼らとニコニコしながら会話し、「今日はどうもありがとうね~」なんて言ってる。そして鬼みたいな顔...
マンションに戻ったのは11時30分。ここで夏美さんが「すぐにご飯を炊きましょう」って言いながら、さっき買ってきた食料品の中からお米を取り出した。「お米を・・・たく?」「えぇ、炊飯器で炊くんです。これも忘れました?」「・・・・・・あ、あは・・・あっははははは!」「簡単ですからすぐに思い出せますよ」野菜を炊いたものなら知ってるけど、基本私達のご飯は玄米を蒸して強飯にしたり、水をたっぷり入れて煮るお粥がほとんどだっ...
「つくし様、終わりましたわ」「・・・ありがとうございます、志乃さん。うわぁ・・・私じゃないみたい///」「うふふ、よくお似合いですわ。では総二郎様をお呼びしますね。お客様もすでにお待ちのようですので」「・・・・・・は、はい!」今日は後援会の皆さんとの顔合わせの日・・・家元夫人から譲り受けた色留袖を着て、ドキドキしながら控えの間で待っていた。総二郎が選んでくれたのはすごく綺麗な袷の色留袖で、地色は象牙色、柄はすべて手...
夏美さんとホームセンターに行くと、真っ直ぐ向かったのは「キッチン○○」ってことろ。(↑○○=用品だが、まだ漢字が読めない)そこにはキラキラした(金属)ものが沢山あるんだけど、私には何のことやら・・・だから全部彼女に任せることにした。まずは”包丁”・・・「このまえ買ったかどうか忘れたんですけど、2つあっても良いと思うので」「は~~い」「ぺティナイフも買いましょうか」「・・・は、は~~い」(←わかっていない)夏美さんが...
お義母様との話し合いが終わった翌日から、私はいただいた着物を着て本邸を歩くことになった。そしてここではお義母様から家元夫人に呼び方も変更・・・自分1人では何をしていいのかわからないので、常に家元夫人にくっついていた。玄関の花を変えたりするぐらいなら緊張はしないけど、生徒さんが来たときに挨拶するのは心臓が破裂しそうになる。なんたって生徒さんの半数は名家のご令嬢・・・今はフリーの総二郎がお目当てなんだもん。...
サンルームとやらに干された3日分の下着・・・白に鴇色(ときいろ・ピンク)に空色・・・乾いたらこれを畳んだらいいとのこと。でもそれを何処に仕舞うのかしら?この部屋には唐櫃(からびつ)もないんだけど・・・。出典:e国宝「どこに仕舞っても自由だと思いますけど、確かにお部屋にタンスはないみたいですね~」「服は向こうに置いてあるんですけど・・・」「あぁ、クローゼットですね?でもこんなに広い脱衣場があるし、ここにも棚がある...
つくしと葵が退院してから1ヶ月が過ぎた。梅雨の晴れ間で、気温もそう高くない日・・・・・宗家には客人が来ていた。それは神楽木裕也夫妻で、その手には葵のための祝い着があった。淡い黄色から赤への暈かしがあり、美しい配色の毬に組紐、そして熨斗目が描かれたもので、華やかな芍薬や桜なども。金彩も施され、煌びやかさもある極上のもの。それを見るつくしや祐子は目がテン・・・お袋は涙ぐみながらそれを手に持った。その場には親父...
「まだ始まっていない・・・とは・・・?」「えっと・・・・・・つくしさん、成人してますよね?」「せいじん?」「大人・・・ですよね?」”せいじん”・・・つまりそれが大人って意味?私達の頃は男性は「加冠の儀」つまり「元服」、女性は「裳着の儀」ってのがあった。元服は帝であればおおよそ11歳から15歳まで、皇太子であれば17歳までに行われてたけど、通常14歳前後が多かったみたい。元服式には「理髪の役」と「加冠の役」の役目があって、まず...
出産がこれほどまでに大変だったとは・・・・・・光翔の時には立ち会わなかったからわからなかったし、正直美涼の苦しみや痛みまで考えなかった気がする。でもつくしの様子を見ていると、彼女も必死に産んでくれたのだと・・・・・・もう少し感謝の言葉をかけてやれば良かったと思った。と同時に、これだけの思いをして生んだ光翔を愛おしく思えなかったことに対して疑問が湧いたが・・・「・・・総二郎、どうかした?」「あ、いや・・・なんでもない。...
夏美さんが来てくれたので安心して全身の力が抜けた・・・けど、この人に色々と教えてもらわないといけないので、「よろしくおねがいします!」と元気よく挨拶♪中に入ってもらって、まずは・・・・・・何をする?「え~~~~~と・・・」「あぁ、お茶とか珈琲とかはいいですよ。仕事で来てるので気を遣わないで下さい」「・・・(あぁ、お茶を出すものなのね?そもそも炭汁(珈琲)は作れないし)・・・あはは///すみません」現代社会を知らないフリ...
5月31日は土曜日で、一颯の保育園はお休み。光翔くんの幼稚園もお休みで、子供達は朝から庭で遊んでいた。あんな風に走ったり飛んだり、しゃがんだりが身軽で羨ましい・・・と、自分のお腹をさすりながらそれを眺めて・・・・・・「・・・つくし、平気か?」「へ?あぁ~~~、うん、まだ平気」「陣痛が来る前に入院してもいいんじゃねぇの?」「そんなの病院に迷惑だよ。陣痛間隔が15分ぐらいで行く人もいるんだし」「でも・・・・・・」「そん...
「おはようございます、花沢課長///」「課長、今日も素敵なスーツですね~~♪」「・・・・・・・・・」「無口だけどそこがまた///」←ただの無愛想「ねぇねぇ、今日は少しワイルドな髪型じゃない?」←ただの寝癖「「「花沢課長、おはようございます~~~♪」」」「あぁ、おはよう・・・・・・」「「「きゃあああ🧡今日はご挨拶できたぁ🧡」」」そんな声もほとんど耳に入らず、床の大理石タイルに視線を落として歩いた。頭の中では1人にしてしまった...
墓参りから1週間が過ぎ、明日は桜の茶会。今回もつくしは準備だけで、当日は子供達の世話係。まだ後援会に何も話していないので、姿を見せないように離れで過ごすことにしていた。が、祐子は茶会終了後に挨拶するために数日前からその練習をしていた。お袋から譲り受けた着物を着て、光翔にも着物を着せて・・・その時は流石に一颯の事が気になったが、子供なのであまり深くは考えていないようで助かった。むしろ面倒くさいことをせ...
翌朝、やっぱり私はベッドから落ちて寝ていた。でも類がそこにマットレスってのを敷いててくれたので、今日は身体が痛くないなぁ~と思いながら身体を起こすと・・・もう類はこの部屋にはいなかった。「・・・あ、今日から仕事に行くって言ってたっけ・・・」いつまでも寝てるから、起こさずに出かけたのかと思って飛び起た私。その時にズボンの裾を踏んで転けそうになりなからも、ドアを開けて隣の部屋に行くと・・・・・・「おはよう、つくし」...
桜の茶会の10日前・・・彼岸の日に神楽木家に向かった。車中にはお袋の姿もあり、つくしが後部座席で一颯の相手をし、お袋は助手席。運転席の俺も少しばかり緊張するが、まだ祖母に慣れていない一颯のためにはこの方がいいだろうと思ったからだ。お袋は紫地の江戸小紋に紹巴織の名古屋帯。春らしい着物ではなかったけど、品があり、墓参りに相応しいものだった。「ねぇ、ママ。かぐらぎのおじちゃんはなんのお仕事してるの~?」「...
その日の夕ご飯も誰かが持って来てくれた物をレンジでチンして食べることになった。何度もやったから温めは完璧🧡そしてコンロでお湯を沸かすことも出来るようになった。ここでまた初めての物が出てきたんだけど・・・すごく軽くて四角くて、スカスカしてる?「類、これはどうやって食べるの?このまま囓るの?」「それはフリーズドライの卵スープだよ」「・・・・・・?」「あぁ、フリーズドライって言うのは真空凍結乾燥って意味で・・・・・・わ...
「こら、真音!遊び終わったらおもちゃは片付けなさいって言ってるよね?」「うわ!ママがおこったぁ~~~~!」「もうっ!人に任せちゃダメなのよ?そんな事するならもうおもちゃで遊ばせないんだから!」「やだやだぁ~~~!」「はい、じゃあ片付けて。いくらあなた達のプレイルームだからって、散らかしたままはダメなのよ?」「・・・・・・おこりんぼ!」「なんですって?!」「うわああぁ、またおこる~~~~っ!!」1階奥のプ...
『つくしちゃんがスケート場で倒れたんだ!今から救急車で西門の主治医の病院に運ぶから、お前もすぐに来い!』つくしが・・・・・・倒れた?一瞬何のことか判らず、思考回路停止・・・でも祥一郎は冗談を言うヤツではないし、その声はマジだった。しかも電話の向こうから聞こえるのは『返事はありません!』とか『病院まで何分ですか?』とか・・・そんな雑音が耳に入った途端に背中がゾクッとした。『お連れさんですか?救急車に同乗願います...
ドレス選びが終わると本格的になったのは英語とフランス語の挨拶だ。これはつくしだけではなく真音と真利愛もなのだが、子ども達は類が教えることになった。つくしには専属の家庭教師がつき、パーティーまでの間、毎日英語とフランス語の講習を受けることに・・・勿論簡単な日常会話のみだが、それでも気が重かった。そんな梅雨の晴れ間の、とある日曜のこと。リビングの真ん中で家族が輪になり、類による子ども達へのレッスン開始だ...
ラーメンを食べたら、まずは手袋を買いに行った。この季節に手袋なんてって思ったけど、作業服の販売店に行くとカラー軍手が売られてるからって・・・「しかも250円ぐらいで買えるんだよ」って爽やかに言われ、最近”○千万円”って言葉に慣れてるせいで逆に驚いてしまった。と言うか、祥一郎さんって西門家の血が入ってるのだろうか・・・?それともあの家を出ると金銭感覚が通常値にもどるのか?じゃあもしかして・・・私の方がバグってる...
それから数日間、つくし達は大きな問題もなく過ごしていた。少しばかり増えたことと言えば、真利愛と真音にパーティーでの挨拶を教えることだった。いくらこの豪邸に住んでいた真利愛でも、ビジネスパーティーには出席したことはない。真音に至っては堅苦しい服を着ることですら初めてだ。だからと言って3歳児に完璧なマナーなど出来るはずもないので、可能な範囲でのこと。特別な講師を招くわけでもなく、加代が教えるのだが、そ...
翌朝・・・サッちゃんは早朝から仕事だから、私が目を覚ましたときにはもう部屋にいなかった。その部屋を見たら、私の荷物がドーンとド真ん中に・・・前に使っていた部屋だけど、今はサッちゃんと野田さんの部屋だから男性用品もあるし、さり気なく結婚式の写真も飾ってあるしで、私はすごく迷惑なことをしたんだな・・・と。なんたって昨日は総二郎と大喧嘩・・・それを新婚のサッちゃんに八つ当たりしまくった気がする。「頭痛いなぁ・・・身体...
その日はいつもより早く帰宅出来そうだったため、類は加代に電話をして、子ども達と一緒に食事をすると話した。すると加代から聞かされたのは今日の昼間の出来事・・・「えっ、真利愛とつくしが?」『はい。そんなに酷い喧嘩ではありませんが、つくし様を突き飛ばすような事をしてしまって・・・』「そう・・・・・・それでつくしは?」『必死に真利愛様を宥めておいででした・・・』「真利愛は?」『まだ謝ってはおられませんが、そのあとは真音...
夕食時、考ちゃんは茶道教室・夜間の部があるとのことでいなかったけど、その席には祥一郎さんが♥見飽きた顔じゃなくて、長男さんがいることを家元夫妻も喜んでるみたい♪特に家元夫人はお母さんの顔になってるし~。「どうなの?お仕事は上手くいってる?」「もうどのくらい手術したんだ?」「まだ勤務して数年だし、そんなに言えるほどじゃないって」「あら、じゃあ一人前とは言えないの?」「欧米だと一人前の心臓外科医になるに...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...
遊園地とは文字の如く、楽しく遊べるように、いろいろな遊具やアトラクション、設備を備えた施設。アトラクションの設置に関係なく遊園地と呼ばれている公園もあるんだけど、私の思う遊園地は「乗り物」があること!それは滑り台、ブランコじゃなく、もっとハードでスピード感のあるもの・・・まさか、本当にそれに乗れる日が来るとは・・・っ!!「・・・・・・うっ・・・うっ・・・えぐっ!」「ちょっと総二郎・・・この子、泣いてるんだけど」「悪い...
「ふああああぁ~~~~~~~~!よく寝たぁ~~~~~~~~~~!!」大きく背伸びをして起きたのは6時30分。総二郎がいないおかげで久しぶりに爆睡でき、すっごく気持ちの良い朝だった。カーテンを開けると清々しい朝陽が目に入る・・・「今日は快晴だな~」と呟きながらベッドを降りて服を着替えた。そしてドアを開けて隣の部屋を覗くと・・・ベッドで寝ているのは美作さん1人。花沢さんはソファーで丸くなり、道明寺さんと総二...