「それが彼女の罪だなんて、私が言いましたか?いいえ、そんなことは言っていません。ああ神様、ただ祈るのみです。お前が決して明かされることのない秘密の過去を持つ娘を選んだことを後悔する日が来ないことを!」パスカルの顔は蒼白になった。「お、お母さん……」と言う彼の声は震えていた。「私が言っているのはね」と母親は冷ややかな口調で言った。「お前はマルグリット嬢の過去を知ることは決してないだろうということよ。彼女がお前に話すこと以外はね。あのヴァントラッソンの下品で勝手な決めつけをお前も聞いたでしょう……彼女はド・シャルース伯爵の娘ではなく愛人なのだという……。これから邪悪な心を持つ者たちがどんな卑劣な罠をお前に仕掛けてくるか、誰にも分からない……。もしももしもお前に疑いの気持ちが湧いてきたら、お前は何に頼るの?……...2-XI-8