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エミール・ガボリオ ライブラリさんの人気ランキング

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  • 2-XI-2

    2-XI-2

    仇敵ド・ヴァロルセイの懐に入り込み、否定しようのない証拠を掴むのに役立ってくれると彼が頼みに思っているのが、手の中の十万フランであった。男爵との会見が上首尾に終わったことを母親に早く伝えたくて、彼は足を急がせた。しかし、自分の究極の目的を果たさんがための様々な過程について思わず考え込んでしまい、ラ・レヴォルト通りにある粗末な住まいに着いたのは五時近くになっていた。そのとき、フェライユール夫人は帰宅したばかりであった。母親が外出することを知らなかったので、彼は少なからず驚いた。彼女が乗って来た馬車はまだ門の前に停まっており、彼女はまだショールも帽子も取っていなかった。息子の姿を見ると彼女は喜びの声を上げた。息子の顔を見れば、何も言わなくても彼が何を考えているか分かるほどに息子の顔色を読むことに長けていたので...2-XI-2

  • 2-XI-1

    2-XI-1

    XIマルグリット嬢のパスカル・フェライユールの人と為りを見る目は確かであった。順風満帆のさなかに突然前代未聞のスキャンダルに打ちのめされた彼は、しばし茫然自失でぐったりしていたが、フォルチュナ氏が推測したような臆病な行動に身を委ねることはなかった。彼についてマルグリット嬢が言った言葉は、まさに彼を正しく言い表したものだった。「もしあの方が耐えて生きることを選ばれたのなら、それはご自分の知力、体力、意志の力のすべてを捧げて、あの憎むべき中傷と戦うためです……」このとき彼女はパスカル・フェライユールの身に降りかかった厄難の全貌を知ってはいなかった。彼女付きの女中であるマダム・レオンがシャルース邸の庭木戸で彼に手渡した手紙により、パスカルが自分に見捨てられたと思っている可能性があることなど、どうして彼女が知る筈...2-XI-1

  • 2-X-20

    2-X-20

    ただ、行動を開始する前に、フェライユールさんのお考えを聞くことがどうしても必要です……」「それはどうも出来ない相談のようです」「何故ですの?」「フェライユール氏がどうなったのか、分からないからですよ。私だってですよ、復讐をすると誓ったとき、最初に考えたのは他でもないフェライユール氏でした。私は彼の居所を突き止め、ウルム街に走りました。ところがそこはもぬけの殻。あの不幸が見舞った翌日にはもう、彼は家財道具を売り払って、母親とともに出て行ったのです」「それは存じておりますわ……。私がここに参りましたのは、あなた様に彼を探し出してくださるよう依頼をするためでした……。彼がどこに身を隠しているか、それを探し出すのなんて貴方様にとっては子供の遊びのようなものでしょう」「まさか、お嬢様は私が探そうとしなかったとお考え...2-X-20

  • 2-X-19

    2-X-19

    彼が金持ちの女性と結婚し、将来の妻の父親をうまく丸め込んで、自分の財政状態を立て直したいという希望を彼から聞いた限りでは、正直、それがさほど悪いことだとは私には思えませんでした。確かに褒められた所業ではございません。が、今日そのようなことは日常茶飯事として行われていることでございます。それでは今日、結婚とは何ぞや?それは取引です。互いが相手を騙すことで自らを益しようとする行為、そうでなければ取引などとは呼ばれません。騙されるのは花嫁の父かもしれませんし、婿の方かも、花嫁かも、あるいは三者全員がそうかもしれませんが、それはさほど目くじらを立てるようなこととは私には思えません……。ですが、フェライユール氏を陥れる計画が持ち上がったときには、ちょっと待った、それはならぬ、と。私の良心が許さなかったのです。無実の...2-X-19

  • 2-X-18

    2-X-18

    「ヴァロルセイはもはや一銭の金も持ってはいない、と証明できますよ。この一年彼は警察沙汰になってもおかしくない怪しげな弥縫策に頼って生計を保ってきたのです」「そうなのですか!」「彼が真っ赤な偽物の書類を見せてド・シャルース氏を騙そうとしたことを証明できます。また彼がフェライユール氏を陥れるためド・コラルト氏と共謀したことを明らかにすることが出来ます。どうです、お嬢様、ちょっとしたものではございませんか?」マルグリット嬢は微笑んだが、その笑い方はフォルチュナ氏の虚栄心を大層傷つけるものであった。彼女は、信じがたいがまぁ大目に見ようという口調で言った。「口では何とでも言えますでしょう」「それを実行することだって可能です」とフォルチュナ氏は素早く言い返した。「私が出来るとお約束するときには、それを可能にする方法を...2-X-18

  • 2-X-17

    2-X-17

    「ド・ヴァロルセイ侯爵がいまだにのうのうとしていられるのは何故なのか?それは私には奇跡のごとく思われます。もう既に六か月前、彼の債権者たちは彼を差し押さえると脅していたのですよ。ド・シャルース伯爵の死後、一体どのようにして彼らをなだめて来られたのでしょうか?こればかりは私にも分かりません。確かなことはですね、お嬢様、侯爵が貴女様との結婚という野望を諦めてはいないということです。それを実現するためなら、どんなことでも、よろしいですか、どんなことでも彼はやる気だということです……」今やすっかり落ち着きを取り戻したマルグリット嬢は、まるで関係のない話を聞くかのように全く表情を表さず聞いていた。フォルチュナ氏が一息吐いたので、彼女は氷のような冷たさで言った。「そのことはすべて存じております」「な、何ですと!御存知...2-X-17

  • 2-X-16

    2-X-16

    フェライユール氏が卑劣な手段で陥れられたのは、貴女様が目的だったからに他なりません。そしてこの私は、氏を破滅に追い込んだ悪党どもの名前をお教えすることができます。この犯罪を画策したのは最も大きな利益を得る人間、ド・ヴァロルセイ侯爵です……。その手先となったのはド・コラルト子爵と自称している凶悪なる人物。その者の本名及びその恥ずべき過去については、ここにおりますシュパンがお伝えすることができます。お嬢様はフェライユール氏という方を見初められました。それ故その方が邪魔になったのです。ド・シャルース様はド・ヴァロルセイ侯爵に貴女様との結婚を約束なさったのではありませんか?この結婚こそが侯爵にとって起死回生の手段、まさに溺れる者を救ってくれる舟だったのでございます。というのも侯爵にとって状況は破綻寸前だったのです...2-X-16

  • 2-X-15

    2-X-15

    「私どもへの御依頼の具体的内容については、確かにまだ伺ってはおりません。ですが、失礼ながら推理をさせていただきました……」「まぁ!」「つまりこうでございます。お嬢様は私めの経験、それにささやかな能力を頼みと思って下さったと理解しております。憎むべき中傷をお受けになった弁護士のパスカル・フェライユール氏の無実を晴らし、名誉を回復せんがための……」マルグリット嬢はぱっと立ち上がった。真から驚き、恐ろしくなったのだ。「どうしてそのことをご存じなのです!」と彼女は叫んだ。フォルチュナ氏はいつのまにか自分の椅子を離れ、暖炉の前でチョッキの袖つけ線に親指を差し込んだ姿勢で立っていた。それが自分を最も良く見せるポーズだと思っていたのだ。そして奇術師が自分の術の意図を述べるときのような口調で答えた。「驚かれるのはごもっと...2-X-15

  • 2-X-14

    2-X-14

    しかし彼女のそのような感情は全く表には出なかった。気品ある美しい顔の筋を一本も動かすことはなく、目は誇り高く澄んだままだった。内心は緊張で一杯だったが、澄んだよく響く声で彼女は言った。「わたくしはド・シャルース伯爵に後見を受けておりました者でマルグリットと申します。貴方様はわたくしの手紙を受け取って下さいましたか?」フォルチュナ氏は、結婚相手を探すために出かけて行くパーティでするような、この上ない優雅さでお辞儀をし、やり過ぎなほど気取り返ってマルグリット嬢に椅子を勧めた。「お嬢様のお手紙は確かに届いてございます」と彼は答えた。「お越しをお待ち申しておりました。私どもに信頼を寄せて頂くとはまことに名誉なことと存じます。お嬢様から以外の依頼はすべて断ってございます……」マルグリット嬢が座ると、しばしの沈黙があ...2-X-14

  • 2-X-13

    2-X-13

    というわけでマルグリット嬢は誰にも気づかれることなく家を出ることが出来た。それはまた、もし帰宅の際誰かに見られたとしても、どれくらいの時間外出していたかを知られずに済むということでもあった。彼女が外に出た途端、ピガール通りを一台の馬車がやって来たので彼女は呼び止め、乗り込んだ。彼女が今取っている行動は彼女にとって非常に苦痛の伴うものであった。若い娘であり、元来大変内向的な性格の彼女が、見ず知らずの他人に、自分の心の奥の最も秘めておきたい感情、すなわちパスカル・フェライユールへの愛情、を曝け出すなどということが簡単にできる筈もない……。しかし、ド・ヴァロルセイ侯爵の手紙の複製を作って貰おうと写真家のカルジャット氏のもとを訪れた昨日に較べれば、自分は冷静で自分自身をちゃんとコントロールしていると彼女は感じてい...2-X-13

  • 2-X-12

    2-X-12

    それで説明は十分だと判断したのか、彼はフロランに向かって言った。「着替えを手伝ってくれ。明日は早い時間に出発しなきゃならんのだ……」この命令はシュパンの耳にもちゃんと入ったので、彼は翌朝七時にはド・コラルト邸の門の前に張りついて見張りを開始していた。そしてその日は一日中コラルト氏の後をつけた。まずド・ヴァロルセイ邸、それから事業関係の事務所、次にウィルキー氏宅、午後にはトリゴー男爵夫人のもとへ、そして夕方にはマダム・ダルジュレの館へと……。そして使用人たちに混ざり、館の前に次々と横付けされる馬車のドアを甲斐甲斐しく開けに行くという仕事を手伝いながら、母親と息子の間でたった今繰り広げられたばかりの恐ろしい諍いについて小耳に挟んだのだった。やがてウィルキー氏が乱れた服装で出て来た。その後ド・コラルト子爵も出て...2-X-12

  • 2-X-11

    2-X-11

    このような考えで頭が一杯だったので、帰り道は行きよりずっと短く感じ、ダンジュー・サントノレ通りのド・コラルト邸まで来たときも危うく通り過ぎるところだった。門番のムリネ氏のもとに出頭せねばならなかったわけだが、彼は出来る限り興奮が目に顕れないようにし、役者が隈取りをするようにこの上なく無邪気な表情を作って入っていった。ところが、驚いたことに門番小屋にいたのはムリネ氏とその妻だけではなかった。フロランもそこに居て、彼らとともにコーヒーを飲んでいたのだ。それだけではない、下男のフロランは主人から拝借したエレガントな装いを脱ぎ、赤いチョッキ姿に戻っていた。彼はひどく不機嫌そうであったが、それも至極尤もなことであった。ド・コラルト邸から男爵邸はほんの目と鼻の先であったが、不運が見舞ったのである。男爵夫人は小間使いの...2-X-11

  • 2-X-10

    2-X-10

    あのパスカル・フェライユール、極悪非道な悪党たちの被害者となった彼を救い出すために大きな働きをすることが出来れば、自分がかつて犯した犯罪の償いにある程度までなるのではなかろうか!それにしても、この状況は彼の理解力を越えるものであった。どのようにしてああいう悪党がパリという大都会に忽然と姿を現し、いくら自ら幅を利かせるような行動を取ったにせよ、彼が何者なのか、どこから来たのか誰も知らないままに人々に受け入れられるようになったとは?ド・コラルト子爵のようなならず者がパスカル・フェライユールの名誉を傷つけるようなことが、そもそも出来たのは何故なのか?全く、なんということか!正直に生きている人間の名誉などというものは、どこかの陰謀家に目障りな奴と思われた途端、木っ端みじんにされてしまうというわけか!してみれば人生...2-X-10

  • 2-X-9

    2-X-9

    「わたしには決心がつきませんわ」と彼女はムション氏に言っていた。彼の腹黒そうな横顔が暗がりの中に浮かんでいた。「本当に、どうしても……。だって、この手紙を出してしまえば、あの人が戻ってくるという希望を永遠に失ってしまうことになりますもの……何が起ころうとも、あの人は私を決して許さないでしょう」「そうなったら」と老紳士は答えた。「今までよりもっと悪くなると言うのかね?さぁさぁ、考えてごらん、手袋をしたネコが鼠を捕まえられた試しはないんだ(時には手を汚すことも必要だ、という意味の諺)……」「あの人は私を憎むでしょう」「いやいや、犬を懐かせるにはまず打つことだ……それに、葡萄酒を汲んできたのなら飲まなければ(一旦始めたことは最後までやらねばならない、という意味の諺)……」この奇妙な論法で彼女は納得した。シュパン...2-X-9

  • 2-X-8

    2-X-8

    「ここにはしょっちゅう来るの?」「うん、毎晩。いつもポケットに美味しい物を持ってて、ママと僕にくれるんだ」「どうしておじさんはあの部屋にいるの?明かりも点けないで……」「それはね、お客さんに姿を見られちゃいけないからだって」このような尋問を続けることは、何も知らぬままこの子を母親の告発者にしてしまうことになる。それはおぞましい行為ではなかろうか……。シュパンは自分がもう既に入ってはならない領域にまで足を踏み入れていると感じた。そこで彼はその子の顔の一番汚れていない場所にキスをし、床に降ろすと言った。「それじゃ遊びに戻りな」その子は残酷なまでに正確に母親の性格を暴いたのであった。母親から自分の父親のことをどう聞かされているかというと……彼はお金持ちで、いつか戻ってくるときにはたくさんのお金と綺麗な洋服を持っ...2-X-8

  • 2-X-7

    2-X-7

    しかし性格はおとなしそうで、人を寄せつけないような態度ではあったが、利発そうであった。金髪で顔立ちはびっくりするほどド・コラルト氏に似ていた。シュパンは子供を膝に抱き上げ、隣室に続くドアがきちんと閉まっていることを確かめてから尋ねた。「名前は何ていうんだい?」「ポール」「パパのこと、知ってる?」「ううん」「ママはパパのこと何も言わないの?」「ああ、言うよ!」「どんなことを言ったの?」「パパはお金持ちだって、すっごくお金持ちだって!」「それから?」その子は返事をしなかった。母親がそれ以外のことは何も言わないのか、夜が明けはじめる前の曙光のように、分別に先立つ本能が見知らぬ人間の前で喋ることを制止しているのか、どちらとも分からなかった。「パパは君に会いに来たりしないの?」とシュパンは尚も尋ねた。「ううん、全然...2-X-7

  • 2-X-6

    2-X-6

    自分の妻が姿を現し、自分の本当の名前と過去を世間に言い触らそうものなら、自分は終りだということが分かり過ぎるほど分かっているからだ。しかし彼には金がない……。ド・コラルト子爵のようにお気楽な人生を送っている若い男は節約とか貯金をするという考えは持たないものだ。それが、絶え間ない消費欲にがんじがらめになっている彼らのような生き方に付いて回る宿命というものである。さて、このように言わば喉元にナイフを突きつけられた状況に追いこまれたド・コラルト氏は妻に待ってくれ、と手紙を書き、男爵夫人には懇願あるいは命令---それは彼らの関係によって決まるだろうが---の手紙を書いて要求されている金額の金を貸してくれるよう頼んだのだ。それにしてもシュパンには一つ腑に落ちないことがあった。かつてフラヴィ嬢ほど気位の高い女はいない...2-X-6

  • 2-X-5

    2-X-5

    そして彼女は老紳士の後に従って奥の部屋に入り、ドアを閉めた。「そういうことか、結構だね!」とシュパンは思ったが、内心ではちっとも嬉しくなかった。「これからいよいよ佳境に近づく、お楽しみが始まるってわけだ……」シュパンはその波乱に富んだ人生経験のためか、若さに似合わぬ洞察力を持っていたが、たとえそんなものがなくとも、マダム・ポールの十語足らずの言葉と老紳士の諺だらけのもの言いだけで、この場の状況を理解するには十分だった。彼は今や、自分が届けた手紙の中味を、自分の目で読んだのと同様にはっきり知ることができた。これでド・コラルト氏の怒りに満ちた態度の理由が呑み込めた。彼が何故急ぎの命令を下したのかも……。シュパンは最初漠然と、男爵夫人への手紙と彼の正式な妻への手紙の間にはなんとなく繋がりがあるような、そして一方...2-X-5

  • 2-X-4

    2-X-4

    現れたのは、五十ぐらいの腹の出た、頭が扁平で禿げた男だった。愚鈍そうで、だらしない、それでいて腹黒そうな男で、帽子を手におずおずと出て来た。「そうだろう、そうだろう」と彼は猫なで声で言った。「私が言ったとおりだろう。果報は寝て待てって」彼女は既に封を破っていた。一息に読み終えると、途端に嬉しそうに手を叩いて叫んだ。「あの人は同意したわ!恐くなったのよ、だから私に少しだけ待ってくれ、って頼んでいるわ。ほら、読んでみて頂戴!」しかしムション氏は眼鏡なしでは読めなかった。ポケットを探って眼鏡を見つけるのにたっぷり二分は掛かった。それから更に、眼鏡を掛けてからも光が弱すぎたため、文面を解読するのに三分かかった。その時間を利用してシュパンは彼をじっくり観察し、鑑定していた。「この年寄りは一体何者なんだ?」と彼は考え...2-X-4

  • 2-X-3

    2-X-3

    彼がガラス戸の前でぐずぐずしていたのは、彼女が誰かと話をしていることが見て取れたからであった。カウンターのすぐ後ろのドアが開けっ放しになっており、その向こうには別の部屋があるらしく、彼女はその部屋にいる誰かと話をしている様子だった。その相手が誰なのか、シュパンはなんとか一目だけでも見られないかといろいろやってみたが無理だった。仕方がないので中に入ろうとしたそのとき、彼女が突然立ち上がり、何か気に入らぬ様子で二言三言喋りかけるのが見えた。彼女の視線は奥の部屋でなく、目の前の店の隅っこに注がれていた。「おや、あそこに誰かいるのかな?」とシュパンは訝しく思った。彼は立つ位置を変え、爪先立って覗いてみると、確かに三、四歳の小さな男の子が見えた。やせ細り、青白い顔にぼろ着を身に着け、同じくぼろぼろになった紙製の馬で...2-X-3

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