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エミール・ガボリオ ライブラリさんのプロフィール

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エミール・ガボリオ ライブラリ
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19世紀フランスの探偵小説作家ガボリオの未邦訳作品を翻訳しています。
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306回 / 335日(平均6.4回/週)

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エミール・ガボリオ ライブラリさんの新着記事

1件〜30件

  • 第二部 第九章  8

    暴動のあったある夜、この人物が数人の危険なならず者たちに取り囲まれていたとき、私はちょっとしたことをしてあげたことがあった。この人に自分の状況を打ち明けると、彼は親身になってくれ、協力を約束し、私の取るべき行動を教えてくれた」ド・ターレル夫人は椅子の上で身体をくねらせていた。「はっきり申しますけど」と彼女は言い始めた。「私の時間は全く私だけのものというわけではないんです。お分かりのように、私、もう着替えをしております。出かけなくてはなりませんの……」この後続くであろうと彼女が感じている説明のくだりを、延期して貰おうという期待を彼女が持っていたとすれば、それは叶わぬことだった。ド・トレガール氏の口調だけでも、彼女を黙らせるに十分だった。「出かけるのは明日になさい!」そして、急ぐ様子もなく彼は先を続けた。「今言った...第二部第九章8

  • 第二部 第九章  7

    私はこの手紙を持っていますよ。その上品な筆跡、間違いのない完璧な様式はド・ジャヴェル侯爵夫人の頃に較べれば雲泥の差だ。但し、その手紙には署名がなかった。かつての女工は慎重になっていた。彼女には失っては困るものが多々あり、悪い噂を立てられるのが怖かったのだ……。それから八日後、彼女は簡潔な手紙を送り、父に自分の家に会いに来てくれと懇願したが、それはまるで情熱の迸りによって書かれたもののようだった。父は行った。そこには非常に幼い娘がいて、父はそれが自分の子だと信じ、溺愛した!後はもう言うまでもない。父は再び彼女の魅力に屈し、彼女の言うなりになった。かつての愛人は、父の財産と父の意志を自由に操れるようになった!しかし、不幸が迫っていた。父の度重なる訪問に彼女の夫が嫉妬しない筈がなかった!ある手紙の中で彼女は極め付けの...第二部第九章7

  • 第二部 第九章  6

    自分は貧しい事務員ではなく、ド・トレガール侯爵であり、十万リーブル以上の年利収入がある、と……。たちまち手紙の調子が変わった。ド・ジャヴェル侯爵夫人はベルジェ通りに暮らすことにうんざりし始めた。隣人が何かと彼女に文句を言うだの、今の仕事は彼女の奇麗な手を傷めるだの……。その結果、子供を産んで二週間も経たないうちに、父はその美しい愛人をドヴィル夫人という名前でブルゴーニュ通り八十七番地に引っ越させた。彼女は素晴らしいアパルトマンに住み、毎月千五百フラン、召使い達、それに馬車を手に入れた……」ド・ターレル夫人の様子は退屈から、はっきり苛立ちへと変わっていた。「それが私と一体何の関係があると言うんですの!」ド・トレガール氏は平然と先を続けた。「父と愛人はそれ以降毎日会えるようになったので、もう手紙を書くこともなくなっ...第二部第九章6

  • 第二部 第九章  5

    「父はいつも自分の仕事には非常に無頓着に見えた。貴族たる者、そうでなくてはならぬ、と彼は思っていた。ところが、そういっただらしなさは表面だけのことで、どんな商売人も顔負けというほどの几帳面さを持っていた。そんな例はいくつも挙げることが出来る。例えば、彼は受け取った手紙で何らかの意味のあるものはすべて保管していた……。現に、はちきれんばかりに書簡の詰まったボール紙の箱を十三、四個私は見つけた。それらは丁寧に年毎に分類され、そのうちの多くには、どのような返信を送ったか、簡単に余白に注が書き込まれてあった……」あくびを半分噛み殺しながら、ド・ターレル男爵夫人は言った。「それはまぁ几帳面なことだと言えますわね、確かに……」「最初、過去のことは掘り起こすまいと決心していた私は、それらを全く意に介さなかったから、確実に焼却...第二部第九章5

  • 第二部 第九章  4

    ド・ターレル夫人の落ち着き払った態度は変わらなかったが、彼女は立ち上がった。これから一波乱が起きそうだと感じたので、頭を冷静に保つため、立っていたかったのだ。「それは光栄ですこと!」彼女は皮肉な微笑を浮かべて言った。マリウス・ド・トレガールが目的に向かって進むのを止めることは最早どんな人間にも出来なかったろう。「あなたに、お話します」彼は再び言った。「というのは、私の話を聞いた後、もしかしたらあなたは私に協力する方が得になる、と判断するかもしれないからです。私にはあなたの夫から要求するもの、取り立てるべきもの、そうせずにはおかないものがあるのです!」本心からではない驚きを、素晴らしく巧みに演じながら、夫人は彼をじっと観察していた。「私の父ド・トレガール侯爵は、かつては何百万フランかを所有する金持ちでした。しかし...第二部第九章4

  • 第二部 第九章  3

    「失礼ながら、奥様は私をからかっておられると存じます」「もし本当のことです、と申し上げたら?」「私は大層落胆いたします……」「まぁそんな……」「既に申し上げた理由によってです。私はジルベルト・ファヴォラル嬢を、この上なく純粋な気持ちで深く愛しています。もう三年前から、彼女は神に誓った私の婚約者なのです」怒りの炎のようなものがド・ターレル男爵夫人の目に現れた。「そして私は」彼女は叫んだ。「そんな結婚は馬鹿げている、と何度でも言いますわ……」「馬鹿げたものであればあるほど良いのです。そうすれば、ジルベルトが私にとってどれほど掛け替えのない存在かということを、彼女にもっとよく分かって貰えるでしょうから」表面上は平静を装っていたが、彼女は座っている肘掛け椅子のサテンを爪で引っ掻いていた。「では、あなたの決心は固いのです...第二部第九章3

  • 第二部 第九章  2

    鏡から目を離さず、ド・トレガール氏は答えた。「仰るとおりだと思います……」「父親に対してとか、特に私に対しては、気まぐれで、我が儘で、怒りっぽくなりますけれど、自分の愛する夫になら、すぐに懐柔されますわ。衣装代が一年に二万フランも掛かる娘ですけれど、自分の心に決めた夫を喜ばせるためなら、喜々として粗末な服でも着ることでしょう」大サロンの男は手紙を書き終え、曖昧な笑みを浮かべると、それを読み返した。「私とて、奥様」とド・トレガール氏は答えた。「セザリーヌ様の数々の言葉から世間知らずの無鉄砲さを見分けることぐらいは出来ますよ」「あら、本当ですの。それではあの娘のことをそれほど悪くは思っていらっしゃらないのね……」「私より奥様の方が、お嬢様に厳しいですよ……」「でも、あの娘が人生で初めての悩みを持ったのは、あなたの所...第二部第九章2

  • 第二部 第九章  1

    第九章「セザリーヌ!」とド・ターレル夫人は嘆願と威嚇の両方が混じった声で呼んだ。「私、着替えてくるわ、お母さん」と娘は答えた。「戻ってらっしゃい!」「戻ったらお小言があるんでしょ。ママが出掛けるとき、私の支度が出来てなかったらどうするのよ」「戻って来なさいと命令しているのよ、セザリーヌ!」答えはなかった。もう遠くに行ってしまったのだ。ド・ターレル夫人は小サロンのドアを閉め、ド・トレガール氏の近くに座った。「本当に、何という娘でしょう!」と彼女は言った。ド・トレガール氏は鏡に映っている隣の大サロンの様子をじっと見ていた。怪しげな身なりの男がまだそこに一人で居た。召使いが一人やって来て、ペンとインクと紙を渡した。その男は小卓の前に座ると、何やら手早くしたため始めた。『あの男を一人きりであそこに居させているのは、何故...第二部第九章1

  • 第7章 見えざる敵 8

    「さて」とソーンダイクは言った。「なかなかの冒険だったね。終わってみれば、非常に満足すべき結末だった。しかし一歩間違えば全く逆の結末もあり得た。あの二酸化炭素のボンベが手元にあるという幸運な偶然がなければ、我々は今頃この世にはいないだろうよ」「全くですね」とジャービスも同意した。「今頃は我々もバットソンのあの患者、マドック氏、と同じ状態か、少なくとも肉体と霊魂の分離状態に至る途上にいたことでしょう。ま、しかし、終わりよければすべて良し、だ。私たちと一緒に来るかい、ジャーディーン?」「途中まで一緒に行きますよ」と私は言った。「それから僕はバットソンのところへ戻らなくちゃいけません。仕事を片付けて、荷物を引き取りますので」私はオックスフォード通りまで彼らと一緒に歩き、その間今起きた事件について話し合った。「手を引い...第7章見えざる敵8

  • 第7章 見えざる敵 7

    「もう大丈夫だ」彼は穏やかで理知的な声で言った。「本格的な火災になる前だったんだ。麦藁は燃えると派手な炎を上げるが、それももうあらかた燃え尽くした。この二酸化炭素ガスが木材の燃焼の息の根を止めてくれるよ。しかし我々も窒息しないように、気を付けなくてはならないよ。今のところ階段が一番安全な場所だ」彼は新たにもう一本ボンベの口を開け、一番しつこく燃え残っている箇所に向け噴射するようにしてから、ジャービスと私が立って外を見ている戸口のところまで戻って来た。彼が言ったように、火は急速に鎮まっていた。ボンベから噴出する溶けた雪のような液体が酸素の供給を遮断したので、一時はあれほど危険に見えた炎の上がっていた場所には、濃い煙が立ち昇っているだけだった。我々は階段で更に二分ほど待った後、「さあ」とソーンダイクが言った。「出撃...第7章見えざる敵7

  • 第7章 見えざる敵 6

    それとパチパチという音が頑丈なドア越しにかすかに聞こえた。「閂は一つだけだ」とソーンダイクが言った。「入ってくるとき見ておいたんだ。ドアが固定されている箇所を照らすから、君たち二人はそこを目がけてボンベで打ち壊すんだ」そのドアは、既に言ったように頑丈なものだった。が、自分たちの命が懸っている二人の屈強の男たちが力任せに奮う重々しい鉄ボンベを前に持ち堪えられるドアなどないだろう。最初の一撃で小さな隙間が出来、続く打ち込みの度に建物が揺れた。私たちは死にもの狂いで、分厚い板のドアを叩き壊そうとし、閂を支えていたねじ釘が土台から引きちぎられると、徐々に割れ目は大きくなって行った。そして割れ目がぽっかりと空いた穴になると、つんと鼻を突く煙が流れ込んで来た。ソーンダイクが照らす懐中電灯の白い光が外の真っ赤な炎と際立った対...第7章見えざる敵6

  • 第7章 見えざる敵 5

    「『大きな』というのは正確な表現ではないね」とソーンダイクが遮った。「それじゃ、縦約七フィート、横、高さ共に半フィートの梱包用の外函」「うん、それで良い」とソーンダイクは言った。「大きさについては、常に出来る限り数値で表すようにしなさい。それから?」「防水シートが二枚。これは何に使われたものか想像がつきません」「用途については構わなくてよろしい」ソーンダイクが言った。「それらがここにある、という事実に留意するんだよ」「はい」と私は答えた。「後は麦藁があるのみで、それで目録は終りです。麦藁は、おそらくガスボンベが梱包された際に用いられたものでしょう。大量にありますが、梱包に必要な量以上とも思われません。以上です。これらの物のうち、何か思い当たることは一つもありません」「そうなんだろうね」ソーンダイクは言った。「そ...第7章見えざる敵5

  • 第7章 見えざる敵 4

    犯人は手袋を嵌めていたに違いない、と我々は考えた。で、君の言う犯人の特徴をきいて、我々の思った通りであることが分かった。それはそれで興味ある事実でもある。これだけの用心をしなければならないと分かっているということは、彼に既に犯罪歴があるか、少なくとも犯罪者の手口を知っているということだろう。つまり、これは普通のプロの仕事ではないにしても、犯人はプロの犯罪者かもしれない。更に推測を推し進めていくと、前もって周到に練られた犯罪だということになる」彼は喋りながら、ポケットから小さくて平たい壜を取り出した。それには金属の蓋がしてあり、黄色っぽい粉が入っていた。蓋を開けると、更に穴の開いたキャップが内側にあり、ヨードホルム(殺菌剤)を振り掛ける容器のようになっていた。彼はそれを上にある三本のボンベに振りかけ、足でボンベを...第7章見えざる敵4

  • 第7章 見えざる敵 3

    ソーンダイクもまた興味を持っていた。彼は開いているドアのところに立ち、恰もいろいろな物の配置を確認するかのように部屋の中を見回していた。実際、彼のしていたことはそれだった。「昨夜あれから、誰かがここに来たな」と彼は言った。「確かに」とジャービスが同意した。「あのガスボンベが開口部から離れた位置まで下げられている。分かるかい、ジャーディーン」と彼は続けた。「奴はあの大きな外箱の側面を下にして立て、その上にガスボンベを置いていたんだ。ノズルがちょうど穴のところに来るようにして。他の二本のボンベはノズルを上向きにして立ててあった」「確かこういうことだったね」とソーンダイクが言った。「君は、三本のボンベだけが開けられる音を聞いたんだったね。「はい」と私は答えた。「一本はその穴に向けて、それと後二本です」「何故そう聞いた...第7章見えざる敵3

  • 第7章 見えざる敵 2

    ソーンダイクはドアの取っ手を回してみたり、押してみたりしたが、そのドアは明らかに錠が掛かっているか、閂が掛けられているかのどちらかだった。「昨夜、私はこのドアの錠をあけたままにしておいたんだが」と彼は言った。「その後誰かが来たことは確かだな。これは予想外だった。敵はもう二度と戻って来るまいと思っていた。しかし、ギルが今度のことに無関係ということもあり得る。たまたまここが使われていないことを知った誰かが使っていたのかもしれない。そういう人間にとって、ここに入り込むのは何でもないことだ。いま見せてあげるよ」喋りながら彼はポケットから合鍵の小さな束を取り出し、そのうちの一つで静かにドアを開けた。「こういう建築業者が使う錠というのは見かけだけのものでね」と彼は言った。「許可がなければ開けてはいけないことになっているが、...第7章見えざる敵2

  • 第7章 見えざる敵 1

    第7章見えざる敵バットソンの家を出て、我々は外灯の灯された通りを足早に歩いていった。全員が、何とはなしに、この出発を面白がっていたように思う。「バットソンは、いつもあんな風かい?」とソーンダイク博士が尋ねた。「ええ、いつもです」私は答えた。「ばたばた、せかせか、が彼の通常の状態です」「おやおや」ソーンダイクは感想を述べた。「それじゃ随分時間を無駄にしていることだろうな。あの火葬に際しての支離滅裂ぶりが、これでよく分かったよ。奴さんは常に今やっていることより、次にやることを考えているんだ。ところでジャーディーン、私は君も工場に行って調べてみたいだろう、と当然のように考えているが、どうしても、というわけではないんだよ。ジャービスと私は昨夜予備的な調査をしてきたから、更に推理を推し進めるために必要になりそうな重要な事...第7章見えざる敵1

  • 第6章 作戦会議 10

    ソーンダイクは、その点は大丈夫、と安心させ、手短に私に起きた事件を話し、これから工場に行ってみるつもりだと言った。バットソンは時折驚きと安堵の叫び声を上げながら聞いていた。「ああ良かった!あなたがそこに着くのが間に合って。もしそうでなければ、取り調べやら何やらで大騒ぎになっていたところです。もう収拾のつかない事態になっていたでしょう。開業医の仕事は滅茶苦茶になって、私は心労のあまり精神病院に入院ですよ。ああ、その工場ですか。私なら行きませんよ」「どうして?」とソーンダイクが尋ねた。「だって、いろいろ質問されて厄介なことになるじゃないですか。こんなことは評判になって欲しくないですよ。無用な波風は立てないことです。こういう騒ぎは開業医にとって打撃になります」ソーンダイクはバットソンの素直な自己中心主義に微笑した。「...第6章作戦会議10

  • 第6章 作戦会議 9

    ソーンダイクは首を振った。「私はそうは思わないね。君は男が消えたのを見た。助けなしで一人で姿を消せる筈はない。歩けた筈もない。誰かが、君が立ち去ったすぐ後、すぐにその男を運び去った、と考えるしかない。よほど素早く来て素早く立ち去ったに違いない。数分後君が警官と一緒に戻ってきたのに出会わずに済むためにはね。ちょっと出来すぎの感があるが。それから、その翌日君が見つけたいろんな痕跡。それは死体がケンウッドの森に運ばれた可能性が非常に高いことを示すものだ。返す返すも、君が森番に出会ったのは残念だった。君が足跡をまだ新しいうちに辿っていたとしたら、死体がどこへ運ばれたか確かめられたのに。しかし、さて、君の事件に戻って、これからどうするかね?警察に連絡を取るか、あるいは私たちだけでしばらく捜査を続けるか?」「僕に関する限り...第6章作戦会議9

  • 第6章 作戦会議 8

    「それは先生に決めて頂きたいと思います」と私は言った。「私がこう聞く理由はね」とソーンダイクは言った。「こういうことなんだ。警察の仕組みというのはプロの犯罪者に合わせて作られている。押し込み、贋金造り、文書偽造、そういった犯罪だ。で、彼らの捜査方法は、大体において持ち込まれた情報を基にしている。プロの悪党というのは大抵が警察によく知られている連中だ。ある『手口』を基に犯人をしょっ引くということになると、彼らを見つけるのはそう困難ではない。彼らの有罪を立証するのに必要な情報は通常の情報源から入手される。しかし、人目につかないような犯罪や、素人による犯行に対しては、警察はあまり上手く立ち回れない。犯人は見知らぬ人間だ。情報を得るべき筋もない。従って、彼らには捜査を始める糸口がない。彼らは手掛かりを作り出すことは出来...第6章作戦会議8

  • 第6章 作戦会議 7

    「あれが毒殺だったのでは、とお考えになってるんじゃないでしょうね?」と私は尋ねた。「その件については、私には何も分からない」彼は答えた。「死亡診断書を発行するに当たり、重過失があったということ以外にはね。君自身はどう思う?いま思い返してみて、死因を特定できなかったという点以外で、腑に落ちないと感じることはなかったかい?」私は躊躇した。ミセス・サムウェイのあの奇妙な悪意ある眼差しがまた蘇った。ついに、私はその出来事を二人に話した。「ミセス・サムウェイ!」とジャービスが叫んだ。「それって今朝訪ねてきた、あのルクレチア・ボルジア風の堂々たる美女かい?マングースみたいな目の?ひゃー、ジャーディーン、君の話を聞いて鳥肌が立ったよ!」「つまりこういうことだね」とソーンダイク博士が言った。「君はあたかも死人の脈を測ろうとする...第6章作戦会議7

  • 第6章 作戦会議 6

    バットソンが、死因がはっきりしないと言っていたのを思い出したからだ。それで付け加えて言った。「少なくとも、そうであることを願っています」「願っている、だって?」とソーンダイク博士が尋ねた。「はい。というのは、その問題を調べるには遅すぎるからです。その男は火葬されましたので」この言葉に沈黙が訪れた。二人とも椅子の上で身を固くするのが感じられた。それから二人は黙ったまま私を見たが、それは非常に注意深い視線だった。その後ソーンダイク博士が聞いた。「君はその件に関与したのかい?」「はい。バットソンと一緒に行って、死体を調べました」「それで君は、すべてが行われるべき手順で行われた、と自信を持って言えるかい?」私は「はい」と答えようとした。が、そのとき突然サムウェイ夫人がバットソンの肩越しにあの奇妙な、謎めいた表情を浮かべ...第6章作戦会議6

  • 第6章 作戦会議 5

    「いいえ」と私は答えた。「全然できません。彼は殆ど見えませんでしたから。中は真っ暗だったし、彼がマッチを擦ったときは、彼は僕の後ろにいたか、前にいるときでも僕に背中を向けているか、のどちらかでした。彼について言えることは、なんかゴワゴワした皮手袋をしていたということだけです」「やっぱり!」とソーンダイクは叫んだ。「私たちの思ったとおりだったね、ジャービス」私は驚いて二人の顔を代わる代わる見た。そしてソーンダイク博士に、それはどういう意味か尋ねようとしたとき、彼が続けて言った。「更にまた手掛かりがなくなったということだ。君がその男の人相を特定できないなら、ギルの人相がもし得られたとしても、役には立たないわけだ。他の点から探さねばならない」「どうやら」とジャービスが言った。「取っ掛かりの糸口はあまりないようですね」...第6章作戦会議5

  • 第6章 作戦会議 4

    ソーンダイク博士は頷きながら私の答えをメモした。「これで、計画的殺人の主な動機が排除される。後は個人的な怨恨の線が残るな---この国ではあまり一般的でない動機だが。君には、君を殺そうと考えるような敵あるいは複数の敵がいるかい、君の知る限り?」「僕の知る限りでは、僕にはこの世に一人も敵などいませんし、僕を酷い目に遭わせてやろうと考える者も思いつきません」「それならば」とソーンダイク博士は言った。「通常の殺人の動機はすべて排除されることになる。後は念のために聞いておく質問---ジャービスが法医学の気分に浸っているならエクス・アバンダンティ・カウテラ(極度の用心)と言うところだね---だけだ。私の集めてきた他の事実も、それらの動機を排除するようだからね。個人に危害を加える窃盗ででもあれば話は別なんだが」「他の事実とい...第6章作戦会議4

  • 第6章 作戦会議 3

    「いいえ。僕がここで受け取った唯一の書状は『ドクター・ジャーディーン』宛てとなっていました。証明書や他の書類にもサインした覚えはありません」彼は私の答えをメモした。その後、封筒から手紙を引き出し、最後まで読んだ。「この書き方は」と彼は言った。「教養のない人間というより、それを装ったものだ。それに言葉の使い方に矛盾がある。文末の露骨な副詞の誤りは、他の部分の言い回しや句読点の打ち方の正確さとは相容れない。署名については無視してもよかろう。君がパーカーという名前の人間をこの辺りで知っているなら話は別だが」「知りません」と私は答えた。「よかろう。この手紙を私が保管しても構わないと君が言うなら、今後の参照のためにファイルしておくよ。さて、今度はこの実に驚くべき不可解な事件に関して君にいくつか質問をする。見かけよりも更に...第6章作戦会議3

  • 第6章 作戦会議 2

    こう言って、彼はあたふたと出て行ったので、その後、私はのんびりと起床し、朝食を取った。昨夜の出来事を思い返せ、という彼の忠告は余計なお世話だった。あんな経験は忘れられるものではない。間一髪のところで死から逃れられたのだから、私の頭はそのことで一杯だった。それに、あの恐ろしい状況、そして事件全体を包み込んでいる謎。いくら頭を捻っても解けない謎だった。いろんな角度から考えてみても---一日中そのことが一分以上頭を去ることは一度もなかった---何も閃かず、あの憎むべき、理解不能の犯罪を解き明かす手掛かりは全く思い当たらなかった。一分も違えず四時きっかりにソーンダイク博士が到着し、すばやく私の状態を検査して、昨夜あんな目に遭った後でも頗る健康体であることを確かめると、彼は本題に取り掛かった。「ジャービス、往診はもう終わ...第6章作戦会議2

  • 第6章 作戦会議 1

    第6章作戦会議翌朝、私は遅めに目を覚ました。実を言うと、まだ半分眠っていたところを、やや横柄で命令的に寝室のドアをノックする音で起こされたのだった。すぐその後、背の高い三十歳ぐらいの紳士が姿を現した。沈着な物腰、まるで個人事業主のような雰囲気で部屋に入って来た彼を見て、医者であろうと見当をつけた。しかし私の見立てが正しいかどうか確かめる時間を彼は与えなかった。「おはよう、ジャーディーン君」ポケットの中の鍵や小銭をジャラジャラ鳴らしながら、彼はきびきびと言った。「私はジャービス。ソーンダイク・オーケストラの第二バイオリンさ。臨時にここの仕事を任されることになった。気分はどうだい?」「ああ、大丈夫です。今起きようと思っていたところです。診療についてはご心配無用ですよ。僕が出来ますから」「それは良かった」とジャービス...第6章作戦会議1

  • 第二部 第八章 20

    しかしド・トレガール氏の注意はセザリーヌ嬢によって逸らされた。彼女は虚脱状態に陥っていたのを振り払うようにして、再び口を開いた。「でも、悲嘆に暮れたり、呪ったりしても何にもならないわよね?」彼女の口調はド・トレガール氏に対して、というより自分自身に対する返答のようだった。「起きてしまったことをなかったことになんて出来ない!……ああ、人生でやっちゃった過ちが、箪笥の中に置いておいて出来た下着のシミみたいに洗濯で真っ白に出来るものならねぇ!でも過去を洗い落とすことなんて出来ない。後悔しても過去は消せない、人が何と言おうと。そんな考えは撥ね退けなくちゃ。囚人は自由のことなんか考えないようにするものよ……」彼女は肩をすくめた。「それでも囚人はいつも脱獄の希望を持っているわ。ところが私ときたら!」彼女がいつもの調子を取り...第二部第八章20

  • 第二部 第八章 19

    彼女は黙った。しかし沈黙はすぐに隣の部屋から聞こえてくる物音によって破られた。ド・トレガール氏は反射的に周囲を見回した。彼が今居るこの小さなサロンは、ターレル邸の大サロンと幅の広い高いドア一枚で隔てられているだけだった。そのドアは開け放されたままになっており、仕切り幕も引き揚げられていた。さて、これら二つのサロンの鏡の配置により、ド・トレガール氏の立っている位置から、小さなサロンの暖炉の鏡に大サロンの殆ど全体が反映されているのが見えた。汚い身なりをした怪しげな風体の男がそこに立っていた。ド・トレガール氏がその男をよく見れば見るほど、この不審な顔つきをどこかで見たような気がした。その狡猾な目つき、平たくて薄い唇の上に浮かんでは消える皮肉な笑い……。突然、その男は深々とお辞儀をした。おそらくド・ターレル夫人が廊下を...第二部第八章19

  • 第二部 第八章 18

    彼女の顔は青ざめていた。暗い絶望の口調で彼女は続けた。「後はもう、底なしの深淵に転がり落ちて行くだけのように思えるわ。途中で身体が引っ掛かるための枝なんて一本もない崖を。私の周囲にあるのは、空虚、闇、無だけ。私はまだ二十歳にもならないのに、もう何千年も生きたみたいな気持よ。人生から得られる刺激は全部味わってしまったような。何でも見て、何でもやって、何でも知ってる。何もかも飽き飽きして、お腹一杯で吐き気がしそうよ。馬鹿なことばかりやる軽薄娘の標本みたいなものだわ。歌って、冗談を言って、隠語を使って、あまりに陽気なんで人が驚くわ……でも本当は退屈、もうどうしようもなく、死ぬほど退屈なの!この感じを言葉で説明することなんて出来ない。このどうしようもないうんざり感を一言では言えないわ。ときどき自分にこう言うの。『こんな...第二部第八章18

  • 第二部 第八章 17

    「お化粧が崩れて、今宵がすっかり台無しになるわよ。文句を言ってるのは私?かっと頭に血が上っているのは私?もし私と結婚したいという真面目が人が現れたら、その人に『それは無鉄砲というものだ!』と声を上げよ、と良心が命じたとしたら、それは誰の所為?ジルベルトは結婚して幸せになって、たくさん子供を作るのが良いわ。靴下の繕いをしてポトフの鍋から灰汁を掬う。それが彼女の仕事よ。私たちの仕事と言えば、親愛なるお母さま、ママが私に教えてくれたことは、いつもいつも、楽しむこと、笑うこと。昼も夜も、死ぬまでね……」ここで、従僕が一人入って来たので、彼女は言葉を途切らせた。その従僕は名刺をド・ターレル夫人に手渡して言った。「これを持参した紳士が大きいサロンでお待ちです……」夫人の顔が蒼ざめた。「まぁ!」彼女はその名刺を指でくるくる回...第二部第八章17

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