「で、彼らに会ったんですね……」「ちょっとした嘘を吐いたけれど、そのことで自分を責める気にはならないわ。それでグルルー夫妻の家に入れて貰って、一時間ほど居たのよ……」パスカルを驚かせたのは、母の氷のように冷静な口調だった。彼女がゆっくりとしたペースで話すのでパスカルは死ぬほどじりじりしたが、それでいて急かせる気にもなれなかった。「このグルルー夫妻というのは」と彼女は続けた。「実直な、というのがぴったりな人たちだと思うわ。法律に触れるようなことは決してしない、という。そして七千リーブルの年利収入をとても自慢に思っているようだった。マルグリット嬢を可愛がっていたということはあり得る、と思ったわ。というのは、彼女の名前を出した途端、彼らは親愛の表現をふんだんに使ったからなの。夫の方は特に、彼女に対して感謝に似た...2-XI-6