「登浦」登戸浦は、現在の千葉市登戸あたりの海岸をいう。今では埋め立てが進んで海岸線は後退してしまったが、徳川時代には浅瀬の浜が広がり、人々が潮干狩りを楽しんでいた。浅瀬に立っている二つの鳥居は、登戸(登渡)神社の鳥居と思われる。現在の神社は市街地の中にあり、したがって鳥居も内地の地面に立っているが、当時はこのように、海の中に立っていたものらしい。浅瀬では、潮干狩りをする人、収穫を運ぶ人、遊びまわる子供などが生き生きと描かれている。その浅瀬に食い込むような形で水草が生え、磯がかなりでこぼこしている。このことを根拠に、これは実は千葉の登戸ではなく、川崎の登戸だとする意見もある。遠くに見える富士は、白抜きで表現されている。富嶽三十六景徳能登浦