(承前)人文系の学問はなぜ若者たちに人気がないのか。それは、彼らが「そんな学問を身に着けても、就職には役に立たない」と考えるからだろう。では、若者たちはなぜそう考えるのか。それは、採用側の企業の面接担当者がこう考えるからである。「そんな学問を身に着けた学生は役立たずで、我が社の発展に貢献しないに決まっている。そんな学生は我が社には必要ない。というより、そんな頭でっかちの学生は、我が社の社風になじまず、文句ばかり言うに違いないから、願い下げだ。」つまり、人文系の学問は「社会生活には役立たない。むしろ有害だ」と考えられているのである。ここで思い起こされるのは、「倫理学の開祖」と目される、あの古代ギリシアの論客・ソクラテスである。言い伝えによれば、ソクラテスは「アテナイの国家が信じる神々とは異なる神々を信じ、若...人文学の意義をめぐって(その2)