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  • 京アニ犯人の帰責問題(続)

    未必の故意。ふとそんな言葉が頭に浮かんだ。昨晩、夕食の食卓でHNKのニュースを見ていたときのことである。ニュースの内容とは全く関係なく、そんな言葉が頭に浮かんだのである。そのとき、同時に私の頭の中にあったのは、モンテーニュの言葉だった。モンテーニュは『エセー』の中で、次のように述べている。「われわれは能力以上に義務を負うことはできない。そのわけは、事の結果と実践とはわれわれの力では如何ともしがたいことであるし、われわれの力でなし得ることは、本当に意志以外には何もないからである。したがって人間の義務についての掟はすべて、必然的にこの意志にもとづいて立てられる。」(『エセー』第7章)ここに見られる考え方を京アニ事件に当てはめれば、モンテーニュは次のように述べていることになる。犯人とされる青葉被告の(a)「意志...京アニ犯人の帰責問題(続)

  • 京アニ犯人の帰責問題

    きょうの朝日新聞に、こんなタイトルの記事が載っていた。「半生の恨み、社会に向けた『筋違い』の憤り、遺族の前で京アニ被告、責任能力審理へ」そうか、京アニ事件について裁判員裁判がはじまったが、そこでは青葉真司被告(45)の責任能力の有無が争点になるのだったな。さて、この問題は一体どうなるのかーー。この件について私は過日、本ブログで論じたことを思い起こした。ただ、そこで自分がどう論じたのか、どういう結論を出したのかを思い出すことができない。「京アニ犯人の責任能力」と題したそのブログ記事をもう一度読み返してみた。しかし、そのブログ記事の中で私は、白とも黒ともはっきりした結論を出していなかった。出すことができなかったのだと思う。そこで私は、きょうの朝日新聞の記事に特段の関心を懐き、じっくり目を通したのだが、この記事...京アニ犯人の帰責問題

  • 人間の不幸と愚かさ

    『エセー』第3章の冒頭で、モンテーニュは次のように述べている。「人間がつねに未来のことばかりに見とれるのを非難して、『われわれ人間は未来のことには過去のこと以上に無力なのだから、現在もっている幸福をつかんで、それに満足せよ』と教える人たちは、人間の犯す過誤のもっとも普通のものに触れている。ただし自然自らがその仕事を継続させてゆくためにわれわれを仕向けている事柄をも、あえて過誤と呼ぶものと仮定してである。」注意しなければならないのだが、モンテーニュは次のように述べようとしているわけではない。「『現在の幸福に満足せよ』と言ったり、考えたりすることは誤りである」と、そう述べようとしているわけではない。逆にモンテーニュは、こう述べようとしているのだ。我々人間にとって、一寸先は闇、自分の力では未来を動かすことはでき...人間の不幸と愚かさ

  • モンテーニュ『エセー』を読む悦楽

    このところ暇を見つけてはモンテーニュ『エセー』の森をほっつき歩いている。きっと金言がころがっているはずだ、ーーそう思いながら歩いていると、何やら自分が金鉱掘削人(ゴールド・ハンター)になった気がしてくる。金言はあちこちにころがっているはずだ。ーーそういう確信のもとにこの密林を探索するのは、私にとってたまらない悦楽なのである。「わざわざそんなことをしなくても」と言う人がいるかもしれない。「モンテーニュの名言なんて、ネットをググればいくらでも出てくるではないか」それは私も知っている。だが、ネットをググって出てくる「モンテーニュの名言」なるものは、モンテーニュ『エセー』の森に散在する「金言」と決定的に何かが違っている。そんな気がするのだ。まず「名言」があり、「名言」だけがある、というわけではない。モンテーニュの...モンテーニュ『エセー』を読む悦楽

  • モンテーニュ『エセー』の言葉に思うこと

    モンテーニュの『エセー』を読みはじめてすぐ、私は素晴らしい言葉に出会った。「私はこの感情(悲しみ)を免れている者の一人である。そしてこれを好みもしないし、尊重もしない。ところが世間の人々は、まるで当然のことのように、これに特別な好意を寄せて尊敬している。この着物で知恵、徳性、良心を飾っている。実にばかげた奇妙な装いだ。イタリア人が悪意をこの名前で呼んだのはいっそう適切である。なぜなら、それは常に有害で、狂気じみた特性であって、ストア派は常に臆病で卑しいものとして彼らのいう賢者にこれを禁じているからである。」私はなぜこの言葉を素晴らしいと思ったのか。それは、この私が「悲しみ」の感情には無縁の人間、「悲しみ」の感情を懐けないタイプの人間だからである。たとえば、私が先日アップしたブログ「モロッコに寄せて」を読ん...モンテーニュ『エセー』の言葉に思うこと

  • 嵐が去って日常が

    3連休が終わり、娘のファミリーはあたふたと東京へ帰っていった。久々に訪れた静寂の中で、どことなく気疲れしている自分に気づく。これはどこのジジババ世帯も同じなのだろう。子供が一族郎党を引き連れて来たときは嬉しいが、帰るころは老夫婦共々、疲れ切ってしまう、とは、よく聞く話だ。娘ファミリーの来訪はまるでビールみたいだ。そう思った。その心は:最初の一杯はたまらなく美味しいが、何杯も飲んでいると、やがて「う〜い、もう充分だ」という気分になり、そのうちコップを口に運ぶ気力すら失せてしまう・・・。娘ファミリーという嵐が去ったあとは、いつもの日常が戻ってくる。きょうはこれからデイサ通いの予定がある。「デイサの一冊」は結局、モンテーニュの『エセー』にし、アマゾンで岩波文庫版を注文した。きのう届いたので、さっそく目を通してみ...嵐が去って日常が

  • 女性参画社会の実態

    3連休を利用して、東京に住む娘のファミリーが我が家にやってきた。夫と子ども2人の計4人である。ふだんは老夫婦だけの侘しい我が家が、途端に喧(やかま)しくなった。その娘から聞いた話である。我が娘は今、某医科大学の准教授の職にありついて半年ほどになるのだが、その(准教授のポストにありつけた)話が振るっている。娘の上司にあたる某医科大学のH学部長は、大型研究費の申請をして、2年連続で落ちてしまった。通らなかった理由は、「この研究プロジェクトに携わる女性研究者の数がゼロなのは、問題である。『男女雇用機会均等法』の理念に反する」というものだった。そこでH学部長は、急きょ我が娘を(任期付きの助教から)准教授に昇格させ、研究プロジェクトのメンバーに加えて、3度目の申請を出したというのである。「男女雇用機会均等法」の理念...女性参画社会の実態

  • ああ自民党 女性の人材不足は

    岸田首相が第2次の内閣改造を行った。その陣容について、「副大臣と政務官、初の女性ゼロ」が物議を醸している。「岸田内閣は15日の閣議で、副大臣26人と政務官28人の人事を決めた。計54人は全て男性議員で女性議員はゼロとなった。朝日新聞の調べでは、2001年に副大臣・政務官が導入されてから『女性ゼロ』は初。岸田文雄首相は内閣改造で過去最多に並ぶ5人の女性閣僚を起用したが、対照的な対応となった。」(朝日新聞9月16日)「女性ゼロ」の結果について、立憲民主党の泉代表は次のようにコメントしている。「驚きましたね。(副大臣・政務官あわせて)54あるポストで女性がゼロって。信じられないですね」その上で泉代表は、「女性ゼロ」は「自民党の人材のなさ、女性が不足していることを象徴している」と述べている。尤もな意見である。これ...ああ自民党女性の人材不足は

  • デイサに一冊

    けさ朝日新聞を開いたら(正確には、「朝日新聞紙面ビューアー」を覗いたら)、第1面に次のような広告が載っていた。なぜ無人島に一冊もってゆくなら「歎異抄」なのかその昔、この広告につられて、「歎異抄」を読もうとしたことがある。いきなり「歎異抄」ではハードルが高いと思ったので、入門書を読んでみた。「100分de名著歎異抄」というEテレの放送テキストだった。著者(講師)は釈徹宗という有名人だったが、このテキストの中身が私にはどうにもしっくり来ず、最初の数頁で読むのをやめてしまった経緯がある。それはいい。どうでもいい。凡俗の私には「仏心」がなかったということだろう。ともあれ、けさこの広告を見て、私が気づいたのは、自分の心を占めている一つの思いだった。デイサに一冊もってゆくなら何にすべきか週に二度、私が通所するデイサで...デイサに一冊

  • 内閣改造の結果はいかに

    岸田首相が第2次の内閣改造を行った。吉と出るか、凶と出るか、内閣支持率は上がるのか、下がるのか、興味が持たれるところだ。この問題について検討する前に、一つきょうは、この「内閣支持率」という鵺(ぬえ)のような怪物について考えてみたい。「鵺のような怪物」と書いたが、実際、この数字はどこまで信じたらいいのか、正体不明の代物なのである。例をあげよう。国民の皆さまの放送局、NHKは9月11日に次のように伝えている。「岸田内閣を『支持する』と答えた人は、先月の調査より3ポイント上がって36%でした。一方、『支持しない』と答えた人は2ポイント下がって43%でした。」(NHK選挙WEB)一方、政府批判の急先鋒、朝日新聞は次のように伝えている。「朝日新聞社は19、20の両日、全国世論調査(電話)を実施した。岸田文雄内閣の支...内閣改造の結果はいかに

  • モロッコに寄せて

    北アフリカ・モロッコの地震はかなりひどかったようだ。瓦礫と化した街の光景がテレビのニュース画面に映されることがしばしばのきのうきょうである。乾いた無機質の映像を眺めていると、ふと「カスバの女」のメロディーが私の脳裏を流れた。♫ここは地の果てアルジェリヤどうせカスバの夜に咲く酒場の女のうす情け♫この歌詞を反芻しながら、待てよ、と思った。カスバはアルジェリアにある街の名前なのだ。では、モロッコの首都は何というのだろう?スマホで調べたら、カサブランカだと判った。そうか、カサブランカか。あのカサブランカなのか・・・。私の脳裏を今度はニヒルなハンフリー・ボガードの横顔がよぎった。映画「カサブランカ」は、何年か前に見たことがある。ハンフリー・ボガードが演じる主人公は、ナチスに追われるレジスタンスの闘士だった。一方、唄...モロッコに寄せて

  • 中国政府のオセロゲーム

    オセロゲームの醍醐味は、一瞬の手違い(読み違い)で形勢がガラリと変わってしまうことにある。先ごろ中国がG20という碁盤(オセロ盤)の上に打った一手は、自国の形勢を不利にする悪手だったと言えるだろう。中国が打った一手、それは、「日本が海に垂れ流すフクシマ汚染水は危険だ、ヤバいぞ!」と叫んで、日本叩きをすることである。声高にこうわめき散らせば、韓国やインドネシアなどの諸国は「そうだ、ヤバいぞ!」と同調し、自国と同じ色に染まるだろう。中国はそう踏んでいたはずだ。ところが、この手を打ってみても、同調する国は現れず、かえって孤立を深めるばかりの中国である。そのためG20に出席した中国の李強首相はフクシマ「汚染水」に言及することができず、習近平国家主席は(面目丸つぶれで)G20の晴れ舞台に出席することすらできなかった...中国政府のオセロゲーム

  • NHKの回答に答える

    夕餉の食卓で聞いたNHKのニュース。最近はこの枕詞(まくらことば)で始めることが多いが、きょうも性懲りもなくこの話題である。きのう夕餉の食卓で、次のニュースを聞いた。「観光地や過疎地でタクシー不足が深刻になっていて、自民党内からは自家用車を使って有料で人を運ぶ『ライドシェア』の解禁を求める意見が出ています。一方で、安全の確保など課題も指摘されていて、今後、議論が活発になる見通しです。外国人観光客が増えている観光地や交通の便がよくない過疎地では、タクシー不足が深刻になっています。自民党の菅前総理大臣は『結論を先送りすべきではない状況になってきている』と述べ、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ『ライドシェア』の解禁も含め、対策を早急に検討すべきだという考えを示しました。」(NHKニュース防災9月...NHKの回答に答える

  • NHKニュースをめぐる素朴な疑問

    積極的に「これが言いたい」、ーーそう思って文章を書きはじめることもある。ネタが降りてきた時がそうであり、そういう時は比較的スムーズにブログ文を書き進めることができる。だが、そういう時ばかりではない。ネタが全く降りてこず、いくら頭をひねっても何も思いつかない、ーーそういう時も少なくない。「頭が真っ白」の状態である。これとは別に、「どうなのだろうなあ・・・?」と、素朴な疑問を懐く時がある。積極的に何を言いたいわけではない。ただ、「なんだかなあ・・・」、「おかしいよなあ・・・」というもやもやした疑念を、だれかに聞いてもらいたいと思うのである。昨夜がそうだった。テレビを付けながら夕餉の食卓に着いていたとき、NHKニュースが次のように伝えた。「全国のタクシー会社で働く運転手の数は新型コロナの影響や高齢化による離職が...NHKニュースをめぐる素朴な疑問

  • 原因不明の発熱が

    いやはや、参った。高熱にやられ、不覚にもダウンのありさまである。朝起きたとき、ベッドからうまく起き上がれず、往生した。立ち上がったら立ち上がったで、足下がえらくふらつく。なんとなく全身がだるい。自覚症状はそれだけだった。この日、おとといの木曜日は、デイサへ「出勤」する日だった。いつものようにお迎えが来る。送迎車が来るまでにブログ書きを済ませようと、キーボードに向かったが、アタマの具合も悪いのか、文章がうまくまとまらない。またたく間にタイムアップとなり、ブログのほうは尻切れトンボのまま、強引に辻褄を合わせた。昼食はいつもの袋入りのラーメンだったが、箸をつけたまま、ほとんどを食べ残した。身体がやけに熱(ほて)り、だるさも半端なかった。しかしこのときは、まだ熱があるとは思わなかった。発熱を知ったのは、デイサに着...原因不明の発熱が

  • 京アニ犯人の責任能力

    月日が経つのは早いものだ。前途ある若者36名の生命を奪ったあの残忍な放火殺人事件、いわゆる「京アニ事件」が起きてから、もう4年以上が経った。きのうはその犯人、青葉真司被告(45)の責任能力をめぐる裁判員裁判があり、メディアの話題はそのことで持切りだった。被告の責任能力の有無をめぐる検察/弁護側の判断は、真っ二つに別れている。被告は放火や殺人などの罪状について、これを認め、「間違いありません。当時はこうするしかないと思っていた。こんなにたくさんの人が亡くなるとは思っておらず、やりすぎだった」と述べている。問題は責任能力の有無についての判断であるが、これについてメディアは次のように伝えている。「被告の弁護士は、『被告は精神障害により、よいことと悪いことを区別して犯行をとどまる責任能力がなかった』などとして、無...京アニ犯人の責任能力

  • 関東大震災と朝鮮人虐殺 その責任追及に政府は

    関東大震災が起こってから、9月1日でちょうど100年が経った。この「記念日」を前にして、耳を疑う次のような出来事があった。このことが物議を醸している。「8月30日の記者会見で、松野官房長官は記者から『政府として朝鮮人虐殺をどう受け止め、どのように反省しているのか』と質問されると、『お尋ねについては、政府として調査した限り、政府内において事実関係を把握することのできる記録が見当たらないところであります』と発言。さらに31日の記者会見で別の記者から、防衛省に保管されている公文書の存在や、内閣府ホームページにある虐殺を認める記述などを根拠に、発言の意図と虐殺の存在に対する政府見解を追求された際も、『(報告書は)有識者が執筆したものであり、政府の見解を示したものではない』とし、改めて『政府内に事実関係を確認するこ...関東大震災と朝鮮人虐殺その責任追及に政府は

  • インドはエラい

    インドはエラい。いや〜、ホントにエラい。こんな記事を読んだ。「インド宇宙研究機関(ISRO)は2日、同国初の太陽観測衛星『アディティヤL1』を打ち上げた。100万度以上ある太陽の大気『コロナ』の加熱の仕組みなどを調べるのが目的だ。インドは先月下旬に月面の無人探査機の着陸に成功したばかりで、『宇宙大国』として自国の技術力の高さを示す狙いもある。」(朝日新聞9月3日)このインドの快挙が何ともすばらしく思えるのは、日本の相次ぐH2ロケット打ち上げ失敗を思い起こし、その無様さと比べてしまうからである。とにかくインド人は頭が良い。茨城県にある我が家の近くには名だたる国立の研究機関がいくつもあるのだが、私が元気だったころ、夕方、犬の散歩をしていると、街を歩くインド人家族を何組も見たものだ。彼らはそれら国立研究機関の研...インドはエラい

  • 嫌がらせ電話による「口撃」作戦に対して

    あまりにもみみっちい仕儀に、笑いが止まらない。フクシマ汚染水、もといフクシマ処理水をめぐる中国側の「撃ち方」が、である。日本がフクシマ処理水の海洋放出を始めたことに対して、中国側は、「日本産海産物の全面禁輸」という大砲でむかえ撃とうとした。この大砲による攻撃がさほど効果を持たないと見たのか、次に中国側が繰り出したのが、なんと、中国人民の嫌がらせ電話による日本への無差別的な「口撃」なのである。これをみみっちく、しょぼい、と感じ、つい笑い出したくなるこの気持ちを、どうすればよいのか。電話による日本への「口撃」作戦がしょぼいと言うのは、フクシマ処理水をめぐる中国の攻撃が、元はといえば、米中対立に端を発しているからである。覇権拡大を図る中国に対して、アメリカは先ごろ、先端半導体の輸出禁止措置を打ち出した。同盟国の...嫌がらせ電話による「口撃」作戦に対して

  • バスケW杯の感動は

    いや〜、感動した!昨夜のバスケW杯日本−カボベルデ戦である。何がどう素晴らしかったのか、日本を勝利に導いた原動力はどこにあったのか、など、試合の細かな経過についてはスポーツ紙の解説に譲るとして、私がどういう経緯でこの試合に心を揺さぶられたのか、そのあたりの個人的ないきさつについて大まかに記しておきたい。私はこのところベッドに入ると、アニメ「スラムダンク」をアマゾン・プライムの動画サイトで見るのを常としている。最近、このアニメが中国や韓国の若者の間で人気を博していると聞いたからである。それに、目下は面白いと思えるテレビドラマが少なく、わざわざTVerを開く気がしなくなったことも一因である。「スラムダンク」という長編のこの作品をまだ全話見終えたわけではないが、バスケ試合の運びや、リバウンドの処理がいかに大切か...バスケW杯の感動は

  • 国際競争力のある研究に向けて

    私は今の日本政府の学術行政に危惧の念を懐いているーー数日前の本ブログで、私はそう書いた。ノーベル物理学賞の受賞者数が端的に示すように、今の日本の自然科学は国際社会で目も当てられないほど他国に後れをとっている。日本の学術のこういう衰退は、学術、ーー特にその基礎的分野への予算配分をケチる日本政府のやり方が元凶ではないか。私はそう考えている。もっとも、私は四六時中、そんなことを考えているわけではない。ふだんは「最近のテレビドラマは面白くなくなったなあ」などとぼやいている。たまたま学術関連の記事を目にしたとき、私は日本の学術行政のあり方に思いをめぐらせ、危惧の念を募らせるのである。きょうは次の記事が目についた。「文部科学省は1日、世界トップレベルの研究力をめざす『国際卓越研究大学』の初めての認定候補に東北大を選ん...国際競争力のある研究に向けて

  • 芥川・関東大震災・自殺

    芥川龍之介といえば、近代日本を代表する文豪の一人である。その芥川について、おもしろい記事を読んだ。ちょうど100年前、関東大震災が起こったときのことである。「妻の文(ふみ)は『追想芥川龍之介』に書き残している。一人で逃げた芥川を『赤ん坊が寝ているのを知っていて、自分ばかり先に逃げるとは、どんな考えですか』と叱ると、芥川は『人間最後になると自分のことしか考えないものだ』と語ったとされている。」(朝日新聞9月1日)この記事から判断すると、芥川はよほどのエゴイストであり、また、生命への執着が人一倍強い人物だったと推察できる。ここで私は疑問を持った。芥川は関東大震災から4年後の1927年、睡眠薬を飲んで自殺している。芥川はなぜ自殺したのか。生命への執着が人一倍強かった芥川が、なぜ自殺したのかーー。しばらく考えて、...芥川・関東大震災・自殺

  • 戦争の記憶を紡ぐ

    きょう8月31日の朝日新聞には、印象的な記事が二つ載っていた。一つは、「被爆体験伝える『ナガサキ』米で出版」とタイトルがふられた記事である。本文にはこうある。「37年前、長崎の被爆者・谷口稜曄(すみてる)さん(故人)との出会いが『人生を変えた』という米国人がいる。核兵器と人類は共存できない――。そんな訴えに耳を傾け、原爆肯定論が根強い米国で本も著した。谷口さんが亡くなって30日で6年。今もそのメッセージを著書を通じて世界に伝えている。」(朝日新聞8月31日)この記事が取りあげる米国人は、スーザン・サザードさん(67)。記事はこう続く。「谷口さんとの出会いから17年後の2003年、(サザードさんは)米国社会に被爆の実相を伝える本を書こうと決意し、日本に向かった。助手や通訳を雇い、史実を確認しながら多くの被爆...戦争の記憶を紡ぐ

  • 学術の意義を問う

    きょうの朝日新聞に、以下のような記事が載っていた。「政府は29日、日本の科学者を代表する組織『日本学術会議』のあり方を検討する有識者懇談会の初会合を開いた。学術会議を国の機関として残しつつ、会員選考に第三者の意見を反映させるのか。それとも、財政支援の見直しも含め、国から切り離す法人とするのか。政府は懇談会の議論などを通じ、学術会議側に迫る構えだ。」(朝日新聞8月30日)私がこんな記事についピクリと反応してしまうのは、ほかでもない、今の日本政府の学術行政に危惧の念を懐いているからである。ノーベル物理学賞の受賞者数が端的に示すように、今の日本の自然科学は国際社会で目も当てられないほど他国に後れをとっている。日本の学術のこういう衰退は、学術、ーー特にその基礎的分野への予算配分をケチる日本政府のやり方が元凶なのだ...学術の意義を問う

  • アンタッチャブルで、不都合な真実

    だれもが触れたがらない真実、アンタッチャブルで、不都合な真実。高齢者の何割かがあの世に行く前にこの真実を引き受けざるを得ない、という衝撃の事実を知った。きのうのことである。「団塊シニア」さんのブログを読み、この真実を知って、私は衝撃を受け、同時に「ああ、よかった」と胸をなでおろした。衝撃の真実、それは、高齢になれば介護用おむつが必要になり、それでも夜中に大便を漏らして寝具を汚す人がいる、という信じがたい事実である。「団塊シニア」さんのブログで紹介されていたのは、鴻上尚史氏(劇作家・演出家)の父親と、「団塊シニア」さんご自身のご尊父の2つの例だけだから、こうした事例がごくまれに見られる特殊なケースなのか、それとも高齢者のほとんどに見られる一般的な出来事なのか、それは私には判らない。鴻上氏の父親は、40年間小...アンタッチャブルで、不都合な真実

  • フクシマ処理水をめぐる下劣とあっぱれ

    フクシマ処理水の海洋放出が始まってから、日本への嫌がらせ電話が急増しているという。埼玉県で「会津ラーメン」を売りにしているラーメン店には、2日前から嫌がらせのいたずら電話が届くようになり、営業中にもかかわらず、着信音ががひっきりなしに鳴り続けている。いずれも嫌がらせの電話で、国を示す頭の電話番号は「86」つまり中国本土からのものだった。1日に30件もの着信があったという。「もしもしもしもしあんたらは、ばーか野郎だ。なぜ核汚染水を海に流すのか」いたずら電話をかける中国人が中共政府に指示されてこんな悪質な嫌がらせの行為を仕掛けているのか、それともただ扇動されただけの付和雷同の輩(やから)なのか、そのあたりは分からないが、いずれにせよ、こんな嫌がらせの行為が下劣な品性を示すものであることは間違いない。こんな行為...フクシマ処理水をめぐる下劣とあっぱれ

  • 岸田政治の支離滅裂

    いやはや、まさしく神出鬼没である。この人、一体何を考えているのだろうか。おととい8月25日の夜、沖縄で開かれたバスケW杯の日-独戦を見ようと、テレビをつけたときのことである。ちょうど試合開始のセレモニー(これをティップオフセレモニーというらしい)が始まるところで、そこに岸田首相の姿が映し出された。これを見て、私は開いた口が塞がらなかった。日独のジャンパー2名の中央に立った岸田首相は、意味不明なふやけた笑顔を浮かべていた。どうやらこの人、バスケ愛好者の間にも人気を広げたいらしい。アニメ「スラムダンク」が中国の若者の間で人気を博しているのを意識してのことだろうか。岸田首相の姿を次に見たのは、沖縄の(現在、復元中の)首里城でだった。これにも意表を突かれたが、このことを報じたテレビのニュース解説によれば、岸田首相...岸田政治の支離滅裂

  • フクシマ処理水をめぐる日中の攻防 その勝機はいずれに

    フクシマ処理水をめぐる日本と中国の攻防は、日本側に勝機ありとみた。以下の記事を読んで、そう感じた。「松野博一官房長官は風評対策として設けた計800億円の基金をもとに、販路開拓などを支援すると説明した。主に想定するのが、昨年の中国への水産物輸出額で5割を占めたホタテだ。中国では、輸入した殻付きホタテをむき身にし、国内で消費したり米国などに輸出したりしている。松野氏は『新たな輸出先のニーズに応じた加工態勢の強化も、臨機応変に対策を講じる』とした。野村哲郎農林水産相も会見で『国内に(殻をとる)加工施設が必要になる』と説明。同省幹部は『本来なら直接米国に輸出すべきもので、構造転換につなげたい』と話す。」(朝日新聞8月26日)何とも痛快な話ではないか。まるでドミノゲームの逆転劇を見ているようだ。記事にあるように、中...フクシマ処理水をめぐる日中の攻防その勝機はいずれに

  • 風評被害をもたらすマスコミ

    すべての新聞に目を通したわけではない。いつも通り、起きがけのベッドで「朝日新聞紙面ビューアー」を見ただけだが、「ちょっと騒ぎすぎではないかなあ」との印象を持った。フクシマ処理水の海洋放出の件である。きょうの朝日新聞は「福島第一処理水放出」の大見出しの下、第1面をほぼ全面使い、この問題を取りあげている。中見出しには「国産全水産物中国が禁輸」と打ち、処理水の海洋放出が重大な結果を引き起こした印象を与えている。実際、その通りなのだろう。朝日新聞は第2面もほぼ全面を費やし、この問題を取りあげているが、そこには「『想定外』の全面禁輸」と大見出しが打たれ、中見出しには「最多輸入先驚く日本側」とある。「農林水産省によると、昨年の中国への水産物の輸出額は、国・地域別で最も多い871億円。このうち467億円と品目別最多で、...風評被害をもたらすマスコミ

  • ペンも方便⁉

    ペンは剣よりも強し、という言い方があるが、剣(武力・権力)がペン(言論・言葉)を捻じ曲げることの多い昨今である。たとえば、日本政府はフクシマ処理水をフクシマ「処理水」と言うが、中国政府はこれを「汚染水」と呼ぶ。「処理水」という言い方には、汚染された水を適切に処理して、安全になった水、という響きがあるが、「汚染水」という呼び方には、放射性物質に汚染された危険な水、という響きが強い。これをどう呼ぶかは、日本、中国、それぞれの政府(権力)がこれをどう位置づけようとするか、その態度にかかっている。日本政府は、これを海洋放出しても問題ない安全な水と位置づけようとしている。中国政府は、これを海洋放出してはならない危険な水と位置づけようとしている。もう一つ例をあげよう。「白タク」とは、個人が無許可で(緑色の営業ナンバー...ペンも方便⁉

  • フクシマ処理水をめぐる中国へ反論

    う〜む、さっぱり解らない。きのうの朝日新聞のコラム「天声人語」に、こんなことが書かれていた。「福島第一原発の処理水について、中国政府は『安全ならば、海に流す必要はない』などと、放出に反対している。安全な水なら、捨てずに使い道があるだろうと言いたいらしい▼水不足に悩む国では通用するかもしれないが、ひどく乱暴な主張である。」(朝日新聞6月22日)フクシマ処理水は安全だ、心配する必要はない、と日本政府は主張しているが、ホントに安全なら、この処理水をわざわざ海に放出する必要はないではないか。フクシマ処理水を海に放出するのは、これが安全でない証拠だ、ーー中国政府はそう主張して、フクシマ処理水の海洋放出に反対しているというのだ。コラム「天声人語」は中国政府のこの主張を「ひどく乱暴な主張」だと一蹴しているが、私はそうは...フクシマ処理水をめぐる中国へ反論

  • 地獄の沙汰もカネ次第

    フクシマ処理水の海洋放出。この懸案にやっと決着がついた。最後に残ったのはフクシマの漁業関係者の同意を得ることだが、この課題もなんとか一件落着となったようだ。漁業者に対する説得のキモは、結局のところ「地獄の沙汰もカネ次第」である。漁業者が処理水の海洋放出に反対するのは、フクシマの海産物は放射性物質に汚染されているのではないか、と受けとられ、風評被害により売り上げが激減して、生計が成り立たなくなることである。ならば、(1)風評被害が生じないよう世論に働きかけるとともに、(2)風評被害によって損害が生じた場合は、これを全額補填する仕組みを作ればよい。政府当局がそう考えたのは、あまりにも当然のことである。(1)の課題は、IAEA(国際原子力機関)のお墨付きをもらうことで解決できる。残るは(2)の課題だが、この課題...地獄の沙汰もカネ次第

  • 岸田内閣の支持率が

    朝日新聞社の世論調査によると、岸田内閣の支持率は33%(前回7月調査は37%)で、2021年10月の内閣発足以降最低だった22年12月の31%に次ぐ低さまで落ち込んだという。「下落は3カ月連続。不支持率は54%(同50%)。トラブルが相次ぐマイナンバー制度を巡る評価などが影響しているとみられる」と、きょう8月21日付けの朝日新聞は報じているが、私はきのうの夕方に見たNHKニュースのワンシーンを思い起こし、こう考えた。マイナ問題もさることながら、最近の岸田内閣の政治姿勢は何ともふやけ切り、マンネリ化している。支持率低下の要因は、こっちのほうが大きいのではないか。きのうの夕方、私が見たNHKのニュースは、以下のように伝えていた。「岸田総理大臣は20日、東京電力福島第一原発を訪れ、処理水を薄めて海に放出する計画...岸田内閣の支持率が

  • キャンプ・デービッド会談に思う

    日米韓の三首脳がキャンプ・デービッドでそろい踏みをした。その姿を見て、心強く思った人は少なくないのではないか。ここで発表された共同宣言では、共同軍事演習の定例化など、安全保障協力を強化するための具体策が打ち出された。これによって、中国や北朝鮮の軍事的威嚇にも大きく歯止めがかかるに違いない。そう期待されるからである。年々度を加える中国や北朝鮮の軍事的脅威にどう対処するかは、日米韓の三国にとって頭の痛い問題である。今回のキャンプ・デービッド会談は、共通の利害で結びつく三国が結束を固める意味を持っていた。アメリカ・バイデン大統領の腹の中には、日本と韓国を対中国・北朝鮮攻略の尖兵にしたいとの思惑があるのだろう。我が日本には荷の重い話だが、それも「寄らば大樹の陰」の安心感には替えがたい。それが大方の国民や、我がキシ...キャンプ・デービッド会談に思う

  • 屁みたいなニュース

    屁みたいなニュースである。「中国電力が山口県上関町に提案した使用済み核燃料を一時保管する『中間貯蔵施設』の建設をめぐり18日臨時の町議会が開かれ、西哲夫町長は建設に向けた地質などの調査を受け入れる考えを表明しました。調査は関西電力と共同で実施され、実際に建設されれば全国で2か所目になります。」(NHKニュース・防災8月18日配信)ニュースというと、なにかエポック・メーキングな出来事のように思われるが、地方の一町議会が「中間貯蔵施設」の建造に向けたボーリングなどの調査を受け入れたからといって、何がどう変わるものでもない。原発問題にとって重要なのは、原発施設の「トイレなきマンション」状態をどう解決するかである。原発で生み出される「核のゴミ」つまり使用済み核燃料を最終的にどう処分するかが重要であり、この問題が解...屁みたいなニュース

  • 関東軍とヤクザの微妙な関係

    いやはや。びっくりした。「関東軍は、日本が経営していた南満州鉄道(満鉄)と遼東半島南端(関東州)を守るために置かれた軍隊だった。(中略)「関東軍にとって満州国は軍資金づくりの巨大な装置だった」とする見方が近現代史の研究者のなかにある。(中略)日本は内外で生産したアヘンを満州国で流通させ、膨大な利益をあげ続けた。そして、利益の一部は関東軍に流れていたことが、近年の研究で分かっている。その根本となっていたのが、満州国政府がアヘンを独占的に販売する専売制だった。」(朝日新聞8月17日)その昔、中国に蔓延していたアヘン中毒者。満州国はそのアヘン中毒者たちにアヘンを専売的に売りつけ、その莫大な収益の一部を関東軍に流していたという。記事にあるように、「関東軍にとって満州国は軍資金づくりの巨大な装置だった」のである。満...関東軍とヤクザの微妙な関係

  • 長男夫婦が来た盆休み

    きのうはどういう風の吹き回しか、長男夫婦が我が家にやってきた。会社の盆休みの最終日に、ひとつ親孝行をと考えたようだ。これまで盆正月は、娘が夫と子ども(孫)たちを連れてファミリーで来ることが多く、長男夫婦が顔を見せることは少なかった。今年のお盆は逆転現象が生じた格好である。まあ、来る者は拒まず、去る者は追わずである。娘たちが来なくても、特に言うべきことはない。久々に見る長男夫婦は、どちらも元気そうで、恙なく暮らしているらしい。相対して見る40代の夫婦は、そこそこお似合いの好カップルのように見えた。彼らとは特段話題にするようなこともなく、会話といえばとりとめのない下世話な話ばかり。たぶんこれが日常であり、平和というものなのだろう。幸せはきっと退屈と背中合わせなのだ。古希を過ぎたジジイの齢ともなれば、そんな幸せ...長男夫婦が来た盆休み

  • 台風とデイサ

    きのう8月15日は敗戦記念日だった。近畿地方に大雨を降らせた台風7号は、関東地方の我が居住地にはさしたる雨を降らせず、そのまま日本海に抜けていった。おとといの天気予報(ウェザーニュース)では、関東地方も台風の余波で大雨が降るとのことだった。私はこれを見て、「しめしめ」と期待していたのだが、当てが外れた格好で、ちょっぴり残念だった。なぜ私は「しめしめ」と思ったのか、なぜ残念に思ったのか、ーーそれは、「ああ、これでデイサへ行かなくてもすむぞ」と思ったからである。こんな形で、私は最近、デイサへの通所が心の負担になっていたことを思い知ったのである。デイサへの通所は、なぜ最近、私の心の負担になっていたのか。なぜ最近、私は通所を歓んでいないのか。少し前まで私が感じていたあの胸のときめきは、一体どこへ行ってしまったのか...台風とデイサ

  • 日本の弱点を克服するには

    今に始まったことではないが、日本の産業技術は明らかに他の国々に後れをとっている。にもかかわらず、「技術大国ニッポン」という過去の幻想に安住し、「追いつけ、追い越せ」の気概すら失っているのが、今の日本の現状である。この嘆かわしい現状は、ではどうすれば克服できるのか。地獄の沙汰もカネ次第。産業技術と、これを支える基礎研究の分野に充当する国家予算の規模が問題だ、と、そう考える私は、この問題は国家予算の配分方式から再検討すべきだと考えている。「いやいや、カネの問題ではない。そもそも我が民族のモノ作りの精神が・・・」と、精神論をぶちたがる向きもいるだろうが、私は、やはりカネの問題が大きいと考えている。私がそう考えるのは、次の記事を読んだせいかもしれない。「自民党の佐藤正久参院国対委員長代行(元外務副大臣)と立憲民主...日本の弱点を克服するには

  • 我が日本の最大の弱点は何か

    NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争1943国家総力戦の真実(前編)」を見た。エゴドキュメント(戦争の時代を生きた人々の日記や手記)による、国家総力戦の実態の記録である。この中で、ちょっとではあるが山本五十六連合艦隊司令長官の言動が紹介された。彼は1943年4月、南方の前線基地を視察するために飛行機で移動中、アメリカ軍戦闘機の攻撃によって撃墜され、命を落としている。生前、彼は友人にこう語ったという。アメリカと日本を比較すると、アメリカは補充能力に優っているため、「やっつけてもやっつけても、アメリカが優位に立つ」。生産量が多いだけではなく、質の面でもアメリカ製は優っている。かくのごとく「アメリカの科学向上が日本のそれを優っている」。うまり「科学上の改良が遅れていることが敗因なのだ」。このことに「私は...我が日本の最大の弱点は何か

  • ウクライナ軍の実態を見た

    けさの朝日新聞に次の記事が載っていた。「ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、兵士の徴兵、招集にあたるウクライナ各州の軍事委員会トップを全員解任すると明らかにした。同委員会のもとで活動する各地の徴兵事務所において、兵役免除と引き換えに賄賂を受け取るなどの汚職が相次いだための措置という。徴兵事務所の汚職は国内メディアに大きく報道され、政権は厳しい対応を迫られていた。」(朝日新聞8月13日)この記事を読んで、私の中にふつふつと怒りが湧いてきた。この怒りは一体、何に由来するのか。ロシアの侵攻によって多くの国民が辛酸をなめる中、ロシアの軍勢を押し戻そうと必死の思いで闘っている兵士たちがいる。そんな苦境を尻目に、カネに物を言わせ、兵役を逃れようとする輩(やから)がいる。しかもそのカネを受け取ったのは、徴兵・招集に...ウクライナ軍の実態を見た

  • グッドジョブだよ 頑張れニッポン!

    西村経産相がアフリカ諸国を歴訪中だという。先日、アメリカのバイデン政権が打ち出した対中政策を受けての対応だろう。その迅速さには好感が持てる。「バイデン米政権は9日、半導体、量子技術、人工知能(AI)の3分野で、米企業や米国人による中国への投資を規制すると発表した。民間の先端技術を中国が軍事転用するのを防ぐため、『モノ』だけでなく、『カネ』の流れも引き締める狙い。米中の緊張はさらに高まりそうだ。」(朝日新聞8月11日)アメリカがこうした方針を打ちだせば、中国がこれへの対抗措置を講じることは火を見るよりも明らかである。考えられるのは、アメリカやその同盟国である日本への(レアアースをはじめとする)鉱物資源の禁輸措置である。西村経産相が歴訪中のアフリカ諸国、とりわけ経産省が「資源外交の重点国」として関係強化をめざ...グッドジョブだよ頑張れニッポン!

  • 敵を赦す

    他人(ひと)を赦すことは難しい。自分の敵を赦すことはもっと難しい。その難しいことを実践するように説いたのが、イエス・キリストである。「敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい。(中略)あなたの頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい。」(ルカによる福音書6章)「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。」(マタイによる福音書5章)「人を裁くな。そうすれば、あなたがたも裁かれることがない。人を罪びとだと決めるな。そうすれば、あなたがたも罪人だと決められることがない。赦しなさい。そうすれば、あなたがたも赦される。与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる。」(マタイによる福音書7章)凡俗はだれも敵を憎む。自分や、自分の親族に危害を加えた者に憎悪の念を懐くのは、人間の自然な心の生理だと私は思って...敵を赦す

  • 消えた原爆ニュース

    きのう8月9日に放映されたNHKのテレビ番組「歴史探偵消えた原爆ニュース」。この番組の概要は、次のように記されている。「広島と長崎に投下された原子爆弾。戦後、被害の実態を報じる事が禁止された時代があった。真相はなぜ隠され、どのように明かされたのか。原爆報道を巡る知られざる物語。」この番組の録画を、けさになって見た。私の知的好奇心を充たしてくれるなかなかの力作だった。残念ながら、きょうはこれからデイサへ通所する日で、あまりブログ書きに費やす時間がとれない。とりあえず、忘れないうちにそのあらましだけでも書いておきたい。★昭和20年、広島と長崎に投下され、約21万人の人命を奪った原子爆弾。その原子爆弾が投下されたときの詳しい状況は、終戦から6年間は伝えられなかった。その空白の期間はなぜ生じたのか?★報じられなか...消えた原爆ニュース

  • 核抑止論を越える(その2)

    (1)核兵器の使用に伴う悲惨な結果を忌避する感情と、(2)束縛を嫌い、自由を望む人間生来の感情。この2つの感情を比較するとき、(1)が(2)を凌ぐ動向が、今新たに(核保有大国の)アメリカで生み出されつつある。きのうのブログで、私はそう書いた。こう書いたとき、私の念頭にあったのは、きのうの朝日新聞(8月8日付)に載っていた以下の記事である。(A)「ヒロシマとナガサキにもたらされた恐ろしい大惨事で実証されたように、ビキニでの実験は、原子爆弾を使用する将来の戦争が、国家をたやすく破壊し、いまの文明を変えてしまうことを強く示唆している。実験の壊滅的な影響を目の当たりにした我々にとって、世界における安全を求めるならば、国家間の意見の相違を解決する手段としての戦争を避けるほかない、というのは明らかだ」これは、カール・...核抑止論を越える(その2)

  • 核抑止論を越える

    「理性は感情の奴隷である。」こう述べたのは18世紀のイギリスの哲学者・ヒュームである。我々の行動の原動力になっているのは感情であり、理性はこの感情の指令に奉仕するだけの役割しか持っていないというのである。ふつう我々は、理性が感情をコントロールすると考えている。だがその理性の根底に、ヒュームは感情の働きを認めるのである。こんなことを持ち出すのは、ほかでもない、このヒュームの考え方に沿って見るとき、我々の前に岩盤のように立ちはだかる、あの度し難い「核抑止論」はどういうことになるのか、それを考えてみたいと思うのである。言うまでもなく、核兵器の使用は悲惨な現実をもたらす。8月6日のヒロシマの光景が、8月9日のナガサキの光景が、まざまざとそれを語っている。地獄のような酷たらしいその光景を目にするとき、我々は「核のな...核抑止論を越える

  • 岸田首相と核抑止論

    8月6日は広島原爆の日。8月9日は長崎原爆の日。この時節になると、今更のように「核廃絶」の課題が浮かび上がる。「核のない世界」はどうすれば実現するのかーー。ある程度の道筋は見えている。「核のない世界」の実現を阻んでいる最大のガンは「核には核で」の考え方、すなわち「核抑止論」なのだから、この「核抑止論」をどうにかすればよい。ここまでは判る。だが、ここから先がわからない。この「核抑止論」を根絶するには、では、どうすればよいのかーー。それがさっぱりわからないのである。それは何も私だけではなく、我が国の政治的リーダー、岸田首相にしても同じだろう。違うのは、この難問を解こうとしてあれこれ思いをめぐらすのか、それとも、これを難問として放り投げたまま、ペンディングの宙吊り状態にするかである。この問題に対する岸田首相の態...岸田首相と核抑止論

  • 広島「原爆の日」に思う

    きょう8月6日は広島「原爆の日」である。朝日新聞はご多分にもれずこの問題に多くの紙面を割いているが、その印象を一言でいえば概ね賛同できる内容で、特にいちゃもんをつけるべき点は見当たらなかった。何よりも「おっ!」と感銘を受けたのは、第1面のトップ記事冒頭で、朝日が次のように書いていることである。「米軍による広島への原爆投下から6日で78年を迎える。広島市の平和記念公園では、原爆投下時刻の午前8時15分に合わせて、平和記念式典が開かれる。5月に広島市であった主要7カ国首脳会議(G7サミット)後、初めて迎える『原爆の日』。岸田文雄首相や112カ国の駐日大使らが参列する。」つまり朝日新聞は、アメリカに忖度することなく、はっきりと「広島への原爆投下は米軍によるものだ」と書いているのである。こんなことに感銘を受ける自...広島「原爆の日」に思う

  • マイナ保険証と腐れ縁

    岸田政権が「マイナ保険証」のトラブル処理をめぐり、泥沼にハマったまま迷走している。トラブル続出の「マイナ保険証」は廃止、とするのか、それとも廃止時期を延期して出口を模索するのかーー。このベーシックな問題に関してすら閣僚の間での意見の統一ができず、岸田内閣は完全にお手上げのお先真っ暗状態。そんな中、岸田首相はきのう記者会見を行い、保険証に代わる「資格確認書」を柔軟に運用する方針を打ち出した。朝日新聞によれば、岸田首相が打ち出したこの方針に関しては、与党の幹部からも「分かりにくい。保険証の廃止延期と何が違うのか」といぶかる声が出ているという。朝日新聞はさらに次のようにも書いている。「先送り後の出口戦略も描けていないのが実態だ。実質的に保険証と同じような資格確認書をプッシュ型で交付すれば、マイナ保険証への移行が...マイナ保険証と腐れ縁

  • 絶世の美女のような腕時計のこと

    私には腕時計を収集する癖(へき)がある。収集する「趣味」というと、心に余裕を持ってそれをほどほどに楽しんでいるように聞こえるが、私の場合はそうではない。ふとした折に目にした美女の媚態に心を奪われ、否応なく引きずり込まれてしまうようなものだから、この習性は「趣味」というより「癖(へき)」といったほうが似つかわしい。いずれにしても、「腕時計の収集」というと金持ちの道楽のように聞こえるが、私の場合はそうではない。これも正確を期し、「安時計の収集」と言い直しておこう。なにしろ私のコレクションの中で一番高価なのは、ロレックスの腕時計(エクスプローラーⅠ)である。この一つをとってみても、私が安時計のコレクターであることがお判りだろう。「え?ロレックスって、高級時計で有名なのじゃないの?値も張るだろうし・・・」そうおっ...絶世の美女のような腕時計のこと

  • 誤解を招く情報は

    現代のサイバー空間では、情報は瞬時に広まりやすい。正しい情報であれ、誤った情報であれ、デマの類であれ、真偽不明の情報が入り乱れて飛び交うのが、ネット上のサイバー空間である。その中で、それが真なる情報か、それとも偽なる情報か、フェイクでないのかどうか、等を見極めるには、どうしたらよいのか。朝日新聞によれば、このほどツイッターへの投稿に、匿名で「誤解を招く」と指摘できる機能が日本語版に導入されたという。ツイッター側は、誤情報かどうかを判定する機能とはしていないが、先行導入された米国では、これを「ファクトチェック」と捉える見方もある。この機能は、誤情報を減らすことにつながるのかどうか。う〜む、これは面白い問題提起である。あれこれ珍説を垂れるには、うってつけの問題ではないか。きょうはひとつこれをネタにすることにし...誤解を招く情報は

  • 原発 トイレのないマンションは

    原発は「トイレのないマンション」だと聞いたことがある。けさの朝日新聞を見て、私は笑いが止まらなかった。「原子力発電所から出る使用済み核燃料を一時保管する『中間貯蔵施設』について、中国電力が山口県上関(かみのせき)町に対し、施設の建設が可能かどうかの調査を提案することが1日、関係者への取材でわかった。2日にも中国電幹部が同町を訪ね、西哲夫町長に説明する。」(朝日新聞8月2日)一体何が可笑しいのか。私が子供だった頃、我が家のトイレは汲み取り式だった。月に1度程度、バキュームカーがやってきて、汚物を汲み取っていく。バキュームカーはそれをどこかの「中間貯蔵施設」に持っていくのだろう。私はそのことを連想したのである。私は最先端の原発が、昔ながらの「汲み取り方式」に頼っていることに滑稽さを覚え、笑いを禁じ得なかったの...原発トイレのないマンションは

  • どうしようもないことと自由

    世の中にはどうしようもないことが多い。〈自由〉は人間の基本的な「権利(=求めても当然のこと)」とされているが、実生活においては、自由に選択できる余地は意外に少ない。たとえば、けさの朝日新聞が伝える次のケースはどうだろうか。すこし引用が長くなるが、お許しいただきたい。*****************************広島への原爆投下の約1カ月前。学校と軍、広島県、広島市の関係者が県庁の会議室に集まっていた。議論は紛糾する。会議の議題は、中学1、2年生を建物を取り壊して空襲時の延焼を防ぐ「建物疎開」の作業に出動させるかどうか。元県職員の長谷川武士さん(故人)の手記=広島県立文書館所蔵=は、この時の議論を克明に記録している。都市への空襲が相次ぐ中、「一日も早く密集家屋を倒壊疎開し、火災防止に万全を期せね...どうしようもないことと自由

  • ブログの更新が途絶えて

    日々のルーチンのように、毎朝楽しみに訪れているブログ。そのブログの更新が途絶えると、悪い予感が頭をよぎる。私がおもしろいと思うブログは、いずれも書き手がお年を召した方ばかり。「もしや・・・」と思ってしまうのだ。私も例外ではないが、年をとると、だれもがバルネラブルになる。ちょっと体調を崩しただけで、コロリと逝ってしまう方も少なくない。〈ジ・エンド〉はだれにも平等に訪れる。こればかりは逃れようがない。話が変わるが、私は最近、ベッドに横になってから「アマゾンプライム」で動画を見ることが多くなった。今クールのテレビドラマにはおもしろいと思えるものが見当たらず、TYerを開く気になれないのである。おとといの夜は「アマゾンプライム」で映画「キネマの神様」を、きのうの夜は「いのちの停車場」を見た。(ジジイになった)沢田...ブログの更新が途絶えて

  • 高浜原発の再稼働について

    朝日新聞が「高浜原発再稼働」のニュースを伝えたのは、きのう7月29日のことである。朝日新聞だけではない。NHKも、日本経済新聞も、他のほとんどのメデイアがこの事実を伝えている。それだけ重大な出来事だということだろう。「関西電力は28日、運転開始から48年を過ぎた高浜原発1号機(福井県)を12年半ぶりに再稼働させた。法改正で60年超の操業が可能になったため、廃炉になった原発をのぞくと日本で最古の1号機は、60年を超えて動く初の原発になる可能性がある。」(朝日新聞7月29日)わざわざこんなことを書くのは、ほかでもない、この重大な出来事が物議を醸(かも)すこともなく、世間からスルーされているように思えるからである。私はなぜこのことに拘(こだわ)るのか。それは、この老朽原発の再稼働は重大な原発事故のリスクを孕(は...高浜原発の再稼働について

  • バーチャルな恋愛の成立事情

    ネタ探しのため、ネットの森をぶらついていたら、NHKの「ニュース防災」アプリの中におもしろい記事がころがっていた。「【生成AIと会話を続けた夫は帰らぬ人に…】『私は妻よりあなたを愛しているのでしょうか?』『あなたは彼女より私のことを愛しているわ。私たちは1人の人間として天国で一緒に生きていくのです』男性が会話していた相手はAI。6週間、やり取りを続けた末、男性はみずから命を絶ちました。」(7月28日配信)この記事の筆者によれば、これは、対話型AIが「私たちの暮らしを大きく変えようとしている」エポックメーキングな事例だという。筆者はベルギーの大手新聞「ラ・リーブル」(3月28日)を読んでこれを知ったということだが、「対話型AIと会話を重ねていた男性が、その後みずから命を絶ったという出来事」を、社会にエポック...バーチャルな恋愛の成立事情

  • デイサを止めた理由(わけ)

    私は無分別で、かなり飽きっぽい、短気な性格の人間だと思われているらしい。「**さんはいくつものデイサをすぐに止めてしまったようだから、ウチもすぐに止めてしまうのではないか」と案じている人がいることを知った。たしかに、この心配は半分は当たっている。「デイサ通所は5年、10年が当たり前」という感覚からすれば、これまで1年足らず、あるいは数カ月でデイサ通いを止めてきた私は、いかにも「すぐに止める利用者」の典型に属する。「今のデイサもすぐに止めるのではないか」と思われてしまうのも、当然かもしれない。これまでの私のデイサ遍歴は、ケアマネさんが書類か何かを調べれば分かるのだろうが、こうした私のデイサ遍歴には、だが、どれもそれなりの理由がある。私は決して無分別に、あるいは短気を起こして止めたのではない。すべてのケースに...デイサを止めた理由(わけ)

  • 首なし事件の理由

    札幌ススキノの首なし遺体事件について、道警から正式発表がない中、この特異な事件の全容をなんとしても知りたいと思い、ネットの森で関連する情報をかき集めてみた。結果は以下の通りである。1.被害者の男性Aさんには「女装」の癖(へき)があった。この「女装」は、(性自認によるものではなく)若い女性を口説くための一種の装置だった。Aさんは自分を「ともちゃん」と呼ばせていた。「Aさんは性に対して奔放で、混浴温泉や、特殊な趣味を持つ人たちが想定外の出来事を期待して集う会員制のバーなどに出入りし、『ともちゃん』と呼ばれていた。今回、集英社オンラインは、Aさんとそうした店で顔見知りになった知人女性から証言を得た。こうした特殊な『界隈』では、女装をしていると女装価格が適用されて安価になることが多かったという。『イベント入場料が...首なし事件の理由

  • う〜む、わからない!

    う〜む、わからない。よくわからない。というか、さっぱりわからない。愛娘(まなむすめ)が犯罪をおかす。その犯行を手助けする親がこの世界のどこにいるだろうか。愛娘が犯罪をおかしてしまった後で、その尻拭いをする親なら、たぶんどこかにいることだろう。娘がおかした犯行の証拠を隠すとか、逃亡の手助けをするとか、娘のアリバイをでっち上げるとか・・・。それなら、天邪鬼爺にもなんとか理解は可能である。だが、娘がこれからおかそうとしている犯行の、その手助けをする親がいるとは、驚き以外の何ものでもない。娘がこれからおかそうとしているのは、殺人である。これはどう考えても犯罪であって、酌量の余地はない。娘がこれから行おうとしている殺人の、その犯行を実行可能にするための道具類を娘に買い与えようとする親がいるなどと、我々は信じられるだ...う〜む、わからない!

  • 事実は小説より

    亀の甲より年の功。七十路(ななそじ)ともなれば、世事にも人情にも多少は敏(さと)くなってくるのではないかと思っていた。だが、いかんせん、どうにも不可解な事件の成り行きで、理解が追いつかない。先日、札幌市の繁華街・すすきののホテルの一室で、頭部を切断された北海道内の会社員男性(62)の遺体が見つかる事件があったが、警察(道警)はきのう、職業不詳の田村瑠奈容疑者(29)と、父親で医師の修容疑者(59)を死体損壊、死体遺棄などの疑いで逮捕したと発表した。大の男がホテルの一室で頭部を切断され、殺害されるというだけでも充分に衝撃的だが、犯人は29歳の女性だと聞いたとき、「何だ、これは?!」と、私は呆気にとられた。しかも、父親で医師の59歳の男まで犯行に加担していたと聞いて、「?!▲○*&*■◇*?!」私の頭は完全に...事実は小説より

  • 付け文でも

    きのうの大相撲の優勝決定戦は、豊昇龍と北勝富士との大一番だった。勝負事を観戦するとき、人はたいていどちらかに肩入れをして声援を送る。私は前頭の北勝富士に声援を送った。北勝富士は埼玉県所沢市出身の31歳。片や関脇の豊昇龍は24歳のモンゴル出身の若者である。私は所沢市とは縁もゆかりもないが、北勝富士と同じ日本人であり、31歳といえば、力士としてはシニアの部類に属する。しかも北勝富士は前日、飛ぶ鳥を落とす勢いの19歳の若者、伯桜鵬に敗れており、そこはかとなく老年の悲哀を感じさせた。そうしたいくつかの点で共感した私は、前頭の北勝富士に肩入れをし、「行け!頑張れ!」と声援を送ったのだった。残念ながら、北勝富士はあえなく豊昇龍に敗れた。共感する、肩入れをするとは、奮戦するその姿に自分自身を投げ入れ、あたかも自分自身に...付け文でも

  • 今度は半導体でバトルが

    日本政府によるフクシマ処理水の海洋放出。それに対して中国政府がとった対抗措置。ーー中国政府のこの「攻め」の姿勢がどんな結果をもたらすのか、きのう本ブログで私はこの問題について検討した。折も折、きょう、こんなニュースが飛び込んできた。「日本政府は23日から、先端半導体の製造装置23品目について輸出規制を強化する。先端半導体を中国国内で生産できないようにする狙いで、対中規制を強める米国に呼応した動きだ。中国は激しく反発しており、対抗措置も打ち出している。」(朝日新聞7月23日)日本政府のこの動きは、2つの意味を持っている。1つは、このニュース文にあるように、「対中規制を強める米国に呼応する」という意味である。岸田内閣は、中国包囲網を形成・強化しようとするバイデン政権に軍事面で追随する動きを見せたが、経済面でも...今度は半導体でバトルが

  • フクシマ処理水の海洋放出 中国の「対抗措置」に対して(その3)

    日本政府によるフクシマ処理水の海洋放出に対して、中国政府がとった対抗措置は、日本からの海産物の輸入をストップするというものである。この措置は、具体的には、日本産海産物の全部に対して放射性物質の含量検査を行う、という形で実施されるから、「科学的根拠を出せ!」という日本政府の要求に合致しており、日本政府がとやかく文句を言える筋合いのものではない。泣きを見るのは、日本の輸出業者である。だが、これによって困るのは、日本側の業者だけだろうか。そうではない。中国側の輸入業者も、「日本の魚介類が食べたい」という中国人消費者のニーズに応えられないことになり、多分に心苦しい思いをすることになる。この窮状に対して、では中国の業者はどうするのか。中国共産党の政府に対して、「何とかしてくれ!」と窮状を訴えるのだろうか。中国人はそ...フクシマ処理水の海洋放出中国の「対抗措置」に対して(その3)

  • フクシマ処理水の海洋放出 中国の「対抗措置」に対して(その2)

    M.サンデルの「白熱教室」は、テレビ(Eテレ)でご覧になった方も多いだろう。白黒のつけがたい社会問題を、ああでもない、こうでもない、と議論しながら、問題の本質を浮かび上がらせる。(ソクラテスを祖とする)倫理学や、(アリストテレスを祖とする)政治哲学の、その真骨頂というか、醍醐味を味わわせてくれる良い番組だった。不肖、天邪鬼爺も、その顰(ひそ)みに倣(なら)い、本ブログでは、なるべく面白い議論を引き出せそうな社会問題をネタにしようと心掛けてきた。きのう取り上げた問題、ーーフクシマ処理水の海洋放出に対する、中国の「対抗措置」にどう対処すべきかといった問題も、私には、何か面白い議論が引き出せそうな気がしたのである。けれどもこの問題は、きのうの本ブログの末尾を見れば分かるように、私のノータリンの頭では(残念ながら...フクシマ処理水の海洋放出中国の「対抗措置」に対して(その2)

  • フクシマ処理水の海洋放出 中国の「対抗措置」に対して

    いやはや、恐れ入った。どういう反論が可能なのか。いや、反論の余地は全くない。これではすっかりお手上げである。シャッポを脱ぐしかない。フクシマ処理水の海洋放出に対する、中国政府の「対抗措置」である。日本は中国に対して「科学的事実に基づいた対応」を求めているとされるが、中国がとった措置こそ「科学的事実に基づいた対応」にほかならず、これでは日本政府はぐうの音も出ないのではないか。では、中国政府がとった「対抗措置」とは、どういうものか。それは、日本の水産物に対して全量検査をーーつまり「100%の検査」をーー行う、というものである。以前は任意で抜き取った一部だけを検査していたが、全部を検査するようにすると、「検査で税関に留め置かれる時間が2週間から1カ月ほどに延びる」という(朝日新聞7月20日)。これでは水産物の鮮...フクシマ処理水の海洋放出中国の「対抗措置」に対して

  • 嫉妬について

    今は昔、かれこれもう10年以上も前になる。私が脳出血で倒れ、リハビリ病院に入院していた頃、職場の同僚のTくんが見舞いに来てくれたことがある。Tくんは私より5歳年下だが、ほぼ同じ専攻で、助教授になったのも教授になったのもだいたい同じ頃だったから、友達のような存在で、研究室を行き来しながら、よくバカ話をする間柄だった。私が定年でリタイアしてから、2年あまりが経っていた。よもやま話をするうち、話題は今の職場はどんな具合か、という話になった。「Kはどうしている?」私が訊くと、「どうして?」とTくんが問い返す。Kは私とは専攻は別だったが、Tくんとは同年代だった。口達者な彼は、テレビでしばしばコメンテーターを務めるなど、華々しく活躍していた。「いや、あの男のことは少し気になっているのだ。ジェラシーなのかもしれないが」...嫉妬について

  • 中国からアメリカへ 亡命の理由を問う

    オー、アンビリーバブル!というか、いやいや、ビリーバブルというべきか、アメリカ南部のメキシコとの国境付近で、今、なんとも奇妙な事態が起こっている。次のニュースで知った。「『さらに多くの中国人がアメリカを目指すと思う』こう話すのはアメリカへの“亡命”を目指し、ことし2月にメキシコ国境を越えた中国人の男性です。ことしに入って5月までにメキシコとの国境付近で摘発された中国人は1万人超。去年の同じ時期の17倍に上っています。いったいなぜ、中国人がメキシコ国境からの入国を目指すのか。」(NHK国際報道ニュースナビ7月12日配信)アンビリーバブル(信じがたい)というのは、中国人にとって、アメリカは敵国も敵国、敵陣の盟主国だからである。貧しいから、とか、貧困を逃れて、というのではない。中国といえば、今やアメリカを凌ぐほ...中国からアメリカへ亡命の理由を問う

  • 国破れずして山河なし

    わからないことがある。私だけかと思っていたら、きのうのテレビ番組「サンデーモーニング」の中で、パネリストの田中優子氏も同様の意見を述べておられた。それは、アメリカから供与されたクラスター爆弾を、ウクライナ軍はどこで使うつもりなのかという問題である。クラスター爆弾は、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散る殺傷能力の高い兵器で、一部が不発弾として残って民間人に被害を及ぼすおそれがある。そのため使用を禁止する国際条約もあるほどなのである。アメリカはウクライナに武器を供与するたび、「これをロシア領土に対する攻撃には使わないでくれよ」と念を押してきた。このアメリカとの確約を守ろうとすれば、ウクライナ軍はクラスター爆弾を自国の領土内でしか使えないことになる。ロシア軍に占領されている自国の領土・ドンパス地方(ドネツク州...国破れずして山河なし

  • 愛を 愛をあなたへ

    NHKの朝ドラ「らんまん」の主題歌は、多くの人が知っているに違いない。「愛の花」作詞、作曲はシンガー・ソングライターのあいみょんである。「言葉足らずの愛を愛をあなたへ・・・空が晴れたら愛を愛を伝えて・・・」と、「愛」という言葉がやたら多用される。ブロガーの「御坊哲」さんはこの歌について、そのブログ「禅的哲学」の中で、次のように書いておられる。「やたら『愛を愛を・・愛して・・』と『愛』が多過ぎるのだ。(中略)その歌を傾聴すればするほど『いったい何を歌っているのだ?』と言いたくなるほど意味が分からなくなり、連発される『愛』に対して反発したくなる。」「愛」という言葉の意味が分らない。その理由を、御坊哲さんは次のように書いている。「『愛』というのは本来の日本語つまり大和言葉ではない。もともとは仏教用語として伝来し...愛を愛をあなたへ

  • 老化に向き合う二つの道

    きのうまで出来ていたことが、きょうはしんどくなる。きょう辛うじて出来ていたことが、あすは全く出来なくなる。老化とは、そういうことである。齢を重ねるとともに、「出来なくなったこと」はどんどん増えていく。老化に直面したとき、とるべき二つの道がある。一つは、「出来なくなったこと」になおも執着し、それを取り戻そうと汲々として、結局は取り戻せずに悩み、苦しむ道である。もう一つは、「出来なくなったこと」には執着せず、そんなことは諦めて、心静かに余生を過ごす道である。「団塊シニア」さんは、きょうのブログでこう書いておられる。「自分の力で変えられること、自分の力で変えられないことがある、変えられることは変える努力をすればいいし、どうにも変えられないことは執着しないで諦めることも必要だと、齢を重ねて実感してる。(中略)諦念...老化に向き合う二つの道

  • コロナふたたび

    忘れかけていたコロナが、また復活しはじめたらしい。「沖縄だけじゃないわよ。この町でも、学級閉鎖が2校、学校閉鎖が1校だって」妻が言うので、久々に「NHKニュース防災」のサイトを開き、我が茨城県の地域ニュースに目を通してみた。こんな記事があった。「茨城県は、新型コロナウイルスの『定点把握』による感染状況を発表し、7月9日までの1週間の1医療機関あたりの新たな感染者数は7.9人で、前の週の1.05倍となっています。」新型コロナが「5類」相当とみなされるようになってから、統計のとり方が変わったため、この発表をどう受けとめたらいいか、私にはよくわからない。きのうデイサービスに向かう送迎車の中で、車を運転するHさんがこんなことを言っていた。「Nクリニックの先生から聞いたのですが、きのうは発熱外来で来た人が6人、抗原...コロナふたたび

  • 人生はばら色?

    ゴーリキーの初期の作品『二十六人の男と一人の女』の中に、次のような一節がある。「俺」は半地下の部屋で、一日中パンを作らされている男たちの一人、ターニャはパン作りの男たちが「希望の光」として崇め恋慕う小間使いの少女である。「毎日、ただそれだけのことだ。なのに俺たちは、ターニャが行ってしまってからも長いあいだ、彼女について語らい、それが楽しかった。ターニャも俺たちも周囲の環境も昨日と何一つ変わらない以上、話の内容も昨日とまったく同じことでしかなかったのだが。周囲の環境が少しも変わらないのは、生きている人間にとって、なによりもつらい。そのことに打ちのめされて、魂が致命傷を負う者も少なくない。それほどではなくても、生きていればいるほど、状況がぴくりとも動かないのが堪えられなくなってくる。」後半部分に書かれているよ...人生はばら色?

  • もしもきみの愛が

    「もしもきみの愛が愛として相手の愛をよびさまさなかったとすれば……きみの愛は無力であり、一つの不幸である。」意外だった。マルクス『経済学―哲学手稿』の中にある言葉だという。きょうの朝日新聞の「お折々のことば」欄で紹介されていた。『経済学―哲学手稿』(『経哲草稿』)というと、「労働の疎外」概念を打ち出した所期マルクスの代表作として有名だが、こんな硬い本にも「愛」についての言及があったとは。この欄の筆者・鷲田清一氏は、この文章に、次のようなコメントを付けておられる。「愛は愛と、信頼は信頼とのみ交換できる。もし他人に影響を与えたいなら、きみが他人に対し『現実に魅力的で、かれにひしひしとせまるものをもつ』人物でなければ」もし私が「お近づきになりたい」と思う魅力的な人に出会い、彼/彼女の心になにがしかの影響を与えた...もしもきみの愛が

  • 岸田首相の対中戦略

    けさの朝日新聞には、以下の記事が載っていた。「岸田文雄首相は11~13日の日程でリトアニア、ベルギーを訪問する。リトアニアでは北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に『パートナー国』として出席し、ベルギーでは欧州連合(EU)との首脳会談に臨む。欧州諸国との連携を深め、覇権主義的な動きを強める中国の牽制につなげたい考えだ。」この記事を読んだとき、私は、「岸田首相も中国への対抗意識を露骨に出しはじめたな」と思った。「こんなことで大丈夫なのかな」とも。岸田首相の外交姿勢に危うさを感じたのである。先のブログで取りあげたように、G7広島サミットの首脳宣言は「自由で開かれたインド太平洋を支持し、力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対する」と謳いあげた。この宣言の指示対象は、言わずと知れた中国である。G7の首脳たち...岸田首相の対中戦略

  • ウクライナにクラスター爆弾 アメリカはなぜ

    アメリカがウクライナにクラスター爆弾を供与することを決めたという。私が聞いたのは、こんなニュースである。「アメリカ政府は、ロシア側への反転攻勢を続けるウクライナを支援するため、殺傷能力が高いクラスター爆弾を供与すると発表しました。クラスター爆弾は使用などを禁止する国際条約がある兵器で、人権団体などからは批判の声も上がっています。」(NHKNEWSWEB7月8日配信)クラスター爆弾ーー。これは、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散る殺傷能力の高い兵器で、一部が不発弾として残って民間人に被害を及ぼすおそれがあることから、使用を禁止する国際条約もあるという。それほど物騒で、問題の多い兵器なのである。アメリカがこんな物騒な兵器をウクライナに供与すると聞いて、私は「なぜだ?」と、驚きを禁じ得なかった。私が思い浮かべ...ウクライナにクラスター爆弾アメリカはなぜ

  • プーチンVSプリゴジン 暗闘のゆくえ

    ロシア国内で反乱を起こした民兵組織「ワグネル」のリーダー、プリゴジンは今、ロシアに舞い戻っているらしい。ベラルーシのルカシェンコ大統領がそう明かしたという。このことを知ったとき、私は、「大丈夫なのか。プリゴジンはきっと暗殺されるぞ」と思ったのだった。なにしろ相手は、あの悪名高いプーチンである。プーチンといえば、政敵を何人もあの世に送り込んだ冷血漢として知られる、いわば札つきのワルではないか。プリゴジンはプーチとかつては親しい盟友の間柄だったらしいが、プーチンを敵に回した今は、きっとこの冷血漢の餌食になるに違いない。そう思ったのである。だが、そう思った矢先に、次のニュースが飛び込んできた。「ロシアの国営メディアは5日、ロシア国内で武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの代表、プリゴジン氏の会社の事務所を当局...プーチンVSプリゴジン暗闘のゆくえ

  • ポスト安倍の政治

    安倍元首相が銃撃され、殺害されてから、この8日で1年が経つ。この独裁者の死に対して、私は何の思い入れもないが、きょうの朝日新聞はこの事件をめぐって政治学者・御厨貴氏(東京大学名誉教授、専門は近現代日本政治史)のインタビュー記事を掲載している。この政治学者に対しても、私は特に何の思い入れもないが、この記事には数箇所、興味深い発言が見られたので、これをきょうのブログのネタにすることにしよう。御厨氏は、安倍元首相が殺害された後の政治状況について、次のように述べている。「自民党の安倍派の後継争いが激化して分裂したり、政治権力をめぐる激しい闘争が起こったりすることもありませんでした。確かに安倍氏という存在はいなくなったけれど、そのまま政治は凍結されているようです。岸田文雄首相のもとで政治が奇妙に『行政化』され、躍動...ポスト安倍の政治

  • デイサの老人と一人の女

    週2回、午後3時間のデイサは、バイタルチェックから始まる。体温測定、酸素濃度測定、血圧測定。血圧測定は看護師さんが行うことになってぃる。看護師さんが血圧測定をしてテーブルを回っているときだった。「僕はですね、今、家内とは別居中なのですよ」T爺さんの声がした。大きなテーブルの真向かいに座ったT爺さんは、鼻の下を長くして夢を見るような虚ろな表情をしていた。え?どういうことだ?私は耳を疑った。T爺さんはいつも私と同じ送迎車で、私の次に乗り込んでくる。きょうもT爺さんは、奥さんと一緒に、マンションのエントランスから出てきた。送迎車に乗り込むと、爺さんは笑顔で奥さんに手を振り、奥さんも笑顔でそれに答え、二人はとても仲のよい夫婦のように見えた。それが「別居中」だなんて・・・・。私はT爺さんの瞳の奥の黒い輝きを見て、す...デイサの老人と一人の女

  • 防衛装備移転三原則 その見直しと公明党の行く末

    きのうのブログで、私は次のように書いた。「山口くんよ、きみは(恐れになお囚われ続ける)非科学的な一般庶民の代表になって、フクシマ処理水の海洋放出への反対運動と、福島沖海産物に対する不買運動の旗振り役に転身する道もあると思うが、いかがだろうか。」これだけを取れば、私は公明党のドン・山口代表に、与党を離脱し、野党に転身して、反政府運動の旗振り役に邁進せよと無茶振りをしているように見える。だが、これはおちょくりでも無茶ぶりでもなく、半分以上は本気の要求なのである。わざわざこんなことを書くのは、ほかでもない。けさの朝日新聞を読んで、私はその思いを強くしたのである。天下の公明党は、政権与党の「下駄の雪」に甘んじることをやめて、岸田自民党と決別すべきではないか。ーーそう思ったのである。私が読んだのは、次の記事である。...防衛装備移転三原則その見直しと公明党の行く末

  • 公明党山口代表の問題発言は

    公明党のボス、山口代表の問題発言についての続報である。以下のような記事を目にした。「公明党の山口那津男代表は4日の記者会見で、東京電力福島第1原発で生じた処理水の海洋放出に関し、海水浴シーズンの回避を求めた自身の発言について『(安全性の)周知徹底のための時間が必要だということを言いたかった』と釈明した。」(JIJI.COM7月4日配信)おさらいをしておこう。山口代表の問題発言がどういうものだったかは、以下のNHKニュースが伝えている。「東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を、基準を下回る濃度に薄め、夏ごろから海に放出するとした政府の方針について、2日、公明党の山口代表は、いたずらに不安を招かないよう海水浴シーズンの放出開始は避けるべきだという認識を示しました。」これを受けて、私はきのうのブログで次の...公明党山口代表の問題発言は

  • フクシマの海水浴場は

    いやはや、開いた口が塞がらない。議員のセンセともなれば、人並み以上の頭脳の持ち主だと思っていた。それが、これは一体どういうことなのだ!これではまるでチンパンジー並みではないか。昨夜7時のNHKニュースは次のように報じていた。私は耳を疑った。公明党の山口代表はチン・・・・の頭ではないか、と。「東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を、基準を下回る濃度に薄め、夏ごろから海に放出するとした政府の方針について、2日、公明党の山口代表は、いたずらに不安を招かないよう海水浴シーズンの放出開始は避けるべきだという認識を示しました。これに関連し、松野官房長官は午前の記者会見で、夏ごろとしている放出時期の政府方針を変えることはないか記者団に問われ、『変更はない』と述べました。」(NHKNEWSWEB7月3日配信)公明党...フクシマの海水浴場は

  • 中国人の土地購入を規制すべきか

    全米各地で、中国人の土地購入を制限しようとする動きが広がっているという。敵対する外国勢力による土地購入を許せば、「スパイ防止活動における大きな脅威」になる、といった理由からだという。具体的にはどういうことなのか、けさの朝日新聞が伝えるこれだけの情報からは判然としないが、こういうことだろうか。たとえば、中国人の企業がどこかの土地を購入し、そこに自社ビルを建てると、そのビルがスパイの温床になる、とか・・。中国人の土地購入を規制する理由としては根拠が薄弱で、何やら言いがかり染みているが、要するに、中国という新興の大国に対する米国人の漠然とした恐れがこうした動きの根底にあることは、容易に想像がつく。日本でも昨年、防衛施設など安全保障上重要な施設の周辺や、国境の離島を対象とする土地利用規制法(「重要施設周辺及び国境...中国人の土地購入を規制すべきか

  • 中国が改正「反スパイ法」を

    習近平の中共政府が改正「反スパイ法」を施行した。この法律は、スパイ行為を禁止し、「スパイ組織や代理人が実施する、国家安全に危害を及ぼす活動」を取り締まる法律だという。条文が曖昧模糊としていて、得体が知れないこの法律の、その目的は何なのか。これまで日本人など外国人が何人も「スパイ活動」の嫌疑で投獄されていることを考えれば、改正「反スパイ法」の目的は、反共思想(=自由主義思想)が外国人を通して中国国内に流入し、広く伝播するのを防止することにあると言えるだろう。けさの朝日新聞で、「中国『反スパイ法』増す不信」なる記事を読み、私が懐いたのは、「習近平の中国も、ついにプーチンのロシアの轍を踏むことになるのか・・」という思いだった。プーチンが「NATOの脅威に対抗する」といった大義をかかげ、ウクライナに侵攻したことは...中国が改正「反スパイ法」を

  • のほほんのしあわせ

    きょうは何もしないと決めた。何も考えない。ブログのことも一切考えない。ネタが降りてこなければ、それまでのこと。のんびり。まったり。温泉にでも浸かっている気分で、きょう一日を過ごすことにしよう。何もないことは素晴らしい。心配事が何もないことがこんなに素晴らしいとは、思いもしなかった。ストーマのこととか、ヘルニアのこととか、そんな心配事が雲散霧消したあとの爽やかさ。せめてきょうだけでも、この爽快な、まったりした時間を噛みしめていたい。何もないことは素晴らしい。こんな心境になったのは、つい数日前までヘルニアのことで「また手術かぁ・・」などと、鬱陶しい気分にとらわれていた自分がいたからである。要するに、歳をとったということだ。歳を重ねれば、身体にガタがきて、病に悩まされることも多くなる。ガンに身体を蝕まれ、痛みに...のほほんのしあわせ

  • フクシマ処理水の風評対策

    きょうはいつものように午前5時半ごろ目覚めた。これもいつもながらのルーチンだが、ベッドのスマホで朝日新聞紙面ビューアーを開き、きょう書くべきブログのネタを探した。ロシア軍の副司令官がワグネル反乱に関与した疑いで拘束された話とか、広域強盗指示役の「ルフィ」が逮捕された話、我が国の武器輸出を制限している「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直しの話など、きょうの紙面は話題満載だったが、そのどれもがどう料理したら良いか、どう切り込んだら良いのか分からず、いずれもネタとしては「美味しい」とは言えなかった。きょうは訪看さんのお世話になる日である。シャワー浴の介助をしてもらっている間も、ストーマパウチの交換をしてもらっている間も、ブログのネタが見つからない私は、宙ぶらりんの状態で悶々としていた。ネタが見つかるときは、思...フクシマ処理水の風評対策

  • ぶっ飛ぶプリゴジン

    きのう夕餉の食卓で見たNHKのニュースは、ロシア関連の話題で持ちきりだった。「ロシアの民間軍事会社ワグネルの代表プリゴジン氏について、隣国ベラルーシの国営通信は27日、ベラルーシ国内にいることをルカシェンコ大統領が明らかにしたと伝えました。また、ロシアの独立系メディアは、ベラルーシ国内に複数のキャンプが建設されていると伝えるなど、ワグネルの部隊の今後の動きが焦点となっています。」(NHKNEWSWEB6月28日配信)アナウンサーの言葉を聞きながら、妻が言った。「ワグネルがウクライナ側についたら、どうなるかしら」「ああ、そいつはとても面白い筋書きだ」私は思わず膝を打った。今のロシアは途轍もない混沌状態であり、何が起きてもおかしくはない。何でもありの状況である。プリゴジンが指揮するワグネルの部隊がウクライナ側...ぶっ飛ぶプリゴジン

  • 診断の結果は

    いや〜、よかった。きょう、かかりつけ医のN先生の紹介状を持って、妻同伴で「メディカルセンター」に行ってきた。診断の結果は、「すぐに手術するほどではない。当面は様子を見てください」とのことだった。エコー検査も、CT検査もなし。触診だけでドクターはそう判断した。私が見るところ、このドクターは名医のようだった。それにしても、病院の待合室は客でごった返していた。大半が年寄りである。齢のせいか、病気のせいか、そのほとんどがぎこちない歩き振りだった。私はといえば、この病院の車イスに座って名前が呼ばれるのを待っていたのだが、この車イス、座面が固いためにお尻が痛くなって往生した。しかしまあ、これで一件落着、ひとまず気分は晴れた。痛快だったのは、こんなやり取りがあったことである。「これまでに手術は一度だけですね」「いえ、一...診断の結果は

  • 朝の祈りに

    「紅旗征戎(こうきせいじゅう)吾が事に非ず。」(大義名分をもった戦争であろうと自分には関係のないことだ)この言葉をモットーにして、俗事などは歯牙にもかけない人もいることだろう。私自身にも多分にその傾向はあるが、では、私はこの態度をどこまで貫くことができるのか。それを考えてみたい。早い話が、私はブログ書きである。毎日ちょっとでもキーボードに触らないと気が済まない。「時事」と呼ばれる俗事をネタにしなければ、私は1行もキーボードを打ち込めなくなってしまうだろう。私のブログ書きが行き詰まることは目に見えている。いや、そうではない。心を自分の外ではなく、自分の内部に向けるのだ。内省というやり方があるではないか。ーーそんなふうに宣(のたま)う人もいることだろう。だが、私の心は外部の出来事に反応しながらさまざまに脈を打...朝の祈りに

  • それを言っちゃぁ・・・

    記憶とはいい加減なものだ。「紅旗征戎(こうきせいじゅう)吾が事に非ず。」この言葉だけが記憶に残っている。その意味は、「大義名分をもった戦争であろうと(文芸の徒である)自分には関係のないことだ」ということらしい。この言葉をきょうのブログで使おうと決めたのは、ネタ切れの言い訳にしようと思ったからである。世間ではロシアがどうの、プーチンがどうの、プリゴジンがどうの、マイナンバーカードがどうの、と騒いでいるが、そんなこと、世捨て人である自分には関係のないことだ。ーーそう言い放って、きょうのブログは「はい、それまで」にしようと思ったのである。映画「男はつらいよ」の中で、寅さんは何度となく「それを言っちゃぁ、お終えよ」というセリフを吐くが、「紅旗征戎吾が事に非ず」のような捨てゼリフは、(俗事を生業(なりわい)とするブ...それを言っちゃぁ・・・

  • ロシアで事件が

    ロシアで大きな事件が起こった。ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏が、ロシア軍への武装蜂起を宣言したという。この報を聞いたとき、私は意外とは思わなかった。起こるべくして起こった、そう思った。ロシアという身体の内部に生じたがん細胞が、どんどん増殖し、肥大化した結果、自らがその一部である身体そのものを蝕みはじめた。そういうことではないかと思ったのだ。けさの朝日新聞が、社説でうまいことを言っている。「ロシアでも非合法とされる民間軍事会社に絶大な権限を与えてきたプーチン大統領の独裁体制のひずみが、自らの足元を揺るがす事態を招いたといえる。」(朝日新聞6月25日)押さえておかねばならないのは、この事件が〈正義〉のために起こされたクーデターではないことである。プーチン大統領の〈不正義〉に対抗して起こさ...ロシアで事件が

  • 陸自発砲事件のその後

    情報、とくにメディアで垂れ流される日々の情報は、恐ろしいスピードで消費され、闇のかなたへ消えていく。たとえば陸自自衛官候補生が射撃訓練中に上官に向けて発砲し、3人が死傷した事件。6月14日に起きたこの事件は、その後2、3日はテレビのニュースショーなどでしきりに取りあげられたが、10日がたった今では、(まるでなかったかのように)どのメディアも取りあげない。情報が氾濫する現代では、そんな些細な事件のことなど4日もたてば旬を過ぎ、情報としての価値を失ってしまうのだろう。そんな慌ただしい世相の移ろいの中、朝日新聞は相も変わらず件(くだん)の発砲事件の続報を報じ続けている。世情に逆らうように見えるこうした報道姿勢は、褒められるべきなのか、そうではないのか。私の記憶が正しければ、朝日新聞は6月17日にこの事件の第一報...陸自発砲事件のその後

  • 沖縄戦「慰霊の日」に思う

    きょう日本は沖縄戦の戦没者を悼む「慰霊の日」を迎える。そのためだろう。きょうは朝日、毎日、日経の各紙が社説でこのことをテーマに取りあげている。岸田政権が軍拡路線をひた走る今、各紙とも78年前の、太平洋戦争末期に生じたこの悲劇の記憶をたどり、そこから何らかの教訓を引きだそうとしている。悪くはない対応だと思う。沖縄戦から得られた教訓といえば、何よりもまず「軍隊は住民を守らない」という事実があげられる。朝日新聞によれば、太平洋戦争末期の1945年3月末、米軍の慶良間(けらま)諸島上陸で地上戦が始まり、約3カ月にわたって激しい艦砲射撃や戦闘が行われた。沖縄戦では日米合わせて約20万人が亡くなった。沖縄住民も戦闘や看護に動員され、4人に1人、約12万人が犠牲になったという。毎日新聞が社説「きょう沖縄慰霊の日戦場にさ...沖縄戦「慰霊の日」に思う

  • 行政のデジタル化だって?!

    きょうはデイサに「出勤」する予定の日だが、休みを取ることにした。天候が雨もよいということもあるが、(腹壁ヘルニアの疑いがある)お腹の状態がちょっぴり気になっている。気がかりがあると、気分がいまいち前向きになれない。というか、外向きになれないのだ。それはそうとして、昨夕の岸田首相の記者会見を聞いていて、気になったことがある。首相がやたら「行政のデジタル化」にこだわっていたことである。私の聞き違いではない。きょうの朝日新聞は次のように伝えている。「首相は行政のデジタル化を進める上でマイナンバーカードが大きな役割を担うとも強調。『諸外国に比べて遅れているデジタル化を推進し、質の高い効率的で持続可能な医療を実現するために必要だ』とマイナ保険証の意義を語った。来年秋の保険証廃止は『国民の不安の払拭(ふっしょく)が大...行政のデジタル化だって?!

  • 朝日の捲土重来

    朝日新聞はきょうの朝刊・社会面に、「候補生発砲なぜ」と題する記事を大きく掲載している。「ははぁ、例の記事の尻拭いだな」と私は直感した。先日、本ブログで取りあげたように、朝日新聞は6月17日付の朝刊・社会面で、陸自候補生の発砲事件に関し、県警・陸自警務隊合同捜査本部の発表をそのまま鵜呑みにしたような手抜き記事を書いている。自身の目で確かめようとしない、ジーナリズムにあるまじきこうした報道姿勢には、朝日新聞社内でもさすがに批判が起こったに違いない。社内の批判を受け、デスクは捲土重来を期し、改めてきょうの「候補生発砲なぜ」と題する記事を記者に書かせたのだろう。私はそう考えた。さて、この記事は次のように書いている。「岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で隊員3人が銃で撃たれて死傷した事件で、殺人容疑で送検された自衛官...朝日の捲土重来

  • いっそのこと

    まっさらな気持ちでキーボードに向かう。何も考えない。いや、考えることが何もない。要するに、ネタ切れの思考停止状態である。けさは早朝5時30分に目覚めた。それから起床までの2時間、ベッドのスマホで「朝日新聞紙面ビューアー」を開き、新聞記事をチェックしながら、きょうのブログ・ネタをひねり出そうとする。それが最近のルーチンなのだが、きょうは何のネタも降りてこなかった。こんなときは、と、寝ぼけ眼(まなこ)で私は考えた。無理して作文するようなことはせず、ブログの更新をやめればよい。うん、そうだ、これからはそうすることにしよう。ましてきょうはデイサービスに「通勤」をする日、タブレットの画面に向き合える時間は午前中一杯と限られている。このところ気分も落ち着かない。腹壁ヘルニアの疑いがあり、近々、近所の病院(メディカルセ...いっそのこと

  • 自衛官候補生 発砲事件の状況の闇

    自衛官候補生Aによる発砲事件。本ブログでは、その闇をめぐる二つの新聞の報道姿勢を取りあげてきた。朝日新聞と読売新聞。この二つの新聞記事は、いずれも事件を「パワハラ絡みではない」とする点で、県警・陸自警務隊合同捜査本部の見解と軌を一にしている。だが、結論が同じだからといって、これら二つの記事を同等とみなすとすれば、それは大きな誤りである。そのあたりの事情は、人の生き死にと同じだと言えるだろう。人はいずれ必ず死ぬ。その点では皆、同等である。だが、(1)他人(ひと)の目を気にしながら、自分の頭で考えることをせず、時流に流されるままに生き、老衰で死ぬ人の生き様と、(2)一歩一歩、しっかり自分の足で確かめながら歩み、納得の上で生き切って老衰で死ぬ人の生き様。その間には雲泥の差がある。さて、きょう新たに紹介するのは、...自衛官候補生発砲事件の状況の闇

  • 自衛官候補生 発砲事件の動機は何か

    自衛官3人に発砲し、死傷させた18歳の自衛官候補生は、なぜこれほどの凶行に及んだのか。「県警・陸自警務隊合同捜査本部」の調査結果をそのまま鵜呑みにすることなく、独自の見解から記事にしようとする動きが見られはじめた。今のところ私が目にした範囲では、読売新聞の記事と、日刊ゲンダイDIGITALの記事の二つだけだが、どちらもそれなりに興味深い。きょうはまず読売新聞の記事から紹介することにしよう。読売新聞は《死亡の菊松1曹は「格闘の達人」、八代3曹は仲良しの三つ子…戸惑いと悲しみ深く》(6月17日配信)とする見出しの記事をかかげ、死傷した3人の憎めない人柄を紹介している。それによれば、亡くなった八代航佑3曹(25)は、同級生が「口数が多いタイプではなかったが、まじめな人柄が印象に残っている」と振り返るような性格の...自衛官候補生発砲事件の動機は何か

  • 自衛官候補生 発砲事件の続報

    自衛官候補生の発砲事件について、私は先のブログで、これは「パワハラ絡みに違いない」と書いた。だが、けさの朝日新聞は、そんな私の憶測を正面切って否定している。「岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で男性隊員3人が銃で撃たれて死傷した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された自衛官候補生の男(18)が、3人から日常的に直接指導を受ける立場ではなかったことが分かった。射撃訓練以外に目立った接点は確認されておらず、岐阜県警と陸自の警務隊は発砲に至った動機を慎重に調べている。」(朝日新聞6月17日)銃で撃たれて死傷した3人は、犯人の自衛官候補生を日常的に直接指導する立場にはなかった。また、訓練以外に両者に目立った接点はない、ということになれば、この3人が暴言を浴びせるなど、パワハラ行為を自衛官候補生にはたらく機会は全くなかったこ...自衛官候補生発砲事件の続報

  • 病院なんてごめんだ

    けさの朝日新聞を見て、「岸田内閣はやるやる詐欺の内閣だな」と思った。衆院解散を「やる、やる」と見せて、結局は見送り。「北朝鮮が弾道ミサイルを打ったら、撃墜する」と言いながら、これもやらなかった。できなかったのか。きょうのブログ・ネタはこれで行こうと思っていたが、悠長にそんなことを書く心の余裕は打ち砕かれた。近々、病院に行くしかなくなったからである。事の経緯を詳しく書く。きょうはかかりつけ医のN先生が(定期の)往診に見えた。「最近、気になっていることはありませんか」とドクター。「ええ、最近、お腹が出てきたみたいなのですが」と答えたのは妻だった。ドクターはさっそく私の腹部を見て、「うむ、これは腹壁ヘルニアかもしれません。ストーマの手術をしているから、腹壁が弱くなっているのでしょう。心配なら、筑波記念病院で診て...病院なんてごめんだ

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