日本の文学には平安時代に大きな「山脈」とも思える大きな作品群がある。もちろんそれらは、源氏物語や枕草子、伊勢物語や蜻蛉日記などだが、その作品を書いた人物たちはなにを学ぶことでそのような物語や日記を紡げたのであろうか、またそのあとに続いた人たちに何を残したのだろうか、という問いにこたえようとした一冊。筆者は跡見女子大学の教授で王朝文学の専門家。概要をサラッと説明するのではなく、各エピソードごとに、選んだ一つの題材を深く分析し考察してみることで、読み手に王朝文学の奥深さを実感させてくれる、大変読み応えのある一冊、良書だと思う。大河ドラマ「光る君へ」で描かれる姫様たちを取り巻く勉強会、それは帝や上流公卿のプリンスたちの目に留まるためのサロン。サロンのトップは皇后・中宮、そして都にあったとされる斎宮のサロンであり...知られざる王朝物語の発見物語山脈を眺望する神野藤昭夫****