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  • 福井雄三の『開戦と終戦をアメリカに発した男』戦時外交官加瀬俊一秘録

    ◇『開戦と終戦をアメリカに発した男=戦時外交官加瀬俊一秘録』著者:福井雄三2020.4毎日ワンズ刊太平洋戦争時代日本の外交官として活躍した加瀬俊一の生涯をなぞると共にこの時期の日本を巡る国際状況と日本の外交関係を解説する。著者は国際政治学を専門専門とする。加瀬俊一自身の回想録を初め多くの著書を渉猟した評伝であり、かつ外交官の目を通した歴史の裏側の記録でもある。そしてこれは太平洋戦争につながるアメリカとの軋轢から、開戦そして無条件降伏という屈辱の敗戦交渉まで立ち会った稀有の外交官の記録となっている。加瀬俊一はまれに見る俊才であり、類い稀な英語力を見込まれ、多くの大使、外相の首席秘書官として重要な外交交渉場面に立ち会った。幣原喜重郎、石井菊次郎、松岡洋右、東郷茂徳、重光葵、など先輩外交官の優れた外交力を学びつ...福井雄三の『開戦と終戦をアメリカに発した男』戦時外交官加瀬俊一秘録

  • 佐野の桃を描く

    ◇夏の果物の王者桃を描くclesterF6(中目)妻の親友Kさんが地元(と言っても近くの佐野市)の桃を1箱送って下さった。普段こんなに大量も桃を手②することはないので、折しも帰省中の娘家族と一緒にいただく前にセザンヌのリンゴ程ではないものの5個の桃を皿に盛って描いた。何といっても特別に配慮された枝葉付の桃はなかなか得難いモチーフで、急いで描き上げた。桃独特の柔毛は白色のガッシュを加えるとそれらしくなるのであるが、今回は省略した。盛った皿の文様や色は省略した。背景色はセルリアンブルーとサップグリーンの混色である。(以上この項終わり)佐野の桃を描く

  • 弘中惇一郎の『生涯弁護人・事件ファイルⅠ』

    ◇『生涯弁護人・事件ファイルⅠ』著者:弘中惇一郎2021.11講談社刊作者は著名な弁護士である。世間の注目を浴びた事件の裁判で弁護人に名を連ねていた。今回の事件ファイルⅠは彼が弁護人として担当したそれら大型事件をグループ分けし、事件の特性と共通点などを整理し、問題点を指摘している。村木厚子事件、小沢一郎事件、ロス疑惑事件などを手掛け「無罪請負人」と呼ばれた著者が、日本の検察庁の特性を厳しく指弾し、衆愚におもねるマスメディアを叩き、真実に迫る弁護活動の姿が詳述される。現場百遍、情報は足でかせぐなど警察の刑事と同じ理屈で真相に迫るのが弁護人が勝利する近道だということが良く分かる。そして裁判の成功か否かは、被告人と信頼関係が築けるか否かにかかっているとする。第一章国策捜査との闘い<村木厚子事件>代表的な冤罪事件...弘中惇一郎の『生涯弁護人・事件ファイルⅠ』

  • 福田和代の『怪物』

    ◇『怪物』著者:福田和代2011.6集英社刊人間を骨ごと溶かす身もよだつような怪物を追い詰めた刑事。ミイラ取りがミイラになったというか、自らが怪物と化してしまった物語。何かしらホラーっぽい不思議な小説である。定年まであと1か月という老刑事香西武雄。死の匂いを嗅ぐという異能を持ち何度も事件解決のきっかけを作ってきたが、自分の特異な能力は未だに同僚にも明かしたことはない。定年退職を目前に控えて未解決事件が気がかりである。一つは15年前に起きた「くるみちゃん誘拐殺害事件」。もう一つは10日前から行方不明になっている橋爪という男の失踪届の事案。香西は幼い女児を殺し焼いた残虐な犯人と目する男堂島昭の部屋で”死の匂い”を嗅いだ。間違いなくこの部屋でくるみちゃんは殺害された。この男は警察官僚の子弟ということで早くに捜査...福田和代の『怪物』

  • 上田秀人の『崩落』禁裏付雅帳<三>

    ◇『崩落禁裏付雅帳<三>』著者:上田秀人2016.10徳間書店刊(徳間文庫)禁裏付雅帳シリーズ(全12巻)の一冊。江戸時代の時代小説では朝廷と幕府の駆け引きは大政奉還前後の時期以外なかなかお目にかからない。禁裏付というのは朝廷(禁裏)の内証監査と公家の非違監察のために置かれた役職である。朝廷の位置する京都という地には京都所司代と東西町奉行所が置かれ朝廷内部の事件の捜査などは禁裏付が処理した。禁裏付雅帳シリーズの主役は五百石の旗本である東城鷹矢が若輩ながら役高千石の禁裏付に任じられ、格上の町奉行所、京都所司代、異質の文化に満ちた公家社会に翻弄されながら役目を果たしていく物語。背景には九代将軍家重、十代将軍家治の寵臣として権威を手中にした田沼意次が第十一代将軍家斉によって放逐され、代わって権力を手にした松平定...上田秀人の『崩落』禁裏付雅帳<三>

  • 水彩画教室でドクダミとクリスマスローズの花を

    ◇籐の籠に盛ったドクダミとクリスマスローズの花clesterF4中目clesterF4中目先週の水彩画教室では籐の籠に盛った花を描くことがテーマでした。花はこの時期いろいろありますが主たる狙いは籐の籠ということで、花は二の次という感じで、いろんな種類がありましたが、私はドクダミとクリスマスローズを選びました。いずれも白か淡い緑色のために背景色をどうするかが決め手で、花はマスキングで白を生かすことにしました。背景色をあまり濃くするわけにもいかず、花を浮き上がらせるつもりが何となく中途半端な仕上がりとなってしまいました。(以上この項終わり)水彩画教室でドクダミとクリスマスローズの花を

  • 家庭菜園のトマト栽培2022<4>

    ◇今年のトマトは不作かも第二果の着果を見て2回目の追肥をやったあと辺りから数本の木にうどん粉病の兆候があり、あわてて重曹の千倍液を噴霧したのですがこと既に遅く、周辺の木にも伝染しました。葉は下枝から順に枯死しました。おまけに2本の木が多分夜盗虫(地もぐり虫)にやられ枯死しました。毎年同じところに連作している弊害が一挙に出た感じです。来年はしばらくほかの葉物など作ってみようかと思っています。大きくなったトマトも高温が続く猛暑でも赤く熟すのが遅い感じがします。以上我が家の家庭菜園のトマト生育状況の報告でした。(final)実はそこそこに大きくはなったがうどん粉病の葉は萎れてはじめて赤くなったホーム桃太郎夜盗虫の被害を受けた木(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培2022<4>

  • 今野敏の『ヘッドライン』

    ◇『ヘッドライン』著者:今野敏2013.4集英社刊(集英社文庫)今野敏「スクープシリーズ」第2弾。警視庁刑事部捜査第一課特命捜査第二係所属の巡査部長黒田裕介が主役の一人。捜査第二係は未解決事件継続捜査が仕事である。東都放送(TBN)夜11時のニュース番組『ニュースイレブン』のデスク鳩村昭夫。メインキャスターの鳥飼行雄、女性キャスターの加山恵理子、社会部の遊軍記者で現在はこのニュース番組の専属記者として動いている布施京一。これが主要登場人物であり、ここにサブとして東都新聞記者持田豊、黒田の相棒谷口などがいるが、主役と言えばTBN遊軍記者の布施とその上司である鳩村、そして警視庁の黒田刑事である。スクープシリーズとあるようにTV局でも新聞でも抜きつ抜かれつの争いがあり、これが小説の種になる。どこかに抜かれないよ...今野敏の『ヘッドライン』

  • 西條奈加の『心淋し川』

    ◇『心淋し川』著者:西條奈加2020.9集英社刊時代小説、現代小説なんでもいござれという話題の女性小説家の一人西條奈加の作品。第164回直木賞受賞作で、小説すばる連載の作品を単行本化した連作短編集。はじめてお目にかかったが、筋の運びといい人物造形といい堂に入っているし何よりも人情の機微を巧みに映し出している。江戸は根津権現近くの窪地に長屋風に固まったその日暮らしの貧乏所帯が屯する六兵衛長屋。心町と書いてうらまちと呼ぶ。そこを流れるどぶのような川が「心淋し川(うらさびしがわ)」である。ここで生まれここで育ったちほ。早くこの薄汚れたどぶ川沿いの長屋から逃れたい。付き合っている紋染職人の元七に二人の行く末を問いただしたら親方に京都の職人に弟子入りし腕を上げて帰って来いとわれたと…。本人も修行してきたいということ...西條奈加の『心淋し川』

  • 梅雨時の写生会は「本土寺」で

    ◇アジサイ寺で知られた長谷山本土寺へclesterF8梅雨時の写生会。前回の観音寺(柏市)はあいにくの雨で中止になった当クラブの写生会。今回は時期的にアジサイで知られた松戸市北小金にある「本土寺」。昨日は予報が外れたが今日も28℃と予報も外れ。蒸し暑いが28℃には達しなかった。しかし雨が降らなかっただけで良しとしなければ。本土寺は鎌倉の明月院ほどではないが首都近郊ではアジサイ寺として名が知られている。この時期はアジサイのほかあやめも満開とて平日なのに沢山の人が押し寄せていた。寺はこの時期は拝観料として500円求める。障碍者と子供は300円だが高齢者だからと言って容赦しない。アジサイよりも菖蒲池の周りが結構な人で賑わっていた。アジサイもあやめも絵にするとどうしても花を鮮明に浮き上がらせるにはマスキングが欠か...梅雨時の写生会は「本土寺」で

  • 辻村深月の『琥珀の夏』

    ◇『琥珀の夏』著者:辻村深月2021.6文芸春秋社刊本書の主人公近藤法子は41歳弁護士、学生結婚で同業の夫瑛士と3歳の娘藍子がいる。法子が小5のころから3年間「ミライの学校」という任意団体主宰の「学び舎」というところに体験合宿したことがある。この期間親から離れ合宿し、子供主体で生活と学びをすすめ、主体性と創造性を身につけるというのである。法子は同級生のユイの母親の誘いで静岡の学び舎の体験合宿に参加した。そこで法子はミカやヒサ、チトセ、エリカ、アミなど多くの子供と知り合った。本書の第5章までは法子の合宿体験の記憶の回想であり、本筋の伏線でもある。「ミライの学校」という宗教法人まがいの団体の運営する「学び舎」は、その後副業として天然水の販売事業行っていたが、会員が殺菌なしの水を友人に回し食中毒らしい症状が出て...辻村深月の『琥珀の夏』

  • 森村誠一の『闇の処刑人』

    ◇『闇の処刑人』著者:森村誠一2006.7中央公論新社刊(中公文庫)江戸時代後期、処刑請負人あるいは必殺仕事人の事件控である。TV化もされたらしいが私は観ていない。主人公は主君に理不尽にも切腹を命じられ、上使を斬り脱藩した浪人松葉刑部。腕を見込まれて仕官を勧められたりするが、掟にがんじがらめの武士より自由気ままに仕事を選べるいまの刺客仕事は賭場の主徳松の仲介で回ってくる。必ずしも依頼人の素性や依頼の事情を聞いて請け負うか否かを決めているわけではない。警察用語でいうところのマル対の素性を聞いて不審事情を推測することもあるが、処刑相手が必ずしも罪びととは限らない。善悪が逆の場合もあるのである。そこが小説の素材になるのである。<闇の意地>極端な例は依頼人と処刑対象者双方から処刑依頼が出た事案。奇妙な事例なので背...森村誠一の『闇の処刑人』

  • 家庭菜園のトマト栽培2022<3>

    ◇「ホーム桃太郎」第3果が開花して支柱を立てて3週間。木も大分大きくなって、大体1mを超えました。となりの柿の枝が日陰を作り邪魔になっていますが、昨年はあまり生らなくて今年は生理落下も終わって大分実が大きくなってきたので柿もないがしろにできないし、狭い畑はこうした苦労があります。伸びたトマトが柿の枝と接触しかかっている樹高120センチくらい第2果が大きくなって第3果の花が咲いた(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培2022<3>

  • 東山彰良の『怪物』

    ◇『怪物』著者:東山彰良2022.1新潮社刊2015年直木賞を得た『流』の続編ともいうべき作品。作者はまえがきともいうべきページでこの物語は私の夢である。夢の中で掴んだ真実をこの物語に織り込んだ。読者はこれからいわばネタバレ小説を読まされるというのである。前作『流』では作者である自分と従兄(王誠毅)と二叔父さん(王康平)の物語だった。本書でもその内容が10年前に作者が書いた『怪物』作品の土台として登場する。当時『流』で語り手であった青年(わたし=薄秋生)は10年後には47歳の作家大先生(柏山康平)である。『怪物』が英訳され国際文学賞最終候補に残ったことから、柏山康平先生は台湾に招かれてサイン会に臨むが、担当編集者の植草に煽られて『怪物』の改訂に取り掛かろうと意気込む。柏山康平はサイン会で通訳担当の椎葉リサ...東山彰良の『怪物』

  • 柚月裕子の『ミカエルの鼓動』

    ◇『ミカエルの鼓動』著者:柚月裕子2021.10文芸春秋社刊『孤狼の血』、『暴虎の牙』を読んで男性的感性が横溢したストーリーに感動した者の一人であるが、同じ作家柚月裕子の作品である本書は医療分野の中でも先進性が高い心臓外科のロボット支援下手術を主題にした内容で、如何に専門家の協力を得たにしろ心房中隔欠損症弁置換手術の圧巻的なシーンの叙述は詳細を極め、感動的であった。この小説での主役は西條泰巳45歳。ロボット支援手術の第一人者として評価が高い。一方ライバル的存在として登場するのは真木一義44歳。心臓の開胸手術では心臓外科界のエースと言われていた。何がライバル的かと言えば先々所属の北中大病院長として嘱望されている西條の前に突然招聘されて現れた同じ心臓外科の開胸手術のエースだからである。西條の医療に関する基本スタンス...柚月裕子の『ミカエルの鼓動』

  • 筑波実験植物園の「クレマチス展」を見学

    ◇国立科学博物館の実験植物園昨日は五月らしい天候ということもあって、勧められていた筑波研究学園都市の一角にある国立科学博物館の実験植物園の特別展「クレマチス展」を見学してきました。まだ現役のころ隣の課が研究学園都市推進担当で、国策として進めていた試験研究・教育機関の移転対策で苦闘していたのを想い出しました。研究職の人たちは「そんな僻地に島流しされるのはいやだ」と猛反対していたからです。最初は立派な道路だけが先行し、砂埃が経っていました。その後幾星霜、今や諸外国に胸を張って誇れる研究機関が林立しています。中でも率先移転した東京教育大(現筑波大)は研究学園都市の盟主のごとく広大なキャンパス(250ha)を有し、素晴らしい教育・研究環境が整えられています。その一角に国立科学博物館の植物の研究推進のために設けた「実験植...筑波実験植物園の「クレマチス展」を見学

  • 家庭菜園のトマト栽培2022(2)

    ◇トマトの支柱建てトマト苗を移植して2週間経ちました。既に大きい木の樹高は53センチ、小ぶりな木で40センチになりました。先日の雨風で危うい感じの苗があったので恒久的な支柱を立て、苗木を支柱に誘引しました。苗を移植した時点ですでに第一果の花芽を付けている木が多かったのですが、御覧のとおり木によっては既に第二果の花芽を付けています。木が徒長しないで、しっかりと実を付けていくことを祈るばかりです。菜園全体図1菜園全体図2樹高53㎝下に第1果上に第2果の花(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培2022(2)

  • 春の鉢花「ゼラニウム」を描く

    ◇紅いゼラニウムの鉢花clesterf4先々週の水彩画教室では春の代表的な鉢花「ゼラニウム」を描いた。ゼラニウムは育て方が良いと結構長く楽しめ、地植えで大きく育てることもできる。今回の花はたぶん赤系のカリオケダークレッドというタイプ。一本の茎の上に線香花火のように花が咲く。葉に特徴があって、やや小ぶりながらシクラメンに似た葉を付ける。花弁が密集するので、描き分けてボリュウム感を出すのがむつかしい。(以上この項終わり)春の鉢花「ゼラニウム」を描く

  • 深緑 野分の『ベルリンは晴れているか』

    ◇『ベルリンは晴れているか』著者:深緑野分2018.9筑摩書房刊物語の本流は第二次世界大戦直後の、まだヒットラーが自決してまもないベルリンが舞台の、混迷の時代を生きたアウグスティ・ニッケルという若い女性の物語であるが、途中幕間と称して主人公の幼少期の家族、ドイツ第三帝国誕生の経緯など社会環境の話が入り、最終章でこれが見事につながるという構成の妙がある。人物造形が見事であるが丁寧な情景描写も実体験があるかのようにすばらしい。英国軍機による爆撃で焼き尽くされたベルリンの惨禍。戦後混乱期のヤミ市のシーンなど、日本の同時期の闇市と見まがうほどリアリティがある。本書末尾の謝辞において参考文献参照はもちろん、ベルリンにまつわる資料と逸話、ドイツの雰囲気や社会、軍事、などについて多くの識者など助けを受けた人々に感謝をささげて...深緑野分の『ベルリンは晴れているか』

  • 家庭菜園のトマト栽培2022(1)

    ◇ホーム桃太郎を植える連作障害のリスクを危ぶみながら毎年庭の一角を耕しトマトを栽培する。ミニトマトは鉢植えしているので、畑には大玉の「ホーム桃太郎」。2坪しかないので畝は3本、1畝に6本しか植えられない。例年連休前の天気の良い日の午前中に一日前に買って来た苗を植える。これまでやっていなかったマルチ栽培。今年は試しに黒いマルチシートを張って、30㎝間隔で切った穴に植えた。マルチを張ると地温が高くなり、雑草も防げるという。数日雨が続いたので、畝はたっぷり水を含んでいるので、鉢から抜いてそのままやや浅めに移植し、念のためたっぷり水を遣る。風で倒れてはいけないので仮の支柱を立てた。(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培2022(1)

  • 凪良ゆうの『流浪の月』

    ◇『流浪の月』著者:凪良ゆう2019.8東京創元社刊大好きだった父を病で亡くし、奔放な母は男と出奔した。叔母の家で「厄介者」として窮屈な生活を送っていた家内更紗は、公園で子供らから「ロリコン」と噂されていた大学生佐伯文に「うちに来る?」と誘われ「いく」と言ってついていった。夜になると勝手に部屋を開ける中2の叔母の息子孝明から逃れたい気持ちでいっぱいだった。このとき文は19歳。更紗は9歳。突然消えた更紗は叔母に家出捜索願を出されTVに顔写真が出た。ネットであることないことが氾濫する。何か月か経って、更紗がパンダが見たいと言って、物園に行った。そこで二人を見た人たちに警察に通報され文は逮捕され、更沙は児童保護施設に保護された。これからは主として更沙の話である。それから15年後。施設を出た更沙は仕事も得て独り暮らしを...凪良ゆうの『流浪の月』

  • 春の野菜タケノコなどを描く

    ◇春野菜・タケノコなどclesterF4先週の水彩画教室では春の野菜を描こうということで、ほぼ定番の筍と山ウド、アスパラガス、フキなどを描きました。エリンギやシメジなどは工場栽培なので春以外の季節でも出回っています。タケノコは切り口が新鮮でなく、根っこの予備軍ともいうべき紫色のいぼいぼが切り取られているのが難点でした。フキの葉は描いていううちにしおれてきて、葉脈も定かでなくなってきました。もっと丁寧に描かないとリアルさに欠けると反省しました。シメジの下にある葉は山椒の若葉です。(以上この項終わり)春の野菜タケノコなどを描く

  • 伊岡 瞬の『悪寒』

    ◇『悪寒』著者:伊岡瞬2019.8集英社刊(集英社文庫)山形の系列子会社営業所に飛ばされて、初めての営業仕事に悪戦苦闘している男が現れて、東京に残した妻子の今を思っているシーンで、ありきたりのサラリーマン小説かと思ったが、違った。大手製薬会社の社内権力抗争に巻き込まれた藤井賢一。組織上専務派と目されていたのに対立する常務から贈賄事件の実行者として責任を問われ、系列会社の営業所に出向という形で左遷された。田舎町での配置薬販売の営業仕事に嫌気がさしていた藤井は突然非日常の世界に放り込まれる。ある夜妻の倫子から脈絡のない不審なメールを受ける。心配になって練馬区の自宅に帰るが、バスの中で倫子の妹優子から妻倫子が自宅で殺人を犯したという話を聞かされる。しかもその被害者が常務の南田隆司だという。一体何が起こったのか。しかも...伊岡瞬の『悪寒』

  • 新川 帆立の『元彼の遺言状』

    ◇『元彼の遺言状』著者:新川帆立2021.1宝島社刊このミステリーがすごい大賞受賞作「三つ前の彼」を加筆・集正した作品。強烈にキャラが立つ女性弁護士が主役で、しぶとさあり、あざとさあり、やや攻撃タイプだが結構優しいところもあってハードボイルド女性版と言ってよい。企業法務弁護士らしいアイディアで複雑な社内関係、人間関係を捌いていくところが見もの。著名な渉外系弁護士事務所で弁護士をしている剣持麗子28歳。事務所創設者に「ボーナスが少ない!」と啖呵を切って、辞めてやると息巻いて休んでいるところに仕事が舞い込んできた。元彼の森川栄治が亡くなった。大会社の御曹司で巨額の遺産について変わった遺言状を書いていたということで、栄治と交友があった篠田から相談を持ち掛けられた。ちょっと調べてみると栄治の資産は300億円、その半分を...新川帆立の『元彼の遺言状』

  • 今野敏の『キンモクセイ』

    ◇『キンモクセイ』著者:今野敏2018.12朝日新聞出版刊今野敏のお得意分野警察小説である。本の帯には本格的「警察インテリジェンス小説」とする。警察インテリジェンスとしたのは、主人公である警察庁キャリアの隼瀬順平がある事件の処理と推移に不審を抱いたことに端を発した日米の情報機関連携の闇を扱っているからである。法務省の官僚が射殺され、犯人は白人の外国人と目されたが、アメリカ人かロシア人か。警察庁警備企画室の課長補佐である隼瀬は上司からチームを組んで対応しろと命じられる。公安の元締めを任じる警備企画室としては警視庁公安部外事1課、同3課から情報入手しようと待ち構えていた矢先、警視庁の捜査本部縮小、外事1と3課が事件から降りたことを知り、この事件はただ事ではないと直感する。同じ課の課長補佐水木も同じ感触を示した。隼瀬...今野敏の『キンモクセイ』

  • 桜並木を水彩で描く

    ◇大堀川の桜並木を描くclesterF8柏市と我孫子市にまたがる手賀沼には大堀川と大津川という1級河川が流入しています。わが水彩画グループでは4月1日をこの近辺の桜開花を見込み、写生会を企画していました。さて当日、予報では快晴気温も上々でしたがあにはからんや当日は曇り空みぞれも降るという悪天候。何とか構図を決めてスケッチを終えたものの寒さに耐えられず、彩色は家でということで早々に退散しました。構図は桜だけではモノトーンになってしまうので大堀川の増水時の分流用の堰の水門、近くの家、病院などを背景に、また行き交う自転車・人も入れました。桜の樹々と桜花のほか、芽生えはじめた植生、まだ枯れたままの萱など色彩的には過不足のない条件でしたが、果たしてそれが生かされたかどうか。桜の花の描き方は人それぞれですが、近くで見た花と...桜並木を水彩で描く

  • 花(桜)だより

    ◇花は季節を知り古来花と言えば桜花を指すほど日本人の心に深く根差す花です。気象庁などの予報通り、関東の一角の当地でも3月25日あたりから桜が咲き始め、月曜日は急な寒気一休みしたものの火曜日の29日にはほぼ満開となりました。昨年はコロナに圧倒されて落ち着いて花詣でもしませんでしたが、今年は新規感染者もやや下火となったことも安心感を誘い、近場の桜並木などを楽しみました。柏市新柏の桜並木柏市光が丘の広池学園の広場広池学園中・高等学校の桜並木広池学園麗澤大学の構内連絡歩道橋から(1)広池学園麗澤大学の構内連絡歩道橋から(2)桜が大好きでその想いを綴った本居宣長は山桜が好きだったようです。しき嶋のやまとごころを人とはば朝日ににおふ山桜花花はさくら、桜は山桜の、葉は赤くしていてほそきが、まばらにまじりて、花しげく咲きたるは...花(桜)だより

  • 春を迎えた菜園の大根と小松菜

    ◇大根も小松菜もこれがピーク桜のつぼみが膨らんできました。明日には5分咲き状態でしょう。庭の大根、小松菜はこれ以上もう成長しません。大根はあと花が咲くだけ、放っておくとスがいる入るだけです。小松菜も花芽を持った茎が伸びてきました。これが柔らかでおひたしやみそ汁の実などにもってこいの食材になります。この後この畑では連作になりますがトマトが植わります。4月に入ったら耕して連休前に苗を植える予定です。小松菜大根伸びきった大根の中心部直径10センチくらいの大根(以上この項終わり)春を迎えた菜園の大根と小松菜

  • 西伊豆・堂ヶ島スケッチ

    ◇堂ヶ島の水域と亀岩・蛇島の風景伊豆半島の東側と西側では何となく雰囲気が違う。景色と海の表情が違うのである。交通の便があまりよくなく、バスが主体になるので観光客も割と少ない。これまで伊豆長岡、畑毛、土肥辺りまでは行ったが堂ヶ島まで足を伸ばすことがなかった。今回バスの長旅であったが、海岸の景色が東海岸と違って、手があまり入っておらず、なかなか良かった。泊まった宿所は海岸(崖っぷち)に近く、露天風呂は豪快に波しぶきが襲い掛かるのでこれまでになく楽しかった。堂ヶ島の海岸の近くには島がいくつもあって、その中の三四郎島(伝兵衛島、中の島、沖の瀬島、高島)宿の露天風呂から近い伝兵衛島(象島)までの2百米ほどの砂州が干潮時に陸続きになって島に渡れるというトンボロ現象というものがある。とはいうものの、環境客の望む良い時間帯に姿...西伊豆・堂ヶ島スケッチ

  • 高峰秀子編『おいしいはなし』を読む

    ◇『おいしいはなし』編者:高峰秀子1998.11光文社刊編者の高峰秀子自身が名うての文筆家と世に知られてるが、氏が編者として「はじめに」と題して編者の弁を述べている。これは台所のエッセイとの捉え方で編まれているようである。出典と執筆者の略歴が最終ページに掲載されているが、ちょっと古い方が多いが、日本の各界で名の知られた22人の人たちが、食にまつわる体験、持論などを披露されていて持っていたイメージから「へーあの方がねえ」といった意外性を含んでいたりしてけっこう面白い。高峰秀子は松山善三の妻であるが、結婚当時1歳年上であるが、お米のとぎ方も知らないダメ女だったが、「大切な亭主のために」調理場での板前やコックの手元を覗き込んで真似したそうであるが、肝心の亭主が極度の偏食者で、沢庵やさつま揚げ、アライや鯉こくもダメ、野...高峰秀子編『おいしいはなし』を読む

  • 中山七里の『能面検事』

    ◇『能面検事』著者:中山七里2018.7光文社刊主要な登場人物は大阪地検一級検事不破俊太郎と不破検事付き書記官惣領美晴。不破検事は14年前の東京地検検事時代に、ある立件事案の不始末がきっかけで敏腕検事ながら「能面検事」の異名をもって呼ばれることになった。惣領事務官は新任で名うての辣腕検事に割り当てられて対応に苦悶する毎日。将来は副検事を経て検事になるという野心をもって書記官の道に進んだだけに、何とか検事の役に立ちたいと思って口を開くのだが、木で鼻をくくったような答えしか返ってこない。スキのない表情で感情表現に使われる器官はまるで動かない。用事を言い遣って、何に使うのかと聞いても「自分で考えろ」という。「何度も同じことを言わせるな」と言われる。他人に厳しいし、部下に厳しい、同僚にも厳しい。上司にも自分流を通す。直...中山七里の『能面検事』

  • 吉田 博の[養沢 西の橋]<水彩画>を臨画

    ◇明治時代の洋画・木版画の大家吉田博clesterf8我が水彩画クラブの総会は2月。新型コロの際限ないまんえん防止期間のさ中、総会が開かれ、その後は自由制作ということで、かねて気になっていた明治から昭和にかけて活躍した西洋画・木版画の大家画家の吉田ふじをは博の妻である。この原画は1896年(明治29年)の作品で、34.4×51.6㎝とあるので凡そf8の大きさである。(以上この項終わり)吉田博の[養沢西の橋]<水彩画>を臨画

  • 宮部みゆきの『R.P.G.』

    ◇『R.P.G.』著者:宮部みゆき2001.8集英社刊R.P.G.とはロール・プレイイング・ゲームの略である。つまり、役割実演法。実際の場面を想定し、様々な役割を演じさせて、問題の解決法を会得させる学習法とされる。この作品では作中ネット上で知り合った他人同士が父・母・姉・弟の役割を演じて、疑似家庭を営んでいる(家族ごっこ)うちに、父親役の人物が刺殺されたことによって疑似家庭内の様相が暗転する。この父親役の男性を巡る別の殺人事件との関連が重視され、関係者に執拗な事情聴取が行われる。宮部みゆきの別の作品に登場する刑事がここにも登場し(『模倣犯』の武上刑事、『クロスファイアー』の石津刑事)名推理、取調べで鮮やかな手口で事実解明を展開する。今から20年前、すでにネット社会を舞台に様々な犯罪やトラブルが問題視されていた。...宮部みゆきの『R.P.G.』

  • 今野 敏の『海に消えた神々』

    ◇『海に消えた神々』著者:今野敏2005.3双葉社刊これまでに読んだ今野敏の作品とは印象が違う。やや異色の長編サスペンス。古代史をさかのぼる紀元前1万2千年の超古代文明の世界が背景にある。沖縄列島にムー大陸があったという説を主張する地質学者仲里昇一が自殺した。海底の鍾乳洞に発見された古代文明の痕跡を捏造したという記事が発端で自殺したと報じられた。この自殺説に不審を抱いた高校生園田圭介から「仲里教授の無念を晴らしてほしい」という依頼を受けた元警官の探偵石神達彦が沖縄の現地で真相解明に取り組むというのが大筋である。また石塚の口を借りて政治家、学者、新聞記者などに対し歯切れよく小気味よい批判をしていて共感の拍手を送りたい。ムー大陸を巡る諸説、沖縄ムー大陸説、沖縄陸橋説、邪馬台国沖縄説、沖縄のニライ・カナイ信仰、沖縄・...今野敏の『海に消えた神々』

  • ソダテマス(育て枡)で山桜の盆栽に挑戦

    ◇発芽まで1ケ月~1年という難物昨年12月クリスマスプレゼントに「ソダテマス」という盆栽キットを貰った。種類としては「黒松」、「山桜」、「もみじ」と3種類あって、「山桜」の場合時期によっては発芽まで1ケ月~1年かかるいう代物。冬を越すという疑似体験をさせるために3か月も冷蔵庫に入れて待った。そして3月、ひな祭りを期して種蒔き。まず枡に付属の培養土を入れ、50ccほどの水を加えて苗床を作ります。冷蔵庫から出した桜の種は、40℃のぬるま湯の入れて1昼夜浸しました。十分に水を含んだかどうかやや不安ですがこれを蒔きます。鉛筆のお尻で1.5センチほどの深さまで穴を作って、種を蒔きます。種を蒔いた穴は周りの土を被せて湿度を保つためにラップをかけました。この状態で直射日光は避け、明るい場所に置きます。発芽の適温は15~20℃...ソダテマス(育て枡)で山桜の盆栽に挑戦

  • ようやくやって来たフキノトウ

    ◇おずおずと顔を見せたるフキノトウ例年2月中旬頃に顔を出していたフキノトウ、今年はどういう加減か今頃になってようやく顔を見せた。3月に雪が降ることもあのだが、もう大丈夫と思ったのか、コロナ変異株でみんな右往左往しているので気兼ねしたのか。吾輩が名付けて「春告げ株」。フキノトウが顔を出せば間違いなく春到来である。明日はフキ味噌を作り酒を酌み、春の香りを満喫しよう。コロナ禍もどこ吹く風とフキノトウ(以上この項終わり)ようやくやって来たフキノトウ

  • 蝉谷 めぐみの『おんなの女房』

    ◇『おんなの女房』著者:蝉谷めぐみ2022.1KADOKAWA刊一昨年『化け物心中』で作家デビューし、三つの文学賞をとった新進の歴史時代小説女流作家の書下ろし作品である。武家の娘からいきなり歌舞伎という異世界に飛び込み、しかも女形役者の女房となった志乃という女性の奮闘ぶりを描いた異色の時代小説である。作者独特の文体が歌舞伎役者の世界での志乃の苦労を浮かび上がらせる。何しろ夫の喜多村燕也はまだ中堅とはいえ人気の高い評判の女形。姿形はもとより、声も仕草も女に徹する。「平生を女子にて暮らさねば、上手の女形とは言われがたし」というお師匠さんの教えに従って、振袖を着、化粧をし、髪を結いあげ、女子の言葉を舌にのせる。決して男の部分を見せない。揚句、新しい芝居に入るたびに演じる役に成り代わってしまうという念の入れ方。女の自分...蝉谷めぐみの『おんなの女房』

  • 今野 敏の『黙示』

    ◇『黙示』著者:今野敏2020.6双葉社刊今野敏としては珍しい古代史とか伝説に焦点を当てた推理作品。とりたてて緊迫感もないし知識の開陳とその繰り返しが多く、やや冗長の感があるのは否めない。そもそもアトランティスとかイスラムの暗殺団とか伝説をベースにそれを証明する遺物(秘宝)が存在するかどうかが犯罪成立の証明にかかわってくるということ、そしてそれが事件性を持つかどうかに問題があるし、警視庁捜査三課(窃盗)の刑事がこの方面に相当な知見をもって容疑者に相対していくというのもかなり不自然でもある。渋谷区松濤に住む富豪の持つ「ソロモンの指輪」が盗難に遭ったという届出があり、なおかつ持ち主の舘脇が身の危険を訴えてきたことから、所轄の渋谷署から本庁捜査第三課に応援が求められて、萩尾警部補とペアを組む武田秋穂が事案に取り組むこ...今野敏の『黙示』

  • 朱野帰子の『駅物語』

    ◇『駅物語』著者:朱野帰子2015.2講談社刊(講談社文庫)大企業商社内定を蹴って、大手鉄道会社に入社した若菜直を中心とした、若手駅員の悲喜こもごもの奮闘譚。テンポの良い小気味いい会話で楽しく読み進める。「お客様に、駅で幸せな奇跡を起こしたい」そんな意気込みで東京駅に配属された直の抱いていた夢は雲散霧消するかに見えたのだが…。カッコイイ応答で副駅長の評価は良かったものの、先輩駅員の鍛え方は結構厳しかった。鉄道オタクであることを知られたくなくて必死に抑えている同期の犬飼。上司に盾突いてばかりいるヤンキー風先輩の藤原。手厳しくても何かと庇ってくれる橋口由香子。あこがれの女性新幹線運転士羽野夏美。営業助役の松本。エリート風吹かす副駅長の吉住。いろんな人に脅され、叱られ、おだてられ、けなされ、諭され、結構気が強いところ...朱野帰子の『駅物語』

  • 水彩画最近の習作・野球のグラヴ

    ◇ソフトボールのグラヴとボールclesterF4スポーツ用品を描こうというテーマで、いろんな運動用品が集まったが、ソフトボールとグラヴを選んだ。戦中生まれのうえ野球少年でもなかったので野球のグラヴになじみがなかったので、しみじみと見たことはなかったが、結構沢山の紐で仕立ててあるものだ。(以上この項終わり)水彩画最近の習作・野球のグラヴ

  • キャサリン・コールターの『謀略』

    ◇『謀略』(原題:POWERPLAY)著者:キャサリン・コールター(CATHERINECOULTER)訳者:林啓恵アメリカFBI特別捜査官ディロン・サビッチ、その妻レーシー・シャーロック(同じくFBI特別捜査官)を主人公とするS・Sシリーズ第15弾。二つの事件が同時進行する組み立て。一つはアメリカ駐英大使ナタリー・ブラックの襲撃事件。もうひとつはプレシッド・バックマンというカルト教団の異能(視線だけで相手を意のままに操る)者が収容病院から脱走し、シャーロックを襲うなど殺人を再開した事件。サビッチとシャーロックが、二つの事件に翻弄される。駐英大使ナタリーが交際中の男性の自動車事故に関し英国でメディアから「自殺させた」というスキャンダル報道されたことで米国に一時帰国していたところ公園で襲撃され、以降FBI特別捜査官...キャサリン・コールターの『謀略』

  • 最近の水彩画習作バーデンベルキア

    ◇珍しい花バーデンベルキアに挑戦clesterF4先週の水彩画教室では春の花を描いた。おなじみのラナンキュラスとか、マリーゴールドのほかにバーデンベルキアという、なじみのない花が登場したので挑戦してみた。花房は小さくて穂成りに咲いているが、よく見ると可憐ながら立派にコチョウランに似た蘭系の姿である。この小さな花をとてもリアルには描いていられない。全体の印象を踏まえて表現するしかなかった。(以上この項終わり)最近の水彩画習作バーデンベルキア

  • 青山七恵の『みがわり』

    ◇『みがわり』著者:青山七恵2020.10幻冬舎刊芥川龍之介の「藪の中」現代版を思わせる。主要人物がそれぞれの事実を物語るけれども、真相はわからない。ほんとはどうなのか。最終章で予測できたところに落ち着くのであるが、登場人物のそれぞれの証言がまるで正反対であったりして、執筆を請け負った作家が、もはや自分が受けた印象で描くしかないと決断するほどの藪の中なのである。この小説のもう一つ面白いのはこの作家の軽妙洒脱な比喩でユニークな感覚の表現をされるのでつい笑ってしまう。新人賞はとったものの第二作目がなかなか出せずにいた作家鈴木嘉子は、新設書店のサイン会で熱烈なファンという九鬼梗子と知り合う。如月百合という梗子の姉に嘉子がまるで生き写しで感動した。ついてはぜひ姉百合の物語を書いてほしいという。1年という期限で百合の伝記...青山七恵の『みがわり』

  • 我が菜園の大根と小松菜の今

    ◇冬を越して春を待つ菜園の大根種の蒔き時が遅かった大根は、何とか春の雪もしのぎ、そこそこに太り始めています。手前が小松菜です。時々朝の味噌汁の具になります。大根は直径が4センチくらいです。普通専門家の農家の大根はこの段階では葉が密集しています。未熟児かも。(以上この項終わり)我が菜園の大根と小松菜の今

  • 平野啓一郎の『ある男』

    ◇『ある男』著者:平野啓一郎2018.9文藝春秋社刊壮大な虚構の中に、言わんとすることを巧みに織り込み、登場人物を縦横に行き来させながら読者を翻弄し最後にあっと言わせる結末に導く。これぞ作家のだいご味と言えよう。弱冠24歳で『日蝕』で芥川賞を受賞した作家であるが、先日友人のY氏から『ある男』を奨められて読み、感銘を受けた。物語の中心人物は城戸章良という弁護士である。あるバーで城戸と知り合った私(小説家)は、話しているうちに彼の真面目な性格に感じ入り親しい関係になる。彼のの告白めいた話を聞き、小説に書くことになる。これは戸籍交換で新しい自分を手に入れて4年足らずながら幸せな人生を味わった「ある男」の物語である。話は城戸さんが中心ではあるが、谷口里枝という女性がもう一人の重要な登場人物である。理枝は前夫との間に男子...平野啓一郎の『ある男』

  • やって来たメジロくん 

    ◇メジロくんは甘党いつも我が家を訪れるメジロくんが今年もやってきた。例によって番(つがい)と思われる二羽である。ミカンがない時は砂糖水を与えていたが、今年はミカンがたくさん生ったので半分に切って針金で吊るした。こんな雑な仕掛けでも脚で器用につかまって実を突っつく。一羽は自分の番が来るまでほかの枝で待っている。かわいそうなので今年は2個時折ムクドリのような大きな鳥がやってきて逃げだす。彼らはホバリングしながらミカンを突っつくのだ。強敵である。(以上この項終わり)やって来たメジロくん

  • 川上弘美の『センセイの鞄』

    ◇『センセイの鞄』著者:川上弘美2004.9文藝春秋社刊友人のY氏から勧められて初めてお目にかかる作家川上弘美さん。芥川賞作家ということは存じ上げていたが、作品に触れるのは初めて。読書家のY氏の推薦だけあって、なかなか面白い作品である。文章が素直な所為かすらすら読める。主人公はほぼ二人に絞られるせいか、この二人の感情の流れがすんなりと頭に理解できて、心地よい。作中人物と同世代のせいかもしれない。主人公の一人大町月子さんは40歳直前の独り者。一方もう一人の主人公センセイは大町さんの出た高校の国語の先生。御歳は80直前かもしれない。二人は行きつけの飲み屋で再会し、頻繁に顔をあわせ、酒の肴も好みが似ているなどして気が合って、ぽつぽつ話をかわす間柄になる。飲み屋の大将に誘われてキノコ狩りに行ったり、酔いつぶれて先制の部...川上弘美の『センセイの鞄』

  • 守護神社に参拝

    ◇新年おめでとうございます昨年の暮れからPCアプリの不具合からブログ更新ができず、定期的にご覧いただいている皆さまに暮れのご挨拶もできず申し訳なく、お詫び申し上げます。悪戦苦闘の末ようやく中途半端ながら何とか再開の運びになりました。再び稚拙ながら水彩画の制作結果と読んだ本の感想など綴ってまいりますので折に触れてご覧ください。1月2日に我が家の守護神社「廣幡八幡宮」をお参りしました。昔は男女とも和服姿が多くみられましたが、今回は一人も見かけませんでした。境内で巫女さんが舞う「浦安の舞」もコロナ関連か残念ながら無しでした。コロナと言えば初詣も3密対象なので行列でも前の人と1m間隔を取っていたのに後ろの人が押してきて閉口しました。最近はスーパーなどでもアルコール消毒はしない。間隔などお構いなしの人が増えました。若い人...守護神社に参拝

  • 三羽 省吾 『共犯者』

    ◇『共犯者』著者:三羽省吾2021.9KADOKAWA刊これは一匹狼の週刊誌記者の物語である。殺人か事故か分からない事件を追っているのだが、次第に転職前の職場の記者や彼の家族が登場して、複雑な人間関係が事件解明の行方を混乱させ、真相の解明が混沌としてくるもどかしさが続く。事件そのものは殺人とも事故ともみられる遺体が損傷された状態で山中に遺棄されていた。被害者は佐合優真と知られた。何よりも事件記者宮治和貴の弟夏樹は養子で、重要参考人布村瑠美が被害者佐合の実子で、夏樹と兄妹である。二人は事件の重要参考人とされているが、布村は事情聴取後行方をくらました。宮治は夏樹が布村を匿っているとみている。取材の過程で和貴が弟と布村の関係を知り、兄妹とはいえ夏樹が犯人蔵匿の罪に問われかねない状況に苦悶する。宮治は報道記者としての使...三羽省吾『共犯者』

  • 大根・小松菜は今

    ◇年内にどこまで育つか今店先には大根・小松菜はかなり安く売られています。ある店では1本27円でした。これは特別としても、大体100円以下です。ということはプロの農家にとっては「持ってけ泥棒!とヤケになるほど安く卸しているということで、今が収穫最盛期ではないでしょうか。ところで10月初めに種を蒔いた我が家の大根・小松菜は二度の間引きを経て、まだ成長途上です。今回の大根栽培の最大の難点は、旅行中の風雨予報があって害虫対策も兼ねてビニールシートをかけたせいで、やや軟弱な徒長状態にあるからです。奥が大根手前が小松菜やや貧弱な大根小松菜は順調(以上この項終わり)大根・小松菜は今

  • アストリッド・ホーレーダー『裏切り者』

    ◇『裏切り者』(原題:JUDAS)著者:アストリッド・ホーレーダー(AstridHolleeder)訳者:小松佳代子2021.5早川書房刊これは犯罪ドキュメントと称されているが、この作品の魅力は犯罪自体よりも犯罪実行者ウィレム・ホーレーダーの実妹が作者であり、首謀者である兄を告発し、犯罪の背景と自身を含む家族の暴力の系譜を証言するというノンフィクションの魅力である。文章は歯切れよく、後半サスペンスフルな場面もあって、リアリティに満ちた情景描写で気が付けば一気読みしている作品である。我が国の誘拐事件「グリコ・森永事件」における犯人がモデルにしたと言われるオランダの世界的ビール会社ハイネケンのCEOハイネケン氏誘拐事件(1983年)から20年たった。事件後身代金が払われてハイネケン氏は救出された。フランス・メイヤー...アストリッド・ホーレーダー『裏切り者』

  • サリ-・ルーニー『カンバセーションズ・ウイズ・フレンズ』

    ◇『カンバセーションズ・ウイズ・フレンズ』(CONVERSATIONSWITHFRIENDS)著者:サリ-・ルーニー(SallyRooney)訳者:山崎まどか2021.9早川書房刊アイルランドダブリンの学生であり詩人のフランシスの語り調小説。冷静な目で周囲と自分自身を観察している。その視線が繊細で、正直である。中心人物は数人で、この小さな世界での関係性の変化が興味深い。作中の芸術家同士の会話は日本人にはないアイロニーや鋭さがあって興味深い。フランシス(21歳)は、中学生のころからの親友ボビーとは恋愛関係にあったがメリッサたちとの交際が始まってからぎくしゃくすることが多くなり、結局別れることになった。そもそもボビーは男全体が嫌いだった。フランシスは大学で一緒のフィリップと文芸エージェンシーのインターンシップに参加...サリ-・ルーニー『カンバセーションズ・ウイズ・フレンズ』

  • アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(七)』

    ◇『モンテ・クリスト伯(七)』(MONTEDECRISTO)著者:アレクサンドル・デュマ(AlexandreDuma)訳者:山内義雄1956.8岩波書店刊最終巻である。ヴィルフォールの娘ヴァランテーヌは結局継母から毒入りの水を盛られる。直前に司祭に身を変えて隣に住むことになったクリスト伯が現れて、なぜかヴァランティーヌに妙な丸薬を与える。「大丈夫だ」と言いながら。(これは二人の関係と状況からして全く解せない所業であるが=後述)恋人を失ったマクシミリアンは半狂乱である。ヴィルフォールはこれまでの家内における変死事件の犯人は妻しか考えられないと確信し、家名の為にも妻を断頭台に送るわけにはいかないと自裁を迫る。一方父を失ったアルベールは母を故郷のマルセーユに送り出した後志願したアルジェリア騎兵隊に向けて旅立つ。偽のカ...アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(七)』

  • アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(五)』

    ◇『モンテ・クリスト伯(五)』(MONTEDECRISTO)著者:アレクサンドル・デュマ(AlexandreDuma)訳者:山内義雄1956.8岩波書店刊モンテクリスト伯はついに最愛の恋人だったメルセデスに再会する。そのために周到に策を練ってヴィルマール夫妻に舞踏会を開かせ、招待客にモルセール夫妻を加えさせた。エドモン・ダンテスの許嫁だったメルセデスは、ダンテスは帰らないからと巧みに言い寄る従兄フェルマンの妻になっていた。フェルマンは軍隊で昇進を遂げ、今は貴族の称号迄得ていた。今はモルセール伯。息子のアルベールはモン・テクリスト伯に心酔している。メルセデスに会った伯爵はこれまでの人生を問われて「マルタで一人の娘を愛し、戦争があって引き離された。娘は私を愛しており、私を待っていてくれると思っていたのに、娘はよそへ...アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(五)』

  • アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(六)』

    ◇『モンテ・クリスト伯(六)』(MONTEDECRISTO)著者:アレクサンドル・デュマ(AlexandreDuma)訳者:山内義雄1956.8岩波書店刊モンテ・クリスト伯の復讐譚も佳境に入ってきました。誣告の告発状を書いてエドモン・ダンテスを牢獄に送り込んだ元凶フェルナンは仏陸軍で昇進しモルセール伯という爵位まで得て、今は貴族院議員に名を連ねています。そのフェルナンを奈落の底に陥れる場面が盛り上がりを見せます。ある日某新聞に「モルセール伯はマケドニアの王アルパシャを裏切り、死に至らしめた士官が、今や堂々と貴族院に列している」と糾弾する記事が出た。モルセール伯の長男アルベールの友人新聞記者のポーシャは、記事の信頼性を確かめに現地ジャニナに飛ぶ。記事は信頼できることが明らかだった。ポーシャは貴族院議会で事の真相を...アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(六)』

  • 鬼怒川に架かる滝見橋(吊り橋)を描く

    ◇鬼怒川温泉を散策し吊り橋(滝見橋)を描いたvifArtF0NaturalS20VAコロナの緊急事態宣言の期間も終わり、東京の新規感染者も100人台で推移してきたし、ワクチンもとっくに2回接種したことでもあり、先週ほぼ一年ぶりに鬼怒川温泉に行ってきました。初日も二日目も天候に恵まれ、気温も20度程度で過ごし易い天気でした。二日目に鬼怒川沿いに歩いて遡行し、滝見橋という吊り橋を渡りました。深い谷に架かる橋が珍しく、10分ほどで素描し、少し下流にある「鬼怒子の湯」という足湯場に足を浸けながら絵に彩色しました。それがこの絵です。10月半ばで木々はまだ緑濃く、紅葉は先のことです。橋で行き交った女性が「お二人の写真を撮りましょうか」などと声をかけて下さって、むげに断るのもなんだし、と思ってマスク姿の妙なカップルを撮っても...鬼怒川に架かる滝見橋(吊り橋)を描く

  • 辻村 深月他『神様の罠』

    ☆『神様の罠』著者:辻村深月乾くるみ米沢穂信芹沢央大山誠一郎有栖川有栖2021.6文芸春秋刊(文春文庫)文春文庫罠シリーズ第3弾(既刊『甘い罠』、『時の罠』)表題辻村深月の「2020年のロマンス詐欺」のほか乾くるみの「夫の余命」、米澤穂信の「崖の下」、芹沢央の「投了図」、大山誠一郎の「孤独な容疑者」、有栖川有栖の「推理研VSパズル研」を集録したアンソロジー。「投了図」が面白かった。ちょうどコロナ感染拡大防止で葬儀も身近な近親者たちしか呼べなかった時期をとらえ動機にしているところ、将棋好きの少年に対する思いやり、妻の夫に対する眼差しなどが温かく感じられて、好感が持てる小説になった。「崖の下」はトリックがいささか凝りすぎていて白けた。「推理研VSパズル研」はこの作家らしい本格推理っぽい内容である。「2020年のロマ...辻村深月他『神様の罠』

  • パリのテルトル広場のスナップショットから

    ◇モンマルトルの丘”テルトル広場”の光景clesterF6(中目)パリ8区の、モンマルトルの丘には、サクレクール寺院の前にパリ市内を一望できる草地があってにぎわっているがその反対側に芸術広場ともいわれる「テルトル広場」がある。そう広くない広場に絵描きさんが人物画・風景画を並べ、似顔絵を描かないかと観光客を奪い合っている。もう15年近く昔になるが、テルトル広場を訪れた際に、そんな光景を写真に撮ってあったので、暇があるので懐かしくなって描いてみた。黒い仔犬が良いアクセントになった。(以上この項終わり)パリのテルトル広場のスナップショットから

  • 宇佐美 りん『推し、燃ゆ』

    ◇『推し、燃ゆ』著者:宇佐美りん2020.9河出書房新社刊現代若者文化にある程度通暁していないとずんずんとは読んでいけない。「推しが燃えた。」冒頭の文言でガツンと来る。「推し」が燃えたではない。もはや推しが市民権を得ている。推しだけでわかるでしょう?というわけだ。ゆかりが推しの上野真幸を知ったのは4歳の時で、真幸は12歳でピーターパンの役をしていた。だが本当に真幸を推しと決めたのは高校生になってからだった。彼はまざま座というアイドルグループの中心人物で活躍していた。しぐさも眼差しも、ニヒルっぽい笑いも何もかも自分にしっくり来て、とにかく夢中になった。バイトで稼いで推しのグループ内での立ち位置を上げようとCDを買い込む。グッズも、ポスターも、ライブのチケットもすべて推し一筋の一途である。学業にも差し支える。両親や...宇佐美りん『推し、燃ゆ』

  • 家庭菜園の大根・小松菜発芽

    ◇大根と小松菜が発芽今年のトマトは珍しくうどん粉病にかかったり、実つきも悪く意外と早く収穫が終わりました。次は小松菜と大根をと、10月3日(日)に小松菜を、4日(月)に大根の種を蒔きました。3週間前には畑を耕して、苦土石灰を施し、堆肥を鋤き込んで土地を整えて、2週間後に元肥を鋤き込んで畝を作りました。大根は深く良く耕すのが大事なのでわずか3畝でも汗びっしょりになります。畝幅90センチ、畝高10センチの畝を作り小松菜は筋蒔き、大根はペットボトルの底を使って蒔き床を作りました。いずれも1センチほど覆土をし、軽く押さえて発芽を待っていたところ、このところ日照りも良く4日目に発芽しました。全体図小松菜小松菜2大根大根2(以上この項終わり)家庭菜園の大根・小松菜発芽

  • 奥田英朗『沈黙の街で』

    ◇『沈黙の街で』著者:奥田英朗2016.1朝日新聞出版刊著者奥田英朗らしい、地方都市の狭い地域社会の中で起きたある事件を巡って展開される人間模様が実にビビッドに描かれていて面白い。ある中学校で2年生の男子生徒が校舎内で転落死した。日ごろからいじめにあっていたことが分かり、警察はいじめの延長上の事件とみて自殺・他殺の両面から捜査を始める。今回の事件によって生徒同士、生徒と先生、先生と校長・教頭、教育委員会、保護者と学校、保護者同士、新聞記者、警察、検察のお互いの関係が鮮やかに描かれる。語り方がうまいし登場人物のキャラクターもリアリティがあって素直に受け入れられる。事件解明の動きとともに背景となった転落少年のクラスにおけるいじめの構図や彼の生い立ち、いじめの深層などがフラッシュバックしながら次第に明らかにされていく...奥田英朗『沈黙の街で』

  • 『モンテ・クリスト伯」(4)』

    ◇『モンテ・クリスト伯(4)』(原題:LeContedeMonteCrist)著者:アレクサンドル・デュマ(AlexzandreDuma)この巻は概ねエドモン・ダンテスを陥れた会計士のダベンポート、婚約者メルセデスの従兄でのちに彼女と結婚したファレル、問答無用で監獄に送り込んだヴィルフォールとその家族に対して復讐の網をめぐらし、それを絞り込んでいく場面に終始する。ヴィルフォールの妻と子を暴れ馬から救ってきっかけを作ったモンテ・クリスト伯は彼に心服するヴィルフォール夫人に対し薬というものの性格、つまり薬として人を助けることもあるが量によって死を招くこともあることを特にヒ素を例に挙げて、さりげなく毒薬としての使い方を教えた。ヴォルフォールの妻が憎んでいる前妻の娘、ヴァランティーヌや義父(ヴィルフォールの父)殺害を企...『モンテ・クリスト伯」(4)』

  • 佐々木譲『地層捜査』

    ◇『地層捜査』著者:佐々木譲2012.2文藝春秋社警察小説の名手佐々木譲らしい典型的な刑事小説。小説の舞台は東京新宿区荒木町。手練れ刑事の捜査経過が丁寧に綴られる。とりわけ、殺人事件の起きた荒木町の現在の姿、戦後の姿が克明に綴られて、題名通り古い地層を一枚一枚めくりあげるような記述が執念深い捜査を裏打ちする。「四谷荒木町老女殺人事件」という15年前の未解決事件が再捜査されることになった。殺人事件の公訴時効が廃止されたからである。警視庁捜査一課に未解決事件捜査を担当する特命捜査対策室が置かれた。上司に反抗的言辞を投げたため謹慎中であった水戸部裕警部補は謹慎解除と引き換えにそこに配属され、唯一の相方として、四谷警察署を退職後相談員となっている加納良一(退職時警部補)と一緒に捜査に当たることになった。加納元警部補は当...佐々木譲『地層捜査』

  • 米澤 穂信の『Iの悲劇』

    ◇Iの悲劇著者:米澤穂信2019.9文藝春秋社刊連作短篇集である。Iとは人名略号と思いきや某市Iターン推進課のIのことだった。6年前に無人となった村にを再生させようとするプロジェクト、担当課は「甦り課」というが、課長を含め職員は3人しかいない。去年採用されたばかりの観山遊香という女性とやる気のない五十男の課長西野秀嗣。そして厄介事は一人で背負わなくてはならない中堅職員万願寺邦和。(以上序章)プロローグには「そして誰もいなくなった」とある。いまや限界集落はどこにもある。たっぷりあるのは自然だけで、働き口もないところに誰が移住するのか。何か問題を抱えた人たちが市や町の助成策を当てにして移り住むのだが…。「軽い雨」最初の2家族が隣同士になって、それぞれに騒音など不満が出て、作為的な失火事件まで起きてしまう。安久津さん...米澤穂信の『Iの悲劇』

  • インガー・アッシュ・ウルフ『死を騙る男』

    ◇『死を騙る男』(原題:THECALLING)著者:インガー・アッシュ・ウルフ(IngerAshWolfe)訳者:藤倉秀彦2011.1東京創元社刊アメリカの警察小説はずいぶん読んだが、カナダの警察小説は少ない。この小説はカナダケベック州の片田舎の女性署長と数少ない刑事の連続殺人への取り組みが主体であるが、片田舎とはいえなかなかの分析力と推理力を発揮してテンポよく捜査が展開されていくので小気味よい。事件は宗教がらみで動機も殺人者と被害者の接触方法がなかなか捉えられなくて苦労するのであるが捜査陣の話と殺人者の話がほぼ交互に語られて、それなりに分かり易い。カナダ・オンタリオ州のポート・ダンダスという田舎の警察署。署長が引退してもいつまでたって後任が発令されずヘイゼルという61歳の女性警部補が事実上の署の代表となってい...インガー・アッシュ・ウルフ『死を騙る男』

  • 上高地三部作・明神池への木道

    ◇上高地三部作・明神池への木道ArshesF6(rough)上高地河童橋から明神池までの散策路は木道です。40分くらいかかります。ここから明神橋を経て梓川沿いに河童橋まで戻ります。木道はハイシーズンの割に空いていました。川沿いの澄み切った空気の中、カラマツの林を散策するのは気持ちの良いものです。カラマツ林の木道の先を歩む二人連れのハイカーがポイントでした。(以上この項終わり)上高地三部作・明神池への木道

  • 上高地三部作・明神池への木道

    ◇上高地三部作・明神池への木道ArshesF6(rough)上高地河童橋から明神池までの散策路は木道です。40分くらいかかります。ここから明神橋を経て梓川沿いに河童橋まで戻ります。木道はハイシーズンの割に空いていました。川沿いの澄み切った空気が漂うカラマツ林を散策するのは気持ちの良いものです。カラマツ林の中、木道の先を歩む二人連れのハイカーがポイントでした。(以上この項終わり)上高地三部作・明神池への木道

  • 北アルプス・穂高岳を描く

    ◇晩秋の穂高岳clesterF8(中目)2012年11月に同期会の集まりで中の湯に宿泊し、翌日上高地に出かけました。その際河童橋の袂から梓川と涸沢をスケッチし、帰宅してから描きましたが、明神池の先の吊り橋から撮った穂高岳はそのままになっていました。コロナで読書三昧になっている合間にこの際とばかりに手を付けました。11月ということで高い山は既に新雪を頂いていました。手前の白い巨岩はもう少し丁寧に描かなければいけなかったと反省しています。この山に登った人にはすぐばれるのでその姿形はをおろそかにできません。山並みをどの程度精緻に描くかは悩むところです。(以上この項終わり)北アルプス・穂高岳を描く

  • 初夏の池塘を描く

    ◇十和田市・高原の池塘clesterF4(中目)投資先のある会社から半期ごとに会社の経営状況について中間報告が送られて来ます。そのリーフレットには毎回実に見事な風景写真が使われていて、今回はたまらず絵に描いてみました。表紙の説明には「撮影地:青森県十和田市撮影機種EOSRS」としかありません。前面の花は初夏のれんげツツジでしょう。とにかく風もなく鏡面のような池塘に白い雲が浮かんで、聞こえるのは鳥の啼き声だけ。ややラフですがそんな雰囲気が表現できたか、どうでしょうか。初夏の池塘を描く

  • アレクサンドル・デユマ 『モンテ・クリスト伯(三)』

    ◇『モンテ・クリスト伯(三)』(原題:LeContedeMonteCristo)著者:アレクサンドル・デユマ(AlexandreDuma)訳者:山内義雄1956.3岩波書店刊いまはモンテ・クリスト伯と称するエドモン・ダンテスはフランツとアルベールという二人の青年貴族を手厚く遇し、正義と復讐の実現及び刑罰のもつ意義と性質などについて持論を展開し、やや強引にパロマ広場における2件の斬殺処刑見物を共にする。ローマの貴族社会におけるクリスト伯に対する感触といえば、出自が判然としないことや冷酷そうな風貌から「気味悪い」印象のようだ。ポポロ広場・ベネティア広場での謝肉祭の様子が生き生きと語られる。フランツは女性と姿を消したアルベールから山賊に捕われた、4千ピアストルという誘拐の身代金を工面してくれという手紙を受けとる。フラ...アレクサンドル・デユマ『モンテ・クリスト伯(三)』

  • 裏磐梯・五色沼群・毘沙門沼を描く

    ◇台風一過の毘沙門沼(福島県裏磐梯)clesterF8(中目)娘家族と8人乗りの車で福島県裏磐梯にある五色沼群の一つ毘沙門沼に出かけた。前日は台風の余波で時折風雨が強く吹き、当日も雨の心配があったが標高1200mの毘沙門沼についたころには雨が上がって、裏磐梯の噴火口のガレ場も見えた。回遊路とっつきの沼「毘沙門沼」は日曜ということもあって、車で来た家族連れやカップルでにぎわっていた。絵は人物中心のような構図になって、沼の静謐な雰囲気がうまく表現できていないような感じになった。(以上この項終わり)裏磐梯・五色沼群・毘沙門沼を描く

  • アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(二)』

    ◇『モンテ・クリスト伯(二)』(原題:LeContedeMonteCristo)著者:アレクサンドル・デュマ(AlexandreDuma)訳者:山内義雄岩波書店(岩波文庫)<遺骸と置き換わって>司祭は亡くなった。ダンテスは司祭の遺骸を自分の獄房に寝かせ、自ら遺骸袋に入り脱獄することにする。墓場に土をどうするか心配しているうちに獄吏たちは横着をして遺骸を断崖から海に投げ捨てる。しかも重石を結び付けて。ダンテスは持っていた小刀で嚢を切り裂き、重石を外し監獄島とは別の小島を目指し泳ぎついた。そして通りかかった帆船を目指し必死で泳ぎ続けた。<密輸船に助けられ>それはジュヌ・アメリー号という密輸入船の一つだった。嵐で遭難した船の乗員の一人という説明に、やや不審に思いながらも巧みな操船技術に惚れ込んだ船長の計らいで船員の一...アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯(二)』

  • 今野 敏の『天を測る』

    ◇『天を測る』著者:今野敏2020.12講談社刊これまで今野敏氏の作品は結構沢山読んできたが、今回の幕末・明治維新期の歴史小説(あるいは時代小説)は初めてである。歴史的人物としてはあまり著名ではないと思うが、小野友五郎という算学を軸に近代日本の基礎作りで活躍した江戸幕府の中堅幹部をかくも色鮮やかに描き上げたのはさすがである。話は米国派遣艦に随伴した咸臨丸の操船場面から始まる。日本人による操船に不安があり、米国船員が十数人乗り込んでいるが、長崎伝習所、軍艦操練所出身の小野友五郎などが測量方として乗り込み、六分儀などを駆使しながら船の位置などを正確に計算していることに米国人らは驚く。何しろ友五郎は「世の理(ことわり)はすべて簡単な数式で表わすことができるのではないかと思います」というくらい論理的思考が勝っているから...今野敏の『天を測る』

  • アレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯(一)』

    ◇『モンテ・クリスト伯(一)』(原題:LeContedeMonteCristo)著者:アレクサンドル・デュマ(AlexandreDuma)訳者:山内義雄1956.2岩波書店刊(岩波文庫)半世紀以上の昔にアレクサンドル・デュマの『巌窟王』として読んだ記憶がある。1905年(明治38年)黒岩涙香が『モンテ・クリスト伯』を翻案として世に出した本『巌窟王』が学校の図書室にあったと思われる。面白かったという記憶だけで、ストーリーの詳細は憶えていなかった。デュマは『三銃士』も書いており、たしかこれも面白かった。現在は文庫本で読めるのは岩波の山内義雄訳『モンテ・クリスト伯』(1~7巻)だけのようである。翻訳文体などは旧いが味もある。ナポレオンの失脚、エルバ島への軟禁。ルイ18世の復位、ナポレオンの復帰といった目まぐるしいフラ...アレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯(一)』

  • 染井 為人『悪い夏』

    ◇『悪い夏』著者:染井為人2017.9KADOKAWA刊大37回横溝正史ミステリー大賞(優秀賞)受賞作。作者のデビュー作品である。生活保護費の不正受給や育児ネグレクト、薬物売買、など現代社会のダークな世界をドラマチックに描き出した傑作。映画・ドラマ化でヒット疑いなしの作品と思うが…まだ?毎度のことながらこの作家は多彩な登場人物と絶妙な筋運びで、軽快なテンポのためつい一気読みしてしまう。中心人物といえば千葉県船岡市という仮想都市の社会福祉事務所の生真面目で好人物の担当者(ケースワーカー)佐々木守と思うが、対極にいる同僚の悪徳担当者高野洋司が相当なワルで、宮田有子も結構不可解な言動でストーリーを盛り上げる。一方生活保護不正受給者では山田吉男が筆頭で、育児放棄・ネグレクト母親の林野愛実も捉えどころがなく手に負えない。...染井為人『悪い夏』

  • 吉川英治の『新書太閤記(十一)』

    ◇『新書太閤記(十一)』著者:吉川英治1990.8講談社刊(吉川英治歴史時代文庫)吉川英治『新書太閤記』の最終巻である。黒石・白石、戦算、大蟹・小蟹、老いらくの将、女弟子、内と外、姉の子、矢田川原、熱鉄を吞む、表裏の北陸、迷霧、奥村夫妻、つなぎ烽火、雪の迷路、北風南波、鳴門陣、雑魚大魚、笑い候え、君と一夕の会、関白、忍の人、若き日の幸村、冬の風、二つの世間、強引・強拒、禁園の賊とその項26に及ぶ。話は秀吉だけではなく、生涯の好敵手家康との駆け引き、家康に一矢を報いた真田幸村のこと、佐々成政の利家への無謀な挑戦と秀吉の鉄槌、秀吉上杉景勝との会盟、石川伯耆守数正の離反、関白という官職を得ていよいよ徳川攻略を虎視眈々と狙う秀吉の深謀遠慮を描く。北畠信雄は秀吉の巧みな口舌に乗せられ、共に戦った家康に何の相談もなく、うか...吉川英治の『新書太閤記(十一)』

  • 頂いた佐野の桃を描く

    ◇Kさんからの贈り物の桃clesterF6(細目)妻の友人Kさんから桃の贈り物が届きました。今年はサクランボも桃も霜や雹などにやられてどこでも不作のようです。したがって貴重な桃です。こんなにたくさんの桃はあまり描く機会がないので無理をして積み上げて描いてみました。添え物は中玉のミニトマトです。モモはハイライトがなく、柔毛が特徴です。不透明のホワイトを加えると成功する場合がありますが、今回はうまくいきませんでした。関東地方は昨年より2週間くらい早く今日梅雨明けしました。モモ、ぶどう、トウモロコシなど果物がおいしい季節です。この桃は白桃でした。(以上この項終わり)頂いた佐野の桃を描く

  • 柚月 裕子の『暴虎の牙』

    ◇『暴虎の牙』著者:柚月裕子2020.3KADOKAWA刊極道と不良・暴走族など愚連隊といった反社会勢力同士の抗争を描いた長編。『虎狼の牙』シリーズ完結篇である。全編これやくざ者同士の抗争と警察暴対班の癒着体質のが綾なす劇画調ハードボイルドロマンである。前半は広島県警広島北署の暴力団担当捜査二課の係長大上章吾とハングレ集団呉寅会の頭沖虎彦を中心とした流れ、後半は呉原東署捜査二課の班長日岡秀一の登場である(日岡は「虎狼の血シリーズ」に登場した大上の愛弟子である)。これだけ裏社会に詳しく、ハングレ同士の決闘場面、残酷なシーンをリアルに描く女性作者はあまりいない。今回は結末が幾分緩い感じである。大上刑事はやくざ社会幹部と癒着し手柄も立てるので上司も独断専行も許している。作中では広寅のメンバーを初め地取りの叔母さんやホ...柚月裕子の『暴虎の牙』

  • 篠田節子の『カノン』

    ◇『カノン』著者:篠田節子1999.4文藝春秋社(文春文庫)のっけからバッハの無伴奏パルティータ、難解な音楽理論などが登場し、クラシック世界にやけに詳しくて作者篠田節子はこんな世界にも造詣が深かったのかと思ったら、趣味がチェロ演奏だと知って納得がいった。これは音楽を基軸にしたホラーリッシュな作品である。最初亡くなった友人から贈られたCDの曲がいろんな局面で勝手に流れだすあたりは、ふむふむと思ったが、後半でその人物の幻影(亡霊)が現れ、恨めしい表情も見せず消えていく場面を迎えて完璧なホラーと知った。元来ホラーとは嫌悪感を伴う恐怖を指すらしいが、この小説では嫌悪の情よりも友への哀切の情を残しながらこの世を去った薄命の天才青年の現世への強烈な未練の表象として受け止められる。音楽留学を射程に置いたほどの腕前を持つ香西瑞...篠田節子の『カノン』

  • カサブランカとスカシユリの対話

    ◇ユリ科の女王カサブランカが咲いて庭のカサブランカが咲きました。先に咲いた4種類のスカシユリは既に散り果てて、最後のスカシユリが一緒に咲いています。「あんた、色白だし、ずいぶん大柄だし、どこから来たの?」(スカシユリ)「どこからって言われても…あなたと同じ栽培種だから言ってみれば混血ね」(カサブランカ)「生まれは選べないからしょうがないけど、いい匂いだし、豪華で目立つからもてて得だよね」「でも、花の命は短くて苦しきことのみ多かれば風も吹くなり雲も光るなりよ。いつかは同じように死ぬのよ」「わたしどうせ短い一生なら、あなたのように美しくもてはやされて死にたい」「あなただって身長がなくっても華やかな色で人さまを楽しませているわ、同じよ」(以上勝手に想像したスカシユリとカサブランカの対話です)カサブランカは首を垂直か上...カサブランカとスカシユリの対話

  • 垣谷 美雨の『女たちの避難所』

    ◇『女たちの避難所』著者:垣谷美雨2017.7新潮社刊(新潮文庫)東日本大震災を題材にした被災した女性たちの物語である。著者が実際に被災したり身内に被災者がいたわけではないが、津波や被災の状況や避難所の様子などが生々しく伝わってきて、正調東北弁なのかどうかはともかく現地らしさがリアルで、引きずり込まれる。あとがきには作者は現地を訪れ、資料を読み、福島・宮城の被災した友人から話を聞き、仕切りのない避難所で苦闘する女性たちを、生活者の目線で追うことを心がけたとある。主人公は3人の中年の女性である。①ナギサ洞というスナックを営む山野渚。夫とは離婚して昌也という小6の息子がいる。②椿原福子。パチンコに明け暮れる夫がいる。津波で”夫が死んでくれれば”と思った。③乳飲み子を抱えた漆山遠乃。色白の美人。津波で夫を亡くした。頑...垣谷美雨の『女たちの避難所』

  • 家庭菜園のトマト栽培(その5)

    ◇令和3年のトマト終焉を迎えるついに連作障害出現か。まだ7月半ばというのに、すでにトマトはうどん粉病に感染し、消毒で何とか持ち直したものの今度は下葉が黄色く枯れ、もはやこれ以上の結果は望めないと観念いたしました。終わりです。来年はここでのナス科作物は休耕でしょうか。うどん粉病を克服したのに無残な姿無惨な姿2第5果第5果鉢植えの中玉(第3果)(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培(その5)

  • 染井 為人の『正体』

    ◇『正体』著者:染井為人2020.1光文社刊2017年『悪い夏』で横溝正史ミステリー大賞優秀賞を受賞した作者の『正義の申し子』、『震える天秤』に次ぐ第4作目である。冤罪で少年でありながら死刑宣告を受け脱獄した事件を追う。ある意味数多の冤罪事件を生み出している日本の司法、警察、検察、裁判所を指弾する作品である。死刑囚が脱獄してから追い詰められて銃で撃たれ死ぬまでの1年半の逃走劇を時系列で何段階かに分けてまとめているが、登場人物のキャラクターが巧みに設定されていてインターテイメント色満点である。特に作者の出身地かと紛うばかり(作者は千葉県出身)の山形弁を駆使した会話が面白い。若い夫婦とその子供が刺殺され、隣家から通報を受けた警官が刺殺体のそばにいた少年(当時18歳)を現行犯逮捕した。本人自白で立件され裁判では無罪を...染井為人の『正体』

  • 吉川英治の『新書太閤記(十)』

    ◇『新書太閤記(十)』著者:吉川英治1995.5講談社刊(吉川英治歴史時代文庫)琵琶湖湖畔の賤ケ岳での戦いで当面の剔柴田勝家陣営を打ち負かした羽柴秀吉の次の頭痛の種は東の雄徳川家康との関係である。柴田勝家に勝った秀吉は信長の一周忌を営んだのち大阪に規模壮大な居城を構築し始めた。その規模は信長の安土城をはるかに凌ぐ壮大なものとなった。しかもわずか6カ月の短期間に諸国諸将に競わせ完成させた。信長の嫡子らを差し置いて天下をほしいままにしている佞姦秀吉という一部の世評は秀吉を悩ませている。家康は信長の3男信雄と語らい、義をもって秀吉を懲らしめる戦が必至とみて作戦を練る。秀吉は勝家に次ぐ信長に重臣であった丹羽長秀をぜひ味方に受けたいし、未だ旗幟を明らかにしていない諸将らに書を認め使いを送り味方に付けようと奔走する。家康は...吉川英治の『新書太閤記(十)』

  • スペインの世界遺産トレドの街を描く

    ◇トレドの展望台からアルカサルなど街を俯瞰clesterF82008年というずいぶん昔にスペイン旅行で訪ねた世界遺産都市トレドの街を俯瞰した絵です。丘の上の軍事博物館(図書館併設)アルカサルが象徴的な、街全体が見渡せる展望台からの眺望です。当時描いた絵をもう一度描き直してみました。立て込んだ建物を描くのに苦労します。アルカサルの威厳ある姿とタホ川の流れが、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の文化が共存していたというトレドという都市の、なんともいえない調和を感じます。(以上この項終わり)スペインの世界遺産トレドの街を描く

  • 家庭菜園のトマト栽培(その4)

    ◇収穫期に入った露地栽培のトマト実を付け始めてほぼ1カ月、そろそろ収獲期です。接ぎ木の銘柄トマトも、実生の桃太郎もほとんど変わらない育ち方です。人間の子供と同じです。出自がどうであろうが、子供のころは同じように元気に生まれます。今週末には第3回目の追肥を行います。我が家のトマトの唯一の弱点は木が徒長気味なこと。多分元肥の肥料のせいと思われます。来年は工夫してみます。第3果まで実が大きく育っています。この上に第5果の花が咲いたので中心部を摘みました。これ以上伸ばしてもエネルギーが分散して大した実が期待できないからです。これは中玉のトマトの第2です。普通のミニトマト中玉のトマト、既に1個は収穫済み<付録>ポット栽培の茄子と胡瓜(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培(その4)

  • 高杉 良の『雨にも負けず』

    ◇『雨にも負けず(小説ITベンチャー)』著者:高杉良2021.3KADOKAWA刊企業小説がお得意の高杉良のベンチャーもの。早稲田の工学部出身で、一旦損害保険会社に契約社員として就職した主人公が、5年後にベンチャーとして独立創業したものの、アメリカで電子情報の大量搬送モデルを開発し起業した日本人創業者にマンハントされ、存立の危機に立たされた本社を見限り、日本法人をアメリカ大企業を相手取った訴訟を通じて大成功に導くというお話。学歴も出自も定かでない人物が、新しいビジネスモデルを構築し大発展を遂げ、経済環境変化であえなくあぶくと消えていく。そんな小説ではない。堅実な家庭に育ち、いい大学を出て、一流の会社で実績を上げ、起業する。そしてマンハントされた会社で飛躍を夢見たものの、創業者の実力を見誤って挫折を味わう。しかし...高杉良の『雨にも負けず』

  • 枝付きの枇杷を描く

    ◇房州枇杷を描くclesterF6(中目)今年も妻の知人の方から松戸のご自宅に成った枇杷を頂いた。以前にも頂いて絵にしたことがある。枝付きの枇杷はめったに手にすることがないので、また描いた。前回と同様、枇杷は器には盛らず、新聞紙に置いた。新聞は国内の新聞だと、つい文字を追ってしまうことになるので、英字新聞にした。コロナの前年次女が持ってきたLosAngelsTimes日曜版(2019.6.9)1面にはトランプの国境への壁の構築の記事と、クローンを使った環境調査の写真が載っている。枇杷は果皮が薄いオレンジ色である。コントラストを強調するために幾分濃いめにとバーントシエナを少し加えた。ピーコックグリーンの葉はうらが粉っぽい柔毛で特徴がある。(以上この項終わり)枝付きの枇杷を描く

  • 透明水彩でスカシユリを描く

    ◇庭のスカシユリを描くclusterF4(中目)庭の百合第1弾。スカシユリ。この後絵の左奥にある百合カサブランカが咲きます。カサブランカほどの華麗さもなくこれと言った特徴はありませんが、この園芸種のスカシユリはちょっと紫がかったピンク色の花弁が魅力的です。花言葉は「飾らぬ美」。(以上この項終わり)透明水彩でスカシユリを描く

  • 吉川英治の『新書太閤記(九)』

    ◇『新書太閤記(九)』著者:吉川英治1995.5講談社刊(吉川英治歴史時代文庫)吉川英治の『新書太閤記(九)』

  • 市川市大町公園の池を描く

    ◇緑豊かな大町公園を写生ArchesF6(荒目)北総鉄道の大町駅から300Mほど歩いたところに入口がある大町公園。長田谷津と呼ばれる谷間に湧水を持つ水路があり、ビオトープとなっています。バラ園や植物園があり、アスレチックや奥には市川市動植物園もあります。この絵は水路の一番奥にある池を描いたもので周囲の斜面にあるうっそうとした木立が谷津田を取り囲んでいます。実は昨年9月に水彩画グループでここで写生会を行いました。その際スケッチした絵を取り出し色を置いたものです。人物は少しでも動きがあるものをと思って加えました。(以上この項終わり)市川市大町公園の池を描く

  • コルソン・ホワイトヘッドの『ニッケル・ボーイズ』

    ◇『ニッケル・ボーイズ』(原題:NIKELBOYS)著者:コルソン・ホワイトヘッド(COLSONWHITEHEAD)訳者:藤井光2020.11早川書房刊コルソン・ホワイトヘッドが淡々とした語り口ながらアメリカの黒人に対する人種差別の実態に鋭く切り込んだ作品である。時代は少し遡るものの同様に人種差別を取り上げた「地下鉄道」の方がスリリングで物語性を持っていて、本作は作者独特の抑制の効いた叙述が残酷な内容にそぐわないような気がしないでもない。確かに常軌を逸した虐待のおぞましさには目を背ける思いであるが、アメリカではこの少年院だけでなく、刑務所のような施設でも似たような暴力、虐待が日常的に行われているに違いないと思わせるものがある。この作品は前作『地下鉄道』と同様ピュリッツァー賞を受賞した。フロリダ州タラハシーにニッ...コルソン・ホワイトヘッドの『ニッケル・ボーイズ』

  • 家庭菜園のトマト栽培(その3)

    ◇トマトは実を付け始めました苗を定植してから4週間たって、今日2回目の追肥を施しました。トマトも子供ができると食欲旺盛になって、栄養を多く求めるようです。第1果は葉の7から8枚目の上につきます。大体4・5個付くので、育ちがよくないものいびつなものなどは摘果します。第1果ができるとそこに栄養が行き過ぎるので全部摘果を勧める向きがありますが、あまり神経質にならない方が良いという方もいます。ちょっといびつなもの以外はそのままにしておくのが我が家の栽培方針です。今年も何となく徒長を疑わせる伸びですが、木は太くなってきたのでまあいいかと思っています。6月の末頃には色付いてきます。(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培(その3)

  • 吉川英治の『新書太閤記(八)』

    ◇『新書太閤記(八)』著者:吉川英治1990.7講談社刊(吉川英治歴史時代文庫)秀吉は信長の悲報に接してからもこれまでと変わらない日課を続ける。そして安国寺恵瓊を介して高松城の解放・毛利軍との和解工作を進めた。信長死去の報が毛利軍に伝わらないうちに和睦を決めなければならない。間一髪、4千の城兵・領民を解放する代わり清水宗治が切腹し馘を差し出すことを条件とする和議案を宗治がのんだ。毛利輝元、吉川元春、小早川隆景と和睦の誓書が交わされて2時間後毛利軍は信長死去を知った。当然毛利側は烈火のごとく怒り、秀吉討つべしの声も多かったが、小早川隆景の冷徹な判断が優位となり結局秀吉軍は高松城解放の後直ちに姫路城を経て京を目指し、わずか3日で大阪尼崎に到達した。秀吉は父の敵討ち、弔い合戦という大義名分を掲げるために信長の3男神戸...吉川英治の『新書太閤記(八)』

  • 田園のレストラン「アンチーブ」

    ◇田園の中のレストラン「アンチーブ」15×21cm先週の金曜日、気温が高く日差しが強い中、かねてから気になっていた田圃の脇にある「軽食・喫茶の店アンチーブ」を描いてみようと、小さなスケッチブックを持って出かけました。大津川沿いに広がる稲田の脇を走る農道(とはいえ主として車が便利に使う)脇に緑色の屋根を持った小洒落たレストランがあります。6・7台は停まれる駐車スペースもあって、時分時には結構客が入っているようです。市街地から離れていて周辺には民家がちらほらといった場所で、あえて絵の中では省略したものの、目の前の水田には植えたばかりの細い苗が風に揺られていました。何本かある散歩道の一つ。これからこの苗はどんどん育ち、秋には首を垂れた黄金色の稲穂が波打ち、やがて刈り取られます。木立の新緑をもっと丁寧に描きたかったので...田園のレストラン「アンチーブ」

  • シャネル・ミラーの『私の名前を知って』

    ◇『私の名前を知って』(原題:KNOWMYNAME)著者:シャネル・ミラー(CHANELMILLER)訳者:2021.2河出書房新社刊全世界に性暴力とは何かを教え、差別への考え方を決定的に変えた衝撃の回顧録。これが出版社の惹句である。性暴力被害者が書いた世間の偏見に挑戦した稀有の実録である。本書でわれわれは、性犯罪の裁判という裁きの場にあっては、実は裁かれているのは加害者ではなく、被害者であるという現実をまざまざと実感させられるのである。作者は「まえがき」に書く。「…これは究極の真実ではない。私が力の限りを尽くして語った、私の真実だ。私の目と耳を通して真実を知りたい人、私が胸の中で何を感じ、公判中にトイレに隠れていたかを知りたい人に、この本を提供する。こちらから与えられるものを与えるので、あなたは必要なものを受...シャネル・ミラーの『私の名前を知って』

  • ジョージ・ソーンダーズの『十二月の十日』

    ◇『十二月の十日』(原題:TENTHOFDECEMBER)著者:ジョージ・ソーンダーズ(GeorgeSaundaers)訳者:岸本佐知子2019.12河出書房新社刊11篇の短篇集。いずれもとにかく文句なしに面白い。特徴と言えば、この作品に登場する人物はいずれもいうことなすことどこかちょっとずれているダメ人間であるが、どこか憎めないというか人間の良いところを失っていない愛すべき人たちである。いま一つの特徴はギャグの連発と、奇抜な罵詈雑言の乱発。原文を知りたいが、翻訳者を泣かせたりはしなかっただろうか。(ファックシットあほボケカス)、(ウンコチンコマンコ糞ボケ死ねカスケツの穴ファック)。<アル・ルーステン>のアルなどはどうしようもないダメおやじ。彼はアンティク・ショップの店主で、裕福な不動産屋のドンフリーに対抗心を...ジョージ・ソーンダーズの『十二月の十日』

  • 吉川英治の『新書太閤記(七)』

    ◇『新書太閤記(七)』著者:吉川英治1990.7講談社刊(吉川英治歴史時代文庫)天正十年春、信長は得意の絶頂にあった。上杉謙信はすでに亡く、武田勝頼は家康と共に追い詰め滅亡させた。目の上の瘤であった叡山も石山も完膚なきまでに叩き潰した。そして催告の中国攻めは秀吉が攻略の要である高松城を包囲し、水攻めの秘策をもってあとは信長の出陣で仕上げをする段取りになっていた。一方安土城では甲州攻めで共に戦った盟友家康を招き、最高のもてなしで宴を張ろうとしていた。とっころが信長はそこでも一旦光秀を接待役に据えながら突然中国船の前線へ行けと命令を下す。この仕打ちの隠された意図を知り光秀は暗然とする。吉川英治の『新書太閤記(七)』

  • 家庭菜園のトマト栽培(その2)

    ◇令和3年のトマトに支柱立て今年のトマトの定植は4月23日。ご覧の通り樹高もほぼ30センチとなったので支柱を立てました。昨日一昨日と激しい雨風で心配しましたが、仮支柱は役立っていました。今日は天候もよく今日は玄関フロアをワックス掛けを終わったところでトマト栽培の大事な作業の一つ「支柱立てと誘引」をしました。ほぼ昨年と同じ時期です。誘引はトマトの木脇に立てた支柱に麻ひもを8の字に撚って木を寄せて縛ります。1本の木で最終的には5・6か所誘引します。第1果の花が咲いています。(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培(その2)

  • 吉川英治『新書太閤記(六)』

    ◇『新書太閤記(六)』著者:吉川英治1990.6講談社刊(吉川英治歴史時代文庫)信長の中国攻略は総大将に秀吉が据えられて他の先輩幹部は複雑な気持ちを抱えて応援に向かう。頑強に抵抗を続けた三木城は秀吉の遣わした官兵衛の説得に応じ城主別所長治、乙戸友行、一族治忠が割腹し、ついに3年近くに及ぶ籠城が終わりを告げた。これには毛利方は慌てた。丹後を受け持つ光秀は次々と小城を陥すものの牙城八上城がなかなか落ちない。秀吉の華々しい中国攻略の戦果を耳にするにつけ、信長の気持ちを忖度する。秀吉は細かなことでもいちいち信長に報告乃至相談していた。「報連相」を欠かさなかった秀吉は「愛いやつ」だったが、秀吉の中国戦線での快進撃に後れを取っていることへの焦りと、信長の不満不信を懸念する光秀では決定的に格差がついてしまったのである。秀吉が...吉川英治『新書太閤記(六)』

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