静かな画家である。寡黙というのではない。語り始めると、一晩中でも話題が尽きることはない。それは、いまから40年も前に、第一期の由布院空想の森美術館に彼が200枚とか400枚というデッサンを持ち込み、二人で語り合った体験があるから、私にはわかっている。けれども、誰かと話す時でも彼はメモ帳か小さなスケッチブックを持ち、絶えずペンを走らせ続けているから、初めて対面した人などは、この人は気難しい人に違いない、とか、沈黙の画家である、“描きまくり三世”、などと形容するのである。上掲は画集「WORKSOFKUNIHIROTASIRO」(森と目黒者/2020)の一ページ目の写真。これをみれば、画家・田代国浩は孤独な人ではなく、街へ出たり、子供たちと一緒に描いたり、アトリエを開放した絵画教室で仲間たちと描く日常があったり...手練の技【第四期:空想の森アートコレクティブ企画<´25-30>】熱量の基底―描きまくり三世の仕事/田代国浩展⑥