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敏洋 ’s 昭和の恋物語り https://blog.goo.ne.jp/toppy_0024

[水たまりの中の青空]小夜子という女性の一代記です。戦後の荒廃からのし上がった御手洗武蔵と結ばれて…

敏ちゃん
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住所
岐阜市
出身
伊万里市
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2014/10/10

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  • ポエム ~黄昏編~ (遠くに行きたい)

    さよならのひと言はとても淋しい車のヘッドライトが眩しく光り消えて行くそしてぼくは小雨の白い舗道を独り歩く……歩いていたいどこというあてもなく歩いていたい何も考えずただ歩いていたいそしてこのまま遠くに行きたい=背景と解説=あの名曲、[遠くに行きたい]に触発された詩です。現実逃避、ですかね。モテ期が去った男の弱さを、どうぞお楽しみ下さい、なんちゃってね。もう半世紀も前のことですので、なにが本当のことなのかは、自分でも判然としません。その折りの気持ちを、いま分かろうとしても霧の中でモヤモヤする感じです。そうですね。何かを問いかけても、黒い闇を相手にしているようで、すべての言葉が吸い込まれてしまいます。時期的に覚えていることは、高校での役員選挙において、立候補をしておきながら選挙期間中に家出をしてしまってというこ...ポエム~黄昏編~(遠くに行きたい)

  • 小説・二十歳の日記 七月二十日 (曇り)

    くもり空のきょう。まるでこのぼくのこころそのものだ。くもり空、いつか降るだろう雨を、大きな広がりのどこかに隠している。いや、ひょっとして降らないのかもしれない……けさ、いまにも降り出しそうな空で、しかたなく傘を持って出たよ。えっ?相あい傘を期待したのかって?うーん、どうかな、ちょっとはあったかな。で、アパートに帰り着くまでのあいだ、この傘のなんと恨めしかったことか!アイデアルならまだしも、親父ゆずりの古いコウモリ傘は、いかにもぶかっこうだ。初めてのデートだというのに、彼女にも笑われた。今夜は、もう寝る。*アイデアル=折り畳み式の傘小説・二十歳の日記七月二十日(曇り)

  • 奇天烈 ~赤児と銃弾の併存する街~ (二)やれやれ

    やれやれと思ったものの、甘かった。帰宅後にかならず話をきかせてくれと、念をおされた。まあ暇をもてあましているのはわかるのだが、〝わたしは男なんですよ。勘弁してくれないかなあ〟。そんな思いをもちながら、車にのりこんだ。ハローワークの担当者が口すっぱくすすめる、エコ検定なるものがあった。「邪魔になるものでもありませんし、ぜひお取りください。わたしとしては、エコ検定をおすすめします。大丈夫です、専門知識はいりません。問題集もでていますし、常識問題ばかりです。こうした資格というのは、あんがいと再就職に有利にはたらくものですよ」神妙な顔つきでうなずいてはみたものの、こころ内では“受験だって?なんでいまさら…。かんべんしてくれよ”と舌打ちものだった。しかし再就職に有利にはこときくにいたって、取得を決めた。さっそく本屋...奇天烈~赤児と銃弾の併存する街~(二)やれやれ

  • スピンオフ作品 ~ 名水館女将、光子! ~ (二十四)(去れば、去るとき、:五)

    そして大女将との約束の一年がちかづいてまいりました。瑞祥苑からおひまをいただくために、どう切りだして良いものやらと考えあぐねていたときでございます。「光子さん、ちょっといらっしゃい」と、女将からよばれました。お客さまをお迎えするまえの時間帯でございます。仲居一同、いそがしく準備をしております。そんなときの声かけに、なにか粗相をしたのかと気になりました。ふだんの穏やかな表情ではなく、口をへの字にむすばれて口角もさがりぎみの不機嫌さのただようお顔も気になるところです。女将の部屋にはいるなり、「申し訳ございません。なにか粗相をしておりましたらお詫びいたします」と、畳に頭をこすりつけました。ところが、きゅうに女将が笑いだされまして。こんなことは、はじめてのことでございます。女将のわらいごえなど、ついぞ聞いたことが...スピンオフ作品~名水館女将、光子!~(二十四)(去れば、去るとき、:五)

  • [ライフ!] ボク、みつけたよ! (四)もうなん年前に

    もうなん年前になるでしょうか、生まれ故郷である伊万里市に帰ってみたいなと思いはじめたのは。きっかけは「まるでちがう街みたいだったぞ」という兄のひと言でした。いえ、正直に言いましょう。あることを確かめたくて――本人の口から直接聞くことができれば、それが一番なのですが。いまどこで何をしているやら。いや、おそらくはもうこの世には居ないでしょう。そもそも小説をもろもろの賞に応募しているのは、その人に気づいてもらいたいということなのです。あなたが捨てたわたしは、ここに居ます。そしてこんなわたしになりました、と知らしめたいのですから。そのためにも、わたしがわたし自身をより強く知らねばならぬと思っているのです。恥をさらすようですが、人間としての資質に疑問を抱いているのです。失礼、だれのことなのかを説明していませんでした...[ライフ!]ボク、みつけたよ!(四)もうなん年前に

  • 愛の横顔 ~RE:地獄変~ (八)その大きな通りには

    その大きな通りには比較的大きな店が多くて、そうそう百貨店もあるのです。お正月に集まる親戚のおじさんおばさんとともに、お買い物をしたりお食事をしたり、そしていち番の楽しみは屋上での乗り物あそびでした。バス停のない大通りだということで、いまバス停新設陳情と申しますのですか、この間「署名してくれ」と町内会長さんがまわってこられました。父にも役員になってくれとお誘いの声がかかってしまいますが、すぐには無理だが近いうちにはと答えていたようです。両親ともにお店がありますので、お休みは元旦の日だけでした。日曜日や旗日なんぞは、とくにお店が忙しく休みにはなりません。で、必然ひとり遊びばかりでしたが、仕方がありません。ご近所には同じ年頃の娘もおりませんし。たまに町内会のお兄さんやお姉さんたちが映画館やら遊園地に連れていって...愛の横顔~RE:地獄変~(八)その大きな通りには

  • 水たまりの中の青空 ~第三部~ (四百四十二)

    社葬が、年が明けた1月の中旬にとりおこなうことがきまった。場所の選定については五平に一任され、まずは有名神社仏閣をかんがえた。その旨を小夜子につげると、即座に「似合わないわよ、武蔵には」と異をとなえた。〝たしかにそうだ。ご神仏とは縁のないわれわれだった〟。ホテルのホールとも考えたが、それもまたおかしな話だと、自身が首をふった。結局のところ、すこし離れた場所ではあったが、多目的ホールのある会館を利用することにした。中程度の規模で、百人程度の椅子が用意された。多くが取引先関係であり、個人的つながりのある関係者は皆無といっていいほどだった。小夜子の実家のある村からの出席者は村長だけに限定されて、出席を希望しつつもかなわなかった村人たちは近在の神社において手を合わせることになった。武蔵発案の進学支援は、武蔵の○と...水たまりの中の青空~第三部~(四百四十二)

  • ポエム ~黄昏編~(さよなら)

    さよなら、さよならただ見つめあうだけで貴方のこころはわかるのなにも言ってほしくないさよなら、そのことばだけでいいの貴方のひと言にきっとあたしは泣いてしまうみんな儚い慕情としてあたしの胸の奥ふかくにしずめておきたいの=背景と解説=見栄です、男の見栄です。自分を守るために、女子――あえて女子と呼びます――の立場から言わせているのでよ。ちょっとたとえは悪いですが、エレベーターの中で……やめましょう、たとえが悪すぎます。忘れて下さい。それにしても、こんなに自分が弱くて卑怯だったとは思いもよりませんでした。出るものなんですね、本性というか魂幹(言葉がありませんね、造語です)というものが。いくつの時だったかな、この辺りは。高校を卒業しているはずですから、20歳あたりですかね。定時制高校の四年生コースに通っていましたか...ポエム~黄昏編~(さよなら)

  • 小説・二十歳の日記 七月十八日 (雨)

    この雨、きょうで三日目だ。ホントによく降る。梅雨のさいごっ屁か?だけど、どんなに降ろうと、もう晴ればれさ。べにどうということはなく、ただなんとなくだよ。へへへ…。じつはね、きょうのこの雨に傘がなくてね、困ってたんだ。朝さあ、小降りになったから上がると思ったんだよ。で、会社からすこし離れたケーキ屋さんの軒先であまやどりをしていたわけ。いや、買おうかな?とは思ったんだよ。先月の誕生日に、大っきな丸いケーキ、デコレーションって言うんだっけ?あれ、買いそこねちゃったしさ。会社、休んだろ?そうなんだ!「相あい傘で良かったら、どうぞ」って、声をかけてくれたんだ。気さくな女性でさ、会社の事務員さんなんだ。その道々、すっごく話がはずんでね、楽しかった。ぼく自身、ビックリだよ。こんなに気楽に話ができるなんて。信じられないよ...小説・二十歳の日記七月十八日(雨)

  • 奇天烈 ~赤児と銃弾の併存する街~ (一)いつもの穏やかないち日を

    いつもの穏やかないち日をえられるはずだった早朝に「コン……コン」と、遠慮がちにドアをたたく音がきこえた。“こんな朝はやくに、なんの用だ”不快なおもいをかかえて、けだるい体をゆっくりと起こした。のっそりとベッドから降りて、ランニングシャツとトランクス姿ではぐあいが悪いとばかりに、ズボンをはいた。ポロシャツもと思いもしたが、早朝なのだから勘弁してもらうことにした。この棟いち番のお洒落者となっているわたしだ、へんな格好はできない。正直のところ、ありがたくない風評なのだが、わけありで演じざるをえなくなっている。すこし前のことだ。ハローワークで紹介された就職先の面接にでかけるおりに、バッタリと井戸端会議のおばさんたちにでくわした。かるく会釈をしてたちさろうとするわたしに、そうはさせじとばかりに老婆ふたりが立ちふさが...奇天烈~赤児と銃弾の併存する街~(一)いつもの穏やかないち日を

  • スピンオフ作品 ~ 名水館女将、光子! ~ (二十三)(去れば、去るとき、:四)

    先ほどの足もとの粗相にしても、ほかにもございます。お客さまの歩幅をしっかりと確認して、速からず遅からずでご案内せねばなりません。気をつけねばならぬことはほかにも多々ございます。廊下の中央を歩いていただくのは当たりまえとして、ほかのお客さまとすれ違うさいの誘導にも気をつけねばなりません。お客さまに余計な気づかいをいただかぬように、こちらも速からず遅からずでございます。お子さま連れの場合には、とくに気をつかわねばなりません。お子さまは、いつなんどき突拍子な動きをされるか、予測がつきません。ですのでわたくしは、お子さまの手を取ってご案内するようにしております。そうすれば不規則なうごき等は、極力おさえることができますので。ただしそのことでご不快な思いをされてもなりませんので、「坊ちゃん、お嬢ちゃん、手をつなぎまし...スピンオフ作品~名水館女将、光子!~(二十三)(去れば、去るとき、:四)

  • [ライフ!] ボク、みつけたよ! (三)わたしには

    わたしには兄がひとりいます。父親は平成七年に死去しました。母親はたぶんですが他界しているでしょう。たぶんというのは、両親は離婚していますので。父親に育てられて、母とは音信不通です。中学二年の冬でした。母が家出してしまい、そのまま帰らずです。大正14年(1925年)生まれです。ですのでおそらくは他界しているでしょう。兄は、わたしの子どもふたりをのぞけば、ゆいいつの肉親です。言いわすれていました、わたしもまた離婚をしています。子どもたちとは恥ずかしい話ですが、現在は音信不通です。正直、良い父親とはいえません。経済てきにも苦労をかけましたが、なにより父親としての愛情をそそぐことに失敗した気がします。わたしのidentity確立失敗にかかわることなのですが。とうとつですが、お尋ねします。あなたは、愛情を信じられま...[ライフ!]ボク、みつけたよ!(三)わたしには

  • 愛の横顔 ~RE:地獄変~ (七)戦時下の昭和十九年のことです

    戦時下の昭和十九年のことです。早いもので、ふた昔、いえ三むかしということばはございませんね。そう三十年以上になるのですね。辻々にありました立て看板、覚えてらっしゃいますか?「ぜいたくは敵」。「欲しがりません勝つまでは」。「飾る体に汚れる心」。ですが、これなどはけだし名言ではございませぬか。「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」。それにしましても、目的のための手段が実は目的化しているようにも、思えるのですが。あらあらご賛同いただける声があがりました。ありがとうございます。はい、足立三郎さまからの薫陶のたまものです。学校のとなりに、と言いましても、正門からは百メートル近くありますでしょうか、角にある駄菓子屋のまえに小さなお子たちがたむろしていました。それこそたくさんのお菓子類を、らんらんと目をひからせて品定めをしてお...愛の横顔~RE:地獄変~(七)戦時下の昭和十九年のことです

  • 水たまりの中の青空 ~第三部~ (四百四十一)

    日本橋の富士商会の玄関口に、黒ぬりで金ぴかの屋屋根をのせた霊柩車が横づけされた。「会社からの出棺となります。騒がしくさせますが、しばらくのあいだお許しください」2日前に、香典返しに用意した静岡の銘茶セットを配りながら、このあたり一角のあいさつはすませてあった。とはいえ、会社内には紅白のまくがはられている。通りを歩く者が、何があるんだとばかりにのぞきこんでいく。リンゴの唄やら、東京ブギウギやらのレコードがながれている。これから酒盛りでもはじまるといったふうにもみえる。そこに黒ぬりの霊柩車がよこづけされて、棺までが会社内に運びこまれた。レコード音楽がとまったところで、こんどは読経がはじまった。どうにも紅白の幕がはられた室内での読経という光景が、通りいっぱいの人だかりのなかでみられた。そして棺がさいど霊柩車に運...水たまりの中の青空~第三部~(四百四十一)

  • [ライフ!] ボク、みつけたよ! (二)じつは……。

    「じつは……。もう一点、4Kチューナーをご購入していただくことになります」。おいおい、話がちがうだろうが。で、いくらするの?という話ですが、これまた五桁の金額で。こころが折れました、大きな音が、ガラガラと、頭の中でひびきました。まだ残暑の名残りが残っていたのですが、ピューピューとからだのなかを木枯らしが吹き荒んでいる感じです。たぶん肩を落として、背中が15度ほど曲がった状態で店をでたと思います。話がちがうじゃないか、というご指摘、ごもっともです。「買い求めた」と、冒頭でお話ししました。ですので、すこし補足をしなければなりません。このエピソードは、数年前の秋の十月の話です。かいもとめたというのは、昨年末のことです。悩みになやみ、うじうじと考えつづけ、コロナ禍のおかげで外にとびだすこともできずに、とうとう……...[ライフ!]ボク、みつけたよ!(二)じつは……。

  • 愛の横顔 ~RE:地獄変~ (六)人それぞれでございましょう

    まあ、人それぞれでございましょう。これ以上の詮索はやめにしましょう。ひとつやふたつのシミは、誰しもかかえていることですから。それをいちいちほじくり返すというのは、いかがなものかと。「まあ、どんなことを話すのかはしらんが、はなし半分とせねばな。人間だれしも、おのれを擁護するものだ。わしもいやというほど、そんな人間を見てきた。あの足立という男にしても……」善三さんの長ばなしはもうごめんだという空気がながれています。ですが元特攻刑事である善三さんは、他人をおもんばかるということができぬお方です。まあ職業柄やむをえぬとはおもいますが。しかし小夜子さんのさえぎることばによって、善三さんも口をつぐまれました。「坂田さま。そのことはのちほどに、わたくしのお話を聞かれてからということに。みなさまもお待ちでしょうから」あら...愛の横顔~RE:地獄変~(六)人それぞれでございましょう

  • 水たまりの中の青空 ~第三部~ (四百四十)

    業者の、「ご遺体からの死臭のこともありますので、早めにされた方が……。万が一にも腐乱となりますと、お部屋中にしみついてしまいますし……」ということばにも、小夜子は納得しない。「死んだんでしょ、武蔵は。もうおきないんでしょ!お風呂にもはいっていないのよ。人いちばい汗かきの武蔵だもの、におって当たり前よ。いいの、いいの。武蔵のにおいを、家中にばらまくんだから。天井にもかべにも窓にも、よ。あの掛け軸にもあそこの絵にも。あのテーブルでしょ、武蔵の大好きなソファにも。あの花瓶にも水差しにも、なにもかもにつけるの。それであたしは、その中で暮らすの。武蔵に抱かれて暮らすのよ、ねむるのよ。いやいや、火葬なんてぜったいにイヤ!」と、手がつけられない。そうひとしきり叫ぶと、その場に倒れこんでしまった。すぐに医者が呼ばれたが、...水たまりの中の青空~第三部~(四百四十)

  • ポエム ~黄昏編~ (銀の皿)

    銀の皿をならべたこの川にちぎり捨てられたレモンの皮岸辺にたどりつくさお舟の人影の背に春が宿ったその朝(あした)には銀の皿をならべたこの川にすでにレモンの皮はないのです=背景と解説=キラリキラリと光りながら流れる川に感銘を受けました。で、「銀の皿」という言葉を思いつきました。自分でもなかなかの言葉だと考えて、小説の色んなシーンにおいて使いました。さて、ここでのキーは、当然ながら[レモンの皮]です。この意味するところを察してもらわないと、全体が死んでしまいよすね。レモン=酸っぱい酸っぱい=○○感情さあどうでしょうか。黄昏ですので、モテ期は過ぎました。残り火がチロチロとあるかもしれませんが、まあ殆どが消えかかっています。息を吹きかけて一時的に燃え上がったとしても、吹きかけ続けねば、ねえ。ポエム~黄昏編~(銀の皿)

  • 小説・二十歳の日記 七月十五日 (曇り)

    こんやも蒸し暑い。天気予報だと、あしたは雨らしい。いいかげんに、梅雨も終わってくれないかなあ。最近、ホントにつまらない毎日だ。なんにも身が入らない。わかってるよ。こんなことじゃ駄目だと思うんだよ。いつだって自分を鼓舞してる。だけど‥‥。ベトナムの帰休兵の人たちはどんな気持ちだろう。つかのまの休息を日本で過ごして、そしてまた戦場に帰って行く。同世代のアメリカの若者が、ベトナムの戦場で戦っている。この現実だよな。アメリカとベトコン、どちらに正義があるのか、ぼくにはわからないけど。戦争は、イヤだな。*自作の一枚の絵を誉めてくれた人が、例え狂人だと告げられてもどうしても信じられなかった奴。信じたくないと言った奴。**芥川龍之介著「沼地」のエピソードからぼくだって、小説をほめてくれた人が狂人だとは思いたくないし、よ...小説・二十歳の日記七月十五日(曇り)

  • [ブルーの住人]第八章:ついでに ~罪と罰~

    =pleasureofspirit=異性にたいしても――いや人間にたいしてもそう考えられる。相手と話をしているときで、もっとも話がしやすいのは精神的に孤絶している状態、しかも相対していないときである。あいての顔を見ていないときである。つまり相手という形あるものではなく、声という無形のものに魅かれるのだ。そこに楽しさを感じているのだ。「精神的快楽」。自分では、そう定義づけている。[ブルーの住人]第八章:ついでに~罪と罰~

  • スピンオフ作品 ~ 名水館女将、光子! ~ (二十一)(去れば、去るとき、:二)

    大女将からのご返事のこと、お伝えしていませんでしたね。ありがたいお言葉をいただきました。「あなたの性根が気に入っての若女将なの。けっして清二の子どもを身ごもってしまったから、ということではありません。もしそうならば清二の嫁として、清二とともに叩きだしています。しっかりと修行をしてきなさい」。「明水館をでたのは、若女将しゅぎょうの一環だと、みなには話してありますからね」。「本音をいうと、はやく帰ってきてほしいの。あたくしも寄る年波にはかてません。でもあなたの気がすまぬというのなら、いち年の修行をおえて帰ったということにしましょう。いいですか!戻るからには、りっぱな、若女将ではなく女将として、もどってらっしゃい」。さらには、いまお世話になっております瑞祥苑の女将さんあてにも、「うちの大事な若女将でございます。...スピンオフ作品~名水館女将、光子!~(二十一)(去れば、去るとき、:二)

  • [ライフ!]ボク、みつけたよ! (一)齢七十となり

    齢七十となり、チラホラと訃報がとどきます。若すぎた死をいたむ声もあれば、大往生でしたねと慰める声があります。そんな中、わたしもそろそろ終活を意識せねばと思いはじめたのです。といっても独りぐらしのわたしですし、特段これといって遺したい物もありません。もっともわたしの遺物などを欲しがる人がいるはずもありませんが。そうだ、これは欲しがる人がいるかもしれません。4Kテレビなんですがね、家電量販店で買いもとめました。そのおりの笑うにわらえないエピソードを聞いてもらいましょうか。わたしという人間のいっ端がわかっていただけるかもしれませんし。そもそもはパソコンの購入で出かけたのですが、いつの間にかテレビの話になってしまいました。わたし絵画を観るのが好きでしてね、ちょくちょく美術展に出かけます。そんな話を販売員としていま...[ライフ!]ボク、みつけたよ!(一)齢七十となり

  • 愛の横顔 ~RE:地獄変~ (五)それではみなさま

    「それではみなさま。わたくしの話を聞いていただきましょうか。もちろん、うそいつわりなど申しません。すべてとは申しませんが、正夫の作り話を訂正させていただきます」ピンと背筋をのばしたその様は、まことに凛とした風情です。おとしは……、さきほどのご老人の話からしますと五十歳をすぎたあたりでしょうに。「それにいたしましても、なぜ三十五歳という、いまなのでしょう。閻魔さまには『お前の好きな年齢を選んでいいのだぞ。ピカピカに光っていた己をえらぶがよい』と、おっしゃっていただきましたのに。よりにもよっていちばん苦しかったころのおのれに戻ってしまうとは。正夫はどうでしょう?やはり、『妙子が笑ってくれた』、『妙子が手をにぎってくれた』、『ハイハイしている』、『立ち上がった』、『歩いた』と大騒ぎをしたころでしょうか。それとも...愛の横顔~RE:地獄変~(五)それではみなさま

  • 水たまりの中の青空 ~第三部~ (四百三十九)

    昭和27年11月12日に、武蔵がふた月の余をすぎて自宅にもどってきた。憔悴しきった小夜子を「おかえりなさいませ、おくさま。それから、旦那さまも」と、千勢があかるく迎えいれた。「たけしぼっちゃんは、ついさっき、おねむになりました。それから竹田さんたちにおてつだいいただいて、きゃくまにごよういいたしました」その夜、通夜が執りおこなわれた。入れ替わりたちかわり社員たちが武蔵の○に顔に手を合わせるなか、小夜子はただただ呆然と座りつづけていた。今日いちにちなにも食していない小夜子にたいし、千勢が汁物を用意したが、ひと口ふたくち口だけで、「もういいわ」と下げさせた。しずかにねむる武蔵をじっと見つめながら、「ひどいよ、ひどいよ」とお念仏のようにつぶやいている。五平はむろん、竹田ですら声をかけることができない。「結婚前は...水たまりの中の青空~第三部~(四百三十九)

  • ポエム 焦燥編 (超人の国)

    ”荒々しい瞬間の暴力が飲み込んでしまう”そしてその飲み込まれた世界は、誰も居ない浜辺でたった一人で泳いでいるわたしを、もう一人の私が見ている所。”ぴかぴか光っているものは、一時の為に生まれたもの。本当のものは、滅びることなく後世に伝わります”人間の愛とは、いわゆる前者のようなものでしょう。彼は幸せ者です。わたしに○された-ただその一点で、わたしの心にわたしを知る人の心にいつまでも記憶されるのですから。後世にまで伝わるのですから、たとえ記憶の片隅のことだとしても。”わたしが後世のことなぞかまっていたらだれが今の世の人を笑わせますか”この世から笑いという笑いが消え哀しみという哀しみが消え去る━そう、「人でなしの国」そしてそれが、「超人の国」でしょうSuchislife,willoncemore!=byNiet...ポエム焦燥編(超人の国)

  • 小説・二十歳の日記 七月一日 (くもりのち雨)

    とうとう雨になった。ぐずついているとは思ったが。梅雨なんだ、仕方ない。でも天気予報では、明日のはずだったのに。雨のなかの紫陽花はきれいだ。いつもの帰り道なのに、きょう、はじめて気がついた。商店街前のバス停でおりて、アーケードのなかを通ると、すこし遠回りだけど雨からにげられる。それともその奥の肉屋さんでコロッケなんかを買ったりして。美味しいんだよな、あそこのコロッケは。他よりは五円高いけど、それだけのことはある。やっぱり中の肉がちがうのかな?「かさを買って帰ろうかな」なんてチラリと思ったけど、きょうはどうしても濡れて帰りたかったんだ。わかる?やっぱり。かっこつけるわけじゃないけど、泣いてるぼくを、だれにも見られたくなかったんだ。それにもう、けっこうびしょ濡れだしね。バスのなかでも、空いてたけど席に座わんなか...小説・二十歳の日記七月一日(くもりのち雨)

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