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敏洋 ’s 昭和の恋物語り https://blog.goo.ne.jp/toppy_0024

[水たまりの中の青空]小夜子という女性の一代記です。戦後の荒廃からのし上がった御手洗武蔵と結ばれて…

敏ちゃん
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岐阜市
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伊万里市
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2014/10/10

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  • 半端ない読後感:トルストイ作「アンナ・カレーニナ」

    ロシア文学の最高峰の一人である、レフ・ニコラエヴィチ・トルストイの作品である「アンナ・カレーニナ」を読んでいます。文庫本3巻中の、1巻のほぼ終わり辺りまで来ました。確か、中学3年の夏休みに読破した気がします。最初に読んだのは、ご多分に漏れず、「戦争と平和」でした。どういうんですかねえ、かっこ悪い主人公でしたよね、ピエールは。それにひきかえて、アンドレイは超の付く二枚目(今風に言うとイケメンですか)として描かれていました。いろいろとありましたが、最終的にはピエールとナターシアが結ばれて、シャンシャンなんですけど。500人という途方もない登場人物がいるらしいんです。それぞれの家系図とか相関図とかを作り上げないと、頭の中がこんがらがっちゃいます。でなくても、聞き覚えのない横文字名前が羅列されますから。「アンナ・...半端ない読後感:トルストイ作「アンナ・カレーニナ」

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百七十七)

    会社での歓待ぶりは、道々竹田の「きっと大騒ぎです。内緒にしろと言われているんですが、大きな張り紙を用意しているはずですから。あ、でも、びっくりなさってください」という情報以上だった。全員が――五平ですらが、玄関前に勢揃いしての出迎えだった。道を行き交う者たちも、やんごとなき方の来訪か、それとも映画スターでも立ち寄るのかと、足を止める始末だった。小夜子が自宅に辿り着いたのは、どっぷりと日が落ちて落ちてからのことだった。“灯りの点いていない暗いお家に一人なのよね。こんなことならもう少し実家に居ればよかったわ。それにしても武蔵ったら、どうして出張に行くのよ。新妻を放ったらかしにするなんて、ほんとに信じられないわ”「着きました、小夜子奥さま」竹田の声に促されるように車から降りた小夜子の目に、信じられない光景があっ...水たまりの中の青空~第二部~(二百七十七)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百七十六)

    「あたしの前では、ずっとそんな竹田くんでいてね。会社で見る、むっつりはだめよ」「はい。業務命令として、しっかりと承りました。」「よろしい。社長婦人としての、はじめての業務命令です」荷物を置いて最敬礼する竹田に対し、小夜子もまた敬礼で返した。そこに、どっと改札から出てきた人波に、さよこが飲み込まれかけた。咄嗟に竹田が、小夜子を抱きかかえてかばった。「大丈夫ですか?気が付かずに、申し訳ありませんでした」「ええ、大丈夫よ」「出口のそばに車を止めてあります」。人ごみにもまれながら、何とか車にたどり着いた。「小夜子奥さま。出掛けに、皆に言われたんですが。是非にも会社にお出で願えって。このままご自宅に向かわれたら、ぼく、袋叩きにあいそうです。会社に立ち寄っていただくわけにはいきませんか。」「ええ!そんなの、恥ずかしい...水たまりの中の青空~第二部~(二百七十六)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百七十五)

    「その節は、ありがとうございました。おかげさまで姉の体調も良く、週末には自宅へ帰ることができるようになりました。小夜子奥さまのおかげと、みんな感謝しています。母なんか、手を合わせるんです。で、ぼくらにもそうしろって。菩薩様のようなお方だから、一生感謝の念をわすれるなと。お題目のように、毎晩聞かされてます。それてですね、小夜子奥さま。小汚いところですが、いちど姉が帰宅したおりにでもお立ち寄りくださいませんか。大したおもてなしもできませんが、是非お食事を差し上げたいと申しております」小夜子の歩みに歩を合わせながら、快活に話す竹田。社内での無口さが、まるで別人のようだ。そして小夜子の荷物を大事そうに両手で抱えて、まるで我が子のように慈しんでいる。「いいのよ、そんなに気を使ってくれなくても。でも良かったわ、お元気...水たまりの中の青空~第二部~(二百七十五)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百七十四)

    “なによ。新婚なのに、武蔵ったら。本来だったら、新婚旅行中のはずよ。それを出張だなんて。そんなこと、ひと言も言ってなかったわ。そうと分かっていれば、武蔵と一緒に帰ったわよ。なにか、具合の悪いことでもあったのかしら。うん、もう。どうして新婦が一人でお家に帰らなきゃいけないのよ!帰ってきたらとっちめてやらなきゃ。でも、仕方ないかも……。散財させちゃったもの。ほんとにスッカラカンになるまで使ってくれたものね。だからよね、あんなに村中でお祝いしてくれたのよね”柱に寄りかかりながら、今朝の出来事に思いを馳せ始めた。“正三さんとお式を挙げたとしても、村中のお祝いがあるにせよ、これ程にはならないわよ。なにせ子供たちが、あたしが帰るときには道端に並んで手を振ってくれたんだから。うふふ。映画スターって、こんな感じなのかしら...水たまりの中の青空~第二部~(二百七十四)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~(二百七十三)

    怪しかったくもり空からぽつりぽつりと雨粒が落ちはじめたのは、小夜子が駅の改札を出たころだった。着物類の大荷物は武蔵が持ち帰ってくれたものの、小夜子の母親澄江の思い出の品で、また膨らんでしまった。粗末なものではあったが、澄江の衣類を見ている内に、どうしても持ち帰りたくなってしまった。中でもどうしてもと思ったのは、安物の手鏡だった。他人から見ればガラクタであるが、小夜子と澄江の会話時にはどうしても欠かせないものだった。面と向かって話すことを禁じられた小夜子、床に伏せったままの澄江、手鏡を上にかざしての会話だった。痩せほそった腕で差し上げられた手鏡。すぐにぶるぶると震えて、澄江のかおが歪んでしまう。まるで波紋が広がる水鏡だ。そしてすぐに、ぱたりと落ちてしまうのが常だった。小物入れ一つで帰るはずだった小夜子。およ...水たまりの中の青空~第二部~(二百七十三)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百七十二)

    「いや参った、うまく逃げられてしまった。次回の宿泊時には、他の客が居るからとか何とか、そう言って逃げるわけだ。そして次々回の泊りを期待させるわけだ。女将、この手で何人の常連客をつかんでいるんだい」「あらあら、なにを仰います。こんなあたくしにお声を掛けてくださったのは、社長さまだけですわ。相当にお遊び慣れてらっしゃるのですね。社長さまこそ、何人の女将を口説き落とされたのでございますか?でも後家の炎は、激しく燃えますわよ。奥さまのご機嫌を損ねるようなことになっても、およろしいのですか?」さりげなく妻帯者かどうかの確認をするぬい。少々本気が混じり始めたのかもしれない。「うん、新婚さんだ。まだ式を挙げてから、一週間と経っていない。新婚旅行を後回しにしての出張さ。いや、女将に出逢わさせるための神様のいたずらか?そり...水たまりの中の青空~第二部~(二百七十二)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百六十四)

    その夜、ふたりして武蔵の自宅で酒盛りをした。縁側に座り込んで半欠けの月をながめながらの、二人だけの酒盛りだ。「久しぶりのことだな、五平。店を立ち上げる前には、こうやって二人で、カストリを飲んだよな」「うーん、何年になりますかね。十、年はたたないか。店を立ち上げる、あぜ前夜夜以来じゃないですか。たしか、いつもの十五度じゃなくて、いきなり四十度なんて代物に手を出して。喉はひりつくし、胃はひっくり返るし。それから頭がガンガン鳴って、死ぬかと思いましたよ。まったく武さんの冒険心にゃ、付いていけません。あ、タケさんなんて呼んじまった」「いいよ、いいじゃないか、タケさんで。会社ではまずいが、ふたりだけなんだ、タケさんでいいよ。俺もな、ちょっと反省してるんだ。会社では、五平じゃなくて専務とよばなくちゃならんとな」「へへ...水たまりの中の青空~第二部~(二百六十四)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百七十一)

    「お花、お好きなのですか?」じっと花に見入っていた武蔵に、ぬいが声をかける。「いや、それほどでも。美しい花がでしゃばることなく、ただそこにあるといった感じなのでね。見惚れてしまったんです。どちらかというと、、、」「どちらかというと、なんでございましょう?分かりました、花より団子でございますね?」武蔵の言葉を遮って、ぬいが言う。相変わらずにこやかにぬいが言う。女将としては失点ものだ。しかし武蔵との言葉の掛け合いが楽しくてならないぬいだ。「外れです、女将。そりゃ料理も気になるが、ぼくが一番に気にするのは、何といっても女将です。顔ですからな、旅館の。女将が気持ち良い女かどうか、それを一番に見ます。そう、旅館の華ですよ」「あらまあ、怖いことを。で、あたくしは如何でしょう?及第点はいただけますでしょうか?」上目遣い...水たまりの中の青空~第二部~(二百七十一)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百七十)

    「ところで女将。この旅館の売りはなんですか?こいつは大事なんです、案外に。閑静だとか、庭が美しいとかです。老舗旅館だからだけというのは、売りにはならない。そう!料理が美味いとか、珍品が食べられるとかなんかも良いですな。湯はどうです?」疑問符をつけた武蔵の言いぐさに、毅然としてぬいが答えた。「もちろんでございますとも、立派な露天風呂がございます。幸い今夜は、社長さまの貸切状態でございますよ」胸を張って小鼻を膨らませて、意気込むぬいだ。「あらまあ、あたくしとしたことが。幸いだなんて、とんでもない言葉をつかってしまいました。あたくし共にとっては、よろしくないことですのに」と、ひとりはしゃぎ回るぬいには、武蔵も呆気にとられてしまう。終始笑みを絶やさぬぬいに、武蔵も脱帽だ。したたかな商売人なのか、はたまた楽天家なの...水たまりの中の青空~第二部~(二百七十)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百六十八)

    “やっぱり見透かしていたか。ましかし、工房やら工人と懇意にしていてくれるのはありがたい。こけしの職人を工人と呼ぶのは知らなかった。女将の人脈は、相当のもののようだ。それとも案外、発展家なのか?顔立ちからは想像もできないけれども”きつね顔のほそ面で、浮世絵に多い顔立ちだ。“ビードロをふく女に似ているんじゃないか。喜多川歌麿だったかな。おれの好みとしては、丸顔の大っきな目なんだが。でもないか。守備範囲は広いからな、女に関しては”「失礼ながら、女将。あなたは素人さんに見える。仕事柄いろいろの宿を知っているが、、」武蔵の言葉を遮って、ぬいが笑みを見せながら語りだした。「社長さまには包み隠さず申し上げますが、あたくし旅館経営などまったくの素人でございまして。先代の女将が急死したものですから、やむなく後を継いだのでご...水たまりの中の青空~第二部~(二百六十八)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百六十七)

    「御手洗さま、失礼致します。女将のぬいでございます」カラカラと格子戸の開く音がして、襖がすっと開いた。「やあやあ、すみませんです。お忙しいだろうに、女将を呼んだりして」大仰な手振りで、女将の手を取る武蔵だ。“ほお、これはこれは。華奢に見えたが、どうしてどうして。細い指ではあるけれども、結構力があるぞ。握り返してくるこの感じ、中々のものだ”「とんでもございません。すぐにお伺いするつもりが、遅くなってしまいました。ほんとうに申し訳ありません。あらためまして、本日は当高野屋旅館にお出でいただきまして、誠にありがとうぞんじます。誠心誠意、つとめさせていただきます」「なになに、美人の女将のお誘いだ。断ったりしたら、罰が当たると言うものです。実は女将を呼び立てしたのは、他でもない。当地の特産品についてね、ひとつご教示...水たまりの中の青空~第二部~(二百六十七)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (二百六十六)

    「お帰りなさい、女将さん。ああ、お客さまですか?」玄関先を掃除中の老人が、手を止めて女将を見る。「治平さん、ただいま。旦那さまがね、この雨に駅舎で立ち往生なさっておいでだったの。でも、恵みの雨でした。こうしてお客さまになっていただけたのだから」奥から手ぬぐいを持って、若い仲居がドタドタと走ってきた。「これこれ、おたまちゃん。そんな走ってはいけませんよ。申し訳ありません、躾がなっておりませんで。「うん、なになに。若いんだ、仕方ないですよ」口ではそう言いつつも、心内では宿選びに失敗したかと舌打ちした。“どうする?引き返すか?ここで上がってしまえば、戻れないぞ”逡巡のきもち湧きははしたが、ぬいのえりあしの色香が思い出された。若い仲居が、ぼーっと立ちすくんでしまった。この地ではなかなかに出会うことのない美男子の武...水たまりの中の青空~第二部~(二百六十六)

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