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敏洋 ’s 昭和の恋物語り https://blog.goo.ne.jp/toppy_0024

[水たまりの中の青空]小夜子という女性の一代記です。戦後の荒廃からのし上がった御手洗武蔵と結ばれて…

敏ちゃん
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岐阜市
出身
伊万里市
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2014/10/10

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  • ボク、みつけたよ! (三十六)

    どうしたと思います?そうなんです、そのまま脱兎のごとくに、誰にも何も言わず、教室を飛び出したわけです。そしてバスと汽車とを乗り継いで、無事に持ってきました。バス停からは、猛ダッシュです。5分と違わないと思うのです。歩いて学校に戻ればよさそうなものなのに、猛ダッシュしたんです。ここらあたりは、真面目に超が付くゆえんでしょうか。(当時のわたしですから。今は、真面目という意味が少し変わってきている気がしますね)。汗だくです。確か、夏休み明けの二学期のことだったと思いますが、残暑が厳しい時期ですからね。さあ、ここからです。教室の扉を引いた途端、その場に倒れ込んだのです。扉のレールに引っかかったのか、ひざが笑ってくずれ落ちたのか、それとも恥ずかしさから自ら倒れたのか……。「家から走ってきたらしいぞ」。そんな声が飛び交って...ボク、みつけたよ!(三十六)

  • ボク、みつけたよ! (三十五)

    畑と言えば、麦も植えられていました。ただ、その種類は分かりません。この記憶が事実かどうか判然としませんが、その麦の中に黒い穂がありました。触れるとその「黒」が付いてしまうのです。後に知ったのですが、これは黒穂病とかいう植物の病気によって発生するものらしいです。遊び回っていたわたしへの罰だったということでしょうか。(農家の皆さん、ごめんなさい。今さらですが、謝罪させてもらいます)。ズボンやらシャツやらに付いた状態で帰宅し、母親からこっぴどく叱られたものです。そうだ!叱られたと言えば、こんな言葉を大声で叫びながら帰ったものです。近所の悪ガキとともに、畑のあぜ道を「はらへったあ、めしくわせえ!」と、連呼し続けたものです。畑仕事の大人たちから「げんきがええのお!」と声をかけられたことを思い出します。でもその途次で、たわ...ボク、みつけたよ!(三十五)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百九十)

    昭和初期に、たび重なる飢饉におそわれた東北地方。このことにともない女衒を仲介とした身売りが横行した。この世相に憂えた青年将校たちによるクーデター未遂、昭和十一年に二・二六事件が起きた。その兵士たちの中には、東北出身の者が多々いた。五平の脳裏に苦い思い出がよみがえる。「借金さえ返し終えれば、戻ってこれるんだ。お前さん次第では、十年が八年にいや七年にもなるってもんだ」哀しい嘘だった。一度苦界に身を落とせば、中々に浮かび上がれない。自身の知らぬ内に増えていく借財がある。親元への送金を勝手にされてしまう娘も、まれにいた。酒に逃げ込む父親、娘にすがりついて離さぬ母親、両手を合わせる祖父母、そして訳もわからずに右往左往する幼子たち。そんな中「さあさ、愁嘆場もこれまでだ!」と、娘を連れ去る五平だった。「お待たせしました、わた...水たまりの中の青空~第二部~(百九十)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十九)

    助役室、というプレートのついた部屋――幅4尺ほどの片袖机が一つと、かべ際には書棚があり、部屋の中央にはソファとテーブルが置いてある。その部屋に「助役、助役」と若い男が駆け込んだ。「騒々しいぞ、守」。書類から目を上げて助役がたしなめた。「話は聞けたのか?」。机の前に立たせたまま、つづけて声をかけた。「それがですねえ」と、守が身振り手振りで報告した。「すごい人だかりでして、茂作さんに声をかけるのにもひと苦労しました」ソファに座ろうとする守に対して、「こら、ここは役場だ。甥だからと思うな」と、再度たしなめた。「それにしても茂作さん、けんもほろろでして。話を聞けませんでした。顔色がわるかったところを見ると、どうも借金とりではないかと」「馬鹿を言っちゃいかん。借金とりが、なんで寄付を申し出るんだ。茂作と竹田本家の名前で、...水たまりの中の青空~第二部~(百八十九)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十八)

    「その先物取引の借金をチャラにしたのは、御手洗なんだよ」「な、な、な、、、」言葉が出ない、思いも寄らぬことを告げられた。「督促が来なくなったろうが。まだあるぜ、竹田さんよ。毎月の仕送り、あれも御手洗だ。小夜子お嬢さまはご存知ないことだがね。御手洗のおかげで、三度三度のおまんまやら晩酌が出来てるんだ」へなへなと座り込んでしまった。「あれは、小夜子が、小夜子が……」と、呪文のように呟き続ける。「いや、大丈夫じゃ。佐伯の本家に嫁げば、そんなもん返せる」「空手形は切るものじゃない、竹田さん。正三とか言う若造のことかね。さあてね、どういうことになっているのか」「そ、そうじゃ。まだおる。ロシア娘がおる、ロシア娘が」勝ち誇ったように言う茂作に、五平は薄ら笑いを浮かべた。「やれやれ、アナスターシアのことかね?」「そ、そうじゃ。...水たまりの中の青空~第二部~(百八十八)

  • ボク、みつけたよ! (三十四)

    そんなある日のことです。降りる段になって、定期券を忘れてきたことに気が付きました。もう、ドキドキですよ。「ていきけん、わすれました。ごめんなさい」。ひと言そう言えば、大目に見てくれると思います。でも、言えないんですね。そのまま顔パスしちゃったんです。ひょっとしたら、顔を真っ赤にしていたかもしれません。案外、車掌さんはお見通しだったかも?です。ところで不思議なのが、バスの顔パスは覚えているのですが、汽車はどうしたのか……。当然のことに、汽車も定期券です。どうやって降りたのでしょうか?誰か、教えて下さいな。問題は、帰りです。もう顔パスは通用しません。学校から駅まで、どのくらいの距離だったか。歩いて駅まで行ったと思います。駅まで行かなければ、家まで帰るルートが分からないのです。線路は道路沿いばかりではありません。鉄橋...ボク、みつけたよ!(三十四)

  • ボク、みつけたよ! (三十三)

    次なる場所は、福岡県久留米市篠山小学校、です。ここには特産品がありまして。それをご存じですか?素晴らしい!久留米絣(くるめかすり)でゆかたを作ってもらった記憶があります。白地に紺の模様入りだったと記憶しています。夏祭りに着させてもらったはずです。のりが利きすぎていてゴワゴワ感が半端じゃなく、首元がチクチクと痛かったです。市内の篠山小学校に通っていたといっても、住居は田舎でした。それがどこだったのかが、今となっては分かりません。汽車とバスを乗り継いで通学をしていたという記憶が、しっかりとあります。電車ではありませんよ、「シュッシュッ、ポッポ」の蒸気機関車です。D51?C63?何だったでしょうねえ。それと、バスは木炭自動車ではないですからね。現在と同じディーゼルエンジンですから。住居の近くは一面が田んぼで、春先には...ボク、みつけたよ!(三十三)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十七)

    板間に上がりこんだ五平は、両手をついて「わたし、富士商会の加藤五平と申します」と挨拶した。思いもかけぬその所作に、茂作の思考が止まった。「社長、御手洗武蔵の名代として、本日は伺いました」富士商会?御手洗武蔵?聞き覚えのある名前が飛び出した。血の気の引いていた茂作に、少しの安堵の色が出た。「富士商会さんと言いますと、確か、小夜子が勤めているとか言う会社でしたかの?」「はい。小夜子お嬢さまをお預かりしている、御手洗の代理でございます」気後れしていた茂作だが、へりくだった五平の物言いにやっと気力が戻った。「ま、飲みなさいな」と、冷めてしまっているお茶を出した。「本日お邪魔致しましたのは、小夜子お嬢さまの件でございます。いえいえ、すこぶるお元気でございます。毎日を御手洗の世話で忙しくされております」「はて?御手洗さんの...水たまりの中の青空~第二部~(百八十七)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十六)

    突き抜けるような青空が、五平には眩しく感じられる。黄金色に揺れる稲穂を見るにつれ、胸の奥に痛みを感じ始めた。田舎道を数人の娘たちと共に歩く。両脇の畑仕事に勤しむ百姓たちの指すような視線が、五平の全身に冷たく突き刺さる。視線を返すとすぐに逸らしてしまうが、外すとまた射てくる。そんな繰り返しを続けながらも、涙顔の娘たちを急かしながら道を行く。そんな光景が思い出されてしまう。“しっかりしろ!加藤五平。お前は女衒の五平じゃないんだ。富士商会という真っ当な会社の専務さまだ。今日は、社長御手洗武蔵の名代で来たんだ。胸を張れ!”この村には珍しく入ってきたタクシーが、茂作の家屋前に着けられた。茅葺きの古い家屋で、縁側の所々がすでに朽ち掛けている。庭の草も伸び放題で、人の手がまったく入っていない。低いながらも石垣で作られた小道を...水たまりの中の青空~第二部~(百八十六)

  • 岐阜市の積雪 第5弾

    1月18日親父の命日です。きしむ体をなだめすかしながら起床。今日は、びん・缶そしてペットボトル処分の日です。ペットボトルはまだ数量が少ないので残して、ビン・缶のみを処分することに。一応8時までということになっているので、慌ててパジャマ姿のままジャンパーを上に引っかけて飛び出しました。おっおっおっっっ!雪がちらついています。晴天です、お日さまが暖かい日差しを降り注いでいてくれています。見る方向によっては、キラキラと輝いて見えます。白いものが画面に映っているのが見えますか?レンズのゴミではありませんので。ちらつく雪なんですよ。日本全国、こんな降り方なら、皆さん大喜びなんでしょうがねえ。今年もまた、大量すぎますわな。ぶじに乗り越えられますことを、この岐阜の地からお祈りしています。岐阜市の積雪第5弾

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十五)

    懇願するような武蔵に、小夜子はピシャリと言った。「何言ってるの!二十四時間付きっきりじゃないでしょ!」「だから、うつることも」「大丈夫!お医者さまにキチンとお聞きするから。母の看病ができなかったことが、すっごく悔やまれるの。同じご病気なのよ。神さまが“看病してやりなさい”って、おっしゃってるのよ」一度言い出したら聞かない小夜子だ。何度かの押し問答の末に、武蔵が折れた。「仕方がない。医者の言うことをキチンと守ること。十分に休息を取ること。いいな、絶対だぞ!」一階の事務室に戻った事務員が「ねえねえ、重大ニュースよ」と皆を集めた。外で荷解きをしていた男たちも呼ばれて、大騒ぎとなった。「お姫さまがね、竹田さんのお姉さんの看病をされるんだって。社長は渋ってらしたけど、根負けされたわよ。すごいわねえ、社長をやりこめるなんて...水たまりの中の青空~第二部~(百八十五)

  • ボク、みつけたよ! (三十二)

    初恋が甘酸っぱいものだとすれば、大人の恋はどうなんでしょう。マンゴーのように甘く甘く、そしてやっぱり甘いものでしょうか。そんな恋を教えてくれたのは――自ら追い求めたものではなく与えられた恋のお相手は、やっぱりminakoさんでしょう。わたしよりも年上の女性でした。といっても、高校の同級生です。看護学校を卒業後に高校入学された方で、最終学年に知り合いました。きっかけがなんだったのか、今となっては思い出せません。在学中から交際が始まったのか、それとも卒業後の同窓会かなにかがきっかけだったのか……。どうしても思い出せないのです。思い出すのは、……体がカッと熱くなることばかりで、外でのデートではなくわたしのアパートでのこと、そしてトラックの車内でのことなのです。ライトバンでのデートならばいざ知らず、トラックでのデートな...ボク、みつけたよ!(三十二)

  • ボク、みつけたよ! (三十一)

    さあ次なる場所に移動です。小学6年生の夏休み前まで通った、福岡県中間市の中間小学校に行きましょう。一級河川の遠賀川の堤防下に建てられている学校でした。ですがあまり記憶にありません、学校内は。6年生ですからねえ、覚えていてもおかしくはないのに。学校外でのことばかり思い出すんです。倉田くん、佐々木くん、ぼくのこと、覚えていてくれるかなあ。互いの家が近かったこともあり、放課後によく遊びました。家の脇に国道と並行して線路があったのですが、その地がさっぱり分かりません。その線路脇に小山というか小高い丘というか、頂には神社があったと記憶しているのに、それらしき場所がさっぱりです。中間小学校に通っていたということは、この近辺だということなんですがねえ。小川が流れていて、少し離れたところに小さな池があり、そうだ!神社もあった。...ボク、みつけたよ!(三十一)

  • 岐阜市の積雪 第4弾

    1月13日(木)朝、8:38。「お早う、子猫ちゃん」いつもはわんぱくなのに、今朝は恐る恐るお散歩です。ローンレーンジャー号には、うっすらと。薄化粧です。(きれいだよ)。その夜(18:04)にはちらりほらりと雪が舞っています。こうして見ると、蛍?にも見えますね。そして、1月14日(金)07:26。ローンレーンジャー号はしっかりと雪が被り、どこかへお嫁入り支度?で、お庭にはしっかりと雪の絨毯が。山々もうっすらと薄化粧でした。今日は、晴れたり雪が降ったりの天候のようです。少し大粒の牡丹雪がやや横殴り状態ですから。大雪に見舞われている皆さん、お疲れさまです。岐阜市の積雪第4弾

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十四)

    「ところで、五平。お前、田舎に行ってくれ」照れ隠しの為か口を真一文字に閉じていた武蔵が、慇懃に口を開いた。「田舎と言うと、いよいよですか?」「ああ、そんなところだ」「分かりました。で、いつにされますか?ええっと、こりゃいい!明日が大安ですよ。それじゃ、明日にでも出かけますわ」「いや、お前。それはちょっと急過ぎないか?」「何を言ってるんです。こういうことは早いほうが良いんです。小夜子奥さんも了解済みなんでしょう?」「いや、それはまだ……」「事後報告でも良いじゃないですか。いや、そのほうが良いかもしれません。あのご気性だ、前もってだと何かと……」口を濁す五平だが、その言わんとすることは武蔵も分かっている。天邪鬼的な性格を持つ小夜子のことだ、反発しかねない。更には、失意から立ち直りかけの小夜子でもある。付けこむような...水たまりの中の青空~第二部~(百八十四)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十三)

    小夜子が社員から慕われるのは良しとしても、恋心を抱かれては困るのだ。勿論、小夜子がそれによって動揺などするわけはない。しかし、恋愛の対象として見られるのは我慢できない。あくまでも、小夜子奥さまとして奉られなければならないのだ。いみじくも事務員たちからこぼれた、お姫さまでなければならない。「とに角、許さんぞ。小夜子に淫らな思いを抱く奴は、誰だろうと許さん。いいか、たとえそれが、五平お前でもだ!」「大丈夫です、心配いりません。みんな、富士商会のお姫さまと思っていますから。竹田にしても、感激しているんです。あれほどに心配された小夜子奥さんに、です」「そうか。なら、いいんだ。うんうん。お姫さまと言っているのか、みんなが。そうか」してやったり、の思いだった。一気に武蔵の相好が崩れた。どっかりと椅子に座ると、恵比寿顔だ。今...水たまりの中の青空~第二部~(百八十三)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十二)

    「おう、昨日はご苦労だったな。それでどうだった?」「安心してください。無事、入院ですわ。おふくろさんも、今回ばかりは観念したようですわ」と、合掌の真似をする五平だ。「うん、そうか」。満足げに頷く武蔵に「なにせ、本性を現しましたから」と意味ありげに薄笑いを浮かべた。「どういうことだ?」「見張りが居たんでしょう。三人連れの恐いお兄さんを引き連れての、ご登場でした。さすがにおふくろさんも、ビックリですわ」「ほう、やっぱりだったか。でっ?」「でって、そんなもの。何という事はないです。ギャーギャー騒いでましたが、一喝して終りですわ。あの親分さんの名前を出す必要もなかったです」「なんだ、そりゃ。素人さんか?」「そこらの食いっぱぐれですわ。ニ、三日前に雇われたようです。祈祷師やら占い師やら、結構有名になっていましてね」「どう...水たまりの中の青空~第二部~(百八十二)

  • ボク、みつけたよ! (三十)

    少年には永遠の時間のように感じた、その道のり。話に興じるアベックたちの間延びした声が、少年の耳に届く。バンドの音楽も回転数を間違えたレコード音の如くに、間延びして聞こえる。少年が立ち上がって、ものの5、6秒。三つのテーブル先に陣取っていたあの女が、今まさに目と鼻の距離にいる。そして階段も、ほんの1、2メートル先だ。「あのお……」少年は、自分でも信じられない程に容易く女に声をかけた。つまりつまりながらも、少年が女に話しかけた。訝しげに見上げる女に対し、精一杯の真心を込めて話した。付き添いの女の雑音にはまるで耳を貸さず、ひたすら女に向けて発信した。少年の熱い目線を避けて俯くだけの女に対して、異国の言葉で語り続けた。That’sSyougatsu!やったね!ナンパに成功だあ。でもこれって、ナンパか?たゞ、住所を聞き出...ボク、みつけたよ!(三十)

  • ボク、みつけたよ! (二十九)

    新年に入りました。さあ続いては、初ナンパのことです。「清水の舞台から飛び降りる」というのは、こういうことを指すのでしょうねえ。ナンパの経験はあると言えばありますし、ないと言えばそれもありです。またまた禅問答のようになりました。お怒りになる前にわたしの心情らしきものをひとくさりお聞きください。対人恐怖症、それとも女人恐怖症?面と向かっての会話が苦手でして、誰かを間に入れてのことならばいくらでも話が出来るのですがねえ。いえいえ、何度も言うようですが、昔々のことですから。ですので、わたしの場合は手紙という手段をとりました。まあねえ、意までもその名残りというのでしょうか、携帯電話の常態化にある現代においても、直電が苦手でメールなりを多用しています。そう言えば現代の若者たちもまた、ラインなる通信手段が多いとか。通信費の節...ボク、みつけたよ!(二十九)

  • 水たまりの中の青空 ~第二部~ (百八十一)

    「何だと!」。二人が同時に怒鳴った。「申し訳ありません、母が猛反対しまして」「五平!説得できたんじゃなかったのか!」。睨み付ける武蔵に、五平はうまく声が出ない。怒り心頭に発した折の武蔵は手が付けられない。そこらにあるものを手当たりに投げ散らかす。昨年の夏に仕入れ先からの接待で出かけた折に、武蔵の女遊びを聞きつけた担当者が、気を利かせたつもりで店一番の女給をあてがった。スレンダーな体つきながら、胸の膨らみを強調したドレス姿で「あやこです、よろしく」と武蔵の前に立った。「こいつは驚いた。こんな場末のキャバレーに、掃き溜めに鶴だな、まったく」。目尻を下げている武蔵の表情に満足げに頷く担当者が「社長の好みに合えばよろしいんですが」と、もみ手をせんばかりに武蔵の隣に座らせた。「スタイルは100点満点ですが、ちょっと肌の色...水たまりの中の青空~第二部~(百八十一)

  • Beautifull Morning !!

    美しい朝!!キラキラと輝いて、一面が白銀ではなく、霜ですなあ。キラキラ感が伝わらぬもどかしさ、残念です。湯たんぽを抱えてのベッドの中でも「さぶうぅぅ」と思わず起きてしまった今朝でした。それでも窓の外を見ることもなく、もう一度布団を被りなおして夢の中へ。チラリチラリと時計に目をやりながら、「今日から仕事始めだ」と自分に言い聞かせて……。それでもなお「もう少し、もう五分だけ……」と、思いっきり自分を甘えさせて……令和4(2022)年1月5日のこと。「よしっ」と、ベッドの布団をはねたのは、8時35分のこと。窓を開けての第一声が、タイトル。「かっこつけちゃって」と言いつつも、しばし見とれてしまった。小学生の教科書で読ん、いやぼくの目に飛び込んできた「宝石箱をひっくり返したような朝……」。朝露でキラキラと輝く草花とともに...BeautifullMorning!!

  • 謹賀新年!

    謹賀新年!ひと睨み、厄災退散!もう、一丁!とどめ、でぇい!謹賀新年!

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