ボク、みつけたよ! (三十六)
どうしたと思います?そうなんです、そのまま脱兎のごとくに、誰にも何も言わず、教室を飛び出したわけです。そしてバスと汽車とを乗り継いで、無事に持ってきました。バス停からは、猛ダッシュです。5分と違わないと思うのです。歩いて学校に戻ればよさそうなものなのに、猛ダッシュしたんです。ここらあたりは、真面目に超が付くゆえんでしょうか。(当時のわたしですから。今は、真面目という意味が少し変わってきている気がしますね)。汗だくです。確か、夏休み明けの二学期のことだったと思いますが、残暑が厳しい時期ですからね。さあ、ここからです。教室の扉を引いた途端、その場に倒れ込んだのです。扉のレールに引っかかったのか、ひざが笑ってくずれ落ちたのか、それとも恥ずかしさから自ら倒れたのか……。「家から走ってきたらしいぞ」。そんな声が飛び交って...ボク、みつけたよ!(三十六)
2022/01/30 08:00